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【発明の名称】 水溶性共重合体の製造方法
【発明者】 【氏名】上田 富康

【氏名】河原 和伸

【要約】 【課題】添加剤を含有することなく重合中にゲルが生成することを抑制して、簡便に、ポリカルボン酸系水溶性共重合体を製造する方法を提供する。

【構成】単量体成分を含む水溶液を滴下して重合する工程を含むポリカルボン酸系水溶性共重合体の製造方法であって、該製造方法は、下記式(1)を満たす水溶性共重合体の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単量体成分を含む水溶液を滴下して重合する工程を含むポリカルボン酸系水溶性共重合体の製造方法であって、
該製造方法は、下記式(1)を満たすことを特徴とする水溶性共重合体の製造方法。
A×B×C/10000<40 (1)
Aは、重合工程中に滴下する単独重合性のある単量体水溶液の濃度(質量%)を表す。Bは、温度20℃、水溶性共重合体の濃度45質量%、pH7における製造後の水溶性共重合体水溶液の粘度(mPa・s)を表す。Cは、水溶性共重合体組成中の単独重合性のある単量体成分の含有量(質量%)を表す。
【請求項2】
前記製造方法は、Aを5質量%以上、Bを10000mPa・s以下、Cを1〜80質量%とすることを特徴とする請求項1に記載の水溶性共重合体の製造方法。
【請求項3】
前記ポリカルボン酸系水溶性共重合体を構成する単量体成分は、単独重合性のある単量体とその他の単量体とを含み、単独重合性のある単量体が不飽和カルボン酸系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル類からなる群より選択される少なくとも1種の単量体を必須とし、その他の単量体がポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体を必須とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の水溶性共重合体の製造方法。
【請求項4】
前記単独重合性のある単量体は、アクリル酸(塩)とアクリル酸エステル類とを必須とすることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の水溶性共重合体の製造方法。
【請求項5】
前記ポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体は、不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物を必須とすることを特徴とする請求項3又は4に記載の水溶性共重合体の製造方法。
【請求項6】
前記単量体成分は、ポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル類のモル比が5〜60/5〜90/0〜70であることを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の水溶性共重合体の製造方法。
【請求項7】
前記製造方法は、重合工程で生成するゲルの量が、単量体成分全量を100質量%とすると5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の水溶性共重合体の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の水溶性共重合体の製造方法によって製造されることを特徴とするポリカルボン酸系水溶性共重合体。
【請求項9】
請求項8に記載のポリカルボン酸系水溶性共重合体を含むことを特徴とするセメント混和剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカルボン酸系水溶性共重合体の製造方法に関する。より詳しくは、セメント組成物等に対して流動性を高めるための減水剤等として適用することができるポリカルボン酸系水溶性共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカルボン酸系水溶性重合体は、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物等に対して減水性能を発揮し、セメント混和剤又はコンクリート混和剤等として広く用いられており、セメント組成物から土木・建築構造物等を構築するために欠かすことのできないものとなっている。このようなコンクリート混和剤は、セメント組成物の流動性を高めてセメント組成物を減水させることにより、硬化物の強度や耐久性等を向上させる作用を有することになる。このような減水剤の中でもポリカルボン酸系重合体を含むポリカルボン酸系セメント混和剤又はコンクリート混和剤は、従来のナフタレン系等の減水剤に比べて高い減水性能を発揮するため、高性能AE減水剤として多くの実績がある。
【0003】
このようなポリカルボン酸系コンクリート混和剤を製造する方法としては、水を溶媒とし、モノマーを滴下して重合する方法が製造上好ましく、また、製品形態においても水を溶媒とすることから好ましい。しかしながら、水を溶媒としてコンクリート混和剤に好適なポリカルボン酸系ポリマーを製造する場合、重合中にゲルが生成することとなる。特に、滴下するモノマーの水溶性又は製造しようとするポリマーの水溶性が低いとき、溶媒に水のみを用いた場合には重合中に多量のゲルが生成し重合が困難となる、また、製品品質を向上するためには重合後にゲルを除去する必要がある等の問題がある。
【0004】
従来のポリカルボン酸系重合体の製造方法としては、不飽和カルボン酸系単量体を必須成分とする単量体混合物を、該単量体混合物に対し0.01〜10重量%のオキシアルキレン系消泡剤の共存下に重合して得られた共重合体又はその中和物からなるセメント分散剤の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この製造方法においては、オキシアルキレン系消泡剤を水性媒体中に溶解又は分散させるためにオキシアルキレン系消泡剤の共存下に重合していることから、水を溶媒として重合する場合に重合中にゲルが生成しないように、特に、滴下するモノマーの水溶性又は製造しようとするポリマーの水溶性が低いときにゲルが生成しないようにするための工夫の余地があった。
【0005】
また水溶性重合体と水とを含む混合物を溶媒として重合してなるポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この技術は水溶性重合体の共存下での製造方法であり、水溶性重合体が目的とするポリマーに含有してしまうことから、水溶性重合体が含有せず、セメント混和剤、コンクリート混和剤としての性能を充分に発揮し、使用できる適用範囲を広範囲にわたるものとし、使用しやすいものとするための工夫の余地があった。
【特許文献1】特開平7−53249号公報(第1〜3頁)
【特許文献2】特開平2004−331472号公報(第1〜2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、添加剤を含有することなく重合中にゲルが生成することを抑制して、簡便に、ポリカルボン酸系水溶性共重合体を製造する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、ポリカルボン酸系水溶性共重合体の製造方法について種々検討したところ、重合中のゲル生成に深く関わっている種々の要因に着目し、重合工程中に滴下する単独重合性のある単量体水溶液の濃度や、得られるポリカルボン酸系水溶性共重合体の粘度や、水溶性共重合体組成中の単独重合性のある単量体成分の含有量が重合中のゲル生成に関わっていることを見いだした。そして、これらの積の1/10000が、40未満であると、添加剤を必要としなくても、ゲルの生成を充分に抑制することができることを見いだした。また、上記関係を満たす場合、ゲルを含有しない水溶性共重合体が得られることから、目的とする水溶性共重合体の組成や粘性に応じて、生産性のよい条件を決めることができるという特性が発揮され、目的とする水溶性共重合体の組成や粘性が決まると、上記関係から生産量を最大にするための最適な単量体水溶液の濃度を決定することができることも見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。更に、コンクリート混和剤等の様々な用途に好適に適用することができることも見いだし、本発明に到達したものである。
【0008】
すなわち本発明は、単量体成分を含む水溶液を滴下して重合する工程を含むポリカルボン酸系水溶性共重合体の製造方法であって、上記製造方法は、下記式(1)を満たす水溶性共重合体の製造方法である。
A×B×C/10000<40 (1)
Aは、重合工程中に滴下する単独重合性のある単量体水溶液の濃度(質量%)を表す。Bは、温度20℃、水溶性共重合体の濃度45質量%、pH7における製造後の水溶性共重合体水溶液の粘度(mPa・s)を表す。Cは、水溶性共重合体組成中の単独重合性のある単量体成分の含有量(質量%)を表す。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明の水溶性共重合体の製造方法は、単量体成分を含む水溶液を滴下して重合する工程を含むものであり、重合工程中に滴下する単独重合性のある単量体水溶液の濃度と製造後の水溶性共重合体水溶液の粘度と水溶性共重合体組成中の単独重合性のある単量体成分の含有量との積の1/10000を40未満とすることにより、ポリカルボン酸系水溶性共重合体(以下、単に「水溶性共重合体」又は「ポリカルボン酸系共重合体」ともいう。)を製造する方法である。単量体水溶液の濃度(A)が高いほど、粘度(B)が高いほど、重合体組成中の単量体濃度(C)が高いほど、ゲルが生成しやすいが、上記関係式(1)を満たせば、添加剤を加えなくても充分にゲル化を防止することができ、種々の用途に好適な水溶性共重合体を得ることができる。また、目的とする水溶性共重合体の組成や粘性に応じて、最適な単量体水溶液の濃度(重合工程中に滴下する単独重合性のある単量体水溶液の濃度)を知ることができ、例えば、単独重合性のある単量体水溶液の濃度を、上記一般式を満たす範囲で最大のものとすることにより、生産効率を最大にすることができる。なお、本発明の「単量体成分を含む水溶液を滴下して重合する工程」において滴下する単量体成分としては、ポリカルボン酸系共重合体を構成する単量体成分の一部であってもよく、全部であってもよい。すなわち、単量体成分の一部又は全部を滴下すればよい。一部を滴下する場合は、残りは滴下以外の方法で添加されればよいが、あらかじめ反応釜等の反応容器に仕込む形態が好ましい。滴下する単量体成分として好ましくは、単独重合性のある単量体の少なくとも一部を含む形態であり、より好ましくは、単独重合性のある単量体の全部を含む形態である。また、単独重合性のない単量体は、あらかじめ反応釜等の反応容器に仕込む形態が好ましい。すなわち、上記重合工程としては、単独重合性のない単量体の少なくとも一部、好ましくは全部を含む水溶液が仕込まれた反応容器に、単独重合性のある単量体の少なくとも一部、好ましくは全部を含む水溶液を滴下して重合する形態が好ましい。
【0010】
