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【発明の名称】 N−置換アニリン誘導体、1−置換インドール誘導体、1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール及び3−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−4−[1−[1−(ピリジン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−インドール−3−イル]−1H−ピロール−2,5−ジオンの製造方法
【発明者】 【氏名】工藤 健二

【氏名】山本 敏夫

【氏名】平尾 純孝

【氏名】蔭山 秀樹

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(a1)で表されるアニリン誘導体と一般式(b1)で表されるカルボニル化合物と水素を用いて還元アミノ化反応を行うことを特徴とする一般式(c1)で表されるN−置換アニリン誘導体の製造方法。
【化1】


(式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R2〜5はそれぞれ独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数1〜15のアルキル基、置換基を有していても良いオキシ基、置換基を有していても良いアミノ基、メルカプト基、スルフィド基、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、置換基を有していても良いカルボニル基、置換基を有していても良いシリル基、置換基を有していても良い炭素数4〜15の単環、二環または三環式アリール基、置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む単環、二環、または三環式ヘテロアリール基、置換基を有していても良い炭素数3〜15の単環、二環または三環式のシクロアルカン基、置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環または三環式のヘテロシクロアルカン基を示し、R6、R7はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していても良い炭素数1〜15のアルキル基、置換基を有していても良いシリル基、置換基を有していても良い炭素数3〜15の単環、二環または三環式のシクロアルカン基、置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環または三環式のヘテロシクロアルカン基、R6とR7は置換基を有していても良い炭素鎖でつながっている炭素数3〜15の環状アルカン基、R6とR7は置換基を有していても良く酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素鎖でつながっている炭素数3〜15の環状へテロアルカン基のいずれかを示す。)
【請求項2】
一般式(a1)で表されるアニリン誘導体と一般式(b1)で表されるカルボニル化合物と水素を用いて還元アミノ化反応を行った後、次いで環化反応を行うことを特徴とする一般式(d1)で表される1−置換インドール誘導体の製造方法。
【化2】


(式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R2〜5はそれぞれ独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数1〜15のアルキル基、置換基を有していても良いオキシ基、置換基を有していても良いアミノ基、メルカプト基、スルフィド基、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、置換基を有していても良いカルボニル基、置換基を有していても良いシリル基、置換基を有していても良い炭素数4〜15の単環、二環または三環式アリール基、置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む単環、二環、または三環式ヘテロアリール基、置換基を有していても良い炭素数3〜15の単環、二環または三環式のシクロアルカン基、置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環または三環式のヘテロシクロアルカン基を示し、R6、R7はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していても良い炭素数1〜15のアルキル基、置換基を有していても良いシリル基、置換基を有していても良い炭素数3〜15の単環、二環または三環式のシクロアルカン基、置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環または三環式のヘテロシクロアルカン基、R6とR7は置換基を有していても良い炭素鎖でつながっている炭素数3〜15の環状アルカン基、R6とR7は置換基を有していても良く酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素鎖でつながっている炭素数3〜15の環状へテロアルカン基のいずれかを示す。)
【請求項3】
下記工程[A]から[D]を順に行うことを特徴とする1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体の製造方法。

[A]一般式(a1)で表されるアニリン誘導体と一般式(b2)で表されるピペリドン誘導体と水素を用いて反応させ、一般式(c2)で表されるN−置換アニリン誘導体を得る還元アミノ化工程。
【化3】


(式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R2〜5はそれぞれ独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数1〜15のアルキル基、置換基を有していても良いオキシ基、置換基を有していても良いアミノ基、メルカプト基、スルフィド基、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、置換基を有していても良いカルボニル基、置換基を有していても良いシリル基、置換基を有していても良い炭素数4〜15の単環、二環または三環式アリール基、置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む単環、二環、または三環式ヘテロアリール基、置換基を有していても良い炭素数3〜15の単環、二環または三環式のシクロアルカン基、置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環または三環式のヘテロシクロアルカン基を示し、R8はホルミル基、ベンジル基、トリクロロアセチル基、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基、カルボン酸基、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールアルコキシカルボニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数5〜14の単環、二環式または三環式ヘテロアリールアルコキシカルボニル基、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキルスルフィニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールスルフィニル基、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールスルホニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールスルフェニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールカルボニル基、置換基を有していても良い炭素数1〜15のトリアルキルシリル基、窒素原子が炭素数1〜8のアルキル基で置換されていても良いカルバモイル基のいずれかを示す。)

[B]一般式(c2)で表されるN−置換アニリン誘導体を環化させることにより一般式(d2)で表される1−(1−置換−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体を得る環化工程。
【化4】


(式中、R2〜5、及びR8は、上記と同様である。)

[C]一般式(d2)で表される1−(1−置換−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体の脱保護を行い、一般式(e1)で表される1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体を得る脱保護工程。
【化5】


(式中、R2〜5は、上記と同様である。)

[D]一般式(e1)で表される1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体と、ピコリルハライド又はその塩類若しくはピコリルスルホネート又はその塩類とを反応させ、一般式(f1)で表される1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体を得る求核置換反応工程。
【化6】


(式中、R2〜5は、上記と同様である。)
【請求項4】
下記工程[I]、[II]を順に行うことを特徴とする1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体の製造方法。

[I]一般式(a1)で表されるアニリン誘導体と一般式(b3)で表されるN−(2−ピコリル)−γ−ピペリドンと水素を用いて反応させ、一般式(c3)で表されるN−置換アニリン誘導体を得る還元アミノ化工程。
【化7】


(式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R2〜5はそれぞれ独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数1〜15のアルキル基、置換基を有していても良いオキシ基、置換基を有していても良いアミノ基、メルカプト基、スルフィド基、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、置換基を有していても良いカルボニル基、置換基を有していても良いシリル基、置換基を有していても良い炭素数4〜15の単環、二環または三環式アリール基、置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む単環、二環、または三環式ヘテロアリール基、置換基を有していても良い炭素数3〜15の単環、二環または三環式のシクロアルカン基、置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環または三環式のヘテロシクロアルカン基のいずれかを示す。)

[II]一般式(c3)で表されるN−置換アニリン誘導体を環化させることにより、一般式(f1)で表される1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体を得る環化工程。
【化8】


