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【発明の名称】 縮合へテロ環化合物およびそれを用いた有機発光素子
【発明者】 【氏名】小菅 哲弥

【氏名】大類 博揮

【氏名】妹尾 章弘

【要約】 【課題】新規な縮合へテロ環化合物を用いた、高発光効率で高輝度な光出力を有し、長時間の発光による輝度劣化が小さい有機発光素子を提供する。

【構成】陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に挟持された一または複数の有機化合物からなる層を少なくとも有する有機電界発光素子において、前記有機化合物を含む層の少なくとも一層が、下記の縮合へテロ環化合物を含有する有機発光素子。縮合へテロ環化合物を含有する層は、電子輸送層、ホールブロッキング層および発光層として優れている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式[I]で示される縮合へテロ環化合物。
【化1】


〔式中、nは3から6の正の整数である。X1、X2およびY1からY10は各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基、置換もしくは無置換の縮合芳香多環基、置換もしくは無置換の複素芳香環基、置換もしくは無置換の縮合複素芳香多環基、置換アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基から選ばれる基を表す。n個のX1およびn個のX2は、各X1および各X2で同じであっても異なっていても良く、互いに縮合して環を形成しても良い。Y1からY10は、互いに縮合して被置換キノリン環の少なくとも1辺以上を共有し、置換もしくは無置換の非芳香環、置換もしくは無置換の芳香環、置換もしくは無置換の縮合芳香多環、置換もしくは無置換の複素芳香環、置換もしくは無置換の縮合複素芳香多環を形成しても良い。〕
【請求項2】
下記一般式[II]で示される縮合へテロ環化合物。
【化2】


〔式中、nは3から6の正の整数である。X3、X4およびR1からR10は各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基、置換もしくは無置換の縮合芳香多環基、置換もしくは無置換の複素芳香環基、置換もしくは無置換の縮合複素芳香多環基、置換アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基から選ばれる基を表す。n個のX3およびn個のX4は、各X3および各X4で同じであっても異なっていても良く、互いに縮合して環を形成しても良い。〕
【請求項3】
下記一般式[III]で示される、請求項1または2に記載の縮合へテロ環化合物。
【化3】


〔式中、nは3から6の正の整数、jおよびkはそれぞれ1から4の正の整数である。X5、X6、R11およびR12は各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基、置換もしくは無置換の縮合芳香多環基、置換もしくは無置換の複素芳香環基、置換もしくは無置換の縮合複素芳香多環基、置換アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基から選ばれる基を表す。Ar1およびAr2は各々独立に、置換もしくは無置換の芳香環基、置換もしくは無置換の縮合芳香多環基、置換もしくは無置換の複素芳香環基、置換もしくは無置換の縮合複素芳香多環基から選ばれる基を表す。n個のX5およびn個のX6は、各X5および各X6で同じであっても異なっていても良く、互いに縮合して環を形成しても良い。R11、R12、Ar1およびAr2が複数個ある場合、各R11、各R12、各Ar1および各Ar2は同じであっても異なっていても良い。〕
【請求項4】
下記一般式[IV]で示される、請求項1または2に記載の縮合へテロ環化合物。
【化4】


