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【発明の名称】 水性樹脂分散体の製造方法
【発明者】 【氏名】北村 貴志

【氏名】原川 浩美

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸基を有する重合性不飽和モノマー(a)、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b)及びその他の重合性不飽和モノマー(c)を含むモノマー混合物(I)を水性媒体中に平均粒子径が500nm以下となるように微分散させ、得られる乳化物を重合することを特徴とする水性樹脂分散体の製造方法。
【請求項2】
リン酸基を有する重合性不飽和モノマー(a)が、ポリオキシアルキレン単位を分子中に有するものである請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a)が、その成分の一部として該リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a)を塩基性物質により中和したリン酸塩基含有重合性不飽和モノマーを含む請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製造方法により得られる水性樹脂分散体を含む水性塗料組成物。
【請求項5】
被塗面に、請求項4に記載の水性塗料組成物を塗装する塗装方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は水性樹脂分散体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、塗料の分野においては、環境問題への対応や、作業環境改善の要求から、水性化への試みがなされている。一般に仕上がり性、塗膜性能の点などにおいて水性塗料は溶剤系塗料と比較すると不十分なものであり、特に常温乾燥又は強制乾燥するタイプの水性塗料においては、乾燥段階における塗膜表面のレベリング性や塗膜中の架橋反応が加熱硬化型の場合と比較すると不十分であるために、仕上がり性や塗膜物性を溶剤系塗料に近づけることは困難である。
【0003】
ところで市場では汎用性の点から一液型塗料が望まれており、一液型で常温乾燥又は強制乾燥の条件でも仕上がり性、塗膜性能が良好な水性塗料の開発が望まれている。
【0004】
常乾型の水性塗料として例えば、特許文献1には、架橋性カルボニル基を含むエマルジョン粒子とジヒドラジド化合物を含む組成物が開示されている。該組成物は、貯蔵性に優れ、耐水性等の物性にも優れた塗膜が形成できるが、金属面に対する付着性が不十分な場合がある。
【0005】
一方、常温乾燥の条件で硬化が可能な水性の一液型塗料として酸化硬化型樹脂を含む塗料が知られている。
【0006】
例えば特許文献2には、乾性油脂肪酸及び/又は半乾性油脂肪酸、エポキシ基含有重合性不飽和モノマー、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基及びリン酸塩基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基を有する重合性不飽和モノマーを共重合成分とする脂肪酸変性アクリル樹脂であり、該樹脂が水性媒体中に微細に分散されていることを特徴とする水性樹脂組成物が記載されている。
【0007】
特許文献2に記載の水性樹脂組成物によれば、耐食性、肉持ち感等に優れた水性アルキド樹脂の特性と、耐候性、耐アルカリ性等に優れた水性アクリル樹脂の特性とを併せ持つ塗膜を形成し得るものであるが、有機溶剤の存在下で重合することにより得られるものであるため、組成物中に有機溶剤が持ち込まれる問題がある。
【0008】
【特許文献1】特開平4−249587号公報
【特許文献2】特開2004−292795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、常温乾燥の条件でも硬化性が良好で、耐食性に優れた塗膜を形成するのに適する水性樹脂分散体を有機溶剤を多量に使用することなく安定に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記した課題に鋭意検討した結果、今回、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー、リン酸基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーを含むモノマー混合物を水性媒体中に特定の平均粒子径となるように微分散し重合させる方法によって、上記した課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、
1. リン酸基を有する重合性不飽和モノマー(a)、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b)及びその他の重合性不飽和モノマー(c)を含むモノマー混合物(I)を水性媒体中に平均粒子径が500nm以下となるように微分散させ、得られる乳化物を重合することを特徴とする水性樹脂分散体の製造方法、
2. リン酸基を有する重合性不飽和モノマー(a)が、ポリオキシアルキレン単位を分子中に有するものである1項に記載の製造方法、
3. リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a)が、その成分の一部として該リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a)を塩基性物質により中和したリン酸塩基含有重合性不飽和モノマーを含む1項または2項に記載の製造方法、
4. 1項ないし3項のいずれか1項に記載の製造方法により得られる水性樹脂分散体を含む水性塗料組成物、
5. 被塗面に、4項に記載の水性塗料組成物を塗装する塗装方法、
