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【発明の名称】 脂肪酸変性樹脂水分散体及び製造方法
【発明者】 【氏名】北村 貴志

【氏名】原川 浩美

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂(a1)、脂肪酸(a2)、環状酸無水物(a3)及び重合性不飽和モノマー(b)を構成単位として含む脂肪酸変性樹脂が水性媒体中に分散されてなる脂肪酸変性樹脂水分散体。
【請求項2】
重合性不飽和モノマー(b)が、その成分の一部として脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを含む請求項1に記載の脂肪酸変性樹脂水分散体。
【請求項3】
塩基性物質(a4)を構成単位としてさらに含む請求項1または2に記載の脂肪酸変性樹脂水分散体。
【請求項4】
エポキシ樹脂(a)と、脂肪酸(a2)と、環状酸無水物(a3)とを反応させることにより得られる酸基を有する脂肪酸変性エポキシ樹脂(A)及び重合性不飽和モノマー(b)を含んでなる混合物(I)を、水性媒体中に分散させ、得られる乳化物を重合させることを特徴とする脂肪酸変性樹脂水分散体の製造方法。
【請求項5】
酸基を有する脂肪酸変性エポキシ樹脂(A)を塩基性物質(a4)により中和することを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の脂肪酸変性樹脂水分散体を含んでなる水性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の水性樹脂組成物を含んでなる水性塗料組成物。
【請求項8】
被塗面に、請求項7に記載の水性塗料組成物を塗装することを特徴とする塗膜形成方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、基材との付着性や耐水性に優れた塗膜を形成することが可能な脂肪酸変性樹脂水分散体及び該水分散体の製造方法、ならびに該脂肪酸変性樹脂水分散体を含んでなる水性樹脂組成物及び該水性樹脂組成物を含んでなる水性塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、付着性、防食性に優れた塗膜を形成しうるために、塗料分野において防錆材料として広く使用されており、近年の環境に対する配慮から、エポキシ樹脂系塗料の水性化が求められている。エポキシ樹脂の水性化方法としては、樹脂骨格にカルボキシル基もしくはアミノ基を導入し、中和剤により中和して水分散をする自己乳化方法、エポキシ樹脂を乳化剤の存在下で分散する強制乳化方法等を挙げることができる。しかしながら、これらの方法により得られる水性樹脂分散体は、水中における分散粒子の安定性が不十分であったり、該水性樹脂分散体を用いて形成される塗膜の耐水性が不十分であるなどの問題点がある。
【0003】
かかる問題を克服する方法として、例えば、エポキシ樹脂及び重合性不飽和モノマーを含んでなる混合物を水性媒体中で特定の平均粒子径に分散し、それを重合することからなるエポキシ樹脂/アクリル樹脂複合型の水性樹脂分散体の製造方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、該方法により製造される水性樹脂分散体は、エポキシ樹脂とアクリル樹脂の相溶性不良から貯蔵安定性が不十分である、形成塗膜の仕上がり外観や、乾燥性、防食性が不十分であるなどの欠点がある。
【0004】
上記した問題に対して本出願人は特許文献2において、エポキシ樹脂を脂肪酸と反応させることにより得られる脂肪酸変性エポキシ樹脂及び重合性不飽和モノマーを含んでなる混合物を、水性媒体中に特定範囲の平均粒子径となるように微分散させ、得られる乳化物を重合させることにより得られる水性脂肪酸変性エポキシ樹脂分散体について提案した。
【0005】
かかる分散体によれば、安定に製造でき、乾燥性に優れた塗膜を形成できるものであるが、混合物を分散する際に使用される乳化剤を原因として耐水性、防食性などに不十分な点があった。
【0006】
また、本出願人は特許文献3において、特定の水性脂肪酸変性アクリル樹脂と水性脂肪酸変性エポキシ樹脂を含む水性樹脂組成物について提案した。しかしながらかかる水性樹脂組成物は水性脂肪酸変性エポキシ樹脂の製造に由来する有機溶剤が含まれる場合があるなどの問題点を有している。
【0007】
【特許文献1】特開平11−12334号公報
【特許文献2】特開2005−336237号公報
【特許文献3】特開2006−37027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、耐水性、防食性などに優れた塗膜を形成するのに適する脂肪酸変性樹脂水分散体並びに有機溶剤や乳化剤を多量に使用することなく、脂肪酸変性樹脂水分散体を安定に製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の如き欠点を解決すべく鋭意研究した結果、今回、脂肪酸変性樹脂を、エポキシ樹脂、脂肪酸、環状酸無水物及び重合性不飽和モノマーを構成単位として含ませることによって、上記の目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、
