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セルロース誘導体、セルロース誘導体溶液、およびそれらを用いた光学フィルムとその製造方法 - 特開2008−163193 | j-tokkyo
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【発明の名称】 セルロース誘導体、セルロース誘導体溶液、およびそれらを用いた光学フィルムとその製造方法
【発明者】 【氏名】新宅 将人

【要約】 【課題】正面レターデーションのみならず、厚み方向レターデーションも低減され、かつ、実用に供しうるフィルム強度を兼ね備えた光学フィルムを得る。

【解決手段】下記(A)から(D)の全てを満たすセルロース誘導体を50重量%以上含有するフィルムは上記課題を解決し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)から(D)の全てを満たすセルロース誘導体。
(A)アシル基による置換度が2.3以上、2.9以下
(B)芳香族アシル基による置換度が0.2以上、1.0以下
(C)脂肪族アシル基による置換度が1.3以上、2.7以下
(D)脂肪族アシル基による置換度をF、芳香族アシル基による置換度をAとした際に、下記式を満たす
2.80≦1.53×A+F≦3.05
【請求項2】
前記芳香族アシル基が下記一般式(I)で表わされる芳香族アシル基であることを特徴とする請求項1に記載のセルロース誘導体。
【化1】


式中、Xは置換基を表わす。nは0または1〜5の整数を表わす。nが2以上の時、互いに連結して縮合多環を形成してもよいし、異なる複数種の置換基であってもよい。
【請求項3】
前記芳香族アシル基がベンゾイル基であることを特徴とする請求項2に記載のセルロース誘導体。
【請求項4】
前記セルロース誘導体の脂肪族アシル基が炭素数4以下のアシル基であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のセルロース誘導体。
【請求項5】
ガラス転移温度が120℃以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のセルロース誘導体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のセルロース誘導体を50重量部以上含有することを特徴とする光学フィルム。
【請求項7】
ヘイズが2.0%以下であることを特徴とする請求項6に記載の光学フィルム。
【請求項8】
全光線透過率が90.0%以上であることを特徴とする請求項6または7のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項9】
可塑剤の含有量が10重量%以下であることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項10】
MIT耐折疲労試験機による耐折試験回数が20回以上であることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項11】
請求項1から5のいずれか1項に記載のセルロース誘導体を10重量部以上含有することを特徴とするセルロース誘導体溶液。
【請求項12】
ハロゲン系溶剤を50重量部以上含有することを特徴とする請求項11に記載のセルロース誘導体溶液。
【請求項13】
ハロゲン系溶剤が塩化メチレンであることを特徴とする請求項12に記載のセルロース誘導体溶液。
【請求項14】
25℃における溶液粘度が10.0Pa・s以下であることを特徴とする請求項11から13のいずれか1項に記載のセルロース誘導体溶液。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか1項に記載のセルロース誘導体溶液を用い、ソルベントキャスト法によりフィルム化することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の置換基および置換度を有し、低複屈折性を示すセルロース誘導体および、それを用いたセルロース誘導体溶液に関する。さらに、本発明は、それらを用いた光学フィルムとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直線偏光板は、通過する光のうちで特定の振動方向をもつ光のみを透過させ、その他の光を遮蔽する機能を有する材料であり、例えば液晶表示装置を構成する部品の一つとして広く使用されている。このような直線偏光板としては、偏光子フィルムと偏光子保護フィルムとが積層された構成をもつものが一般的に使用されている。
【0003】
前記偏光子フィルムとは、特定の振動方向をもつ直線偏光のみを透過する機能を有するフィルムであり、例えばポリビニルアルコール(以下PVAという)フィルム等を延伸して、ヨウ素や二色性染料などで染色したフィルムが一般に使用されている。
【0004】
前記偏光子保護フィルムとは、偏光子フィルムを保持して偏光板全体に実用的な強度を付与するなどの機能を担うものであり、例えばトリアセチルセルロース(以下TACという)フィルムなどが一般に使用されている。
【0005】
偏光子保護フィルムにおいては、一般的に不要なレターデーションをもつフィルムは好ましくないとされている。これは、たとえ偏光子フィルムが高精度の直線偏光機能を有するものであっても、偏光子保護フィルムのレターデーションや光軸のズレは、偏光子フィルムを通過した直線偏光に楕円偏光性を与えてしまうからである。
【0006】
フィルムのレターデーションは面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸、フィルムの厚さ方向をZ軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx、ny、nz、フィルムの厚さをdとすると、面内レターデーション Re=(nx−ny)×d、厚み方向レターデーション Rth=|(nx+ny)/2−nz|×d (||は絶対値を表す)であらわすことができる。前述のTACフィルムは基本的に面内レターデーションは小さいものの、厚み方向レターデーションが比較的大きなため、液晶表示装置を斜め方向から見た際のコントラスト低下や、黒表示が着色することによる色シフトが生じる等の問題を抱えている(例えば非特許文献1を参照のこと)。
【0007】
このような問題を解決するために、フィルム化時にガラス転移温度以上で乾燥することにより、厚み方向レターデーションを低減する方法(例えば特許文献1を参照のこと)が開示されている。しかしながら、乾燥温度をガラス転移温度以上としてしまうと、フィルム搬送の張力制御が困難になる等、量産性に劣るといった問題があった。
【0008】
このような問題を解決するために、TACの複屈折を相殺する化合物を添加する方法が提案されている(例えば特許文献2を参照のこと)。しかしながら、低分子量化合物を添加することによって、フィルムの耐熱性が低下したり、環境変化により光学特性が変化する等の問題があった。
【0009】
ところで近年、透明性樹脂材料として、環状オレフィンの単独重合体(又はその水素添加物)、環状オレフィンを環状オレフィン以外のオレフィンと共重合した環状オレフィン系共重合体(又はその水素添加物)等が提案されている。これらの重合体は、低複屈折性、低吸湿性、耐熱性などの特徴を有しており、光学材料として開発が進められている。これらの重合体は、光弾性係数が比較的小さいため、環境の変化に対しても光学的特性が変化しにくいことが報告されている。
【0010】
ところが、一般にこのような環状オレフィン系の重合体は、合成に複雑なルートを必要とすることから、価格が高いという問題があった。また、このような環状オレフィン系重合体は、溶媒に対する溶解度が低いという問題があった。そこで、このような重合体をフィルム化しようとする場合、押出法が用いられているが、押出法では表面性が溶液流延法に比べ低下することから、特に、表面性を要求される分野には適用しにくいとの問題があった。さらに、環状オレフィン系の重合体は、偏光子フィルムとの接着性が低く、偏光子保護フィルムとして用いる場合には特殊な処理を要するという問題があった。
【0011】
また、光学フィルムとして、実質的に配向複屈折を有さないフィルムを用いる試みがなされている。例えば、特許文献3には、正の配向複屈折を有するグルタルイミドアクリル系樹脂と負の配向複屈折を有するスチレン系樹脂をブレンドしたフィルムが開示されている。このような樹脂は、環境変化によって位相差が発現しにくいという特徴があるが、ブレンド体であるために、製造工程が複雑となったり、得られたフィルムの性能(例えば耐溶剤性等)が低下するといった問題があった。また、スチレンやアクリル系等の負の複屈折を有するポリマーを用いたフィルムは、フィルム強度が小さく、実用に供し得る靭性を付与するためには、フィルムを延伸する必要があった。しかしながら、延伸前のフィルムの搬送時に、フィルム端部のノッチ等をきっかけとして破断する等、ハンドリング性に問題があった。また、正の複屈折を有するポリマーと負の複屈折を有するポリマーのブレンド比率を厳密に調合しても、延伸によって生じる複屈折のため、特定の波長では複屈折をゼロとすることができても、他の波長においては複屈折が生じ、偏光子保護フィルムとして用いた場合に、完全なニュートラル偏光板を得ることができないといった問題があった。
【非特許文献1】Yoda他 Developmentof Wide Viewing Angle Polarizer for IPS-LCD (IDW/AD‘05 1321〜1324頁)
【特許文献1】特開2005−138375
【特許文献2】特開2005−105139
【特許文献3】WO01/37007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、従来技術が有する上記課題に鑑みてなされたもので、低複屈折性を示し、耐熱性及び機械強度に優れ、さらに、良好な溶解性を示す樹脂、更にはこれを用いて形成した光学フィルム、特に光学異方性が小さい偏光子保護フィルムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、鋭意検討した結果、特定の置換基および置換度を有するセルロース誘導体を用いたフィルムが上記特性を満足することを見出し本発明に至った。すなわち、本発明は、下記(A)から(D)の全てを満たすセルロース誘導体に関する。
(A)アシル基による置換度が2.3以上、2.9以下
(B)芳香族アシル基による置換度が0.2以上、1.0以下
(C)脂肪族アシル基による置換度が1.3以上、2.7以下
(D)脂肪族アシル基による置換度をF、芳香族アシル基による置換度をAとした際に、
2.80≦1.53×A+F≦3.05
【0014】
さらに本発明のセルロース誘導体においては、前記芳香族アシル基が下記一般式(I)で表わされる芳香族アシル基であることが好ましい。
【0015】
【化1】