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水性樹脂分散体の製造方法によれば、有機溶剤を多量に使用することなく安定に製造でき、得られる水性樹脂分散体を用いて形成される塗膜は、仕上がり性が良好で、金属面に対して付着性が良好であり、耐食性に優れた塗膜を常温乾燥の条件でも形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a)、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b)及びその他の重合性不飽和モノマー(c)を含むモノマー混合物(I)を水性媒体中に平均粒子径が500nm以下となるように微分散させ、得られる乳化物を重合することを特徴とする水性樹脂分散体の製造方法である。
【0013】
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(a)
本発明においてリン酸基含有重合性不飽和モノマー(a)は、分子中にリン酸基および重合性不飽和基を有する化合物が挙げらる。本発明において重合性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基等を挙げることができ、(メタ)アクリロイル基が特に好適である。
【0014】
かかるリン酸基を有する重合性不飽和モノマー(a)としては、例えば下記式(1)で表される化合物を例示することができる。
【0015】
【化1】


【0016】
(式中、Rは水素原子またはメチル基、mは1〜3の整数を表す。)
上記モノマーの具体例としては、例えば2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等を挙げることができる。これらは1種で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、本発明においては、上記リン酸基を有する重合性不飽和モノマー(a)が、ポリオキシアルキレン単位を分子中に有するものであることが望ましい。これによって多量の乳化剤を使用せずともモノマー混合物(I)の微分散を容易にさせ、得られる塗膜の耐水性、耐食性を向上させる効果がある。
【0017】
かかるリン酸基およびポリオキシアルキレン単位を有する重合性不飽和モノマーとしては例えば下記式(2)で表されるモノマーを挙げることができる。
【0018】
【化1】


【0019】
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜30の整数を表す。)。
上記式(2)で表されるモノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸にアルキレンオキサイドを溶媒中で触媒を用いて付加させポリアルキレングリコールモノエステルとし、このものをオキシ塩化リンと反応させることでリン酸をモノエステル化し、その後、生成物を加水分解することにより合成することができる。なお、オキシ塩化リンの代わりに、正リン酸、メタリン酸、無水リン酸、3塩化リン、5塩化リン等を用いて、常法により合成することもできる。
【0020】
上記付加反応において、使用するアルキレンオキサイドは、炭素数2〜4のものが好適である。具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及びブチレンオキサイド、これらのブロック体等が挙げられ、単独で又は2種以上組み合わせることも可能である。
【0021】
本発明において、上記リン酸基を有する重合性不飽和モノマー(a)が、ポリオキシアルキレン単位を有する場合において、モノマー混合物(I)の微分散を容易にさせ、得られる塗膜の耐水性等を向上させる点から、ポリオキシアルキレンとしてはポリオキシプロピレンが適している。
【0022】
上記モノマー(2)として例えば、アシッドホスホオキシヘキサオキシプロピレンモノメタクリレート、アシッドホスホオキシドデカオキシプロピレンモノメタクリレート等が挙げられ、また、「Phosmer PE」、「Phosmer PP」(商品名、以上ユニケミカル社製)等の市販品を使用することもできる。
【0023】
また、上記リン酸基を有する重合性不飽和モノマー(a)としては、モノアルキル(ブチル、デシル、ラウリル、ステアリルなど)リン酸にグリシジルメタクリレートを付加させて得た重合性不飽和モノマー、ベンジルリン酸にグリシジルメタクリレートを付加させて得た重合性不飽和モノマーも包含することができる。
【0024】
本発明においてリン酸基を有する重合性不飽和モノマー(a)は、上記列記したごとき化合物を塩基性物質により一部又は全部中和したリン酸塩基を有する重合性不飽和モノマーを使用することもできる。
【0025】
リン酸基を有する重合性不飽和モノマーを塩基性物質により中和することによって、モノマー混合物(I)を微分散させる際に必要な乳化剤の使用量等を少なくさせることができ、得られる塗膜の耐水性、耐食性を向上させる効果がある。
【0026】
リン酸基を中和するための塩基性物質としては、特に制限されるものではなく例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属化合物塩;トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、2−メチル−2−アミノ−1−プロパノール、トリエチルアミン等のアミン類;アンモニア水等が挙げられこれらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0027】
上記塩基性物質としては、アミン類、アンモニア水等の揮発性化合物であると、モノマー混合物(I)の微分散時には分散助剤として寄与し、塗膜形成時には揮発することができるので、耐水性、耐食性を損なうことがなく、好適である。
【0028】
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b)
本発明において、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b)は、水性樹脂分散体を安定に製造させることができ、水性樹脂分散体を用いて形成される塗膜に肉持ち感を付与すると共に酸化硬化基を導入することができるものであり、脂肪酸由来の炭化水素鎖の末端に重合性不飽和基を有する重合性不飽和モノマーが包含される。