1. エポキシ樹脂(a1)、脂肪酸(a2)、環状酸無水物(a3)及び重合性不飽和モノマー(b)を構成単位として含む脂肪酸変性樹脂が水性媒体中に分散されてなる脂肪酸変性樹脂水分散体、
2. 重合性不飽和モノマー(b)が、その成分の一部として脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを含む1項に記載の脂肪酸変性樹脂水分散体、
3. 塩基性物質(a4)を構成単位としてさらに含む1項または2項に記載の脂肪酸変性樹脂水分散体、
4. エポキシ樹脂(a)と、脂肪酸(a2)と、環状酸無水物(a3)とを反応させることにより得られる酸基を有する脂肪酸変性エポキシ樹脂(A)及び重合性不飽和モノマー(b)を含んでなる混合物(I)を、水性媒体中に分散させ、得られる乳化物を重合させることを特徴とする脂肪酸変性樹脂水分散体の製造方法、
5. 酸基を有する脂肪酸変性エポキシ樹脂(A)を塩基性物質(a4)により中和することを特徴とする4項に記載の製造方法、
6. 1項ないし3項のいずれか1項に記載の脂肪酸変性樹脂水分散体を含んでなる水性樹脂組成物、
7. 6項に記載の水性樹脂組成物を含んでなる水性塗料組成物、
8. 被塗面に、7項に記載の水性塗料組成物を塗装することを特徴とする塗膜形成方法、に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の脂肪酸変性樹脂水分散体によれば、基材との馴染みがよく、付着性にも優れ、防食性や耐水性に優れた塗膜を形成することができる。また、本発明の製造方法によれば、エポキシ樹脂、脂肪酸及び環状酸無水物を反応させることにより得られる脂肪酸変性エポキシ樹脂が、酸基を有していることにより、重合性不飽和モノマーに対する分散剤として作用することができ、乳化剤や有機溶剤を多量に使用せずとも安定に脂肪酸変性樹脂水分散体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
【0013】
エポキシ樹脂(a1)
本発明においてエポキシ樹脂(a1)は、1分子中にエポキシ基を少なくとも1個有する樹脂であり、具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA/F型エポキシ樹脂、ノボラック型フェノール樹脂などのポリフェノール類と、エピクロルヒドリンなどのエピハロヒドリンとを反応させてグリシジル基を導入してなるか又はこのグリシジル基導入反応生成物にさらにポリフェノール類を反応させて分子量を増大させてなる芳香族エポキシ樹脂;脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂;エポキシ基含有重合性不飽和モノマーとその他の重合性不飽和モノマーとを共重合させてなるエポキシ基含有アクリル系共重合体;エポキシ基を有するポリブタジエン樹脂;エポキシ基を有するポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0014】
上記エポキシ樹脂(a1)は、目的に応じて、それぞれ単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。特に好適なエポキシ樹脂(a1)としては、芳香族エポキシ樹脂を挙げることができる。
【0015】
上記エポキシ樹脂(a1)は、一般に300〜6000、特に500〜2000の範囲内の重量平均分子量及び一般に150〜5000、特に160〜2200の範囲内のエポキシ当量を有することが好ましい。
【0016】
本明細書において重量平均分子量は、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィにより測定した重量平均分子量をポリスチレンの重量平均分子量を基準にして換算した値である。
【0017】
脂肪酸(a2)
上記脂肪酸(a2)としては、炭化水素鎖の末端にカルボキシル基が結合した構造を有しているものが包含され、例えば、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸、不乾性油脂肪酸を挙げることができる。乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸は、厳密に区別できるものではないが、通常、乾性油脂肪酸はヨウ素化が130以上の不飽和脂肪酸であり、半乾性油脂肪酸はヨウ素化が100以上かつ130未満の不飽和脂肪酸である。他方、不乾性油脂肪酸は、通常、ヨウ素価が100未満である脂肪酸である。
【0018】
乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸としては、例えば、魚油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ケシ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸、ハイジエン酸脂肪酸等が挙げられ、また、不乾性油脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、水添ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等が挙げられる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。さらに、これらの脂肪酸は、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等と併用することができる。