〔式中、nは3から6の正の整数である。X7およびX8は各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基、置換もしくは無置換の縮合芳香多環基、置換もしくは無置換の複素芳香環基、置換もしくは無置換の縮合複素芳香多環基、置換アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基から選ばれる基を表す。n個のX7およびn個のX8は、各X7および各X8で同じであっても異なっていても良く、互いに縮合して環を形成しても良い。Ar3およびAr4は各々独立に、置換もしくは無置換の芳香環基、置換もしくは無置換の縮合芳香多環基、置換もしくは無置換の複素芳香環基、置換もしくは無置換の縮合複素芳香多環基から選ばれる基を表す。〕
【請求項5】
前記nが4であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の縮合へテロ環化合物。
【請求項6】
陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に挟持された一または複数の有機化合物からなる層を少なくとも有する有機電界発光素子において、前記有機化合物を含む層の少なくとも一層が、請求項1から5のいずれかに記載の縮合へテロ環化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする有機発光素子。
【請求項7】
有機化合物からなる層のうち、ホールブロック層、電子輸送層または電子注入層から選ばれる少なくとも一層が、前記縮合へテロ環化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項6に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な縮合へテロ環化合物およびそれを用いた有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子は、陽極と陰極間に蛍光性有機化合物または燐光性有機化合物を含む薄膜を挟持させて、各電極から電子およびホール(正孔)を注入する。このことにより、蛍光性化合物または燐光性化合物の励起子を生成させ、この励起子が基底状態にもどる際に放射される光を利用する素子である。
【0003】
従来公知のホールブロック層、電子輸送層や電子注入層に用いる材料としては、フェナントロリン誘導体、2,2’−ビピリジン誘導体、ジキノリン誘導体、オキサジアゾール化合物、トリアゾール化合物、アゾール化合物等が挙げられる。これらの化合物を有機発光素子に用いた報告例として、特許文献1から9等が挙げられるが、電子輸送層や発光層として用いた際の初期特性および耐久特性は十分ではない。
【特許文献1】特開平5−331459号公報
【特許文献2】特開2001−131174号公報
【特許文献3】特開2003−123983号公報
【特許文献4】特開平7−82552号公報
【特許文献5】特開平7−150137号公報
【特許文献6】特開2004−277377号公報
【特許文献7】特開平4−363891号公報
【特許文献8】特開平7−41759号公報
【特許文献9】特開平10−340786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新規な縮合へテロ環化合物を用い、高発光輝度で高発光効率な有機発光素子を提供することにある。また、高耐久性で長時間の発光による輝度劣化が小さい有機発光素子を提供することにある。さらには、製造が容易でかつ比較的安価に作成可能な有機発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、下記一般式[I]および[II]で示される新規な縮合へテロ環化合物を提供するものである。
【0006】
【化1】


【0007】
〔式中、nは3から6の正の整数である。X1、X2およびY1からY10は各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基、置換もしくは無置換の縮合芳香多環基、置換もしくは無置換の複素芳香環基、置換もしくは無置換の縮合複素芳香多環基、置換アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基から選ばれる基を表す。n個のX1およびn個のX2は、各X1および各X2で同じであっても異なっていても良く、互いに縮合して環を形成しても良い。Y1からY10は、互いに縮合して被置換キノリン環の少なくとも1辺以上を共有し、置換もしくは無置換の非芳香環、置換もしくは無置換の芳香環、置換もしくは無置換の縮合芳香多環、置換もしくは無置換の複素芳香環、置換もしくは無置換の縮合複素芳香多環を形成しても良い。〕
【0008】
【化2】


【0009】
〔式中、nは3から6の正の整数である。X3、X4およびR1からR10は各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基、置換もしくは無置換の縮合芳香多環基、置換もしくは無置換の複素芳香環基、置換もしくは無置換の縮合複素芳香多環基、置換アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基から選ばれる基を表す。n個のX3およびn個のX4は、各X3および各X4で同じであっても異なっていても良く、互いに縮合して環を形成しても良い。〕
【0010】
また、本発明は、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に挟持された一または複数の有機化合物からなる層を少なくとも有する有機電界発光素子において、前記有機化合物を含む層の少なくとも一層が、上記の縮合へテロ環化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする有機発光素子である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の新規な縮合へテロ環化合物を用いた有機発光素子は、高発光効率で高輝度な発光が得られ、耐久性にも優れている。特に本発明の縮合へテロ環化合物を含有する有機層は、電子輸送層およびホールブロッキング層として優れ、かつ発光層としても優れている。
【0012】
さらに、本発明の有機発光素子は真空蒸着あるいはキャステイング法等を用いて作成可能であり、比較的安価で大面積の素子を容易に作成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
はじめに、本発明の縮合へテロ環化合物について説明する。本発明の縮合へテロ環化合物は上記一般式[I]および[II]で示される。該化合物は中心に非芳香族環を有し、左右の2つの複素芳香多環の共役が適度に切れ、バンドギャップの大きな化合物であることを特徴としている。
【0014】
上記一般式[I]および[II]で示される本発明の縮合へテロ環化合物は、下記一般式[III]および[IV]で示される化合物であることが好ましい。
【0015】
【化3】


