トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物

【発明の名称】 キトサンの水への溶解方法及びその組成物
【発明者】 【氏名】平瀬 龍二

【氏名】久保 純一

【氏名】高原 由行

【要約】 【課題】極めて簡便、経済的な方法を用いてキトサンを水に溶解して得られた組成物と、この組成物から柔軟性等の諸特性を著しく改善した成形品を提供する。

【解決手段】キトサンを、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩化鉄(III)、硝酸クロム(III)及び/又はそれらの水和物から選ばれた少なくとも一種の塩をキトサンを構成しているグルコサミン単位に対して0.25〜2.0倍モル倍量含有する水と混合することにキトサンを容易に水に溶解させてキトサン組成物とし、この組成物から脱水によって成形品を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キトサンをアルミニウム、鉄又はクロムから選ばれた少なくとも一種を含む塩を含有する水と混合することを特徴とするキトサンの水溶液の製造方法。
【請求項2】
上記塩が、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩化鉄(III)、硝酸クロム(III)及び/又はそれらの水和物から選ばれたものであることを特徴とする請求項1に記載のキトサンの水溶液の製造方法。
【請求項3】
上記塩の添加量が、キトサンを構成しているグルコサミン単位に対して0.25〜2.0倍モルであることを特徴とする請求項1又は2に記載のキトサンの水溶液の製造方法。
【請求項4】
上記請求項1〜3のいずれかに記載の方法で製造されたことを特徴とするキトサンの水溶液組成物。
【請求項5】
上記請求項4に記載のキトサンの水溶液組成物を脱水によって成形品を製造する方法。
【請求項6】
上記請求項5に記載の方法によって得られたことを特徴とするキトサン成形品。
【請求項7】
キトサンとアルミニウム、鉄又はクロムから選ばれた少なくとも一種を含む塩を含有する水とを混合して得られた水溶液、又はキトサンの酸溶液に対して、水が存在すると結晶水を持った水和物になる水溶性無水塩又はその水和物を添加して得られた水溶液を成形時に脱水することによって成形品とすることを特徴とするキトサン組成物。
【請求項8】
上記水溶性無水塩が、水和物になった時に潮解性を有する無機塩であって、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム又はアルミニウムの塩化物、硝酸塩又はそれらの水和物から選ばれる少なくとも1つの塩であることを特徴とする請求項7のキトサン組成物。
【請求項9】
上記水溶性無水塩が、水和物になった時に潮解性を有する有機塩であって、シュウ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩又はそれらの水和物から選ばれる少なくとも1つの塩であることを特徴とする請求項8のキトサン組成物。
【請求項10】
上記無機塩又は有機金属塩の添加量が、キトサンを構成しているグルコサミン単位に対して0.25〜3.0倍モルであることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のキトサン組成物。
【請求項11】
上記水溶液に、さらに追加的に、(a)炭酸カルシウム、ガラス繊維、セルロース粒子、セルロース繊維等の無機又は有機の粒子状及び繊維状物質から選ばれた少なくとも一成分及び/又は(b)ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、グルオキサール、ヘキサメチレンジイソシアナート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、無水リン酸、オキシ塩化リン、トリメタリン酸塩、アクロレイン及びエピクロルヒドリンから選ばれた架橋剤の組合せからなる物性改善剤を添加することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のキトサン組成物。
【請求項12】
前記物性改善剤の合計添加量が、0.1〜100wt%(キトサン量基準)であることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載のキトサン組成物。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性物質であるキトサンの水への溶解方法及びその組成物に関する。
