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【発明の名称】 殺菌性キトサン−ヨウ素複合体及びその製造方法
【発明者】 【氏名】山口 達明

【氏名】滝口 泰之

【要約】 【課題】キトサンとヨウ素の相乗的殺菌活性を有し、有機物の存在下においても機能し、環境に優しい殺菌性キトサン−ヨウ素複合体を提供する。

【構成】第1工程において、キトサンとヨウ素をpH2〜6.5である有機酸水溶液又は希塩酸水溶液に溶解させキトサン・ヨウ素溶液を得る。このキトサン・ヨウ素溶液を第2工程において凍結させる。この凍結した溶液を第3工程において解凍することによって、殺菌性キトサン−ヨウ素複合体を作製する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キトサンとヨウ素を有機酸水溶液又は希塩酸水溶液に溶解させキトサン・ヨウ素溶液を得る第1工程と、このキトサン・ヨウ素溶液を凍結させる第2工程と、この凍結した溶液を解凍する第3工程と、を経て作製されることを特徴とする殺菌性キトサン−ヨウ素複合体。
【請求項2】
キトサンとヨウ素を有機酸水溶液又は希塩酸水溶液に溶解させキトサン・ヨウ素溶液を得る第1工程と、このキトサン・ヨウ素溶液を凍結させる第2工程と、この凍結した溶液を解凍する第3工程と、を含むことを特徴とする殺菌性キトサン−ヨウ素複合体の製造方法。
【請求項3】
前記有機酸水溶液又は希塩酸水溶液がpH2〜6.5であることを特徴とする請求項1に記載の殺菌性キトサン−ヨウ素複合体。
【請求項4】
前記有機酸水溶液又は希塩酸水溶液がpH2〜6.5であることを特徴とする請求項2に記載の殺菌性キトサン−ヨウ素複合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、キトサン−ヨウ素複合体を用いてなる殺菌性組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キトサンは甲殻類等の殻からタンパク質および無機塩類等を除去して得られるキチンを、濃アルカリで脱アセチル化して得られる。天然物由来のアミノ糖ポリマーであるため、生分解性を有し生体安全性が高い。キトサンには持続性を特徴とする殺菌作用があり、一般的に分子量や脱アセチル化度が高いほど高い殺菌性を示すとされているが、分子量が高いほど水溶性が低くなることから溶液タイプの殺菌剤としては実用化されておらず、食品添加剤として利用されるに留まっている。
一方、ヨウ素は強い殺菌作用を有し、古くから殺菌剤として用いられているが、刺激性および腐食性が高いため、ヨウ素と複合体を形成する性質のあるポリマー及び界面活性剤等にヨウ素を担持させ、ヨウ素の刺激性および腐食性を抑制した、いわゆるヨードホールが開発されている。中でも、ポビドンヨードは最も広範に用いられているヨードホールである。
ポビドンヨードは、水溶性ポリマーであるポリビニルピロリドン(PVPとも記載する)とヨウ素との複合体(PVP−Iとも記載する)であり、水に高濃度で溶解し、ヨウ素の刺激性、腐食性および揮発性が抑制された殺菌剤であり、医療分野の殺菌および消毒はもとより、酪農および食品衛生等の分野におけるヨウ素系殺菌剤として広く利用されている。ポビドンヨードの製法は、例えば特許文献1に開示されている。
また、特許文献2においても、PVP−Iに関して記載されている。
PVP−Iの殺菌作用は、活性ヨウ素によるものであり、有効成分であるヨウ素は、低濃度で即効殺菌性を示すが、殺菌力の持続性が不足する場合があり、また、有機物等が多量に存在するとヨウ素が失活するため、十分な殺菌性が確保できない場合もあった。
また、担体となるPVPには殺菌作用がなく、合成ポリマーであるため生分解性を持たないことから、環境中に分解せずに残留してしまうことも懸念される。
PVP以外に、ヨードホール用のヨウ素担体としては、ポリエーテルグリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリオキシアルキレン等が挙げられるが、いずれもPVPの代替になりうるほどの性能は有しておらず、ごく限られた用途分野で利用されるに留まっている。
キトサンはヨウ素と複合体を形成する性質があり、特許文献3にヨードホールとして用いることが開示されているが、溶液タイプではなく固形殺菌剤として利用されるに留まっている。
キトサン及びヨウ素からなる殺菌性組成物としてアルキルアンモニウムキトサン−ヨウ素複合体が特許文献4に開示されている。この複合体を得るためには、先ず、以下の方法でアルキルアンモニウムキトサンを製造する必要がある。
キトサンを40%メタノール水溶液に添加し、50℃に加熱しながら攪拌して分散させる。この分散液にヨウ化メチルを滴下し、窒素気流中で50℃に加熱して48時間攪拌して反応させる。この反応液をアセトン中に滴下して析出する粗結晶を減圧濾過して取り出す。この粗結晶を純水に再溶解し、次いで塩化ナトリウムを溶解し、室温で1時間攪拌して、対イオンのヨウ化物イオンを塩化物イオンに変換する。この反応液をアセトン中に滴下して晶析させ、減圧濾過して粗結晶中を取り出し不純物の除去を行う。この精製操作をもう1サイクル行い、精製された結晶を凍結乾燥により乾燥してアルキルアンモニウムキトサンクロライドを得る。