【0016】
式中、Xは置換基を表わす。nは0または1〜5の整数を表わす。nが2以上の時、互いに連結して縮合多環を形成してもよいし、異なる複数種の置換基であってもよい。
【0017】
さらに、本発明のセルロース誘導体においては、前記芳香族アシル基がベンゾイル基であることが好ましい。
【0018】
さらに、本発明のセルロース誘導体においては、前記セルロース誘導体の脂肪族アシル基が炭素数4以下のアシル基であることが好ましい。
【0019】
さらに、本発明のセルロース誘導体においては、ガラス転移温度が120℃以上であることが好ましい。
【0020】
さらに本発明は、前記誘導体を50重量部以上含有することを特徴とする光学フィルムに関する。
【0021】
本発明の光学フィルムにおいては、ヘイズが2.0%以下であることが好ましい。
【0022】
さらに、さらに、本発明の光学フィルムにおいては、全光線透過率が90.0%以上であることが好ましい。
【0023】
さらに、さらに、本発明の光学フィルムにおいては、可塑剤の含有量が10重量%以下であることが好ましい。
【0024】
さらに、さらに、本発明の光学フィルムにおいては、MIT耐折疲労試験機による耐折試験回数が20回以上であることが好ましい。
【0025】
さらに、本発明は、前記セルロース誘導体を10重量部以上含有することを特徴とするセルロース誘導体溶液に関する。
【0026】
本発明のセルロース誘導体溶液においては、ハロゲン系溶剤を50重量部以上含有することが好ましい。
【0027】
さらに、本発明のセルロース誘導体溶液においては、ハロゲン系溶剤が塩化メチレンであることが好ましい。
【0028】
さらに、本発明のセルロース誘導体溶液においては、25℃における溶液粘度が10.0Pa・s以下であることが好ましい。
【0029】
さらに、本発明は、前記誘導体溶液を用い、ソルベントキャスト法によりフィルム化することを特徴とする光学フィルムの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0030】
本発明のセルロース誘導体は、複屈折が低く、溶剤への溶解性に優れるため、偏光子保護フィルム等の光学フィルム材料として適している。
【0031】
更に、本発明の光学フィルムは、延伸を施さずとも、実用上十分な強度を有するため、波長によらず低複屈折の偏光子保護フィルムを安価に得ることができる。また、本発明の光学フィルムを偏光子保護フィルムとして用いることにより、視野角による色シフトの小さい偏光板を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は特定の置換基および置換度を有するセルロース誘導体、更にはこれを含有してなる光学フィルム、特に低複屈折性の光学フィルムに関する。
【0033】
本発明のセルロース誘導体はアシル基による置換度が2.3以上、2.9以下であることが好ましい。アシル基による置換度とは、複数のアシル基を有する場合においては、それぞれのアシル基のアシル化度の合計である。セルロースはグルコース骨格中の2,3,6位に水酸基を有し、これらが全てアシル化された場合のアシル化度は3となる。したがってアシル化度が3を超えることはない。
【0034】
一般にセルロース誘導体は、置換度が低いほど、吸水率が高く、湿熱環境下における光学特性が変化しやすい傾向にある。また、光学的な均一性の高いフィルムを得るためには一般にソルベントキャスト法が用いられるが、低置換度のセルロース誘導体は溶剤に対する溶解性が低く、ソルベントキャスト法によるフィルム化が困難となる場合がある。さらに、置換度が低いと、正の複屈折を発現し易いため、フィルム化の際に複屈折が生じやすいという問題がある。そのため、セルロース誘導体の置換度は2.3以上であることが好ましく、2.4以上であることより好ましく、2.5以上であることがさらに好ましい。また、逆に置換度が高すぎると、溶剤に対する溶解性が低下するとともに、負の複屈折を生じやすくなるという問題がある。そのため、セルロース誘導体の置換度は2.9以下であることが好ましい。
【0035】
さらに、本発明のセルロース誘導体においては、芳香族アシル基による置換度が0.2以上、1.0以下であることが好ましい。芳香族アシル基により置換されていることによって複屈折が小さくなる傾向にあるが、その置換度が低すぎると、低複屈折化の効果が不十分となるため、置換度は0.2以上であることが好ましく、0.3以上であることがさらに好ましい。また、芳香族アシル基による置換度が高すぎると、フィルムの強度が不十分になったり、負の複屈折を発現し、本発明の目的を達成できなくなる場合があるため、置換度は1.0以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましく、0.6以下であることがさらに好ましく、0.4以下であることが最も好ましい。
【0036】
芳香族アシル基としては、置換もしくは無置換の芳香族アシル基のいずれをも用いることができる。置換もしくは無置換の芳香族アシル基としては、一般式(I)で表される基が挙げられる。
【0037】
【化2】


