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【発明の名称】 部分酸型カルボキシメチルセルロースの製造方法
【発明者】 【氏名】佐藤 恵一

【要約】 【課題】粘度低下の少ない部分酸型CMCおよびその製造方法を提供する。

【構成】(a)原料パルプをアルカリセルロース化し、さらにエーテル化してカルボキシメチルセルロース塩を製造する工程、(b)前記カルボキシメチルセルロース塩を酸型カルボキシメチルセルロースに変換する工程、(c)前記酸型カルボキシメチルセルロースを洗浄する工程、および(d)洗浄した酸型カルボキシメチルセルロースと、アルカリを反応させる工程を含む部分酸型カルボキシメチルセルロースの製造方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)原料パルプをアルカリセルロース化し、さらにエーテル化してカルボキシメチルセルロース塩を製造する工程、
(b)前記カルボキシメチルセルロース塩を酸型カルボキシメチルセルロースに変換する工程、
(c)前記酸型カルボキシメチルセルロースを洗浄する工程、および
(d)洗浄した酸型カルボキシメチルセルロースと、アルカリを反応させる工程
を含む部分酸型カルボキシメチルセルロースの製造方法。
【請求項2】
全エーテル化度が0.3〜2.50であり、酸型のエーテル化度が全エーテル化度の1.0〜80%である請求項1記載の部分酸型カルボキシメチルセルロースの製造方法。
【請求項3】
部分酸型カルボキシメチルセルロースにおける残余カルボキシメチル基が、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、ルビジウム塩およびセシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の部分酸型カルボキシメチルセルロースの製造方法。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の部分酸型カルボキシメチルセルロースの製造方法により得られる部分酸型カルボキシメチルセルロース。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、部分酸型カルボキシメチルセルロース(以下、部分酸型CMCという)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部分酸型CMCは、カルボキシメチルセルロース塩(以下、CMC塩という)のアルカリ塩の部分を部分的に酸型に変換したものである。アルカリ塩では水溶性であるのに対し、酸型では水に不溶となるので、酸型の置換基の量の増大させることにより、水への膨潤度を小さくすることができるので、錠剤の崩壊剤、打錠菓子、ココア飲料などの粘度調整剤として一般的に用いられている。
【0003】
従来、部分酸型CMCの製造方法としては、精製したCMC塩粉末を原料として含有する溶媒中に酸を添加し、CMC塩を部分的に酸型CMCに変換する方法が開示されている(特許文献1および2参照)。しかしながら、このような従来の部分酸型CMCの製造方法では、置換反応後に残留する酸を除去するために含水有機溶媒によって洗浄を行っても、充分に酸を除去することができず、残存する酸による部分酸型CMCの加水分解によって粘度が低下するという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開昭59−122501号公報
【特許文献2】特開昭60−26001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、粘度低下の少ない部分酸型CMCおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)原料パルプをアルカリセルロース化し、さらにエーテル化してCMC塩を製造する工程、
(b)前記CMC塩を酸型CMCに変換する工程、
(c)前記酸型CMCを洗浄する工程、および
(d)洗浄した酸型CMCと、アルカリを反応させる工程
を含む部分酸型CMCの製造方法に関する。
【0007】
全エーテル化度が0.3〜2.50であり、酸型のエーテル化度が全エーテル化度の1.0〜80%であることが好ましい。
【0008】
部分酸型CMCにおける残余カルボキシメチル基が、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、ルビジウム塩およびセシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0009】
また、本発明は、前記の部分酸型CMCの製造方法により得られる部分酸型CMCにも関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、経時的な変化によって生じる粘度低下の少ない部分酸型CMCを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、(a)原料パルプをアルカリセルロース化し、さらにエーテル化してCMC塩を製造する工程、(b)前記CMC塩を酸型CMCに変換する工程、(c)前記酸型CMCを洗浄する工程、および(d)洗浄した酸型CMCと、アルカリを反応させる工程を含む部分酸型CMCの製造方法に関する。