さらに詳しくは、本発明は、新規かつ極めて簡便で経済的な方法を用いてキトサンを水に溶解し、得られた組成物、水を除去して得られる成形品の柔軟性等の諸特性を著しく改善することにより、キトサンの用途を大幅に広げようとするものである。
本発明におけるキトサンは、部分的に脱アセチル化したキチンを含むものとする。
【背景技術】
【0002】
キトサンは、グルコサミンがβ-1,4 結合で重合した天然のアミノ多糖類である。カニやエビなどの甲殻類、昆虫の外皮、菌類の細胞壁の構成成分であるキチンを強アルカリで脱アセチル化することにより得られる。キトサンといっても脱アセチル化度が100%のものばかりではなく、キチン、キトサンの境界は判然とせず、それぞれ純化合物として取り扱うことは難しい。
従来、キチンやキトサンは、地球上で毎年多量に生物生産されながらそのほとんどが廃棄されていたが、最近、特異な機能をもつ素材として注目されている。キチンを脱アセチル化することにより得られるキトサンは、水や低分子化合物を透過させる性質を持ち、抗凝血性にも優れ生体組織との親和性も良好であり、組織反応を起こしにくい等の機能を持つことからバイオマテリアルとしての応用が進められ、マイクロカプセル材料、透析膜、人工臓器、手術用材料等への利用が図られている。最近では健康食品としても市販されている。
【0003】
キトサンを繊維やフィルムのような成形物に加工するためには、水等の溶媒に溶解する必要がある。従来、キトサンの溶解には、酢酸、塩酸のような揮発性の酸水溶液(特開昭56−26049号公報、特開昭60−59123号公報)、特殊な溶剤としてヘキサフルオロイソプロピルアルコールやヘキサフルオロアセトン等を用いて得られた溶液から乾式、湿式等の方法により繊維やフィルムを成形することも報告されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭56−026049号公報
【特許文献2】特開昭60−059123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術で用いられているキトサンの溶剤は、酸が一般的であり、酸を用いるために設備の腐食や臭気の問題があり、実際に工業的に生産を行う場合には対策に莫大な費用が掛かる。
また、有機溶剤を用いる方法においても、溶剤は揮発性であり、皮膚に対する刺激性が強く、取り扱いの際に危険性を生じる。特開平10−88429号公報には、不揮発性のチオシアン酸ナトリウムを用いる方法が開示されているが、かなりの高濃度を要するため実用的な方法ではない。
【0006】
さらに、キトサンを原料として成形された繊維やフィルム等の機械的特性は良いとは言えず、特に伸度は高々10%程度であるが、このようなキトサン成形物を合成系の生分解性樹脂の代替と考えた場合、この機械的特性は満足すべきものとは到底言えない。
このようなキトサンの機械的物性、特に伸度の不足を改善するためには、グリセロール、ソルビトール等の水酸基を多く含む物質を可塑剤として添加する試みも実施されている(例えば、J. Agric. Food Chem.、Vol.53、No.10、P. 3950-3957 (2005)、又は特許公表2003−328292号公報等)。しかしながら、後出の比較例にも示すように、機械的物性の改善は効果が少なく、満足するものではなく、液体の可塑剤をもちいたときのブリードの問題もある。
【0007】
本発明は、従来のキトサンの溶解にともなう問題、あるいはキトサン組成物の成形物の機械的特性の改善を解決するために提案されたものである。
すなわち、本発明では、キトサンの水を用いた溶解に特定の塩を加えることによって得られた水溶液を原料として成形したときには、得られた成形品は、柔軟性等の機械的特性を改善することを目的とする。
また、本発明で採用するキトサンの溶解法及び機械的特性の改善されたキトサン組成物は極めて簡便、かつ経済的に提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決すべく研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明によれば、ある種の塩を含む水中でキトサンを撹拌することにより、容易にキトサンを水に溶解することに着目して、本発明に至ったものである。
【0009】
本発明は、基本的には以下の構成を特徴とする。
(1)キトサンをアルミニウム、鉄又はクロムから選ばれた少なくとも一種を含む塩を含有する水と混合することを特徴とするキトサンの水溶液の製造方法。
(2)上記塩が、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩化鉄(III)、硝酸クロム(III)及び/又はそれらの水和物から選ばれたものであることを特徴とする(1)に記載のキトサンの水溶液の製造方法。
