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【発明の名称】 澱粉配合製剤用カルボキシメチルセルロースナトリウム
【発明者】 【氏名】佐藤 恵一

【要約】 【課題】増粘効果の高い澱粉配合製剤用CMC−Naを提供する。

【構成】1%水溶液粘度が50〜15000mPa・s、エーテル化度が0.4〜1.3および1%水溶液のpHが6.0〜7.1である澱粉配合製剤用カルボキシメチルセルロースナトリウムである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1%水溶液粘度が50〜15000mPa・s、エーテル化度が0.4〜1.3および1%水溶液のpHが6.0〜7.1である澱粉配合製剤用カルボキシメチルセルロースナトリウム。
【請求項2】
請求項1記載の澱粉配合製剤用カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび澱粉粉末を含む澱粉配合製剤。
【請求項3】
澱粉配合製剤用カルボキシメチルセルロースナトリウムを澱粉配合製剤中に20〜80重量%含有する請求項2記載の澱粉配合製剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、澱粉配合製剤用カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下、CMC−Naという)および澱粉配合製剤用CMC−Naを含む澱粉配合製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
澱粉は、食品や接着剤等の糊剤などに広く用いられている。この澱粉の増粘効果を高めるために、CMC−Naなどの増粘多糖類を用いることが広く一般的に行われている。
【0003】
例えば、特許文献1では、パンの主原料である小麦粉に含まれるたんぱく質、塩分、リンおよびカリウムを低減させるために、小麦粉の50%以上を、澱粉やエーテル化澱粉に置換し、さらに、澱粉含量を多くしたパンに特有の蒸しパンのようなもたつく食感を改善するために、増粘多糖類と食物繊維を添加して、発酵および焼成中に発生するガスを生地中に保持してソフトな食感のパンを製造することが記載されている。しかしながら、該パンの原料に配合されるCMC−Naは増粘多糖類として例示されてはいるが、澱粉配合製剤としてCMC−Naと澱粉を予め製剤化したものを用いるものではないため、充分な増粘効果が得られるものではなかった。
【0004】
また、特許文献2では、CMC−Naを添加させた肉製品について記載されているが、特許文献2で用いられるCMC−Naはゲル形成したものであり、澱粉配合製剤用として使用した場合、充分な増粘効果を得ることができない。
【0005】
【特許文献1】特開平11−155467号公報
【特許文献2】特表2005−504545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、より増粘効果の高い澱粉配合製剤用CMC−Naを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、1%水溶液粘度が50〜15000mPa・s、エーテル化度が0.4〜1.3および1%水溶液のpHが6.0〜7.1である澱粉配合製剤用CMC−Naに関する。
【0008】
また、本発明は、前記澱粉配合製剤用CMC−Naおよび澱粉粉末を含む澱粉配合製剤に関する。
【0009】
澱粉配合製剤用カルボキシメチルセルロースナトリウムを澱粉配合製剤中に20〜80重量%含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の澱粉配合製剤用CMC−Naは、澱粉配合製剤の粘度を大幅に増大させることができるので、澱粉配合製剤を添加した対象物の粘度を増大させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、1%水溶液粘度が50〜15000mPa・s、エーテル化度が0.4〜1.3および1%水溶液のpHが6.0〜7.1である澱粉配合製剤用CMC−Naに関する。
【0012】
