トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物

【発明の名称】 ポリエーテル変性シリコーンを含むオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体、その共重合体含有組成物、防汚塗料組成物、その塗膜および防汚方法
【発明者】 【氏名】山田 佳男

【氏名】大家 政明

【氏名】道前 孝晴

【氏名】中村 直哉

【要約】 【課題】環境への負荷や人体への影響が少なく、しかも防汚性およびその持続性に優れ、機械的強度に優れた防汚塗膜を形成可能であるようなオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体および該共重合体を含有する防汚塗料組成物を提供すること。

【構成】ポリエーテル変性シリコーン[A]の存在下で共重合され、[B]ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロックと、[C]オルガノポリシロキサンチオブロックとを有することを特徴とするオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体、ならびに該共重合体を含有する防汚塗料組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記ポリエーテル変性シリコーン[A]の存在下で共重合され、
下記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]と、下記オルガノポリシロキサンチオブロック[C]とを有し、
ことを特徴とするオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体;
[A]下記式[I]で表される変性シリコーン(a1)、および/または下記式[II]で表される変性シリコーン(a2);
【化1】


〔式[I]において、R11は、それぞれ独立に非置換または置換の炭素原子数1〜8の1価炭化水素基を示し、
12は、それぞれ独立に炭素原子数1〜6の2価の炭化水素基を示し、
13およびR14は、互いに同一であっても異なっていてもよくそれぞれ独立に炭素原子数2〜4のアルキレン基を示し、
15は、水素原子、1価の炭化水素基、または−CO−R16(R16は1価の炭化水素基を示す。)を示し、
a、b、cおよびdは、それぞれ正の整数を示す。〕、
【化2】


〔式[II]において、R21は、それぞれ独立に非置換または置換の炭素原子数1〜8の1価炭化水素基を示し、
22は、それぞれ独立に炭素原子数1〜6の2価の炭化水素基を示し、
23およびR24は、お互いに同一であっても異なっていてもよくそれぞれ独立に炭素原子数2〜4のアルキレン基を示し、
25は、水素原子、1価の炭化水素基、または−CO−R16(R16は1価の炭化水素基を示す。)を示し、
p、q、rおよびsは、それぞれ正の整数を示す。〕、
[B]下記式[III]で表され、ポリオキシアルキレン化合物単位の少なくともその片末
端で重合性不飽和カルボン酸とエステルを形成してなるポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレートから誘導される成分単位(b1)、および/または
該成分単位(b1)以外の少なくとも1種の非架橋型重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルから誘導される成分単位(b2)
とを有するポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック;
34−[OR31]m−[OR32]n−OCOR33・・・[III]
〔式[III]中、R31およびR32は、互いに同一であっても異なっていてもよい2価の炭
化水素基を示し、
33は重合性不飽和炭化水素基含有基を示し、
34は水素原子、重合性不飽和結合を有してもよい1価の炭化水素基、または重合性不飽和結合を有してもよい1塩基性または2塩基性の有機カルボン酸残基
35CO−(R35は重合性不飽和結合を有してもよい有機基を示す)を示し、
mおよびnは、それぞれ正の整数を示す。〕、
[C]下記式[IV]で表される成分単位からなるオルガノシロキサンチオブロック;
【化3】


〔式[IV]中、R41は、それぞれ独立に炭素原子数1〜10の炭化水素基を示し、
42、R43およびR44は、それぞれ独立にR41、または炭素原子数が1〜20の2価のチオ有機基を示し、
tおよびuは、それぞれ正の整数を示す。〕。
【請求項2】
上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]が、さらに、架橋型重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(b3)を有することを特徴とする請求項1に記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
【請求項3】
上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]が、さらに、その他の重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(b4)を有することを特徴とする請求項1または2に記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
【請求項4】
上記ポリエーテル変性シリコーン[A]1〜80重量%の存在下で共重合され、
上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]の含量が5〜98重量%であり、上記オルガノシロキサンチオブロック[C]の含量が1〜80重量%(ただし、[A]、[B]および[C]の合計を100重量%とする。)である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
【請求項5】
上記ポリエーテル変性シリコーンブロック[A]5〜50重量%の存在下で共重合され、
上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]の含量が10〜90重量%であり、上記オルガノシロキサンチオブロック[C]の含量が5〜50重量%(ただし、[A]、[B]および[C]の合計を100重量%とする。)である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
【請求項6】
上記重合性基含有ポリエーテル変性シリコーン[A]のGPCで測定される重量平均分子量(Mw)が300〜100,000であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
【請求項7】
上記オルガノポリシロキサンチオブロック[C]が、GPCで測定される重量平均分子量(Mw)が300〜100,000であるメルカプト変性ポリオルガノシロキサンから誘導されることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
【請求項8】
GPCで測定される重量平均分子量(Mw)が1,000〜400,000であることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
【請求項9】
上記ポリエーテル変性シリコーンブロック[A]が、ポリオキシエチレン基および/またはポリオキシプロピレン基を有することを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
【請求項10】
上記非架橋型重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルから誘導される成分単位(b2)が、(メタ)アクリル酸またはそのエステルから誘導される成分単位であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
【請求項11】
上記ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレートから誘導される成分単位(b1)が、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートから誘導される成分単位であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
【請求項12】
上記架橋型重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(b3)の架橋型基が、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基、アリールオキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、(メタ)アクリロキシ基、ビニル基、シラノール基およびアミノ基のうちのいずれか1種以上であることを特徴とする請求項2〜11のいずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
【請求項13】
上記その他の重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(b4)が、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸およびシトラコン酸ならびにそれらの誘導体、スチレン類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ならびにアクリロニトリルのうちのいずれか1種以上から誘導されたものであることを特徴とする請求項3〜12の
いずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体と前記ポリエーテル変性シリコーン[A]とを含有する防汚塗料組成物。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体をビヒクル成分として含有することを特徴とする防汚塗料組成物。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体と、撥水性官能基含有成分とを含有することを特徴とするオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体組成物。
【請求項17】
上記撥水性官能基含有成分が、シリコーンオイル類および/またはパラフィン類であることを特徴とする請求項16に記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体組成物。
【請求項18】
請求項16または17に記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体組成物からなる防汚塗料組成物。
【請求項19】
さらに、防汚剤を含有することを特徴とする請求項14、15または18に記載の防汚塗料組成物。
【請求項20】
請求項14、15もしくは18に記載の防汚塗料組成物または請求項16もしくは17に記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体組成物から形成された防汚塗膜。
【請求項21】
請求項20に記載の防汚塗膜で被覆された基材。
【請求項22】
基材の表面が、請求項20に記載の防汚塗膜で被覆された水中構造物。
【請求項23】
船舶基材の表面が、請求項20に記載の防汚塗膜で被覆された船舶。
【請求項24】
基材表面を、請求項20に記載の防汚塗膜で被覆することを特徴とする基材の防汚方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、防汚塗料用樹脂として好適に使用されるオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体および該共重合体を含有する防汚塗料組成物に関し、さらに詳しくは、環境への負荷や人体への影響が少なく、防汚塗料用として好適に使用可能なオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体および該共重合体を含有する防汚塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
船底、漁網、海水の給排水管、水中構造物などは、水中に長期間さらされることにより、その表面に、カキ、イガイ、フジツボ等の動物類、ノリ(海苔)等の植物類、あるいはバクテリア類などの各種水棲生物が付着・繁殖すると、外観が損ねられ、その機能が害されることがある。
【0003】
特に船底にこのような水棲生物が付着・繁殖すると、船底の表面粗度が増加し、船速の低下、燃費の拡大などを招くことがある。また、このような水棲生物を船底から取り除くには、多大な労力、作業時間が必要となる。また、養殖網や定置網等の魚網に水棲生物が付着、繁殖すると網目の閉塞による漁獲生物の酸欠致死等重大な問題を生じることがある。
【0004】
また、火力、原子力発電所等の海水の給排水管に水棲生物が付着、繁殖すると冷却水の給配水循環に支障をきたすことがある。従来では、このような被害を防止すべく、船底などには防汚性に優れた防汚塗料として、たとえば、トリブチル錫メタクリレートとメチルメタクリレート等との共重合体と、亜酸化銅(Cu2O)とを含有するものが塗布されて
いた。この防汚塗料中の該共重合体は、海水中で加水分解されてビストリブチル錫オキサイド(トリブチル錫エーテル,Bu3Sn-O-SnBu3:Buはブチル基)あるいはトリブチル錫ハロゲン化物(Bu3SnX:Xはハロゲン原子)等の有機錫化合物を放出して
防汚効果を発揮するとともに、加水分解された共重合体自身も水溶性化して海水中に溶解していく「加水分解性自己研磨型塗料」であるため、船底塗装表面は、樹脂残渣が残らず、常に活性な表面を保つことができる。
【0005】
しかしながら、このような有機錫化合物は、毒性が強く、海洋汚染、奇形魚類や奇形貝類の発生、食物連鎖による生態系への悪影響などが懸念され、これに代わり得るような錫を含有せずに防汚性の良好な防汚塗料の開発が求められている。このような問題点を解決すべく、従来より、種々の研究や提案が行われてきている。
【0006】
たとえば、特公平7−57787号公報、特開平5−51424号公報、特開平5−279439号公報、特開平8−134153号公報、特開平8−259645号公報、特開平11−21326号公報、特公平6−81824号公報、特公平6−102772号公報および特開平7−305001号公報には、(メタ)アクリル基含有ポリエーテル変性シリコーンと他の重合性モノマーとから成るグラフト共重合体やその用途が防汚塗料について開示されている。しかし、これらの先行技術に開示された(メタ)アクリル基含有ポリエーテル変性シリコーンと他の重合性モノマーとから成るグラフト共重合体は、長期防汚保持性が不十分であり、塗膜の耐クラック性、強度などの物性も十分ではなかった。
【0007】
また、特開平7−278467号公報、特開平11−106450号公報には、(メタ)アクリル基含有ポリエーテル変性シリコーンとメトキシポリエチレングリコールモノメタ
クリレートの共重合体やその用途に防汚塗料が開示されている。しかし、これらの防汚塗料も長期防汚保持性が不十分であり、塗膜の耐クラック性、強度などの物性も十分ではなかった。
【0008】
特開2002−327064号公報(特許文献1)には、特定のポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロックと、特定のオルガノポリシロキサンチオブロックとから形成されるオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体が開示されており、これを防汚塗料に配合することによって、環境への不可や人体への影響が少なく、しかも防汚性およびその持続性に優れ、機械的強度に優れた防汚塗膜を形成できることが記載されている。しかしながら、長期防汚保持性および、塗膜の耐クラック性、強度などの物性に、さらなる改善が望まれていた。
【0009】
特開平2−194001号公報(特許文献2)、特許第2979174号公報(特許文献3)、特許第2825308号公報(特許文献4)、特許第3406639号公報(特許文献5)および特表2001−510779号公報(特許文献6)には、重合体製造の際に、重合性官能基を有さないシリコーンオイルが溶媒として使用されることが記載されている。そして、このシリコーンオイルが、たとえばアルキル基からの水素引き抜き反応などにより、重合体と反応し得ることが示唆されている。しかし、いずれの文献にも、得られた重合体の防汚塗料(特に船舶等の水中構造物に対して用いられる防汚塗料)としての用途は示唆されていない。
【特許文献1】特開2002−327064号公報
【特許文献2】特開平2−194001号公報
【特許文献3】特許第2979174号公報
【特許文献4】特許第2825308号公報
【特許文献5】特許第3406639号公報
【特許文献6】特表2001−510779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、防汚塗料に配合すれば、環境への負荷や人体への影響が少なく、しかも防汚性およびその持続性に優れ、機械的強度に優れた防汚塗膜を形成可能であるような防汚塗料用オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体および該共重合体を含有する防汚塗料組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体は、
下記ポリエーテル変性シリコーン[A]の存在下で共重合され、
下記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]と、下記オルガノシロキサンチオブロック[C]とを有する
ことを特徴としている;
[A]下記式[I]で表される変性シリコーン(a1)、および/または下記式[II]で表される変性シリコーン(a2);
【0012】
【化1】


