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【発明の名称】 低分子化処理を施したガラクトマンナンおよびその製造法ならびにその使用方法
【発明者】 【氏名】鈴木 雅之

【氏名】小幡 斉

【氏名】河原 秀久

【要約】 【課題】食品あるいは食品素材を冷凍保存する際に、微量に添加することで,タンパク質の冷凍変性に対して著効を示す物質およびその製造法ならびにこれを利用した冷凍変性防止法を提供する。

【解決手段】ガラクトマンナンを微生物または酵素による低分子化処理を施すことにより特定の分子構造を有する低分子化処理ガラクトマンナンを製造する。これを食品あるいは食品素材へ添加することで、被添加物の冷凍変性を防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起源の異なるガラクトマンナン群から選ばれる少なくとも1種または2種以上を原料とし,これに低分子化処理を施すことで得られる,分子量が5〜310kDa,β-1,4結合したD-マンノース単位の主鎖およびα-1,6結合したD-ガラクトース単位の側鎖を有し,D−マンノースとD−ガラクトースの構成比が2.5:1〜15:1である低分子化処理ガラクトマンナン。
【請求項2】
低分子化処理が,微生物発酵により惹起されることを特徴とする請求項1に記載の低分子化処理ガラクトマンナンの製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の微生物が,食品酵母であるサッカロミセス(Saccharomyces)属,キャンディダ(Candida)属,ファフィア(Phaffia)属,フォドトルーラ(Phodotorula)属,チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属,クルイフェロミセス(Kluyveromyces)属,トルラスポラ(Torulaspora)属より成る群から選ばれる少なくとも1種または2種以上を含有する請求項2に記載の低分子化処理ガラクトマンナンの製造方法。
【請求項4】
ガラクトマンナンの低分子化処理が,酵素反応により惹起されることを特徴とする請求項1に記載の低分子化処理ガラクトマンナンの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の酵素が,α−ガラクトシダーゼおよび/またはβ−マンノシダーゼおよび/またはβ−マンナナーゼから構成される請求項4に記載の低分子化処理ガラクトマンナンの製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の低分子化処理ガラクトマンナンを0.001〜5%含有させることを特徴とする,冷凍変性を防止させた食品または食品素材。
【請求項7】
食品または食品素材の製造工程において,請求項1に記載の低分子化処理ガラクトマンナンを添加する,またはガラクトマンナンと請求項3に記載の食品酵母または請求項5に記載の酵素を添加し,製造工程中に請求項1に記載の低分子化処理ガラクトマンナンを生成させることを特徴とする,食品または食品素材の冷凍変性防止方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は特定の分子構造を有し,冷凍変性防止効果を示す低分子化処理ガラクトマンナンおよびその製造法に関し,詳しくは原料となるガラクトマンナンの水溶液または懸濁液を食品酵母による発酵および/または酵素による反応等を利用して,特定の分子構造とすることを特徴とする低分子化処理ガラクトマンナンの製造の方法に関する。
また,本発明は上記の方法にて製造されたガラクトマンナンを含有することを特徴とする冷凍変性防止の方法ならびこれを添加した食品または食品素材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の食の多様化を反映し,加熱調理後,即時に喫食可能である利便性を有した多種多様の食品あるいは食品素材が,冷凍状態で流通されている。当該冷凍食品は,通常−18℃に管理・流通されているが,長期間の保存中には食品の成分の一つであるタンパク質が不可逆の変性を起こし,食感・味質などの質的劣化を招いてきた。これを防止するため,それぞれの食品あるいは食品素材に適した各種の処理を施し,冷凍変性防止剤を添加した後,冷凍する方法が採られている。