【0012】
ここで、部分酸型CMCとは、CMC塩を酸によって部分的に遊離酸に変換したCMCを意味する。
【0013】
工程(a)における原料パルプは、リンターパルプ、針葉樹材を主としたN材パルプ、広葉樹材を主としたL材パルプが用いられる。原料パルプは、チップ状、綿状に粉砕するか、あるいはシート状のまま用いることができるが、アルカリセルロース化およびエーテル化するときに用いる薬剤との反応を促進させるために、原料パルプは粉砕して用いることが好ましい。
【0014】
アルカリセルロース化に用いるアルカリとしては、通常アルカリ金属の水酸化物が好ましく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等の1価の金属の水酸化物があげられる。これらの中で、価格および得られるCMC塩の特性の点から水酸化ナトリウムが好ましい。
【0015】
アルカリの配合量は、原料パルプ中のセルロースのグルコース単位量に対して、モル比で1.5〜6.0倍が好ましく、2.0〜4.0倍がより好ましい。アルカリの配合量が1.5倍より小さいと、アルカリセルロースを充分に生成させることができず、エーテル化が不充分となる傾向がある。一方、アルカリの配合量が4.0倍より大きいと、特に支障はないがアルカリを浪費することになり、また、得られるCMC塩の水溶液の粘度が低下する傾向がある。
【0016】
アルカリセルロース化を行うときの反応温度は、30〜50℃が好ましく、30〜40℃がより好ましい。アルカリセルロース化の反応温度が30℃より低いと、アルカリセルロースを充分に生成させることができない傾向がある。一方、反応温度が50℃より高いと、得られるCMC塩の水溶液の粘度が低下する傾向がある。また、アルカリセルロース化を行うときの反応時間は、30〜60分間が好ましく、40〜50分間がより好ましい。反応時間が30分間より短いと、アルカリセルロースを充分に生成させることができない傾向がある。一方、反応時間が60分間より長いと、得られるCMC塩の水溶液の粘度が低下する傾向がある。
【0017】
アルカリセルロース化を行うときの溶媒は、アルカリとの相溶性をもたせるため、含水有機溶媒が使用される。有機溶媒としては、エタノール、メタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(以下、IPAという)、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどの炭素数1〜4のアルコール類、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサン、ジエチルエーテルなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。とくに入手の手軽さ、低価格、取り扱いやすさの点で、IPA、エタノール、メタノールが好ましい。さらに、エタノール−ベンゼン、エタノール−トルエン、IPA−ベンゼンなどの混合溶媒も使用できる。
【0018】
含水有機溶媒中の水と有機溶媒の重量比としては、反応系中のアルカリ濃度を充分に高濃度に保つことができるという観点から、水:有機溶媒が10:90〜40:60が好ましく、15:85〜30:70がより好ましい。水と有機溶媒との重量比が10:90を外れて水の量が少なくなると、水によるセルロース分子へのアタックが減少し、結晶化領域の破壊が少なくなるため、水溶液としたときに透明性が高いCMC塩を得ることが困難になる。一方、水と有機溶媒との重量比が40:60を外れて水の量が多くなると、水とエーテル化剤との間での副反応が進み、エーテル化剤の有効利用率が低下する。
【0019】
含水有機溶媒の配合量は、原料パルプに対して、重量比で2.5〜10倍が好ましく、3〜8倍がより好ましい。含水有機溶媒の配合量が2.5倍より小さいと、含水有機溶媒と原料パルプ中のセルロースとが充分に撹拌混合されなくなるため、撹拌時の反応機に対する負荷が大きくなり、また均一反応に支障をきたす傾向がある。一方、含水有機溶媒の配合量が10倍より大きいと、原料経費が高くなる傾向がある。
【0020】
次に、得られたアルカリセルロースにエーテル化剤を反応させてエーテル化する。エーテル化は、通常アルカリ過剰下で進行させる。エーテル化剤としては、例えばモノクロル酢酸、モノクロル酢酸ナトリウム、モノクロル酢酸メチル、モノクロル酢酸エチル等が使用される。エーテル化剤の配合量は、目的とするCMC塩のエーテル化度によって決定されるため、特に制限はないが、通常原料パルプ中のグルコース単位量に対して、モル比で0.5〜6倍が好ましく、2〜4倍がより好ましい。エーテル化剤の配合量が、0.5倍より小さいと、CMC塩のエーテル化度が低く、目的とするエーテル化度が得にくい傾向がある。一方、エーテル化剤の配合量が6倍より大きいと、特に支障はないが、高価なエーテル化剤を無駄に使用する傾向がある。