【0019】
本発明において、上記脂肪酸(a2)としては、最終的に得られる塗膜の乾燥性などの観点から、乾性油脂肪酸及び/又は半乾性油脂肪酸を使用することが望ましい。
【0020】
環状酸無水物(a3)
本発明において環状酸無水物(a3)は、分子中に1個以上のカルボン酸環状無水基を有する化合物であって、例えば、無水フタル酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水ヘツト酸、無水ハイミツク酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリツト酸などがあげられ、これらはそれぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0021】
重合性不飽和モノマー(b)
本発明において使用される重合性不飽和モノマー(b)は、1分子中に少なくとも1個、好ましくは1個の重合性不飽和基、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などを有する化合物が包含され、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−トなどのC1〜C20アルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレートなどのイソボルニル基を有する重合性不飽和化合物;アダマンチル(メタ)アクリレートなどのアダマンチル基を有する重合性不飽和化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する重合性不飽和化合物;ポリジメチルシロキサンマクロモノマー等のシリコンオリゴマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレートなどのパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィンなどのフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和化合物;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和化合物;1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、2,2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート等;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニルなどのビニル化合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレートなどのカルボキシル基を有する化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基を有する重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物などの含窒素重合性不飽和化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコ−ル、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体などの水酸基を有する(メタ)アクリレート;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する重合性不飽和化合物;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩などのスルホン酸基を有する重合性不飽和化合物;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノンなどのヒドロキシベンゾフェノン類とグリシジル(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、或いは2−(2´−ヒドロキシ−5´−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和化合物;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどの紫外線安定性重合性不飽和化合物;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)などのカルボニル基を有する重合性不飽和化合物;アリル(メタ)アクリレ−ト、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,3−ブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブタンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、グリセロ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト、ジアリルテレフタレ−ト、ジビニルベンゼンなどの1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物等が挙げられ、これらは得られる脂肪酸変性樹脂水分散体に望まれる性能などに応じてそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0022】