【0003】
冷凍変性防止剤を用いる変性防止方法は,冷凍保護と冷凍安定の2つに大別される。冷凍保護の方法には,比較的に分子量の小さい糖類及び糖アルコールが利用され,冷凍時,タンパク質分子の表面から溶質が隔離されて水分子がタンパク質の周囲に留まるため安定した溶質が形成されるようになる。一方,冷凍安定の方法には,分子量の大きいポリマーが利用され,ガラス転移温度を貯蔵温度以上に高めて,タンパク質をガラス質状態に形成し幾何学的に孤立させて,変性が防止されるようになっている。即ち,上記冷凍変性防止方法は,低分子物質の場合は,タンパク質の本来の状態を維持させる熱力学的作用によるが,高分子物質の場合は,反応性の低い状態のガラス質状態に形成する作用である。現在,ハンドリングの良さから,低分子の冷凍変性防止剤が広用されている。
【0004】
魚肉等の冷凍すり身は,冷凍保存中にタンパク質の変性を惹起しやすく,これを原料として用いた水産ねり製品は弾力性を失しており,商品価値が著しく低下する。そこでスケトウダラを加工して成る冷凍すり身の製造には,冷凍変性防止剤として,4%ショ糖及び4%ソルビトールの混合製剤が商業的に汎用されている(特許文献1)。これら低分子量の糖類および糖アルコール類は,安価で利用しやすく,褐変反応も少なく,ハンドリングに優れ,加えて,すり身の硬度を増加させるというメリットを併せ持つ。さらに,すり身の水晒し工程の後,上記の糖類・糖アルコール類と重合リン酸塩類とを添加することで,長期間の冷凍保存が可能となることも知られている。添加する糖類および糖アルコール類の添加量に応じて冷凍変性防止効果は向上する傾向があるが,添加量の増加は甘味の増加も伴うため,味質の観点から,添加量が制限されていた。
【0005】
鶏卵は,加工食品,特に製菓子・製パン用途として,冷蔵(液卵)もしくは冷凍(冷凍卵)状態で流通している。液卵および冷凍卵の一部には冷凍変性防止剤として,20%ショ糖が添加されている。これらの加糖卵は,色調が赤変するため,卵本来の自然な色合いが要求される用途への利用は敬遠されていた。 また,加糖卵は,添加されているショ糖が高い甘味を呈するため,元来,調理加工時に多量のショ糖を要求するクリーム・パンケーキ等の用途に限定されていた。
【0006】
不安定な酵素タンパク質や細胞類の一部は,その活性を保持・安定化させるために冷凍状態で流通しているが,多くの場合,冷凍変性防止剤として,著量のグリセロール,糖類,BSAやDMSOなどが添加されている(特許文献2,非特許文献1)。これら添加する安定化剤の種類や添加量の決定には多大な労力を要していた。さらに,精度の高い保蔵管理を要したり,使用時の反応・培養環境に対して悪影響を与えることから使用前の除去を要するなどハンドリングの面でも問題があり,より良い安定剤が求められていた。
【0007】
ガラクトマンナンをはじめとする各種増粘多糖類は,成分の安定化や食品・食品素材の保形目的にて現在広く利用されているが,これら増粘多糖類およびその分解物はまた,製菓・製パン用品質改良剤として有効であることが見出されている。具体的には,生地中での分散性を考慮し,増粘多糖類の平均粒子径が20μm以下に微粉末化された固形物を混捏時に添加するものであり,これにより,小麦粉を使用する菓子またはパンの食感改良,老化抑制,舌触り改良,口溶け改良および外観改善に成功している(特許文献3)。しかし,この改良剤は,増粘多糖類およびその分解物を特殊な装置で微粉化することが必要で,粒子同士の凝集による固結に不安があり,特殊な粒度の微粉に加工する必要のない固形製剤や液製剤の開発が望まれていた。また,この品質改良剤は,菓子及びパンの食感改良に関するもので,食品あるいは食品素材の冷凍変性の防止に関しては言及されていない。
【0008】
【特許文献1】特開昭53−133667号公報
【特許文献2】米国特許第5,098,893号公報
【特許文献3】特許第3639801号公報
【非特許文献1】G.A. McDonald et al., "Carbohydratesas Cryoprotectants for Meats andSurimi", Food Technology,1991年3月号,第150,152−154,156及び158−159頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように,食品あるいは食品素材を冷凍保蔵する際には種々の添加剤を添加することにより,品質保持が図られてきたが,ハンドリングの面から剤形に制限が設けられる場合が多く,またその添加量は,食品または食品素材へ与える味質の影響や生理活性など,その他の外的要因が決定因子となっており,必ずしも合目的なものではなかった。