上記のようにアルキルアンモニウムキトサンを製造するには、多くの工程を行うことが必要とされ、その時間的コストは小さなものではない。特に、製造に使用されるヨウ化メチルは安価なものでないことから、経済的コストも大きい。
本発明では、特別な精製工程を行うことなく、キトサンそのものとヨウ素を用いてキトサン−ヨウ素複合体を製造することから、時間的及び経済的コストの低減が期待できる。また、キトサンの抗菌性はキトサン骨格のアミノ基に由来すると推定されていることから、キトサンそのものを用いることにおいての抗菌性の低下などは考えにくい。
【特許文献1】米国特許第2739922号公報
【特許文献2】米国特許第3028300号公報
【特許文献3】特公昭60−19762号公報
【特許文献4】特開2002−88101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
キトサンは、酢酸、乳酸、グルタミン酸等の有機酸;希薄な無機酸等には溶解するが、水、アルカリ、有機溶媒等に不溶であることから、殺菌剤としての検討はあまりなされていない。キトサンフィルム上にヨウ素を担持させた、キトサン−ヨウ素複合体も同様に水に不溶であるが、水中で殺菌活性の高いヨウ素を徐放する性質があり、ヨウ素徐放タイプの殺菌剤として用いることが可能である。しかしながら、水溶性が不十分なためキトサンの十分な抗菌活性を期待するのは難しく、実用化されていない。
一方、従来から汎用されているヨード系殺菌剤であるPVP−Iは低刺激性、低揮発性で安全性が高く、水溶性も高いため、医療分野のみならず、食品加工、一般環境殺菌分野など多方面で利用されている。
しかしながら、PVP−Iの製造においては、粉末状PVP及びヨウ素を、長時間の間、90〜95℃というような高温で混合する必要があった。また、有効成分であるヨウ素は、低濃度で即効殺菌性を示すが、殺菌力の持続性が不足する場合があり、また、有機物等が多量に存在するとヨウ素が失活するため、十分な殺菌性が確保できない場合もあった。更に、ヨウ素の担体であるPVPは生分解性がなく、環境中に分解せずに残留してしまうことも懸念される。
以上の様な状況に鑑み、本発明においては、キトサンとヨウ素の相乗的殺菌活性を示し、有機物の存在下においても機能し、環境に優しい液体タイプのヨードホールを安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための本発明によれば、キトサンとヨウ素を有機酸水溶液又は希塩酸水溶液に溶解させキトサン・ヨウ素溶液を得る第1工程と、このキトサン・ヨウ素溶液を凍結させる第2工程と、この凍結した溶液を解凍する第3工程と、を経て作製される殺菌性キトサン−ヨウ素複合体が提供される。
また本発明によれば、有機酸水溶液又は希塩酸水溶液がpH2〜6.5に調製されて作製される殺菌性キトサン−ヨウ素複合体が提供される。
なお、本発明において、ヨードホールとは、ヨウ素およびヨウ素担体の複合体より主になるものを意味する。この様なヨードホールは、液体状の殺菌性組成物(ヨードホール製剤とも記載する)として、殺菌を目的に好適に使用される。
【発明の効果】
【0005】
この出願に係る発明によれば、キトサンとヨウ素の相乗的殺菌活性を示し、有機物の存在下においても機能し、環境に優しい液体タイプのヨードホールを提供することができる。
本発明のキトサン−ヨウ素複合体は、比較的容易な方法で製造することができ、4℃での保管において安定な複合体を形成し、室温での使用時、キトサンと活性ヨウ素が遊離され、それぞれ抗菌・殺菌性を示し、かつ相乗的効果を示した。このように、ヨウ素の担体に抗菌性のあるキトサンを用いることにより、ヨウ素による殺菌即効性が期待できない有機物が存在する系においてもキトサンの抗菌作用により、長期にわたり菌の増殖を抑制する効果があり、今までのヨードホールと比較しても非常に有用性の高い。
更に、ヨウ素の担体であるキトサンは天然物由来の誘導体であり生分解性があるので、本発明のキトサン−ヨウ素複合体は、環境にも優しいものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明のヨードホールは、キトサンとヨウ素を溶液状態で凍結し解凍して得られたキトサン−ヨウ素複合体よりなり、殺菌性等の機能を発現する活性ヨウ素は、キトサン骨格中のアミノ基の対アニオンとしてではなく、また単なる混合状態としてではなく、ヨウ素の担体であるキトサンに安定に固定されていると考えられる。このため、本発明のヨードホールは、以下の様な特性を有する。
(ア)凍結・解凍後の複合体における活性ヨウ素は4℃での保存において、キトサンに安定に固定化されているため、実質的に揮発および変性せず、貯蔵安定性を示す。なお、実質的に揮発しないとは、ヨウ化カリウム−デンプン含浸試験紙が変色せず、ヨウ素臭がしないことを意味しており、これらの特性をもって、キトサン及びヨウ素が実質的に複合体を形成していると考えられる。
