トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物

【発明の名称】 感光性樹脂及び感光性組成物
【発明者】 【氏名】渡邊 健夫

【氏名】木下 博雄

【氏名】遊佐 真一

【氏名】山中 智隆

【氏名】早川 正道

【氏名】大澤 陽介

【氏名】小木 聡

【氏名】小室 嘉崇

【要約】 【課題】酸発生剤とフォトレジストの主成分である酸解離基を有するポリマーとの相溶性が悪いという問題点を伴うことがなく、良好な形状のパターンを得ることができる感光性樹脂及び感光性組成物を提供する。

【構成】特定の構造を有するスルホニウム基を置換基として含有するビニル芳香族の繰り返し単位と、特定の構造を有する基を含有するビニル芳香族の繰り返し単位と、ヒドロキシスチレンの繰り返し単位と、必要に応じてスチレンの繰り返し単位とを有する感光性樹脂とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される繰り返し単位と、下記式(2)で表される繰返し単位及び下記式(3)で表される繰り返し単位の少なくとも一方と、下記式(4)で表される繰り返し単位と、必要に応じて下記式(5)で表される繰り返し単位とを有することを特徴とする感光性樹脂。
【化1】


(式(1)において、R1は炭素数2〜9で直鎖もしくは分岐の2価の炭化水素基、R2〜R5はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐の炭化水素基、R6及びR7はそれぞれ独立に有機基であり、R6とR7は一緒になって2価の有機基を形成していてもよい。X-は陰イオンを表す。)
【化2】


(式(2)において、R8は炭素数2〜9の、直鎖もしくは分岐の炭化水素基を表す。)
【化3】


【化4】


【化5】


【請求項2】
-で表される陰イオンが、下記式(6)で表される陰イオンであることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂。
【化6】


(式(6)において、k、m及びnはそれぞれ独立に0以上の整数を表す。mが0の場合、kは1〜8の整数、nは2k+1であり、式(6)はパーフルオロアルキルスルホネートイオンである。nが0の場合、kは1〜15の整数、mは1以上の整数であり、式(6)はアルキルスルホネートイオン、ベンゼンスルホネートイオン又はアルキルベンゼンスルホネートイオンである。m及びnがそれぞれ独立に1以上の整数の場合、kは1〜10の整数であり、式(6)はフッ素置換ベンゼンスルホネートイオン、フッ素置換アルキルベンゼンスルホネートイオン又はフッ素置換アルキルスルホネートイオンである。)
【請求項3】
-で表される陰イオンが、下記式(7)で表されるビス(パーフルオロアルキルスルホン)イミドイオンであることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂。
【化7】


(式中、pは1〜8の整数を表す。)
【請求項4】
-で表される陰イオンが、下記式(8)で表される陰イオンであることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂。
【化8】


【請求項5】
重量平均分子量が2,000〜100,000で、前記式(1)の繰り返し単位数a、前記式(2)の繰り返し単位数b、前記式(3)の繰り返し単位数c、前記式(4)の繰り返し単位数d、及び前記式(5)の繰り返し単位数eが、a/(a+b+c+d+e)=0.001〜0.3、(b+c)/(a+b+c+d+e)=0.1〜0.5、(d+e)/(a+b+c+d+e)=0.5〜0.8及びe/(d+e)=0〜0.2を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂。
【請求項6】
主鎖の末端基が水素原子又はメチル基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の感光性樹脂を有機溶媒に溶解させた溶液であることを特徴とする感光性組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ディープUV、電子線、X線又はEUV(極端紫外線)等の活性放射線の照射により容易に酸を発生する構造と酸解離基とを構造中に有し、化学増幅型フォトレジスト材料として有用な感光性樹脂及びそれを用いた感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス、例えば、DRAMなどに代表される高集積回路素子では、一層の高密度化、高集積化、あるいは高速化の要望が高い。それに伴い、各種電子デバイス製造分野では、ハーフミクロンオーダーの微細加工技術の確立、例えば、微細パターン形成のためのフォトリソグラフィー技術開発に対する要求がますます厳しくなっている。フォトリソグラフィー技術において、パターンの微細化を図る手段の一つとして、フォトレジストのパターン形成の際に使用する活性放射線(露光光)の波長を短くする方法がある。ここで、縮小投影露光装置の解像度(R)はレイリーの式R=k・λ/NA(ここでλは露光光の波長、NAはレンズの開口数、kはプロセスファクター。)で表されるため、レジストのパターン形成の際に使用する活性放射線(露光光)の波長λを短波長化することにより解像度を向上させることができる。
【0003】
短波長に適したフォトレジストとして、化学増幅型のものが提案されている(特許文献1等参照)。化学増幅型フォトレジストの特徴は、含有成分である光酸発生剤から露光光の照射によりプロトン酸が発生し、このプロトン酸が露光後の加熱処理により酸解離性基(酸で解離・分解する基)を有するポリマー等と酸触媒反応を起こすことである。現在開発されているフォトレジストの大半は、化学増幅型である。このような化学増幅型フォトレジスト用の光酸発生剤として、種々のスルホニウム塩が知られている。
【0004】
しかしながら、従来のスルホニウム塩系の光酸発生剤はフォトレジストの主成分である酸解離基を有するポリマーとの相溶性が悪い等の問題点がある。当然のことながら、その問題点に起因して、その光酸発生剤を含んでいるフォトレジストに活性放射線でパターン露光した場合、得られるパターン形状が所望の形状にならない等悪影響を及ぼすという問題が生じる。
【0005】
【特許文献1】米国特許第4491628号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、酸発生剤とフォトレジストの主成分である酸解離基を有するポリマーとの相溶性が悪いという問題点を伴うことがなく、良好な形状のパターンを得ることができる感光性樹脂及び感光性組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の第1の態様は、下記式(1)で表される繰り返し単位と、下記式(2)で表される繰返し単位及び下記式(3)で表される繰り返し単位の少なくとも一方と、下記式(4)で表される繰り返し単位と、必要に応じて下記式(5)で表される繰り返し単位とを有することを特徴とする感光性樹脂にある。
【0008】
【化1】


【0009】
(式(1)において、R1は炭素数2〜9で直鎖もしくは分岐の2価の炭化水素基、R2〜R5はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐の炭化水素基、R6及びR7はそれぞれ独立に有機基であり、R6とR7は一緒になって2価の有機基を形成していてもよい。X-は陰イオンを表す。)
【0010】
【化2】


【0011】
(式(2)において、R8は炭素数2〜9の、直鎖もしくは分岐の炭化水素基を表す。)
【0012】
【化3】


【0013】
【化4】


【0014】
【化5】


【0015】
本発明の第2の態様は、X-で表される陰イオンが、下記式(6)で表される陰イオンであることを特徴とする第1の態様に記載の感光性樹脂にある。
【0016】
【化6】