【0013】
〔式[I]において、R11は、それぞれ独立に非置換または置換の炭素原子数1〜8の1価炭化水素基を示し、
12は、それぞれ独立に炭素原子数1〜6の2価の炭化水素基を示し、
13およびR14は、互いに同一であっても異なっていてもよくそれぞれ独立に炭素原子数2〜4のアルキレン基を示し、
15は、水素原子、1価の炭化水素基、または−CO−R16(R16は1価の炭化水素基を示す。)を示し、
a、b、cおよびdは、それぞれ正の整数を示す。〕、
【0014】
【化2】


【0015】
〔式[II]において、R21は、それぞれ独立に非置換または置換の炭素原子数1〜8の1価炭化水素基を示し、
22は、それぞれ独立に炭素原子数1〜6の2価の炭化水素基を示し、
23およびR24は、互いに同一であっても異なっていてもよくそれぞれ独立に炭素原子数2〜4のアルキレン基を示し、
25は、水素原子、1価の炭化水素基、または−CO−R16(R16は1価の炭化水素基を示す。)を示し、
p、q、rおよびsは、それぞれ正の整数を示す。〕、
[B]下記式[III]で表され、ポリオキシアルキレン化合物単位の少なくともその片末
端で重合性不飽和カルボン酸とエステルを形成してなるポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレートから誘導される成分単位(b1)、および/または
該成分単位(b1)以外の少なくとも1種の非架橋型重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルから誘導される成分単位(b2)
を有するポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック;
34−[OR31]m−[OR32]n−OCOR33・・・[III]
〔式[III]中、R31およびR32は、互いに同一であっても異なっていてもよい2価の炭
化水素基を示し、
33は重合性不飽和炭化水素基含有基を示し、
34は水素原子、重合性不飽和結合を有してもよい1価の炭化水素基、または重合性不飽和結合を有してもよい1塩基性または2塩基性の有機カルボン酸残基
35CO−(R35は重合性不飽和結合を有してもよい有機基を示す)を示し、
mおよびnは、それぞれ正の整数を示す。〕、
[C]下記式[IV]で表される成分単位からなるオルガノシロキサンチオブロック;
【0016】
【化3】


【0017】
〔式[IV]中、R41は、それぞれ独立に炭素原子数1〜10の炭化水素基を示し、
42、R43およびR44は、それぞれ独立にR41、または炭素原子数が1〜20の2価のチオ有機基を示し、
tおよびuは、それぞれ正の整数を示す。〕。
【0018】
上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]は、さらに、架橋型重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(b3)、および/またはその他の重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(b4)を含んでいてもよい。
【0019】
上記のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体は、
上記ポリエーテル変性シリコーンブロック[A]1〜80重量%の存在下で共重合され、
上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]の含量は5〜98重量%であり、上記オルガノシロキサンチオブロック[C]の含量は1〜80重量%(ただし、[A]、[B]および[C]の合計を100重量%とする。)である
ことが好ましい。
【0020】
上記のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体は、
上記ポリエーテル変性シリコーンブロック[A]5〜50重量%の存在下で共重合され、
上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]の含量は10〜90重量%であり、上記オルガノシロキサンチオブロック[C]の含量は5〜50重量%(合計100重量%)である
ことがさらに好ましい。
【0021】
上記重合性基含有ポリエーテル変性シリコーン[A]のGPCで測定される重量平均分子量(Mw)は300〜100,000であることが好ましく、
上記オルガノポリシロキサンチオブロック[C]は、GPCで測定される重量平均分子量(Mw)が300〜100,000であるメルカプト変性ポリオルガノシロキサンから誘導されることが好ましい。
【0022】
上記ポリエーテル変性シリコーンブロック[A]は、ポリオキシエチレン基および/またはポリオキシプロピレン基を含有することが好ましい。
上記非架橋型重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルから誘導される成分単位(b2)は、(メタ)アクリル酸またはそのエステルから誘導される成分単位であることが好ましい。
【0023】
上記ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレートから誘導される成分単位(b1)は、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートから誘導される成分単位であることが好ましい。
【0024】
上記架橋型重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(b3)の架橋型基は、ヒドロ
キシル基、アルコキシシリル基、アリールオキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、(メタ)アクリロキシ基、ビニル基、シラノール基およびアミノ基のうちのいずれか1種以上であることが好ましい。
【0025】
上記その他の重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(b4)は、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸およびシトラコン酸ならびにそれらの誘導体、スチレン類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ならびにアクリロニトリルのうちのいずれか1種以上から誘導されたものであることが好ましい。
【0026】
本発明に係る防汚塗料組成物は、前記オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体と前記ポリエーテル変性シリコーン[A]とを含有することを特徴としている。
また本発明に係る防汚塗料組成物は、上記オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体をビヒクル成分として含有することを特徴としている。
【0027】
本発明に係るオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体組成物は,上記オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体と、撥水性官能基含有成分とを含有することを特徴としている。
【0028】
上記撥水性成分は、シリコーンオイル類および/またはパラフィン類であることが好ましい。
また、本発明に係る防汚塗料組成物は、前記オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体組成物からなっていてもよい。
【0029】
本発明に係る防汚塗料組成物は、さらに、防汚剤を含有していてもよい。
本発明の防汚塗膜は、上記防汚塗料組成物または上記オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体組成物から形成されることを特徴としている。
【0030】
本発明の基材は、上記防汚塗膜で被覆されていることを特徴としている。
本発明の水中構造物は、基材の表面が、上記防汚塗膜で被覆されていることを特徴としている。
【0031】
本発明の船舶は、船舶基材の表面が、上記防汚塗膜で被覆されていることを特徴としている。
本発明の、基材の防汚方法は、基材表面を、上記防汚塗膜で被覆することを特徴としている。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係るオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体は、ポリエーテル変性シリコーン存在下で共重合され相溶性(透明性)が改良されるため、例えば、防汚塗料に使用すれば、機械的強度に優れ、かつ防汚性およびその持続性に優れた防汚塗膜を形成可能であり、しかも環境への負荷や人体への影響が少ない。特に、本発明のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体は、シリコーンオイル類や、パラフィン類などが配合されていても上記特性が発揮され、しかも、塗膜の脆弱化が効果的に抑制できる塗膜を形成可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明に係る、防汚塗料用として好適に使用可能なオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体、および該共重合体を含有する防汚塗料組成物について具体的に説明する。
【0034】
[オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体]
本発明に係るオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体は、下記のようなポリエーテル変性シリコーン[A]の存在下で共重合され、ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]と、オルガノポリシロキサンチオブロック[C]とを有している。
【0035】
このようなオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体のGPCで測定された重量平均分子量(Mw)は、通常は1,000〜400,000であり、好ましくは3,000〜200,000であり、さらに好ましくは10,000〜100,000である。
分子量がこのような範囲にあると、得られる共重合体は、溶液または防汚塗料組成物として適当な濃度において、ハンドリングに適した粘度となり、該共重合体を含む防汚塗料組成物は、塗装に適した粘度となり、得られる塗膜(特に防汚塗膜)は適度な強度を有し、防汚持続性に優れる傾向がある。
【0036】
<ポリエーテル変性シリコーンブロック[A]>
本発明のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体は、下記式[I]で表されるポリエーテル変性シリコーン(a1)、および/または下記式[II]で表されるポリエーテル変性シリコーン(a2)の存在下で共重合される。
【0037】
【化4】


【0038】
【化5】


【0039】
上記式[I]において、
11は、それぞれ独立に、非置換または置換の炭素原子数1〜8の1価炭化水素基を示す。またR11は、非重合性の炭化水素基である。R11としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、フェニル基、2-フェニルエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい、すべてのR11がメチル基であることが特に好ましい。
【0040】
12は、それぞれ独立に炭素原子数1〜6の2価の炭化水素基を示す。R12としては、たとえば−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH(CH3)CH2CH2−等の2価炭化水素基が挙げられ、これらの中でも、−CH2CH2−、−
CH2CH2CH2−が好ましく、特に−CH2CH2CH2−が好ましい。
【0041】
13およびR14は、互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に炭素原子数2〜4のアルキレン基を示す。アルキレン基としては、例えば、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH2
CH2CH2−等のアルキレン基が挙げられ、これらの中でも、−CH2CH2−、−CH2
CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH2CH(CH3)−が好ましく、特に−CH2CH2−が好ましい。
【0042】
したがって、(R13−O)a(R14−O)bとしては、ポリオキシエチレン基およびポリオキシプロピレン基、その両方を含有するポリエーテル基、およびポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)基が好ましい
15は水素原子、1価の炭化水素基、または−CO−R16(R16は1価の炭化水素基を示す。)であり、1価の炭化水素基としては、上記R11と同様の炭化水素基が挙げられる。これらの中でも、R15としては、水素原子およびメチル基が好ましい。
【0043】
上記(R13−O)の繰り返し単位の数a、および(R14−O)の繰り返し単位の数bは、それぞれ独立に1〜30、好ましくは2〜20、特に好ましくは3〜15の整数である。
【0044】
また、繰り返される上記(R13−O)単位および(R14−O)単位は、互いに同一であっても異なっていてもよい。したがって、たとえば上記(R13−O)単位および(R14−O)単位として、(CH2CH2−O)単位と、(CH2CH2CH2−O)単位または(C
2CH(CH3)−O)単位とが1個づつ交互に配列して結合していてもよく、それぞれが任意個数のブロックを形成して配列し、各繰り返し単位の総個数がそれぞれa、bとなっていてもよい。
【0045】
上記cは繰り返し単位
【0046】
【化6】


