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【発明の名称】 金属ポルフィリン−ポリオキソメタレート化合物
【発明者】 【氏名】小島 隆彦

【氏名】福住 俊一

【氏名】横山 温和

【要約】 【課題】金属ポルフィリンをビルディングブロックとする新規な超分子ないしポルフィリン多量体を提供すること。

【構成】ケギン型ポリオキソメタレートが、サドル状に歪んだ一対の金属ポルフィリンに挟まれ、かつ、化学結合している化合物。金属ポルフィリンの側鎖は、フェニル基などの嵩高い基で置換されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で示される、金属ポルフィリン−ポリオキソメタレート化合物。
【化1】



【化2】



(式中、Lは、ケギン型ポリオキソメタレートであり;
Mは、Cr、Mo、W、Mn、W、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Zn及びSnからなる群から選ばれた中心金属であり;
ケギン型ポリオキソメタレート(L)中の酸素原子が、中心金属(M)と結合しており;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12は、それぞれ、独立に、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基(−NH)、カルバモイル基(−CONH)、C〜C40炭化水素基、C〜C40アルコキシ基、C〜C40アリーロキシ基、C〜C40アシル基、C〜C40アシロキシ基、C〜C40アルコシキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、又は、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環と縮合していてもよい、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環(ただし、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環は、置換基を有していてもよいC〜C40炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アリーロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルキルチオ基、置換基を有していてもよいC〜C40アシル基、置換基を有していてもよいC〜C40アシロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、式−SOHで示される基で置換されていてもよい)であり、
ただし、R及びR、R及びR、R及びR10、並びに、R11及びR12は、一体となって、独立に、同一又は異なって、5〜10員炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環を形成してもよく(ただし、5〜10員炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環は、置換基を有していてもよいC〜C40炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アリーロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルキルチオ基、置換基を有していてもよいC〜C40アシル基、置換基を有していてもよいC〜C40アシロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、式−SOHで示される基で置換されていてもよい)、
ただし、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12のうちの少なくとも8の基は、独立に、同一又は異なって、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環と縮合していてもよい、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環(ただし、5〜10員炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環は、置換基を有していてもよいC〜C40炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アリーロキシ基、置換基を有していてもよいC〜Cアルキルチオ基、置換基を有していてもよいC〜C40アシル基、置換基を有していてもよいC〜C40アシロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、式−SOHで示される基で置換されていてもよい);
式−CR313233で示される基(R31、R32及びR33は、独立に、同一又は異なって、C〜C20炭化水素基である);又は
及びR、R及びR、R及びR10、並びに、R11及びR12は、一体となって、独立に、同一又は異なって、5〜10員脂肪族炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員脂肪族複素環を形成してもよく(ただし、5〜10員脂肪族炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員脂肪族複素環は、置換基を有していてもよいC〜C40炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜Cアリーロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルキルチオ基、置換基を有していてもよいC〜C40アシル基、置換基を有していてもよいC〜C40アシロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、式−SOHで示される基で置換されていてもよい)、
式(2)で示される金属ポルフィリンの中心金属(M)には、ケギン型ポリオキソメタレートの反対側から配位子(L)が軸配位していてもよく、ただし、配位子(L)は、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12の何れかと一体となっていてもよい。)
【請求項2】
ケギン型ポリオキソメタレートが、式[AXY1240で示される請求項1に記載の金属ポルフィリン−ポリオキソメタレート化合物。
(式中、Xは、Si、P、As、Ge、Ti、Ce、Th、Mn、Ni、Te、I、Co、Cr、Fe、Ga、B、V、Pt、Be及びZnからなる群より選ばれたヘテロ原子であり;
Yは、Mo、W及びVからなる群より選ばれた金属原子であり;
Aは、水素原子又はその置換原子若しくは原子団であり;
nは、正の整数であり;
lは、整数である。)
【請求項3】
Xは、Si、P、As、Ge、B、Ga及びZnからなる群より選ばれたヘテロ原子であり;
Yは、Mo及びWからなる群より選ばれた金属原子である、請求項2に記載の金属ポルフィリン−ポリオキソメタレート化合物。
【請求項4】