(式中、R2〜5は、上記と同様である。)
【請求項5】
下記工程[a]〜[f]を順に行うことを特徴とする3−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−4−[1−[1−(ピリジン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−インドール−3−イル]−1H−ピロール−2,5−ジオンの製造方法。

[a]一般式(a2)で表されるアニリン誘導体と一般式(b2)で表されるピペリドン誘導体と水素を用いて反応させ、一般式(c4)で表されるN−置換アニリン誘導体を得る還元アミノ化工程。
【化9】


(式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R8はホルミル基、ベンジル基、トリクロロアセチル基、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基、カルボン酸基、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールアルコキシカルボニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数5〜14の単環、二環式または三環式ヘテロアリールアルコキシカルボニル基、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキルスルフィニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールスルフィニル基、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールスルホニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールスルフェニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールカルボニル基、置換基を有していても良い炭素数1〜15のトリアルキルシリル基、窒素原子が炭素数1〜8のアルキル基で置換されていても良いカルバモイル基のいずれかを示す。)

[b]一般式(c4)で表されるN−置換アニリン誘導体を環化させることにより、一般式(d3)で表される1−(1−置換−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体を得る環化工程。
【化10】


(式中、R8は、上記と同様である。)

[c]一般式(d3)で表される1−(1−置換−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体の脱保護を行い、一般式(e2)で表される1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドールを得る脱保護工程。
【化11】



[d]一般式(e2)で表される1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドールと、ピコリルハライド又はその塩類若しくはピコリルスルホネート又はその塩類とを反応させ、一般式(f2)で表される1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールを得る求核置換反応工程。
【化12】



[e]一般式(f2)で表される1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールとオキサリルクロライドを反応させ、一般式(g1)で表される酸クロライドを得る工程。
【化13】



[f]一般式(g1)で表される酸クロライドとアセトイミデートとを反応させ、一般式(h1)で表される3−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−4−[1−[1−(ピリジン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−インドール−3−イル]−1H−ピロール−2,5−ジオンを得る工程。
【化14】


【請求項6】
下記工程[i]〜[iv]を順に行うことを特徴とする3−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−4−[1−[1−(ピリジン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−インドール−3−イル]−1H−ピロール−2,5−ジオンの製造方法。

[i]一般式(a2)で表されるアニリン誘導体と一般式(b3)で表されるN−(2−ピコリル)−γ−ピペリドンと水素を用いて反応させ、一般式(c5)で表されるN−置換アニリン誘導体を得る還元アミノ化工程。
【化15】


(式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)

[ii]一般式(c5)で表されるN−置換アニリン誘導体を環化させることにより、一般式(f2)で表される1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールを得る環化工程。
【化16】



[iii]一般式(f2)で表される1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールとオキサリルクロライドを反応させ、一般式(g1)で表される酸クロライドを得る工程。
【化17】



[iv]一般式(g1)で表される酸クロライドとアセトイミデートとを反応させ、一般式(h1)で表される3−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−4−[1−[1−(ピリジン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−インドール−3−イル]−1H−ピロール−2,5−ジオンを得る工程。
【化18】


【請求項7】
金属触媒の存在下で還元アミノ化反応を行うことを特徴とする請求項1記載のN−置換アニリン誘導体の製造方法。
【請求項8】
金属触媒が遷移金属触媒であることを特徴とする請求項7記載のN−置換アニリン誘導体の製造方法。
【請求項9】
遷移金属触媒がPdまたはPt触媒であることを特徴とする請求項8記載のN−置換アニリン誘導体の製造方法。











【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、水素を用いた還元アミノ化反応と環化反応を利用した、抗癌剤などの医薬の中間体として有用な1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールの製造方法、更には該化合物を用いた3−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−4−[1−[1−(ピリジン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−インドール−3−イル]−1H−ピロール−2,5−ジオンの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールは、抗癌剤として有用な3−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−4−[1−[1−(ピリジン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−インドール−3−イル]−1H−ピロール−2,5−ジオン(以下、エンザスタウリンと記す)の製造時において、非常に重要となる中間体であることが知られている。
エンザスタウリンの製造方法に関しては、現在までに種々検討が行われてきたが、いずれの検討においても、いかに効率よく1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールを得るかが、特に工業的に実施する場合においての重要な検討課題となっている。
かかる検討例として、例えばピペリドン一水和物塩酸塩とピコリルクロライド塩酸塩を反応させてなるN−(2−ピコリル)−γ−ピペリドンとアニリン誘導体とを、ナトリウムアセトキシボロハイドライドを用い、酢酸中で還元アミノ化した後、引き続き環化させる下記方法が報告されている。
【0003】
【化1】


【0004】
上記合成ルートは、アニリン誘導体にカルボニル化合物を作用させる還元アミノ化反応によりN−置換アニリン誘導体を合成し、引き続き環化反応を行うことによって、1−置換インドール誘導体を高収率で合成する方法を利用したものであり、かかる合成方法では、還元アミノ化工程における還元剤として、原料のカルボニル化合物を還元しにくいマイルドな還元剤であるナトリウムトリアセトキシボロハイドライドが一般的に使用されている(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】Tetrahedron 59,7215(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら非特許文献1に記載の方法では、79%の収率で1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールを合成することができるが、N−(2−ピコリル)−γ−ピペリドンは工業的に入手できず、その前駆体であるピペリドン一水和物塩酸塩や還元アミノ化の還元剤であるナトリウムトリアセトキシボロハイドライドも非常に高価であり、またナトリウムトリアセトキシボロハイドライドを使用することで、反応操作や後処理も煩雑となることからも、経済的、工業的に実施するには非常に不利であった。
そこで、工業的生産の観点から、より容易に、効率よく1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールを製造する方法が望まれている。かかる1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールを効率良く製造することができれば、エンザスタウリンは容易に製造することができるのである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
しかるに、本発明者等は、上記事情を鑑み鋭意研究を重ねた結果、アニリン誘導体とカルボニル化合物との還元アミノ化反応を水素を用いて行い、引き続き環化反応を行うことで、安価で効率よく1−置換インドール誘導体を製造する方法を見出し、さらには、該1−置換インドール誘導体の製造方法を利用した1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール及びエンザスタウリンの新規な製造方法を見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明の要旨は、下記化2で示すが如く還元アミノ化反応を利用したN−置換アニリン誘導体の製造方法、下記化3で示すが如く還元アミノ化反応、それに引き続く環化反応を利用した1−置換インドール誘導体の製造方法、下記工程[A]〜[D]又は工程[I]、[II]で示すが如く1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−
4−イル)−1H−インドール誘導体の製造方法、下記工程[a]〜[f]又は工程[i]〜[iv]で示すが如くエンザスタウリンの製造方法に関するものである。
【0008】
一般式(a1)で表されるアニリン誘導体と一般式(b1)で表されるカルボニル化合物と水素を用いて還元アミノ化反応させることを特徴とする一般式(c1)で表されるN−置換アニリン誘導体の製造方法。
【0009】
【化2】