【0029】
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b)の具体例としては、例えば、脂肪酸をエポキシ基含有重合性不飽和モノマーと反応させることにより得られるものを挙げることができる。
【0030】
脂肪酸としては、炭化水素鎖の末端にカルボキシル基が結合した構造を有しているものが挙げられ、例えば、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸、不飽和脂肪酸を挙げることができる。乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸は、厳密に区別できるものではないが、通常、乾性油脂肪酸はヨウ素化が130以上の不飽和脂肪酸であり、半乾性油脂肪酸はヨウ素化が100以上かつ130未満の不飽和脂肪酸である。他方、不乾性油脂肪酸は、通常、ヨウ素価が100未満である脂肪酸である。
【0031】
乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸としては、例えば、魚油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ケシ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸、ハイジエン酸脂肪酸等が挙げられる。これら不飽和脂肪酸は必要に応じてヤシ油脂肪酸、水添ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の不乾性油脂肪酸;カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の酸と併用することができる。
【0032】
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b)を製造するために上記脂肪酸と反応させうるエポキシ基含有重合性不飽和モノマーとしては、1分子中に1個のエポキシ基と1個の重合性不飽和基を有する化合物が包含され、具体的には例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0033】
上記脂肪酸とエポキシ基含有重合性不飽和モノマーは、脂肪酸中のカルボキシル基とエポキシ基含有モノマー中のエポキシ基との当量比が0.75:1〜1.25:1、好ましくは0.8:1〜1.2:1の範囲内となるような割合で反応させることができる。
【0034】
上記脂肪酸とエポキシ基含有重合性不飽和モノマーとの反応は、通常、重合禁止剤の存在下に、ゲル化などの反応上の問題を起こすことなく、脂肪酸成分中のカルボキシル基とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー中のエポキシ基とが円滑に反応できる条件下で行うことができ、通常、約100〜約180℃の温度で約0.5〜約10時間加熱することにより行うのが適している。
【0035】
この反応において、N,N−ジメチルアミノエタノール等の3級アミン、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩等のエステル化反応触媒を用いることができ、さらに、反応に対して不活性な有機溶剤を使用してもよい。
【0036】
上記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロカテコール、p−tert−ブチルカテコールなどのヒドロキシ化合物;ニトロベンゼン、ニトロ安息香酸、o−,m−又はp−ジニトロベンゼン、2,4−ジニトロトルエン、2,4−ジニトロフェノール、トリニトロベンゼン、ピクリン酸などのニトロ化合物;p−ベンゾキノン、ジクロロベンゾキノン、クロルアニル、アンスラキノン、フェナンスロキノンなどのキノン化合物;ニトロソベンゼン、ニトロソ−β−ナフトールなどのニトロソ化合物等のそれ自体既知のラジカル重合禁止剤が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0037】
その他の重合性不飽和モノマー(c)
本発明の水性樹脂分散体において、その他の重合性不飽和モノマー(c)は、上記リン酸基を有する重合性不飽和モノマー(a)、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b)と共重合可能な重合性不飽和モノマーであり、分子中に1個以上好ましくは1個の重合性不飽和基を含有する化合物を挙げることができる。
その他の重合性不飽和モノマー(c)として具体的には、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(大阪有機化学社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー;ポリジメチルシロキサンマクロモノマー等のシロキサンマクロモノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のアルキルフッ素基含有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、さらにグリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコ−ル、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体などの水酸基を有する(メタ)アクリレート;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー:分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート、無水マレイン酸、無水イタコン酸等等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