Mは、Cr、Mo、Mn、W、Re、Fe、Ru、Zn及びSnからなる群から選ばれた中心金属であり;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12は、独立に、同一又は異なって、
5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環と縮合していてもよい、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環(ただし、5〜10員炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環は、置換基を有していてもよいC〜C40炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アリーロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルキルチオ基、置換基を有していてもよいC〜C40アシル基、置換基を有していてもよいC〜C40アシロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、式−SOHで示される基で置換されていてもよい);
式−CR313233で示される基(R31、R32及びR33は、独立に、同一又は異なって、C〜C20炭化水素基である);又は
及びR、R及びR、R及びR10、並びに、R11及びR12は、一体となって、独立に、同一又は異なって、5〜10員脂肪族炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員脂肪族複素環を形成してもよく(ただし、5〜10員脂肪族炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員脂肪族複素環は、置換基を有していてもよいC〜C40炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜Cアリーロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルキルチオ基、置換基を有していてもよいC〜C40アシル基、置換基を有していてもよいC〜C40アシロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、式−SOHで示される基で置換されていてもよい)である、
請求項1、2又は3に記載の金属ポルフィリン−ポリオキソメタレート化合物。
【請求項5】
、R、R及びRが同一の基であり、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12が同一の基である請求項1〜4の何れかに記載の金属ポルフィリン−ポリオキソメタレート化合物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ポルフィリンとポリオキソメタレートとの化合物に関し、詳しくは、ケギン型ポリオキソメタレートが一対の金属ポルフィリンに挟まれている化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポルフィリンは、4つのピロール環がα位で4つのメチン基と交互に結合した大環状化合物及びその誘導体の総称である。金属ポルフィリンは、ポルフィリン環の中心に金属イオンが配置されている物質の総称である。金属ポルフィリンは、生体反応(例えば、光捕集、エネルギー移動、電子移動、分子認識など)で重要な役割を担っている。例えば、赤血球中のヘモグロビンでは、金属ポルフィリンの一種である鉄ポルフィリンが活性部位になっている。金属ポルフィリンは、機能化が容易で安定性も高く、また、酸化還元電位を変化させることが可能であることから、近年様々な分野において機能性材料としての応用が期待されている。
【0003】
近年、金属ポルフィリンは、超分子(supramolecule)を構築するためのビルディングブロックとして注目されている。このような超分子は、分子ワイヤ、分子スイッチ、分子記憶素子、非線形光学材料、光捕集系などとして研究されている(例えば、非特許文献1)。また、水素結合や金属配位子結合などの非共有相互作用により自己組織的に形成される超分子は、ポルフィリン多量体の形成が比較的容易であり、また、温度や濃度を調整することにより、多量体の構造を制御可能である(例えば、非特許文献2)。例えば、小夫家等はイミダゾリルポルフィリン金属錯体をビルディングブロックとするポルフィリン多量体を提案しており、巨大連鎖構造体(例えば、特許文献1)や大環状構造体(例えば、非特許文献3)を報告している。
【0004】
また、金属ポルフィリンをビルディングブロックとして含む超分子に光が照射された場合、金属ポルフィリン部分の中心金属が光により励起されることに起因して、様々な光反応が起こる。また、このような超分子は、酸化還元反応も惹起する。
【0005】
一方、ポリオキソメタレートは、有機反応における酸化触媒、及び、光酸化触媒などの光触媒に用いられている。また、ポリオキソメタレートは、多段階のレッドクスプロセスを示すことも知られている。ポリオキソメタレートの組成は様々であり、例えば、ケギン(Keggin)型(A型):[XM1240n−、ケギン(Keggin)型(分解):[XM1139n−、ドーソン(Dawson)型:[X1862、シルバートーン(Silverton)型(B型):[XY1242n−、ストランドベルク(Strandberg)型:[X23n−、アンダーソン(Anderson)型(A型) :[XY24n−、アンダーソン(Anderson)型(B型):[XM24n−、リンドビスト(Lindqvist)型:[XY24n−などが知られている。
【0006】
非特許文献4には、酸化モリブデン、テトラピリジルポルフィリン(tpypor)、及び、鉄(II)前駆体を熱水反応(hydrothermal reaction)させ、[{Fe(tpypor)}Fe(Mo19]xHOを合成することが報告されている。[Mo192−クラスターは、ポリオキソメタレートであるが、ケギン型ポリオキソメタレートではない。
【0007】
非特許文献5には、[Mo(DPP)(O)(HO)]とポリオキソメタレートが水素結合により集積し、ポルフィリン超分子を生成することが記載されている。更に具体的には、前駆体である[Mo(DPP)(O)(OCH)]が再結晶の過程で分解し、[Mo(DPP)(O)(HO)]と4核モリブデンオキソクラスターを与え、それらが自己集積によりポルフィリンナノチューブが生成する。なお、式中、DPPとは、ドデカフェニルポルフィリンを意味する。ポリオキソメタレートである4核モリブデンオキソクラスターは、ケギン型ポリオキソメタレートではない。
【0008】
特許文献2には、一対の金属ポルフィリンが、フェニレンエチニレンなどのπ共役系のリンカーにより連結されている化合物が記載されている。この化合物では、金属ポルフィリン中の中心金属が、リンカーの末端炭素原子とσ結合している。
【0009】
【特許文献1】特許第3256742号
【特許文献2】特開2005−289967
【非特許文献1】Chem,Rev.101,2751(2001)
【非特許文献2】Eur.J.Inorg.Chem.2371(2003)
【非特許文献3】J.Am.Chem.Soc.125,2372(2003)
【非特許文献4】D.Hagrman,P.J.Hagrman,J.Zubieta,Angew.Chem.Int.Ed.1999,38,3165.