【0016】
〔式中、nは3から6の正の整数、jおよびkはそれぞれ1から4の正の整数である。X5、X6、R11およびR12は各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基、置換もしくは無置換の縮合芳香多環基、置換もしくは無置換の複素芳香環基、置換もしくは無置換の縮合複素芳香多環基、置換アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基から選ばれる基を表す。Ar1およびAr2は各々独立に、置換もしくは無置換の芳香環基、置換もしくは無置換の縮合芳香多環基、置換もしくは無置換の複素芳香環基、置換もしくは無置換の縮合複素芳香多環基から選ばれる基を表す。n個のX5およびn個のX6は、各X5および各X6で同じであっても異なっていても良く、互いに縮合して環を形成しても良い。R11、R12、Ar1およびAr2が複数個ある場合、各R11、各R12、各Ar1および各Ar2は同じであっても異なっていても良い。〕
【0017】
【化4】


【0018】
〔式中、nは3から6の正の整数である。X7およびX8は各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基、置換もしくは無置換の縮合芳香多環基、置換もしくは無置換の複素芳香環基、置換もしくは無置換の縮合複素芳香多環基、置換アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基から選ばれる基を表す。n個のX7およびn個のX8は、各X7および各X8で同じであっても異なっていても良く、互いに縮合して環を形成しても良い。Ar3およびAr4は各々独立に、置換もしくは無置換の芳香環基、置換もしくは無置換の縮合芳香多環基、置換もしくは無置換の複素芳香環基、置換もしくは無置換の縮合複素芳香多環基から選ばれる基を表す。〕
さらに、上記一般式[I]から[IV]示される本発明の縮合へテロ環化合物は、式中のnが4であることが特に好ましい。
【0019】
上記一般式[I]から[IV]における置換基の具体例を以下に示す。
置換もしくは無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アダマンチル基などが挙げられる。
【0020】
置換もしくは無置換のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基(2−プロペニル基)、1−プロペニル基、iso−プロペニル基、2−ブテニル基などが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、2−エチルオクチルオキシ基、フェノキシ基、4−ブチルフェノキシ基、フルオレノキシ基、ナフトキシ基、ベンジルオキシ基などが挙げられる。
【0021】
置換もしくは無置換のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
置換もしくは無置換の芳香環基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3−クロロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、トリフェニルアミノ基などが挙げられる。
【0022】
置換もしくは無置換の縮合芳香多環基としては、フルオレニル基、ナフチル基、フルオランテニル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、ペリレニル基、トリフェニレニル基などが挙げられる。
【0023】
置換もしくは無置換の複素芳香環基としては、ピリジル基、メチルピリジル基、ビピリジル基、ターピリジル基、チエニル基、ターチエニル基、プロピルチエニル基、フリル基、ピロリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基などが挙げられる。
【0024】
置換もしくは無置換の縮合複素芳香多環基としては、キノリル基、ナフチリジル基、カルバゾリル基、N−エチルカルバゾリル基、アクリジニル基、フェナジル基、フェナントリジル基、フェナントロリル基などが挙げられる。
【0025】
置換アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジアニソリルアミノ基、フルオレニルフェニルアミノ基、ジフルオレニルアミノ基、ナフチルフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基などが挙げられる。
【0026】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
上記一般式[I]における置換基Y1からY10が、互いに縮合して、被置換キノリン環の少なくとも1辺以上を共有して形成する環の具体例を以下に示す。
【0027】
置換もしくは無置換の非芳香環としては、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、シクロオクチル環、ピロリジン環、N−メチルピロリジン環、ピパリジン環、N−メチルピパリジン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、1,4−ジオキサン環、テトラヒドロチオフェン環などが挙げられる。
【0028】
置換もしくは無置換の芳香環としては、ベンゼン環、テトラヒドロナフタレン環などが挙げられる。
置換もしくは無置換の縮合芳香多環としては、ナフタレン環、アントラセン環、フェナンスレン環、トリフェニレン環、ピレン環、テトラセン環、ペリレン環、フルオレン環、ジヒドロアントラセン環、ジヒドロフェナンスレン環などが挙げられる。
【0029】
置換もしくは無置換の複素芳香環としては、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環などが挙げられる。
置換もしくは無置換の縮合複素芳香多環としては、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、フェナジン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環などが挙げられる。
【0030】
上記置換基が有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などのアルキル基、ビニル基、アリル基(2−プロペニル基)、1−プロペニル基、iso−プロペニル基、2−ブテニル基などのアルケニル基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、フルオレノキシ基、ナフトキシ基などのアルコキシ基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの芳香環基、フルオレニル基、ナフチル基、フルオランテニル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、ペリレニル基、トリフェニレニル基などの縮合芳香多環基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ターピリジル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基などの複素芳香環基、キノリル基、イソキノリル基、ナフチリジル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナジル基、フェナントリジル基、フェナントロリル基などの縮合複素芳香多環基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジアニソリルアミノ基、フルオレニルフェニルアミノ基、ジフルオレニルアミノ基、ナフチルフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基などの置換アミノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基などが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0031】
次に、本発明の縮合へテロ環化合物の代表例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
【化5】