基含有重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノンなど2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4−トリヒドロキシベンゾフェノンなどのヒドロキシベンゾフェノン類とグリシジル(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、或いは2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性官能基を有する重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基含有重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレ−ト、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,3−ブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブタンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、グリセロ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト、ジアリルテレフタレ−ト、ジビニルベンゼン等の1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物等;等が挙げられ、これらは所望の性能に応じて単独でもしくは2種以上を適宜使用される。
【0038】
本発明において、上記リン酸基を有する重合性不飽和モノマー(a)、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b)及びその他の重合性不飽和モノマー(c)の使用割合は、上記本発明の水性樹脂分散体の製造安定性、該水性樹脂分散体を用いて得られる塗膜の金属面に対する耐水付着性、仕上がり性、硬化性の点から、一般には、水性樹脂分散体の製造に使用される重合性不飽和モノマーの合計量を基準にして、
リン酸基を有する重合性不飽和モノマー(a)が、0.5〜10質量%、好ましくは1.0〜5.0質量%、
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b)が、10〜50質量%、好ましくは
25〜40質量%、
その他の重合性不飽和モノマー(c)が、40〜89.5質量%、好ましくは
55〜74質量%の範囲内とすることができる。
【0039】
本発明において上記その他の重合性不飽和モノマー(c)は、その少なくとも一部として、カルボニル基含有重合性不飽和モノマーを含んでなることが望ましい。
【0040】
カルボニル基含有重合性不飽和モノマーとしては、1分子中に1個のカルボニル基と1個の重合性不飽和結合を有する化合物が包含され、具体的には例えば、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、特にダイアセトン(メタ)アクリルアミドが好適である。
【0041】
その他の重合性不飽和モノマー(c)の少なくとも一部として、カルボニル基含有重合性不飽和モノマーを含んでなるものを使用し且つ後述のヒドラジン誘導体を配合せしめることにより、酸化硬化と共にカルボニル基とヒドラジン誘導体との架橋を進行させることができ、塗膜の乾燥性をより一層向上させることができ、耐水付着性等の物性にも優れた塗膜を形成する塗料組成物を調製することができる。
【0042】
かかるカルボニル基含有重合性不飽和モノマーは、一般に、水性樹脂分散体の製造に使用される全重合性不飽和モノマーの質量を基準にして、0.5〜35質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲内で使用するのが適している。
【0043】
本発明において、上記モノマー混合物(I)は、重合性不飽和モノマー成分以外にさらに、実質的に重合性不飽和基を含有しない化合物を含有することもでき、これにより、水性樹脂分散体粒子が、該化合物を内包することもできる。
【0044】
かかる実質的に重合性不飽和基を含有しない化合物としては、例えば、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、金属ドライヤー等の塗料用添加剤;イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、メラミンなどの硬化剤;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、ポリオルガノシロキサン等の樹脂;顔料、染料等の着色剤等を挙げることができる。
【0045】
上記モノマー混合物(I)は、水性媒体に微分散するに際して、必要に応じて、乳化剤を併用してもよい。該乳化剤としては、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤が好適であり、該アニオン性乳化剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸などのナトリウム塩やアンモニウム塩が挙げられ、また、ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。
【0046】
また、1分子中にアニオン性基とポリオキシエチレン基やポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレン基含有アニオン性乳化剤や、1分子中に該アニオン性基と重合性不飽和基とを有する反応性アニオン性乳化剤を使用してもよい。
【0047】
該乳化剤は使用される全モノマーの合計量を基準にして0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜12質量%の範囲内で使用することができる。
【0048】