【0007】
なお、キトサン及びヨウ素が安定な複合体を形成する理由は明らかではないが、キトサン骨格と活性ヨウ素(I2及びI3-等)とが強く相互作用し、錯体等を形成しているためだと推察している。
(イ)複合体はキトサンとヨウ素を溶液状態で凍結しそのまま解凍して得られるため、従来のキトサンを担体とするヨードホールと比較して、用途分野の自由度が高い。
(ウ)活性ヨウ素は強力な殺菌性を有するため、低濃度の場合においても十分な抗菌即効性が実現できる。しかしながら、ヨウ素は不純物等と急速に反応し、短時間で失活する。また、有機物存在下では有機物と反応して失活するため、十分な殺菌作用を実現できない場合もある。特に、ヨードホールを殺菌剤として使用する場合には、菌の増殖に必要な栄養素等の有機物が存在している場合があり、ヨウ素単独では、十分な殺菌作用を示さない場合がある。これに対し、ヨウ素担体であるキトサンは、ヨウ素の様な強い殺菌作用を示さないものの、持続的な殺菌性有し、液体状態に溶解している場合有効な殺菌活性が期待できる。また、この殺菌性は有機物により阻害されない。
このため、キトサン−ヨウ素複合体を有効成分とする殺菌性組成物は、ヨウ素に由来する殺菌即効性と、キトサンに由来する殺菌持続性との両者を有し、有機物存在下においても有効である。
(エ)比較的容易にキトサン−ヨウ素複合体を製造することができる。
具体的には、キトサンとヨウ素を酢酸緩衝液(pH 4.1)に溶解させ、−20℃で凍結したのち、解凍することでキトサン−ヨウ素複合体を製造することができる。キトサンとヨウ素の濃度は必要に応じて調整することもできる。ただし、添加するヨウ素の濃度はキトサン−ヨウ素複合体の全体質量%の30質量%以下の方が不溶物が析出せず安定性、取り扱い性が悪くなる等の不具合が抑制される。
【0008】
キトサン−ヨウ素複合体は、4℃においては、キトサンと活性ヨウ素とが実質的に解離せず、安定な複合体を形成しており貯蔵安定性に優れる。一方、室温での使用時は有効ヨウ素が遊離し、キトサンとヨウ素の殺菌性が発現される。
【0009】
また、室温において遊離したキトサンとヨウ素は−20℃にて凍結し、4℃で解凍することで初期同様のキトサン−ヨウ素複合体を得ることができる。
【0010】
この様にして製造されたキトサン−ヨウ素複合体は、例えば、殺菌等を目的とするヨードホール等として、好適に使用される。
【0011】
さて、凍結解凍法によるキトサン−ヨウ素複合体の製造は、例えば、H.Yajima、M.Morita、M.Hashimoto、H.Sashiwa、T.Kikuchi及びT.Ishii著、 Int.J.Thermophys.誌、第22巻、第1265〜1283頁(2001年刊)に記載される方法により行うことができる。
【実施例】
【0012】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、特に断りのない限り、%は質量基準であり、試薬は市販の高純度品を使用した。
(実施例1)酢酸緩衝液(0.33M酢酸+0.10M酢酸ナトリウム、pH 4.1)にキトサン[大日精化工業製ダイキトサン100D(VL)]2.0gとヨウ化カリウム1.31g、ヨウ素0.2g([KI]/[I2]=10)をそれぞれ添加し溶解させ、1000mlにメスアップした。メスアップした溶液を−20℃にて凍結したのち、4℃にて解凍することでキトサン−ヨウ素複合体を製造した。
(分析例1)実施例1で得られたキトサン−ヨウ素複合体のUV/Visスペクトルと有効ヨウ素量を測定した。対照区としてキトサンとヨウ素のそれぞれ単独の溶液においても測定を行った。得られた結果を、図1及び表1に示した。
【0013】
有効ヨウ素含有量は、チオ硫酸ナトリウムによる滴定分析法により定量化できる。具体的には、濃度既知のチオ硫酸ナトリウム水溶液を試料水溶液に滴下する。試料水溶液はヨウ素を含有しているため、滴定前の時点では茶褐色であるが、滴定の進行に伴い、淡黄色へと変色する。この段階で、終点検出用の指示薬として、デンプン溶液を添加し、試料水溶液を紫色とする。その後、滴定を続行し、試料水溶液が無色となる時点を終点とし、終点までに添加したチオ硫酸ナトリウムの総量より、有効ヨウ素含有量を算出できる。
【0014】
図1より、キトサン−ヨウ素複合体において、キトサンやヨウ素溶液には見られない500nm付近における著しい吸収が確認された。また、溶液における紫色の呈色も観察された。このような吸収や呈色は、キトサンとヨウ素の錯形成の指標となっていることから、実施例1においてキトサン−ヨウ素複合体が製造されていることが確認された。
【0015】
また、表1より、キトサン−ヨウ素複合体における有効ヨウ素量の増加が確認された。これは、キトサンとヨウ素の複合化に伴い、キトサン骨格に固定されるI2及びI3-の増加によるものと考えられた。
【表1】


