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【発明の名称】 エンドトキシンの除去方法
【発明者】 【氏名】翁長 朝典

【氏名】野田 哲治

【氏名】江藤 忠士

【要約】 【課題】工業的に簡便かつ効率的な方法により、エンドトキシンの除去されたコンドロイチン硫酸ナトリウムを提供する。

【解決手段】エンドトキシンを不純物として含む粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムの水溶液を80℃〜100℃で加熱処理した後、メンブランフィルターでろ過することにより前記課題を解決できる。更に、ろ過助剤及び/又は活性炭の存在下でろ過を行うことにより、エンドトキシンの除去率を向上させることが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドトキシンを不純物として含む粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムの水溶液を80℃〜100℃で加熱処理した後、メンブランフィルターでろ過することを特徴とする、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムの水溶液からエンドトキシンを除去する方法。
【請求項2】
前記ろ過が、ろ過助剤及び/又は活性炭の存在下で行うものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エンドトキシン含量が10ユニット/g以下であるコンドロイチン硫酸ナトリウム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の方法によって精製したコンドロイチン硫酸ナトリウム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドトキシンの除去方法に関する。本発明方法によれば、コンドロイチン硫酸ナトリウムに不純物として含まれるエンドトキシンを効果的に除去することができる。
【背景技術】
【0002】
コンドロイチン硫酸ナトリウムは、グルクロン酸とN−アセチルガラクトサミンの二糖繰り返し構造を基本とした高分子多糖類であり、主に動物の結合組織に含まれる化合物であり、様々な生理機能を持つことから、食品、化粧品、又は医薬品の原料として、使用されている。
【0003】
コンドロイチン硫酸ナトリウムの製造方法としては、鮭又は鱒の頭部を110℃〜160℃で加熱し、軟骨部分からコンドロイチン硫酸ナトリウムを溶出させる方法、鮭鼻軟骨を水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ処理し、抽出したコンドロイチン硫酸ナトリウムを塩析させる方法、鮭鼻軟骨を酵素処理してタンパク質を抽出させた溶液を、ろ過した後、ろ液にアルコールを加えてコンドロイチン硫酸ナトリウムを析出させる方法、魚類頭部を酵素処理と加圧処理又はアルカリ処理をした後、抽出したコンドロイチン硫酸ナトリウムを、脱脂、脱臭、脱色、及びろ過した後に乾燥する方法、及び鮭鼻軟骨をアルカリ処理した後、酵素処理した溶液の限外ろ過を繰り返して、コンドロイチン硫酸ナトリウムの濃縮と精製を行う方法が報告されている。
【0004】
コンドロイチン硫酸ナトリウムは、魚類の軟骨等を原料として製造されるため、その原料に付着していた微生物、又は製造工程中に混入した微生物が増殖し、微生物により産生されたエンドトキシンが最終製品に混入する。エンドトキシンはヒトの体温を上昇させる発熱物質であるため、食品、化粧品、又は医薬品の原料となるコンドロイチン硫酸ナトリウムに、エンドトキシンが混入することが問題となっている。前記のコンドロイチン硫酸ナトリウムの製造方法には、エンドトキシンの除去を目的とした工程は含まれておらず、最終製品中のエンドトキシンの含量を制御できる方法とは言いがたい。
【0005】
一般的にエンドトキシンを除去する方法として、エンドトキシンの主成分であるリポ多糖類をアルカリにより加熱分解する方法、界面活性剤や、デオキシコール酸を加えて、リポ多糖類の分子量を小さくする方法、又は250℃以上に加熱することによって、エンドトキシンの発熱特性を消失させる方法が行われているが、これらの過酷な条件下では、コンドロイチン硫酸ナトリウムの分解が進行してしまうため、コンドロイチン硫酸ナトリウムに含まれるエンドトキシンを除去する方法としては適していない。
【0006】
コンドロイチン硫酸ナトリウムと類似した多糖類である、ヒアルロン酸ナトリウムに含まれるエンドトキシンを除去する方法としては、ヒアルロン酸ナトリウムを含有する水溶液にエタノールを加えて、ヒアルロン酸ナトリウムを析出させ、沈殿物をエタノールで洗浄することで、エンドトキシンを除去する方法(特許文献1)が報告されている。しかし、この方法では操作が煩雑であり、また、エンドトキシンの除去効果が低いという問題点がある。