【0038】
まず、一般式(I)について説明する。Xは置換基で、置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基およびアリールオキシスルホニル基、−S−R、−NH−CO−OR、−PH−R、−P(−R)、−PH−O−R、−P(−R)(−O−R)、−P(−O−R)、−PH(=O)−R−P(=O)(−R)、−PH(=O)−O−R、−P(=O)(−R)(−O−R)、−P(=O)(−O−R)2、−O−PH(=O)−R、−O−P(=O)(−R)2−O−PH(=O)−O−R、−O−P(=O)(−R)(−O−R)、−O−P(=O)(−O−R)、−NH−PH(=O)−R、−NH−P(=O)(−R)(−O−R)、−NH−P(=O)(−O−R)、−SiH2−R、−SiH(−R)、−Si(−R)、−O−SiH−R、−O−SiH(−R)および−O−Si(−R)が含まれる。上記Rは脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基である。置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基およびウレイド基が好ましく、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基およびカルボンアミド基がより好ましく、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基およびアリールオキシ基がさらに好ましく、ハロゲン原子、アルキル基およびアルコキシ基が最も好ましい。
【0039】
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が含まれる。
【0040】
上記アルキル基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1から20であることが好ましく、1から12であることがより好ましく、1から6であることがさらに好ましく、1から4であることが最も好ましい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチルおよび2−エチルヘキシル等が含まれる。
【0041】
上記アルコキシ基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、1から20であることが好ましく、1から12であることがより好ましく、1から6であることがさらに好ましく、1から4であることが最も好ましい。アルコキシ基は、さらに別のアルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ、ブチルオキシ、ヘキシルオキシおよびオクチルオキシが含まれる。
【0042】
上記アリール基の炭素原子数は、6から20であることが好ましく、6から12であることがさらに好ましい。アリール基の例には、フェニルおよびナフチル等が含まれる。
【0043】
上記アリールオキシ基の炭素原子数は、6から20であることが好ましく、6から12であることがさらに好ましい。アリールオキシ基の例には、フェノキシおよびナフトキシ等が含まれる。
【0044】
上記アシル基の炭素原子数は、1から20であることが好ましく、1から12であることがさらに好ましい。アシル基の例には、ホルミル、アセチルおよびベンゾイル等が含まれる。
【0045】
上記カルボンアミド基の炭素原子数は、1から20であることが好ましく、1から12であることがさらに好ましい。カルボンアミド基の例には、アセトアミドおよびベンズアミド等が含まれる。
【0046】
上記スルホンアミド基の炭素原子数は、1から20であることが好ましく、1から12であることがさらに好ましい。スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミドおよびp−トルエンスルホンアミド等が含まれる。上記ウレイド基の炭素原子数は、1から20であることが好ましく、1から12であることがさらに好ましい。
【0047】
上記アラルキル基の炭素原子数は、7から20であることが好ましく、7から12であることがさらに好ましい。アラルキル基の例には、ベンジル、フェネチルおよびナフチルメチル等が含まれる。
【0048】
上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、1から20であることが好ましく、2から12であることがさらに好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル等が含まれる。
【0049】
上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は、7から20であることが好ましく、7から12であることがさらに好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル等が含まれる。
【0050】
上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は、8から20であることが好ましく、8から12であることがさらに好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例には、ベンジルオキシカルボニル等が含まれる。
【0051】
上記カルバモイル基の炭素原子数は、1から20であることが好ましく、1から12であることがさらに好ましい。カルバモイル基の例には、(無置換)カルバモイルおよびN−メチルカルバモイル等が含まれる。
【0052】
上記スルファモイル基の炭素原子数は、20以下であることが好ましく、12以下であることがさらに好ましい。スルファモイル基の例には、(無置換)スルファモイルおよびN−メチルスルファモイル等が含まれる。
【0053】
上記アシルオキシ基の炭素原子数は、1から20であることが好ましく、2から12であることがさらに好ましい。アシルオキシ基の例には、アセトキシおよびベンゾイルオキシ等が含まれる。
【0054】
上記アルケニル基の炭素原子数は、2から20であることが好ましく、2から12であることがさらに好ましい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよびイソプロペニル等が含まれる。
【0055】
上記アルキニル基の炭素原子数は、2から20であることが好ましく、2から12であることがさらに好ましい。アルキニル基の例には、チエニルが含まれる。
【0056】
上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1から20であることが好ましく、1から12であることがさらに好ましい。
【0057】
上記アリールスルホニル基の炭素原子数は、6から20であることが好ましく、6から12であることがさらに好ましい。
【0058】
上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は、1から20であることが好ましく、1から12であることがさらに好ましい。
【0059】
上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6から20であることが好ましく、6から12であることがさらに好ましい。
【0060】
上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は、1から20であることが好ましく、1から12であることがさらに好ましい。
【0061】
上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6から20であることが好ましく、6から12であることがさらに好ましい。
【0062】
また、一般式(I)において芳香族環に置換する置換基Xの数nは0または1〜5個であり、好ましくは0〜3個で、さらに好ましくは0〜2個である。
【0063】
更に、芳香族環に置換する置換基の数が2個以上の時、その置換基は互いに同じでも異なっていてもよく、また、互いに連結して縮合多環化合物(例えばナフタレン、インデン、インダン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマン、フタラジン、アクリジン、インドール、インドリンなど)を形成してもよい。
【0064】
一般式(I)で表される芳香族アシル基の具体例は下記化学式に示す通りであるが、好ましいのは、No.1、3、5、6、8、18、28であり、より好ましいのはNo.1、3、6であり、最も好ましいのはNo.1である。
【0065】
【化3】