上記重合工程中に滴下する単独重合性のある単量体水溶液の濃度(A)、温度20℃、水溶性共重合体の濃度45質量%、pH7における製造後の水溶性共重合体水溶液の粘度(B)、及び、水溶性共重合体組成中の単独重合性のある単量体成分の含有量(C)としては、上記関係式(1)を満たす限り、その範囲は特に限定されないが、例えば、Aは5以上、Bは10000以下、Cは1〜80であることが好ましい。すなわち、本発明の製造方法は、Aを5質量%以上、Bを10000mPa・s以下、Cを1〜80質量%とする実施形態が好適である。Aが5未満になると、Aを溶解させる水の量が多くなりすぎて、製造する水溶性共重合体濃度が低減してしまい、生産性低下を引き起こしてしまうおそれがある。Bが10000以上になると、上記関係式(1)を満たすためには、A及びCの値を低くせざるをえず、生産性低下や単量体成分の含有量が低減してしまうことで、セメント分散剤としての所望の機能を発現しなくなるおそれがある。Cは1未満又は80を超えると、セメント分散剤としての機能が発現されなくなるおそれがある。より好ましくは、Aは10以上、Bは5000以下、Cは2〜60であり、更に好ましくは、Aは20以上、Bは3000以下、Cは3〜40である。Aの上限値及びBの下限値は特に限定されないが、Aの上限値は80、Bの下限値は100であることが好適である。
【0011】
上記Aは、重合工程中に滴下する単独重合性のある単量体水溶液の濃度を表すものである。単独重合性のある単量体成分とは、その重合条件において単独で重合することができる単量体である。例えば、水溶性共重合体を構成する単量体成分が、イソプレノール50エチレンオキシド付加物(IPN−50)、アクリル酸ナトリウム(SA)及びヒドロキシエチルアクリレート(HEA)である場合、SA及びHEAが単独重合性のある単量体成分となり、IPN−50は、単独重合性のない単量体となる。具体的には、本発明では、単量体Mを単独でラジカル重合して重合体を調製するに際し、その重合条件において下記化学反応式の成長反応が進み、単量体Mの重合率を10%以上達成できる単量体を「単独重合性のある単量体」とし、単量体Mの重合率が10%未満である場合を「単独重合性のない単量体」と定義する。なお、下記式中、Iは、開始剤を、Mは、単量体を、nは、正の整数を、Aは、連鎖移動剤を表す。
(ラジカル生成反応)I−I→I・
(開始反応)I・+M→I−M・
(成長反応)I−M・+nM→→→I−(M)n・
(停止反応)2〔−(M)n・〕→2〔I−(M)n〕又はI−(M)n−(M)n−I
(連鎖移動反応)I−(M)n・+A→I−(M)n + A・
【0012】
上記単独重合性のある単量体は、上述のように、上記化学反応式で単量体Mの重合率を10%以上達成できる単量体である。上記単独重合性のある単量体は、ラジカル重合反応により連鎖的に反応が進行して高分子量体が生成し、停止反応や連鎖移動反応が起こるまで重合反応が進行し、分子量が成長する。また連鎖移動剤により、成長反応が停止し、新たなラジカルが発生して、成長反応が進むことになる。連鎖移動剤Aは分子畳を制御する化合物として一般的に用いられる。
【0013】
一方、上記式において、単量体が単独重合性のない単量体(Mb)である場合、成長反応がほとんど進行せず、ラジカル開始反応によりラジカルが生成しても、下記のように成長反応が進行しない。このように、単独重合性のない単量体とは、単量体Mの重合率が10%未満であり、成長反応がほとんど進行しない単量体であることを意味する。
(ラジカル生成反応)I−I→I・
(開始反応)I・+Mb→I−Mb・
(成長反応)I−Mb・+nMb→→→反応はほとんど進まない。
【0014】
上記単独重合性のない単量体は、重合工程が共重合であって、別の反応性の高い単量体(例えば、単独重合性のある単量体Ma)が存在する場合は、未端ラジカルが、別の反応性の高い単量体のラジカル(上記式においては、I−Ma・やI−(Ma)n・)となり、単独重合性のない単量体由来のラジカル(I−Mb・)ではなくなる。そのため、1モルの末端ラジカルは、1モルの単独重合性のない単量体を反応させることができることになり、I−MaMbやI−(Ma)nMbが得られることとなる。
【0015】
上記単独重合性のある単量体としては、上述のように単量体Mを単独でラジカル重合して重合体を調製するに際し、その重合条件において単量体の重合率が10%以上達成できる単量体をいう。すなわち、共重合において、単量体の組み合わせには依存せず、共重合する際の重合条件と同様の条件で、当該単量体を単独でラジカル重合した場合に、重合率が10%に達するか達しないかで定義されるものである。単独重合性のある単量体の具体例としては、一般的に、不飽和カルボン酸系単量体、(メタ)アクリル酸エステル類は、単独重合性に富むことから、単独重合性のある単量体となる場合が多い。このような不飽和カルボン酸系単量体、(メタ)アクリル酸エステル類としては、後述のものが好適であるが、不飽和カルボン酸系単量体としてはアクリル酸(塩)が、(メタ)アクリル酸エステル類としては、水溶性を有するアクリル酸エステル類が得に好ましい。このように、上記Aの単独重合性のある単量体として、アクリル酸(塩)を必須とする形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。Aの単独重合性のある単量体としてより好ましくは、アクリル酸(塩)とアクリル酸エステル類を必須とする形態であり、更に好ましくは、アクリル酸(塩)と水溶性を有するアクリル酸エステル類を必須とする形態である。なお、水溶性を有するアクリル酸エステル類としては、後述の中でも、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0016】
本発明の水溶性共重合体においては、単独重合性の低い単量体を必須とする形態が好ましい。このような単量体としては、一般的に単独重合性の低いものを用いることができ、例えば、後述するポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体が好適である。ポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体としては、後述のものであればいずれも好適に用いることができるが、中でも、不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物が特に好ましい。このように、水溶性共重合体を構成する単量体成分として、不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物を必須とする形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物としては、後述のものが好適であるが、イソプレノール、メタリルアルコール、ビニルエーテル、アリルアミン、アリルアルコールを用いたアルコールポリアルキレングリコール付加物が特に好ましい。
【0017】
上記水溶性共重合体を構成する単量体成分として、アクリル酸ナトリウム(SA)等のアクリル酸塩を用いる場合、アクリル酸(AA)の形態に換算して、Aを計算している。このように、単独重合性のある単量体成分として、不飽和カルボン酸系単量体の塩の形態を用いる場合には、当該単量体が酸の形態に換算してAを計算するものとする。
またアクリル酸(塩)等の不飽和カルボン酸系単量体を用いて本発明の水溶性共重合体を製造する場合、該重合体の重合工程においては、当該単量体は、該単量体成分の全部が酸の形態であっても、一部が塩の形態であっても、全部が塩の形態であってもよい。上記単量体成分の一部又は全部が酸の形態である場合は、重合後、必要に応じて水酸化ナトリウム等のアルカリで中和して好ましい形態とすることができる。この場合、中和後のカルボキシル基は、中和の程度に応じて全部又は一部が塩の形態となり、例えば、実施例においては、pH=7まで中和することにより、カルボキシル基の60〜95%がナトリウム塩の形態となる。
本発明においては、アクリル酸(AA)又はアクリル酸ナトリウム(SA)等を単量体成分の例示として用いる場合には、これらは必ずしも全てが酸の形態又は塩の形態であることを示すものではなく、一部に塩又は酸の形態を含んでいる場合も含めるものとする。
【0018】
本発明の水溶性共重合体の製造方法においては、上述したように種々の好ましい実施形態が挙げられるが、これらをまとめると、下記のような形態が挙げられることになる。
上記ポリカルボン酸系水溶性共重合体を構成する単量体成分は、単独重合性のある単量体とその他の単量体とを含み、単独重合性のある単量体が不飽和カルボン酸系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル類からなる群より選択される少なくとも1種の単量体を必須とし、その他の単量体がポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体を必須とする形態。
上記単独重合性のある単量体は、アクリル酸(塩)とアクリル酸エステル類とを必須とする形態。アクリル酸(塩)とは、上述したようにアクリル酸及び/又はその塩のことである。
上記ポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体は、不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物を必須とする形態。
これらの形態において、上述したような種々の好ましい態様を適宜組み合わせることによって、上記式(1)を満たすことが容易となり、本発明の作用効果が際立って発揮されることになる。
なお、本願明細書中において、単量体や化合物を「必須とする」とは、当該単量体や化合物を含んでいればよく、好ましくは、当該単量体や化合物を主体として構成されることを意味する。
【0019】
上記一般式(1)において、A値が大きいと、重合工程中に滴下する単独重合性のある単量体水溶液の濃度が高くなるため、水溶性共重合体の生産効率を向上させることができるが、大き過ぎると、系に滴下後単量体成分が拡散するまでに時間がかかり、拡散する前に過度に重合してしまうおそれがある。したがって、上記一般式(1)を満たす範囲で、最大のものとすることが好適である。
上記Aとしては、滴下する単独重合性のある単量体水溶液の濃度が上記一般式(1)を満たすようなものである。具体的には、滴下する単独重合性のある単量体水溶液が1種である場合、Aは、該単量体水溶液の濃度を示す。単独重合性のある単量体成分を2種以上滴下する場合、Aは、該単量体の各成分の濃度を合算した濃度を示し、該合算濃度が、上記一般式(1)を満たすものであればよい。単独重合性のある単量体成分の滴下方法としては、混合溶液として滴下(混合滴下)してもよく、別々に滴下してもよいが、混合滴下する方が好ましい。混合滴下は、別々に滴下する場合に比べて、溶解させるために用いる水がより少量でよいため、生産性が向上する。いずれの場合でも、上記Aは、それぞれの単量体水溶液を合算して算出した単量体成分濃度を示す。
【0020】
上記単量体成分の滴下方法としては、重合工程中に滴下する単独重合性のある単量体水溶液の濃度を経時的に変化させたり、複数回に分けて異なった濃度の単量体水溶液を滴下させたりしてもよい。このような場合においても、該単量体の各回の濃度を合算した濃度(A)が上記一般式(1)を満たせばよい。
なお、ゲル化物は、単独重合性のある単量体の重合が一気に進むことで生成する。ゲル化物は、単独重合性のある単量体が主成分であるので、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、アクリル酸(AA)及び/又はその塩等の単独重合性のある単量体を複数種用いる場合は、これらの濃度を合算した濃度に基づいて、関係式(1)が満たされることとなる。また、1種又は2種以上の単独重合性のある単量体を別々にフィードする場合も上述したように、合算した濃度をAとする。
【0021】
上記単独重合性のある単量体の滴下速度としては、通常は、該単量体水溶液を同じ速度で均一に滴下して行われるが、例えば、重合工程途中に1回あるいは複数回、滴下速度を変動させて行ってもよい。また、2種類以上の単独重合性のある単量体水溶液を滴下する場合、滴下時間(滴下の長さ)や滴下を開始する時間は同じでも異なっていてもよい。