(3)上記塩の添加量が、キトサンを構成しているグルコサミン単位に対して0.25〜2.0倍モルであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のキトサンの水溶液の製造方法。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法で製造されたことを特徴とするキトサンの水溶液組成物。
(5)上記(4)に記載のキトサンの水溶液組成物を脱水によって成形品を製造する方法。
(6)上記(5)に記載の方法によって得られたことを特徴とするキトサン成形品。
(7)キトサンとアルミニウム、鉄又はクロムから選ばれた少なくとも一種を含む塩を含有する水とを混合して得られた水溶液、又はキトサンの酸溶液に対して、水が存在すると結晶水を持った水和物になる水溶性無水塩又はその水和物を添加して得られた水溶液を成形時に脱水することによって成形品とすることを特徴とするキトサン組成物。
(8)上記水溶性無水塩が、水和物になった時に潮解性を有する無機塩であって、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム又はアルミニウムの塩化物、硝酸塩又はそれらの水和物から選ばれる少なくとも1つの塩であることを特徴とする上記(7)に記載のキトサン組成物。
(9)上記水溶性無水塩が、水和物になった時に潮解性を有する有機塩であって、シュウ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩又はそれらの水和物から選ばれる少なくとも1つの塩であることを特徴とする(8)に記載のキトサン組成物。
(10)上記無機塩又は有機金属塩の添加量が、キトサンを構成しているグルコサミン単位に対して0.25〜3.0倍モルであることを特徴とする(7)〜(9)のいずれかに記載のキトサン組成物。
(11)上記水溶液に、さらに追加的に、(a)炭酸カルシウム、ガラス繊維、セルロース粒子、セルロース繊維等の無機又は有機の粒子状及び繊維状物質から選ばれた少なくとも一成分及び/又は(b)ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、グルオキサール、ヘキサメチレンジイソシアナート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、無水リン酸、オキシ塩化リン、トリメタリン酸塩、アクロレイン及びエピクロルヒドリンから選ばれた架橋剤の組合せからなる物性改善剤を添加することを特徴とする(7)〜(10)のいずれかに記載のキトサン組成物。
(12)前記物性改善剤の合計添加量が、0.1〜100wt%(キトサン量基準)であることを特徴とする(7)〜(11)のいずれかに記載のキトサン組成物。
【0010】
キトサンとは、キチンを強アルカリで脱アセチル化したものであるが、必ずしも完全に脱アセチル化されている必要はなく、脱アセチル化の程度(ケン化度)が70%以上のものを使用することができるが、本発明では、特に入手の容易なケン化度が75〜90%程度のものが好適に使用できる。また、用いるキトサンの分子量は、原料の採取源、処理法の相違などで変化するが、4万〜30万程度が好ましく使用できる。
【0011】
本発明で使用する特定の塩は、アルミニウム、鉄、又はクロムの塩であり、好ましくは塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩化鉄(III)、硝酸クロム(III)及び/又はそれらの水和物より選ばれたものを用いることができる。
【0012】
塩の添加量は、キトサンを構成しているグルコサミン単位に対して0.25〜2.0倍モルが好ましい。塩の添加量が、0.25倍モルに満たない場合は、キトサンの溶解性が低下するので好ましくない。逆に、塩の添加量が2.0倍モルより多い場合は、それ以上のキトサンの溶解性が上がらず、乾燥後の成形物の物性に悪影響を及ぼす。
【0013】
本発明における上記キトサン水溶液を調製するには、キトサン及び特定の塩を一括的に、あるいはキトサン又は特定の塩のいずれかを先に、残りを後から水に投入して撹拌混合すればよく、その混合順序などは特に制限されない。
例えば、先にキトサンを水中に分散させ、次いで塩を加えて撹拌する方法は、いわゆるママコの発生が抑制されるという利点がある。
いずれの場合も、溶解させる温度は、室温で十分であるが、溶解速度を高めるために、例えば30〜70℃に加熱することもできる。
【0014】