【0066】
【化4】


【0067】
【化5】


【0068】
【化6】


【0069】
さらに、本発明のセルロース誘導体においては、脂肪族アシル基による置換度が1.3以上、2.7以下であることが好ましい。脂肪族アシル基による置換度が低すぎると、フィルム強度が低下したり、正の複屈折を発現しやすいため、本発明の目的を達成できない場合がある。そのため、置換度は1.3以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、2.0以上であることがさらに好ましく、2.1以上であることが最も好ましい。また、脂肪族シル基による置換度が高すぎると、溶剤に対する溶解性が低下したり、負の複屈折を発現し、本発明の目的を達成できなくなる場合があるため、置換度は2.7以下であることが好ましく、2.6以下であることがより好ましく、2.5以下であることがさらに好ましい。
【0070】
セルロース誘導体に用いられる脂肪族アシル基に関して、その種類は特に限定はされないが、炭素原子数が2から20であることが好ましく、具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステアロイル等が挙げられる。中でも、アセチル、プロピオニル及びブチリルが好ましく、アセチルが最も好ましい。また、前記脂肪族アシル基とはさらに置換基を有するものも包含する意味であり、置換基としては例えば前記の一般式(I)のXとして例示したものが挙げられる。
【0071】
さらに、本発明のセルロース誘導体においては、脂肪族アシル基による置換度をF、芳香族アシル基による置換度をAとした際に、下記式を満たすことが好ましい。
【0072】
2.80≦1.53×A+F≦3.05
(1.53×A+F)が小さいと正の複屈折を発現しやすい傾向にあるため、2.80以上であることが好ましく、2.85以上であることがさらに好ましい。また、(1.53×A+F)が大きいと負の複屈折を発現しやすい傾向にあるため、3.05以下であることが好ましく、3.00以下であることがさらに好ましい。
【0073】
セルロース誘導体の合成方法は特に限定されないが、セルロースの水酸基への芳香族アシル基の置換は、一般的には芳香族カルボン酸クラロイドあるいは芳香族カルボン酸から誘導される対称酸無水物及び混合酸無水物を用いる方法等が挙げられる。また、混合酸エステル化合物の製造方法としては、一旦、脂肪族アシル化物を製造した後、残りの水酸基に対して芳香族アシル化処理を行う方法、或いは、セルロースに直接に、脂肪族カルボン酸と芳香族カルボン酸の混合酸無水物を反応させる方法、脂肪族カルボン酸クロリドと芳香族カルボン酸クロリドの混合物を反応させる方法等の同時にアシル化処理を行う方法などが挙げられる。前者においては、セルロース脂肪酸エステル又はジエステルの製造方法自体は周知の方法である。これにさらに芳香族アシル基を導入する後段の反応は、該芳香族アシル基の種類によって異なるが、好ましくは反応温度0〜120℃、より好ましくは20〜100℃で、反応時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは30〜300分で行われる。反応は無溶媒又は溶媒中のいずれで行っても良いが、好ましくは溶媒を用いて行われる。溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサンなどを用いることができる。また、置換度を調整するためには、酸無水物や酸クロリドの混合比を調整することや、置換後に硫酸等の触媒の存在下でケン化し、置換度を低下させる等が有効である。
【0074】
置換度はH−NMRにより定量することができる。詳細については、本明細書の実施例において述べる。
【0075】
さらに本発明セルロース誘導体は、ガラス転移温度は120℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがさらに好ましい。ガラス転移温度が低いと、フィルムを加熱した際の光学特性や、フィルム寸法が変化しやすく、耐久性に問題を生じる場合がある。
【0076】
樹脂のガラス転移温度は、主としてセルロース誘導体の置換度により決定されるが、芳香族アシル基による置換度が過度に大きいと、ガラス転移温度が低下する傾向がある。
【0077】
ガラス転移温度は示差熱分析法(DSC)を用い、JIS K−7121に記載の方法にて測定することができる。
【0078】
また、本発明のセルロース誘導体の数平均分子量は20,000以上、100,0000以下であることが好ましく、30,0000以上、80,000以下であることがより好ましく、40,0000以上、70,0000以下であることがさらに好ましい。分子量が前記範囲より大きくなると、溶剤への溶解性が低下し、フィルムの生産性に劣る場合がある。また、分子量が前記範囲より小さくなると、フィルムとした際の強度が不十分となる場合がある。 さらに、本発明の光学フィルムにおいては、本発明の目的とする低複屈折性を滅却しない範囲において、その他の化合物等を用いることができるが、前記のセルロース誘導体を50重量部以上含有することが好ましく、70重量部以上含有することがより好ましく、80重量部以上含有することがさらに好ましく、90重量部以上含有することが最も好ましい。セルロース誘導体以外を含有する場合において、その化合物の種類は特に限定されないが、前記セルロース誘導体と相溶性を示し透明性を失わないものが好ましく、例えば可塑剤や劣化防止剤、紫外線吸収剤や赤外線吸収剤、無機または有機フィラー等を好適に用いることができる。
【0079】
可塑剤は、加工特性または靱性を改善する目的等で用いることができる。可塑剤としては、例えば、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルなどが挙げられ、リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルフォスフェートおよびトリクレジルホスフェートなどが挙げられる。カルボン酸エステルとしては、例えば、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが挙げられ、フタル酸エステルとしては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジフェニルフタレートおよびジエチルヘキシルフタレートなどが挙げられる。クエン酸エステルとしては、O−アセチルクエン酸トリエチルおよびO−アセチルクエン酸トリブチルが挙げられる。その他のカルボン酸エステルとしては、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルなどが挙げられる。就中、フタル酸系またはリン酸系の可塑剤を用いることが好ましい。
【0080】
可塑剤の添加量はフィルム100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、5重量部以下であることがより好ましく、3重量部以下であることがさらに好ましい。可塑剤を過度に添加した場合、フィルム表面への滲み出しや、透明性の低下、耐熱性の低下を招く場合がある。偏光子保護フィルムとして広く用いられているTACフィルムにおいては、10重量部以上の可塑剤を含むことが多いが、本発明の特定のセルロース誘導体を用いた光学フィルムは十分な加工性や靭性を有するため、可塑剤の量が少量または、可塑剤を添加しなくとも実用に供することができる。
【0081】