【0047】
の総数(正の数)を示し、上記dは繰り返し単位
【0048】
【化7】


【0049】
の総数(正の数)を示し、各繰り返し単位は、任意の順序で結合して各繰り返し単位の総個数がそれぞれc、dとなっていてもよい。例えば、各繰り返し単位が1個づつ交互に配列して結合していてもよく、それぞれが任意個数のブロックを形成して配列し、各繰り返し単位の総個数がそれぞれc、dとなっていてもよい。
【0050】
また上記式[II]において、
21、R22、R23、R24およびR25は、それぞれ上記R11、R12、R13、R14およびR15と同様である。
【0051】
また、上記(R23−O)および(R24−O)の繰り返し単位の数pおよびqは、それぞれ1〜30、好ましくは2〜20、特に好ましくは3〜15の整数である。
また、繰り返される上記(R23−O)および(R24−O)単位は、互いに同一であっても異なっていてもよい。したがって、たとえば上記(R13−O)および(R24−O)単位として、(CH2CH2−O)単位と(CH2CH2CH2−O)単位とが1個づつ交互に配
列して結合していてもよく、それぞれが任意個数のブロックを形成して配列し、各繰り返し単位の総個数がpあるいはqとなっていてもよい。
【0052】
上記rは繰り返し単位
【0053】
【化8】


【0054】
の総数(正の数)を示し、上記sは繰り返し単位
【0055】
【化9】


【0056】
の総数(正の数)を示す。
上記式[I]で表わされる変性シリコーンとしては、市販品であれば、「KF−6016」、「KF−6015」、「KF−352」、「KF−353」、(商品名;信越化学工業(株)製)、「SH−8400」、「ST−114PA」、「FZ−2191」(商品名;東レダウ(株)製)などが挙げられる。または上記式[II]で表わされる変性シリコーンとしては、市販品であれば、「FZ−2203」、「FZ−2207」、「FZ−2208」(商品名;東レダウ(株)製)、などが挙げられる。
【0057】
上記重合性基含有ポリエーテル変性シリコーン[A]あるいはポリエーテル変性シリコーンおよび上記式[II]で表されるポリエーテル変性シリコーンのGPCで測定される重量平均分子量(Mw)は、300〜100,000であることが望ましい。
【0058】
<ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]>
上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]は、
(b1)下記式[III]で表され、ポリオキシアルキレン化合物が少なくともその片末端
合性不飽和カルボン酸とエステルを形成してなるポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート(以下「モノマー(b1)」とも言う。)から誘導される成分単位(以
下「ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(b1)」とも言う。)と、
(b2)上記(b1)成分以外の少なくとも1種の非架橋型重合性不飽和カルボン酸またはそのエステル(以下「モノマー(b2)」とも言う。)から誘導される成分単位(以下「非架橋型重合性不飽和カルボン酸系成分単位(b2)」とも言う。)と、
(b3)必要に応じて、架橋型重合性不飽和単量体(以下「モノマー(b3)」とも言う。)から誘導される成分単位(以下「架橋型重合性不飽和単量体成分単位(b3)」とも言う。)と、
(b4)必要に応じて、その他の重合性不飽和単量体(以下「モノマー(b4)」とも言う。)から誘導される成分単位(以下「その他の重合性不飽和単量体成分単位(b4)」とも言う。)と
からなる。
【0059】
まず初めにポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(b1)について説明する。
<ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(b1)>
ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(b1)は、下記式[III]で表されるポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート[III]から誘導される成分単位である。
【0060】
34−[OR31]m−[OR32]n−OCOR33・・・[III]
式[III]中、R31およびR32は、互いに同一でも異なっていてもよい2価の炭化水素
基を示し、脂肪族系、脂環族系、芳香族系が挙げられ、脂肪族系が好ましく、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン:−(CH23−、メチルジメチレン:−CH2CH(CH3)−)、ブチレン基(テトラメチレン)など、炭素数1〜10,好ましくは1〜5のポリメチレン基が挙げられる。
【0061】
33は、重合性不飽和炭化水素基含有基を示し、例えば、ビニル基(CH2=CH−)
、CH2=C(CH3)−、CH3−CH=CH−、CH3−CH=C(CH3)−、HOC
OCH=CH−、CH3OCOCH=CH−など、総炭素数が2〜15、好ましくは2〜
10であって、置換基を有していてもよい不飽和炭化水素基含有基が挙げられる。
【0062】
したがって、−OCOR33(すなわち、R33COO−)は、重合性不飽和カルボン酸残基を示し、−OCOR33(すなわち、R33COO−)としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基[CH2=C(HまたはCH3)COO−]の他、2塩基性重合性不飽和カルボン酸から誘導されたマレイノイルオキシ基(HOOCCH=CHCOO−,cis)、フマロイルオキシ基(HOOCCH=CHCOO−,trans)等の基、及びそれらのエステルなど、その総炭素数が3〜16,好ましくは3〜11であって、置換基(例:−COOH)を有していてもよい重合性不飽和カルボン酸残基(重合性不飽和基含有カルボニルオキシ基)が挙げられる。
【0063】
34は、水素原子(イ)、重合性不飽和結合を有していてもよい1価の炭化水素基(ロ)、または重合性不飽和結合を有していてもよい有機カルボン酸残基「R35CO-(R35は、重合性不飽和結合を含有していてもよい有機基を示す。)」(ハ)を示す。この有機カルボン酸残基(ハ)は、1塩基性であっても2塩基性であってもよい。
【0064】
34が、重合性不飽和結合を有していてもよい1価の炭化水素基(ロ)である場合、このような炭化水素基(ロ)としては、例えば、前記R33と同様な基である、CH2=CH
−、CH2=C(CH3)−、CH3−CH=CH−、CH3−CH=C(CH3)−などの
他に、CH3−、C25−、C37−、C49−などの炭素数1〜10、好ましくは1〜
5のアルキル基;置換基を有していても良い炭素数6〜20のアリール基;CH3CO−
、C25CO−、C37CO−、C49CO−などの炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルキルカルボニル基;などが挙げられる。R34としては、これらの中でも、水素原子(イ)および上記アルキル基が好ましい。
【0065】
上記アルキル基あるいはアルキルカルボニル基等に含まれるアルキル基は、直鎖状、分岐状、脂環状などのいずれであってもよい。上記式[III]中、mおよびnは正数を示し
、好ましくは、それぞれ1〜50の数である。このようなポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(b1)を誘導しうるポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート[III]としては、特開平9−216922号公報の段落[0009]
に記載のものなどを用いることができ、具体的には、例えば、
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーPEシリーズ、PE-90、PE-200、PE-350)、
メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーPMEシリーズ、PME-100 、PME-200 、PME-400 ;新中村化学工業(株)製NKエステルシリーズ、M-20G、M-40G、M-90G、M-230G)、
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーPPシリーズ、PP-1000 、PP-500、PP-800)、
ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーPEP シリーズ、70PEP-370B)、
ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマー55PET-800)、
ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーNKH-5050)、
ポリプロピレングリコールモノアクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーAP-400)、
ポリエチレングリコールモノアクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーAE-350)、さらには、
メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート:[H3C-(OC24m+n−OC
O(CH)=CH2]、
エトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート:[H52-(OC24m+n−OCOC(CH3)=CH2]、
メチルカルボキシポリエチレングリコールモノメタクリレート:[H3C-CO-(OC24m+n−OCOC(CH3)=CH2]、
メチルカルボキシポリプロピレングリコールモノメタクリレート:[H3C-CO-(O
36m+n−OCORC(CH3)=CH2]、
メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート:[H3C-(OC24m(OC36n−OCORC(CH3)=CH2]、
カルボキシメチレンカルボキシポリエチレングリコールモノメタクリレート:[HOCO-CH2-CO(OC24m+n−OCOC(CH3)=CH2]、
ヒドロキシマレイオイルポリエチレングリコールモノメタクリレート:[HOOCCH=CHCO(OC24m+n−OCOC(CH3)=CH2]、
ポリエチレングリコールジメタクリレート:[CH2=CHCO-(OC24m+n−O
COC(CH3)=CH2]、
ポリエチレングリコールジメタクリレート:[CH2=C(CH3)CO-(OC24m+n−OCOC(CH3)=CH2]、
フェノキシポリエチレングリコールモノメタクリレート:
【0066】
【化10】