【非特許文献5】“A Porphyrin Nanotube:Size−Selective Inclusion of Tetranuclear Molybdenum−Oxo Clusters”R.Harada,Y.Matsuda,H.Okawa,T.Kojima,Angew.Chem.Int.Ed.2004,43,1825.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、金属ポルフィリンをビルディングブロックとする新規な超分子ないしポルフィリン多量体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、式(1)で示される、金属ポルフィリン−ポリオキソメタレート化合物を提供する。
【化1】



【化2】



(式中、Lは、ケギン型ポリオキソメタレートであり;
Mは、Cr、Mo、W、Mn、W、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Zn及びSnからなる群から選ばれた中心金属であり;
ケギン型ポリオキソメタレート(L)中の酸素原子が、中心金属(M)と結合しており;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12は、それぞれ、独立に、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基(−NH)、カルバモイル基(−CONH)、C〜C40炭化水素基、C〜C40アルコキシ基、C〜C40アリーロキシ基、C〜C40アシル基、C〜C40アシロキシ基、C〜C40アルコシキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、又は、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環と縮合していてもよい、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環(ただし、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環は、置換基を有していてもよいC〜C40炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アリーロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルキルチオ基、置換基を有していてもよいC〜C40アシル基、置換基を有していてもよいC〜C40アシロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、式−SOHで示される基で置換されていてもよい)であり、
ただし、R及びR、R及びR、R及びR10、並びに、R11及びR12は、一体となって、独立に、同一又は異なって、5〜10員炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環を形成してもよく(ただし、5〜10員炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環は、置換基を有していてもよいC〜C40炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アリーロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルキルチオ基、置換基を有していてもよいC〜C40アシル基、置換基を有していてもよいC〜C40アシロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、式−SOHで示される基で置換されていてもよい)、
ただし、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12のうちの少なくとも8の基は、独立に、同一又は異なって、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環と縮合していてもよい、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環(ただし、5〜10員炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環は、置換基を有していてもよいC〜C40炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アリーロキシ基、置換基を有していてもよいC〜Cアルキルチオ基、置換基を有していてもよいC〜C40アシル基、置換基を有していてもよいC〜C40アシロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、式−SOHで示される基で置換されていてもよい);
式−CR313233で示される基(R31、R32及びR33は、独立に、同一又は異なって、C〜C20炭化水素基である);又は
及びR、R及びR、R及びR10、並びに、R11及びR12は、一体となって、独立に、同一又は異なって、5〜10員脂肪族炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員脂肪族複素環を形成してもよく(ただし、5〜10員脂肪族炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員脂肪族複素環は、置換基を有していてもよいC〜C40炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜Cアリーロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルキルチオ基、置換基を有していてもよいC〜C40アシル基、置換基を有していてもよいC〜C40アシロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、式−SOHで示される基で置換されていてもよい)、
式(2)で示される金属ポルフィリンの中心金属(M)には、ケギン型ポリオキソメタレートの反対側から配位子(L)が軸配位していてもよく、ただし、配位子(L)は、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12の何れかと一体となっていてもよい。)
【0012】
本発明において、ケギン型ポリオキソメタレートが、式[AXY1240で示されることが好ましい。
(式中、Xは、Si、P、As、Ge、Ti、Ce、Th、Mn、Ni、Te、I、Co、Cr、Fe、Ga、B、V、Pt、Be及びZnからなる群より選ばれたヘテロ原子であり;
Yは、Mo、W及びVからなる群より選ばれた金属原子であり;
Aは、水素原子又はその置換原子若しくは原子団であり;
nは、正の整数であり;
lは、整数である。)
【0013】
また、Xは、Si、P、As、Ge、B、Ga及びZnからなる群より選ばれたヘテロ原子であり;Yは、Mo及びWからなる群より選ばれた金属原子であることが好ましい。
【0014】
更に、Mは、Cr、Mo、Mn、W、Re、Fe、Ru、Zn及びSnからなる群から選ばれた中心金属であり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12は、独立に、同一又は異なって、
5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環と縮合していてもよい、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環