【0010】
本発明の目的は,食品あるいは食品素材を冷凍保存する際に微量に添加することで,タンパク質の冷凍変性に対し,著効を示す物質およびその製造法ならびにこれを利用した冷凍変性防止法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは,上記の課題を解決すべく,冷凍変性防止効果のある物質に関し鋭意研究を行った結果,ガラクトマンナンに微生物または酵素による低分子化処理を施すことにより特定の分子構造,即ち,分子量が5〜310kDa,β-1,4結合したD-マンノース単位の主鎖およびα-1,6結合したD-ガラクトース単位の側鎖を有し,その構成比が2.5:1〜15:1である低分子化処理ガラクトマンナンに,顕著な冷凍変性防止効果を有することを見出した。
本発明は,上記知見に基づいて,ガラクトマンナンに特定の処理を施すことにより得られる低分子化処理ガラクトマンナン及びその製造方法、並びに低分子化処理ガラクトマンナンを利用した冷凍変性を防止する方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ガラクトマンナンを微生物または酵素による処理により得られる,新規な低分子化処理ガラクトマンナンに関するものであり、当該物質は冷凍変性防止に対して著効を示すため,食品あるいは食品素材に微量添加することで、これらの風味を損なうことなく冷凍変性耐性を付与することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の中心を成す,冷凍変性防止効果を有する低分子化処理ガラクトマンナンは5〜310kDa,好ましくは分子量が110〜270kDaの分子量を有し,β-1,4結合したD-マンノース単位の主鎖およびα-1,6結合したD-ガラクトース単位の側鎖を有し,その構成比が2.5:1〜15:1,好ましくは2.7:1〜11:1であるような特定の分子構造を有するガラクトマンナンである。低分子化処理ガラクトマンナンは,原料となるガラクトマンナンに低分子化処理を施すことで得られる。
【0014】
低分子化処理ガラクトマンナンの原料となるガラクトマンナンは,β-1,4結合したD-マンノース単位の主鎖およびα-1,6結合したD-ガラクトース単位の側鎖を有しているものであれば,その起源に特に限定されるものではなく,また,高度に精製された状態のものである必要もない。ガラクトマンナンとしては,イナゴ豆の種子粉末が好ましいが,他のガラクトマンナンとして,グアーガム,カシアガム,大豆種皮由来のソイビーンフル,タムソンガムなどが挙げられる。これらは,食品産業においては増粘剤として,また医薬品産業においては製錠補助剤として使用されている安全性の高い物質である(非特許文献2)。起源の異なるガラクトマンナンはマンノース単位とガラクトース単位の構成比率が異なるが,当該低分子化処理ガラクトマンナンの原料として,単一起源物でも異起源の混合物でもよく,また,水溶液または懸濁液でもよい。さらに,原料となるガラクトマンナンの濃度には,特に制限はない。
【0015】
【非特許文献2】R. L. Whistler & J. N. BeMiller, " Industrial Gums ", 第3版, 1992年,Academic Press,New York
【0016】
当該ガラクトマンナンの低分子化処理は,処理後得られる分子の構造が,前述の主鎖と側鎖との構成比や分子量を満たすものであれば,その方法に特に限定されるものではなく,酸触媒等を用いた化学的手法,熱や圧力などを利用した物理的手法でもよい。しかし,反応の選択性や効率性,環境負荷などを考慮した場合,微生物発酵や酵素反応等の生化学的手法により,当該低分子化処理を施すことが好ましい。発酵に使用される微生物は天然に存在する野生株であっても,遺伝子組換え技術を利用して得られた変異株でもよいが,発酵速度,ハンドリングの良さ,安全性等の面から,食品酵母が実用的である。食品酵母として多くのものが本発明に使用可能であるが,キャンディダ(Candida)属,サッカロミセス(Saccharomyces)属から選択されるのが好ましい。また,ファフィア(Phaffia)属,フォドトルーラ(Phodotorula)属,チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属,クルイフェロミセス(Kluyveromyces)属,トルラスポラ(Torulaspora)属なども利用可能である。これらを単独で,または混合して培養することができる。