上記単独重合性のある単量体の滴下位置としては、他の滴下成分(開始剤水溶液、添加剤水溶液、連鎖移動剤等)と接触しないように配置することが好ましい。より好ましくは、ゲル化防止の観点から、単量体水溶液と開始剤水溶液はできる限り距離を離して滴下することである。また、単独重合性のある単量体は、気中又は液中に添加してもよいが、気中にフィードする場合は、ゲル化物の生成を防止するために、攪拌翼や重合釜内部の壁面に滴下物が接触しないようにすることが望まれる。したがって、ゲル化物生成防止の観点から、重合液中に直接フィードする方が好ましい。また、単独重合性のある単量体水溶液の滴下位置として更に好ましくは、他の滴下成分と接触しないようにするために、他の滴下成分(例えば、開始剤)の滴下位置に対して、攪拌翼を介して反対側に位置させることである。また、それぞれ液中に直接滴下することが特に好ましい。
【0022】
上記Bは、温度20℃、水溶性共重合体の濃度45質量%、pH7における製造後の水溶性共重合体水溶液の粘度を表すものである。粘度が高い水溶性共重合体を得ようとすると、重合工程における水溶液の粘度をあげる必要があり、該水溶液の粘度をあげると、単量体成分が充分には拡散しなくなることから、ゲルが生じるおそれがある。
このような水溶性共重合体の粘度の測定方法は、下記のとおりである。
(1)製造した水溶性共重合体水溶液の固形分を測定する。
(固形分測定方法)
1.アルミ皿を精秤する。
2.1で精秤したアルミ皿に固形分測定物を精秤する。
3.窒素雰囲気下130℃に調温した乾燥機に2で精秤した固形分測定物を1時間入れる。
4.1時間後、乾燥機から取り出し、室温のデシケーター内で15分間放冷する。
5.15分後、デシケーターから取り出し、アルミ皿+測定物を精秤する。
6.5で得られた質量から1で得られたアルミ皿の質量を差し引き、2で得られた固定分の質量を除することで固形分を測定する。
【0023】
(2)測定した固形分値が45質量%よりも大きい場合は水を添加して、濃度45質量%に調整する。固形分値が45質量%よりも小さい場合はエバポレーターにより水を留去させて、固形分値が45質量%よりも大きい値になるようにしてから、再度固形分値を測定し、同様の操作を繰り返して、濃度45質量%に調整する。
(3)100mlのガラス製サンプル瓶に(2)で調整した溶液を100g入れて密閉する。
(4)20℃に調整された循環型恒温槽に(3)のサンプル瓶を液面付近まで浸かるように入れ、1時間開放置する。
(5)恒温槽に浸したまま、B型粘度計<株式会社東京計器製>を用いて、粘度を測定する。
【0024】
上記Cは、水溶性共重合体組成中の単独重合性のある単量体成分の含有量を表すものである。単独重合性のある単量体成分の含有量とは、水溶性共重合体を調製するに際し、重合に用いる全ての単量体の合計に対して、その重合条件において単独で重合することができる単量体の合計量の割合(質量%)である。例えば、水溶性共重合体を構成する単量体成分が、イソプレノール50エチレンオキシド付加物(IPN−50)、アクリル酸ナトリウム(SA)及びヒドロキシエチルアクリレート(HEA)である場合、SA及びHEAが単独重合性のある単量体成分となる。この場合、SAとHEAとが重合条件において単独で重合することができ、単独重合性のある単量体成分の含有量は、(SA+HEA)/(IPN−50+SA+HEA)×100(質量%)で得られる。また、IPN−50等のメタリル系やアリル系のポリエーテル系単量体は、単独重合性が乏しいことから、これらの含有量が高くても重合反応がすすみ、ゲルを生成することがなく、他の反応性に富んだ単量体成分(例えば、SAやHEA等)と共重合することとなる。一方、不飽和カルボン酸系単量体は、単独重合性に富むことから、これらの含有量が高いと重合反応がすすみ、ゲルを生成することとなる。これらの単独重合性のある量単量体成分が多く含有されると、反応性が高いことから、重合反応が過度にすすみ、超高分子量体となりゲルを生成することとなる。
なお、不飽和カルボン酸系単量体は、上述のように、酸及び/又は塩の形態で用いられるが、上記Cの計算においては、全てが塩の形態であるとして(すなわち、酸の形態のものが一部又は全部である場合には塩の形態に換算して)計算するものとする。
【0025】
上記重合工程において製造されるポリカルボン酸系共重合体としては、不飽和カルボン酸系単量体を必須とする単量体成分を重合してなる重合体が好適である。より好ましくは、不飽和カルボン酸系単量体とポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体とを必須とし、必要によりその他の単量体を含む単量体成分を重合してなるポリカルボン酸系共重合体である。なお、上記ポリカルボン酸系共重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリカルボン酸系共重合体を構成する単量体の好ましい形態の具体例としては、(1)アクリル酸(塩)を必須とする形態、(2)単独重合性の低い単量体を必須とする形態、(3)水溶性を有するアクリル酸エステル類(好ましくは、アクリル酸ヒドロキシエチル(ヒドロキシエチルアクリレート;HEA))を用いる形態が好適である。このような(1)〜(3)の形態としては、それぞれ別々に用いてもよく、2つ以上を同時に用いてもよいが、3つを同時に用いる形態がより好ましい。
【0026】
本発明の製造方法においては、上述したように、重合工程において生成するゲルの生成が抑えられることになるが、ゲルの量としては、重合工程で用いる単量体成分全量を100質量%とすると、好ましい範囲は5質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下である。これにより、本発明により製造されるポリカルボン酸系共重合体の品質がより向上することとなる。ゲルの質量は、重合後に、重合反応液をJIS Z8801標準ふるい(目の開きが1mm)で濾過したときふるい上に残ったゲルと、反応容器・撹拌翼・温度計等に付着したゲルとの含水状態での合計質量を測定することにより求めることができる。このように、上記製造方法の好ましい実施形態としては、重合工程で生成するゲルの量が、単量体成分全量を100質量%とすると5質量%以下である形態、より好ましくは、0.5質量%以下である形態が挙げられる。
【0027】
本発明におけるポリカルボン酸系共重合体としては、上述したようにポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸系単量体、及び、必要に応じてその他の単量体を含む単量体成分を用いることが好適である。
また本発明により製造されるポリカルボン酸系共重合体としては、上記モル比が5〜60/5〜95/0〜70であることが好ましい。より好ましくは、10〜60/10〜90/0〜60である。
更に、本発明の水溶性共重合体の製造方法において、上記単量体成分は、ポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル類のモル比が5〜60/5〜90/0〜70であることが好適である。より好ましくは、10〜60/10〜80/0〜60である。
なお、(メタ)アクリル酸エステル類については、これを用いることが好ましいが、必要により用いればよい。そのため、(メタ)アクリル酸エステル類のモル比が上記のように、好ましくは、0〜70、より好ましくは、0〜60と「0」を含んだものとなっている。(メタ)アクリル酸エステル類を必須とする好ましい形態においては、上記モル比を4〜60/5〜90/1〜70とすることが好適である。より好ましくは、10〜60/10〜80/1〜60である。
【0028】
上記ポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体としては、重合性不飽和基とポリアルキレングリコール鎖とを有するものであればよく、上述したように不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物が好ましいが、ポリアルキレングリコールエステル系単量体も好適に用いることができる。これらをまとめて一般式化すると、例えば、下記一般式(1)のようになる。本発明の水溶性共重合体の製造方法においては、上記ポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体が下記一般式(1)で表される化合物である形態もまた好ましい。なお、ポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体は、不飽和カルボン酸系単量体及びその他の単量体として好適な多分岐ポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体を含むものではないものとする。
【0029】
【化1】


【0030】
上記一般式(1)中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。Rは、同一又は異なって、炭素数2〜18のアルキレン基を表す。mは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数である。Xは、炭素数1〜5の2価のアルキレン基を表すか、又は、RC=CR−で表される基がビニル基の場合、Xに結合している炭素原子、酸素原子同士が直接結合していることを表す。また、Xは、−CO−結合であってもよい。なお、上記平均付加モル数とは、アルキレンオキシド付加物が有するオキシアルキレン基により形成される基1モル中において付加している当該オキシアルキレン基のモル数の平均値を意味する。
【0031】
上記一般式(1)で表される化合物としては、上記したように、例えば、不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコールエステル系単量体が挙げられる。
上記不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物としては、不飽和基を有するアルコールにポリアルキレングリコール鎖が付加した構造を有する化合物であればよく、また、上記ポリアルキレングリコールエステル系単量体としては、不飽和基とポリアルキレングリコール鎖とがエステル結合を介して結合された構造を有する単量体であればよく、不飽和カルボン酸ポリアルキレングリコールエステル系化合物が好適である。
【0032】
上記一般式(1)における−(RO)−で表されるオキシアルキレン基が同一のポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体に2種以上存在する場合には、−(RO)−で表されるオキシアルキレン基がランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。
【0033】
上記−(RO)−で表されるオキシアルキレン基は、炭素数2〜18のアルキレンオキシド付加物であるが、このようなアルキレンオキシド付加物の構造は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド等のアルキレンオキシドの1種又は2種以上により形成される構造である。このようなアルキレンオキシド付加物の中でも、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド付加物であることが好ましい。更にエチレンオキシドが主体であるものが更に好ましい。
【0034】