【0033】
【化6】


【0034】
【化7】


【0035】
【化8】


【0036】
【化9】


【0037】
【化10】


【0038】
【化11】


【0039】
【化12】


【0040】
【化13】


【0041】
【化14】


【0042】
なお一般式[I]のYは、置換無置換の縮合芳香族多環であってもよいことは先述のとおりである。特にA49やA50は一般式[I]の2量体である。これら化合物は一方の一般式[I]の骨格が縮合方向族多環であり他方の一般式[I]にYとして置換しているということができる。
【0043】
本発明の縮合へテロ環化合物は、一般的に知られている方法で合成できる。例えば、J.Org.Chem.,50,666(1985)などに記載の方法で、母核となる含非芳香環ビキノリン誘導体を得ることができる。この際、該母核にハロゲン置換基を予め導入しておけば、パラジウム触媒を用いたSuzukiカップリング法(例えばChem.Rev.,95,2457(1995))などの合成法によって、該母核にアリール基等を導入することも可能である。
【0044】
本発明の縮合へテロ環化合物は、従来の化合物に比べ電子輸送性、発光性の優れた化合物であり、有機発光素子の有機化合物を含む層、特に、電子輸送層および発光層として有用である。また本発明の縮合へテロ環化合物は、真空蒸着法や溶液塗布法などによって形成した層は結晶化などが起こりにくく経時安定性に優れている。さらに、本発明の縮合へテロ環化合物は、中心の非芳香族環によって左右の2つの複素芳香多環の共役が適度に切れるため、バンドギャップが大きなホールブロッキング性に優れた化合物である。従って、本発明の縮合へテロ環化合物はホールブロッキング層としても有用であり、高発光効率の有機発光素子を提供することが可能である。
【0045】
次に、本発明の有機発光素子について詳細に説明する。本発明の有機発光素子は、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に狭持された一または複数の有機化合物を含む層を少なくとも有する有機発光素子において、前記有機化合物を含む層の少なくとも一層が、前記一般式[I]から[IV]で示される縮合へテロ環化合物の少なくとも一種を含有する。
【0046】
また、本発明の有機発光素子は、有機化合物を含む層のうち少なくともホールブロッキング層、電子輸送層、電子注入層または発光層が、前記縮合へテロ環化合物の少なくとも一種を含有することが好ましい。さらに、前記縮合へテロ環化合物の中で、HOMOエネルギーレベルが比較的深い化合物はホールブロッキング性が高く、ホールブロッキング層や電子輸送層として特に好ましい。
【0047】
本発明の有機発光素子においては、前記一般式[I]から[IV]で示される縮合へテロ環化合物を真空蒸着法や溶液塗布法により陽極及び陰極の間に形成する。その有機層の厚みは10μmより薄く、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.5μm以下の厚みに薄膜化することが好ましい。
【0048】
図1から図6に本発明の有機発光素子の好ましい例を示す。図1は本発明の有機発光素子の一例を示す断面図である。図1は基板1上に陽極2、発光層3及び陰極4を順次設けた構成のものである。発光層3に使用する発光物質が、発光性能と共にホール輸送能および電子輸送能も有している場合、またはそれぞれの特性を有する化合物を複数種混合して使用する場合に、該素子構成は有用となる。
【0049】