【0021】
エーテル化を行うときの反応温度は、75〜100℃が好ましく、80〜90℃がより好ましい。反応温度が75℃より低いと、エーテル化が不充分になる傾向がある。一方、反応温度が100℃より高いと反応溶媒の沸点をこえる場合があり、溶媒が揮発する傾向がある。また、反応時間は、50〜120分間が好ましく、50〜90分間がより好ましい。反応時間が50分間より短いとエーテル化が不充分になる傾向がある。一方、反応時間が90分間より長いと、特に支障はないが時間の浪費となり、得られるCMC塩の粘度が低下する傾向がある。
【0022】
エーテル化反応終了後、反応溶媒として用いた有機溶媒を一部除去する。有機溶媒を一部除去したCMC塩の固形分濃度は、30〜80重量%が好ましく、40〜70重量%がより好ましく、50〜60重量%がさらに好ましい。CMC塩の固形分濃度が30重量%より小さいと、CMC塩はスラリー状態となり、以降の撹拌効率が低下する傾向がある。一方、CMC塩の固形分濃度が80重量%より大きいと、CMC塩固形分が高く、撹拌時の負荷が大きくなり作業性が低下する傾向がある。
【0023】
工程(a)で調製されたCMC塩は、工程(b)において酸を添加することにより酸型CMCに変換させる。酸の添加量は、理論エーテル化度に対して、モル比で1.5〜3.0倍が好ましく、2.0〜2.5倍がより好ましい。酸の添加量が、1.5倍より小さいと、酸不足により充分に酸置換されない傾向がある。一方、酸の添加量が、3.0倍より大きいと、酸が多いことにより、酸置換度が高くなる傾向がある。酸は特に限定されないが、具体的には硫酸、硝酸、クエン酸、リンゴ酸、モノクロル酢酸等があげられる。
【0024】
CMC塩に酸を添加後の反応温度は、60〜110℃が好ましく、65〜105℃がより好ましく、70〜90℃がさらに好ましい。反応温度が、60℃より低いと、酸置換が充分にできない傾向がある。一方、反応温度が110℃より高いと、酸置換反応が瞬時に行われるため、不均一に酸置換される傾向がある。また、撹拌時間は、30〜60分間が好ましく、40〜50分間がより好ましい。撹拌時間が、30分間より短いと、酸置換が充分にできない傾向がある。撹拌時間が、60分間より長いと、特に支障はないが、いたずらに時間をかけることになるため、工程時間の延長、コスト増となり好ましくない。
【0025】
工程(b)で得られた酸型CMC粗生成物は、工程(c)において洗浄される。洗浄方法としては、酸型CMC粗生成物に洗浄液を添加し撹拌させ、そののち、洗浄液を分離する。洗浄液としては、含水有機溶媒があげられ、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、IPA、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどの炭素数1〜4のアルコール類、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサン、ジエチルエーテルなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。これらの中で、メタノールがコスト面、蒸留して再利用するときの蒸留操作のやりやすさの観点から好ましい。
【0026】
洗浄液として含水有機溶媒を用いた場合の水と有機溶媒の重量比としては、水:有機溶媒が10:90〜30:70が好ましく、20:80〜25:75がより好ましい。水と有機溶媒との重量比が10:90を外れて水の量が少なくなると、副生塩の溶出効率が低下して高純度化ができない傾向がある。一方、水と有機溶媒との重量比が30:70を外れて水の量が多くなると、副生塩の溶出効率による高純度化が可能となるが、CMCも溶出されてしまう傾向がある。
【0027】
洗浄液の添加量は、酸型CMCの固形分に対して重量比で10〜30倍が好ましく、15〜25倍がより好ましい。洗浄液の添加量が、重量比で10倍より小さいと、副生塩溶出量が少なく、高純度化ができない傾向がある。一方、30倍より大きいと、特に支障はないが、原材料使用量が増大し、生産効率を低下させる傾向がある。
【0028】
酸型CMCを洗浄する際の温度は、20〜50℃が好ましく、30〜40℃がより好ましい。洗浄する際の温度が20℃より低いと、副生塩溶出量が少なく、高純度化ができない傾向がある。一方、洗浄する際の温度が50℃より高いと、溶媒気化量が大きく、作業環境を悪化させ好ましくない。また、撹拌時間は、30〜60分間が好ましい。撹拌時間が、30分間より短いと、副生塩の溶出量が低下する傾向がある。一方、撹拌時間が、60分間より長いと、特に支障はないが、作業効率が低下する傾向がある。
【0029】
洗浄液を分離する方法としては、例えば、遠心分離などの公知の方法があげられる。
【0030】