【0017】
(式(6)において、k、m及びnはそれぞれ独立に0以上の整数を表す。mが0の場合、kは1〜8の整数、nは2k+1であり、式(6)はパーフルオロアルキルスルホネートイオンである。nが0の場合、kは1〜15の整数、mは1以上の整数であり、式(6)はアルキルスルホネートイオン、ベンゼンスルホネートイオン又はアルキルベンゼンスルホネートイオンである。m及びnがそれぞれ独立に1以上の整数の場合、kは1〜10の整数であり、式(6)はフッ素置換ベンゼンスルホネートイオン、フッ素置換アルキルベンゼンスルホネートイオン又はフッ素置換アルキルスルホネートイオンである。)
【0018】
本発明の第3の態様は、X-で表される陰イオンが、下記式(7)で表されるビス(パーフルオロアルキルスルホン)イミドイオンであることを特徴とする第1の態様に記載の感光性樹脂にある。
【0019】
【化7】


【0020】
(式中、pは1〜8の整数を表す。)
【0021】
本発明の第4の態様は、X-で表される陰イオンが、下記式(8)で表される陰イオンであることを特徴とする第1の態様に記載の感光性樹脂にある。
【0022】
【化8】


【0023】
本発明の第5の態様は、重量平均分子量が2,000〜100,000で、前記式(1)の繰り返し単位数a、前記式(2)の繰り返し単位数b、前記式(3)の繰り返し単位数c、前記式(4)の繰り返し単位数d、及び前記式(5)の繰り返し単位数eが、a/(a+b+c+d+e)=0.001〜0.3、(b+c)/(a+b+c+d+e)=0.1〜0.5、(d+e)/(a+b+c+d+e)=0.5〜0.8及びe/(d+e)=0〜0.2を満たすことを特徴とする第1〜4のいずれかの態様に記載の感光性樹脂にある。
【0024】
本発明の第6の態様は、主鎖の末端基が水素原子又はメチル基であることを特徴とする第1〜5のいずれかの態様に記載の感光性樹脂にある。
【0025】
本発明の第7の態様は、第1〜6のいずれかの態様に記載の感光性樹脂を有機溶媒に溶解させた溶液であることを特徴とする感光性組成物にある。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、光酸発生剤としての機能を有する構造と酸解離基とを有する感光性樹脂を提供することができる。この感光性樹脂は、溶媒に溶解させることにより酸発生剤を含有させずに単独で化学増幅型の感光性組成物とすることができるため、酸発生剤と酸解離基を有するポリマーとの相溶性が悪いという問題点を伴うことがなく、良好な形状のパターンを得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0028】
本発明の感光性樹脂は、上記式(1)で表される繰り返し単位と、上記式(2)で表される繰返し単位及び上記式(3)で表される繰り返し単位の少なくとも一方と、上記式(4)で表される繰り返し単位と、必要に応じて上記式(5)で表される繰り返し単位とを有し、スルホニウム塩由来の光酸発生剤としての機能を有する構造と、酸解離基とを有するポリマーである。このように、本発明の感光性樹脂は、光酸発生剤としての機能を有する構造と、酸解離基とを有するため、溶媒に溶解させることにより酸発生剤を含有させずに単独で化学増幅型の感光性組成物とすることができる。したがって、感光性組成物に用いた際に、酸発生剤と酸解離基を有するポリマーとの相溶性が悪いという問題点を伴うことがなく、良好な形状のパターンを得ることができる。
【0029】
具体的には、式(1)で表される繰り返し単位は、活性放射線の露光により酸を発生する光酸発生剤としての機能を有する構造と、この酸発生剤から発生した酸で解離しうる基(酸解離基)とを有する。
【0030】
また、上記式(2)で表される繰り返し単位及び上記式(3)で表される繰り返し単位は、上記式(4)で表される繰り返し単位のフェノール系水酸基を酸により解離しうる基で修飾した構造を有する。上記式(4)で表される繰り返し単位及び上記式(5)で表される繰り返し単位は、いずれも、アルカリ現像液への溶解性に関与するものであり、それらの量の調整により溶解性を調整することができる。
【0031】
本発明の感光性樹脂は、それ自体ではアルカリ現像液に対して不溶又は極めて難溶であるが、活性放射線で露光すると、式(1)で表される繰り返し単位からから酸が発生し、その酸の作用により、上記式(1)で表される繰り返し単位、上記式(2)で表される繰返し単位及び上記式(3)で表される繰り返し単位の酸解離基が解離して、アルカリ現像液に対する溶解性が増大する。
【0032】
上記式(1)において、R1は炭素数2〜9の2価の炭化水素基で、直鎖でも分岐していてもよい。R2〜R5はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐の炭化水素基である。R6及びR7はそれぞれ独立に有機基である。この有機基の例として、直鎖、分岐もしくは脂環式の構造のアルキル基が挙げられる。また有機基の例として、炭素環式アリール基や複素環式アリール基が挙げられる。好ましい有機基は炭素環式アリール基であり、特に好ましい有機基はフェニル基、メチルフェニル基及びt−ブチルフェニル基である。上記の炭素環式アリール基や複素環式アリール基は、炭素数1〜30の置換基を有するものであってもよい。炭素数1〜30の置換基としては、炭素数1〜30の炭化水素基又はアルコキシ基が好ましい。置換基である炭素数1〜30の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、t−アミル基、デカニル基、ドデカニル基及びヘキサデカニル基等のアルキル基や、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデカニル基、シクロヘキサデカニル基及びアダマンチル基等の脂環式アルキル基や、フェニル基及びナフチル基等のアリール基が挙げられる。また、置換基である炭素数1〜30のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、t−アミロキシ基、n−ヘキシロキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ドデカンオキシ基及び1−アダマンチルオキシ基が挙げられる。
【0033】
また、R6及びR7は、互いに結合して環を形成してもよく、この場合には、上記炭素骨格を含む2価の有機基:−R6−R7−となる。このような2価の有機基としては、例えばR6及びR7が飽和炭素骨格を有してつながった炭素数3〜9の脂環式アルキル基が挙げられる。その脂環式アルキル基のうち好ましいものの例として、テトラメチレン基及びペンタメチレン基等のポリメチレン基等が挙げられる。一般に、2価の有機基−R6−R7−がSとともに形成する環は、好ましくは4員環〜8員環、より好ましくは5員環〜6員環を構成するとよい。
【0034】
式(1)中、X-で表される陰イオンは特に限定されず、従来から光酸発生剤に用いられている陰イオンとすることができる。陰イオンの例として、上記式(6)で表される陰イオン、上記式(7)で表される陰イオン及び上記式(8)で表される陰イオン(シクロ1,3−パーフルオロプロパンジスルホンイミドイオン)が挙げられる。
【0035】
式(6)において、k、m及びnはそれぞれ独立に0以上の整数を表す。mが0の場合には、kは1〜8の整数で、nは2k+1であり、式(6)はパーフルオロアルキルスルホネートイオンである。好適なパーフルオロアルキルスルホネートイオンの例として、CF3SO3-(トリフルオロメタンスルホネートイオン)、C49SO3-(ノナフルオロブタンスルホネートイオン)、及びC817SO3-(ヘプタデカフルオロオクタンスルホネートイオン)等が挙げられる。
【0036】
また、式(6)において、nが0の場合には、kは1〜15の整数、mは1以上の整数であり、式(6)はアルキルスルホネートイオン、ベンゼンスルホネートイオン又はアルキルベンゼンスルホネートイオンである。アルキルスルホネートイオンの場合には、mは2k+1で示される。好適なアルキルスルホネートイオンの例として、CH3SO3-(メタンスルホネートイオン)、C25SO3-(エタンスルホネートイオン)、C919SO3-(1−ノナンスルホネートイオン)等や、橋架け環式アルキルスルホネートイオン、例えば、10−カンファースルホネートイオン等が挙げられる。好適なアルキルベンゼンスルホネートイオンの例として、4−メチルベンゼンスルホネートイオンや2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネートイオンが挙げられる。
【0037】
さらに、式(6)において、m及びnがそれぞれ独立に1以上の整数の場合には、kは1〜10の整数であり、式(6)はフッ素置換ベンゼンスルホネートイオン、フッ素置換アルキルベンゼンスルホネートイオン又はフッ素置換アルキルスルホネートイオンである。好適なフッ素置換ベンゼンスルホネートイオンの例として、2−フルオロベンゼンスルホネートイオン、4−フルオロベンゼンスルホネートイオン、2,4−ジフルオロベンゼンスルホネートイオン及びペンタフルオロベンゼンスルホネートイオン等が挙げられる。また、好適なフッ素置換アルキルベンゼンスルホネートイオンの例として、2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネートイオン、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネートイオン、2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネートイオン及び3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネートイオン等が挙げられる。さらに、好適なフッ素置換アルキルスルホネートイオンの例として、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンスルホネートイオンが挙げられる。
【0038】
式(7)で表される陰イオンは、ビス(パーフルオロアルキルスルホン)イミドイオンであり、式中、pは1〜8の整数である。好適なビス(パーフルオロアルキルスルホン)イミドイオンの例として、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドイオン及びビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミドイオン等が挙げられる。
【0039】
本発明の感光性樹脂は、主鎖の末端基が水素原子又はメチル基であることが好ましい。その末端基は、ベースとなるポリマーを合成する際の重合開始剤と停止する試薬に依存して任意に決定することができる。
【0040】
また、本発明の感光性樹脂は、重量平均分子量が2,000〜100,000であることが好ましく、さらに好ましくは2,000〜50,000である。重量平均分子量が小さいと露光感度が低くなり硬化膜強度が低下し、大きいと基板への接着性が低下してパターン形成ができ難くなるためである。なお、上記の重量平均分子量は、本発明の感光性樹脂のゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)を意味する。MwとGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、通常、1〜3、好ましくは1〜2.5である。また、式(1)の繰り返し単位数a、式(2)の繰り返し単位数b、式(3)の繰り返し単位数c、式(4)の繰り返し単位数d、及び式(5)の繰り返し単位数eが、a/(a+b+c+d+e)=0.001〜0.3、(b+c)/(a+b+c+d+e)=0.1〜0.5、(d+e)/(a+b+c+d+e)=0.5〜0.8及びe/(d+e)=0〜0.2を満たすことが好ましい。a/(a+b+c+d+e)=0.001〜0.3を満たすと、式(1)が有する露光により酸が発生する構造が触媒量となり、酸発生剤として良好に機能する。また、(b+c)/(a+b+c+d+e)=0.1〜0.5であると、アルカリ現像液に対する溶解抑止能の効果を奏する。(d+e)/(a+b+c+d+e)=0.5〜0.8及びe/(d+e)=0〜0.2を満たすと、基板等の塗布対象への密着性及びアルカリ現像液への溶解性が良好になるという効果を奏する。
【0041】
なお、本発明の感光性樹脂は、構造中に式(1)〜式(5)で表される各繰り返し単位以外に、他の構造を、本発明の効果を損ねない範囲で有していてもよい。
【0042】
本発明の感光性樹脂の製造方法は特に限定されないが、例えば、ポリヒドロキシスチレンまたはポリ(ヒドロキシスチレン−スチレン)の共重合体に、下記式(13)〜(15)を付加することにより製造することができる。
【0043】
式(1)で表される繰り返し単位は、例えば、次の方法で導入することができる。まず、下記反応式に示すように、メタンスルホン酸(CH3SO3H)中で、五酸化ニリン(P25)を触媒として、式(9)で表される化合物にジアルキルスルホキシドを反応させ、式(10)で表される化合物(メタンスルホン酸塩)を得る。また、ジアルキルスルホキシドは、ジアルキルスルフィドを過酸化水素で酸化することにより容易に得ることができる。
【0044】
【化9】