(式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R2〜5はそれぞれ独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数1〜15のアルキル基、置換基を有していても良いオキシ基、置換基を有していても良いアミノ基、メルカプト基、スルフィド基、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、置換基を有していても良いカルボニル基、置換基を有していても良いシリル基、置換基を有していても良い炭素数4〜15の単環、二環または三環式アリール基、置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む単環、二環、または三環式ヘテロアリール基、置換基を有していても良い炭素数3〜15の単環、二環または三環式のシクロアルカン基、置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環または三環式のヘテロシクロアルカン基を示し、R6、R7はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していても良い炭素数1〜15のアルキル基、置換基を有していても良いシリル基、置換基を有していても良い炭素数3〜15の単環、二環または三環式のシクロアルカン基、置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環または三環式のヘテロシクロアルカン基、R6とR7は置換基を有していても良い炭素鎖でつながっている炭素数3〜15の環状アルカン基、R6とR7は置換基を有していても良く酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素鎖でつながっている炭素数3〜15の環状へテロアルカン基のいずれかを示す。)
【0010】
一般式(a1)で表されるアニリン誘導体と一般式(b1)で表されるカルボニル化合物と水素を用いて還元アミノ化反応させた後、次いで環化反応を行うことを特徴とする一般式(d1)で表される1−置換インドール誘導体の製造方法。
【0011】
【化3】


(R1〜R7は上記と同じ基を示す。)
【0012】
工程[A]
一般式(a1)で表されるアニリン誘導体と一般式(b2)で表されるピペリドン誘導体とを水素を用いて反応させ、一般式(c2)で表されるN−置換アニリン誘導体を得る還元アミノ化工程。
【0013】
【化4】


(R1〜R5は上記と同じ基を示す。R8はホルミル基、ベンジル基、トリクロロアセチル基、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基、カルボン酸基、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールアルコキシカルボニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数5〜14の単環、二環式または三環式ヘテロアリールアルコキシカルボニル基、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキルスルフィニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールスルフィニル基、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールスルホニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールスルフェニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールカルボニル基、置換基を有していても良い炭素数1〜8のトリアルキルシリル基、窒素原子が炭素数1〜8のアルキル基で置換されていても良いカルバモイル基のいずれかを示す。)
【0014】
工程[B]
一般式(c2)で表されるN−置換アニリン誘導体を環化させることにより一般式(d2)で表される1−(1−置換−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体を得る環化工程。
【0015】
【化5】


(R2〜5、R8は上記と同じ基を示す。)
【0016】
工程[C]
一般式(d2)で表される1−(1−置換−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体の脱保護を行い、一般式(e1)で表される1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体を得る脱保護工程。
【0017】
【化6】


(R2〜R5は上記と同じ基を示す。)
【0018】
工程[D]
一般式(e1)で表される1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体と、ピコリルハライド又はその塩類若しくはピコリルスルホネート又はその塩類とを反応させ、一般式(f1)で表される1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体を得る求核置換反応工程。
【0019】
【化7】


(R2〜R5は上記と同じ基を示す。)
【0020】
工程[I]
一般式(a1)で表されるアニリン誘導体と一般式(b3)で表されるN−(2−ピコリル)−γ−ピペリドンと水素を用いて反応させ、一般式(c3)で表されるN−置換アニリン誘導体を得る還元アミノ化工程。
【0021】
【化8】


(R1〜R5は上記と同じ基を示す。)
【0022】
工程[II]
一般式(c3)で表されるN−置換アニリン誘導体を環化させることにより、一般式(f1)で表される1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体を得る環化工程。
【0023】
【化9】


(R2〜R5は上記と同じ基を示す。)
【0024】
工程[a]
一般式(a2)で表されるアニリン誘導体と一般式(b2)で表されるピペリドン誘導体と水素を用いて反応させ、一般式(c4)で表されるN−置換アニリン誘導体を得る還元アミノ化工程。
【0025】
【化10】


(R1、R8は上記と同じ基を示す。)
【0026】
工程[b]
一般式(c4)で表されるN−置換アニリン誘導体を環化させることにより、一般式(d3)で表される1−(1−置換−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体を得る環化工程。
【0027】
【化11】


(R8は上記と同じ基を示す。)
【0028】
工程[c]
一般式(d3)で表される1−(1−置換−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体の脱保護を行い、一般式(e2)で表される1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドールを得る脱保護工程。
【0029】
【化12】


【0030】
工程[d]
一般式(e2)で表される1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドールと、ピコリルハライド又はその塩類若しくはピコリルスルホネート又はその塩類とを反応させ、一般式(f2)で表される1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールを得る求核置換反応工程。
【0031】
【化13】


【0032】
工程[e]
一般式(f2)で表される1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールとオキサリルクロライドを反応させ、一般式(g1)で表される酸クロライドを得る工程。
【0033】
【化14】


【0034】
工程[f]
一般式(g1)で表される酸クロライドとアセトイミデートとを反応させ、一般式(h1)で表される3−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−4−[1−[1−(ピリジン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−インドール−3−イル]−1H−ピロール−2,5−ジオンを得る工程。
【0035】
【化15】