【0067】
等が挙げられる。これらは、1種または2種以上組み合わせて用いられる。これらのポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート[III]のうちでは、ポリオキシアルキレ
ン(メタ)アクリレート類(オキシアルキレン基の炭素数:1〜10)が好ましく、さらには、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(エチレングリコールの繰り返し数:2〜100)が望ましい。
【0068】
<非架橋型重合性不飽和カルボン酸系成分単位(b2)>
非架橋型重合性不飽和カルボン酸系成分単位(b2)は、上記成分ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(b1)以外の、「少なくとも1種の非架橋型(非架橋性とも言う。)の重合性不飽和カルボン酸またはそのエステル」から誘導される成分単位である。
【0069】
このような(非架橋型の)重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルとしては、特許2939309号公報第13頁右欄後段〜14頁左欄上段、あるいは、特開平9−100445号公報第3頁左欄〜右欄の段落[0007]に記載の重合性ビニル単量体などを使用でき、具体的には、例えば、
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート等の炭素数が1〜30程度で、脂肪族、脂環族あるいは芳香族系の(メタ)アクリル酸エステル;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有不飽和カルボン酸エステル;
(メタ)アクリロキシプロピルポリジメチルシロキサンなどのケイ素含有不飽和カルボン酸エステル;
2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有不飽和カルボン酸エステル
などが挙げられる。
【0070】
これらの重合性不飽和カルボン酸、酸無水物および重合性不飽和カルボン酸エステルは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの重合性不飽和カルボン酸、酸無水物および重合性不飽和カルボン酸エステルのうちでは、上記(メタ)アクリル酸およびそのエステルが好ましく、さらには、炭素数1〜30の脂肪族、脂環族系の上記(メタ)アクリル酸およびそのアルキルエステルが望ましい。
【0071】
<架橋型重合性不飽和単量体成分単位(b3)>
架橋型重合性不飽和単量体成分単位(b3)としては、上記(b1)、(b2)以外の
、架橋型重合性不飽和単量体から誘導される成分単位」が挙げられる。
【0072】
このような架橋型基(架橋性基とも言う。)を有する重合性不飽和単量体成分単位(b3)を誘導しうる架橋型重合性不飽和単量体としては、例えば
必要により用いられる架橋剤と反応可能なOH基を有する重合性不飽和単量体として、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、
また、自己架橋可能な加水分解性シリル基含有重合性不飽和単量体として、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、p−トリメトキシシリルスチレン、p−トリエトキシシリルスチレン、p−トリメトキシシリル−α−メチルスチレン、p−トリエトキシシリル−α−メチルスチレン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル−γ−アミノプロピル)トリメトキシシラン・塩酸塩等が挙げられ、
必要に応じて用いられる架橋剤と反応可能なエポキシ基を有する重合性不飽和単量体として、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、
自己架橋可能な又は必要に応じて用いられる架橋剤と反応可能なイソシアネート基を有する重合性不飽和単量体として(メタ)アクロイルイソシアネート、2-(メタ)アクリロキシエチルイソシアネート等が挙げられ、
必要に応じて用いられる架橋剤と反応可能なカルボキシル基を有する重合性不飽和単量体として(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びその誘導体、イタコン酸及びその誘導体等が挙げられる。
【0073】
また上記架橋型重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(b3)は必要に応じて、ラジカル重合等による架橋型基である(メタ)アクリロキシ基やビニル基を有する成分単位(b3)への誘導が可能であり、更に他の架橋系であるシラノール基やアミノ基を有する成分単位(b3)への誘導も可能である。
【0074】
これらの「架橋型重合性不飽和単量体」のうちでは、得られるオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体の造膜性、塗膜強度、耐熱性、耐油性などの観点からみて、該共重合体を含む塗料などから得られる塗膜中において、該共重合体が架橋構造を形成していることが望ましい。「架橋型重合性不飽和単量体」としては、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基、アリーロキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、(メタ)アクリロキシ基、ビニル基、シラノール基、アミノ基等のうちのいずれか1種以上の官能基、好ましくはヒドロキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、アルコキシシリル基のうちのいずれか1種以上の官能基を有する架橋型重合性不飽和単量体を用いることが望ましい。
【0075】
これらの架橋型重合性不飽和単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3(又は2)-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4(又は2)-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシジル(メタ)アクリレートを用いることが特に望ましい。
【0076】
これらの「架橋型重合性不飽和単量体」は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
<その他の重合性不飽和単量体成分単位(b4)>
その他の重合性不飽和単量体成分単位(b4)としては、上記(b1)、(b2)、(b3)以外の必要により用いられる重合性不飽和単量体から誘導される成分単位が挙げられる。
【0077】
このような成分単位(b4)を誘導しうる重合性不飽和単量体としては、ビニル共重合体ブロック成分を形成し得るラジカル重合性不飽和単量体であれば公知のいずれの単量体をも使用することができ、例えば
スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;
N,N-ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;
エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;
イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸などの二塩基性重合性単量体やそれらのエステル類;
アクリロニトリル
などを挙げることができる。
【0078】
これらの「その他の重合性不飽和単量体」は、必要に応じ、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B](100重量%)中に、
上記ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(b1)は通常、0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%、特に好ましくは1.0〜20重量%の量で、
上記重合性不飽和カルボン酸系成分単位(b2)は、通常、60〜99.9重量%、好ましくは70〜99.5重量%、特に好ましくは80〜99.0重量%の量で含まれていることが望ましい。
【0079】
また、上記架橋型重合性不飽和単量体成分単位(b3)は、通常、0〜39重量%、好ましくは0〜29重量%、特に好ましくは0〜19重量%の量で、
上記その他の重合性不飽和単量体成分単位(b4)は、通常、0〜39重量%、好ましくは0〜29重量%、特に好ましくは0〜19重量%の量で含まれていても良い。
【0080】
このような量で各成分単位(b1)と(b2)と(b3)と(b4)とがポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]中に含まれていると、得られるオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(「シリコーンブロックビニル共重合体」とも言う。)は、適度な造膜性を有し、塗膜強度が良好で防汚性に優れる傾向がある。
【0081】
また、上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]あるいは対応するポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体のガラス転移温度(Tg)は、通常、−75℃以上、好ましくは−30℃以上であることが造膜性の点で望ましい。
【0082】
本発明のポリエーテル変性シリコーンの存在下で共重合されたオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体には、ポリエーテル変性シリコーン[A]が1〜80重量%、好ましくは5〜50重量%と、ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]が5〜98重量%、好ましくは10〜90重量%と、オルガノポリシロキサンチオブロック[C]が1〜80重量%、好ましくは5〜50重量%の量で存在していることが望ましい。
【0083】
このような量で[A]が用いられ、各ブロック[B]および[C]がオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体中に含まれていると、該オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体は、難接着面を形成し防汚性が良好となる傾向がある。なお、ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]中においては、上記モノマー(ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート[III])中の重合性不飽和結合(炭素−炭素2重結合)が開裂してなる成分単位(b1)と、同様に対応するモノマー中に含まれる重合性不飽和結合がそれぞれ開裂してなる成分単位(b2)と、必要に応じて用いられる成分単位(b3)と成分単位(b4)とが、ランダムにあるいはブロックに配列して連結して共重合体ブロックを形成しているものと思われる。
【0084】
<オルガノシロキサンチオブロック[C]>
本発明のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体を構成するオルガノポリシロキサンチオブロック[C]は、下記式[IV]で表される。
[C]一般式[IV]:
【0085】
【化11】


【0086】
式[IV]中、複数のR41は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10の炭化水素基を示し、R41としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素数1〜10、好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3のアルキル基、フェニル基、2−フェニルエチル基、フルオロアルキル基等が挙げられ、好ましくは上記アルキル基、特にメチル基が望ましい。
【0087】
42、R43およびR44は、それぞれ独立にR41または、炭素原子数が1〜20の2価の有機基を示し、好ましくは該炭素数の2価チオ有機基(例:チオ炭化水素基)または前記R41と同様の基を示し、さらに好ましくは上記2価のチオ有機基が望ましい。
【0088】
2価のチオ有機基は、式:「−SX−」(X:置換基を有していてもよい2価有機基)で示される。該チオ有機基としては、
特許第2863562号公報第3頁に示されるような、チオメチレン基(−S−CH2
−)、チオジメチレン基(−S−(CH22−)、チオトリメチレン基(−S−(CH2
3−)、チオプロピレン基「−S−CH(CH3)CH2−」、チオブチレン基「−S−C
2CH(CH3)CH2−」、チオジメチルメチレン基「−S−C(CH3)2−」、チオジメ
チルエチレン基「−S−CH2C(CH3)2−」、チオオクタメチレン基「−S−(CH2)8
−」等のように、分岐を有することのある、炭素数が1〜10で鎖状の2価炭化水素基を有するチオ炭化水素基;
チオフェニレン基「−S−C64−」、チオフェニレンエチレン基「−S−C64−(CH22−」等のように、芳香族系2価炭化水素基を有するチオ炭化水素基;
また、特開平9−100445号公報に記載のような末端に、エポキシ基を有するポリジメチルシロキサン化合物に、HS−CH2COOH、HS−CH2CH2COOHを付加
して得られるような構造に由来する2価有機基を有するチオ有機基;
等が挙げられる。
【0089】
これらのチオ有機基「−SX−」のうちでは、チオトリメチレン基等の炭素数1〜5の鎖状の2価炭化水素基(X)を有するチオ炭化水素基が好ましい。
上記tは、繰り返し単位[Si(R412−O]の総数(正の数)を示し、uもこれと
同様に、繰り返し単位[Si(R41)(R44−)−O]の総数(正の数)を示し、各繰り返し単位[Si(R412−O]と、[Si(R41)(R44−)−O]とは、任意の順序
で結合して各繰り返し単位の総個数がそれぞれt、uとなっていてもよい。例えば、各繰り返し単位が1個づつ交互に配列して結合していてもよく、それぞれが任意個数のブロックを形成して配列し、各繰り返し単位の総個数がそれぞれt、uとなっていてもよい。
【0090】
このようなオルガノポリシロキサンチオブロック[C]には、式[IV]中のR42、R43、R44の種類により、下記(1)〜(4)の4つのタイプがある。(これら式[IV−1]〜[IV−
4a]中、R45は、炭素数1〜10,好ましくは1〜5の二価有機基を示す。R41は、式[IV]中のものと同じ。)
(1) 式[IV]中、オルガノポリシロキサンの片末端基R42またはR43の一方が、2価のチオ有機基であり、かつその他方、R43およびR44が、前記R41と同様の基であるもの(片末端型):
【0091】
【化12】


【0092】
このようなオルガノポリシロキサンチオブロック[IV−1]を誘導しうるメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−1a]としては、例えば、下記のようなものが挙げられる。
【0093】
【化13】


【0094】
(式[IV−1]、[IV−1a]中、R45はプロピレン基「-CH(CH3)CH2-」あるいはトリ
メチレン基「-(CH2)3-」、R41はメチル基、フェニル基、フルオロアルキル基を示す。t+u=2〜1,500の整数である。)
このようなメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−1a]として、より具体的には
、α-メルカプトプロピルポリジメチルシロキサン、エポキシ基含有ポリジメチルシロキ
サン(品名:「サイラプレーンFM-0511、FM-0521、FM-0525」、チッソ(株)製)への3-
メルカプトプロピオン酸付加物などが挙げられる。
【0095】
(2) 式[IV]中、R42およびR43が、いずれも2価のチオ炭化水素基であり、かつR44が、前記R41と同様の基であるもの(両末端型):
【0096】
【化14】


【0097】
このようなオルガノポリシロキサンチオブロック[IV−2]を誘導しうるメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−2a]としては、例えば、下記のようなものが挙げられる。
【0098】
【化15】