【0045】
触媒である五酸化ニリンは、式(9)で表される化合物1モルに対して、0.1〜3.0モル、好ましくは0.5〜1.5モル用いる。また、メタンスルホン酸は、式(9)で表される化合物1モルに対して、1〜10モル、好ましくは4〜6モル用いる。反応温度は、通常0〜50℃、好ましくは10〜30℃であり、反応時間は、通常1〜15時間、好ましくは3〜8時間である。反応終了後、水を添加することにより反応を停止させる。
【0046】
次に、下記反応式に示すように、式(10)で表される化合物のCH3SO3-をX-で塩交換する。なお、下記反応式中、M+は一価の金属イオンを表す。具体的には、式(10)で表される化合物の水溶液に、X-、例えば、上記式(6)、式(7)又は式(8)を含む各種酸H+-あるいは塩M+-を、式(10)で表される化合物1モルに対して1〜2モル、好ましくは1.05〜1.2モルを加える。反応溶媒としては、塩素系溶媒、例えばジクロロメタン、クロロホルム等、を用いるのが好ましい。また、反応温度は、通常10〜50℃、好ましくは20〜30℃である。反応終了後、水層を分離し、更に有機層を水で洗浄する。洗浄終了後、適当な再結晶溶媒で結晶化させることにより、式(11)で表される化合物を得ることができる。なお、式(10)で表される化合物を生成した後反応溶液にヨウ化カリウムを加え、式(10)で表される化合物をヨウ素イオンに塩交換することにより固体として取り出し、精製後、精製物についてX-で塩交換してもよく、また精製物について、スルホン酸エステルを用いてヨウ素イオンを塩交換してもよい。
【0047】
【化10】