【0036】
工程[i]
一般式(a2)で表されるアニリン誘導体と一般式(b3)で表されるN−(2−ピコリル)−γ−ピペリドンと水素を用いて反応させ、一般式(c5)で表されるN−置換アニリン誘導体を得る還元アミノ化工程
【0037】
【化16】


(R1は上記と同じ基を示す。)
【0038】
工程[ii]
一般式(c5)で表されるN−置換アニリン誘導体を環化させることにより、一般式(f2)で表される1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールを得る環化工程。
【0039】
【化17】


【0040】
工程[iii]
一般式(f2)で表される1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールとオキサリルクロライドを反応させ、一般式(g1)で表される酸クロライドを得る工程。
【0041】
【化18】


【0042】
工程[iv]
一般式(g1)で表される酸クロライドとアセトイミデートとを反応させ、一般式(h1)で表される3−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−4−[1−[1−(ピリジン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イル]−1H−インドール−3−イル]−1H−ピロール−2,5−ジオンを得る工程。
【0043】
【化19】


【0044】
本発明においては、上記の還元アミノ化反応を、金属触媒、好ましくは遷移金属触媒の存在下で行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0045】
本発明の製造方法によれば、抗癌剤として有用なエンザスタウリンを製造するために重要な中間体である1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールを安価、簡便かつ効率的に製造することができ、更に該化合物を公知の方法に従い反応させることにより、容易にエンザスタウリンを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0047】
まず、還元アミノ化反応について説明する。
本発明で用いられるアニリン誘導体(a1)の製法としては特に限定されないが、例えば、Tetrahedron Letters 37,6045(1996)に示されるようなニトロトルエンからエナミンを合成し、エナミン部位をアセタールに変換した後、引き続きニトロ基を還元する方法や、
【0048】
【化20】


【0049】
Tetrahedron Letters 27,1653(1986)に示されるような2−ハロゲン化ニトロベンゼンとトリメチルシリルアセチレンから2−エチニルニトロベンゼンにして、エチニル基をアセタール基へ変換した後、ニトロ基を還元する方法によって得ることができる。
【0050】
【化21】