図2は本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図2は基板1上に陽極2、ホール輸送層5、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、ホール輸送能と電子輸送能のどちらか一方あるいは両方の機能を有している発光材料を、性能に応じてホール輸送層5または電子輸送層6に用い、無発光性のホール輸送物質あるいは電子輸送物質と組み合わせる場合に有用である。また、この場合発光層3はホール輸送層5あるいは電子輸送層6のいずれかから成る。
【0050】
図3は本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図3は基板1上に陽極2、ホール輸送層5、発光層3,電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。該素子構成は、キャリヤ輸送と発光の機能を分離したものであり、ホール輸送性、電子輸送性、発光性の各特性を有する化合物と適時組み合わせて用いられる。よって該素子構成では、材料選択の自由度が極めて大きいと共に、発光波長を異にする種々の化合物が使用できるため、発光色相の多様化が可能になる。さらに、中央の発光層に各キャリヤあるいは励起子を有効に閉じこめて、発光効率の向上を図ることも可能になる。
【0051】
図4は本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図4は図3に対してホール注入層7を陽極側に挿入した構成であり、陽極とホール輸送層の密着性改善、あるいはホールの注入性改善に効果があり、発光素子の低電圧駆動化に寄与する。
【0052】
図5および図6は、本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図5および図6は、図3および図4に対して、ホールあるいは励起子(エキシトン)の陰極側への抜けを阻害する層(ホールブロッキング層8)を、発光層と電子輸送層の間に挿入した構成である。イオン化ポテンシャルの非常に高い(HOMOエネルギーレベルの深い)化合物をホールブロッキング層8として用いると、発光効率の向上に効果的である。
【0053】
前記図1から図6は、あくまでごく基本的な素子構成であり、本発明の化合物を用いた有機発光素子の構成はこれらに限定されるものではない。例えば、電極と有機層界面に絶縁性層を設ける、接着層あるいは干渉層を設ける、あるいはホール輸送層がイオン化ポテンシャルの異なる2層から構成される等、多様な層構成にすることが可能である。
【0054】
本発明における一般式[I]から[IV]で示される縮合へテロ環化合物は、従来の化合物に比べ電子輸送性、発光性および耐久性の優れた化合物であり、図1から図6のいずれの形態でも使用することができる。
【0055】
本発明の一般式[I]から[IV]で示される縮合へテロ環化合物を含む層において、縮合へテロ環化合物の含有量は10重量%以上、好ましくは80重量%以上100重量%以下が好ましい。
【0056】
特に、本発明の縮合へテロ環化合物を用いた有機層は、ホールブロッキング層、電子輸送層、電子注入層および発光層として有用である。また、真空蒸着法や溶液塗布法等によって形成した層は、結晶化等の劣化が起こりにくく経時安定性に優れている。
【0057】
本発明は、電子輸送層および発光層の構成成分として一般式[I]から[IV]で示される縮合へテロ環化合物を用いるものであるが、従来公知のホール輸送性化合物、発光性化合物あるいは電子輸送性化合物などを、必要に応じて併用することも可能である。
【0058】
以下にこれらの化合物例を挙げるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0059】
【化15】