【0048】
その後、下記反応式に示すように、式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物とを用いて脱ハロゲン化水素反応を行わせることにより、式(13)で表されるスルホニウム塩を得ることができる。なお、下記反応式中YはCl及びBr等のハロゲン原子を表す。具体的には、例えば、極性溶媒中で炭酸カリウム(K23)等の塩基性触媒の存在下で式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物とを反応させる。反応温度は通常60〜90℃とする。反応終了後、水を加え、ヘキサン等の無極性溶媒を用いて、水層を洗浄した後、塩素系溶媒で抽出する。その後有機層を分離し、水で洗浄した後、塩素系溶媒を留去することにより、下記式(13)で表されるスルホニウム塩を得ることができる。なお、式(9)〜式(12)の化合物は、市販されているものを用いることもできる。
【0049】
【化11】


【0050】
この式(13)で表される化合物と、ポリヒドロキシスチレンまたはポリ(ヒドロキシスチレン−スチレン)の共重合体とを1,3−ジオキソラン等の有機溶媒中において酸性触媒下で反応させると、上記式(1)で表される繰り返し単位を導入することができる。
【0051】
式(2)で表される繰り返し単位は、ヒドロキシスチレンまたはポリ(ヒドロキシスチレン−スチレン)の共重合体に下記式(14)で表されるビニルエーテルを、1,3−ジオキソラン等の有機溶媒中において酸性触媒の存在下で付加反応させることにより導入することができる。
【0052】
【化12】


【0053】
(R8は炭素数2〜9の、直鎖もしくは分岐の炭化水素基を表す。)
【0054】
式(3)で表される繰り返し単位は、下記式(15)で表されるジ−t−ブチルジカーボネートとポリヒドロキシスチレンまたはポリ(ヒドロキシスチレン−スチレン)の共重合体とを、1,3−ジオキソラン等の有機溶媒中において塩基性触媒存在下で反応させることにより製造することができる。
【0055】
【化13】


【0056】
なお、式(1)〜(5)式で表される繰り返し単位を有するポリマーを適宜反応させることにより、本発明の感光性樹脂を製造してもよい。また、式(1)〜(5)で表される各繰り返し単位のモノマーを、有機溶媒中で重合開始剤を用いて共重合させることにより、本発明の感光性樹脂を製造することもできる。有機溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、1,3―ジオキソラン及び1,3―ジオキサン等のエーテル類や、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類が好ましい。重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤、レドックス系開始剤等、公知のものを用いてよいが、取り扱いの容易さ、反応速度と分子量調節のし易さ等を考慮して適宜選択するとよい。
【0057】
以下に具体的な製造方法例を記載する。下記表1に示すタイプ1の感光性樹脂は、例えば、ポリヒドロキシスチレンに、上記有機溶媒中、酸触媒存在下で式(14)の化合物及び式(13)の化合物を付加させる。また。タイプ2の感光性樹脂は、ポリヒドロキシスチレンに、上記有機溶媒中、酸触媒存在下で式(13)の化合物を付加させた後、塩基性触媒と式(15)の化合物とを添加して反応させる。タイプ3の感光性樹脂は、ポリヒドロキシスチレンに、上記有機溶媒中、酸触媒存在下で式(14)の化合物及び(13)の化合物を付加させた後、塩基性触媒と式(15)の化合物とを添加して反応させる。タイプ4の感光性樹脂は、ポリ(ヒドロキシスチレン−スチレン)に、上記有機溶媒中、酸触媒存在下で式(14)の化合物及び式(13)の化合物を付加させる。タイプ5の感光性樹脂は、ポリ(ヒドロキシスチレン−スチレン)に、上記有機溶媒中、酸触媒存在下で式(13)の化合物を付加させた後、塩基性触媒と式(15)の化合物とを添加して反応させる。タイプ6の感光性樹脂は、ポリ(ヒドロキシスチレン−スチレン)に、上記有機溶媒中、酸触媒存在下で式(14)の化合物及び(13)の化合物を付加させた後、塩基性触媒と式(15)の化合物とを添加して反応させる。
【0058】
【表1】


【0059】
上記本発明の感光性樹脂を有機溶媒に溶解したものが、本発明の感光性組成物である。本発明の感光性樹脂は、光酸発生剤として働く構造と、酸解離基とを有するため、溶媒に溶解させることにより酸発生剤を含有させずに単独で化学増幅型の感光性組成物とすることができる。従って、酸発生剤と酸解離基を有するポリマーとの相溶性が悪いという問題点を伴うことがなく、均一な溶液の感光性組成物となり、これを用いると所望のパターンを形成することができる。
【0060】
感光性組成物の有機溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類及びプロピレングリコールジアルキルエーテルアセテート類が挙げられる。感光性組成物に含有させる本発明の感光性樹脂の割合は、感光性樹脂が溶解可能な範囲で適宜選択することができるが、通常は3〜30重量%が好ましい。
【0061】
本発明の感光性組成物には、露光により上記式(1)で表される繰り返し単位から生じた酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、未露光領域での好ましくない化学反応を抑制する作用等を有するいわゆる酸拡散制御剤を用いることが好ましい。酸拡散制御剤としては、露光や加熱により塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。また、酸拡散制御剤の使用量は、感光性樹脂に対し、通常、0.005〜5重量%である。使用量が多いとレジストとしての感度や現像性が低下する傾向があり、また、少ないとレジストとしての解像度、プロセス安定性等の改善効果が不充分となるためである。
【0062】
また、本発明の感光性組成物には、必要に応じて、界面活性剤、増感剤、消泡剤等の各種添加剤を配合してもよい。
【0063】
本発明の感光性組成物からレジストパターンを形成する際には、感光性組成物を、スピンコーティング、流延塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウエハ等の基板の上に塗布することにより、レジスト膜を形成し、必要に応じ予め加熱処理を行った後、所定のパターンを有するマスクを介して露光する。その際に使用する活性放射線は、パターンの微細度、感光性組成物の感度等に応じて、ディープUV、電子線、X線又はEUV(極端紫外線)等を適宜選択すればよい。また、露光量等の露光条件は、組成物の配合組成、各添加剤の種類等に応じて適宜選択すればよい。露光後に加熱処理を行うことが好ましく、その加熱条件は、組成物の配合組成、各添加剤の種類等により適宜選択すればよい。
【0064】
次いで、パターン露光されたレジスト膜を、アルカリ現像液で現像することにより、所定のレジストパターンを形成することができる。アルカリ現像液としては、例えば、アルカリ金属水酸化物、アンモニア水、モノ−、ジ−あるいはトリ−アルキルアミン類、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類、コリン等のアルカリ性化合物を、通常、1〜5重量%の濃度となるように溶解したアルカリ性水溶液を挙げることができる。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後水洗を行う。
【実施例】
【0065】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されものではない。
【0066】
(合成例1)
下記式で表される化合物(4−ビニロキシエトキシフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩)の合成:
【0067】
【化14】