また、劣化防止剤としては、酸化による劣化を抑制する酸化防止剤、高温下での安定性を付与する熱安定剤、および/または紫外線による劣化を防止する紫外線吸収剤が使用され得る。また、塩素化した樹脂類および/または可塑剤に対して、分解により発生する遊離酸を吸収させる酸吸収剤を用いることもできる。劣化防止剤としては、上述したリン酸エステル化合物以外に、フェノール誘導体、エポキシ系化合物、アミン誘導体などが用いられる。フェノール誘導体としては、オクチルフェノール、ペンタフェノン、ジアミルフェノールなどが挙げられる。アミン誘導体としてはジフェニルアミンなどが挙げられる。
【0082】
本発明の光学フィルムに紫外線吸収剤を含有させることにより、耐候性を向上する他、偏光子保護フィルムとして用いた場合は、液晶表示装置の耐久性も改善することができ実用上好ましい。紫外線吸収剤としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4,6−ジ−t−ブチルフェノール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールなどのトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤等が挙げられ、また、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系光安定剤やビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤も使用できる。
【0083】
本発明の光学フィルムは、溶融押出法、インフレーション法等の溶融成型法や、ソルベントキャスト法等、公知のフィルム化方法により得ることができる。特に、液晶表示装置の光学補償等のように、高い平面性が要求される場合にはソルベントキャスト法によって製造されることが好ましい。
【0084】
さらに、本発明は、上記セルロース誘導体からなる光学フィルムを製造するためのセルロース誘導体溶液に関する。また、さらに、本発明は、それらのセルロース誘導体溶液を用いた光学フィルムの製造方法に関する。
【0085】
本発明のセルロース誘導体溶液に用いることのできる溶剤は、セルロース誘導体を溶解するものであれば特に限定されないが、ケトン類、エステル類、ハロゲン化炭化水素等、公知の溶剤から選択される。ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が使用可能である。エステル類としては、酢酸エチルや酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチルやプロピオン酸メチル等が使用可能である。また、ハロゲン化炭素としては塩化メチレンやクロロホルム等が使用できる。中でも塩化メチレンは前記したセルロース誘導体を溶解しやすく、沸点が低い為に生産性が高くなるという利点を有する。さらに、乾燥中の火災等に対する安全性も高いので、本発明の光学フィルムを製造する際に最も好適に用いられる。
【0086】
本発明のセルロース誘導体溶液は、溶液100重量部に対して、前記セルロース誘導体を10重量部以上含有することが好ましく、12重量部以上含有することがより好ましく、15重量部以上含有することがさらに好ましい。溶液における樹脂の含有量が少ないと、ソルベントキャスト法によりフィルム化する際に、飛散させる溶媒の量が多くなるため、生産性に劣る場合がある。また、樹脂の含有量がは50重量部以下であることが好ましく、40重量部以下であることがより好ましく、30重量部以下であることがさらに好ましい。溶液における樹脂の含有量が過度に高いと、溶解性に劣り、フィルムの均一性が失われる場合がある。
【0087】
溶液中の樹脂の含有量を高くするという観点においては、本発明のセルロース誘導体溶液は、溶液100重量部に対して、ハロゲン系溶剤の含有量が50重量部以上であることが好ましく、60重量部以上であることがより好ましく、70重量部以上であることがさらに好ましい。ハロゲン系溶剤は、上記セルロース誘導体を溶解する溶剤として優れており、溶液における樹脂の含有量を前記した範囲とすることができる。 さらに、本発明のセルロース誘導体溶液の25℃における溶液粘度は10.0Pa・s以下であることが好ましく、7.0Pa・s以下であることがより好ましく、5.0Pa・s以下であることがさらに好ましい。溶液の粘度が過度に高いと、フィルム化した際の厚み等の均一性に劣る場合がある。また、溶液粘度は0.5Pa・s以上であることが好ましく、1.0Pa・s以上であることがより好ましく、1・5Pa・s以上であることがさらに好ましい。溶液粘度が過度に低いと、支持体上にキャストした際に、溶液に支持性がないため、厚みを制御できない場合がある。
【0088】
また、生産性やコストの観点からは、本発明のセルロース誘導体溶液は、単独の溶剤を用いることが好ましい。ソルベントキャスト法によりフィルムを製造する場合は、環境やコスト面から、乾燥工程で蒸発する有機溶剤を回収し、リサイクル使用することが好ましいが、混合有機溶剤を用いた場合には、回収設備の他に蒸留設備が必要となる等の問題があるため、単独の溶剤の使用が望まれる。ここで言う、単独の溶剤とは、工業的に単独品として入手される溶剤のことを指し、混入している不純物が全くないことを指すものではない。
【0089】
偏光子保護フィルムとして広く用いられているトリアセチルセルロースは、一般に塩化メチレンを溶剤としてソルベントキャスト法で製造されるが、塩化メチレン単独では溶解性が低いため、メタノール等のアルコールを少量添加する場合が多い。それに対して、上記本発明のセルロース誘導体は、塩化メチレン単独でも溶解するため、フィルムの製造コストを低減できるという利点を有する。
【0090】
ソルベントキャスト法によりフィルム化する場合、樹脂および添加剤を溶剤に溶解してセルロース誘導体溶液を調整した後、これをドープとして、支持体に流延し、乾燥してフィルムとすることができる。また、セルロース誘導体溶液の調整に関しては、樹脂のみを先に溶剤に溶解した後、スタティックミキサー等を用いて添加剤を混合する方法を用いることもできる。
【0091】
好ましい支持体としてはステンレス鋼のエンドレスベルト等の金属支持体や、ポリイミドフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等のようなフィルム支持体等が挙げられる。また、ポリイミドや二軸延伸ポリエチレンテレフタレート等のフィルムを支持体として用いる場合は、支持体とフィルムとの付着性を制御するために、支持体表面コーティングや放電処理を施してもよい。詳細には、コーティングや放電処理により、支持体と本発明の光学フィルムを適度に剥離できる程度に付着性を高めることができる。
【0092】
また、フィルムの残存溶剤量が過度に大きいと、光学フィルム、特に偏光子保護フィルム等の実用に供した際の寸法変化が大きくなる場合があるため、支持体から剥離後、さらに乾燥することが好ましい。フィルムの乾燥は、フロート法、テンター法またはロール搬送法等によって搬送しながら、乾燥することができる。また、溶剤の乾燥時にフィルムが水分を吸収しないよう、湿度を低く保った雰囲気中で乾燥することは、透明度の高いフィルムを得るには有効な方法である。
【0093】
さらに本発明の光学フィルムのヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。過度にヘイズが高いと、液晶表示装置におけるコントラストの低下を招く場合がある。さらに、本発明の光学フィルムにおいては、全光線透過率が90.0%以上であることが好ましい。光線透過率が低いと、液晶表示装置において、バックライトからの光を効率的に利用できず、輝度の低下や消費電力の上昇につながる場合がある。
【0094】
フィルムのヘイズおよび全光線透過率は、JIS K−7105に記載の方法に従い、積分球式ヘイズメーターを用いて、測定することができる。
【0095】