(ただし、5〜10員炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環は、置換基を有していてもよいC〜C40炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アリーロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルキルチオ基、置換基を有していてもよいC〜C40アシル基、置換基を有していてもよいC〜C40アシロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、式−SOHで示される基で置換されていてもよい);
式−CR313233で示される基(R31、R32及びR33は、独立に、同一又は異なって、C〜C20炭化水素基である);又は
及びR、R及びR、R及びR10、並びに、R11及びR12は、一体となって、独立に、同一又は異なって、5〜10員脂肪族炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員脂肪族複素環を形成してもよく(ただし、5〜10員脂肪族炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員脂肪族複素環は、置換基を有していてもよいC〜C40炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜Cアリーロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルキルチオ基、置換基を有していてもよいC〜C40アシル基、置換基を有していてもよいC〜C40アシロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、式−SOHで示される基で置換されていてもよい)であることが好ましい。
【0015】
更に、R、R、R及びRが同一の基であり、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12が同一の基であることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一般式(1)及び(2)で示される化合物について説明する。
一般式(1)及び(2)において、ケギン型ポリオキソメタレートが一対の金属ポルフィリンに挟まれている。具体的には、ケギン型ポリオキソメタレート中の酸素原子の1つが、一方の金属ポルフィリンの中心金属と化学結合(典型的には、配位結合)を形成し、ケギン型ポリオキソメタレート中の酸素原子の別の1つが、他方の金属ポルフィリンの中心金属と化学結合(典型的には、配位結合)を形成している。一対の金属ポルフィリンは、互いに、対称的に配置していることが好ましい。
【0017】
一般式(1)及び(2)において、Mは、Cr、Mo、W、Mn、W、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Zn及びSnからなる群から選ばれた中心金属であり、Cr、Mo、Mn、W、Re、Fe、Ru、Zn及びSnからなる群から選ばれた中心金属であることが好ましい。また、これらの中心金属は、5配位又は6配位できることが好ましい。
【0018】
中心金属が5配位の場合には、ポルフィリン環の4つの窒素原子及びケギン型ポリオキソメタレートの酸素原子のうちの1つが中心金属と化学結合している。一方、中心金属が6配位の場合には、ポルフィリン環の4つの窒素原子、ケギン型ポリオキソメタレートの酸素原子のうちの1つ、及び、別個の配位子(L)が中心金属と化学結合している。この場合には、配位子(L)が中心金属と軸方向で化学結合している。
【0019】
配位子(L)は、金属ポルフィリンのR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12の何れかと一体となっていてもよい。即ち、配位子(L)は、金属ポルフィリンのR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12の何れかの一部となっていてもよい。
【0020】
一般式(1)において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12は、それぞれ、独立に、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基(−NH)、カルバモイル基(−CONH)、C〜C40炭化水素基、C〜C40アルコキシ基、C〜C40アリーロキシ基、C〜C40アシル基、C〜C40アシロキシ基、C〜C40アルコシキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、Rは、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、又は、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環と縮合していてもよい、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環(ただし、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環は、置換基を有していてもよいC〜C40炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アリーロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルキルチオ基、置換基を有していてもよいC〜C40アシル基、置換基を有していてもよいC〜C40アシロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、式−SOHで示される基で置換されていてもよい)である。ただし、R及びR、R及びR、R及びR10、並びに、R11及びR12は、一体となって、独立に、同一又は異なって、5〜10員炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環を形成してもよく(ただし、5〜10員炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環は、置換基を有していてもよいC〜C40炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アリーロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルキルチオ基、置換基を有していてもよいC〜C40アシル基、置換基を有していてもよいC〜C40アシロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、式−SOHで示される基で置換されていてもよい)。
【0021】