前記の洗浄液による洗浄工程は、1回または複数回、好ましくは3〜5回繰り返す。また、遠心分離の際に分離される洗浄液中の遊離酸の量は、0.05重量%以下が好ましく、0重量%であることがより好ましい。洗浄液中の遊離酸の量が、0.05重量%より大きいと、残存する酸によって、部分酸型CMCの加水分解により粘度が低下する、また、保存中での粘度が低下する傾向がある。
【0031】
工程(c)で洗浄した後の酸型CMCの固形分濃度は、40〜70重量%が好ましく、50〜60重量%がより好ましい。固形分濃度が40重量%より小さいと、酸置換度が不均一になる傾向がある。一方、固形分濃度が70重量%より大きいと、酸置換度が不充分となる傾向がある。
【0032】
洗浄した酸型CMCは、工程(d)においてアルカリと反応させる。具体的にはアルカリを含む含水有機溶媒に添加してスラリー状にし、酸型CMCとアルカリを反応させる。アルカリとしては、前記工程(a)のアルカリ金属の水酸化物が用いられる。また、アルカリの添加量は、重量比で理論酸エーテル化度にするために必要な量の5〜10倍が好ましく、6〜8倍がより好ましい。アルカリの添加量が5倍より小さいと、充分なアルカリ添加ができなくなる傾向がある。一方、アルカリの添加量が10倍より大きいと、アルカリ添加が行き過ぎる傾向がある。
【0033】
含水有機溶媒中の水と有機溶媒の重量比としては、反応系中のアルカリ濃度を充分に高濃度に保つことができるという観点から、水:有機溶媒が5:95〜20:80が好ましく、10:90〜15:85がより好ましい。水と有機溶媒との重量比が5:95を外れて水の量が少なくなると、水によるセルロース分子へのアタックが減少し、結晶化領域の破壊が少なくなるため、水溶液としたときに透明性が高い部分酸型CMCを得ることが困難になる傾向がある。一方、水と有機溶媒との重量比が20:80を外れて水の量が多くなると、酸型CMCの溶媒への溶出などが生じる傾向がある。
【0034】
酸型CMCを部分酸型CMCに反応させる際の温度は、50〜80℃が好ましく、60〜70℃がより好ましい。反応温度が50℃より低いと、充分に反応が行われない傾向がある。一方、反応温度が80℃より高いと、反応が不均一になり、均一反応が損なわれる傾向がある。また、反応時間は、30〜60分間が好ましく、40〜50分間がより好ましい。反応時間が30分間より短いと、反応が不充分となる傾向がある。一方、反応時間が60分間より長いと、特に支障はないが、作業効率を低下させる傾向がある。
【0035】
部分酸型CMCの全エーテル化度は、0.30〜2.50が好ましく、0.5〜1.8がより好ましく、0.6〜1.5がさらに好ましい。全エーテル化度が0.30より小さいと、CMC塩が不溶化するために用途上有用性が少なくなる傾向がある。一方、全エーテル化度が2.50より大きいと、高エーテル化度による用途上の有用性が少ない傾向がある。
【0036】
酸型のエーテル化度は全エーテル化度の1.0〜80.0%が好ましく、20〜60%がより好ましい。酸型のエーテル化度が1.0%より小さいと、酸型にする効果が発揮できない傾向がある。一方、酸型のエーテル化度が80.0%より大きいと、酸型の進行によるCMCの不溶化が促進され、部分酸型とする効果が失われる傾向がある。
【0037】
部分酸型CMCにおける残余カルボキシメチル基は、前記の工程(a)によって用いられたアルカリ金属の水酸化物により得られるアルカリ塩があげられ、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、ルビジウム塩およびセシウム塩等があげられる。これらの中で、ナトリウム塩、カリウム塩が、一般的に好ましく用いられる。
【0038】
本発明の製造方法で得られる部分酸型CMCは、錠剤の崩壊剤、打錠菓子、ココア飲料などの粘度調整剤、クロスリンク化CMCの中間原料などの用途に、好ましく利用できる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
実施例1〜6
<CMC−Naの製造>
2軸の撹拌翼を備えた容量3リットルのニーダー型反応機に、家庭用ミキサー等で粉砕したパルプ100gを仕込んだ。原料パルプとして、L−DPTおよびN−DSP(日本製紙ケミカル株式会社製)を重量比で2:1に配合させたものを使用した。IPA:水を重量比で70:30に調整した反応溶媒400g(IPA:水=280g:120g)に、表1に示した所定量の水酸化ナトリウムを溶解させて40℃に調整した溶液を反応機内に添加し、60分間撹拌し、アルカリセルロースを生成した。
【0041】
そののち、表1に示した所定量のモノクロル酢酸を等重量のIPAに溶解させた溶液を、30〜50℃で60分間かけて反応熱を抑えながら仕込んだ。仕込み後、30分間かけて85℃に昇温し、75〜90℃でエーテル化反応を60分間行った。反応機には冷却管を設置してIPAの気化発散を防止した。そののち、スラリー状の中和物を反応機より取り出し、遠心分離してIPA/水を除去した。固形分を30〜80%に調整し、CMC−Na(A)〜(C)を得た。
【0042】
【表1】