さらに本発明の光学フィルムにおいて、ガラス転移温度は120℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがさらに好ましい。ガラス転移温度が低いと、フィルムを加熱した際の光学特性や、フィルム寸法が変化しやすく、耐久性に問題を生じる場合がある。
【0096】
本発明の光学フィルムの厚みは特に限定されないが、10μmから500μmであることが好ましく、より好ましくは30μmから300μmであり、さらに好ましくは50μmから200μmである。フィルムの厚みが上記範囲を超えると、ソルベントキャスト法による生産性が劣る傾向にある。また、フィルムの厚みが上記範囲を下回ると、フィルムのハンドリング性が劣るばかりでなく、偏光子保護フィルムとして用いた場合に、偏光板の支持性が不十分となる場合がある。
【0097】
このようにして製造された光学フィルムは延伸せずとも十分な強度を有するため、そのまま偏光子保護フィルム等として実用に供することができる。また、本発明の光学フィルムにおいては、延伸しても複屈折が小さいことが好ましい。フィルムを量産するに際しては、乾燥時のフィルム搬送張力等により、わずかではあるが、フィルムに配向が生じ、実質的に低倍率で延伸したのと等しい状態となる。このような場合においても、光学フィルムに用いる樹脂の置換度を制御することにより、量産条件に関わらず低複屈折のフィルムを得ることができる。
【0098】
さらに、本発明の光学フィルムは延伸を施してもよい。例えば、本発明の光学フィルムを大型液晶テレビ用の偏光板の偏光子保護フィルムとして用いる場合は、フィルム幅を確保する必要があるが、フィルムの幅は製膜設備によって制限されるため、得られたフィルムをテンター等で幅方向に延伸することで、所望とする幅を確保する必要が生じる場合がある。本発明の光学フィルムは、延伸による複屈折の発現性が小さいため、延伸した場合でも、低複屈折性を保っており、偏光子保護フィルムとして遜色なく用いることができる。
【0099】
延伸方法としては、従来公知の任意の延伸方法が採用され得る。具体的には、例えば、ロールや熱風炉を用いた縦延伸、テンターを用いた横延伸、およびこれらを逐次組み合わせた逐次二軸延伸等がある。また、縦と横を同時に延伸する同時二軸延伸方法も採用可能である。ロール縦延伸を行った後、テンターによる横延伸を行う方法を採用しても良い。
【0100】
本発明の光学フィルムは、一軸延伸フィルムの状態で最終製品とすることができるし、延伸工程を組み合わせて行って二軸延伸フィルムとしても良い。二軸延伸を行う場合、必要に応じ、縦延伸と横延伸の温度や倍率などの延伸条件が同等であってもよく、また、意図的に変えることにより、フィルムに機械的な異方性を付与してもかまわない。
【0101】
本発明の光学フィルムは、光学異方性が小さいことを特徴としている。液晶表示装置等に用いられる光学フィルムにおいては、フィルムの面内方向(長さ方向、幅方向)の光学異方性だけでなく、厚み方向の光学異方性についても小さいことが要求される。すなわち、面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸、フィルムの厚さ方向をZ軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx、ny、nz、フィルムの厚さをdとすると、面内レターデーション Re=(nx−ny)×d および厚み方向レターデーション Rth=|(nx+ny)/2−nz|×d (||は絶対値を表す)がともに小さいことを意味している(理想となる、三次元方向について完全光学等方であるフィルムでは、面内位相差Re、厚み方向位相差Rthともに0となる)。本発明の光学フィルムは、フィルムの面内レターデーションが10nm以下であり、好ましくは5nm以下である。なおかつ厚み方向レターデーションが20nm以下であり、好ましくは10nm以下である。上記範囲より大きいレターデーション値をもつ偏光子保護フィルムを偏光板として使用した場合、液晶表示装置においてコントラストが低下するなどの問題を生ずる場合がある。また、レターデーション値は測定波長により異なるが、本発明の光学フィルムは可視光領域の任意の波長、すなわち、450nm〜750nmの範囲におけるレターデーション値が前記範囲内にあることが好ましい。
【0102】
さらに、本発明の光学フィルムは、延伸した際の複屈折も小さいことが好ましい。延伸した場合でも低複屈折であるということは、フィルムの製造時や、偏光子等の他の部材と貼り合せ時や、他の部材寸法変化等によって応力が生じた際にも、低複屈折性を保つことができる。延伸時の低複屈折性としては、フィルムのガラス転移温度(Tg)に対して、(Tg+20)℃で40%の倍率で自由端一軸延伸した場合の正面レターデーションおよび厚み方向レターデーションの双方が30nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることがさらに好ましく、5nm以下であることが最も好ましい。
【0103】
また、本発明の光学フィルムにおいては、フィルム面内のいずれの方向においても、耐折性試験回数が20回以上であることが好ましく、50回以上であることがより好ましく、100回以上であることがさらに好ましく、150回以上であることが最も好ましい。耐折試験回数が小さいと、フィルムのハンドリング性が不十分であり、実用上の問題となる場合がある。耐折試験回数はMIT耐折疲労試験機により、JIS C5016に準拠して測定することができる。
【0104】
本発明の光学フィルムは、必要に応じて表面処理を施し、他の材料との接着性を改善することも可能である。表面処理の方法としては、従来公知の任意の方法が可能である。例えば、コロナ放電処理や火花処理などの電気的処理、低圧または常圧下でのプラズマ処理、オゾン存在下または非存在下での紫外線照射処理、クロム酸等による酸処理、アルカリけん化処理、火焔処理、およびシラン系プライマー処理もしくはチタン系プライマー処理などが挙げられる。これらの方法により、フィルム表面の表面張力を上昇し、偏光子保護フィルムとの接着性を良好なものとすることができる。
【0105】
以上、本発明を実施するための最良の形態について記述したが、本発明は特定の置換基および置換度を有するセルロース誘導体、およびそれからなる溶液、光学フィルムとその製造方法に関するのであって、本明細書中に具体的に記載したセルロース誘導体の製造方法や添加剤の種類および量、フィルムの製造方法等に存するものではない。したがって、本明細書に示した具体的な実施態様および以下の実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、当業者は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲内で変更して実施することができる。
【0106】
また、本明細書中に記載された先行文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
【実施例】
【0107】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0108】
[測定方法]
実施例で得られた数値等は以下の測定方法によるものである。
【0109】
(1)置換度の測定
試料を重クロロホルムに溶解しトリフルオロ酢酸−dを1滴添加し、VARIAN社製INOVA AS600によりH−NMRを測定した(トリフルオロ酢酸−dは水由来のピークとアセチル基由来のピークを分離する目的で添加したものである)。得られたスペクトルからTMS基準で7.4〜8.2ppmのピーク面積S(芳香族プロトン由来)と、3.0〜5.4ppmのピーク面積S(グルコース骨格のプロトン由来)の面積比を求めた。S、SB、はそれぞれ5個、7個のプロトンに対応するから、置換度DSbzは下記のように求められる。
【0110】
【数1】