【0007】
また、粗製ヒアルロン酸ナトリウムに含まれるパイロジェン(エンドトキシン)を除去する方法として、pH6〜10の水溶液を、正に帯電したフィルターに通すことにより負に帯電したエンドトキシンを除去する方法(特許文献2)が報告されている。更に、特許文献2には、コンドロイチン硫酸も、同様の方法で処理可能である旨の記載がある。
【0008】
【特許文献1】特開平2−103203号公報
【特許文献2】特開平6−199656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、特許文献2に記載の方法をコンドロイチン硫酸ナトリウムに実際に適用した場合、コンドロイチン硫酸ナトリウムの硫酸基は負に強く帯電しているために、負に帯電しているエンドトキシンが正に帯電したフィルターへ吸着することをコンドロイチン硫酸ナトリウムの硫酸基が阻害し、エンドトキシンの除去効果が低くなるものと考えた。そして、特許文献2に記載の方法をコンドロイチン硫酸ナトリウムに、そのまま適用しても除去効率が低くなることを確認した。そのため、本発明者らは、コンドロイチン硫酸ナトリウムに不純物として含まれるエンドトキシンを実際に除去した報告例がないことに鑑み、食品、化粧品及び医薬品の原料として、使用可能なレベルのエンドトキシン含量であるコンドロイチン硫酸ナトリウムを提供するため、鋭意検討を重ねた結果、エンドトキシンを不純物として含む粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムの水溶液を80℃〜100℃で加熱処理した後、メンブランフィルターでろ過することにより効率的にエンドトキシンを除去することが可能であることを見出した。更に、ろ過助剤及び/又は活性炭の存在下で、前記のメンブランフィルターを用いろ過を行うことにより、エンドトキシンを効率的に除去する方法を見出した。
本発明は、このような知見に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明は、エンドトキシンを不純物として含む粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムの水溶液を80℃〜100℃で加熱処理した後、メンブランフィルターでろ過することを特徴とする、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムの水溶液からエンドトキシンを除去する方法に関する。
【0011】
本発明による除去方法の好ましい態様においては、前記ろ過が、ろ過助剤及び/又は活性炭の存在下で行うものである。
【0012】
また、本発明は、エンドトキシン含量が10ユニット/g以下であるコンドロイチン硫酸ナトリウムにも関する。
更に、本発明は、前記除去方法によって精製したコンドロイチン硫酸ナトリウムにも関する。
以下、本明細書において、本発明の除去方法においてエンドトキシンが除去される対象となるコンドロイチン硫酸ナトリウムを「粗製コンドロイチン硫酸ナトリウム」と称し、本発明の除去方法によってエンドトキシンを除去した処理生成物を「精製コンドロイチン硫酸ナトリウム」と称する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、特殊な装備を必要としない簡便な装置を用いて、コンドロイチン硫酸ナトリウムの原料又は精製中間物に含まれる微生物産生エンドトキシンを除去することができ、コンドロイチン硫酸ナトリウム製品中に含まれるエンドトキシンの含量を食品、化粧品、又は医薬品の原料として使用可能なレベルまで、低く抑えることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の除去方法のエンドトキシンが除去される対象となるコンドロイチン硫酸ナトリウム〔すなわち、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウム〕には、例えば、動物及び魚類由来のものが含まれる。その供給源としては、例えば、鮭、鱒、鮫又は豚の軟骨、魚類のうろこなどを挙げることができ、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムは、それらから単離することができる。また、一般にコンドロイチン硫酸ナトリウムは、その硫酸基の位置によりA、B、及びCなどのタイプが存在するが、それらのタイプ又は分子量に係わらず、コンドロイチン硫酸ナトリウムであればいかなるものも、本発明の除去方法の対象となる。更には、不純物としてエンドトキシンが含まれていれば、市販されているコンドロイチン硫酸ナトリウム〔すなわち、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウム〕からもエンドトキシンを除去することが可能である。