本発明において上記重合性不飽和モノマー(b)は、その成分の一部として脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを含むことが望ましい。該モノマーは、上記した如き脂肪酸(a2)とエポキシ基を有する重合性不飽和モノマーとを反応させることにより容易に製造することができる。
【0023】
かかるエポキシ基を有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0024】
また、上記脂肪酸変性重合性不飽和モノマーは、脂肪酸(a2)を水酸基を有する重合性不飽和モノマーと反応させることにより得られる脂肪酸変性重合性不飽和モノマーであってもよい。
【0025】
本発明において上記重合性不飽和モノマー(b)に、該脂肪酸変性重合性不飽和モノマーが包まれていると、本発明の脂肪酸変性樹脂水分散体の製造安定性が向上し、また、脂肪酸(a2)が乾性油又は半乾性油脂肪酸であった場合に、最終的に得られる塗膜の乾燥過程において、脂肪酸由来の酸化硬化が円滑に進行し、ガスバリヤー性など塗膜物性の向上効果が得られるので好適である。
【0026】
本発明においては、製造安定性、形成塗膜の耐候性などの観点から、脂肪酸変性重合性不飽和モノマーの使用割合は、エポキシ樹脂(a1)、脂肪酸(a2)、環状酸無水物(a3)及び重合性不飽和モノマー(b)の合計質量を基準にして、一般に5〜50質量%、特に10〜35質量%の範囲内であることができる。
【0027】
脂肪酸変性樹脂
本発明における脂肪酸変性樹脂は、エポキシ樹脂(a1)、脂肪酸(a2)、環状酸無水物(a3)及び重合性不飽和モノマー(b)を構成単位として含む。
【0028】
これら(a1)、(a2)及び(a3)の反応は、特に制限されるものではなく従来公知の手法によって行うことができる。
【0029】
本発明において、上記脂肪酸変性樹脂は、塩基性物質(a4)を構成単位としてさらに含むことにより、脂肪酸変性樹脂水分散体の製造安定性及び貯蔵安定性を向上させることができ、好適である。
【0030】
かかる塩基性物質(a4)としては、特に制限されるものではなく例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属化合物塩;トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、2−メチル−2−アミノ−1−プロパノール、トリエチルアミン等のアミン類;アンモニア水等が挙げられこれらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0031】
上記塩基性物質(a4)としては、アミン類、アンモニア水等の揮発性化合物であると、製造安定性を向上させつつ、塗膜形成時には揮発することができるので、耐水性、防食性を損なうことがなく、好適である。
【0032】
本発明において、上記脂肪酸変性樹脂は、水性媒体に分散される。本発明において、水性媒体とは、水、または水を主として親水性有機溶剤などの有機溶剤を溶解してなる水−有機溶剤混合溶液などを挙げることができる。
【0033】
脂肪酸変性樹脂水分散体の製造
本発明は、エポキシ樹脂(a)と、脂肪酸(a2)と、環状酸無水物(a3)とを反応させることにより得られる酸基を有する脂肪酸変性エポキシ樹脂(A)及び重合性不飽和モノマー(b)を含んでなる混合物(I)を、水性媒体中に分散させ、得られる乳化物を重合させることを特徴とする脂肪酸変性樹脂水分散体の製造方法を提供する。
【0034】
上記脂肪酸変性エポキシ樹脂(A)の製造において、上記エポキシ樹脂(a1)、脂肪酸(a2)及び環状酸無水物(a3)の反応は、上記脂肪酸変性エポキシ樹脂(A)が酸基を有するのであればよく、適宜選択して進行させることができる。
【0035】
上記エポキシ樹脂(a1)、脂肪酸(a2)及び環状酸無水物(a3)の使用割合は、厳密に制限されるものではないが、一般には、エポキシ樹脂(a1)中のエポキシ基1モルに対し、脂肪酸(a2)のカルボキシル基が0.8〜1.0モル、環状酸無水物が0.1〜4.0モルの範囲内となるように調整することができる。
【0036】
本発明においては、エポキシ樹脂(a1)及び脂肪酸(a2)との反応によって得られる反応生成物中の2級水酸基に、環状酸無水物(a3)を反応させ、開環ハーフエステル化反応をさせることで、脂肪酸変性エポキシ樹脂に酸基を効率よく導入でき、脂肪酸変性エポキシ樹脂(A)に自己乳化性を付与できるとともに重合性不飽和モノマー(b)の分散剤として作用することもでき、適している。