【0017】
上記発酵は,原料であるガラクトマンナンにより酵母が誘導的に産生する分解酵素により行われる。酵母が誘導的に産生する分解酵素には,α−ガラクトシダーゼ,β−マンノシダーゼ,β−マンナナーゼが含有されており,当該酵素群が原料であるガラクトマンナンの低分子化反応を触媒している。従って,当該低分子化処理ガラクトマンナンの製造には,酵母生菌のみならず,当該分解酵素群の他,ガラクトマンナンにも基質特異性を示すヘミセルラーゼ等も利用可能である。酵素は天然に存在する野生型であっても,遺伝子組換え技術を利用してサブクローニング,配糖化やアミノ酸修飾により得られた変異型でもよい。また,他のタンパク質またはペプチドとの融合タンパク質,または酵素断片でもよい。α−ガラクトシダーゼ,β−マンノシダーゼ,β−マンナナーゼの使用量は特に限定されるものではないが,好ましくは反応液1mLあたり0.0001単位以上1000単位以下であり,より好ましくは反応液1mLあたり0.001単位以上100単位以下である。なお,α−ガラクトシダーゼおよびβ−マンノシダーゼの1単位は,37℃,pH7.5において,p−ニトロフェノール化した基質から毎分1mmolのp−ニトロフェノールを生成する酵素量と定義する。また,β−マンナナーゼの1単位は,37℃,pH7.5において,マンナンから毎分1mmolのマンノース相当の還元力を示す酵素量と定義する。
【0018】
当該低分子化処理ガラクトマンナンの製造に触媒的あるいは触媒として利用される酵母や酵素群は,遊離形態または固定化形態で低分子化処理に供する事が可能である。固定化形態とは支持体への架橋,半透過性膜への包含・封入を指す。
【0019】
ガラクトマンナンの低分子化処理は任意の形態で行うことができるが,通常は純水あるいは緩衝液,例えばトリス−塩酸緩衝液,リン酸緩衝液,3−(N−モノホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)緩衝液等の水溶液中で実施する。
【0020】
原料ガラクトマンナン,酵母群および/または酵素は,いかなる方法で反応液に添加しても差し支えないが,通常は原料ガラクトマンナンを溶解した反応液に酵母群および/または酵素を加えることにより反応を開始させる。当該反応液を酵母群および/または酵素が失活しない程度の温度範囲に維持して反応を行う。反応温度は,酵母群および/または酵素活性が著しく低下しない限り,特に限定されないが,通常0℃以上100℃以下,好ましくは10℃以上90℃以下である。また,反応液のpHについても酵母群および/または酵素が失活しない範囲内であればよく,特に反応中に制御する必要はなく,通常pH3〜7,好ましくはpH4〜6の範囲で行う。
【0021】
反応時間についても特に限定されないが,目的とする低分子化処理ガラクトマンナンの収率等が最大になったところで終了すればよく,通常は1分〜数百時間の範囲で適宜決定すればよい。反応終了後,当該低分子化処理ガラクトマンナンを遠心分離やゲル濾過,必要に応じてクロマトグラフィーなど既知の方法により分離することができる。
【0022】
本発明の低分子化処理ガラクトマンナンを食品または食品素材に添加して冷凍変性に対して耐性を付与することができる。当該低分子化処理ガラクトマンナンの添加量は0.001重量%以上とすることが好ましく,0.005〜5重量%がより好ましい。当該低分子化処理ガラクトマンナンの添加量が0.001重量%未満では,冷凍変性防止効果は十分には期待できない。
【0023】
上記冷凍変性防止効果を示す低分子化処理ガラクトマンナンの食品または食品素材への添加方法は,特に限定されないが,低分子化処理により副次的に付与された水溶性を活かして,例えば低分子化処理ガラクトマンナンを溶解した水溶液に冷凍変性耐性を付与したい食品または食品素材へ含浸させる方法や当該低分子化処理ガラクトマンナンを単独あるいは糖質や糖アルコール類等をバルク剤とした製剤を上記の食品または食品素材へ直接添加する方法等が挙げられる。その低分子化処理ガラクトマンナンを単独またはその他の成分と混合した製剤は,液体でも粉末でもよく,その粒度や剤形に依存せず,どのような形態のものでもよい。