【0015】
本発明の方法により除去されるエンドトキシンは、微生物が増殖する場合に産生され、人体の視床下部に作用して体温を上昇させる物質であり、主に外因性発熱物質を意味し、細胞の膜成分に由来するリポ多糖類からなる細菌性内毒素である。
【0016】
本発明の除去方法は、エンドトキシンを不純物として含む粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムの水溶液を80℃〜100℃で加熱処理した後、メンブランフィルターでろ過することを特徴とするものである。また、ろ過助剤及び/又は活性炭の存在下でろ過を行うことにより、エンドトキシンの除去率を向上させることが可能である。以下に、それぞれの処理等について説明する。
【0017】
まず、メンブランフィルターでのろ過の前に、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムの水溶液を80℃〜100℃で加熱する処理を行うことにより、効率よくエンドトキシンを除去することが可能である。
【0018】
加熱温度が高いほど、エンドトキシンの分解速度も向上するが、着色やコンドロイチン硫酸ナトリウムの分解が進行することから、100℃以下で行うことが好ましい。また、加熱温度が低いとエンドトキシンの分解に、長時間を要することから、80℃〜100℃が効率的である。加熱時間は、加熱温度によって異なるが、例えば、加熱温度が80℃のときは、3時間〜24時間が好ましく、4時間〜10時間がより好ましい。加熱温度が100℃のときは、0.5時間〜10時間が好ましく、1時間〜5時間がより好ましい。
【0019】
80℃〜100℃での加熱処理は、メンブランフィルターでのろ過の前に行うが、後述するように、ろ過はろ過助剤及び/又は活性炭の存在下で行うこともできる。加熱処理は、それらのろ過助剤及び/又は活性炭の存在下で行い、その後にろ過を行ってもよい。また加熱処理を、ろ過助剤及び/又は活性炭の非存在下で行い、その後にろ過助剤及び/又は活性炭の非存在下でろ過を行ってもよいし、又はろ過助剤及び/又は活性炭の存在下でろ過を行うことも可能である。この加熱処理と後述するメンブランフィルターでのろ過とを組み合わせることで、エンドトキシンを簡便かつ効率的に除去することが可能である。例えば、コンドロイチン硫酸ナトリウムの水溶液に、ろ過助剤及び活性炭を加え、80℃〜100℃で加熱後、ろ過することにより、エンドトキシンを簡便かつ効率的に除去することができる。例えば、ろ過助剤及び活性炭を加え、80℃で少なくとも4時間の加熱により、又は100℃で少なくとも1時間の加熱により、エンドトキシン含量が10ユニット/g以下のコンドロイチン硫酸ナトリウムを得ることができ、極めて効率的にエンドトキシンを除去することが可能である。
【0020】
ろ過に用いるメンブランフィルターは、孔径が0.45μm以下(例えば0.45μm、又は0.22μm)のものであれば、その素材、形状は特に限定されるものではない。例えば、セルロース混合エステル、セルロースアセテート、親水性PTFE(四フッ化エチレン樹脂)などの素材のものを挙げることができる。
【0021】
粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムの水溶液は、水に粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムが溶解しているものであればよく、エンドトキシンのメンブランフィルターへの吸着を極端に阻害しないものであれば、その他の成分、例えばアルコールなどを含んでいてもよい。粗製コンドロイチン硫酸ナトリウム水溶液は、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムの濃度の上昇により粘性が高くなり、高濃度でのろ過は長時間を要する。そのため、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムの水溶液の濃度は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下で行うことがより好ましい。
【0022】
メンブランフィルターでのろ過を行う際の粗製コンドロイチン硫酸ナトリウム水溶液の温度としては、50℃〜80℃で行うことが好ましい。低温では粗製コンドロイチン硫酸ナトリウム水溶液の粘度の上昇によりろ過速度が低下するためであり、高温では粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムの着色が生じたり、又は分解が進行するためである。また、ろ過時間は24時間以内で行うことが好ましく、10時間以内がより好ましい。長時間の加熱により、着色及び粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムの分解が進行するためである。