CMC−Naの1%水溶液粘度は50〜15000mPa・sであり、500〜3000mPa・sが好ましく、1000〜2000mPa・sがより好ましい。CMC−Naの1%水溶液粘度が50mpa・sより小さいと、増粘効果が得にくい。一方、CMC−Naの1%水溶液粘度が15000mpa・sより大きいと、本発明の目的である増粘効果に対しては特に支障はないが、高粘度による固着化が進み水溶液を使用するうえで取り扱いにくさが生じる。
【0013】
CMC−Naのエーテル化度は0.4〜1.3であり、0.5〜1.0が好ましく、0.6〜0.8がより好ましい。CMC−Naのエーテル化度が0.4より小さいと、CMC−Naを充分に水溶液化させることができない傾向がある。一方、CMC−Naのエーテル化度が1.3より大きいと、特に問題はないが、高価なエーテル化剤であるモノクロル酢酸等を多く使用するため好ましくない。
【0014】
CMC−Naの1%水溶液のpHは、6.0〜7.1であり、6.0〜7.0が好ましく、6.3〜6.7がより好ましい。CMC−Naの1%水溶液のpHが6.0より小さいと、CMC−Na中に共存される遊離酸が、CMC−Naの保存中にCMC−Hへと変換されるため、水溶液性を妨げる。一方、CMC−Naの1%水溶液のpHが7.1より大きいと、遊離アルカリによるCMC−Naの解重合が生じるため、粘度を低下させる。
【0015】
CMC−Naの製造方法としては、原料パルプにアルカリを添加してアルカリセルロースを製造し、該アルカリセルロースにさらにカルボキシメチルエーテル化剤を添加して反応させることによって得られる。
【0016】
原料パルプは、リンターパルプ、針葉樹材を主としたN材パルプ、広葉樹材を主としたL材パルプが用いられる。原料パルプは、チップ状、綿状に粉砕するか、あるいはシート状のまま用いることができるが、アルカリセルロース化およびエーテル化するときに用いる薬剤との反応を促進させるために、原料パルプは粉砕して用いることが好ましい。
【0017】
アルカリセルロース化に用いるアルカリとしては、通常アルカリ金属水酸化物が好ましく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等の1価の金属の水酸化物が挙げられる。これらの中で、価格および得られるCMC塩の特性の点から水酸化ナトリウムが好ましい。
【0018】
アルカリの配合量は、原料パルプ中のセルロースのグルコース単位量に対して、モル比で1.5〜6.0倍が好ましく、2.0〜4.0倍がより好ましい。アルカリの配合量が1.5倍より小さいと、アルカリセルロースを充分に生成させることができず、エーテル化が不充分となる傾向がある。一方、アルカリの配合量が6.0倍より大きいと、特に支障はないがアルカリを浪費することになり、また、得られるCMC塩の水溶液の粘度が低下する傾向がある。
【0019】
アルカリセルロース化を行うときの溶媒は、アルカリとの相溶性をもたせるため、含水有機溶媒が使用される。有機溶媒としては、エタノール、メタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(以下、IPAという)、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどの炭素数1〜4のアルコール類、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサン、ジエチルエーテルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。とくに入手の手軽さ、低価格、取り扱いやすさの点で、IPA、エタノール、メタノールが好ましい。さらに、エタノール−ベンゼン、エタノール−トルエン、IPA−ベンゼンなどの混合溶媒も使用できる。
【0020】
含水有機溶媒中の水と有機溶媒の重量比としては、反応系中のアルカリ濃度を充分に高濃度に保つことができるという観点から、水:有機溶媒が10:90〜40:60が好ましく、15:85〜30:70がより好ましい。水と有機溶媒との重量比が10:90を外れて水の量が少なくなると、水によるセルロース分子へのアタックが減少し、結晶化領域の破壊が少なくなるため、水溶液としたときに透明性が高いCMC塩を得ることが困難になる。一方、水と有機溶媒との重量比が40:60をはずれて水の量が多くなると、水とカルボキシメチルエーテル化剤とのあいだでの副反応が進み、カルボキシメチルエーテル化剤の有効利用率が低下する。