【0068】
4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩52.2g、炭酸カリウム18.0g及びN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン1.05gをジメチルスルホキシド26.1gに溶解した。その後クロロエチルビニルエーテルを13.9g添加し80℃まで昇温した。15時間撹拌し、反応液を30℃以下に冷却した。濾過により固形分を取り除いた後、水を100g加え、ヘキサン100gを用いて水層を3回洗浄した。ジクロロメタン209g及び水260gを加え攪拌し、ジクロロメタン層に目的物を抽出した。分離した水層のpHが7になるまで蒸留水で有機層の洗浄を繰り返した。ロータリーエバポレーターで溶剤を留去することにより、油状の物質69.9gを得た。この物質は、1H−NMR及びイオンクロマトグラフィによる測定結果から、4−ビニロキシエトキシフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩であることを確認した。
【0069】
1H−NMR (400 MHz,CDCl3)δ4.05−4.08(m,3H),4.24(d,J=7.4,2.4 Hz,1H),4.31−4.33(m,2H),6.49(dd,J=14.4,7.4 Hz,1H),7.24(d,J=6.8 Hz,2H),7.64−7.74(m,12H)
【0070】
(合成例2)
下記式で表される化合物(4−ビニロキシエトキシ3,5−ジメチルフェニルジ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩)の合成:
【0071】
【化15】


【0072】
4−ヒドロキシ3,5−ジメチルフェニルジ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩28.6g、炭酸カリウム8.10g及びN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.46gをジメチルスルホキシド142gに溶解した。その後クロロエチルビニルエーテルを6.08g添加し80℃まで昇温した。19時間撹拌し、反応液を30℃以下に冷却した。濾過により固形分を取り除いた後、水を20.9g加え、ヘキサン85.1gを用いて水層を3回洗浄した。ジクロロメタン226g及び水141gを加え攪拌し、ジクロロメタン層に目的物を抽出した。分離した水層のpHが7になるまで蒸留水で有機層の洗浄を繰り返した。ロータリーエバポレーターで溶剤を留去することにより、褐色油状の物質27.4gを得た。この物質は、1H−NMR及びイオンクロマトグラフィによる測定結果から、4−ビニロキシエトキシ3,5−ジメチルフェニルジ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩であることが確認された。
【0073】
1H−NMR (400 MHz,CDCl3)δ1.35(s,18H),2.36(s,6H),4.02−4.08(m,3H),4.12−4.14(m,2H),4.25(d,J=14.3,6.1 Hz,1H),6.50(dd,J=14.3,6.6 Hz,1H),7.35(s,2H),7.59−7.75(m,8H)
【0074】
(合成例3)
下記式で表される化合物(4−ビニロキシオクトキシフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩)の合成:
【0075】
【化16】


【0076】
8−クロロ−1−オクタノール1.23g、炭酸ナトリウム0.47g、ジ−μ−クロロビス[η−シクロオクタジエンイリジウム(I)]0.47g及び酢酸ビニル1.31gをトルエン6.15gに加え100℃で4時間攪拌した。室温まで冷却後、溶媒を留去し、溶媒としてヘキサンとジクロロメタンとの混合溶媒(ヘキサンとジクロロメタンとの体積比は2:1)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製することにより、無色透明液体の8−クロロオクチルビニルエーテル1.16gを得た。
【0077】
4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩2.67g、炭酸カリウム0.78g及びN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.05gをジメチルスルホキシド13.3gに溶解した。その後8−クロロオクチルビニルエーテル1.05gを添加し80℃まで昇温した。15時間撹拌し、反応液を30℃以下に冷却した。濾過により固形分を取り除いた後、水を13.3g加え、ヘキサン7.96gを用いて水層を3回洗浄した。ジクロロメタン10.6g、水gを加え攪拌し、ジクロロメタン層に目的物を抽出した。分離した水層のpHが7になるまで蒸留水で有機層の洗浄を繰り返した。ロータリーエバポレーターで溶剤を留去することにより、褐色油状の物質2.53gを得た。この物質は、1H−NMR及びイオンクロマトグラフィによる測定結果から、4−ビニロキシオクトキシフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩であることが確認された。
【0078】
1H−NMR (400 MHz,CDCl3) δ1.36−1.47(m,8H),1.64−1.67(m,2H),1.78−1.83(m,2H),3.67(t,J=6.6 Hz,2H),3.96(dd,J=6.8,2.0 Hz,1H),4.04(t,J=6.6 Hz,2H).4.16(dd,J=14.4,2.0 Hz,1H),6.46(dd,J=14.4,6.8 Hz,1H),7.16−7.19(m,2H),7.65−7.76(m,12H)
【0079】
(合成例4)
下記式で表される化合物(4−ビニロキシエトキシフェニルジフェニルスルホニウムシクロ(1,3−パーフルオロプロパンジスルホン)イミド塩)の合成:
【0080】
【化17】


【0081】
五酸化二リン4.66g及びジフェニルスルホキシド13.3gをメタンスルホン酸63.1gに溶解した後、フェノール9.26gを投入し室温で15時間攪拌した。30℃以下の温度を保ちながら水を199g滴下し、t−ブチルメチルエーテル66.4gで3回水層を洗浄した後、ジクロロメタン120g及びシクロ1,3−パーフルオロプロパンジスルホンイミドカリウム塩23.9gを投入し2時間攪拌した。攪拌を止め、分離した水層を取り除いた後、0.1重量%アンモニア水溶液66.4gを加え攪拌した。次に有機層を蒸留水で洗浄し、これを分離した水層のpHが7になるまで繰り返した。ロータリーエバポレーターで溶剤を留去することにより、褐色油状の4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウムシクロ(1,3−パーフルオロプロパンジスルホン)イミド塩32.1gを得た。
【0082】
4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウムシクロ(1,3−パーフルオロプロパンジスルホン)イミド塩32.1g、炭酸カリウム11.2g及びN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.67gをジメチルスルホキシド164gに溶解した。その後クロロエチルビニルエーテルを8.65g添加し80℃まで昇温した。15時間撹拌し、反応液を30℃以下に冷却した。濾過により固形分を取り除いた後、水を80g加え、ヘキサン40gを用いて水層を3回洗浄した。ジクロロメタン120g及び水260gを加え攪拌し、ジクロロメタン層に目的物を抽出した。分離した水層のpHが7になるまで蒸留水で有機層の洗浄を繰り返した。ロータリーエバポレーターで溶剤を留去することにより、油状の物質29.1gを得た。この物質は、1H−NMR及びイオンクロマトグラフィによる測定結果から、4−ビニロキシエトキシフェニルジフェニルスルホニウムシクロ(1,3−パーフルオロプロパンジスルホン)イミド塩であることが確認された。
【0083】
1H−NMR (400 MHz,CDCl3)δ4.05−4.08(m,3H),4.24(d,J=7.4,2.4 Hz,1H),4.31−4.33(m,2H),6.49(dd,J=14.4,7.4 Hz,1H),7.24(d,J=6.8 Hz,2H),7.64−7.74(m,12H)
【0084】
(合成例5)
下記式で表される化合物(4−ビニロキシエトキシフェニルジフェニルスルホニウムビス(パーフルオロメタンスルホン)イミド塩)の合成:
【0085】
【化18】