【0099】
(式[IV−2]、[IV−2a]中、R45はプロピレン基「-CH(CH3)CH2-」あるいはトリ
メチレン基「-(CH2)3-」、R41はメチル基、フェニル基、フルオロアルキル基を示す。t+u=2〜1500の整数。)このようなメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV
−2a]としてより具体的には、信越化学工業(株)製「X−22−167B」などが挙げられる。
【0100】
(3) 式[IV]中、R42およびR43の両者が、前記R41と同様の基であり、複数(u個)のR44のうちの少なくとも1個(u−w個)が2価のチオ炭化水素基であり、かつ残りのR44(w個)が、前記R41と同様の基であるか、または複数のR44の全て(w=0、u個)が、2価のチオ炭化水素基であるもの(側鎖型):
【0101】
【化16】


【0102】
このようなオルガノポリシロキサンチオブロック[IV−3]を誘導しうるメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−3a]としては、例えば、下記のようなものが挙げられる。
【0103】
【化17】


【0104】
(式[IV−3]、[IV−3a]中、R45はプロピレン基「-CH(CH3)CH2-」あるいはトリ
メチレン基「-(CH2)3-」、R41はメチル基を示す。t=1〜1500の整数、u=1〜100の整数、0≦w≦u(w:整数)。)このようなメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−3a]としてより具体的には、信越化学工業(株)製、商品名「KF−200
1、KF−2004、KP−358」などが挙げられる。
【0105】
(4) 式[IV]中、R42およびR43の両者が、2価のチオ炭化水素基であり、R44のうちの少なくとも1個(u−w個)が、2価のチオ炭化水素基であり、かつその残り(w個)のR44が、前記R41と同様の基であるか、またはR44の全て(w=0、u個)が2価のチオ炭化水素基であるもの(側鎖両末端型):
【0106】
【化18】


【0107】
(これら式[IV−1]〜[IV−4]中、R45は、炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価炭化水素基を示す。R41は、式[IV]中のものと同じ。)
このようなオルガノポリシロキサンチオブロック[IV−4]を誘導しうるメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−4a]としては、例えば下記のようなものが挙げられる。
【0108】
【化19】