また、モノマー混合物(I)は、得られる水性樹脂分散体の分子量を調整する目的で、連鎖移動剤を含んでいてもよい。該連鎖移動剤としては、メルカプト基を有する化合物が包含され、具体的には例えば、ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルへキシル、2−メチル−5−tert−ブチルチオフェノール、メルカプトエタノ−ル、チオグリセロ−ル、メルカプト酢酸(チオグリコ−ル酸)、メルカプトプロピオネート、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。該連鎖移動剤の使用量は、一般に、全モノマーの合計量を基準にして、0.05〜10質量%、特に0.1〜5質量%の範囲内が好適である。
【0049】
本発明の水性樹脂分散体は、上記脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b)により、重合段階においてリン酸基を有する重合性不飽和モノマー(a)及びその他の重合性不飽和モノマー(c)の水性媒体への拡散を抑制することができ、安定に製造されるものであるが、必要に応じてモノマー混合物(I)に、ヘキサデカン等の長鎖飽和炭化水素系溶剤、ヘキサデカノール等の長鎖アルコール系溶剤等の一般にミニエマルション重合で使用される疎水性有機溶剤を配合してもよい。
【0050】
以上に述べたモノマー混合物(I)は水性媒体中に微分散させることにより、リン酸基を有する重合性不飽和モノマー(a)、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b)及びその他の重合性不飽和モノマー(c)を含有する粒子分散物であるモノマー乳化物(以下「モノマー乳化物」と略することがある)が形成せしめられる。
【0051】
上記モノマー混合物(I)の水性媒体中における濃度は、形成されるモノマー乳化物の微粒化適性、重合段階における安定性、水性塗料に適用したときの実用性などの観点から、一般に、10〜70質量%、好ましくは20〜60質量%の範囲内が好適である。
【0052】
上記水性媒体としては、水、又は水を主体としてこれに水溶性有機溶媒などの有機溶媒を混合してなる水−有機溶媒混合溶液などを挙げることができる。
【0053】
モノマー混合物(I)の水性媒体中への微分散は、通常、高エネルギーせん断能力を有する分散機を用いて行うことができる。その際に使用しうる該分散機としては、例えば、高圧乳化装置、超音波乳化機、高圧コロイドミル、高圧ホモジナイザー等が挙げられる。これらの分散機は、通常、10〜1000MPa、好ましくは50〜300MPa程度の高圧下で操作することができる。また、該機械にて分散を行う前に、該モノマー混合物(I)をあらかじめディスパー等で予備乳化してもよい。
【0054】
モノマー混合物(I)を上記手法により水性媒体中に微分散させることにより得られるモノマー乳化物中の分散粒子の平均粒子径は、形成塗膜の透明性、耐水性等の点から、500nm以下、好ましくは80〜400nm、さらに好ましくは100〜300nmの範囲内が適している。平均粒子径が500nmを超えると、本発明の水性樹脂分散体を用いて形成される塗膜の仕上がり性、貯蔵安定性が劣り、実用性が低下するので好ましくない。
【0055】
尚、本明細書において、微粒化されたモノマー混合物(I)の乳化物の測定は、製造後30分経過した時点で行うものとする。
【0056】
かくして得られるモノマー乳化物の重合は、例えば、ミニエマルション重合法に従い、微分散後のモノマー乳化物を撹拌機を備えた反応器に全量仕込み、重合開始剤を添加し、攪拌しながら加熱することにより行うことができる。
【0057】
上記重合開始剤としては、油溶性、水溶性のいずれのタイプのものであってもよく、例えば、ベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシラウレート、 tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、 tert−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4、4'−アゾビス(4−シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることができる。また、上記重合開始剤に、必要に応じて、糖、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、鉄錯体等の還元剤を併用し、レドックス重合系としてもよい。
【0058】
上記重合開始剤の使用量は、一般に、水性樹脂分散体の製造に使用される全モノマーを基準にして、0.1〜5質量%、特に0.2〜3質量%の範囲内が好ましい。該重合開始剤の添加方法は、特に制限されるものではなく、その種類や量などに応じて適宜選択することができる。例えば、予めモノマー混合物(I)又は水性媒体に含ませてもよく、或いは重合時に一括して添加してもよく又は滴下してもよい。
【0059】
本発明においては、得られる水性樹脂分散体の粒子の機械的安定性を向上させるために、該水性樹脂分散体にカルボキシル基がある場合、該基を中和剤により中和してもよい。該中和剤としては、上記リン酸基に対する中和剤として列記したものと同様のものを使用することができる。
【0060】
上記本発明の水性樹脂分散体の分散樹脂の平均粒子径は、500nm以下、特に100〜300nmの範囲内にすることができる。分散樹脂の平均粒子径がこの範囲内であると、水性樹脂分散体の貯蔵安定性が良好であると共に、水性樹脂分散体を用いて形成される塗膜の耐食性、耐水性が良好であり、好ましい。
【0061】
水性塗料組成物
本発明の水性塗料組成物は、以上に述べた製法により得られる水性樹脂分散体を含んでなるものである。
【0062】