【0037】
上記エポキシ樹脂(a1)及び脂肪酸(a2)との反応は、通常、約110〜約170℃の温度で約5〜約15時間加熱することにより行うとよい。
【0038】
この反応において、N,N−ジメチルアミノエタノールなどの3級アミン、臭素化テトラエチルアンモニウム、臭素化テトラブチルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩等のエステル化反応触媒を用いることができ、さらに、反応に対して不活性な有機溶媒を使用してもよい。
【0039】
また、上記エポキシ樹脂(a1)と脂肪酸(a2)との反応生成物と、環状酸無水物(a3)とのハーフエステル化反応は、通常、約120〜約170℃の温度で約0.5〜約8時間加熱することにより行うのが適している。
【0040】
上記の如きして得られる酸基を有する脂肪酸変性エポキシ樹脂(A)は、酸価が15〜200mgKOH/g、好ましくは20〜150mgKOH/gの範囲内にすることが適している。
【0041】
また、本発明の製造方法において、上記酸基を有する脂肪酸変性エポキシ樹脂(A)は、該酸基を塩基性物質(a4)により中和することが望ましい。中和を行うことにより混合物(I)を分散させる際に必要な乳化剤の使用量等を少なくさせることができ、得られる塗膜の耐水性、防食性を向上させる効果がある。
【0042】
以上に述べた上記酸基を有する脂肪酸変性エポキシ樹脂(A)及び重合性不飽和モノマー(b)の使用割合は、特に制限されるものではなく、目的とする水性脂肪酸変性樹脂分散体に望まれる性能や用途などに応じて適宜選択することができるが、耐水性、防食性などの観点から、酸基を有する脂肪酸変性エポキシ樹脂(A)及び重合性不飽和モノマー(b)の合計量を基準にして、一般には、脂肪酸変性エポキシ樹脂(A)は5〜95質量%、好ましくは10〜80質量%の範囲内、そして重合性不飽和モノマー(b)は5〜95重量%、好ましくは20〜90重量%の範囲内とすることができる。
【0043】
本発明製造方法において、上記混合物(I)は、上記酸基を有する脂肪酸変性エポキシ樹脂(A)及び重合性不飽和モノマー(b)を必須成分として含むものであるが、さらに場合により、実質的に重合性不飽和基を含有しない化合物を含有することもできる。
【0044】
混合物(I)として、上記の実質的に重合性不飽和基を含有しない化合物を含有するものを使用することにより、該化合物を内包する脂肪酸変性樹脂水分散体を製造することができる。
【0045】
実質的に重合性不飽和基を含有しない化合物としては、例えば、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、金属ドライヤーなどの塗料用添加剤;イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート、メラミンなどの硬化剤;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、ポリオルガノシロキサンなどの樹脂;顔料、染料などの着色剤等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で又は適宜選択して2種以上組み合わせて使用することができる。
【0046】
上記混合物(I)は、水性媒体に分散するに際して、必要に応じて、乳化剤を併用してもよい。該乳化剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤が好適であり、該アニオン性乳化剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸などのナトリウム塩やアンモニウム塩が挙げられ、また、ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ソルビ
タンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。
【0047】
また、1分子中にアニオン性基とポリオキシエチレン基やポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレン基含有アニオン性乳化剤や、1分子中に該アニオン性基と重合性不飽和基とを有する反応性アニオン性乳化剤を使用してもよい。
【0048】
該乳化剤を使用する場合、その場合は、成分(A)及びモノマー(b)の合計量を基準にして、0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜12質量%の範囲内で使用することができる。
【0049】
さらに、混合物(I)には、必要に応じて、例えば、ヘキサデカンなどの長鎖飽和炭化水素系溶剤、ヘキサデカノールなどの長鎖アルコール系溶剤等の有機溶剤等を配合してもよい。
【0050】
本発明に従えば、以上に述べた混合物(I)は水性媒体中に分散させることにより乳化物が形成せしめられる。
【0051】