上記ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数であるmは、製造されるポリカルボン酸系共重合体においては、1〜300の数であることが好ましい。mが300を超えると、単量体の重合性が低下することになる。mの好ましい範囲としては、2以上であり、また、−(RO)m−の中で、オキシエチレン基の平均付加モル数としては、2以上であることが好ましい。mが2未満であったり、オキシエチレン基の平均付加モル数が2未満であったりすると、セメント粒子等を分散させるために充分な親水性、立体障害が得られないおそれがあるため、優れた流動性を得ることができないおそれがある。優れた流動性を得るには、mの範囲としては、3以上が好ましく、また、280以下が好ましい。より好ましくは、5以上、更に好ましくは、10以上、特に好ましくは、20以上である。また、より好ましくは、250以下、特に好ましくは、150以下である。また、オキシエチレン基の平均付加モル数としては、好ましくは、3以上が好ましく、また、280以下が好ましい。より好ましくは、10以上であり、更に好ましくは、20以上である。また、より好ましくは、250以下であり、更に好ましくは、200以下であり、特に好ましくは150以下である。なお、平均付加モル数とは、単量体1モル中において付加している当該有機基のモル数の平均値を意味する。粘性の低いコンクリートを得るためには、mの範囲としては3以上が好ましく、また、100以下が好ましい。より好ましくは4以上であり,また、50以下である。より好ましくは4以上であり、また、30以下である。特に好ましくは5以上であり、また、25以下である。
【0035】
上記ポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体としては、オキシアルキレン基の平均付加モル数mの異なる2種類以上の単量体を組み合わせて用いることができる。好適な組み合わせとして、例えば、mの差が10以下の組み合わせ(好ましくは5以下)、mの差が10以上(好ましくはmの差が20以上)の2種類のポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体の組み合わせ、あるいは各々の平均付加モル数mの差が10以上(好ましくはmの差が20以上)の3種類以上のポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体の組み合わせ等が挙げられる。更に、組み合わせるmの範囲としては、平均付加モル数mが40〜300の範囲のポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体と、1〜40の範囲のポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体との組み合わせ(但しmの差は10以上、好ましくは20以上)、平均付加モル数mが20〜300の範囲のポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体と、1〜20の範囲のポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体との組み合わせ(但しmの差は10以上、好ましくは20以上)等が可能である。
【0036】
また上記一般式(1)で表される化合物がポリアルキレングリコールエステル系単量体の場合には、−(RO)m−で表されるオキシアルキレン基としては、(メタ)アクリル酸系単量体(RC=CR−COOH)とのエステル結合部分にエチレンオキシド部分が付加していることが(メタ)アクリル酸系単量体とのエステル化の生産性の向上の点から好ましい。
【0037】
上記Rは、炭素数が20を超えると、セメント組成物が良好な分散性を得ることができなくなるおそれがある。Rの好ましい形態としては、分散性の点から、炭素数1〜20の炭化水素基又は水素である。より好ましくは、炭素数10以下、更に好ましくは、炭素数3以下、特に好ましくは、炭素数2以下の炭化水素基である。炭化水素基の中でも、飽和アルキル基、不飽和アルキル基が好ましい。これらのアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。また、優れた材料分離防止性能の発現や、セメント組成物中に連行される空気量を適度なものとするためには、炭素数5以上の炭化水素基とすることが好ましく、また、炭素数20以下の炭化水素基とすることが好ましい。より好ましくは、炭素数5〜10の炭化水素基である。炭化水素基の中でも、飽和アルキル基、不飽和アルキル基が好ましい。これらのアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0038】
上記不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物としては、例えば、ビニルアルコールアルキレンオキシド付加物、(メタ)アリルアルコールアルキレンオキシド付加物、3−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物、イソプレンアルコール(3−メチル−3−ブテン−1−オール)アルキレンオキシド付加物、3−メチル−2−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物、2−メチル−3−ブテン−2−オールアルキレンオキシド付加物、2−メチル−2−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物、2−メチル−3−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物が好適である。
【0039】
上記不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物としてはまた、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−プロペニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−2−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−メチル−3−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(1,1−ジメチル−2−プロペニル)エーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、エトキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、1−プロポキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、シクロヘキシルオキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、1−オクチルオキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ノニルアルコキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ラウリルアルコキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ステアリルアルコキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、フェノキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ナフトキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、メトキシポリエチレングリコールモノアリルエーテル、エトキシポリエチレングリコールモノアリルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールモノアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−プロペニル)エーテル、エトキシポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−プロペニル)エーテル、フェノキシポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−プロペニル)エーテルが好適である。
【0040】
上記(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ノニルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の炭素数1〜30の脂肪族アルコール類、シクロヘキサノール等の炭素数3〜30の脂環族アルコール類、(メタ)アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等の炭素数3〜30の不飽和アルコール類のいずれかに、炭素数2〜18のアルキレンオキシド基を1〜300モル付加したアルコキシポリアルキレングリコール類、特にエチレンオキシドが主体であるアルコキシポリアルキレングリコール類と、(メタ)アクリル酸とのエステル化物が好適である。
【0041】
上記エステル化物としては、以下に示す(アルコキシ)ポリエチレングリコール(ポリ)(炭素数2〜4のアルキレングリコール)(メタ)アクリル酸エステル類等が好適である。
メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、メトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、メトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、エトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、エトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロポキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、プロポキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、プロポキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート。
【0042】
ブトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ブトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ブトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ペントキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペントキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ペントキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ペントキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘキソキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキソキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘキソキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘキソキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート。
【0043】
ヘプトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘプトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘプトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘプトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、オクトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、オクトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ノナノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ノナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ノナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート。
【0044】
デカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、デカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、デカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、デカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ウンデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ウンデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ウンデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ウンデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ドデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ドデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ドデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ドデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート。
【0045】
トリデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、トリデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、トリデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、テトラデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、テトラデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、テトラデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ペンタデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ペンタデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ペンタデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート。
【0046】
ヘキサデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘキサデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘキサデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘプタデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘプタデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘプタデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ヘプタデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、オクタデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、オクタデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、オクタデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート。
【0047】
ノナデカノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノナデカナノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ノナデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、ノナデカノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、シクロペントキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロペントキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、シクロペントキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、シクロペントキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキソキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキソキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキソキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキソキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート。
【0048】
上記(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、上述した化合物の他にも、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、フェノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、フェノキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルオキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルオキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルオキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(ポリ)ブチレングリコール}モノ(メタ)アクリレートが好適である。
【0049】
上記ポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体としては、(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートの他にも、(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノマレイン酸エステル、(アルコキシ)ポリアルキレングリコールジマレイン酸エステルが好適である。このような単量体としては、以下のもの等が好適である。
【0050】
炭素数1〜22個のアルコールや炭素数1〜22のアミンに炭素数2〜4のオキシアルキレンを1〜300モル付加させたアルキルポリアルキレングリコールと不飽和ジカルボン酸系単量体とのハーフエステル、ジエステル;不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数2〜4のグリコールの平均付加モル数が2〜300のポリアルキレングリコールとのハーフエステル、ジエステル;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールジマレート、ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類。
【0051】
上記不飽和カルボン酸系単量体としては、重合性不飽和基とカルボアニオンを形成しうる基とを有する単量体であればよいが、不飽和モノカルボン酸系単量体や不飽和ジカルボン酸系単量体等が好適である。
上記不飽和モノカルボン酸系単量体としては、分子内に不飽和基とカルボアニオンを形成しうる基とを1つずつ有する単量体であればよく、好ましい形態としては、下記一般式(2)で表される化合物である。
【0052】
【化2】


【0053】
上記一般式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基(有機アンモニウム基)を表す。
上記一般式(2)のMにおける金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の1価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の2価の金属原子;アルミニウム、鉄等の3価の金属原子が好適である。また、有機アミン基としては、エタノールアミン基、ジエタノールアミン基、トリエタノールアミン基等のアルカノールアミン基や、トリエチルアミン基が好適である。更に、アンモニウム基であってもよい。このような不飽和モノカルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等;これらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩(有機アンモニウム塩)が好適である。これらの中でも、セメント分散性能の向上の面から、メタクリル酸;その1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩を用いることが好ましく、不飽和カルボン酸系単量体として好適である。
【0054】
上記不飽和ジカルボン酸系単量体としては、分子内に不飽和基を1つとカルボアニオンを形成しうる基を2つとを有する単量体であればよいが、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸等や、それらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩等、又は、それらの無水物が好適である。
上記不飽和ジカルボン酸系単量体としては、これらの他にも、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数1〜22個のアルコールとのハーフエステル、不飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜22のアミンとのハーフアミド、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数2〜4のグリコールとのハーフエステル、マレアミン酸と炭素数2〜4のグリコールとのハーフアミドが好適である。
【0055】