(A)このように塩によって溶解されたキトサンの水溶液、又は(B)キトサンを従来の方法、すなわち酢酸、塩酸のような酸を含有する水に溶解させたものに、水が存在すると結晶水を持った水和物になる性質を有する水溶性無水塩又はその水和物を添加した水溶液を、ゲル化、キャスト、流延、湿式紡糸、乾式紡糸、ゲル紡糸、押し出し成形、射出成形、型成形、ブロー成形、真空成形、発泡成形、又はシート成形のいずれかの方法により、成形と同時に又は必要に応じて成形後にも乾燥させてフィルム、シート、糸、繊維、棒状、その他任意の成形品としてキトサン組成物を得ることができる。成形又は乾燥温度は、150℃以下、好ましくは100℃以下である。
【0015】
本発明で得られるキトサン組成物からなる成形品は、塩を添加していないキトサン成形品と比較して、柔軟性等の機械的特性が著しく向上する。この柔軟性等の機械的特性を示す指標として、例えば、JIS K6251に規定される「伸び」によって示される。すなわち、本発明のキトサン組成物の「伸び」が塩を添加していないキトサン成形品の1.5倍以上であることが本発明のキトサン組成物の特徴である。
【0016】
前記の水溶性無水塩が、水和物になった時に潮解性を有する無機塩であって、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム又はアルミニウムの塩化物、硝酸塩又はそれらの水和物、及びそれらの組み合わせを好ましく用いることができる。
前記の水溶性無水塩が、水和物になった時に潮解性を有する有機塩であって、シュウ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩又はそれらの水和物、及びそれらの組み合わせを好ましく用いることができる。
本発明では、潮解性を有する無機塩又は有機金属塩を、キトサンを構成しているグルコサミン単位に対して0.25〜3.0倍モル、好ましくは0.5〜1.5倍モル添加することができる。
【0017】
本発明では、キトサン及び塩、場合によっては酸からなる組成物に必要に応じて物性改善剤を添加することができる。物性改善剤の添加により、強度の向上が達成される。物性改善剤として、炭酸カルシウム、ガラス繊維、セルロース粒子、セルロース繊維等の無機又は有機の粒子状及び繊維状物質又は、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、グルオキサール、ヘキサメチレンジイソシアナート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、無水リン酸、オキシ塩化リン、トリメタリン酸塩、アクロレイン、エピクロルヒドリン等の架橋剤から選択された物質を用いることができる。
【0018】
本発明では、前記の物性改善剤を、キトサン基準で0.1〜100wt%、好ましくは0.25〜50wt%添加することができる。キトサン及び塩、場合によっては酸からなる水溶液に添加し、撹拌すればよい。
【0019】
本発明で提供されるキトサンの水への溶解方法及び柔軟性等の機械的特性が向上したキトサン組成物は、塩のキトサンに対する溶解効果及び可塑効果を利用したものである。塩がキトサンの溶解剤として機能する理由としては、塩がキトサンと錯体を形成することによるものと推測している。また、塩がキトサンの可塑剤として機能する理由としては、乾燥後のキトサン組成物中に塩が水和物(結晶水を持った状態)として存在することにある。
これまでの種々の試験及び分析から、(1)塩水和物はキトサン中に極めて微細に分散されている、(2)塩水和物はキトサン中で単に物理的に分散されているのではなく、ある種の化学的結合によってキトサン分子と結び付いている、(3)塩水和物に含まれる結晶水が重要な役割を果たしている、ことが明らかになっている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、極めて簡便で経済的な方法を用いてキトサンを水に溶解し、さらに、水を除去して得られるキトサン組成物の柔軟性等の諸特性を著しく改善することができる。さらに製造工程における安全性にも貢献できる。このキトサン組成物は、生分解性材料として工業用途の各種成形材料はもちろんのこと、添加する塩又は酸の種類によっては可食性となるため、食品用途として利用することができる。
【0021】
[実施例]
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0022】
実施例1、比較例1
各種塩の水溶液に対するキトサンの溶解性:
1gのキトサン(東京化成工業(株)製)に濃度が1%になるように水を加え、攪拌しながら各種塩を、キトサンを構成しているグルコサミン単位に対して0.5倍モル添加し、24時間室温で攪拌した後、溶解性を判定した。
結果を表1に示す。
【0023】
【表1】