【0060】
【化16】


【0061】
【化17】


【0062】
【化18】


【0063】
【化19】


【0064】
【化20】


【0065】
【化21】


【0066】
【化22】


【0067】
【化23】


【0068】
【化24】


【0069】
【化25】


【0070】
本発明の有機発光素子において、一般式[I]から[V]で示される縮合へテロ環化合物を含有する層、および他の有機化合物を含有する層は、一般には真空蒸着法あるいは、適当な溶媒に溶解させて塗布法により薄膜を形成する。特に塗布法で成膜する場合は、適当な結着樹脂と組み合わせて膜を形成することも可能である。
【0071】
上記結着樹脂としては、広範囲な結着性樹脂より選択でき、例えばポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、上記の各樹脂を2種以上混合した樹脂や、複数種のモノマーから成る共重合体を、前記結着樹脂として使用してもよい。
【0072】
陽極材料としては、仕事関数の大きい材料が好ましく、例えば、金、銀、白金、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム等の金属単体、あるいはこれらの合金、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化スズインジウム(ITO),酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物を使用することができる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレンスルフィド等の導電性ポリマーも使用できる。これらの電極物質は単独で用いてもよく、複数併用することもできる。
【0073】
一方、陰極材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、銀、鉛、スズ、クロム等の金属単体、あるいはこれらの合金、またはこれらの塩等を使用することができる。また、酸化スズインジウム(ITO)等の金属酸化の使用も可能である。さらに、陰極は一層構成でもよく、多層構成とすることも可能である。
【0074】
本発明で用いる基板としては、特に限定されないが、金属製基板、セラミックス製基板等の不透明性基板、ガラス、石英、プラスチックシート等の透明性基板が用いられる。また、基板にカラーフィルター膜、蛍光色変換フィルター膜、誘電体反射膜等を用いて、発色光をコントロールすることも可能である。
【0075】
なお、作製した発光素子に対して、酸素や水分等との接触を防止する目的で保護層あるいは封止層を設けることもできる。保護層としては、ダイヤモンド薄膜、金属酸化物、金属窒化物等の無機材料膜、フッソ樹脂、ポリパラキシレン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂等の高分子膜、光硬化性樹脂等が挙げられる。また、ガラス、気体不透過性フィルム、金属などで被覆し、適当な封止樹脂により発光素子自体をパッケージングすることも可能である。
【実施例】
【0076】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されるものではない。
合成例1
例示化合物A1の合成
【0077】
【化26】


【0078】
500mL三つ口フラスコに、4−クロロ−2−ニトロベンズアルデヒド[1]10.0g(53.9mmol)、鉄粉10.5g(188mmol)、エタノール100mL、酢酸100mL、水50mLを入れ、35%塩酸20滴を加えて、攪拌下86℃で30分間加熱還流させた。反応後、ろ過により鉄粉を除去し、ろ液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した後、酢酸エチルで抽出して濃縮し、シリカゲルカラム(ヘプタン/酢酸エチル=8/1混合展開溶媒)で精製して、中間体化合物[2]を1.92g得た(収率23%)。
【0079】
続いて、100mL三つ口フラスコに、中間体化合物[2]0.67g(4.29mmol)、J.Org.Chem.,59,6338(1994)に記載の方法により得られた1,2−シクロオクタンジオン[3]0.30g(2.14mmol)、水酸化カリウム0.12g、エタノール30mLを入れ、攪拌下75℃で8時間加熱還流させた。反応後、酢酸エチルで抽出して濃縮し、シリカゲルカラム(クロロホルム展開溶媒)で精製して、中間体化合物[4]を0.25g得た(収率31%)。
【0080】
続いて、50mL三つ口フラスコに、中間体化合物[4]200mg(0.53mmol)、フェニルボロン酸[5]142mg(1.17mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)49mg(0.053mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン21mg(0.106mmol)、フッ化カリウム196mg(3.50mol)およびTHF10mLを入れ、窒素雰囲気下で攪拌しながら9時間加熱還流させた。反応後、有機層をクロロホルムで抽出して濃縮した後、シリカゲルカラム(ジクロロメタン/酢酸エチル=50/1混合展開溶媒)で精製し、例示化合物A1を146mg得た(収率60%)。
【0081】
合成例2
例示化合物A8の合成
【0082】
【化27】


【0083】
300mL三つ口フラスコに、3−ブロモベンズアルデヒド[6]10.4g(56.2mmol)、硝酸5.4mL、および硫酸65mLを入れ、室温で1時間攪拌した。反応後、冷水を加え、析出した生成物を濾別し、ヘプタン溶媒で再結晶させたものを、さらにシリカゲルカラム(トルエン/ヘプタン=1/1混合展開溶媒)で精製して、中間体化合物[7]を9.26g得た(収率72%)。
【0084】
続いて、前記合成例1に記載の方法と同様にして、中間体化合物[7]4.03g(17.5mmol)を還元して、中間体化合物[8]3.02gを得た(収率86%)。
続いて、前記合成例1に記載の方法と同様にして、中間体化合物[8]3.01g(15.0mmol)と1,2−シクロオクタンジオン[3]0.922g(5.57mmol)を反応させて、中間体化合物[9]1.78gを得た(収率58%)。
【0085】
続いて、50mL三つ口フラスコに、中間体化合物[9]200mg(0.43mmol)、9,9−ジメチルフルオレン−2−ボロン酸[10]360mg(1.51mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)49mg(0.042mmol)、炭酸ナトリウム1.7g(16mmol)、トルエン14mL、エタノール7mLおよび水8.5mLを入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながら67℃で2時間30分加熱還流させた。反応後、有機層をクロロホルムで抽出して濃縮した後、シリカゲルカラム(ジクロロメタン/酢酸エチル=20/1混合展開溶媒)で精製して、例示化合物A8を246mg得た(収率83%)。
【0086】
合成例3
例示化合物A31の合成
【0087】
【化28】