【0051】
そして、本発明で用いられるアニリン誘導体(a1)中のR1としては、特に炭素数1〜4のアルキル基が望ましく、特にメチル基又はエチル基が好ましい。
【0052】
また、アニリン誘導体(a1)中のR2〜R5は本発明の還元アミノ化反応とは直接関係のない置換基であり、反応に影響を及ぼさない置換基であれば差し支えない。例えば、水素、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数1〜15のアルキル基(置換基としては、通常ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、スルファニル基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられる)、置換基を有していても良いオキシ基(置換基としては、通常アルキル基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイルオキシ基、スルファニルカルボニル基、スルフィニル基、スルホニル基などが挙げられる)、置換基を有していても良いアミノ基(置換基としては、通常アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファニルカルボニル、スルフィニル基、スルファモイル基、スルホニル基などが挙げられる)、メルカプト基、スルフィド基、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、置換基を有していても良い炭素数1〜15のカルボニル基(置換基としては、通常アルコキシ基、アミノ基などが挙げられる)、置換基を有していても良いシリル基(置換基としては、通常アルキル基などが挙げられる)、置換基を有していても良い炭素数4〜15の単環、二環または三環式アリール基、置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む単環、二環、または三環式ヘテロアリール基、置換基を有していても良い炭素数3〜15の単環、二環または三環式のシクロアルカン基、置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環または三環式のヘテロシクロアルカン基などを挙げることができるが、本発明では、R2〜R5が全て水素原子のものを用いるのが一般的である。
【0053】
さらに、本発明で用いるカルボニル化合物(b1)中のR6,R7も本発明の還元アミノ化とは直接関係のない置換基であり、反応に影響を及ぼさない置換基であれば差し支えない。例えば、水素原子、置換基を有していても良い炭素数1〜15のアルキル基(置換基としては、通常ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、スルファニル基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられる)、置換基を有していても良いシリル基、置換基を有していても良い炭素数3〜15の単環、二環または三環式のシクロアルカン基、置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環または三環式のヘテロシクロアルカン基、R6とR7は置換基を有していても良い炭素鎖でつながっている炭素数3〜15の環状アルカン基、R6とR7は置換基を有していても良く酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素鎖でつながっている炭素数3〜15の環状へテロアルカン基などを挙げることができる。
【0054】
アニリン誘導体(a1)とカルボニル化合物(b1)とを用いた還元アミノ化反応においては、カルボニル化合物(b1)をアニリン誘導体(a1)に対して、通常0.5〜3当量、特には0.6〜2.5当量、さらには0.7〜2当量使用することが好ましい。
上記カルボニル化合物(b1)の量が少なすぎると還元アミノ化反応に引き続く環化反応の際にアニリン誘導体(a1)由来の不純物が多く副生する傾向があり、多すぎると未反応のカルボニル化合物(b1)が多く残る傾向がある。
【0055】
本発明の還元アミノ化反応においては、還元剤として水素を用いるが、通常、水素による還元反応は触媒下に実施されることが好ましい。かかる触媒としては、金属触媒を用いることが好ましく、特にはPd、Pt、Ru、Rh、Ir、Ni、Coから選ばれる少なくとも一種の遷移金属触媒を用いることが好ましい。中でも、反応性や選択性の点でPd又はPtを用いることが特に好ましい。また、これらの金属触媒は触媒活性の経時的な低下を少なくするために、活性炭やアルミナなどの不溶性物質を担体として使用する担持触媒として用いてもよい。該担持触媒としては、例えばPd/CやPt/Cなどが好ましく用いられる。これらの担持触媒については、粒子系、種類は特に限定されず、鉄などの金属を添加した触媒や、アミン修飾された触媒を用いることも可能である。例えば、基質であるアニリン誘導体やカルボニル化合物に窒素原子や酸素原子などのヘテロ原子に結合したベンジル基や、芳香環に結合したハロゲン原子、又はアルケニル基などの官能基を有する場合は、選択的に還元アミノ化反応を進行させるために、基質に合わせて適宜触媒を選択して使用することが好ましい。
【0056】
また、金属触媒の使用量(担持触媒では金属量)に関しては、アニリン誘導体(a1)に対して、通常0.01〜5重量%、特には0.02〜3重量%、さらには0.03〜2重量%であることが好ましく、触媒使用量が少なすぎると反応速度が遅く未反応の原料が残るため収率が低下する傾向があり、多すぎても収率の向上などの効果もみられない傾向があり、不経済であるため好ましくない。
【0057】
本発明の還元アミノ化反応は、通常、一般的な還元アミノ化反応で用いられる種々の溶媒下で実施することができる。例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒、トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、酢酸、メタンスルホン酸などの有機酸、有機酸/有機溶媒の混合溶媒、塩酸、硫酸などの無機酸、無機酸/有機溶媒の混合溶媒を用いることが好ましく、特には、還元アミノ化反応、及びインドール環形成反応を促進させる点で、酢酸、酢酸/アルコール混合溶媒、塩酸/アルコール混合溶媒を用いることが好ましい。
【0058】
また、還元アミノ化反応における溶媒の使用量としては、特に限定されないが、該反応で使用されるアニリン誘導体(a1)に対して、通常1〜20倍(重量基準)、さらには2〜10倍(重量基準)使用することが好ましい。溶媒の使用量が少なすぎると反応液の粘度が高く攪拌しづらい傾向があり、多すぎると反応時間が長期化する傾向がある。
【0059】
本発明において、アニリン誘導体(a1)、カルボニル化合物(b1)及び水素、好ましくは更に金属触媒、溶媒を用いて還元アミノ化反応を行うのであるが、かかる反応を実施するにあたって、反応装置は特に限定されず、オートクレーブや通常の反応缶等を用いて行うことができるが、特にはオートクレーブを用いて実施することが加圧反応を実施する上で好ましい。
オートクレーブを用いて実施する際には、原料であるアニリン誘導体(a1)、カルボニル化合物(b1)、溶媒、触媒を一括して仕込み、水素存在下で反応を開始すればよい。また、各成分の一括仕込みの他に、各成分のいずれか2種以上を先に仕込み、残る成分を順次仕込むなどの手法も挙げられる。
【0060】
かかる還元アミノ化反応においては、水素存在下で行うことが好ましいが、通常、水素は水素ガスとして供給される。水素圧としては、通常0.01〜25MPa、特に0.1〜15MPaであることが好ましい。水素圧が低すぎると反応速度が遅く未反応の原料が残るため収率が低下する傾向があり、高すぎると副反応が起こる傾向がある。
【0061】
かかる還元アミノ化反応における反応温度は、通常0〜30℃、さらには5〜20℃であることが好ましい。温度が低すぎると反応速度が遅く未反応の原料が残るため収率が低下する傾向があり、高すぎると還元アミノ化反応の前に原料であるアニリン誘導体の環化反応が進行することにより無置換インドールが副生したり、アニリン誘導体の2量体が副生したりすることにより収率および品質が低下する傾向がある。
【0062】
かかる反応における反応時間は、通常0.25〜200時間、さらには0.5〜150時間が好ましい。反応時間が短すぎると未反応の原料が残存する傾向があり、長すぎると不純物が副生する傾向がある。
【0063】
上記還元アミノ化反応を経て得られたN−置換アニリン誘導体(c1)は、必要に応じて濃縮、カラム精製、再結晶、抽出等の常套手段で適宜精製することができる。しかし、本発明では、還元剤として水素を用いるためN−置換アニリン誘導体(c1)を含む反応混合物の金属触媒成分を固液分離することができ、また分離しなくても環化反応に対する悪影響はないことから、還元アミノ化反応に引き続き環化反応をワンポットで行うことが可能であり、工業操作上もワンポットで行う方が望ましい。
【0064】
次いで、環化反応について説明する。
かかる環化反応を還元アミノ化反応からワンポットで行い、さらに還元アミノ化反応で溶媒として酸を使用しない場合には、アニリン誘導体(a1)に対して、通常0.01〜20倍(重量基準)、特には0.02〜10倍(重量基準)、さらには0.03〜7倍(重量基準)の酸を加えることが好ましい。酸としては、酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機酸、特には酢酸が好ましく用いられ、或いは塩酸、硫酸などの無機酸、特には塩酸が好ましく用いられる。