本明細書において、C〜C40炭化水素基には、C〜C40アルキル基;C〜C40アルケニル基;C〜C40アルカンジエニル基;C〜C40アルキニル基;アルキル基(例えば、C〜C20アルキル基)、アルケニル基(例えば、C〜C20アルケニル基)、アルカンジエニル基(例えば、C〜C20アルカンジエニル基)、アルキニル基(例えば、C〜C20アルキニル基)、シクロアルキル基(例えば、C〜Cシクロアルキル基)、アリール基(例えば、C〜C20アリール基)などで置換されてもよいシクロアルキル基(特に、C〜C10シクロアルキル基);アルキル基(例えば、C〜C20アルキル基)、アルケニル基(例えば、C〜C20アルケニル基)、アルカンジエニル基(例えば、C〜C20アルカンジエニル基)、アルキニル基(例えば、C〜C20アルキニル基)、シクロアルキル基(例えば、C〜C10シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C〜C20アリール基)などで置換されてもよいアリール基(特に、C〜C20アリール基);C〜C40アラルキル基(例えば、ベンジル基)などが含まれる。C〜C40炭化水素基は、C〜C20炭化水素基が好ましく、C〜C10炭化水素基が更に好ましい。
【0022】
本明細書において、アリール基には、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが含まれる。
【0023】
〜C40アルコキシ基は、C〜C20アルコキシ基が好ましく、C〜C10アルコキシ基が更に好ましい。
【0024】
〜C40アリーロキシ基は、C〜C20アリーロキシ基が好ましく、C〜Cアリーロキシ基が更に好ましい。
【0025】
〜C40アシル基は、C〜C20アシル基が好ましく、C〜C10アシル基が更に好ましい。
【0026】
〜C40アシロキシ基は、C〜C20アシロキシ基が好ましく、C〜C10アシロキシ基が更に好ましい。
【0027】
〜C40アルコシキシカルボニル基は、C〜C20アルコシキシカルボニル基が好ましく、C〜C10アルコシキシカルボニル基が更に好ましい。
【0028】
本明細書では、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、及び、式−C(O)−NR22で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)において、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C20アルキル基が好ましく、C〜C10アルキル基が更に好ましい。
【0029】
本明細書において、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。
【0030】
「5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環と縮合していてもよい、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環」には、単環式5〜10員炭素環;1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む単環式5〜10員複素環;5〜10員炭素環と縮合している5〜10員炭素環;5〜10員炭素環と縮合している1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環;1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環と縮合している1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環が含まれる。
【0031】
本明細書において、5〜10員炭素環は、5〜10員脂肪族炭素環であってもよいし、5〜10員芳香族炭素環であってもよい。例えば、5〜10員炭素環は、5〜10員シクロアルキル環でもよいし、フェニル基のようなアリール基でもよい。また、「5〜10員炭素環」は、5〜8員炭素環が好ましく、5〜7員炭素環が更に好ましい。
【0032】
本明細書において、5〜10員複素環は、5〜10員脂肪族複素環であってもよいし、5〜10員芳香族複素環であってもよい。1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む、5〜10員複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、2H−ピロール、ピラン、チオピラン、ピリジン、オキサゾール(oxazole)、イソキサゾール(isoxazole)、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、イミダゾール、ピラゾール、ピロリジン(pyrrolidine)、イミダゾリジン(imidazolidine)、ピラゾリジン(pyrazolidine)、ピペリジン(piperidine)、ピペラジン(piperazine)、ピロリン(pyrroline)、イミダゾリン(imidazoline)、ピラゾリン(pyrazoline)、モルフォリン(morpholine)、アゼピン、アゾシンなどが挙げられる。「1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環」は、飽和環であってもよいし、不飽和環であってもよい。
【0033】
「1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環」は、「1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜8員複素環」が好ましく、「1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜7員複素環」が更に好ましい。
【0034】
また、「1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環」は、「1〜2個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環」が好ましく、「1〜2個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜8員複素環」が更に好ましく、「1〜2個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜7員複素環」が更になお好ましい。
【0035】
「5〜10員炭素環」は、5〜10員炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環と縮合していてもよい。同様に、「1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環」は、5〜10員炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環と縮合していてもよい。
【0036】
5〜10員炭素環と縮合している5〜10員炭素環、即ち、縮合炭素環には、例えば、ナフタレン、インデン、ペンタレン、アズレン、ヘプタレン等の2環式縮合炭素環、及び、例えば、アントラセン、インダセン、フェナントレン等の3環式縮合炭素環が含まれる。
【0037】
縮合複素環には、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン(indolizine)、クロメン(chromene)、ベンゾピラン(benzopyran)、キノリン(quinoline)、イソキノリン(isoquinoline)、ベンズイミダゾール、インダゾール、ナフチリジン(naphthyridine)、キノキサリン(quinoxaline)、キナゾリン(quinazoline)、プリン(purine)、インドリン(indoline)、イソインドリン(isoindoline)、クロマン(chroman)等の2環式縮合複素環、ザンセン(xanthene)、アクリジン(acridine)、フェナントロリン(phenanthroline)、チアントレン(thianthrene)、フェノキサチイン(phenoxathiin)、フェノキサジン(phenoxazine)等の3環式縮合複素環が含まれる。