【0088】
50mL三つ口フラスコに、前記合成例2で得られた中間体化合物[9]400mg(0.85mmol)、キノリン−4−ボロン酸[11]591mg(3.42mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を103mg(0.089mmol)、炭酸ナトリウム3.4g(32mmol)、トルエン28mL、エタノール14mLおよび水17mLを入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながら67℃で80分加熱還流させた。反応後、有機層をクロロホルムで抽出して濃縮した後、アミノ処理シリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール=40/1混合展開溶媒)で精製し、例示化合物A31を352mg得た(収率73%)。
【0089】
合成例4
例示化合物A34の合成
【0090】
【化29】


【0091】
前記合成例3に記載の方法と同様のSuzukiカップリング反応により、前記合成例2より得られた中間体化合物[9]402mg(0.86mmol)と、ピリジン−3−ボロン酸[12]422mg(3.43mmol)から、例示化合物A34を315mg得た(収率73%)。
【0092】
合成例7
例示化合物A40の合成
【0093】
【化30】


【0094】
前記合成例1に記載の方法と同様にして、中間体化合物[8]1.60g(8.0mmol)と、J.Org.Chem.,14,836(1949)に記載の方法により得られた1,2−シクロヘプタンジオン[13]0.439g(3.48mmol)を反応させて、中間体化合物[14]0.870g(収率47%)を得た。
【0095】
前記合成例3に記載の方法と同様のSuzukiカップリング反応により、中間体化合物[14]400mg(0.88mmol)と、フェナントレン−9−ボロン酸[15]430mg(1.94mmol)から、例示化合物A40を463mg得た(収率81%)。
【0096】
実施例1
図3に示す構造の素子を作成した。
基板1としてのガラス基板上に、陽極2としての酸化錫インジウム(ITO)をスパッタ法にて120nmの膜厚で成膜したものを透明導電性支持基板として用いた。これをアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。さらに、UV/オゾン洗浄したものを透明導電性支持基板として使用した。
【0097】
透明導電性支持基板上に、下記構造式で示される化合物Bのクロロホルム溶液をスピンコート法により12nmの膜厚で成膜し、ホール輸送層5を形成した。
【0098】
【化31】


【0099】
さらに、下記構造式で示されるIr錯体およびCBP(重量比5:95)を真空蒸着法により30nmの膜厚で成膜し、発光層3を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.1から0.2nm/secの条件で成膜した。
【0100】
【化32】


【0101】
さらに、例示化合物A8を真空蒸着法により30nmの膜厚で成膜し、電子輸送層6を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.1から0.2nm/secの条件で成膜した。
【0102】
次に、陰極4として、アルミニウムとリチウム(リチウム濃度1原子%)からなる蒸着材料を用いて、上記有機層の上に真空蒸着法により厚さ50nmの金属層膜を形成し、さらに、真空蒸着法により厚さ150nmのアルミニウム層を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は1.0から1.2nm/secの条件で成膜した。さらに、窒素雰囲気中で保護用ガラス板をかぶせ、アクリル樹脂系接着材で封止した。
【0103】
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極2)を正極、Al−Li電極(陰極4)を負極にして、8Vの直流電圧を印加すると20mA/cm2の電流密度で電流が素子に流れ、3050cd/m2の輝度で緑色の発光が観測された。
【0104】
さらに、電流密度を10mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、初期輝度1510cd/m2から100時間後1440cd/m2と輝度劣化は小さかった。
実施例2から9
例示化合物A8に代えて、例示化合物A1、A3、A17、A29、A31、A40、A43、A44を用いた他は実施例1と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。結果を表1に示す。
【0105】
比較例1、2
例示化合物A8に代えて、下記構造式で示される化合物C1、C2を用いた他は実施例1と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。結果を表1に示す。
【0106】
【化33】