上記その他の単量体としては、以下のものが好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。スチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、メチルスチレン等のスチレン類;1,3−ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のジエン類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸エステル類;ヘキセン、ヘプテン、デセン等のα−オレフィン類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類。上記不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数1〜22個のアルコールとのジエステル、上記不飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜22のアミンとのジアミド、上記不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数2〜4のグリコールとのジエステル。
【0056】
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4−(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びに、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩。
【0057】
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;アリルアルコール等のアリル類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の不飽和アミノ化合物類;メトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等のビニルエーテル又はアリルエーテル類。
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物類。
【0058】
(1)ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加させた多分岐ポリマーにグリシジルメタクリレートを付加させたマクロマー、(2)ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加させた多分岐ポリマーの(メタ)アクリル酸エステルマクロマー、(3)ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加させた多分岐ポリマーのマレイン酸エステルマクロマー等の多分岐ポリオキシアルキレン基を有するエチレン系単量体。上記多分岐ポリマーとしては、ポリアミドポリアミン、多価アルコールにアルキレンオキシド付加させたものを用いてもよい。
【0059】
上記ポリアルキレンイミンとしては、上述したのと同様のものが好ましいが、ポリアルキレンイミン鎖としては、直鎖状の構造、分枝状の構造、三次元状に架橋された構造のいずれであってもよい。また、ポリアルキレンイミンの重量平均分子量としては、100〜100000が好ましく、より好ましくは、300〜50000、更に好ましくは、600〜10000である。
上記アルキレンオキシドとしては、上述したのと同様のものが好ましい。
【0060】
上記アルキレンオキシド付加物では、オキシアルキレン基の平均付加モル数としては、1以上、300以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.5以上であり、更に好ましくは、1以上、特に好ましくは、2以上、最も好ましくは、3以上である。また、より好ましくは、200以下であり、更に好ましくは、150以下、特に好ましくは、100以下、最も好ましくは、50以下である。上記アルキレンオキシド付加物におけるオキシアルキレン基の平均付加モル数がこのような範囲を外れると、製造しようとする重合体の疎水性を充分なものとすることができないおそれがある。
【0061】
本発明の製造方法において、製造されるポリカルボン酸系共重合体の重量平均分子量としては、50000以下が好ましく、5000〜30000がより好ましく、更に好ましくは7000〜20000である。
なお、重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」という)によるポリエチレングリコール換算の重量平均分子量であり、下記GPC測定条件により測定することが好ましい。
【0062】
(GPC分子量測定条件)
使用カラム:東ソー社製TSKguardColumn SWXL+TSKge1 G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶かし、更に酢酸でpH6.0に調整した溶離液溶液を用いる。
打込み量:0.5%溶離液溶液100μL
溶離液流速:0.8mL/min
カラム温度:40℃
標準物質:ポリエチレングリコール、ピークトップ分子量(Mp)272500、219300、85000、46000、24000、12600、4250、7100、1470
検量線次数:三次式
検出器:日本Waters社製 410 示差屈折検出器
解析ソフト:日本Waters社製 MILLENNIUM Ver.3.21
【0063】
本発明の製造方法において、重合工程における重合方法としては、単量体成分と重合開始剤とを用いて行うことが好ましい。
上記重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;アゾビス−2メチルプロピオンアミジン塩酸塩、アゾイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のパーオキシドが好適である。また、促進剤として、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、モール塩、ピロ重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、アスコルビン酸等の還元剤;エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、グリシン等のアミン化合物を併用することもできる。これらの重合開始剤や促進剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
上記重合方法においては、連鎖移動剤も必要に応じて使用することができる。このような連鎖移動剤としては、1種又は2種以上使用できるが、疎水性連鎖移動剤を用いることもできる。
【0065】
上記疎水性連鎖移動剤とは、炭素数3以上の炭化水素基をもつチオール化合物又は25℃の水に対する溶解度が10%以下の化合物が好適であり、上述した連鎖移動剤や、ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、チオグリコール酸オクチル、2−メルカプトプロピオン酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、オクタン酸2−メルカプトエチルエステル、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、デカントリチオール、ドデシルメルカプタン等のチオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、四臭化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン化物;α−メチルスチレンダイマー、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、ターピノーレン等の不飽和炭化水素化合物が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、炭素数3以上の炭化水素基を有するチオール系連鎖移動剤を含むことが好ましい。
【0066】
上記疎水性連鎖移動剤は、必要に応じて親水性連鎖移動剤1種又は2種と併用してもよい。このような親水性連鎖移動剤としては、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤;2−アミノプロパン−1−オール等の1級アルコール;イソプロパノール等の2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸及びその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)の低級酸化物及びその塩が好適である。
【0067】
上記連鎖移動剤の反応容器への添加方法としては、滴下、分割投入等の連続投入方法を適用することができる。また、連鎖移動剤を単独で反応容器へ導入してもよく、単量体成分を構成するオキシアルキレン基を有する不飽和単量体や、溶媒等とあらかじめ混同しておいてもよい。
また上記重合方法は、回分式でも連続式でも行うことができる。
【0068】
上記重合方法において、重合温度等の重合条件としては、用いられる重合方法、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤により適宜定められるが、重合温度としては、通常0℃以上であることが好ましく、また、150℃以下であることが好ましい。より好ましくは、40℃以上であり、更に好ましくは、50℃以上であり、特に好ましくは、60℃以上である。また、より好ましくは、120℃以下であり、更に好ましくは、100℃以下であり、特に好ましくは、85℃以下である。
【0069】
上記重合工程においては、反応釜における単量体成分のモル比を反応途中において少なくとも1回は変化させることが好ましい。この場合には、ポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体と、不飽和カルボン酸系単量体及び/又はその他の単量体とのモル比を反応途中において少なくとも1回は変化させることが好ましい。すなわち反応途中において、ポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体と不飽和カルボン酸系単量体とのモル比を変化させたり、ポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体とその他の単量体(ポリオキシアルキレン基を有する単量体及び不飽和カルボン酸系単量体以外の単量体)とのモル比を変化させたりすることが好ましい。このように重合中に単量体成分のモル比を変化させることにより2種類以上の共重合体の混合物が形成されるようにすると、該共重合体の混合物を用いたコンクリート混和剤がそれぞれの共重合体の各種の特性を持ち合わせたものとなり、作業効率等を改善することができるコンクリート混和剤を製造することができることとなる。
【0070】
上記重合工程においてはまた、上述したように反応釜における単量体成分のモル比を反応途中において少なくとも1回は変化させることが好ましく、モル比を変化させる方法としては、例えば、モル比を増加させたり、減少させたり、増加と減少とを組み合わせたりすることが挙げられ、また、これらの変化の度合いを更に変化させることもできる。また、モル比の変化は、段階的であってもよく、連続的であってもよい。このようにモル比を重合中に変化させる方法としては、例えば、ポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体(以下、単量体(A)ともいう。)、不飽和カルボン酸系単量体(以下、単量体(B)ともいう。)、及び、その他の単量体(以下、単量体(C)ともいう。)のいずれか又は全部を重合容器に滴下し、滴下する単量体の滴下速度を段階的に又は連続的に変化させることにより行うことができる。
【0071】