上記混合物(I)の水性媒体中における濃度は、形成される乳化物の微粒化適性、重合段階における安定性、水性塗料に適用したときの実用性などの観点から、一般に10〜70質量%、特に20〜60質量%の範囲内が好適である。
【0052】
混合物(I)の水性媒体中への微分散は、通常、高エネルギーせん断力を有する分散機を用いて行うことができる。その際に使用しうる該分散機としては、例えば、高圧乳化装置、超音波乳化機、高圧コロイドミル、高圧ホモジナイザー等が挙げられる。これらの分散機は、通常、10〜1000MPa、好ましくは50〜300MPa程度の高圧下で操作することができる。また、該機械にて分散を行う前に、該混合物(I)をあらかじめディスパー等で予備乳化してもよい。
【0053】
混合物(I)を上記手法により水性媒体中に微分散させることにより得られる乳化物中の分散粒子の平均粒子径は、形成塗膜の透明性、耐水性などの観点から、500nm以下、好ましくは80〜400nm、さらに好ましくは100〜300nmの範囲内が適している。
【0054】
かくして得られる乳化物の重合は、例えば、ミニエマルション重合法に従い、分散後の乳化物を撹拌機を備えた反応器に全量仕込み、重合開始剤を添加し、攪拌しながら加熱することにより行うことができる。
【0055】
上記重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシドなどの有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4、4´−アゾビス(4−シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}などのアゾ化合物等;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩等が挙げられる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0056】
また、上記重合開始剤に、必要に応じて、糖、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、アスコルビン酸ナトリウム、鉄錯体等の還元剤を併用し、レドックス重合系としてもよい。
【0057】
上記重合開始剤の使用量は、脂肪酸変性エポキシ樹脂(A)及び重合性不飽和モノマー(b)の合計質量を基準にして、一般に0.1〜5質量%の範囲内であることができる。該重合開始剤の添加方法は、特に制限されるものではなく、その種類や量などに応じて適宜選択することができる。例えば、予め混合物(I)又は水性媒体に含ませてもよく、或いは重合時に一括して添加してもよく又は滴下してもよい。
【0058】
本発明においては、得られる脂肪酸変性樹脂分散体の粒子の機械的安定性を向上させるために、該脂肪酸変性樹脂分散体が酸性基を有する場合には、必要に応じて上記塩基性物質(a4)により中和剤してもよい。
【0059】
以上に述べた本発明の方法によれば、分散樹脂の平均粒子径が500nm以下、好ましくは80〜400nm、さらに好ましくは100〜300nmの範囲内にある水性脂肪酸変性樹脂分散体を製造することができる。
【0060】
水性樹脂組成物
本発明により提供される水性樹脂組成物は、以上に述べた如くして得られる脂肪酸変性樹脂水分散体を含んでなるものである。
【0061】
上記水性樹脂組成物は、ヒドラジン誘導体をさらに含んでなることができる。該ヒドラジン誘導体としては、具体的には、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどの2〜18個の炭素原子を有する飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどのモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;フタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジドまたはイソフタル酸ジヒドラジド;ピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジドまたはテトラヒドラジド;ニトリロトリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド;カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体をヒドラジンまたはヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラード)と反応させることにより得られるポリヒドラジド;炭酸ジヒドラジドなどのヒドラジド基含有化合物;ビスセミカルバジド;ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート又はそれから誘導されるポリイソシアネート化合物にN,N−ジメチルヒドラジンなどのN,N−置換ヒドラジンや上記例示のヒドラジドを過剰に反応させて得られる多官能セミカルバジド、該ポリイソシアネート化合物とポリエーテルとポリオール類やポリエチレングリコールモノアルキルエーテル類などの親水性基を含む活性水素化合物との反応物中のイソシアネート基に上記例示のジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水系多官能セミカルバジド;該多官能セミカルバジドと水系多官能セミカルバジドとの混合物などのセミカルバジド基を有する化合物;ビスアセチルジヒドラゾンなどのヒドラゾン基を有する化合物等が挙げられる。