【0086】
五酸化二リン2.33g及びジフェニルスルホキシド6.65gをメタンスルホン酸31.5gに溶解した後、フェノール4.80gを投入し室温で15時間攪拌した。30℃以下の温度を保ちながら水を100g滴下し、t−ブチルメチルエーテル30gで3回水層を洗浄した後、ジクロロメタン60g及びビス(パーフルオロメタンスルホンイミド)カリウム塩11.6gを投入し2時間攪拌した。攪拌を止め、分離した水層を取り除いた後、0.1重量%アンモニア水溶液30gを加え攪拌した。次に有機層を蒸留水で洗浄し、これを分離した水層のpHが7になるまで繰り返した。ロータリーエバポレーターで溶剤を留去することにより、褐色油状の4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウムビス(パーフルオロメタンスルホン)イミド塩16.1gを得た。
【0087】
4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウムビス(パーフルオロメタンスルホン)イミド塩16g、炭酸カリウム4.7g及びN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.33gをジメチルスルホキシド80gに溶解した。その後クロロエチルビニルエーテルを3.66g添加し80℃まで昇温した。15時間撹拌し、反応液を30℃以下に冷却した。濾過により固形分を取り除いた後、水を40g加え、ヘキサン30gを用いて水層を3回洗浄した。ジクロロメタン60g及び水120gを加え攪拌し、ジクロロメタン層に目的物を抽出した。分離した水層のpHが7になるまで蒸留水で有機層の洗浄を繰り返した。ロータリーエバポレーターで溶剤を留去することにより、油状の物質14.4gを得た。この物質は、1H−NMR及びイオンクロマトグラフィによる測定結果から、4−ビニロキシエトキシフェニルジフェニルスルホニウムビス(パーフルオロメタンスルホン)イミド塩であることが確認された。
【0088】
1H−NMR (400 MHz,CDCl3)δ4.05−4.08(m,3H),4.24(d,J=7.4,2.4 Hz,1H),4.31−4.33(m,2H),6.49(dd,J=14.4,7.4 Hz,1H),7.24(d,J=6.8 Hz,2H),7.64−7.74(m,12H)
【0089】
(合成例6)
4−ビニロキシエトキシフェニルジ(4−t−ブチルフェニル)2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホン酸塩の合成:
【0090】
【化19】


【0091】
4−ヒドロキシフェニルジ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム 2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホン酸塩5.0g、炭酸カリウム1.28g及びN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.10gをジメチルスルホキシド15gに溶解した。その後クロロエチルビニルエーテルを0.83g添加し80℃まで昇温した。15時間撹拌し、反応液を30℃以下に冷却した。濾過により固形分を取り除いた後、水75g及びジクロロメタン44gを加え、ジクロロメタン層に目的物を抽出した。分離した水層のpHが7になるまで蒸留水で有機層の洗浄を繰り返した。ロータリーエバポレーターで溶剤を留去し、得られた油状物をアセトニトリル20gで溶解し、ヘキサン15gを用いてアセトニトリル層の洗浄を5回行った。ロータリーエバポレーターで溶剤を留去することにより褐色油状の物質4.64gを得た。この物質は、1H−NMR及びイオンクロマトグラフィによる測定結果から、4−ビニロキシエトキシフェニルジ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム 2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホン酸塩であることが確認された。
【0092】
1H−NMR (400 MHz,CDCl3)δ1.21(d,J=6.8 Hz,18H),1.32(s,18H),2.83(sep,J=6.8 Hz,1H),4.02−4.08(m,3H),4.24(dd,J=14.3,2.4 Hz,1H),4.29−4.31(m,2H),4.73(sep,J=6.8 Hz,2H),6.50(dd,J=14.4,6.8 Hz,1H),7.02(s,2H),7.24−7.26(m,2H),7.60−7.89(m,10H)
【0093】
(実施例1)下記式(A)で表される感光性樹脂1の合成(表1のタイプ1の感光性樹脂)
【0094】
【化20】


【0095】
ポリスチレン換算で分子量(Mw)16400、分子量分布(Mw/Mn)1.09のポリヒドロキシスチレン50.0gを窒素雰囲気下1,3−ジオキソラン350mLに溶解後、1,3−ジオキソランを常圧で留去して、系内水分が100ppm以下まで低減されたのを確認した。反応液を20℃以下まで冷却し、35重量%塩酸62μLを添加した。次に34.6重量%のエチルビニルエーテルの1,3−ジオキソラン溶液28.4gを1時間かけて滴下し、30℃で2時間撹拌した。溶液を15℃まで冷却し、合成例1で得た4−ビニロキシエトキシフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩の63.8重量%1,3−ジオキソラン溶液8.8gを30分かけ滴下した後、30℃で2時間撹拌した。アンモニア水で中和を行い、この溶液を室温の純水1700gへ滴下し固体を析出させた。固体をろ別後、アセトニトリルと純水とを用いて再沈澱を施し、35℃で24時間乾燥することにより樹脂53.5gを得た。この樹脂は、1H−NMRによる測定結果から、用いたポリヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子のエトキシエチル化率が30.6%、式(1)で示される単位が1.6%である構造となった感光性樹脂であることが確認された。すなわち、各組成は、a:b:d=1.6:30.6:67.8(mol%)である。
【0096】
(実施例2)上記式(A)で表される感光性樹脂2の合成(表1のタイプ1の感光性樹脂)
ポリスチレン換算で分子量(Mw)16400、分子量分布(Mw/Mn)1.09のポリヒドロキシスチレン50.0gを窒素雰囲気下1,3−ジオキソラン350mLに溶解後、1,3−ジオキソランを常圧で留去して、系内水分が100ppm以下まで低減されたのを確認した。反応液を20℃以下まで冷却し35重量%塩酸62μLを添加した。次に35.4重量%のエチルビニルエーテルの1,3−ジオキソラン溶液27.9gを1時間かけて滴下し、30℃で2時間撹拌した。溶液を15℃まで冷却し、合成例1で得た4−ビニロキシエトキシフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩の63.8重量%1,3−ジオキソラン溶液2.8gを30分かけ滴下した後、30℃で2時間撹拌した。アンモニア水で中和を行い、この溶液を室温の純水2000gへ滴下し固体を析出させた。固体をろ別後、アセトニトリルと純水とを用いて再沈澱を施し、35℃で24時間乾燥することにより樹脂52.0gを得た。この樹脂は、1H−NMRによる測定結果から、用いたポリヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子のエトキシエチル化率が30.8%、式(1)で示される単位が0.60%である構造となった感光性樹脂であることが確認された。すなわち、各組成は、a:b:d=0.6:30.8:68.6(mol%)である。
【0097】
(実施例3)下記式(B)で表される感光性樹脂3の合成(表1のタイプ3の感光性樹脂)
【0098】
【化21】