【0043】
<酸型CMCの製造と精製>
前記方法により得られたCMC−Naに対し、表2に示す配合量の20%硫酸を添加し、30分間撹拌後、さらに70℃、50分間加熱して酸型CMCを調製した。
【0044】
【表2】


【0045】
前記方法により得られた酸型CMCの粗生成物に対して、重量比で20倍となるように80%メタノール水溶液を添加し、30℃で50分間撹拌した。撹拌後、遠心分離機でメタノール水溶液を遠心分離する操作を4回繰り返し、そののち、固形分濃度50重量%の酸型CMCを調整した。なお、分離されたメタノール水溶液は、サンプリングし、N/10のKOH標準液を用いて遊離酸の量を測定した。遊離酸の量を表5に示す。
【0046】
<部分酸型CMCの製造>
前記で得られた酸型CMCに水酸化ナトリウムを含む80%メタノール水溶液を添加し、スラリー状の溶液を調整し、30℃で50分間撹拌させ、部分酸型CMCを製造した。酸型CMCおよび水酸化ナトリウムの配合量を表3に示す。
【0047】
【表3】


【0048】
得られた部分酸型CMCの1%水溶液粘度、全エーテル化度(DS)、CMC−Na化度および酸型CMC化度を下記の方法により測定し、物性を評価した。得られた結果を表5に示す。
【0049】
<1%水溶液粘度>
1.水分の算出
試料1〜2gを秤量ビンに精密にはかりとり、105±2℃の低温乾燥機中において4時間乾燥し、デシケーター中に冷却した後フタをして重さをはかり、その原料から水分を算出した。
【0050】
【数1】