なお、酸を加えなくても反応は進行するが、反応速度が遅く反応が完結しないことがあり好ましくない。
【0065】
かかる環化反応における反応温度は、通常30〜120℃、更には35〜110℃、特には40〜100℃であることが好ましい。反応温度が低すぎると、反応速度が遅くN−置換アニリン誘導体が残存してしまう傾向があり、高すぎると不純物が副生する傾向がある。
【0066】
かかる反応における反応時間は、通常0.25〜50時間、特には0.5〜40時間が好ましい。反応時間が短すぎると未反応の原料が残る傾向があり、長すぎると不純物が副生する傾向がある。
【0067】
上記環化反応を経て得られた1−置換インドール誘導体(d1)は、必要に応じて濃縮、カラム精製、再結晶、抽出等の常套手段で適宜精製される。
【0068】
かくして、1−置換インドール誘導体(d1)が得られるのである。
【0069】
次に、工程[A]〜[D]から成る1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(f1)の製造方法について説明する。
まず、工程[A]についてであるが、工程[A]は、アニリン誘導体(a1)とピペリドン誘導体(b2)よりN−置換アニリン誘導体(c2)を得る工程である。
【0070】
かかる工程は、水素存在下で還元アミノ化反応を行うことを特徴とするものであるが、その反応条件等は、前記した還元アミノ化反応において、カルボニル化合物としてピペリドン誘導体(b2)を用いたこと以外は、同様に実施することが可能である。
【0071】
また、ピペリドン誘導体(b2)中のR8については、アミノ基の保護基として通常用いられる置換基であれば特に限定されるものではなく、例えば、ホルミル基、ベンジル基、トリクロロアセチル基、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基、カルボン酸基、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールアルコキシカルボニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数5〜14の単環、二環式または三環式ヘテロアリールアルコキシカルボニル基、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキルスルフィニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールスルフィニル基、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールスルホニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールスルフェニル基、芳香族炭素に置換基を有していても良い炭素数5〜14の単環、二環式または三環式アリールカルボニル基、置換基を有していても良い炭素数1〜15のトリアルキルシリル基、窒素原子が炭素数1〜8のアルキル基で置換されていても良いカルバモイル基などを挙げることができる。
【0072】
次に、工程[B]について説明する。
工程[B]は、N−置換アニリン誘導体(c2)を環化させることにより、1−(1−置換−ピペリジン−4−イル)−1H―インドール(d2)を得る工程である。
【0073】
かかる工程は、環化反応を行うことを特徴とするものであり、その反応条件等は、前記した環化反応における反応方法に準じて実施することが可能である。
【0074】
次に、工程[C]について説明する。
工程[C]は1−(1−置換−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(d2)の脱保護を行い、1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(e1)を得る工程である。
【0075】
上記工程[C]におけるピペリジン環の窒素原子保護基の脱保護条件については、特に限定されることなく、保護基の種類によりそれぞれ適した公知の方法を採用することができる。例えば、窒素原子の保護基がアルコキシカルボニル基の場合においては、有機溶媒中で塩基を用いて脱保護をすることが好ましい。ただし、この方法に限定されるものではない。
以下に、1−(1−置換−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(d2)の保護基がアルコキシカルボニル基である場合の脱保護方法について説明する。
【0076】
かかる工程において用いる塩基としては、通常無機塩基と有機塩基のどちらを用いてもよく、無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、有機塩基としては、カリウムーt−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の炭素数1〜10のアルコキシカリウム又はアルコキシナトリウム、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシカリウム又はアルコキシナトリウムが挙げられる。塩基の使用量としては、1−(1−置換−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(d2)に対して、通常0.25〜20当量、好ましくは0.5〜18当量、特には1〜15当量用いることが好ましい。
【0077】
かかる工程において用いる有機溶媒に関しては、特に限定されず、トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒等を用いることができる。有機溶媒の使用量に関しては、1−(1−置換−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(d2)に対して、通常1〜20倍(重量基準)であることが好ましく、更には2〜15倍(重量基準)、特には3〜10倍(重量基準)であることが好ましい。
【0078】
また、かかる工程にて塩基として無機塩基を使用する際は、有機溶媒とともに水を用いることが好ましく、1−(1−置換−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(d2)に対して、通常0.005〜10倍(重量基準)、好ましくは0.01〜5倍量(重量基準)、さらに好ましくは0.02〜3倍量(重量基準)の水を使用すればよい。用いる水の量が少なすぎるとスラリー濃度が高くなり攪拌しづらくなる傾向があり、多すぎると反応が進行しづらい傾向がある。
【0079】
かかる工程においては、1−(1−置換−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(d2)、塩基、有機溶媒、好ましくは水を用いて脱保護反応を行うわけであるが、かかる反応を実施するにあたって、反応装置、仕込み方法については特に限定されず、公知方法を用いることができる。
【0080】
かかる工程における反応温度は、通常20〜120℃、より好ましくは30〜110℃、特に好ましくは40〜100℃である。反応温度が低すぎると反応速度が遅くなる傾向があり、高すぎると不純物が多く副生してくる傾向がある。
【0081】
かかる工程における反応時間は0.25〜50時間が好ましく、さらには0.5〜25時間が好ましい。反応時間が短すぎると未反応の原料が残る傾向があり、長すぎると不純物が多く副生してくる傾向がある。
【0082】
かかる工程終了後は、公知の方法に従い、反応液に水、および有機溶媒(トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル類、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒など)を仕込み、分液、抽出、濃縮した後、必要に応じて、カラム精製、再結晶、抽出等の常套手段で適宜精製させる。
【0083】
かくして、1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(e1)が得られるのである。
【0084】
次に、工程[D]について説明する。
工程[D]は、1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(e1)と、ピコリルハライド又はその塩類若しくはピコリルスルホネート又はその塩類とを反応させ、1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(f1)を得る求核置換反応工程である。
【0085】
かかる工程においては、ピコリルハライド又はその塩類若しくはピコリルスルホネート又はその塩類を用いて求核置換反応を行い1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(e1)にピコリル基を導入するのであるが、その反応条件については特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、有機溶媒中で無機塩基存在下に反応させる方法などが挙げられる。以下、該方法について説明する。
【0086】
かかる工程における、ピコリルハライド又はその塩類若しくはピコリルスルホネート又はその塩類の使用量は、1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(e1)に対して、通常0.5〜3当量、更には0.6〜2当量、特には0.7〜1.5当量であることが好ましい。使用するピコリルハライド又はその塩類若しくはピコリルスルホネート又はその塩類の量が少なすぎると未反応の原料が残る傾向があり、多すぎると反応後の後処理の際、除去することが困難な傾向があり好ましくない。