【0038】
5〜10員炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環は、置換基を有していてもよいC〜C40炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アリーロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルキルチオ基、置換基を有していてもよいC〜C40アシル基、置換基を有していてもよいC〜C40アシロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、式−SOHで示される基で置換されていてもよい。
【0039】
上記環の置換基であってもよい、C〜C40炭化水素基、C〜C40アルコキシ基、C〜C40アリーロキシ基、C〜C40アシル基、C〜C40アシロキシ基、C〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)については上述の通りである。
【0040】
〜C40アルキルチオ基は、C〜C20アルキルチオ基が好ましく、C〜Cアルキルチオ基が更に好ましい。
【0041】
上記環の置換基であってもよい、C〜C40炭化水素基、C〜C40アルコキシ基、C〜C40アリーロキシ基、C〜C40アルキルチオ基、C〜C40アシル基、C〜C40アシロキシ基、C〜C40アルコキシカルボニル基は、更に、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基(−NH)、カルバモイル基(−CONH)、C〜C40炭化水素基、C〜C40アルコキシ基、C〜C40アリーロキシ基、C〜C40アシル基、C〜C40アシロキシ基、C〜C40アルコシキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、又は、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環と縮合していてもよい、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環、式−SOHで示される基などが挙げられる。
【0042】
本発明では、式(2)で示される金属ポルフィリンは、平面形状よりも、中心金属(M)を中心として、若干、湾曲し、ポリオキソメタレートを包むようになっていることが望まれる。金属ポルフィリンが歪んでいることにより、中心金属と、ポルフィリン環中の窒素原子との配位結合が弱くなり、中心金属の軸方向の化学結合、特に、中心金属とポリオキソメタレート中の酸素原子との化学結合が強くなると考えられている。
【0043】
式(2)で示される金属ポルフィリンが、中心金属(M)を中心として、若干、湾曲する構造となるために、R〜R12のうちの少なくとも8の基は、同一又は異なって、嵩高い(bulky)基であることが好ましく、R〜R12の全てが、同一又は異なって、嵩高い(bulky)基であることが更に好ましい。
【0044】
本明細書において、嵩高い(bulky)基とは、具体的には、5〜10員炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環と縮合していてもよい、5〜10員炭素環、若しくは、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環(ただし、5〜10員炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環は、置換基を有していてもよいC〜C40炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アリーロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルキルチオ基、置換基を有していてもよいC〜C40アシル基、置換基を有していてもよいC〜C40アシロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、R21は、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、式−SOHで示される基で置換されていてもよい);式−CR313233で示される基(R31、R32及びR33は、独立に、同一又は異なって、C〜C20炭化水素基である);又は、R及びR、R及びR、R及びR10、並びに、R11及びR12が、独立に、同一又は異なって、一体となって形成する、5〜10員脂肪族炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員脂肪族複素環である(ただし、5〜10員脂肪族炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員脂肪族複素環は、置換基を有していてもよいC〜C40炭化水素基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アリーロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルキルチオ基、置換基を有していてもよいC〜C40アシル基、置換基を有していてもよいC〜C40アシロキシ基、置換基を有していてもよいC〜C40アルコキシカルボニル基、式−NHR21で示される基(式中、R21は、C〜C40アルキル基)、式−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NHR21で示される基(式中、Rは、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、式−C(O)−NR2122で示される基(式中、R21及びR22は、独立に、同一又は異なって、C〜C40アルキル基)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、式−SOHで示される基で置換されていてもよい)。
【0045】
式−CR313233で示される基としては、R31、R32及びR33は、独立に、同一又は異なって、C〜C20炭化水素基であり、C〜C10炭化水素基であることが好ましく、C〜C炭化水素基であることが更に好ましく、C〜Cアルキル基であることが更になお好ましく、C〜Cアルキル基であることが最も好ましい。式−CR313233で示される基としては、例えば、t−ブチル基が挙げられる。
【0046】
上述するように、R及びR、R及びR、R及びR10、並びに、R11及びR12は、独立に、同一又は異なって、一体となって、5〜10員炭素環、又は、1〜3個の酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む5〜10員複素環を形成してもよい。嵩高基としては、これらの環は脂肪族に限定される。R及びR、R及びR、R及びR10、又は、R11及びR12が、一体となって、芳香族環を形成した場合には、ポルフィリンのπ共役系が拡がり、ポルフィリンが平面形状になり易く、サドル形状に歪み難くなるからである。なお、例えば、R及びRが脂肪族環を形成した場合には、2つの基が嵩高基に置換されていると計算する。
【0047】
合成上の観点から、R、R、R及びRが同一であることが好ましく、また、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12が同一であることが好ましい。
【0048】