【0051】
2.1%水溶液粘度の測定
300mlのトールビーカーに約2.5gの試料を精秤し、下記式を用いて求めた1%水溶液を得るために必要な溶解水量の水を加え、ガラス棒にて分散させた。
溶解水量(g)=試料(g)÷(99−水分(%))
【0052】
得られた水溶液を一昼夜放置し、マグネチックスターラーで約5分間撹拌して完全な溶液とした後、30分間25℃の恒温水槽に入れて、溶液を25℃とした。この溶液をガラス棒でゆるやかにかき混ぜ、BM型粘度計の適当なローターおよびガードを取り付け、回転数60rpmで3分後の目盛りを読み取った。読み取り目盛りから下記式を用いて粘度を求めた。式中、kはローターと回転数によって決まる換算乗数である。
粘度(mPa・s)=読み取り目盛×k
【0053】
なお、1%水溶液粘度については、製造時、1週間後、1ヵ月後、3ヵ月後の1%水溶液粘度を測定した。
【0054】
<全エーテル化度(DS)>
(1)全ナトリウム塩型CMCのDS
試料1g(純分換算)を磁性ルツボに入れて600℃で灰化し、灰化によって生成した酸化ナトリウムをN/10のH2SO4100mlを添加して中和した。次に、過剰のH2SO4をN/10のNaOHでフェノールフタレインを指示薬として滴定し、その滴下量Amlを下記式に入れて計算しDSを求めた。
【0055】
【数2】


【0056】
ここでf1:N/10のH2SO4の力価
ここでf2:N/10のHaOHの力価
【0057】
(2)得られた部分酸型CMCのCMC−Na化度および酸型CMC化度
試料1g(純分換算)を純水200mlとN/10のNaOH100mlが入っているフラスコ中に入れて溶解した。次に、過剰のN/10のNaOHをN/10のH2SO4でフェノールフタレインを支持数として滴定し、その滴下量Bmlを得た。
【0058】
次に、別の試料1g(純分換算)を磁性ルツボに入れて600℃で灰化し、灰化によって生成した酸化ナトリウムをN/10のH2SO4100mlを添加して中和した。次に、過剰のH2SO4をN/10のNaOHでフェノールフタレインを指示薬として滴定し、その滴下量Cmlを得た。
【0059】
次に、次式によってCMC−Na化度およびCMC−H化度を求めた。
【0060】
【数3】


【0061】
ここでf1:N/10のH2SO4の力価
2:N/10のHaOHの力価
【0062】
比較例1〜3
<部分酸型CMCの製造>
前記方法で製造したCMC−Na(A)〜(C)において、前記の固形分濃度30〜80%に調整した反応物を取り出し、単離せず未精製のまま表4に示す20%硫酸を必要モル数添加し、さらに90℃に加温し50分間撹拌した。得られた部分酸型CMCを70%メタノール水溶液で洗浄し、副生物の食塩、グリコール酸ナトリウム、酢酸ナトリウムを除去した。
【0063】
【表4】


【0064】
この洗浄操作を2回繰り返したのち、メタノール水溶液を遠心分離除去して90〜105℃で4時間乾燥粉砕して部分酸型CMCを得た。
【0065】
得られた部分酸型CMCの1%水溶液粘度、全エーテル化度(DS)、得られた部分酸型CMCのCMC−Na化度および酸型CMC化度を実施例1〜3と同様の方法により測
定し、物性を評価した。得られた結果を表5に示す。
【0066】
【表5】


【0067】
実施例1〜6で得られた部分酸型CMCは粘度低下が少なく、分離したメタノール水溶液の量が少ない実施例1、3および5については、製造時と3ヵ月放置後との粘度変化が特に小さかった。一方、比較例1〜3は、経時的に1%水溶液粘度が著しく低下した。これは、実施例1〜6では酸型CMCを調整後、最終工程で水酸化ナトリウムを添加することによって部分酸型CMCを調製しているため、残存している酸が殆ど残らず、酸による加水分解が生じなかったためと考えられる。一方、比較例1〜3は、CMC−Naを調整後、最終工程で20%硫酸を添加することによって部分酸型CMCを調製しているため、部分酸型CMC中に酸が残存しており、その結果、部分酸型CMCが部分的に加水分解したため、1%粘度が低下したものと考えられる。
【出願人】 【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
【出願日】 平成18年7月13日(2006.7.13)
【代理人】 【識別番号】100065226
【弁理士】
【氏名又は名称】朝日奈 宗太

【識別番号】100117112
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 文男


【公開番号】 特開2008−19344(P2008−19344A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−192531(P2006−192531)