【0021】
含水有機溶媒の配合量は、原料パルプに対して、重量比で2.5〜10倍が好ましく、3〜8倍がより好ましい。含水有機溶媒の配合量が2.5倍より小さいと、含水有機溶媒と原料パルプ中のセルロースとが充分に撹拌混合されなくなるため、撹拌時の反応機に対する負荷が大きくなり、また均一反応に支障をきたす傾向がある。一方、含水有機溶媒の配合量が10倍より大きいと、原料経費が高くなる傾向がある。
【0022】
次に、得られたアルカリセルロースにエーテル化剤を反応させてエーテル化する。エーテル化は、通常アルカリ過剰下で進行させる。エーテル化剤としては、例えばモノクロル酢酸、モノクロル酢酸ナトリウム、モノクロル酢酸メチル、モノクロル酢酸エチル等が使用される。エーテル化剤の配合量は、目的とするCMC塩のエーテル化度によって決定されるため、特に制限はないが、通常原料パルプ中のグルコース単位量に対して、モル比で0.5〜6倍が好ましく、2〜4倍がより好ましい。エーテル化剤の配合量が、0.5倍より小さいと、CMC塩のエーテル化度が低く、目的とするエーテル化度が得にくい傾向がある。一方、エーテル化剤の配合量が6倍より大きいと、特に支障はないが、高価なエーテル化剤を無駄に使用する傾向がある。
【0023】
また、本発明は、前記澱粉配合製剤用CMC−Naおよび澱粉粉末を含む澱粉配合製剤にも関する。
【0024】
CMC−Naの配合量は、澱粉配合製剤中に20〜80重量%であることが好ましく、30〜70重量%がより好ましく、40〜60重量%がさらに好ましい。CMC−Naの配合量が20重量%より小さいと、CMC−Naによる増粘効果が少ない傾向がある。一方、CMC−Naの配合量が80重量%より大きいと、澱粉の配合量が少ないので、澱粉配合製剤としての効果が小さくなる傾向がある。
【0025】
ここで、澱粉配合製剤としての効果とは、CMC−Naと澱粉粉末の配合によって得られるものであり、澱粉配合製剤の粘度増加は、CMC−Naと澱粉粉末の相互作用によるものであるが、水溶液とすることで膨潤状態の澱粉粒子の間隙にCMC−Naが連続相として介在する分散系となり、澱粉粒壁にCMC−Naが吸着され、解離したイオンによるイオン反発が密集した澱粉粒子間にはたらくためであると考えられる。
【0026】
本発明のCMC−Naは、CMC−Na単独で対象物に配合するよりも、澱粉を配合した澱粉配合製剤として対象物に添加することにより、粘度を大幅に増大させることができるが、これは、CMC−Na分子に澱粉分子が絡みつき、抵抗力が増すことによるためである。
【0027】
澱粉粉末の種類としては、例えば、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーン澱粉、ワキシコーンスターチなどが挙げられる。これらの中で、入手のしやすさから小麦澱粉、コーン澱粉が好ましい。
【0028】
本発明の澱粉配合製剤には、前記成分のほかに、さらにキサンタンガム、ペクチン、グアガムなどの天然糊剤などを添加することができる。
【0029】
本発明の澱粉配合製剤用CMC−Naまたは澱粉配合製剤を使用することにより、添加された試料の粘度を1.2〜2.5倍へ増大させる増粘効果を得ることができる。
【0030】
本発明の澱粉配合製剤用CMC−Naを配合した澱粉配合製剤は、グレービー飼料用増粘剤、うなぎ練飼料用増粘剤、食料用トロミ付けなどの用途に、好ましく利用できる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
実施例1および2
<CMC−Naの製造>
2軸の撹拌翼を備えた容量3Lのニーダー型反応機器に、家庭用ミキサーなどで粉砕したパルプ(日本製紙株式会社製、NDsp)100gを仕込んだ。重量比でIPA:水を80:20に調整した反応溶媒400gに、表1に示した所定量(原料パルプ中のセルロースのグルコース単位量に対するモル量)の水酸化ナトリウムを溶解させた溶液を30℃に調整し、反応機内に添加したのち、40分間撹拌し、アルカリセルロースを生成させた。
【0033】