【0107】
【表1】


【0108】
実施例10
図2に示す構造の素子を作成した。
実施例1と同様に、透明導電性支持基板上にホール輸送層5を形成した。
【0109】
さらに、例示化合物A8を真空蒸着法により40nmの膜厚で成膜し、発光層兼電子輸送層6を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.1から0.2nm/secの条件で成膜した。
【0110】
次に、陰極4として、アルミニウムとリチウム(リチウム濃度1原子%)からなる蒸着材料を用いて、上記有機層の上に真空蒸着法により厚さ50nmの金属層膜を形成し、さらに真空蒸着法により厚さ150nmのアルミニウム層を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は1.0から1.2nm/secの条件で成膜した。さらに、窒素雰囲気中で保護用ガラス板をかぶせ、アクリル樹脂系接着材で封止した。
【0111】
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極2)を正極、Al−Li電極(陰極4)を負極にして、15Vの直流電圧を印加すると42mA/cm2の電流密度で電流が素子に流れ、4660cd/m2の輝度で青色の発光が観測された。
【0112】
さらに、電流密度を20mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、初期輝度2220cd/m2から100時間後1640cd/m2と輝度劣化は比較的小さかった。
【0113】
実施例11から16
例示化合物A8に代えて、例示化合物A11、A14、A27、A31、A40、A46を用いた他は実施例10と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。結果を表2に示す。
【0114】
比較例3、4
例示化合物A8に代えて、比較化合物C1、C2を用いた他は実施例10と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。結果を表2に示す。
【0115】
【表2】


【0116】
実施例17
図5に示す構造の素子を作成した。
実施例1と同様に、透明導電性支持基板上にホール輸送層5を形成した。さらに、1,1’−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2,7−ジイル)ジピレンを真空蒸着法により25nmの膜厚で成膜し発光層3を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.1から0.2nm/secの条件で成膜した。
【0117】
さらに、例示化合物A31を真空蒸着法により20nmの膜厚で成膜し、ホールブロッキング層8を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.1から0.2nm/secの条件で成膜した。
【0118】
さらに、2,9−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−1,10−フェナントロリンを真空蒸着法により20nmの膜厚で成膜し、電子輸送層6を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.1から0.2nm/secの条件で成膜した。
【0119】
次に、陰極4として、アルミニウムとリチウム(リチウム濃度1原子%)からなる蒸着材料を用いて、上記有機層の上に真空蒸着法により厚さ50nmの金属層膜を形成し、さらに真空蒸着法により厚さ150nmのアルミニウム層を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は1.0から1.2nm/secの条件で成膜した。
【0120】
さらに、窒素雰囲気中で保護用ガラス板をかぶせ、アクリル樹脂系接着材で封止した。
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極2)を正極、Al−Li電極(陰極4)を負極にして、6Vの直流電圧を印加すると12mA/cm2の電流密度で電流が素子に流れ、2000cd/m2の輝度で青色の発光が観測された。
【0121】
さらに、電流密度を15mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、初期輝度2510cd/m2から100時間後2330cd/m2と輝度劣化は小さかった。
実施例18から24
例示化合物A31に代えて、例示化合物A5、A8、A10、A19、A33、A34、A40を用いた他は実施例17と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。結果を表3に示す。
【0122】
比較例5、6
例示化合物A31に代えて、比較化合物C1、C2を用いた他は実施例17と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。結果を表3に示す。
【0123】
【表3】


【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明の縮合へテロ環化合物を含有する有機層は、電子輸送層およびホールブロッキング層として優れ、かつ発光層としても優れているので、有機発光素子に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明における有機発光素子の一例を示す断面図である。
【図2】本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。
【図5】本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。
【図6】本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0126】
1 基板
2 陽極
3 発光層
4 陰極
5 ホール輸送層
6 電子輸送層
7 ホール注入層
8 ホール/エキシトンブロッキング層
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100069017
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 徳廣


【公開番号】 特開2008−7490(P2008−7490A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−182247(P2006−182247)