【0023】
メンブランフィルターでのろ過をろ過助剤の存在下で行うことにより、エンドトキシンの除去を効率よく行うことができる。本発明方法で使用することのできるろ過助剤は、ろ紙やメンブランフィルターなどのろ過材料上に多孔質のケーキを形成し、ろ過性能を改善し、ろ過速度を向上させる不溶性の粉末であり、非常に微細もしくはコロイド状である固形分を含む溶液をろ過する際に、目詰まりやろ過速度の低下を防ぐ役割を有しているものであれば特に限定されるものではない。本発明方法では、ろ過助剤として食品や医薬品の製造で使用されている一般的なものを使用することができる。具体的には、珪藻土〔例えば、昭和化学工業製のラジオライト(登録商標)〕、セルロース素材(例えば、アドバンテック東洋製のろ紙粉末)、ケイ素素材〔例えば、富士シリシア化学製のサイロピュート(登録商標)〕などを挙げることができる。
【0024】
また、メンブランフィルターでのろ過を活性炭の存在下で行うことにより、エンドトキシンの除去を効率よく行うことができる。本発明方法で使用することのできる活性炭は、気体又は溶液中の溶質などに対して強い吸着能を示す炭素質の物質で、不純物などを吸着除去すること目的として使用されるものであれば、活性炭の原料や製法、形状などは特に限定されるものではない。本発明方法では、活性炭として食品や医薬品の製造で、脱色や不純物の吸着除去に用いられている一般的なものを使用することができる。なお、活性炭の種類によっては、前記ろ過助剤と同様の機能を有するものも存在するが、本発明方法で使用することのできる活性炭は前記ろ過助剤の定義に含まれる活性炭を除くものとする。
【0025】
ろ過助剤と活性炭の使用量は、処理する粗製コンドロイチン硫酸ナトリウム水溶液に含まれる不純物や、ろ過器の面積などにより最適量は異なるが、通常ろ過を行う際に使用される量を用いることができる。例えば、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウム100重量部に対し、ろ過助剤は15〜200重量部の範囲で使用するのが好ましく、より好ましくは20〜60重量部、最も好ましくは30重量部程度で使用する。また、活性炭は0.5〜30重量部の範囲で使用するのが好ましく、より好ましくは1〜15重量部、最も好ましくは10重量部程度で使用する。
【0026】
粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムを含む水溶液にろ過助剤及び活性炭を加えた場合に、ろ過する操作は特に限定されるものではなく、例えば、圧ろ過、減圧ろ過などを挙げることができる。
【0027】
前記のメンブランフィルターでのろ過等により得られた精製コンドロイチン硫酸ナトリウム水溶液から、精製コンドロイチン硫酸ナトリウムの乾燥粉末を得る方法は、特に限定されるものではない。例えば、スプレードライにより乾燥粉末を得る方法、又は溶媒、例えばエタノールを用いてコンドロイチン硫酸ナトリウムを析出させ、析出した固形分を回収し、乾燥させる方法などを挙げることができる。
【実施例】
【0028】
以下に実施例及び比較例を示し本発明の具体的な説明を行うが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0029】
なお、本発明において、エンドトキシンの含量はコンドロイチン硫酸ナトリウム1gに含まれるエンドトキシンの力価であるエンドトキシンユニット(EU)の値で評価した。実施例で使用した鮭由来粗製コンドロイチン硫酸ナトリウム粉末1g中に含まれるエンドトキシン含量は146.4EUであった。エンドトキシンの含量は、日本薬局方に記載されているエンドトキシン試験法に基づき、光学的測定法のカイネティック比色法により測定した。比較例及び実施例におけるエンドトキシン含量も前記の光学的測定法のカイネティック比色法を用いて測定した。
【0030】
《比較例1》
本比較例1では、エタノール沈殿により、エンドトキシンを除去した。具体的には、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムとしての鮭由来コンドロイチン硫酸ナトリウム(日本バリアフリー製)10gを注射用水30gに溶解し、25質量%溶液を作成した。この粗製コンドロイチン硫酸ナトリウム水溶液にエタノール濃度が30質量%になるようにエタノールを加え、エタノールに滴下し、コンドロイチン硫酸ナトリウムを析出させた。析出物をろ紙を用いたろ過により回収し、乾燥させ、コンドロイチン硫酸ナトリウムの白色粉末9.7gを得た。得られた生成物1gに含まれるエンドトキシン含量は90.1EU(除去率38.5%)であった。