(ヨウ素揮発性試験)キトサン−ヨウ素複合体を20mlのスクリュー管2本に10mlずつ入れて、この中にヨウ化カリウム−デンプン含浸試験紙をサンプルと接触しない様に挿入し、瓶および蓋で挟み込んで固定した。これを4℃の冷蔵庫と室内暗所に分けて1日間放置した後、試験紙の変色と、蓋を開けた時のヨウ素臭の有無とから、ヨウ素の揮発性を評価した。
【0016】
得られた結果を表2に示した。表2より、4℃で保管したキトサン−ヨウ素複合体の場合においては、ヨウ素による試験紙の変色及びヨウ素臭が認められず、ヨウ素が全く揮発していないことが確認された。一方、室温保管の場合は、ヨウ素揮発による試験紙の着色、及びヨウ素臭が認められた。
【表2】


(再複合化試験)室温で1日間放置したキトサン−ヨウ素複合体を−20℃で凍結し、4℃で解凍したものに含まれる有効ヨウ素量を測定した。
【0017】
その結果を表3に示した。表3の結果から、室温において一回減少した有効ヨウ素量は凍結・解凍を繰り返すことにより再び増加していることが確認された。これは、室温において溶液中に遊離したヨウ素の多くが再度I2及びI3-の形でキトサン骨格に固定されていることを示し、キトサン−ヨウ素複合体を再形成していることがわかった。
【表3】