【0109】
(式[IV−4]、[IV−4a]中、R45はプロピレン基「-CH(CH3)CH2-」あるいはトリ
メチレン基「-(CH2)3-」、R41はメチル基を示す。t=1〜1500の整数、u=1〜100の整数、0≦w≦u(w:整数)。)
なお本明細書では、上記メルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−1a]、上記メルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−2a]、上記メルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−3a]および上記メルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−4a]をまとめて「メルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−a]」ともいう。
【0110】
このような種々のオルガノポリシロキサンチオブロック[C]中におけるチオエーテル基「−S−」あるいは対応するメルカプト変性ポリオルガノシロキサン中におけるメルカプト基(-SH基)の個数は、例えば、特開平9−216922号公報(昭和電工(株)
)5頁[0015]欄にも示されるように、通常、1ブロック(あるいは1分子)当たり、平均して1.0〜100個、好ましくは1.0〜50、さらに好ましくは1.0〜30が望ましい。
【0111】
また、上記オルガノポリシロキサンチオブロック[C]あるいは対応するメルカプト変性ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量(Mw)は、300〜100,000、好ましくは500〜50,000であることが望ましい。
【0112】
なお、本発明のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体中のオルガノポリシロキサンチオブロック[C]が、ポリオルガノシロキサンの分子片末端にメルカプト基1個を有するメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−1a]より誘導された上記片
末端型[IV−1]である場合には、本発明のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体の構造は、ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]の片末端あるいは両末端に、オルガノポリシロキサンチオブロック[C]が付加(末端封止)したブロック共重合体([B]・[C]型、あるいは[C]・[B]・[C]型)となり、
またオルガノポリシロキサンチオブロック[C]が上記両末端型[IV−2]である場合には、ブロック[B]が、オルガノポリシロキサンチオブロック[C]の両末端に付加したブロック共重合体([B]・[C]・[B]型など)となり、
またオルガノポリシロキサンチオブロック[C]が上記側鎖型[IV−3]である場合には、ブロック[B]が、オルガノポリシロキサンチオブロック[C]の側鎖に付加したグラフト共重合体(櫛型共重合体)となり、
また上記オルガノポリシロキサンチオブロック[C]が上記側鎖両末端型[IV−4]である場合には、ブロック[B]が、オルガノポリシロキサンチオブロック[C]の両末端および側鎖に付加したスター型共重合体となると考えられる。但し、これらの反応はラジカルの複雑な停止反応により、この他のブロック構造の存在も推定し得る。
【0113】
上記ポリエーテル変性シリコーン[A]の存在下で、上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]と上記オルガノポリシロキサンチオブロック[C]とを共重合すると、ポリエーテル変性シリコーン[A]の大部分はオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体と混合された状態となるが、ポリエーテル変性シリコーン[A]の一部は上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]あるいは上記オルガノポリシロキサンチオブロック[C]と共重合すると考えられる。その根拠として、後述する表4と表5とを比較すると明らかなように、変性シリコーン[A]の存在下でブロック[B]およびブロック[C]を反応させて得られる共重合体は、ブロック[B]とブロック[C]との共重合体と変性シリコーン[A]との単なるブレンド物よりも相溶性が優れていることが挙げられる。
【0114】
変性シリコーン[A]は、(1)シリコーンのメチル基からの水素引き抜き反応、あるいは(2)ポリエーテルの酸化で生成されたパーオキサイドの熱分解により、重合反応し得ると考えられる。
【0115】
本発明のポリエーテル変性シリコーンの存在下で共重合されたオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体には、ポリエーテル変性シリコーン[A]の含量が1〜80重量%、好ましくは5〜50重量%と、ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]の含量が5〜98重量%、好ましくは10〜90重量%と、オルガノポリシロキサンチオブロック[C]の含量が1〜80重量%、好ましくは5〜50重量%量で存在していることが望ましい。
【0116】
このような量で[A]が用いられ、各ブロック[B]および[C]がオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体中に含まれていると、得られるオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体は、造膜性、塗膜強度、防汚性に優れる傾向がある。
【0117】
このような本発明に係るオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体は、ポリエーテル変性シリコーン存在下で共重合され相溶性(透明性)が改良されるため、例えば、防汚塗料に配合すれば、機械的強度に優れ、かつ防汚性およびその持続性に優れた防汚塗膜を形成可能であり、環境への負荷や人体への影響が少ない。特に、本発明のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体とともに、シリコーンオイルや、パラフィン成分などが配合されていても上記機械的強度等の特性に優れた塗膜が形成でき、しかも、塗膜の脆弱化が効果的に抑制できる塗膜を形成できる防汚塗料等の塗料、離型剤などを調製可能である。
【0118】
[オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体の製造]
本発明のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体を製造するには、例えば、
上記式[I]で表わされる変性シリコーン、および/または上記式[II]で表わされる変性シリコーンと、
上記モノマー(b1)、すなわち、上記(b1)ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート[III](例:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、式
[III]中、m+n=2〜100)と、
上記モノマー(b2)、すなわち、上記(b1)以外の少なくとも1種の非架橋型重合性不飽和カルボン酸またはそのエステル(例:メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート)と、
上記モノマー(b3)、すなわち、必要に応じて用いられる架橋型基含有重合性不飽和単量体(例:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシブチルアクリレート)と、
上記モノマー(b4)、すなわち、必要に応じて用いられるその他の重合性不飽和単量体(例:スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル)と、
上記メルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV](例:商品名「KF-2001、KP-358」
、信越化学工業(株)製、メルカプト変性シリコーン)と
を、必要によりラジカル重合開始剤等のラジカル発生源の存在下に、通常の反応条件に従って、熱または光で重合させればよい。
【0119】
このような重合反応の際には、上記各モノマー(マクロモノマーを含む)は、上記オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体中における各成分単位量に対応する量で用いればよく、具体的には、上記各モノマー(b1)、(b2)および(b3)および(b4)の合計((b1)+(b2)+(b3)+(b4))は、通常5〜98重量%、好ましくは10〜90重量%で、変性シリコーン[I]および/または変性シリコーン[II]は、通常1〜80重量%、好ましくは5〜50重量%で、メルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−a]は、通常1〜80重量%、好ましくは5〜50重量%の量で用いられる(ただし、((b1)+(b2)+(b3)+(b4))と、変性シリコーン[I]および/または変性シリコーン[II]と、メルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−a]との合計を100重量%とする。)。
【0120】
また、上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]形成用モノマーの合計((b1)+(b2)+(b3)+(b4))100重量%に対して、上記モノマー(b1)は、通常、0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%、特に好ましくは1.0〜20重量%の量で、上記モノマー(b2)は、通常、60〜99.9重量%、好ましくは70〜99.5重量%、特に好ましくは80〜99.0重量%の量で、上記モノマー(b3)は、通常、0〜39重量%、好ましくは0〜29重量%、特に好ましくは0〜19重量%の量で、上記モノマー(b4)は、通常0〜39重量%、好ましくは0〜29重量%、特に好ましくは0〜19重量%の量で用いられる。
【0121】
このような量で各モノマーを用いると、得られるオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体は、造膜性、塗膜強度、防汚性に優れる傾向がある。この重合は、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合など種々の重合方法で行うことができる。
【0122】
ラジカル重合開始剤を用いる場合には、上記(b1)〜(b4)の不飽和単量体(モノマー)の合計100重量部に対して、このラジカル重合開始剤は、通常、0.005〜20重量部の量で使用される。このようなラジカル重合開始剤としては、一般にラジカル重合反応開始剤として使用されているものを広く使用でき、具体的には、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'−アゾビスイソバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名「ABN−E」、日本ヒドラジン製、アゾ化合物)、ポリジメチルシロキサン系高分子アゾ重合開始剤(商品名「VPS−0501、VPS−1001」、和光純薬工業(株)製、アゾ化合物)等のアゾ化合物;過酸化ベンゾイル(BPO)、ヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(商品名「カヤエステルO」、化薬アクゾ(株)製)等のペルオキシド;などが挙げられる。これらラジカル重合開始剤は、1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0123】
溶媒としては、常温で適度の揮発性を有し、用いられるモノマー(マクロモノマーを含む)および得られたオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体を溶解させうるものであれば特に制限はないが、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、アセトン等のケトン類;ジクロロメタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体系溶媒;等が挙げられる。これら溶媒(溶剤)は1種または2種以上適宜組合せて用いることができる。
【0124】
これらの溶媒は、上記変性シリコーン[I]および/または上記変性シリコーン[II]、モノマー(b1)、モノマー(b2)、モノマー(b3)およびモノマー(b4)(これらのマクロモノマーも含む。)、ならびにメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV]の合計100重量部に対して、任意量で使用できるが、例えば、10〜1000重量部、好ましくは20〜500重量部の量で用いられる。本発明においては、重合方法として溶液重合を採用する場合には、重合反応によって得られたオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体を分別、精製することなく溶媒希釈のまま使用することも可能であり、好ましい。
【0125】
このようにして得られたオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体のGPCで測定された重量平均分子量(Mw)は、通常、1,000〜400,000、好ましくは3,000〜200,000であり、さらに好ましくは10,000〜100,000である。またその粘度(mPa・s/25℃)は、通常、50%溶液において50〜10万、好ましくは100〜2万であり、その外観は、通常、透明もしくは半透明または白濁の溶液である。
【0126】
また、このようにして得られたオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体と、共重合反応後に残存する変性シリコーン[I]および/または変性シリコーンとの混合物の、GPCで測定された重量平均分子量(Mw)は、通常、1,000〜400,000、好ましくは3,000〜200,000であり、さらに好ましくは10,000〜100,000である。またその粘度(mPa・s/25℃)は、通常、50%溶液において50〜10万、好ましくは100〜2万であり、その外観は、通常、透明もしくは半透明また
は白濁の溶液である。
【0127】
<用途>
このような本発明に係るオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(シリコーンブロックビニル共重合体)は、例えば、防汚塗料に代表される塗料用の塗膜形成成分(ビヒクル成分)として好適に用いられる。該オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体の、その他の用途としては、例えば、貼紙防止塗料、汚れ防止塗料、着氷・着雪防止塗料、落書き防止塗料、離型材料等が挙げられる。
【0128】
なお、本発明のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体を樹脂成分として含む防汚塗料組成物(防汚塗料)は、従来の防汚塗料のように防汚剤を配合しなくとも十分に防汚性能を発揮でき、防汚剤を添加しなくともよいが、必要により防汚剤を配合してもよい。また、このようなオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体を含有する防汚塗料に代表される塗料などには、各種溶剤、撥水性官能基含有成分として特許第2863562号公報などに記載の撥水性物質、レベリング剤、紫外線吸収剤、体質顔料、着色顔料、タレ止め剤、その他の展色剤(被膜形成成分)、可塑剤(例:塩素化パラフィンなど)等、通常、塗料(防汚塗料を含む)に配合されるような各種成分を配合してもよい。
【0129】
上記撥水性官能基含有成分としては、ペトロラタム、パラフィンワックス、流動パラフィンなどのパラフィン類、さらにジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、フロロシリコーンオイル、末端官能基含有シリコーンオイルなどの、前記ポリエーテル変性シリコーン[A]以外のシリコーンオイル、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の長鎖脂肪酸およびそのエステル類、牛脂,豚脂,鱈脂,ヤシ油,パーム油などの天然油脂などが挙げられる。
【0130】
このような撥水性官能基含有成分の使用量は、特に限定されないが、該撥水性官能基含有成分を用いる場合には、得られる塗膜の造膜性、乾燥性、付着性の点から通常、本発明のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(以下、単に「シリコーンブロックビニル共重合体」とも言う。)100重量部に対して、通常、1〜200重量部、好ましくは5〜100重量部の量で用いられる。
【0131】
このような防汚塗料を調製する際には、例えば、ハイスピードディスパー、サンドグラインドミル、バスケットミル、三本ロール、ボールミル、アトライターなど、従来より公知の分散用機械を用いることができる。以下、本発明に係る防汚塗料組成物、その塗膜および防汚方法について、さらに具体的に説明する。
【0132】
<塗料組成物(塗料)、防汚塗料組成物(防汚塗料)>
本発明に係る共重合体組成物、防汚塗料組成物には、上記オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体が塗膜形成成分あるいはビヒクルとして含有されている。本発明の塗膜、防汚塗膜は、このオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体組成物または防汚塗料組成物から形成されたものである。
【0133】
本発明におけるオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体から形成される塗膜においては、含有しているポリシロキサン鎖やポリオキシアルキレン鎖が表面に配向し付着生物に対しての難接着面が形成される。この特性によりこの塗膜には水中の生物が付着し難く、また付着しても容易に除去可能であり、長期間にわたり優れた防汚性能の維持が達成される。また、ポリオキシアルキレン基を含有するビニル系モノマーなどが共重合されているため、更に防汚性の発現が顕著となる。
【0134】
このような本発明の共重合体組成物、塗料(防汚塗料組成物を含む)には、通常の塗料等に配合されるような任意成分が配合されていてもよい。以下防汚塗料組成物を特に例示して説明する。配合可能な任意成分としては、例えば防汚剤、溶出助剤、塩素化パラフィン等の可塑剤、脱水剤(安定剤)、タレ止め・沈降防止剤、顔料、上記以外の塗膜形成成分、溶剤などの各種成分が含まれていてもよい。また、必要に応じて架橋のための硬化剤や硬化触媒を塗料の使用時あるいは塗料調製時に配合することが可能である。
【0135】
<防汚剤>
本発明の防汚塗料組成物において、防汚剤としては、金属銅、亜酸化銅、ロダン銅、塩基性硫酸銅、塩基性酢酸銅、オキシキノリン銅、ナフテン酸銅、ロジン酸銅、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、テトラメチルチウラムジサルファイド、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル、N,N-ジメチルジクロロフェニル尿素、2-メチルチオ-4-tert-ブチルアミノ-6-シクロプロピルアミノ-s-トリアジン、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2,4,6-トリクロロフェニルマレイミド、ピリジン-トリフェニルボラン、アミン-トリフェニルボラン等が挙げられる。
【0136】
<溶出助剤>
溶出助剤としては、配合する撥水剤の表面移行を補助するような、又は上記防汚剤を効率的に徐放させ得るような界面活性剤的作用を有する各種化合物を使用できる。例えばロジン、ナフテン酸等の一塩基酸、各種ポリアルキレン変性物等を必要により用いることができる。
【0137】
<可塑剤>
可塑剤としては、塗膜に可撓性を付与し、耐ワレ性や密着性を向上するために正リン酸エステル、塩素化パラフィン、フタル酸エステル、アジピン酸エステル等、通常、塗料用に用いられる可塑剤を使用しても良い。
【0138】
本発明に係る防汚塗料組成物においては、これら可塑剤は、必要に応じ、上記シリコーンブロックビニル共重合体(固形分)100重量部に対して、0〜50重量部の量で含まれていても良い。
【0139】
<脱水剤(安定剤)>
脱水剤(安定剤)は、特に架橋型重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(b3)中にアルコキシシリル基やイソシアネート基を含む場合に、(防汚塗料)組成物の貯蔵安定性を一層向上することができる。
【0140】
このような脱水剤(安定剤)として、具体的には、例えば無水石膏(CaSO4)、合
成ゼオライト系吸着剤(商品名:モレキュラーシーブ等)、オルソギ酸メチル、オルソ酢酸メチル等のオルソエステル類、オルソホウ酸エステル、シリケート類やイソシアネート類(商品名:アディティブTI)等が挙げられる。本発明に係る防汚塗料組成物においては、この脱水剤は、必要に応じ、上記シリコーンブロックビニル共重合体(固形分)100重量部に対して0〜40重量部の量で含まれていても良い。
【0141】
<タレ止め・沈降防止剤(搖変剤)>
本発明では、塗装時の厚塗り性、タレ止性の向上や必要により用いられる溶剤不溶分(顔料等)の沈降防止のため、各種タレ止め・沈降防止剤(接着剤)を配合しても良い。
【0142】
タレ止め・沈降防止剤(搖変剤)としては、有機粘土系Al、Ca、Znのステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩などの塩類、ポリエチレンワックス、アマイド
ワックス、水添ヒマシ油ワックス系、ポリアマイドワックス系および両者の混合物、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス等が挙げられ、好ましくは、ポリアマイドワックス、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス、有機粘度系が用いられる。このようなタレ止め・沈降防止剤としては、楠本化成(株)製の「ディスパロン305」、「ディ
スパロン4200-20」等の他、「ディスパロンA630-20X」等の商品名で上市されているもの
が挙げられる。このようなタレ止め・沈降防止剤は、この防汚塗料組成物中に、必要に応じ、例えば、0〜10重量%の量で含まれていてもよい。
【0143】
<顔料>
防汚剤以外の顔料としては、従来公知の有機系、無機系の各種着色または体質顔料を用いることができる。有機系顔料としては、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、紺青等があげられる。無機系顔料としては、例えば、チタン白、ベンガラ、バライト粉、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、亜鉛華(ZnO、酸化亜鉛)、鉛白、鉛丹、亜鉛末等があげられる。このような各種顔料は、防汚塗料組成物中に、必要に応じ、合計で0〜45重量%程度の量で配合されていてもよい。
【0144】
<その他の塗膜形成成分>
本発明の防汚塗料組成物には、塗膜形成成分として本発明のシリコーンブロックビニル共重合体以外の樹脂が含まれていてもよい。その他の塗膜形成成分としては、例えばアクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリブテン樹脂、シリコーンゴム、ウレタン樹脂(ゴム)、ポリアミド樹脂、塩化ビニル系共重合樹脂、塩化ゴム(樹脂)、塩素化オレフィン樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、エチレン-
酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、クマロン樹脂、トリアルキルシリルアクリレート(共)重合体(シリル系樹脂)、石油樹脂、ケトン樹脂、フォルムアルデヒド樹脂、ポリビニルアルキルエーテル樹脂などがあげられる。
【0145】
上記本発明のシリコーンブロックビニル共重合体など以外の、これらの「その他の塗膜形成成分」は、防汚塗料組成物中に、80重量%以下の量で含まれていてもよい。
<溶剤>
本発明の防汚塗料では、上記のような各種成分は、溶剤に溶解若しくは分散している。ここで使用される溶剤としては、例えば、脂肪族系、芳香族系、ケトン系、エステル系、エーテル系など、通常防汚塗料に配合されるような各種溶剤が用いられる。上記芳香族系溶剤としては、例えばキシレン、トルエン等があげられ、ケトン系溶剤としては、例えばMIBK、メチルアミルケトン等があげられ、エステル系溶剤としては、酢酸ブチル等があげられ、エーテル系溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMAC)等があげられる。
【0146】
本発明では、これら溶剤の添加量は特に限定されない。
<硬化剤・硬化触媒>
本発明では、架橋型重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(b3)中の架橋型官能基を架橋させて本発明のオルガノポリシロキサンチオブロック共重合体あるいは該共重合体を含む塗料を塗布してなる塗膜を硬化させ、或いは、自己架橋を含む架橋反応を促進させて本発明のオルガノポリシロキサンチオブロック共重合体あるいは該共重合体を含む塗料を塗布してなる塗膜を硬化させるために、公知の硬化剤、硬化触媒を適宜使用することができる。
【0147】
具体的には、例えば(b3)中にヒドロキシル基を含有する場合には、市販のイソシアネート系硬化剤やメラミン系硬化剤を使用することができ、また(b3)中にアルコキシシリル基やアリーロキシシリル基やシラノール基を含む場合には、アルキルシリケート類
を硬化剤として使用することもでき、更に自己架橋を促進し、また硬化剤を用いた架橋反応を促進するために錫、アルミ、チタン系等の硬化触媒を用いることができ、また(b3)中にエポキシ基を含む場合には、市販の種種のアミン類、チオール類、カチオン系開始剤、エポキシ硬化剤を用いることができ、また(b3)中にイソシアネート基を含む場合には、アクリルポリオール等のポリオール成分やポリアミノ化合物を硬化剤として使用することもでき、更に湿気硬化などの自己架橋を促進し、また硬化剤を用いた架橋反応を促進するために錫、アルミ、チタン系等の硬化触媒を用いることができ、また(b3)中にカルボキシル基を含む場合には、ポリグリシジル系化合物や多価金属及びその塩等を硬化剤として用いることができ、また(b3)中に(メタ)アクリロキシ基やビニル基を含む場合には、ラジカル発生剤を硬化触媒として使用したり、ポリアミン、ポリメルカプト化合物を硬化剤として使用することができる。
【0148】
<防汚塗料組成物の製造>
本発明の防汚塗料組成物は、従来から公知の方法を適宜利用することにより製造することができる。例えば溶液重合により得られる本発明のシリコーンブロックビニル共重合体溶液をそのまま防汚塗料組成物として用いることもでき、必要に応じて撥水性官能基含有成分を添加・混合しても良く、必要により防汚剤、溶出助剤、可塑剤、脱水剤(安定剤)、タレ止め・沈降防止剤、顔料、その他の塗膜形成成分、溶剤などとを所定の割合で一度あるいは任意の順序で加えて撹拌、混合し均一に溶解・分解等すればよい。
【0149】
このようにして得られた防汚塗料組成物は、必要に応じて架橋剤や硬化触媒と混合し、被塗物基材表面に塗布した後乾燥させれば良く、塗膜が硬化した時点で実用に供することができる。
【0150】
<防汚塗料組成物の用途>
本発明に係る防汚塗料組成物は、安定した防汚性能を長期間有する塗膜を形成でき、例えば、船舶、漁業資材(例:ロープ、漁網、浮き子、ブイ)、火力・原子力発電所の給排水口等の水中構造物、湾岸道路、海底トンネル、港湾設備、運河・水路、海洋土木工事の汚泥拡散防止膜などの各種基材の表面に塗布すれば防汚性に優れた防汚塗膜で被覆された船舶または水中構造物などが得られる。
【0151】
すなわち、本発明の防汚塗料組成物を各種基材の表面に塗布硬化してなる防汚塗膜は、アオサ、フジツボ、アオノリ、セルプラ、カキ、フサコケムシ等の水棲生物の付着を長期間継続的に防止できるなど防汚性に優れている。とくに、該防汚塗料組成物は基材が鋼鉄、FRP、木、アルミニウム合金などである場合にもこれらの基材表面に良好に付着する。また、該防汚塗料組成物は、既に塗装の施された塗膜表面や既存の防汚塗膜表面に上塗してもよい。
【0152】
また、本発明の防汚塗料組成物を海中構造物表面に塗布すれば、海中生物の付着防止を図ることができ、該構造物の機能を長期間維持できるという特徴を有している。また、本発明の防汚塗料組成物を漁網または漁具等の漁業資材に塗布すれば、漁網または漁具の汚損を防止でき、しかも環境汚染のおそれが極めて少ない。
【0153】
本発明の防汚塗膜、すなわち船舶または水中構造物の接水部表面に施された塗膜は前述した防汚塗料組成物から形成されており、環境汚染のおそれが極めて少なく、船舶または水中構造物への付着生物に対して長期防汚性に優れている。
【0154】
[実施例]
以下、本発明について実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は、かかる実施例により何等限定されるものではない。
【0155】
実施例、比較例で用いた配合成分、試験方法等は以下の通りである。
<原料>
使用した原料は以下のとおりである。
【0156】
【表1】