【0024】
以下、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
原料ガラクトマンナンとして0.5重量%のイナゴ豆の種子粉末,窒素源として硫酸アンモニウムおよび微量の無機塩類を含む液体培地にCandida utilisを植菌し,30℃,24時間液体培養を行った。培養終了後,上清を濃縮・透析を行い,低分子化処理ガラクトマンナン粗抽出液を得た。これをゲルろ過クロマトグラフィーに供し,分子量約270kDaの画分を得た。当該分子量画分の構成単糖の比率および結合様式は,β-1,4結合したD-マンノース単位の主鎖およびα-1,6結合したD-ガラクトース単位の側鎖を有し,その構成比が10.5:1であるガラクトマンナンであることが判明した。
【実施例2】
【0026】
乳酸脱水素酵素は冷凍変性に対し,著しく耐性の低い酵素であり,換言すれば冷凍解凍後の当該酵素の残存活性は,冷凍変性防止効果の指標となる。未処理のガラクトマンナン及び実施例1で得られた低分子化処理ガラクトマンナンを終濃度0.005重量%となるように乳酸脱水素酵素へ添加後,毎分1℃の割合で冷却し,−20℃で24時間凍結保持した。解凍後,当該乳酸脱水素酵素の残存活性を測定した結果,未処理のガラクトマンナン添加区の残存活性は45%であったのに対し、低分子化処理ガラクトマンナン添加区では,100%の残存活性を示した。当該低分子化処理ガラクトマンナンは,0.005%という極めて低濃度の添加において優れた冷凍変性防止効果を有していることが判明した。
【実施例3】
【0027】
0.5重量%のイナゴ豆の種子粉末溶液に,α−ガラクトシダーゼ(Aspergillus niger由来)30U/mL,β−マンノシダーゼ(Aspergillus oryzae由来)10U/mLβ−マンナナーゼ(Bacillus subtilis由来)10U/mLを40℃にて保温しながら,48時間作用させた。なお,反応系は20mM MOPS緩衝液(pH7.5)にて緩衝化させた。反応終了後,常法により脱塩・脱タンパク質を行い,ゲルろ過クロマトグラフィーに供し,実施例1と同様の分子量および主鎖と側鎖の構成比を有するガラクトマンナンを得た。得られたガラクトマンナンには実施例2と同様の高い冷凍変性防止効果が確認できた。
【実施例4】
【0028】
実施例1で得られた低分子化処理ガラクトマンナンを割卵済みの鶏卵へ0.05重量%添加後,毎分1℃の速度で凍結し,−20℃で24時間保持した。解凍後,これを用いてオムレツを調製し,試験区とした。対照区として冷凍変性防止剤未添加の液卵,比較区として20重量%のショ糖を添加した液卵をそれぞれ用い,同様にオムレツを調製した。パネラーによる試食の結果,当該低分子化処理ガラクトマンナンを用いた試験区のオムレツの食感は,対照区に比し優れており,比較区に対して同等であった。また,比較区のオムレツの味質は過度に甘く,好まれなかったが,試験区のオムレツは自然な風味を有しており,パネラーの評価も高かった。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の低分子化処理ガラクトマンナンは,天然物を原料として微生物または酵素による処理により製造されるため,安心・安全であり,且つ冷凍変性防止に対して著効を示すため,被添加物の風味を損なうことなく冷凍変性耐性を付与することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000226415
【氏名又は名称】日研化成株式会社
【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
【出願日】 平成18年12月7日(2006.12.7)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−143986(P2008−143986A)
【公開日】 平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願番号】 特願2006−331145(P2006−331145)