【0099】
ポリスチレン換算で分子量(Mw)16400、分子量分布(Mw/Mn)1.09のポリヒドロキシスチレン50.0gを窒素雰囲気下1,3−ジオキソラン350mLに溶解後、1,3−ジオキソランを常圧で留去して、系内水分が100ppm以下まで低減されたのを確認した。反応液を20℃以下まで冷却し35重量%塩酸63μLを添加した。次に28.1重量%のエチルビニルエーテルの1,3−ジオキソラン溶液26.0gを1時間かけて滴下し、30℃で2時間撹拌した。溶液を15℃まで冷却し、合成例2で得た4−ビニロキシエトキシ3,5−ジメチルフェニルジ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩の63.8重量%1,3−ジオキソラン溶液8.8gを30分かけ滴下した後、30℃で2時間撹拌した。その後、N,N−ジメチルアミノピリジン0.21gを添加し、40℃まで加温した。70.0重量%ジ−tert−ブチルジカーボネートの1,3−ジオキソラン溶液19.5gを1時間かけて滴下し、同温度で1時間撹拌した。この溶液を室温の純水1700gへ滴下し固体を析出させた。固体をろ別後、ジクロロメタンとヘキサンとを用いて再沈澱を施し、35℃で24時間乾燥することにより樹脂53.1gを得た。この樹脂は、1H−NMRによる測定結果から、用いたポリヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子のエトキシエチル化率が21.4%、式(1)で示される単位が1.7%、t−ブトキシカルボニル化が9.2%である構造となった感光性樹脂であることが確認された。すなわち、各組成は、a:b:c:d=1.7:21.4:9.2:67.7(mol%)である。
【0100】
(実施例4)下記式(C)で表される感光性樹脂4の合成(表1のタイプ1の感光性樹脂)
【0101】
【化22】


【0102】
ポリスチレン換算で分子量(Mw)16400、分子量分布(Mw/Mn)1.09のポリヒドロキシスチレン50.0gを窒素雰囲気下1,3−ジオキソラン350mLに溶解後、1,3−ジオキソランを常圧で留去して、系内水分が100ppm以下まで低減されたのを確認した。反応液を20℃以下まで冷却し35重量%塩酸62μLを添加した。次に35.4重量%のエチルビニルエーテルの1,3−ジオキソラン溶液27.9gを1時間かけて滴下し、30℃で2時間撹拌した。溶液を15℃まで冷却し、合成例3で得た4−ビニロキシオクトキシフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホン酸塩の63.8重量%1,3−ジオキソラン溶液4.2gを30分かけ滴下した後、30℃で2時間撹拌した。アンモニア水で中和を行い、この溶液を室温の純水2000gへ滴下し固体を析出させた。固体をろ別後、アセトニトリルと純水とを用いて再沈澱を施し、35℃で24時間乾燥することにより樹脂52.0gを得た。この樹脂は、1H−NMRによる測定結果から、用いたポリヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子のエトキシエチル化率が30.2%、式(1)で示される単位が1.0%である構造となった感光性樹脂であることが確認された。すなわち、各組成は、a:b:d=1.0:30.2:68.8(mol%)である。
【0103】
(実施例5)下記式(D)で表される感光性樹脂5の合成(表1のタイプ1の感光性樹脂)
【0104】
【化23】


【0105】
ポリスチレン換算で分子量(Mw)9000、分子量分布(Mw/Mn)1.11のポリヒドロキシスチレン50.0gを窒素雰囲気下1,3−ジオキソラン400mLに溶解し、系内水分が100ppm以下まで低減されたのを確認した。この溶液を15℃まで冷却し35重量%塩酸63μLを添加した。次に35.5重量%のエチルビニルエーテルの1,3−ジオキソラン溶液28.4gを15分で滴下し、15℃で60分、30℃で1.5時間撹拌した。この溶液を15℃まで冷却し、合成例4で得た4−ビニロキシエトキシフェニルジフェニルスルホニウムシクロ(1,3−パーフルオロプロパンジスルホン)イミド塩の35.1重量%1,3−ジオキソラン溶液8.4gを15分かけ滴下した後、15℃で30分、30℃で2時間撹拌した。28重量%アンモニア水172μLを加え10分以上撹拌することで中和を行い、この溶液を室温の純水1700gへ1時間かけて滴下し固体を析出させた。これをろ過し、アセトニトリルと純水とを用いて再沈澱を施し、35℃で24時間乾燥することにより樹脂53.7gを得た。この樹脂は、1H−NMRによる測定結果から、用いたポリヒドロキシスチレンの水酸基水素原子のエトキシエチル化率が31.8%、式(1)で示される単位が1.1%である構造となった感光性樹脂であることが確認された。すなわち、各組成は、a:b:d=1.1:31.8:67.1(mol%)である。
【0106】
(実施例6)下記式(E)で表される感光性樹脂6の合成(表1のタイプ1の感光性樹脂)
【0107】
【化24】


【0108】
ポリスチレン換算で分子量(Mw)16400、分子量分布(Mw/Mn)1.09のポリヒドロキシスチレン50.0gを窒素雰囲気下1,3−ジオキソラン350mLに溶解後、1,3−ジオキソランを常圧で留去して、系内水分が100ppm以下まで低減されたのを確認した。反応液を20℃以下まで冷却し35重量%塩酸62μLを添加した。次に35.4重量%のエチルビニルエーテルの1,3−ジオキソラン溶液27.9gを1時間かけて滴下し、30℃で2時間撹拌した。溶液を15℃まで冷却し、合成例5で得た4−ビニロキシエトキシフェニルジフェニルスルホニウムビス(パーフルオロメタンスルホン)イミド塩の63.8重量%1,3−ジオキソラン溶液3.4gを30分かけ滴下した後、30℃で2時間撹拌した。アンモニア水で中和を行い、この溶液を室温の純水2000gへ滴下し固体を析出させた。固体をろ別後、アセトニトリルと純水とを用いて再沈澱を施し、35℃で24時間乾燥することにより樹脂52.0gを得た。この樹脂は、1H−NMRによる測定結果から、使用したポリヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子のエトキシエチル化率が30.8%、式(1)で示される単位が0.8%である構造となった感光性樹脂であることが確認された。すなわち、各組成は、a:b:d=0.8:30.8:68.4(mol%)である。
【0109】
(実施例7)下記式(F)で表される感光性樹脂7の合成(表1のタイプ1の感光性樹脂)
【0110】
【化25】