【0062】
水性樹脂組成物が上記ヒドラジン誘導体を含有することにより、それから形成される塗膜は、空気中の有害物質、例えばホルムアルデヒドを吸着するので、これらの有害物質の除去のために有用であり、また、脂肪酸変性樹脂水分散体がカルボニル基を有する場合には、補助架橋のための架橋剤として作用することができる。
【0063】
上記ヒドラジン誘導体の配合量は、脂肪酸変性樹脂水分散体の樹脂固形分に対して、一般に0.01〜10質量%、特に0.1〜8質量%の範囲内とすることができる。
【0064】
水性塗料組成物
本発明はまた、上記の水性樹脂組成物を含んでなる水性塗料組成物を提供するものである。
【0065】
上記水性塗料組成物は、クリヤー塗料として又はエナメル塗料として使用することができる。
【0066】
エナメル塗料として使用する場合には、顔料分として、塗料分野で既知の着色顔料、光輝性顔料、体質顔料、防錆顔料等を配合することができる。
【0067】
上記水性塗料組成物は、水溶性もしくは水分散性のアクリル樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などの改質用樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、メラミンなどの硬化剤、顔料分散剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、pH調整剤、フラッシュラスト抑止剤、アルデヒド捕捉剤、層状粘度鉱物、粉状もしくは微粒子状の活性炭、光触媒酸価チタン、ポリアルキレングリコール変性アルキルシリケートなどの低汚染化剤等の添加剤をそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて含有することができる。
【0068】
上記水性塗料組成物は、新しい基材面や旧塗膜面に適用することができ、該基材としては、特に制限されるものではなく、例えば、鉄、アルミニウムなどの金属基材;コンクリート、モルタル、スレート板、PC板、ALC板、セメント珪酸カルシウム板、木材、石材などの無機基材;プラスチックなどの有機基材;等の基材が挙げられ、また、旧塗膜としては、これら基材上に設けられたアクリル樹脂系、アクリルウレタン樹脂系、ポリウレタン樹脂系、フッ素樹脂系、シリコンアクリル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系、アルキド樹脂などの塗膜が挙げられる。これらの被塗面には、水性又は溶剤型の下塗り材を塗布してもよく、必要に応じて、該下塗り材を塗布した後、上記水性塗料組成物を上塗り材として塗布することができる。また、本発明の水性塗料組成物を下塗り材として塗布した後、既知の水性上塗り材を塗布することも可能である。
【0069】
本発明の水性塗料組成物は、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電塗装、ハケ塗装、ローラー塗装、リシンガン、万能ガン等の方法で塗布することができ、また、乾燥方法としては、常温乾燥の条件でも硬化することができるが、特に制限されず加熱乾燥、強制乾燥を行なうことも可能である。
【実施例】
【0070】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を示す。
【0071】
酸基を有する脂肪酸変性エポキシ樹脂の製造
製造例1
「EPON1001」(商品名、ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ当量875〜975)900部、亜麻仁油脂肪酸560部、臭素化テトラブチルアンモニウム1.5部を加え、酸価が2.0以下になるまで150℃にて加熱攪拌する。さらに、ここに無水トリメリット酸125部を加え、酸価が50±5の範囲となるまで150℃にて加熱攪拌することにより酸基を有する脂肪酸変性エポキシ樹脂(a−1)を得た。
【0072】
製造例2
「EPON828」(商品名、ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ当量184〜194)380部と亜麻仁油脂肪酸560部、臭素化テトラブチルアンモニウム1.0部を加え、酸価が2.0以下になるまで150℃にて加熱攪拌する。さらにここに無水トリメリット酸80部を加え、酸価が50±5の範囲となるまで150℃にて加熱攪拌することにより酸基を有する脂肪酸変性エポキシ樹脂(a−2)を得た。
【0073】
製造例3
「EPON1004」(商品名、ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ当量875〜975)1850部と大豆油脂肪酸560部、臭素化テトラブチルアンモニウム2.5部を加え、酸価2.0以下になるまで150℃にて加熱攪拌する。更にここにヘキサヒドロキシ無水フタル酸330部を加え、酸価が50±5の範囲となるまで150℃にて加熱攪拌する。90℃まで冷却したのち、プロピレングリコールn−ブチルエーテルを685部で希釈し、固形分濃度80%の酸基を有する脂肪酸変性エポキシ樹脂(a−3)を得た。