【0157】
<測定条件>
GCPおよびIRの測定条件は下記の通りである。
[GPC測定条件]
装置:東ソー社製 HLC−8120GPC
カラム:東ソー社製 Super H2000+H4000 6mm I.D. , 15cm
溶離液:THF
流速:0.5ml/min
検出器:RI
カラム恒温槽温度:40℃。
【0158】
[IR測定条件]
装置:パーキンエルマー製 Spctrum One FT−IR
測定方法:KBrセル、塗布法。
【0159】
[実施例1]
攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管、滴下装置および還流冷却管を備えた反応容器に、酢酸ブチル28.8重量部とKF−6016(商品名「KF−6016」、信越化学工業(株)製側鎖EO変性シリコーンオイル、固形分100重量%)23.8重量部とを仕込んで、窒素ガス雰囲気中で115℃まで昇温した。次いで、表2に示すように、
メチルメタクリレート(MMA)42.5重量部、
n−ブチルメタクリレート(BMA)20重量部、
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)10重量部、
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名「NKエステル M−230G」、新中村化学工業(株)製、−C24−O−単位数=23(平均値)、固形分:100重量%)2.5重量部、および
重合開始剤のt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(商品名「カヤエステルO」、化薬アクゾ(株)製、過酸化物)2.5重量部
の混合液Aと、
KF−2001(商品名「KF−2001」、信越化学工業(株)製メルカプト変性シリコーン、重量平均分子量Mw9200、固形分100重量%、SH基の位置は側鎖型)25重量部、および
酢酸ブチル12.5重量部
の混合液Bと
を、内温115℃を保ちながら同時に、上記反応容器に滴下開始した。
【0160】
混合液Aは3時間かけて滴下し、混合液Bは1.5時間かけて滴下した。
混合液Aの滴下終了1時間後に、さらに20%カヤエステルO(酢酸ブチル溶液)を45分毎に0.5重量部、0.5重量部、1重量部の順で3回加えた後1.5時間保温攪拌し、共重合体と変性シリコーンオイル(KF−6016)との混合物(以下「混合物A−1」という。)を含む溶液を得た。この混合物A−1を含む溶液(以下「混合物A−1溶液」ともいう。)の外観は透明であり、NV(105℃の熱風乾燥機中3時間乾燥後の加熱残分)は72.5重量%であり、粘度は29,590mPa・s/25℃であった。
【0161】
また、混合物A−1溶液を測定試料としてGPC測定を行ったところ、混合物A−1溶液中の溶媒の分子量範囲を除いての重量平均分子量、すなわち混合物A−1の重量平均分子量(Mw)は38,190であった。
【0162】
また、混合物A−1溶液から乾燥器内で溶媒を揮発させた後の残分を測定試料として、IR測定を行った。なお、以下の実施例においても同様の方法でGPC測定およびIR測定を行った。
【0163】
混合物A−1調製時の配合組成(重量部)、触媒、溶剤、反応温度などの他、得られた混合物A−1の性状などを表2に示す。また以下の表中に表れる記号(商品名)の内容、製造元などを、表1にまとめて示す。混合物A−1のGPCクロマトグラムを図1に、I
Rスペクトルのチャートを図2に示す。
【0164】
[実施例2、5〜7、比較例2]
配合組成を表2に示すように変えた以外は実施例1と同様にして、混合物(共重合体と変性シリコーンオイルとの混合物)を含む溶液を合成した。各混合物あるいはその溶液の物性を上記実施例1と同様に評価した。混合物A−2、A−5〜A−7、H−2溶液製造の際の、原料の配合組成(重量部表示)、触媒、溶剤、反応温度などの他、混合物A−2、A−5〜A−7、H−2溶液の性状などを表2に示す。
【0165】
また、混合物A−2、A−5〜A−7のGPCクロマトグラムおよびIRスペクトルのチャートを図3、4、9〜14に示す。
[実施例3]
攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管、滴下装置および還流冷却管を備えた反応容器に、酢酸ブチル28.8重量部とST−114PA(商品名「ST−114PA」、東レダウ(株)製側鎖EO変性シリコーンオイル)、固形分100重量%)23.8重量部とを仕込んで、窒素ガス雰囲気中で100℃まで昇温した。次いで、表2に示すように、
メチルメタクリレート(MMA)42.5重量部、
n−ブチルメタクリレート(BMA)15重量部、
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)10重量部、
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名「NKエステル M−230G」、新中村化学工業(株)製、−C24−O−単位数=23(平均値)、固形分:100重量%)2.5重量部、
A−174(商品名「A−174」、日本ユニカー製、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)5重量部、および
重合開始剤の2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名「ABN−E
」、日本ヒドラジン(株)製、アゾ化合物)2.2重量部
の混合液Aと、
KF−2001(商品名「KF−2001」、信越化学工業(株)製メルカプト変性シリコーン、重量平均分子量Mw9200、固形分100重量%、SH基の位置は側鎖型)25重量部、および
酢酸ブチル12.5重量部
の混合液Bと
を、内温100℃を保ちながら同時に、上記反応容器に滴下開始した。
【0166】
混合液Aは3時間かけて滴下し、混合液Bは1.5時間かけて滴下した。
混合液Aの滴下終了1時間後に、さらに20%ABN−E(酢酸ブチル溶液)を45分毎に0.5重量部、0.5重量部、1重量部の順で3回加えた後1.5時間保温攪拌し、混合物(共重合体と変性シリコーンオイルとの混合物)A−3を含む溶液(以下「混合物A−3溶液」ともいう。)を得た。この混合物A−3溶液の外観は半透明であり、NV(105℃の熱風乾燥機中3時間乾燥後の加熱残分)は72.5重量%であり、粘度は11,060mPa・s/25℃であり、混合物A−3の重量平均分子量(Mw)は21,980であった。
【0167】
混合物A−3調製時の配合組成(重量部)、触媒、溶剤、反応温度などの他、得られた混合物A−3の性状などを表2に示す。また以下の表中に表れる記号(商品名)の内容、製造元などを、表1にまとめて示す。混合物A−3のGPCクロマトグラムを図5に、IRスペクトルのチャートを図6に示す。
【0168】
[実施例4]
配合組成を表2に示すように変えた以外は実施例1と同様にして、混合物(共重合体と
変性シリコーンオイルとの混合物)A−4を含む溶液を得た。混合物A−4あるいはその溶液の物性を上記実施例1と同様に評価した。混合物A−4溶液製造の際の、原料の配合組成(重量部表示)、触媒、溶剤、反応温度などの他、混合物A−4溶液の性状などを表2に示す。
【0169】
また、混合物A−4のGPCクロマトグラムおよびIRスペクトルのチャートを図7〜8に示す。
[比較例1]
配合組成を表2に示すように変え、混合液Aの滴下終了1時間後に、さらに20%ABN−E(酢酸ブチル溶液)を45分毎に1重量部、1重量部、1重量部の順で3回加えた後た以外は実施例1と同様にして、混合物(共重合体と変性シリコーンオイルとの混合物)H−1を含む溶液を得た。混合物H−1あるいはその溶液の物性を上記実施例1と同様に評価した。混合物H−1溶液製造の際の、原料の配合組成(重量部表示)、触媒、溶剤、反応温度などの他、混合物H−1溶液の性状などを表2に示す。
【0170】
[実施例8]
メチルメタクリレート(MMA)60重量部と、
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)10重量部と、
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名「NKエステル M−230G」、新中村化学(株)製、n=23、固形分100重量%)5重量部と
を混合し、混合モノマーを調製した。
【0171】
攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管、滴下装置および還流冷却管を備えた反応容器に、
メチルn−アミルケトン(MAK)52.2重量部と、
KF−6016(商品名「KF−6016」、信越化学工業(株)製側鎖EO変性シリコーンオイル、固形分100重量%)20重量部と、
KF−2001(商品名「KF−2001」、信越化学工業(株)製メルカプト変性シリコーン、重量平均分子量Mw9200、固形分100重量%、SH基の位置は側鎖型)25重量部と、
上記混合モノマー10重量部と
を仕込んで、窒素ガス雰囲気中で115℃まで昇温した。次いで、表3に示すように、
上記混合モノマー65重量部、および
重合開始剤のt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(商品名「カヤエステルO」、化薬アクゾ(株)製、過酸化物)2.5重量部
の混合液Aを、内温115℃を保ちながら、上記反応容器に3時間かけて滴下した。
【0172】
混合液Aの滴下終了1時間後に、さらに20%カヤエステルO(酢酸ブチル溶液)を45分毎に0.5重量部、0.5重量部、1重量部の順で3回加えた後1.5時間保温攪拌し、混合物(共重合体と変性シリコーンオイルとの混合物)A−8溶液を得た。この混合物A−8溶液の外観は透明であり、NV(105℃の熱風乾燥機中3時間乾燥後の加熱残分)は67.4重量%であり、粘度は21,910mPa・s/25℃であり、混合物A−8の重量平均分子量(Mw)は28,260であった。
【0173】
混合物A−8調製時の配合組成(重量部)、触媒、溶剤、反応温度などの他、得られた混合物A−8の性状などを表3に示す。また以下の表中に表れる記号(商品名)の内容、製造元などを、表1にまとめて示す。混合物A−8のGPCクロマトグラムを図15に、IRスペクトルのチャートを図16に示す。
【0174】
[実施例9〜10、比較例3〜4]
配合組成を表3に示すように変えた以外は実施例8と同様にして、混合物(共重合体と
変性シリコーンオイルとの混合物)を含む溶液を合成した。各混合物あるいはその溶液の物性を上記実施例1と同様に評価した。混合物A−9〜A−10、H−3〜H−4溶液製造の際の、原料の配合組成(重量部表示)、触媒、溶剤、反応温度などの他、重合体A−9〜A−10、H−3〜H−4溶液の性状などを表3に示す。
【0175】
また、混合物A−9〜A−10のGPCクロマトグラムおよびIRスペクトルのチャートを図17〜20に示す。
[実施例C−1]
表4に示すように、混合物A−1溶液100重量部および酢酸ブチル14重量部を混合して、希釈溶液C−1を調製した。希釈溶液C−1の性状などを表4に示す。
【0176】
[実施例C−2〜C−10、比較例HC−1〜HC−10]
表4、5に示すように混合物溶液の種類および各成分の配合量を換えたほかは実施例C−1と同様にして、希釈溶液C−2〜C−10、およびHC−1〜HC−10を調製した。希釈溶液C−2〜C−10、およびHC−1〜HC−10の性状などを表4、表5に示す。
【0177】
<透明性の評価>
[希釈溶液の透明性]
希釈溶液30gを容量30mlのガラス瓶に入れ、その透明性を目視で評価した。
【0178】
[フィルムの透明性]
厚さ2mmのガラス板の表面に希釈溶液を8ミルドクターブレードで塗布し、100℃で10分乾燥して厚さ約120μmのフィルムを形成し、その透明性を目視で評価した。
【0179】
希釈溶液、フィルムともに、それぞれ透明性の高い方から順に5(透明)、4、3、2、1(不透明)のように5段階で評価した。
次に、以下の方法により、表6〜表7に示す配合組成の防汚塗料組成物を製造した。
【0180】
<液状成分のみより構成される組成物>
[実施例T−1]
表6に示すように、
混合物A−1溶液(NV=72.5重量%) 100重量部、
シリコーンオイル(KF−53−3万) 4.6重量部、ならびに
溶剤としてキシレン 9.5重量部およびメチルイソブチルケトン(MIBK) 2.4重量部、
を容器に仕込み、ハイスピードディスパーを用いて充分に攪拌・混合し、120メッシュのフィルターにてろ過して防汚塗料組成物を調製した。
【0181】
[実施例T−2〜T−10、比較例HT−1〜HT−10]
表6、7に示すように混合物溶液の種類および各成分の配合量を換えたほかは実施例T−1と同様にして、防汚塗料組成物を調製した。防汚塗料組成物T−2〜T−10、HT−1〜HT−10の性状などを表6、7に示す。
【0182】
なお、実施例T−3,T−4ならびに比較例HT−3,4において、表6、7中の触媒(ALCH−TB)0.5重量部は、この段階では混合せず、後述するように防汚性評価の直前に混合した。
【0183】
<顔料等の固形成分を含む組成物>
[実施例T−11]
表8に示すように、
混合物A−1溶液(NV=72.5重量%) 100重量部、
シリコーンオイル(KF−53−3万) 4.6重量部、
消泡剤としてKF−96−1000CS 0.6重量部
溶剤としてキシレン10.7重量部およびメチルイソブチルケトン(MIBK) 2.
4重量部、
顔料として弁柄(商品名「月光BB」、日本弁柄工業(株)製) 1.2重量部、フジフ
ァーストレッド2305W 0.6重量部および酸化チタン(商品名「TCR−73」、
堺化学(株)製)3.6重量部、ならびに
添加剤としてディスパロン6900−10X 7.1重量部
をガラスビーズをメディアとしたペイントシェイカーに仕込み、2時間振とうした後、120メッシュのフィルターにてろ過して防汚塗料組成物を調製した。
【0184】
[実施例T−12〜T−20、比較例HT−11〜HT−20]
表8、9に示すように混合物溶液の種類および各成分の配合量を換えたほかは実施例T−11と同様にして、防汚塗料組成物を調製した。
【0185】
なお、実施例T−13,T−14ならびに比較例HT−13,14において、表8、9中の触媒(ALCH−TB)0.5重量部は、この段階では混合せず、後述するように防汚性評価の直前に混合した。
【0186】
<防汚性の評価>
上記各防汚塗料組成物の防汚性の評価を行った。結果を表6〜9に示す。
防汚性の評価は以下の方法を用いた。100mm×300mm×5mmの塩化ビニル板にエポキシ系下塗塗料を乾燥膜厚が100μmとなるようエアースプレーを用いて塗装し、2週間室温で乾燥後、アプリケーターを用いて乾燥膜厚が150μmとなるよう塗布し、一週間室内で乾燥した後、広島湾内に設置された筏より水面下1mの場所に浸漬し、18ヶ月間の生物の付着状況を目視観察した。なお、実施例T−3、T−4、T−13およびT−14、ならびに比較例HT−3、HT−4、HT−13およびHT−14においては、塗装直前に、ぞれぞれの防汚塗料組成物と表6〜9に記載された量の触媒とを充分に混合した。
【0187】
評価は、マクロ生物の付着面積(%)を指標として行った。
【0188】
【表2】