【0024】
実施例2、比較例2
塩の水溶液に溶解したキトサンを乾燥して得られるフィルムの物性:
比較として酢酸に溶解したキトサンを乾燥して得たフィルムの物性も測定した。
1gのキトサンに濃度が1%になるように水を加え、攪拌しながら各種塩を所定量添加し、24時間室温で攪拌して溶解した後、全量を型に流し込み、50℃に保たれた乾燥機にて約48時間乾燥した。得られたキャストフィルムを25℃、60%RHの条件で約24時間調製した後、引張最大応力及び破断伸びを測定した。
結果を表2に示す。
【0025】
【表2】


【0026】
実施例3、比較例3
通常の方法(塩酸、酢酸等)により水に溶解したキトサン溶液に、水が存在すると結晶水を持った水和物になる性質を有する水溶性無水塩又はその水和物を添加して得られる混合物を乾燥して得られるフィルムの物性:
比較として塩の代わりにグリセリンを添加して得たフィルムの物性も測定した。
1gのキトサンに濃度が1%になるように水を加え、攪拌しながら1N塩酸又は酢酸をキトサンが溶解するまで添加し、さらに24時間室温で攪拌した。その後、所定量の各種塩を添加し、十分に攪拌溶解してから全量を型に流し込み、50℃に保たれた乾燥機にて約48時間乾燥した。得られたキャストフィルムを25℃、60%RHの条件で約24時間調製した後、引張最大応力及び破断伸びを測定した。
結果を表3に示す。
【0027】
【表3】


【0028】
実施例4、比較例4
物性改善剤の添加の効果:
キトサンに硝酸アルミニウム・9水和物を添加して溶解したものに、さらに物性改善剤として、炭酸カルシウム、セルロース微粒子、グルタルアルデヒド、グリオキサールを加えた。
1gのキトサンに濃度が1%になるように水を加え、攪拌しながら硝酸アルミニウム・9水和物を、キトサンを構成しているグルコサミン単位に対して0.75倍モル添加し、24時間室温で攪拌して溶解した。さらに、所定量の物性改善剤を添加し、攪拌した後、全量を型に流し込み、50℃に保たれた乾燥機にて約48時間乾燥した。得られたキャストフィルムを25℃、60%RHの条件で約24時間調製した後、引張最大応力及び破断伸びを測定した。
結果を表4に示す。
【0029】
【表4】


【0030】
(実施例及び比較例の総括)
実施例及び比較例の対比結果から以下のことは確認できた。
1)アルミニウム、鉄又はクロムの一部の塩を含有する水がキトサンを溶解する。
2)それらの塩に溶解したキトサン溶液から各種の成形法により得られる組成物の成形品における柔軟性(伸び)等の機械的特性は著しく向上する。
3)従来の方法(塩酸、酢酸等)により溶解したキトサン溶液に、潮解性を有する無機塩又は有機金属塩を添加することにより、キトサン組成物の柔軟性(伸び)等の機械的特性を向上させることもできる。
4)キトサンに対する塩の添加量を増加すると、最大応力は低下し、破断伸びは増大する傾向がある。
5)物性改善助剤の添加により、最大応力は増加し、破断伸びは低下する傾向にある。
【出願人】 【識別番号】592216384
【氏名又は名称】兵庫県
【識別番号】592015802
【氏名又は名称】赤穂化成株式会社
【出願日】 平成18年10月13日(2006.10.13)
【代理人】 【識別番号】100105061
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 喜博

【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎


【公開番号】 特開2008−94989(P2008−94989A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−279570(P2006−279570)