【0074】
製造例4
「EPON1001」(商品名、ジャパンエポキシレジン社製)900部、亜麻仁油脂肪酸560部、臭素化テトラブチルアンモニウム1.5部を加え、酸価が2.0以下になるまで150℃にて加熱攪拌する。さらに、ここに無水トリメリット酸79部を加え、酸価が30±5の範囲となるまで150℃にて加熱攪拌することにより酸基を有する脂肪酸変性エポキシ樹脂(a−4)を得た。
【0075】
酸基を有さない脂肪酸変性エポキシ樹脂の製造
製造例5
「EPON1001」(商品名、ジャパンエポキシレジン社製)900部、亜麻仁油脂肪酸560部、臭素化テトラブチルアンモニウム1.5部を加え、酸価が2.0以下になるまで150℃にて加熱攪拌することにより実質的に酸基を有さない脂肪酸変性エポキシ樹脂(X)を得た。
【0076】
脂肪酸変性樹脂水分散体の製
実施例1
ガラスビーカー中で酸基含有脂肪酸変性エポキシ樹脂(a−1)40部に、(a−1)の有するカルボキシル基と同モル数のトリエチルアミン3.6部を加え、中和したのち、下記重合性不飽和モノマーを混合し、均一溶液とする。次いで脱イオン水を加えディスパーにて2000rpmで15分間攪拌し予備乳化液を調整した後、この予備乳化液を高圧乳化装置(スギノマシン社製 アルティマイザー)にて100MPa高圧処理することにより平均粒子径250nmのモノマー乳化物を得た。
モノマー乳化物組成
酸基含有脂肪酸変性エポキシ樹脂(a−1) 40部
トリエチルアミン 3.6部
スチレン 10部
メチルメタクリレート 20部
i−ブチルメタクリレート 14部
2−エチルヘキシルアクリレート 15部
メタクリル酸 1部
脱イオン水 100部
次いで上記モノマー乳化物をフラスコへ移し、脱イオン水にて固形分濃度が45%となるように希釈した。その後80℃まで昇温させ、過硫酸アンモニウム1.0部を脱イオン水15部に溶解させた開始剤水溶液をフラスコに投入し、温度を80℃に保持しながら3時間攪拌した。その後過硫酸アンモニウム0.2部を脱イオン水1.8部に溶解させた開始剤水溶液をフラスコに添加し、温度を保持しながら2時間攪拌した後40℃まで冷却し、トリエチルアミンでpHを8.0まで調製したのち、固形分濃度40%、平均粒子径が245nmの水性樹脂分散体(A−1)を得た。
【0077】
実施例2〜7および比較例1
モノマー乳化物の配合組成を表1に記載のとおりとする以外は上記実施例1と同様にして各樹脂水分散体(A−2)〜(A−8)を得た。
【0078】
【表1】


【0079】
(注1)脂肪酸変性重合性不飽和モノマー:
反応容器に、亜麻仁油脂肪酸280部及びグリシジルメタクリレート142部を入れ、攪拌しながら反応温度140℃、5時間で反応させて得られる反応生成物、
(注2)「Newcol707SF」:商品名、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性乳化剤、有効成分30%。
【0080】
水性樹脂組成物の製造
実施例8〜14及び比較例2
下記表2に記載の配合組成により、水性樹脂組成物を得、各水性樹脂組成物について下記試験に供した。結果を表2にあわせて示す。
【0081】
【表2】


【0082】
(注3)「DICNATE1000W」:商品名、大日本インキ化学工業社製、金属ドライヤー、Co含有率3.6%、
(注4)「TEXANOL」:商品名、イーストマンケミカル社製、2,2,4−トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、造膜助剤。
【0083】
(*1)防食性:
上記で得られた各水性樹脂組成物を乾燥膜厚で40μmになるようにアプリケーターで無処理軟鋼板に塗装し、25℃で10日間養生させた後、カッターで長さ8cmカットを入れたものを試験板とした。得られた試験板を5%塩水噴霧試験装置にて温度35度で168hr試験した後、試験板の外観観察により4段階で評価した。
◎:カット部の錆幅が1mm未満で、一般部共に異常がない、
〇:カット部の錆幅が1mm〜3mmで、一般部に異常がない、
△:カット部の錆幅は3mm以下であるが、一般部にフクレが発生している、
×:カット部の錆幅は3mmを超え、一般部にフクレや錆が発生している。
(*2)上水浸漬試験:
上記で得られた各水性樹脂組成物を乾燥膜厚で40μmになるようにアプリケーターで無処理軟鋼板に塗装し、25℃で10日間養生させて膜を作成し、試験板とした。得られた試験板を、上水に5日間浸漬させ、塗膜状態の変化を評価するとともに、試験終了後カッターでクロスカットを入れ粘着テープによる剥離試験を行い、下記を基準に3段階で評価した。
○:剥離なし、△:半分以上剥離、×:全面剥離。
【出願人】 【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−13601(P2008−13601A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183386(P2006−183386)