上記モル比を変化させる方法においては、上記単量体成分を用いた重合の初期から重合を終えるまでの重合中のある時点における重合容器中において、単量体(A)、単量体(B)及び単量体(C)の重合の初期からその時点までに仕込まれたモル数をそれぞれA、B及びCとし、また、単量体(C)として好適な(メタ)アクリル酸エステル系単量体、多分岐ポリオキシアルキレン基を有するエチレン系単量体の重合の初期からその時点までに仕込まれたモル数をそれぞれC1、C2とすると、モル比A/B、A/C1、A/C2の少なくとも1つを重合中に少なくとも1回は変化させることになる。なお、この場合、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び多分岐ポリオキシアルキレン基を有するエチレン系単量体の両方を単量体(C)とするときには、モル比C1/C2は重合中に変化させてもよく、変化させなくてもよい。また、モル比B/Cは重合中に変化させてもよく、変化させなくてもよい。
【0072】
本発明の製造方法においては、単量体(C)を滴下することにより重合を行い、該単量体(C)の滴下速度を変化させることが好ましい。これにより、モル比A/Cを重合中に少なくとも1回は変化させることができることとなる。
なお、上記モル比A/Cを重合中に少なくとも1回変化させる形態においては、例えば、単量体(A)及び単量体(B)による重合と、単量体(A)、単量体(B)及び単量体(C)による重合とを行うことにより、モル比を重合中に変化させてもよい。この場合には、単量体(A)及び単量体(B)による共重合体が生成する重合期間と、単量体(A)、単量体(B)及び単量体(C)による共重合体が生成する重合期間とが存在することになる。単量体(C)を滴下する場合には、例えば、単量体(A)及び単量体(B)による重合を行った後に、単量体(C)を滴下することによって単量体(A)、単量体(B)及び単量体(C)による重合を行うことにより、モル比A/Cを重合中に少なくとも1回変化させることができることとなる。
【0073】
上記共重合体を形成する単量体成分における各単量体の比率としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(C1)は、上記単量体(B)の使用量を100モル%とすると、C1の範囲として0.1〜200モル%が好ましく、5〜150モル%がより好ましく、更に好ましくは10〜120モル%である。
【0074】
また多分岐ポリオキシアルキレン基を有するエチレン系単量体(C2)は、上記単量体(B)の使用量を100モル%とすると、0.01モル%以上であり、また、10モル%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.05モル%以上であり、また、5モル%以下である。更に好ましくは、0.1モル%以上であり、また、3モル%以下である。
更に単量体(A)/単量体(B)のモル比A/Bは、0.1以上であり、また、2以下であることが好ましい。より好ましくは、0.3以上であり、また、1.2以下である。
【0075】
上記モル比を変化させる方法においては、各単量体単位のモル比A/B/Cが異なる共重合体を少なくとも2種含むことになるが、該共重合体を用いたコンクリート混和剤がそれぞれの共重合体の各種の特性を持ち合わせ、本発明の作用効果を充分に発揮するという点から、上記モル比A/B/Cが異なる共重合体3種以上を含む共重合体混合物を必須とすることが好ましい。すなわち重合中に単量体成分のモル比を変化させることにより3種類以上の共重合体の混合物が形成されるようにすることが好ましい。
【0076】
また単量体(A)、単量体(B)及び単量体(C)の3種以上の単量体を含む単量体成分を重合してなる共重合体、並びに、単量体(A)及び単量体(B)の2種の単量体を含む単量体成分を重合してなる共重合体のうち少なくとも3種の共重合体を含む共重合体混合物を必須とするものであることが好ましい。すなわちモル比A/B/Cが異なる共重合体3種以上を含む共重合体混合物、又は、モル比A/B/Cが異なる共重合体2種以上を含み、かつ単量体(A)及び単量体(B)の2種の単量体による共重合体1種以上を含む共重合体混合物を必須とすることが好ましい。
【0077】
本発明はまた、上記水溶性共重合体の製造方法によって製造されるポリカルボン酸系水溶性共重合体でもある。このようなポリカルボン酸系水溶性共重合体は、種々の化学製品に用いることができ、様々な用途に好適に適用することができるが、特にセメント混和剤として用いることが好適である。
すなわち、本発明は更に、上記ポリカルボン酸系水溶性共重合体を含むセメント混和剤でもある。
本発明のセメント混和剤は、上記ポリカルボン酸系水溶性共重合体を含むことにより、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物に対して、スランプ保持性、流動性等の特性を付与することができる。このような効果は、ポリカルボン酸系水溶性共重合体の製造においてゲル化物の生成が抑えられ、優れた品質の製品が得られていることに起因するものである。また本発明の水溶性共重合体の製造方法が生産性に優れることから、これに起因する効果もある。
【0078】
上記セメント混和剤中におけるポリカルボン酸系水溶性共重合体の配合量は、所望の分散性能に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、固形分換算で、セメント混和剤の全質量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80%以上である。
上記セメント混和剤は、セメント混和剤として各種の性能が発揮されることになるように、必要に応じて、消泡剤等の添加剤や他の重合体、化合物等を適宜添加することができる。また上記セメント混和剤は、水溶液の形態で使用してもよいし、又は、反応後にカルシウム、マグネシウムなどの二価金属の水酸化物で中和して多価金属塩とした後に乾燥させたり、シリカ系微粉末などの無機粉体に担持して乾燥させたり、ドラム型乾燥装置、ディスク型乾燥装置又はベルト式乾燥装置を用いて支持体上に薄膜状に乾燥固化させた後に粉砕したり、スプレードライヤーによって乾燥固化させたりすることにより粉体化して使用してもよい。また、粉体化した本発明のセメント混和剤を予めセメント粉末やドライモルタルのような水を含まないセメント組成物に配合して、左官、床仕上げ、グラウトなどに用いるプレミックス製品として使用してもよいし、セメント組成物の混練時に配合してもよい。
【0079】
上記セメント混和剤は、各種水硬性材料、すなわち、セメントや石膏などのセメント組成物やそれ以外の水硬性材料に用いることができる。このような水硬性材料と水と本発明のセメント混和剤とを含有し、更に必要に応じて、細骨材(砂など)や粗骨材(砕石など)を含む水硬性組成物の具体例としては、例えば、セメントペースト、モルタル、コンクリート、プラスターなどが挙げられる。
上記水硬性組成物の中では、水硬性材料としてセメントを使用するセメント組成物が最も一般的であり、セメント組成物は、本発明のセメント混和剤、セメント及び水を必須成分として含有する。このようなセメント組成物は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0080】
上記セメント組成物に使用されるセメントは、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩、及びそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の1種以上を原料として製造されたセメント)などが挙げられる。さらに、セメント組成物には、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末などの微粉体や石膏などを添加してもよい。また、骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材など以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質などの耐火骨材を使用することができる。
【0081】
上記セメント組成物においては、その1mあたりの単位水量、セメント使用量及び水/セメント比(質量比)は、単位水量が好ましくは100kg/m以上、185kg/m以下、より好ましくは120kg/m以上、175kg/m以下であり、使用セメント量が好ましくは200kg/m以上、800kg/m以下、より好ましくは250kg/m以上、800kg/m以下であり、水/セメント比(質量比)が好ましくは0.1以上、0.7以下、より好ましくは0.2以上、0.65以下であり、貧配合から富配合まで幅広く使用可能である。上記セメント混和剤は、高減水率領域、すなわち、水/セメント比(質量比)が0.15以上、0.5以下(好ましくは0.15以上、0.4以下)といった水/セメント比の低い領域においても使用可能であり、さらに、単位セメント量が多く水/セメント比が小さい高強度コンクリートや、単位セメント量が300kg/m以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。
【0082】
上記セメント組成物において、上記セメント混和剤の配合量は、例えば、水硬性セメントを用いるモルタルやコンクリートなどに使用する場合には、固形分換算で、セメントの質量に対して、好ましくは0.01質量%以上、10.0質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上、5.0質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上、3.0質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以上、2.0質量%以下である。このような配合量により、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上などの各種の好ましい諸効果がもたらされる。上記セメント混和剤の配合量が0.01質量%未満であると、分散性能を充分に発揮することができないことがある。逆に、上記セメント混和剤の配合量が10.0質量%を超えると、分散性を向上させる効果が実質的に飽和することに加え、必要以上にセメント混和剤を使用することになり、製造コストが上昇することがある。
【0083】
上記セメント組成物は、高減水率領域においても高い分散性と分散保持性能を有し、かつ、低温時においても充分な初期分散性と粘性低減性とを発揮し、優れたワーカビリティを有することから、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品(プレキャストコンクリート)用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等に有効であり、さらに、中流動コンクリート(スランプ値が22cm以上、25cm以下のコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50cm以上、70cm以下のコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材などの高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効である。
【0084】
上記セメント混和剤は、各種のセメント組成物等に好適に適用することができるうえに、上記セメント混和剤を用いることにより、セメント組成物の減水性が向上してその硬化物の強度や耐久性が優れたものとなる。しかもセメント組成物を取り扱う現場において作業しやすくなるような粘性及びスランプ保持性を発揮できることから、土木・建築構造物等を構築における作業効率等が改善されることとなる。
【発明の効果】
【0085】