また、上記水性塗料組成物は、酸化硬化を促進させるための触媒として金属ドライヤーを含有することもできる。かかる金属ドライヤーとしては、例えば、アルミニウム、カルシウム、セリウム、コバルト、鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、ジルコニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と酸との塩が挙げられ、該酸としては、例えば、カプリン酸、カプリル酸、イソデカン酸、リノレン酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、オクテン酸、オレイン酸、パルミチン酸、樹脂酸、リシノール酸、大豆油脂肪酸、ステアリン酸、トール油脂肪酸等が挙げられる。
【0063】
上記金属ドライヤーの配合量は、水性樹脂分散体の樹脂固形分を基準にして、0.001〜10質量%、特に0.02〜5質量%の範囲内が望ましい。
【0064】
また上記水性塗料組成物においては、さらに、ヒドラジン誘導体を含むことが望ましい。該誘導体としては、具体的には、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の2〜18個の炭素原子を有する飽和カルボン酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどのモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;フタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジドまたはイソフタル酸ジヒドラジド、ピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジドまたはテトラヒドラジド;ニトリロトリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド;カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体をヒドラジンまたはヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラード)と反応させてなるポリヒドラジド;炭酸ジヒドラジド等のヒドラジド基を有する化合物;ビスセミカルバジド;ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート及びそれにより誘導されるポリイソシアネート化合物にN,N−ジメチルヒドラジン等のN,N−置換ヒドラジンや上記例示のヒドラジドを過剰に反応させて得られる多官能セミカルバジド;該ポリイソシアネート化合物とポリエーテルとポリオール類やポリエチレングリコールモノアルキルエーテル類等の親水性基を含む活性水素化合物との反応物中のイソシアネート基に上記例示のジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水系多官能セミカルバジド;該多官能セミカルバジドと水系多官能セミカルバジドとの混合物等のセミカルバジド基を有する化合物、ビスアセチルジヒドラゾン等のヒドラゾン基を有する化合物等が挙げられる。
【0065】
上記ヒドラジン誘導体を含有せしめることにより、形成塗膜が空気中の有害物質、例えばホルムアルデヒドを吸着除去することが可能となり有用であり、また、水性樹脂分散体がカルボニル基を有する場合には、架橋のための架橋剤として作用することができ、酸化硬化と共に形成塗膜の架橋密度向上に貢献することができ、金属面に対する耐食性などの向上に効果がある。
上記ヒドラジン誘導体の配合量は、水性樹脂分散体の樹脂固形分を基準にして、0.001〜10重量%、特に0.02〜5重量%の範囲内が望ましい。
【0066】
上記水性塗料組成物は、必要に応じて、水溶性あるいはエマルション型のアクリル樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂等の樹脂;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子;シェラック、ロジン等の天然樹脂;等の併用樹脂;イソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂等の硬化剤;湿潤剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、有機溶剤、増粘剤、防腐剤、防かび剤、pH調整剤、硬化触媒、表面調整剤などを適宜選択し組合わせて含有することができる。
【0067】
上記水性塗料組成物は、クリヤー塗料、エナメル塗料のいずれにも適用でき、エナメル塗料として適用する場合には、顔料分として、従来公知の着色顔料,光輝性顔料、体質顔料、防錆顔料等を配合することができる。
【0068】
上記水性塗料組成物においては、上記成分の他に顔料分散剤、界面活性剤、表面調整剤、可塑剤、沈降防止剤、帯電防止剤、抗菌剤、香料、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、硬化触媒、分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、pH調整剤、フラッシュラスト抑止剤、アルデヒド捕捉剤、層状粘度鉱物、粉状もしくは微粒子状の活性炭、光触媒酸化チタン等の添加剤を適宣選択し組み合わせて含有することができる。
【0069】
本発明は、被塗面に上記水性塗料組成物を塗装する塗装方法である。
【0070】
被塗面としては、特に制限されるものではなく、例えば、鉄、アルミニウム等の金属;石膏ボード、コンクリート面、モルタル面、スレート板、PC板、ALC板、セメント珪酸カルシウム板、木材、石材等の無機基材面;プラスチック等の有機基材面、これら基材上に設けられたアクリル樹脂系、アクリルウレタン樹脂系、ポリウレタン樹脂系、フッ素樹脂系、シリコンアクリル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系などの塗膜面を挙げることができる。
【0071】
上記水性塗料組成物の塗装は、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、リシンガン、万能ガン、ハケ、静電塗装などの方法を用いて行うことができる。また、乾燥方法としては、加熱乾燥、強制乾燥、常温乾燥のいずれであってもよい。