【0111】
ポリスチレン換算で分子量(Mw)16400、分子量分布(Mw/Mn)1.09のポリヒドロキシスチレン50.0gを窒素雰囲気下1,3−ジオキソラン350mLに溶解後、1,3−ジオキソランを常圧で留去して、系内水分が100ppm以下まで低減されたのを確認した。反応液を20℃以下まで冷却し、35重量%塩酸62μLを添加した。次に31.3重量%のエチルビニルエーテルの1,3−ジオキソラン溶液27.2gを1時間かけて滴下し、30℃で2時間撹拌した。溶液を15℃まで冷却し、合成例6で得た4−ビニロキシエトキシフェニルジ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム 2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホン酸塩の19.9重量%1,3−ジオキソラン溶液10.1gを30分かけ滴下した後、30℃で2時間撹拌した。アンモニア水で中和を行い、この溶液を室温の純水2500gへ滴下し固体を析出させた。固体をろ別後、アセトニトリルと純水とを用いて再沈澱を施し、35℃で24時間乾燥することにより樹脂53.7gを得た。この樹脂は、1H−NMRによる測定結果から、用いたポリヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子のエトキシエチル化率が32.3%、式(1)で示される単位が0.6%である構造となった感光性樹脂であることが確認された。すなわち、各組成は、a:b:d=0.6:32.3:67.1(mol%)である。
【0112】
<キセノンランプを用いた露光による評価>
(フォトレジストの調製とブレークスルータイム測定)
実施例1で得た感光性樹脂1を100重量部と、トリエタノールアミンを0.24重量部とを、プロピレングリコールモノメチルアセテート525重量部に溶解し、フィルター(PTFEフィルター)でろ過して液状のポジ型フォトレジスト(感光性組成物)を調製した。このレジストを、スピナーを用いて、シリコンウエハ(直径:4インチ)に塗布し、110℃で90秒間プレベークし、膜厚500nmのレジスト膜を得た。このレジスト膜をキセノンランプ(波長:248nm)により露光し、次いで110℃で90秒間ポストベーク(露光後加熱)を行った。その後、23℃で現像液(2.38重量%のテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドの水溶液)を用いて、ブレークスルータイムを測定した。なお、ブレークスルータイムとは、一定のエネルギーを照射した後、現像により残膜が皆無になる秒数である。
【0113】
この結果、ブレークスルータイムは、露光量が100mJでは12秒、500mJでは3秒であった。したがって、実施例1で得た感光性樹脂1は、キセノンランプによる露光により、本発明の感光性樹脂における式(1)で表される構造部分から酸が発生し、この酸により樹脂の酸解離基の部分が脱離し、現像液に対して難溶解性から可溶性になったことが判った。
【0114】
また、感光性樹脂1の代わりに実施例2〜7で得た各感光性樹脂2〜7を用いて、上記と同様の方法によりポジ型フォトレジストを調製し、レジスト膜を得て、露光、ポストベーク、現像を行い、ブレークスルータイムの測定を行った。その結果、ブレークスルータイムは、露光量100mJでは12±2秒の範囲内、500mJでは3±1秒の範囲内であった。したがって、感光性樹脂2〜7も、キセノンランプによる露光により、本発明の感光性樹脂における式(1)で表される構造部分から酸が発生し、この酸によりポリマーの酸解離基の部分が脱離し、現像液に対して難溶解性から可溶性になったことが判った。
【0115】
<極端紫外線(EUV)の露光による評価>
(フォトレジストの調製と塗布)
実施例1で得た感光性樹脂1を100重量部と、トリフェニルシリルアミン40重量部とをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2000重量部に溶解し、0.1μmのメンブレンフィルターでろ過してポジ型フォトレジストを調製した。このレジスト溶液をヘキサメチルジシラザン処理を施した4インチのシリコンウエハ上にスピンコートし、ホットプレートを用いて120℃、90秒加熱して膜厚0.1μmの均一な膜を作製した。同様にして、実施例2で得た感光性樹脂2を用いてポジ型フォトレジストを調製し製膜した。
【0116】
(感度測定)
大型放射光施設SPring−8の直線加速器から入射した1GeVの加速電子を用いてニュースバル蓄積リングの偏向電磁石で発生させたシンクロトロン放射光を、Mo/Si多層膜反射で波長13.5nmに単色した極端紫外線(EUV)を、露光光に用いた。このEUVを、上記で形成したフォトレジスト薄膜に照射し、90℃、60秒の熱処理後、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(TMAH)2.38重量%水溶液中に23℃にて30秒間浸漬させた。次に、水洗、乾燥後の膜厚を、Nanometrics社製の非接触型膜厚測定で測定した。この操作を、露光量の設定水準を多水準として種々行い、レジスト残膜厚が0になるときの露光量をEth感度として求めた。結果を表2に示す。この結果、本発明の感光性樹脂の感度が極めて良好であることが分かった。
【0117】
【表2】


【0118】
<電子描画装置での評価>
(フォトレジストの調製と塗布)
実施例1で得た感光性樹脂1を100重量部とトリフェニルシリルアミン40重量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2000重量部に溶解し、0.1μmのメンブレンフィルターでろ過してポジ型フォトレジストを調製した。このレジスト溶液を、ヘキサメチルジシラザン処理を施した4インチのシリコンウエハ上にスピンコートし、ホットプレートを用いて120℃、90秒加熱して膜厚0.1μmの均一な膜を作製した。同様に、実施例2で得た感光性樹脂2を用いてポジ型フォトレジストを調製し製膜した。
【0119】
電子線描画装置を用いて、加速電圧30keV、電流値100pAの条件で、上記で形成したフォトレジスト薄膜に照射した。照射後に90℃、60秒ベークを行い、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(TMAH)2.38重量%水溶液中に23℃にて30秒間浸漬し、純水でリンスして乾燥した。得られたパターンを下記の方法で評価した。
【0120】
(感度)
得られたパターンの断面を走査型顕微鏡で観察した。200nmライン(ラインアンドスペース1:1)を解像することができる最小照射エネルギーを感度とした。
【0121】
(ラインエッジラフネス)
上記感度の下で作成したラインパターンの50μm長における任意の30点のライン幅を、CD−SEMにより測定し、そのバラツキの標準偏差を3倍したものをもってラインエッジラフネスとした。このラフネスの値が小さいほど平滑であることを意味する。
【0122】
結果を表3に示す。この結果、本発明の感光性樹脂を用いることにより、良好なパターンを形成できたことが確認された。
【0123】
【表3】


【出願人】 【識別番号】592216384
【氏名又は名称】兵庫県
【識別番号】000222691
【氏名又は名称】東洋合成工業株式会社
【出願日】 平成18年12月28日(2006.12.28)
【代理人】 【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之

【識別番号】100128532
【弁理士】
【氏名又は名称】村中 克年


【公開番号】 特開2008−7743(P2008−7743A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−355612(P2006−355612)