【0189】
【表3】


【0190】
【表4】


【0191】
【表5】


【0192】
【表6】


【0193】
【表7】


【0194】
【表8】


【0195】
【表9】


【図面の簡単な説明】
【0196】
【図1】図1は、混合物A−1のGPCクロマトグラムである。
【図2】図2は、混合物A−1のIRスペクトルのチャートである。
【図3】図3は、混合物A−2のGPCクロマトグラムである。
【図4】図4は、混合物A−2のIRスペクトルのチャートである。
【図5】図5は、混合物A−3のGPCクロマトグラムである。
【図6】図6は、混合物A−3のIRスペクトルのチャートである。
【図7】図7は、混合物A−4のGPCクロマトグラムである。
【図8】図8は、混合物A−4のIRスペクトルのチャートである。
【図9】図9は、混合物A−5のGPCクロマトグラムである。
【図10】図10は、混合物A−5のIRスペクトルのチャートである。
【図11】図11は、混合物A−6のGPCクロマトグラムである。
【図12】図12は、混合物A−6のIRスペクトルのチャートである。
【図13】図13は、混合物A−7のGPCクロマトグラムである。
【図14】図14は、混合物A−7のIRスペクトルのチャートである。
【図15】図15は、混合物A−8のGPCクロマトグラムである。
【図16】図16は、混合物A−8のIRスペクトルのチャートである。
【図17】図17は、混合物A−9のGPCクロマトグラムである。
【図18】図18は、混合物A−9のIRスペクトルのチャートである。
【図19】図19は、混合物A−10のGPCクロマトグラムである。
【図20】図20は、混合物A−10のIRスペクトルのチャートである。
【出願人】 【識別番号】390033628
【氏名又は名称】中国塗料株式会社
【出願日】 平成19年5月25日(2007.5.25)
【代理人】 【識別番号】100081994
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊一郎

【識別番号】100103218
【弁理士】
【氏名又は名称】牧村 浩次

【識別番号】100107043
【弁理士】
【氏名又は名称】高畑 ちより


【公開番号】 特開2008−1897(P2008−1897A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2007−139018(P2007−139018)