【0087】
かかる工程においては、無機塩基を用いることが好ましく、使用する無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重曹などが挙げられる。無機塩基の使用量としては、1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(e1)に対して、通常0.5〜10当量、更には0.7〜7当量、特には1〜5当量であることが好ましい。
【0088】
かかる工程において使用する有機溶媒としては、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒などを用いることができる。有機溶媒の使用量に関しては、1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(e1)に対して、通常1〜20倍(重量基準)、特には2〜15倍(重量基準)、更には3〜12倍(重量基準)用いることが好ましい。
【0089】
かかる工程において、1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(e1)、ピコリルハライドその塩類若しくはピコリルスルホネート又はその塩類、無機塩基、有機溶媒を用いて求核置換反応を行うにあたって、反応装置、仕込み方法などは特に限定されず、公知方法を用いることができる。
【0090】
かかる工程における反応温度は、通常5〜100℃、好ましくは10〜95℃、さらには15〜90℃であることが特に好ましい。反応温度が低すぎると反応進行しにくい傾向があり、高すぎると不純物が多く副生し収率および品質が低下する傾向がある。
【0091】
かかる工程における反応時間は、通常0.25〜30時間、特には0.5〜25時間が好ましい。反応時間が短すぎると未反応の原料が残る傾向があり、長すぎると不純物が多く副生する傾向がある。
【0092】
かかる反応終了後は、公知方法に従い、反応液に水、および有機溶媒(トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル類、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒など)を仕込み、分液、抽出、濃縮した後、必要に応じて、カラム精製、再結晶、抽出等の常套手段で適宜精製させる。
【0093】
かくして、1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(f1)が得られるのである。
【0094】
次に、工程[I]〜[II]から成る1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(f1)の製造方法について説明する。
まず、工程[I]についてであるが、工程[I]は、アニリン誘導体(a1)とN−(2−ピコリル)−γ−ピペリドン(b3)よりN−置換アニリン誘導体(c3)を得る工程である。
【0095】
かかる工程は、水素存在下で還元アミノ化反応を行うことを特徴とするものであり、その反応条件等は、前記した還元アミノ化反応の反応方法において、カルボニル化合物としてN−(2−ピコリル)−γ−ピペリドン(b3)を用いたこと以外は、同様に実施すればよい。
【0096】
次に工程[II]について説明する。
工程[II]は、N−置換アニリン誘導体(c3)を環化させることにより、1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(f1)を得る工程である。
【0097】
かかる工程は、環化反応を行うことを特徴とするものであり、その反応条件は、前記した環化反応における反応方法に準じて実施することが可能である。
【0098】
次に、工程[a]〜[f]から成るエンザスタウリン(h1)の製造方法について説明する。
まず、工程[a]〜[d]については、アニリン誘導体(a1)の代わりにアニリン誘導体(a2)を用いること以外は、前記の工程[A]〜[D]における反応方法に準じて実施することが可能であり、該工程を経て1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(f2)が得られるのである。
【0099】
また、工程[e]及び[f]では、1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(f2)から、エンザスタウリン(h1)へと導くのであるが、該工程は、非特許文献(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 13,1857(2003))に記載の手法に準じて、オキサリルクロライドと反応させた後[工程e]、次いでアセトイミデートと反応させることにより[工程f]、容易に実施することができる。
【0100】
上記手法に準じた一例としては、工程[e]で1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(f2)(1当量)、オキサリルクロライド(1.0〜1.5当量)、エーテルを用いて酸クロライド(g1)を合成し、さらに工程[f]でアセトイミデート(1〜1.5当量)、トリエチルアミン(5〜8当量)、1,2−ジクロロメタンを用いてエンザスタウリン(h1)を合成する方法が挙げられる。
【0101】
かくして、エンザスタウリン(h1)が得られるのである。
【0102】
次に、工程[i]〜[iv]から成るエンザスタウリン(h1)の製造方法について説明する。
まず、工程[i]、[ii]については、アニリン誘導体(a1)の代わりにアニリン誘導体(a2)を用いること以外は、前記工程[I]、[II]における反応方法に準じて実施することが可能であり、該工程を経て1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドール誘導体(f2)が得られるのである。
【0103】
また、工程[iii]、[iv]については、前記記載の工程[e]、[f]に準じて実施することが可能であり、エンザスタウリン(h1)を得ることができる。
【実施例】
【0104】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」となるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
また、収率は液体カラムクロマトグラフィー分析により求めた。
【0105】
液体カラムクロマトグラフィーの分析条件は以下のとおりである。
使用機器:HP1100
使用カラム:CHEMCOBOND 5−ODS−H 4.6mm×250mm
使用溶離液:溶離液として、(a)液[0.025%トリフルオロ酢酸水溶液]と(b)液[0.025%トリフルオロ酢酸のアセトニトリル溶液]を用いた。混合割合については、(a):(b)=90:10(容積比)で測定を開始し、その後15分間かけて(a):(b)=10:90(容積比)に変更し、更に5分間(a):(b)=10:90(容積比)を保持して行った。
移動相流量:1.4ml/min
カラム温度:29℃
検出器:220nm
【0106】
実施例1
『工程[a]、[b]:4−インドール−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルの製造−1』
1lのオートクレーブにN−エトキシカルボニル−4−ピペリドン103.9g(0.6mol)、2−(2,2’−ジメトキシエチル)−アニリン109.6g(0.6mol)、10%Pd/C(50%含水)8.6g、氷酢酸(純度99.7%)430mlを仕込み、内温10℃、水素圧0.5MPaで78時間反応させた。次いで、反応液からPd/Cを濾過にて除去し、濾過母液を80℃まで昇温し、2時間熟成した。熟成終了後、溶媒を減圧下濃縮し、粗4−インドール−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルを156.2g得た(収率は94.0%)。これをヘキサン−酢酸エチル(1:1(容量比))の混合溶媒で再結晶をすることにより精4−インドール−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルが142.1g得られた。再結晶による得率は91.0%で、純度は100%であった。
【0107】
得られた精4−インドール−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルについて、マススペクトル、1H−NMR、13C−NMRを測定し、構造を確認した。
マススペクトル分析はHP−1100 LC/MSシステムを使用し、NMR分析はVarian社製UNITY 300を使用し実施した。
MS(m/z):273(M+1)
1H−NMR(300MHz,DMSO−d6,δ);1.21(t,3H),1.78−1.99(m,4H),3.03(br,2H),4.03−4.65(m,4H),4.55−4.65(m,1H),6.44(d,1H),7.01(dd,1H),7.11(dd,1H),7.50−7.58(m,3H)
13C−NMR(300MHz,DMSO−d6,δ);15.3,32.6,43.6,52.69,61.4,101.7,110.4,119.7,121.1,121.6,125.7,128.6,135.9,155.3
【0108】
実施例2
『工程[a]、[b]:4−インドール−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルの製造−2』