【0031】
《比較例2》
本比較例2では、ろ過助剤及び活性炭の存在下でろ紙によるろ過処理を行い、エンドトキシンを除去した。具体的には、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムとしての鮭由来コンドロイチン硫酸ナトリウム(日本バリアフリー製)10gを注射用水190gに溶解し、5質量%溶液を作成した。ろ過助剤〔昭和化学工業製、ラジオライトファインフロー(登録商標)〕3gを添加し、液温を80℃にした。ろ過器(アドバンテック東洋製、KST47、47mmφ)にろ紙(アドバンテック東洋製、No.5C)3枚をセットし、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウム水溶液を1kg/cm圧、約30分でろ過を行った。
【0032】
得られたコンドロイチン硫酸ナトリウム濃度が25質量%になるまで、ろ液を減圧濃縮した。濃縮液にエタノール濃度が30質量%になるようにエタノールを加え、この混合液をエタノールに滴下しコンドロイチン硫酸ナトリウムを析出させた。析出物をろ紙を用いたろ過により回収し、乾燥することで、コンドロイチン硫酸ナトリウムの白色粉末7.1gを得た。得られた生成物1gに含まれるエンドトキシン含量は39.1EU(除去率73.3%)であった。
【0033】
《比較例3》
本比較例3では、メンブランフィルターでろ過を行い、エンドトキシンを除去した。具体的には、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムとしての鮭由来コンドロイチン硫酸ナトリウム(日本バリアフリー製)10gを注射用水190gに溶解し、5質量%溶液を作成した。液温を80℃にした。ろ過器(アドバンテック東洋製、KST47、47mmφ)にろ紙(アドバンテック東洋製、No.5C)3枚とメンブランフィルター(アドバンテック東洋製、セルロース混合エステル0.45μm)1枚をセットし、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウム水溶液を1kg/cm圧、約30分でろ過を行った。得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムを含む水溶液を、比較例2と同様に、滅圧濃縮、エタノールによる析出、ろ紙による回収及び乾燥の操作を行い、精製コンドロイチン硫酸ナトリウムの白色粉末7.8gを得た。得られた生成物〔精製コンドロイチン硫酸ナトリウム〕1gに含まれるエンドトキシン含量は18.4EU(除去率87.4%)であった。
【0034】
《比較例4》
本比較例4では、ろ過助剤の存在下でメンブランフィルターによるろ過を行い、エンドトキシンを除去した。具体的には、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムとしての鮭由来コンドロイチン硫酸ナトリウム(日本バリアフリー製)10gを注射用水190gに溶解し、5質量%溶液を作成した。ろ過助剤〔昭和化学工業製、ラジオライトファインフロー(登録商標)〕3gを加え、液温を80℃にした。ろ過器(アドバンテック東洋製、KST47、47mmφ)にろ紙(アドバンテック東洋製、No.5C)3枚とメンブランフィルター(アドバンテック東洋製、セルロース混合エステル0.45μm)1枚をセットし、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウム水溶液を1kg/cm圧、約30分でろ過した。得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムの水溶液を、比較例2と同様に、滅圧濃縮、エタノールによる析出、ろ紙による回収及び乾燥の操作を行い、コンドロイチン硫酸ナトリウムの白色粉末8.1gを得た。得られた生成物〔精製コンドロイチン硫酸ナトリウム〕1gに含まれるエンドトキシン含量は17.3EU(除去率88.2%)であった。
【0035】
《比較例5》