【実施例】
【0072】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ここで「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0073】
水性脂肪酸変性樹脂分散体の製造
実施例1
ガラスビーカーに下記成分を入れ、ディスパーにて2000rpmで15分間攪拌し、予備乳化液を製造した後、この予備乳化液を、高圧エネルギーを加えて流体同士を衝突させる高圧乳化装置にて100MPaで高圧処理することにより、分散粒子の平均粒子径が190nmのモノマー乳化物を得た。
モノマー乳化物組成
リン酸基モノマー(a−1)(注1) 2.0部
脂肪酸変性モノマー(b−1)(注2) 30.15部
スチレン 15部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 2.5部
i―ブチルメタクリレート 20.35部
t−ブチルメタクリレート 20部
2−エチルヘキシルアクリレート 8部
メタクリル酸 2部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 0.3部
「Newcol707SF」(注3) 10部
脱イオン水 85部
次いで上記モノマー乳化物をフラスコへ移し、脱イオン水にて固形分濃度が45%となるように希釈した。その後85℃まで昇温させ、「VA−086」(注4)2部を脱イオン水10部に溶解させた開始剤水溶液をフラスコに投入し、該温度を保持しながら3時間攪拌した。その後、「VA−086」(注4)0.5部を脱イオン水10部に溶解させた開始剤水溶液をフラスコに添加し、該温度を保持しながら1時間攪拌した後40℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノールでpHを8.0に調整し、固形分濃度40%、分散樹脂の平均粒子径が170nmの水性脂肪酸変性樹脂分散体(A−1)を得た。
【0074】
(注1)リン酸基モノマー(a−1):「Phosmer M」(商品名、ユニケミカル社製、アシッドホスホキシ・エチルメタクリレート、
(注2)脂肪酸変性モノマー(b−1):反応容器に、サフラワー油脂肪酸280部、グリシジルメタクリレート142部を入れ、攪拌しながら反応温度140℃、5時間で反応させて得た反応生成物。
(注3)「Newcol707SF」:商品名、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性乳化剤、有効成分30%、
(注4)「VA−086」:商品名、和光純薬社製、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]。
【0075】
実施例2〜5及び比較例1〜2
モノマー乳化物の配合組成とモノマー乳化物の平均粒子径を表1に記載のとおりに変更する以外は上記実施例1と同様にして、水性脂肪酸変性樹脂分散体(A−2)〜(A−7)を得た。尚、実施例5において、リン酸基モノマー(a−3)3部は、25%アンモニア水0.27部を予め混ぜて中和した後、他のモノマー等に混合した。
【0076】
【表1】


【0077】
(注5)リン酸基モノマー(a−2):「Phosmer PE」(商品名、ユニケミカル社製、アシッドホスホキシ・ポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、オキシエチレンのくり返し単位数4〜5、
(注6)リン酸基モノマー(a−3):「Phosmer PP」(商品名、ユニケミカル社製、アシッドホスホキシ・ポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、オキシプロピレンのくり返し単位数5〜6、
(注7)脂肪酸変性モノマー(b−2):反応容器に亜麻仁油脂肪酸280部、グリシジルメタクリレート142部を入れ、攪拌しながら反応温度140℃、5時間で反応させて得られた反応生成物。
【0078】
水性樹脂組成物の製造
実施例6〜10及び比較例3〜4
下記表2に記載の配合組成により、水性樹脂組成物を得た。各水性樹脂組成物について下記試験に供した。結果を表2にあわせて示す。
(注8)「DICNATE1000W」:商品名、大日本インキ化学工業社製、金属ドライヤー、Co含有率3.6%、
(注9)「TEXANOL」:商品名、イーストマンケミカル社製、2,2,4−トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、造膜助剤。
【0079】
【表2】


【0080】
(*1)耐食性
上記で得られた各水性樹脂組成物を乾燥膜厚で40μmになるようにアプリケーターで無処理軟鋼板に塗装し、25℃で10日間養生させた後、カッターで長さ8cmのカットを入れたものを試験板とした。得られた試験板を5%塩水噴霧試験装置にて温度35℃で168hr試験した後、試験版の外観観察により4段階で評価した。
◎:カット部の錆幅が1mm未満で、一般部共に異常がない、
〇:カット部の錆幅が1mm〜3mmで、一般部に異常がない、
△:カット部の錆幅は3mm以下であるが、一般部にフクレが発生している、
×:カット部の錆幅が3mmを超え、一般部にフクレや錆が発生している。
(*2)耐水付着性:
上記で得られた各水性樹脂組成物を乾燥膜厚で40μmになるようにアプリケーターで無処理軟鋼板に塗装し、25℃で10日間養生させて膜を作成し、試験板とした。得られた試験板を、上水に1週間浸漬させカッターでクロスカットを入れ粘着テープによる剥離試験を行い、下記を基準に3段階で評価した。
○:剥離なし、△:半分以上剥離、×:全面剥離。
【出願人】 【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−7656(P2008−7656A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−180525(P2006−180525)