(保存安定性試験)キトサン−ヨウ素複合体をスクリュービンに入れ、それぞれ4℃と室温で12週間保存し、複合体中の有効ヨウ素含有量を測定し、保存安定性を評価した。
【0018】
得られた結果を表4に示した。表4より明らかな通り、4℃保存のキトサン−ヨウ素複合体については、長期間保存においても有効ヨウ素の多くが保たれており、非常に安定であったが、室温保管については、有効ヨウ素の損失が認められた。
【表4】


(殺菌性の評価)様々な濃度にて調製したキトサン−ヨウ素系殺菌性組成物、キトサン溶液、ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液を用いて、以下の方法により、バクテリアに対する殺菌性を評価した。
【0019】
表5に示す供試菌株をブイヨン培地に接種し37℃で24時間培養した菌液を、生理食塩水で1×106細胞数/mlに希釈したものを供試菌液とした。ブイヨン培地8.0mlに上記殺菌性組成物を1.0mlずつ混合したものに供試菌液1.0mlを添加して素早く攪拌し、37℃の水浴に浸して24時間振盪培養した。その後、波長660nmにおける濁度を経時的に測定し、微生物繁殖による濁度増大傾向から抗菌性を評価した。なお、評価の信頼性を確保するために、殺菌性組成物を添加しない場合についても培養を行った。
【0020】
得られた結果を表6に示した。表6より明らかな通り、0.25mg/mlキトサンおよび0.025mg/ml濃度のヨウ素をそれぞれ単独に添加した場合、微生物の増殖における影響はほとんど見られなかった。また、0.05mg/ml濃度のヨウ素添加の場合には、緩やかな増殖遅延が見られたものの増殖増加傾向を保ち、24時間目において無添加の約7割以上増殖していた。これに対し、0.25mg/mlキトサンと0.025mg/mlヨウ素濃度にて調製した複合体の場合は、5時間までの増殖阻止が観察され、24時間においても無添加の約3割にしか達していないことが確認された。また、0.25mg/mlキトサンと0.05mg/mlヨウ素濃度にて調製した複合体は、24時間までに増殖を完全に阻止し、キトサン−ヨウ素複合体はキトサンおよびヨウ素を単独に添加した場合より高い抗菌活性を示した。
【0021】
E. coli の増殖曲線から求めたキトサン−ヨウ素複合体とキトサン、ヨウ素の最小発育阻止濃度(MIC)を表7に示した。キトサンとヨウ素のMICは、それぞれ0.5および0.1mg/mlであることに対し、キトサン−ヨウ素複合体のMICはそれより低い濃度(キトサン0.25mg/ml、ヨウ素0.05mg/ml)であった。これらの結果から、キトサン−ヨウ素複合体は、大腸菌に対する抗菌活性においてキトサンとヨウ素のそれぞれ単独より高い活性を示し、相乗効果を有していることが確認された。
【表5】


【表6】


【表7】


【0022】
なお、溶媒として、酢酸緩衝液に代え、乳酸、アスコルビン酸、クエン酸などの有機酸の水溶液又は希塩酸水溶液を用いることができる。
1%キトサン溶液1.0mlに1%I2溶液を加えて全量を10mlにした場合、I2の最終濃度が0.1%以上だと沈殿を生じた。I2の最終濃度は0.1%以下が好適である。
キトサンの濃度は5%以上にすると粘性が過度に高くなるので、5%以下とするのが望ましい。
凍結温度は、−5℃以下、好適には−10℃以下である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】キトサン−ヨウ素複合体のUV/Visスペクトルである。
【出願人】 【識別番号】598163064
【氏名又は名称】学校法人千葉工業大学
【出願日】 平成18年8月3日(2006.8.3)
【代理人】 【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠


【公開番号】 特開2008−37969(P2008−37969A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−212651(P2006−212651)