本発明のポリカルボン酸系水溶性共重合体の製造方法は、上述の構成よりなり、添加剤を含有することなく重合中にゲルが生成することを抑制して簡便に製造することができ、セメント混和剤、コンクリート混和剤等の種々の用途に好適に用いることができるポリカルボン酸系水溶性共重合体の製造方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0086】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0087】
本発明の水溶性共重合体の製造方法においては、上記式(1)を満たすものであればA〜Cはいずれの値もとりうるが、同じ重合体でも単量体水溶液の濃度Aが変われば製造方法は変わることとなることから、濃度Aを30%としたときの製造例1〜5を以下に示した。
<製造例1>重合体Iの製造方法
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入菅、及び、冷却菅を備えた反応器に、水462g、IPN−50(イソプレノールのエチレンオキサイド50mol付加物)1595gを仕込み、攪拌しながら温度を60℃に調整した。アクリル酸47.6gとアクリル酸2−ヒドロキシエチル115.2g及び水380gを混合した30%水溶液を3時間、並びに、2−メルカプトエタノール0.64g及び水199.4gを混合した溶液と、過硫酸ナトリウム11.2gと水188.8gを混合した水溶液をそれぞれ3.5時間かけて滴下した。その後、60℃に保ったままで1時間攪拌し、重合反応を完結させた。冷却後、水酸化ナトリウム水溶液を加え、PH7に調整し、重合体Iを46質量%含有する重合体Iの水溶液を得た。ゲル化物の生成は認められなかった。また、20℃における粘度は1000〔m・Ps〕であった。
【0088】
<製造例2>重合体IIの製造方法
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入菅、及び、冷却菅を備えた反応器に、水692g、IPN−50(イソプレノールのエチレンオキサイド50mo1付加物)1495gを仕込み、攪拌しながら温度を60℃に調整した。次いで、30%過酸化水素水5.0gを投入後、アクリル酸44.5gとアクリル酸2−ヒドロキシエチル108g及び水355.8gを混合した30%水溶液を3時間、並びに、L−アスコルビン酸1.94gとβ−メルカプトプロピオン酸0.82g及び水297.2gを混合した溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、60℃に保ったままで1時間攪拌し、重合反応を完結させた。冷却後、水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH7に調整し、重合体IIを45質量%含有する重合体IIの水溶液を得た。ゲル化物の生成はほとんど認められなかった。また、20℃における粘度は700〔m・Ps〕であった。
【0089】
<製造例3>重合体IIIの製造方法
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入菅、及び、冷却菅を備えた反応器に、水281g、IPN−50(イソプレノールのエチレンオキサイド50mo1付加物)956gを仕込み、攪拌しながら温度を60℃に調整した。次いで、30%過酸化水素水5.3gを投入後、アクリル酸66.6gとアクリル酸2−ヒドロキシエチル115.9g及び水425.1gを混合した30%水溶液を3時間、並びに、L−アスコルビン酸2.06gとβ−メルカプトプロピオン酸11.18g及び水136.8gを混合した溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、60℃に保ったままで1時間攪拌し、重合反応を完結させた。冷却後、水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH7に調整し、重合体IIIを45質量%含有する重合体IIIの水溶液を得た。ゲル化物の生成はほとんど認められなかった。また、20℃における粘度は300〔m・Ps〕であった。
【0090】
<製造例4>重合体IVの製造方法
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入菅、及び、冷却菅を備えた反応器に、水459g、IPN−50(イソプレノールのエチレンオキサイド50mo1付加物)956gを仕込み、攪拌しながら温度を60℃に調整した。次いで、30%過酸化水素水5.0gを投入後、アクリル酸129.27gと水300.5gを混合した30%水溶液を3時間、並びに、L−アスコルビン酸1.95gとβ−メルカプトプロピオン酸6.34g及び水141.7gを混合した溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、60℃に保ったままで1時間攪拌し、重合反応を完結させた。冷却後、水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH7に調整し、重合体IVを45質量%含有する重合体IVの水溶液を得た。ゲル化物の生成はほとんど認められなかった。また、20℃における粘度は700〔m・Ps〕であった。
【0091】
<製造例5>重合体Vの製造方法
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入菅、及び、冷却菅を備えた反応器に、水654g、IPN−50(イソプレノールのエチレンオキサイド50mo1付加物)989gを仕込み、攪拌しながら温度を60℃に調整した。次いで、30%過酸化水素水2.9gを投入後、アクリル酸61.4gと水143.2gを混合した30%水溶液を3時間、並びに、L−アスコルビン酸1.13gとβ−メルカプトプロピオン酸2.73g及び水146.1gを混合した溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、60℃に保ったままで1時間攪拌し、重合反応を完結させた。冷却後、水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH7に調整し、重合体Vを45質量%含有する重合体Vの水溶液を得た。ゲル化物の生成はほとんど認められなかった。また、20℃における粘度は300〔m・Ps〕であった。
【0092】
【表1】


【0093】
表1は、単量体水溶液の濃度Aを30質量%として水溶性共重合体を製造する場合のそれぞれの単量体組成の質量%を示す。表中の略号は、以下のとおりである。
IPN−50:イソプレノール50EO付加物
SA:アクリル酸ナトリウム
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
【0094】
実施例1及び比較例1
重合体I〜Vについて、重合工程中に滴下する単独重合性のある単量体水溶液の濃度(A)と、製造後の水溶性共重合体水溶液の粘度(B)と、水溶性共重合体組成中の単独重合性のある単量体成分の含有量(C)との積の1/10000を表2に示した。なお、製造後の水溶性共重合体水溶液の粘度(B)の測定方法は、上述のとおりである。
【0095】
【表2】


【0096】
重合体I〜Vについて、ゲル物の生成度合いを下記方法により評価し、表3に示した。
<ゲル化率測定方法>
上記製造例1〜5で得られた共重合体水溶液を100メッシュの金網でろ過し、ゲル化物(1)を回収し、計量した。また攪拌翼、攪拌棒、温度計、釜の壁面に付着したゲル化物(2)を回収し、計量した。以下の計算式に従い、ゲル化率を算出した。
(〔ゲル化物(1)の質量(g)〕+〔ゲル化物(2)の質量(g)〕)/〔重合体を構成する単量体の合計質量〕×100
例えば、製造例3では単量体としてIPN−50を956g、アクリル酸66.7g、アクリル酸2−ヒドロキシエチル115.9gの3成分の単量体を用いており、これらの合計量は1138.6gとなる。ゲル化物の総量、すなわちゲル化物(1)とゲル化物(2)の合計量が3gとしたときのゲル化率は0.26%となる。
【0097】
【表3】


【0098】
表3について、以下に説明する。
×:ゲル生成率 5%以上
△:ゲル生成率 0.5以上5%未満
○:ゲル生成率 0.5%未満
【0099】
上述した実施例及び比較例から、本発明の数値範囲の臨界的意義については、次のようにいえることがわかった。すなわち、重合工程中に滴下する単独重合性のある単量体水溶液の濃度(A)と、製造後の水溶性共重合体水溶液の粘度(B)と、水溶性共重合体組成中の単独重合性のある単量体成分の含有量(C)との積の1/10000が40未満であることにより、有利な効果を発揮し、ゲルの生成が顕著に抑えられることがわかった。
【0100】
具体的には、表2において、重合体IIの単独重合性のある単量体水溶液の濃度が50質量%である場合、上記A×B×C/10000は、35であり(表2)、そのとき、ゲルは少しの生成に抑えられ、ゲル化率は、0.5%以上5%未満であった(表3)。一方、重合体IIの単独重合性のある単量体水溶液の濃度が70質量%である場合、上記A×B×C/10000は、49であり(表2)そのとき、ゲルはかなり生成し、ゲル化率は、5%以上であった(表3)。他の重合体についても同様に、A×B×C/10000が40未満であると充分にゲルの生成を抑制することができ、ゲル化率は5%未満であるが、40以上であるとゲルをかなり生成し、ゲル化率は5%以上となることから、ゲル化防止剤等を含有せず、コンクリート混和剤等の様々な幅広い用途に好適に適用するためには、A×B×C/10000が40未満であることが必要である。このような効果、つまりゲル化防止剤を使用することなくゲル生成量を充分に低減することが可能であるという効果は、ゲル化防止剤が混入することなく、高品質のポリカルボン酸系水溶性共重合体を製造することができるという点で際立ったものである。
【0101】
なお、上述した実施例及び比較例では、重合体を構成する単量体として、IPN−50、SA(及びHEA)を重合してポリカルボン酸系共重合体を製造しているが、単独重合性のある単量体成分を含む限り、当該単独重合性のある単量体成分に起因するゲル化、重合工程において滴下される単量体成分が拡散する前に過度に重合してしまうことに起因するゲル化、粘度が高いポリカルボン酸系水溶性共重合体を得るために重合中の単量体成分の粘度を高くすることに起因するゲル化が生じる危険性がある。これらを考え合わせれば、重合中にゲルを生じるといった問題を生じさせる機構は上記単量体以外の場合でも同様である。したがって、A×B×C/10000を40未満とすることに臨界的意義があり、この範囲であれば、本発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。少なくとも、アクリル酸(塩)系単量体を必須とする単量体成分を重合して、特に不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物、不飽和カルボン酸(及び(メタ)アクリレート化合物類)を重合してポリカルボン酸系水溶性共重合体を調製する場合においては、重合体を構成する単量体の組成に関わらず、上述した実施例及び比較例で充分に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。
【出願人】 【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】 【識別番号】100086586
【弁理士】
【氏名又は名称】安富 康男

【識別番号】100112025
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 敬憲


【公開番号】 特開2008−13626(P2008−13626A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184658(P2006−184658)