【0111】
また、TMS基準で1.8〜2.6ppmのピーク面積S(アセチル基のロトン由来)とSの面積比により、アセチル置換を度求めることができる。Sは3個のプロトンに対応するから、DSacは下記のように求められる。
【0112】
【数2】


【0113】
(2)分子量
東ソー製のゲル・パーミッション・クロマトグラフ(GPC)装置RI−8020を用い、以下の条件にて測定した。
カラム種類:Shodex製 KD−806M × 2本
カラムサイズ:各8mmφ×30cm(計60cm)
ガードカラム:Shodex製 KD−G(4.6mmφ×1cm)
カラム温度:40℃
展開溶媒:30mMのLiBrと30mMのリン酸を含むDMF
固形分濃度:0.4wt%
注入量:30μL
流速:0.6mL/分
注入圧:1.3〜1.7MPa
標準試料:ポリエチレンオキサイド、検量線次数=一次
【0114】
(3)ガラス転移温度の測定
セイコー電子工業製示差走査熱量計DSC220Cにより、JIS K−7121に記載の方法により、窒素フロー下、昇温速度10℃/分の条件にて測定した。
【0115】
(4)溶液粘度
溶液を25℃の恒温槽内で5時間静置した後、東機産業製BM型粘度計を用いて、粘度を測定した。測定に際しては、機器付属のNo.3ロータを用い、回転数は12rpmとした。
【0116】
(5)レターデーションの測定
レターデーション値、レターデーションの波長分散は王子計測機器製自動複屈折計KOBRA−WRにより以下の方法により測定した。
【0117】
フィルムを35mm角に切り出し、各波長における正面レターデーション値を測定した。また、フィルム遅相軸を中心として40°回転させた際のレターデーション値を測定し、装置付属のプログラムにより、厚み方向のレターデーションを算出した。厚み方向レターデーションの算出においては、Nave=1.47を用いた。
【0118】
(6)フィルム厚み
アンリツ(株)製の接触式厚み測定機により、0.1μm単位まで測定した。
【0119】
(7)ヘイズおよび全光線透過率の測定
日本電色工業製積分球式ヘイズメーター300Aにより、JIS K−7105記載の方法により測定した。
【0120】
(8)耐折疲労試験
東洋精機製作所社製、MIT耐折疲労試験機(FOLDING ENDURANCE TESTER MID−DA)を使用し、JIS C5016に準拠して測定した。尚、測定は、幅15mm、長さ200mm、の形状のサンプルを使用し、荷重300g、175回/分、135°折り曲げ(R=0.38)の条件で行った。また結果のMD値とは、MD方向の両端を試験機にセットして折り曲げたときの数値を示す。
【0121】
[樹脂の作成]
<酢酸セルロースのケン化>
[合成例1]
セパラブルフラスコ内で、ダイセル化学製の酢酸セルロース(グレード名L−70、アセチル置換度=2.41、以下樹脂Aとする)を240.1g、酢酸を1500g入れ、攪拌することでスラリー状とした。得られたスラリーに、酢酸180.2g、蒸留水111.0g、硫酸3.1g、リン酸10.1gの混合液を加えた後、40℃で36時間反応させ、酢酸セルロースのケン化を行なった後、蒸留水4Lを加え、反応物を沈殿させた。この沈殿物を濾過した後、蒸留水で洗浄し、24時間真空乾燥し、酢酸セルロース(以下、樹脂Bとする)を得た。
【0122】
[合成例2]
反応時間を120時間とした以外は合成例4と同様にして、酢酸セルロース(以下、樹脂Cとする)を得た。
【0123】
[合成例3]
反応時間を168時間とした以外は合成例4と同様にして、酢酸セルロース(以下、樹脂Dとする)を得た。
【0124】
<酢酸セルロースの芳香族アシル化>
[合成例4]
セパラブルフラスコ内で、樹脂Aを131.4g、ピリジンを98.7g、1,4−ジオキサンを1500g攪拌しながら、滴下漏斗を用い、1,4−ジオキサン150.2gと塩化ベンゾイル150.2gの混合物を約20分かけて滴下した。滴下完了後に加温し、還流下(94℃)で8時間反応させ、セルロースアセテートの残存水酸基のベンゾイル化を行った。得られた溶液を室温で放冷した後、メタノール10mlを含むトルエン1000mlを加え、反応物を沈殿させた。この沈殿物を濾過した後、メタノールで洗浄し、12時間真空乾燥させた。得られた樹脂を塩化メチレンに溶解し、メタノール中に滴下し再沈を行った。
【0125】
得られた樹脂をさらにメタノールで洗浄し、24時間真空乾燥し、セルロースアセテートベンゾエート(以下、樹脂Eとする)を得た。
【0126】
[合成例5]
セパラブルフラスコ内で、樹脂Aを131.4g、ピリジンを49.3g、1,4−ジオキサンを1600g攪拌しながら、滴下漏斗を用いて、1,4−ジオキサン75.1gと塩化ベンゾイル75.1gの混合物を約20分かけて滴下した。以降は合成例1と同様に反応、精製し、セルロースアセテートベンゾエート(以下、樹脂Fとする)を得た。
【0127】
[合成例6]
セパラブルフラスコ内で、樹脂Aを131.4g、ピリジンを40.2g、1,4−ジオキサンを1650g攪拌しながら、滴下漏斗を用いて、1,4−ジオキサン55.3gと塩化ベンゾイル55.3gの混合物を約20分かけて滴下した。以降は合成例1と同様に反応、精製し、セルロースアセテートベンゾエート(以下、樹脂Gとする)を得た。
【0128】
[合成例7]
セパラブルフラスコ内で、樹脂Aを131.4g、ピリジンを26.6g、1,4−ジオキサンを1700g攪拌しながら、滴下漏斗を用いて、1,4−ジオキサン40.4gと塩化ベンゾイル40.4gの混合物を約20分かけて滴下した。以降は合成例1と同様に反応、精製し、セルロースアセテートベンゾエート(以下、樹脂Hとする)を得た。
【0129】
[合成例8]
セパラブルフラスコ内で、樹脂Bを125.1g、ピリジンを162.8g、1,4−ジオキサンを1220g攪拌しながら、滴下漏斗を用いて、1,4−ジオキサン247.5gと塩化ベンゾイル247.5gの混合物を約20分かけて滴下した。以降は合成例1と同様に反応、精製し、セルロースアセテートベンゾエート(以下、樹脂Iとする)を得た。
【0130】
[合成例9]
セパラブルフラスコ内で、樹脂Bを125.1g、ピリジンを130.2g、1,4−ジオキサンを1100g攪拌しながら、滴下漏斗を用いて、1,4−ジオキサン198.1gと塩化ベンゾイル109.1gの混合物を約20分かけて滴下した。以降は合成例1と同様に反応、精製し、セルロースアセテートベンゾエート(以下、樹脂Jとする)を得た。
【0131】
[合成例10]
セパラブルフラスコ内で、樹脂Bを125.1g、ピリジンを104.3g、1,4−ジオキサンを1000g攪拌しながら、滴下漏斗を用いて、1,4−ジオキサン158.5gと塩化ベンゾイル158.5gの混合物を約20分かけて滴下した。以降は合成例1と同様に反応、精製し、セルロースアセテートベンゾエート(以下、樹脂Kとする)を得た。
【0132】
[合成例11]
セパラブルフラスコ内で、樹脂Cを111.6g、ピリジンを275.7g、1,4−ジオキサンを550g攪拌しながら、滴下漏斗を用いて、1,4−ジオキサン419.6gと塩化ベンゾイル419.6gの混合物を約20分かけて滴下した。以降は合成例1と同様に反応、精製し、セルロースアセテートベンゾエート(以下、樹脂Lとする)を得た。
【0133】
[合成例12]
セパラブルフラスコ内で、樹脂Cを111.5g、ピリジンを220.6g、1,4−ジオキサンを780g攪拌しながら、滴下漏斗を用いて、1,4−ジオキサン335.7gと塩化ベンゾイル335.7gの混合物を約20分かけて滴下した。以降は合成例1と同様に反応、精製し、セルロースアセテートベンゾエート(以下、樹脂Mとする)を得た。
【0134】
[合成例13]
セパラブルフラスコ内で、樹脂Cを111.5g、ピリジンを176.5.0g、1,4−ジオキサンを1600g攪拌しながら、滴下漏斗を用いて、1,4−ジオキサン268.6gと塩化ベンゾイル286.6gの混合物を約20分かけて滴下した。以降は合成例1と同様に反応、精製し、セルロースアセテートベンゾエート(以下、樹脂Nとする)を得た。
【0135】
[合成例14]
セパラブルフラスコ内で、樹脂Dを106.4g、ピリジンを225.3g、1,4−ジオキサンを650g攪拌しながら、滴下漏斗を用いて、1,4−ジオキサン367.2gと塩化ベンゾイル367.2gの混合物を約20分かけて滴下した。以降は合成例1と同様に反応、精製し、セルロースアセテートベンゾエート(以下、樹脂Oとする)を得た。
【0136】
[合成例15]
セパラブルフラスコ内で、樹脂Dを106.4g、ピリジンを135.2g、1,4−ジオキサンを550g攪拌しながら、滴下漏斗を用いて、1,4−ジオキサン220.3gと塩化ベンゾイル220.3gの混合物を約20分かけて滴下した。以降は合成例1と同様に反応、精製し、セルロースアセテートベンゾエート(以下、樹脂Pとする)を得た。
【0137】
[合成例16]
セパラブルフラスコ内で、粉末セルロース(旭化成ケミカルズ製アビセルTG−101)を81.0g、ピリジンを237.0g、1,4−ジオキサンを600g攪拌しながら、滴下漏斗を用いて、1,4−ジオキサン252.9gと塩化ベンゾイル252.9gの混合物を約20分かけて滴下した。以降は合成例1と同様に反応、精製し、セルロースベンゾエート(以下、樹脂Qとする)を得た。
【0138】
それぞれの合成例で得られた樹脂の置換度、(1.53×A+F)値、分子量(Mn)、およびガラス転移温度(Tg)を表1に示した。
【0139】
【表1】