本発明化合物では、式(1)中、Lは、ケギン型ポリオキソメタレートである。ケギン型ポリオキソメタレートは、いわゆるA型でもよいし、分解型、欠損型であってもよい。
【0049】
A型ケギン型ポリオキソメタレートとは、式[AXY1240で示され、式中、Xは、Si、P、As、Ge、Ti、Ce、Th、Mn、Ni、Te、I、Co、Cr、Fe、Ga、B、V、Pt、Be及びZnからなる群より選ばれたヘテロ原子であり、Si、P、As、Ge、B、Ga及びZnからなる群より選ばれたヘテロ原子であることが好ましく;Yは、Mo、W及びVからなる群より選ばれた金属原子であり、Mo及びWからなる群より選ばれた金属原子であることが好ましく;Aは、水素原子又はその置換原子若しくは原子団であり;nは、正の整数であり、1〜10であることが好ましく、1〜6であることが更に好ましく;lは、整数であり、0以下の整数であることが好ましく、0〜−10であることが更に好ましく、0〜−6であることが更に好ましい。なお、式中、Xは中心元素を示す。Aは、水素原子であってもよいし、水素原子の一部又は全部をアルカリ金属、アルカリ土類金属、種々の遷移金属又はアミン類で置換したものなどであってもよい。
【0050】
また、ケギン型ポリオキソメタレートは、式[AXY1139で示される欠損型(lacunary)ポリオキソメタレートであってもよい(式中、X、Y、A、n及びlは上記の通りである。)。
【0051】
また、ケギン型ポリオキソメタレートは、式[AXY1139で示される欠損型(lacunary)ポリオキソメタレートの欠損部位に遷移金属が置換された、式[AXY1139Z](式中、X、Y、A、n及びlは上記の通りであり、XはSi又はPが好ましく、YはWが好ましい。Zは、Fe、Ru、La、Pr、Sm、Eu、Gd、Dy、Tm、Ybなどの遷移金属である)であってもよい。遷移金属置換ケギン型ポリオキソメタレートは、例えば、Chem.Rev.1998、98、219−237に記載されている。
【0052】
また、ケギン型ポリオキソメタレートは、式[AXY12−m40l−で示されるポリオキソメタレートであってもよい。式中、Xは、Si、P、As、Ge、Ti、Ce、Th、Mn、Ni、Te、I、Co、Cr、Fe、Ga、B、V、Pt、Be及びZnからなる群より選ばれたヘテロ原子であり、Si、P、As、Ge、B、Ga及びZnからなる群より選ばれたヘテロ原子であることが好ましく;Yは、Mo、W及びVからなる群より選ばれた金属原子であり、Mo及びWからなる群より選ばれた金属原子であることが好ましく;Yは、Mo、W及びVからなる群より選ばれた金属原子であり、Mo及びWからなる群より選ばれた金属原子であることが好ましく、YはYと異なり;Aは、水素原子又はその置換原子若しくは原子団であり;nは、正の整数であり;mは、1〜11の整数である。
【0053】
ケギン型ポリオキソメタレートは、式[XY10(HO)36−mq−で示される二欠損ケギン型ポリオキソメタレートであってもよい。式中、Xは、ケイ素原子又はリン原子を表す。Yは、同一若しくは異なって、タングステン原子又はモリブデン原子を表す。mは、1〜4の整数を表す。qは価数を表し、正の整数である。)で表されるケギン型ヘテロポリオキソメタレートアニオンであってもよく、[SiW10(HO)344−であってもよい。二欠損ケギン型ポリオキソメタレートの合成方法は、特開2004−244509号公報、及び、Inorganic Syntheses Vol.27,p88に詳細に記載されている。
【0054】
本発明化合物の合成方法について述べる。式(2)又は下記式(3)で示される金属ポルフィリンの製造方法は、例えば、特開2005−314235号公報、特開2005−289967号公報に記載されている。
【0055】
本発明化合物は、下記式(3)で示される金属ポルフィリンの配位子Lを、ケギン型ポリオキソメタレートアニオンと置換することにより、合成することができる。
【化3】



(式中、M、並びに、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12は、上記の意味を有する。Lは、中心金属Mに配意する配位子である。)
配位子Lは、中心金属に軸配位していることが好ましく、中心金属に弱く軸配位していることが更に好ましい。配位子Lは、例えば、水、ハロゲン原子、アンミン等である。式(3)で示される金属ポルフィリンは、カチオンであることが好ましい。配位子Lは、1つであることが好ましいが、中心金属の配位数、価数によっては、複数であってもよい。
【0056】
例えば、ケギン型ポリオキソメタレートアニオン1モル部と、式(3)で示される金属ポルフィリン1〜5モル部、好ましくは、1〜3モル部を混合することができる。
【0057】
ケギン型ポリオキソメタレートアニオンは一般に水溶性である。そこで、本発明化合物を合成するための出発物質としてケギン型ポリオキソメタレートアニオンを用いる場合には、ケギン型ポリオキソメタレートアニオンの有機溶媒への溶解性を高めるため、対カチオンが有機カチオンであることが好ましい。例えば、対カチオンとして、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオンなどを用いることができる。
【0058】
配位子交換反応は、有機溶媒中で行われることが好ましく、極性溶媒中で行われることが更に好ましい。具体的には、ケギン型ポリオキソメタレートアニオンの第1有機溶媒の溶液と、式(3)で示される金属ポルフィリンの第2有機溶媒の溶液を混合し、その後、放置することが好ましい。第1有機溶媒と第2有機溶媒は、異なることが好ましい。例えば、第1有機溶媒としては、アセトニトリルのようなニトリル類が好ましい。第2有機溶媒としては、酢酸エチル等のC〜Cカルボン酸とC〜Cアルコールとからなるエステルが好ましい。
【0059】
配位子交換反応における温度、典型的には、混合溶液を放置しているときの温度は、当然、その溶媒の融点と沸点の間であり、用いる溶媒によっても異なる。例えば、−80℃〜80℃であってもよく、−60℃〜60℃であってもよく、−40℃〜40℃であってもよく、−30℃〜30℃であってもよい。
【0060】
配位子交換反応は、ヘキサン等の非極性溶媒の雰囲気下で行われることが好ましく、例えば、ヘキサン等の非極性溶媒の蒸気を配位子交換反応中の溶液に拡散させることが好ましい。非極性溶媒としては、例えば、ヘキサンのようなC〜Cアルカンを用いることができる。
【0061】
配位子交換反応は、0.1〜10気圧、好ましくは0.5〜3気圧、更に好ましくは0.8〜1.5気圧、更になお好ましくは、ほぼ1気圧の圧力下で行われてもよい。なお、この圧力は、全圧である。ヘキサン等の非極性溶媒の雰囲気で配位子交換反応が行われる場合には、非極性溶媒の分圧は、1気圧以下が好ましく、0.5気圧以下が更に好ましく、0.2気圧以下が更に好ましい。
【実施例】
【0062】
参考例1
[Mo(ドデカフェニルポルフィリン)(O)(HO)]ClO
[Mo(ドデカフェニルポルフィリン)(O)(OCH)](781mg、0.572mmol)を塩化メチレン(200ml)に溶解し、得られた溶液を2%過塩素酸(HClO)水溶液、100mlで3回、洗浄した。得られた塩化メチレン溶液をMgSOで乾燥し、ろ過し、真空中で5mlにまで濃縮した。残った溶液上に静かにヘキサンを注ぎ、塩化メチレン層上にヘキサン層を形成した。このまま放置したら、1週間後に、標記化合物が、緑色結晶(712mg、92.1%)として得られた。
【0063】
元素分析(%):C9262ClMoN計算値:C 76.16,H 4.31,N 3.86;実験値:C 76.13,H 4.73,N 3.77.