100mlのオートクレーブにN−エトキシカルボニル−4−ピペリドン5.0g(29.2mmol)、2−(2,2−ジメトキシエチル)−アニリン5.3g(29.2mmol)、10%Pd/C(50%含水)500mg、氷酢酸(純度:99.7%)25mlを仕込み、内温20℃、水素圧3MPaで56時間反応させた。次いで、反応液を80℃まで昇温し、2時間熟成した。熟成終了後、溶媒を減圧下濃縮し、粗4−インドール−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルが7.5g得られ、収率は94.0%であった。これをヘキサン−酢酸エチル(1:1(容量比))の混合溶媒で再結晶をすることにより精4−インドール−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルが6.8g得られた。再結晶による得率は90.0%で、純度は100%であった。
【0109】
実施例3
『工程[a]、[b]:4−インドール−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルの製造−3』
100mlのオートクレーブにN−エトキシカルボニル−4−ピペリドン3.0g(17.5mmol)、2−(2,2−ジメトキシエチル)−アニリン3.2g(17.5mmol)、3%Pt/C(50%含水)300mg、氷酢酸(純度:99.7%)15mlを仕込み、内温20℃、水素圧0.5MPaで2時間反応させた。次いで、反応液を80℃まで昇温し、2時間熟成した。熟成終了後、溶媒を減圧下濃縮し、粗4−インドール−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルが4.8g得られ、収率は100%であった。これをヘキサン−酢酸エチル(1:1(容量比))の混合溶媒で再結晶をすることにより精4−インドール−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルが4.4g得られた。再結晶による得率は91.0%で、純度は100%であった。
【0110】
実施例4
『工程[c]:1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドールの製造』
300mlの反応器に、精4−インドール−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル20.0g(73.4mmol)のイソプロピルアルコール100ml溶液を仕込み、更に水酸化カリウム28.8g(514.1mmol)、及び水4.1mlを添加し、80℃で10時間反応させた。反応終了後、反応液を15℃まで冷却し、水100ml、t−ブチルメチルエーテル100mlを加え、分液した。分取した水層にt−ブチルメチルエーテル100mlを加え、再度抽出を行った後、得られた有機層を合わせて減圧下濃縮し、1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドールを14.7g得た。収率は100%であった。
【0111】
実施例5
『工程[d]:1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールの製造』
1lの反応器中に、1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インドール50.3g(0.3mol)、炭酸カリウム91.8g(0.7mol)、及びジメチルホルムアミド425mlを仕込み、ピコリルクロライド塩酸塩49.5g(0.3mol)を加え、20℃で2時間反応後、さらに50℃で6時間反応させた。反応終了後、反応液を15℃まで冷却した後、水1.2l、t−ブチルメチルエーテル1.2lを加え分液処理した。分取した水層にt−ブチルメチルエーテル1.2lを加え再度抽出を行った後、得られた有機層を合わせ、減圧下濃縮することで粗1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールを73.2g得た(収率100%)。これをt−ブチルメチルエーテルで再結晶をすることにより1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールを69.5g得た。再結晶による得率は95.0%で、純度は100%であった。
【0112】
実施例6
『工程[i]、[ii:1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールの製造]
100mlのオートクレーブに1−ピリジン−2−イルメチル−4−ピペリドン二カンファースルホン酸塩2.45g(3.7mmol)、2−(2,2−ジメトキシエチル)−アニリン0.54g(2.3mmol)、10%Pd/Cエチレンジアミン錯体70mg、氷酢酸(純度99.7%)4mLを仕込み、内温20℃、水素圧1.0MPaで120時間反応させた。次いで、反応液からPd/Cエチレンジアミン錯体を濾過にて除去し、濾過母液を80℃まで昇温し、15時間熟成した、熟成終了後、溶媒を減圧下濃縮し、粗1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールが1.03g得られた。収率は95.0%であった。これを、t−ブチルメチルエーテルで再結晶することにより精1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールが0.95g得られた。再結晶による得率は92.0%で、純度は100%であった。
【0113】
比較例1
『4−インドール−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルの製造』
50mlの反応器にN−エトキシカルボニル−4−ピペリドン5.0g(29.2mmol)、2−(2,2−ジメトキシエチル)−アニリン4.8g(26.3mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド9.0g(42.6mmol)、氷酢酸(純度99.7%)25mlを仕込み、25℃で3時間、次いで80℃で2時間反応させた。反応終了後、15℃まで冷却し、反応液に水100ml、酢酸エチル45mlを加え、この溶液に50%水酸化ナトリウム水溶液150mlを加え、pHを10にした後、分液した。分取した水層を酢酸エチル80ml(40ml×2)で抽出し、得られた有機層を合わせて減圧下濃縮し、粗4−インドール−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルが7.3g得られた。収率は92.0%であった。これをヘキサン−酢酸エチル(1:1(容量比))の混合溶媒で再結晶をすることにより精4−インドール−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステルが6.6g得られた。再結晶による得率は90.0%で、純度は100%であった。
上記のように、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライドを用いた場合においても、高収率で1−置換インドール誘導体を得ることが可能であるが、その操作面に着目してみると、分液、抽出操作が必須であり後処理が煩雑となっている。また、ナトリウムアセトキシボロハイドライド自身が非常に高価である点、及び上記後処理に伴い溶剤も大量に使用することからも、効率性、経済性が必要とされる工業的生産には不向きな製造方法である。
【0114】
比較例2
『1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールの製造』
50mlの反応器に2−(2,2−ジメトキシエチル)−アニリン1.2g(6.9mmol)、N−(2−ピリジニルメチル)−4−ピペリドン 二カンファースルホン酸塩5.0g(7.6mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド2.4g(11.5mmol)、氷酢酸(純度99.7%)6.3mlを仕込み、20℃で12時間、次いで50℃で15時間反応させた。反応終了後、15℃まで冷却し、反応液に水50ml、酢酸エチル40mlを加え、この溶液に50%水酸化ナトリウム水溶液15mlを加え、pHを10にした後、分液した。分取した水層を酢酸エチル60ml(30ml×2)で抽出し、得られた有機層を合わせて減圧下濃縮し、粗1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールを1.5g得た(収率80%)。これをt−ブチルメチルエーテルで再結晶をすることにより精1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールが1.4g得られた。再結晶による得率は91.0%で、純度は100%であった。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、抗癌剤として有用なエンザスタウリンの重要中間体である1−(1−ピリジン−2−イルメチル−ピペリジン−4−イル)−1H−インドールを安価かつ効率的に高収率で得ることができる製造方法、及び該化合物を用いたエンザスタウリンの製造方法である。


【出願人】 【識別番号】000004101
【氏名又は名称】日本合成化学工業株式会社
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−7416(P2008−7416A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176170(P2006−176170)