本比較例5は、ろ過助剤及び活性炭の存在下でメンブランフィルターによるろ過を行い、エンドトキシンを除去した。具体的には、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムとしての鮭由来コンドロイチン硫酸ナトリウム(日本バリアフリー製)10gを注射用水190gに溶解し、5質量%溶液を作成した。ろ過助剤〔昭和化学工業製、ラジオライトファインフロー(登録商標)〕3g及び活性炭(二村化学工業製、太閤SGA)1gを加え、液温を80℃にした。ろ過器(アドバンテック東洋製、KST47、47mmφ)にろ紙(アドバンテック東洋製、No.5C)3枚とメンブランフィルター(アドバンテック東洋製、セルロース混合エステル0.45μm)1枚をセットし、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウム水溶液を1kg/cm圧、約30分でろ過した。得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムの水溶液を、比較例2と同様に、滅圧濃縮、エタノールによる析出、ろ紙による回収及び乾燥の操作を行い、コンドロイチン硫酸ナトリウムの白色粉末7.8gを得た。得られた生成物〔精製コンドロイチン硫酸ナトリウム〕1gに含まれるエンドトキシン含量は13.1EU(除去率91.1%)であった。
【0036】
《実施例1》
本実施例1は、ろ過助剤の存在下で、80℃加熱処理後にメンブランフィルターによるろ過を行い、エンドトキシンを除去した。具体的には、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムとしての鮭由来コンドロイチン硫酸ナトリウム(日本バリアフリー製)10gを注射用水190gに溶解し、5質量%溶液を作成した。ろ過助剤〔昭和化学工業製、ラジオライトファインフロー(登録商標)〕3gを加え、液温を80℃とし、4時間加熱処理した。ろ過器(アドバンテック東洋製、KST47、47mmφ)にろ紙(アドバンテック東洋製、No.5C)3枚とメンブランフィルター(アドバンテック東洋製、セルロース混合エステル0.45μm)1枚をセットし、コンドロイチン硫酸ナトリウム水溶液を1kg/cm圧、約30分でろ過した。得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムの水溶液を、比較例2と同様に、滅圧濃縮、エタノールによる析出、ろ紙による回収及び乾燥の操作を行い、コンドロイチン硫酸ナトリウムの白色粉末7.8gを得た。得られた生成物〔精製コンドロイチン硫酸ナトリウム〕1gに含まれるエンドトキシン含量は8.0EU(除去率94.5%)であった
【0037】
《実施例2〜4》
本実施例2〜4では、ろ過助剤及び活性炭の存在下で、100℃加熱処理後にメンブランフィルターでろ過を行い、エンドトキシンを除去した。実施例2は1時間、実施例3は3時間、及び実施例4は5時間の加熱処理を行った。具体的には、粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムとしての鮭由来コンドロイチン硫酸ナトリウム(日本バリアフリー製)10gを注射用水190gに溶解し、5質量%溶液を作成した。ろ過助剤〔昭和化学工業製、ラジオライトファインフロー(登録商標)〕3gと活性炭(二村化学工業製、太閤SGA)1gを加え、液温を100℃に昇温させた後、それぞれの実施例の時間で加熱した。ろ過器(アドバンテック東洋製、KST47、47mmφ)にろ紙(アドバンテック東洋製、No.5C)3枚とメンブランフィルター(アドバンテック東洋製、セルロース混合エステル0.45μm)1枚をセットし、それぞれのコンドロイチン硫酸ナトリウム水溶液を1kg/cm圧、液温80℃、約30分でろ過した。得られたコンドロイチン硫酸ナトリウムを含む水溶液を、比較例2と同様に、滅圧濃縮、エタノールによる析出、ろ紙による回収及び乾燥の操作を行い、実施例2で7.8g、実施例3で7.9g、及び実施例4で7.9gのコンドロイチン硫酸ナトリウムの白色粉末を得た。得られた生成物〔精製コンドロイチン硫酸ナトリウム〕1gに含まれるエンドトキシン含量をそれぞれ表1に示す。
【0038】
【表1】


【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のエンドトキシンを除去する方法によって製造されたコンドロイチン硫酸ナトリウムは、エンドトキシンの含量が食品、化粧品、又は医薬品の原料として使用可能なレベルまで低減することができる。
【出願人】 【識別番号】000246398
【氏名又は名称】有機合成薬品工業株式会社
【識別番号】501195223
【氏名又は名称】株式会社日本バリアフリー
【出願日】 平成18年10月3日(2006.10.3)
【代理人】 【識別番号】100090251
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 憲一

【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎


【公開番号】 特開2008−88314(P2008−88314A)
【公開日】 平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願番号】 特願2006−271440(P2006−271440)