【0140】
また、本明細書の合成例で得られた樹脂A〜樹脂Rのアセチル化度(DSac)およびベンゾイル化度(DSbz)を平面上に示したグラフを図1に示した。網掛け部分が本発明の実施例を表す。
(a)、(b)はそれぞれ、DSac=1.3、DSac=2.7を表す線である。
(c)、(d)はそれぞれ、DSbz=0.2、DSbz=1.0を表す線である。
(e)、(f)はそれぞれ、1.53×DSbz+DSac=1.3、1.53×DSbz+DSac=2.7を表す線である。
【0141】
[セルロース誘導体溶液の作成]
室温にて、塩化メチレンと、塩化メチレンとメタノールの重量比が9:1の混合溶媒(以下、これを単に混合溶媒ということがある)のそれぞれに対し、上記合成例で作成した各樹脂を固形分濃度が12重量%となるように溶解し、セルロース誘導体溶液を調整した。
【0142】
尚、ダイセル化学製の酢酸セルロース(グレード名LT―55、アセチル置換度=2.91以下樹脂Rとする)も同様に溶解し、セルロース誘導体溶液を調整した。
【0143】
得られたセルロース誘導体溶液の溶解性、外観、粘度を表2に示した。
【0144】
【表2】


【0145】
(実施例1〜7、比較例1〜11)
[光学フィルム(未延伸)の作成]
上記で、溶媒として塩化メチレンを用いて得られた各セルロース誘導体溶液を厚み125μmのニ軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製ルミラー#125S10)上に、クリアランス550μmで流延し、室温で10分間乾燥した。その後ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離し、金属枠にポリイミドテープを用いて4辺を固定し、80℃で10分、100℃で15分乾燥し、厚みが約60μmの光学フィルム(未延伸)を得た。
【0146】
ただし、樹脂A、B、N、O、P、Rに関しては、塩化メチレンに対する溶解性が低かったため、混合溶媒を用いて得られたセルロース誘導体溶液を用いてフィルムを作成した。また、樹脂C、Dは塩化メチレン、混合溶媒のいずれにも溶解しなかったため、光学フィルムを得ることができなかった。
【0147】
得られた光学フィルムは、それぞれ表3に示した通り光学フィルム1〜16とした。各光学フィルムの特性を表3に示した。Re及びRthの値は、測定波長588.5nmでの値である。
【0148】
【表3】


【0149】
(実施例8〜14、比較例12〜14)
[光学フィルム(延伸)の調整]
上記で得られた光学フィルム3〜11、および、光学フィルム16を、フィルムを流延方向20cm、幅方向5cmの長方形に切り出し、流延方向のチャック間距離が15cmとなるようチャック間に固定し、熱風オーブン中で,フィルム面から5cmの距離からパンチノズルで(Tg+20)℃の熱風を吹き付けながら流延方向の長さが1.4倍となるように自由端一軸延伸を行い、延伸した光学フィルム(以下、単に延伸フィルムということがある)を得た。各延伸フィルムの特性を表4に示した。正面レターデーションは、測定波長448nm、588.5nm、747.8nmでの値である。Rthは測定波長588.5nmでの値である。
【0150】
【表4】


【0151】
表4に示すように、本発明の範囲に属する光学フィルムは、延伸後も低複屈折特性を保っており、偏光子保護フィルム等の低複屈折が要求される光学材料に適している。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明の合成例で得られた樹脂のアセチル化度およびベンゾイル化度を平面上に示したものである
【出願人】 【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
【出願日】 平成18年12月28日(2006.12.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−163193(P2008−163193A)
【公開日】 平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願番号】 特願2006−354534(P2006−354534)