そののち、表1に示した所定量(原料パルプ中のセルロースのグルコース単位量に対するモル量)のモノクロル酢酸を等重量のIPAに溶解させた溶液を30〜50℃で30分間かけて反応熱を抑えながら仕込んだ。仕込み後、30分間かけて85℃に昇温し75〜90℃でエーテル化反応を60分間行った。反応機には冷却管を設置して、IPAの気化発散を防止した。こののち、過剰の水酸化ナトリウムを酢酸で中和することによりpHを調整し、スラリー状の中和物を反応機より取り出し、遠心分離によりIPAを除去した。
【0034】
得られた粗CMC−Naを70%のメタノール水溶液で洗浄し、副生物の食塩、グリコール酸ナトリウム、酢酸ナトリウムを除去した。この洗浄操作を2回繰り返した。洗浄したCMC−Naを90〜105℃で4時間乾燥し、粉砕して試料(CMC−Na)を得た。
【0035】
<CMC−Naの分析方法>
得られたCMC−Naの1%水溶液粘度、エーテル化度、CMC−Naの1%水溶液のpHを下記の方法により測定し、物性を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0036】
(1)1%水溶液粘度
300mlのトールビーカーに、約2.5gの試料を精秤し、次式を用いて求めた1%水溶液を得るために必要な溶解水量の水を加え、ガラス棒にて分散させた。
溶解水量(g)=試料(g)×(99−水分(%))
【0037】
なお、水分(%)は、試料1〜2gを秤量ビンに精秤し、104.8〜105.2℃の乾燥機中において、2時間乾燥し、減量より以下の式を用いて水分を求めた。
水分(%)=減量(g)÷試料(g)×100
【0038】
得られた水溶液を一昼夜放置したのち、マグネチックスターラーで約5分間撹拌して完全な溶液としたのち、30分間、25℃の恒温水槽に入れて、溶液を25℃としたのち、ガラス棒でゆるやかにかき混ぜ、BM型粘度計の適当なローターおよびガードを取り付け、回転数60rpmで3分後の目盛りを読み取った。読み取り目盛りから以下の式を用いて粘度を求めた。式中、kは、ローターと回転数によって決まる換算乗数である。
粘度(mPa・s)=読み取り目盛り×k
【0039】
(2)エーテル化度
試料約1g精秤し、濾紙に包んで磁性ルツボの中に入れ、600℃で灰化し、生成したナトリウム化合物を0.1N硫酸によりフェノールフタレインを指示薬として滴定し、以下の式を用いてエーテル化度を計算した。以下の式中、Aは中和に要した0.1N硫酸の量(ml)、fは0.1N硫酸の力価を示す。
エーテル化度=(162×A×f)÷(10000−80×A×f)
【0040】
(3)pH
前記で調製した試料の1%水溶液をpHメーターで測定し、pHを求めた。
【0041】
<澱粉配合製剤の製造>
前記の製法によって得られたCMC−Naと、表1に示す澱粉を70:30となる様に混合し、澱粉配合製剤を製造した。得られた澱粉配合製剤の粘度を下記の方法により測定し、物性を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0042】
・澱粉/CMC配合の粘度
澱粉配合製剤の10gを水190gに溶解、スターラーで完全に溶解した。
【0043】
そののち、密閉容器中で90℃、2時間加熱冷却後、容器より取り出して25℃でBH型粘度計を用いて60〜20rpmで粘度を測定した。
【0044】
比較例1〜10
CMC−Naのエーテル化度、1%水溶液粘度および1%水溶液のpHを表1に示す値とした以外は、実施例1と同様の方法で製造し、物性を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0045】
【表1】


【出願人】 【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
【出願日】 平成18年8月22日(2006.8.22)
【代理人】 【識別番号】100065226
【弁理士】
【氏名又は名称】朝日奈 宗太

【識別番号】100117112
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 文男


【公開番号】 特開2008−50386(P2008−50386A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−225064(P2006−225064)