【0064】
標記化合物を電子スピン共鳴(ESR)装置で分析した。そのスペクトラムを図6及び図7に示す。
【0065】
参考例2
[(n−CN]SiW1240
SiW1240・17HO(5.13g、1.54mmol)の水溶液(10ml)と、(n−CNBr(2.48g,7.70mmol)の水溶液(10ml)とを混合した。次いで、白色沈殿物をろ過し、水で洗浄し、アセトニトリル(10ml)に溶解した。このアセトニロリル溶液に水を添加し、白色沈殿物をろ過し、次いで、真空中で乾燥した。標記化合物が得られた(4.41g、74.0%)。
【0066】
元素分析(%):C6411440SiW12計算値:C 20.00,H 3.78,N 1.46;実験値:C 19.99,H 3.76,N 1.46.
【0067】
実施例1
[{Mo(ドデカフェニルポルフィリン)(O)}{HSiW1240}]
参考例1で得られた[Mo(ドデカフェニルポルフィリン)(O)(HO)](100mg、0.069mmol)の酢酸エチル溶液(10ml)と、参考例2で得られた[(n−CN]SiW1240(103mg、0.027mmol)のアセトニトリル溶液(10ml)を、大気圧、室温にて混合した。得られた混合溶液にヘキサン蒸気を大気圧下、室温にて拡散させ、4日後に、標記化合物が、茶色結晶(31.2mg)として得られた。
【0068】
MALDI−TOF−MS:5542.126(観測値[M−H)アニオンモードで測定;5542.00([C18412142SiMo12としての計算値)
【0069】
標記化合物の単結晶X線構造回折の結果を図1及び図2に示す。なお、単結晶X線構造回折に用いた単結晶は、0℃で放置した際に析出したものである。
【0070】
標記化合物の溶液を可視分光分析しながら、その溶液にトリエチルアミンを滴下した。その結果を図3に示す。2当量までのトリエチルアミンの添加に伴うスペクトル変化は観測された。しかし、2当量以上トリエチルアミンを添加しても、スペクトルは変化しなかった。この実験結果により、標記化合物中において、ポリオキソメタレート[HSiW1240]中に2個の水素原子が、図1で水平方向に配置している2個の酸素原子のそれぞれに結合していることが確認された。
【0071】
標記化合物のベンゾニトリル溶液中におけるサイクリックボルタンメトリー結果を図4に示す。標記化合物の塩化メチレン溶液を電子スピン共鳴(ESR)装置で分析した。その結果を図8及び図9に示す。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】[{Mo(ドデカフェニルポルフィリン)(O)}{HSiW1240}]の単結晶X線構造回折の結果である。
【図2】[{Mo(ドデカフェニルポルフィリン)(O)}{HSiW1240}]の単結晶X線構造回折の結果であり、チャネル構造を示すものである。
【図3】トリエチルアミンを添加したときの、[{Mo(ドデカフェニルポルフィリン)(O)}{HSiW1240}]の可視分光分析の結果である。
【図4】[{Mo(ドデカフェニルポルフィリン)(O)}{HSiW1240}]のサイクリックボルタンメトリーの結果である。
【図5】[Mo(ドデカフェニルポルフィリン)(O)(HO)]の単結晶X線構造回折のオルテップ(ORTEP)図である。
【図6】[Mo(ドデカフェニルポルフィリン)(O)(HO)]ClOの電子スピン共鳴(ESR)スペクトラムである。
【図7】[Mo(ドデカフェニルポルフィリン)(O)(HO)]ClOの電子スピン共鳴(ESR)スペクトラムである。
【図8】[{Mo(ドデカフェニルポルフィリン)(O)}{HSiW1240}]の電子スピン共鳴(ESR)スペクトラムである。
【図9】[{Mo(ドデカフェニルポルフィリン)(O)}{HSiW1240}]の電子スピン共鳴(ESR)スペクトラムである。
【出願人】 【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100066692
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓

【識別番号】100072040
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇

【識別番号】100109265
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 誠

【識別番号】100107504
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 克則


【公開番号】 特開2008−7477(P2008−7477A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−181187(P2006−181187)