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【発明の名称】 グリセロールカーボネートエステルの製造方法(I)
【発明者】 【氏名】アルフレート・ヴェストフェヒテル

【要約】 【課題】グリセロールカーボネートエステルの新規な製造方法を提供する。

【構成】式(I):
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、Rは、水素または直鎖もしくは分岐鎖であってよい1〜3個の炭素原子を含むアルキルもしくはアルケニル基である]
で示されるグリセロールカーボネートエステルの製造方法であって、式(II):
【化2】


[式中、Yは-O-CO-Z基であり、Zは、水素または直鎖もしくは分岐鎖であってよい1〜3個の炭素原子を含むアルキルもしくはアルケニル基である]
で示される化合物を、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートと反応させ、エステル交換反応の過程で生成する化合物CH3-O-CO-ZまたはCH3-CH2-O-CO-Zを、反応混合物から連続的に除去することを特徴とする方法。
【請求項2】
溶媒としての、防炎作用を有する加工液としての、あるいは、燃料用の潤滑添加剤としての、式(I)で示される化合物の使用。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、グリセロールカーボネートエステルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリセロールカーボネートエステルは、比較的わずかしか報告されていない。非特許文献1によれば、グリセロールカーボネートと酸クロリドとの反応によって、長鎖のカーボネートエステルが得られる。非特許文献2における環式カーボネート官能性ポリマーの概説において、Dean C. Websterは、グリセロールカーボネートメタクリレートのいくつかの合成経路を示した(グリセロールカーボネートとメタクリル酸メチルとのエステル交換を含む)。特許文献1は、酸性半エステルの形態の環式無水物によるカーボネートエステルの製造を記載する。
【0003】
専門的な刊行物は、グリセロールカーボネートの不飽和エステルとして、アクリレートおよびメタクリレートを課題としている。即ち、特許文献2は、酸クロリドとグリセロールカーボネートの反応を記載している。大過剰の試薬および溶媒または共留剤が反応に使用される。特許文献3は、グリセロールカーボネートとメタクリル酸メチルとのエステル交換のために金属キレート触媒を使用する方法を記載している。ここでも、大過剰のアクリレートが使用される。
【0004】
特許文献4は、グリセロールカーボネートエステルの製造方法であって、C1-23脂肪酸とのグリセロールエステル(より具体的には、そのような脂肪酸に基づくトリグリセリド)を、触媒の存在下にカーボネート(より具体的には、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネート)と反応させることからなる方法を開示している。
【0005】
【特許文献1】米国特許第3225063号明細書
【特許文献2】米国特許第2979514号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10355830号明細書
【特許文献4】国際公開第93/09111号パンフレット
【非特許文献1】Zephirin Moulounguiら、Eur.J.Lipid Sci.Technol.、103 (2001)、p.216-222
【非特許文献2】Dean C. Webster、Progress in Organic Coatings、47 (2003)、p.77-86
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、グリセロールカーボネートエステルの新規な製造方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式(I):
【化1】


[式中、Rは、水素または直鎖もしくは分岐鎖であってよい1〜3個の炭素原子を含むアルキルもしくはアルケニル基である]
で示されるグリセロールカーボネートエステルの製造方法であって、式(II):
【化2】


[式中、Yは-O-CO-Z基であり、Zは、水素または直鎖もしくは分岐鎖であってよい1〜3個の炭素原子を含むアルキルもしくはアルケニル基である]
で示される化合物を、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートと反応させ、エステル交換反応の過程で生成する化合物CH3-O-CO-ZまたはCH3-CH2-O-CO-Zを、反応混合物から連続的に除去することを特徴とする方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の方法はいくつかの利点を有する。安価な出発物質が使用される。短鎖カルボン酸のメチルエステルまたはエチルエステルが、二次生成物として生成し、実際の標的生成物(I)に加えて、価値ある生成物となる(例えば、酢酸メチルは溶媒として使用することができる)。本発明の方法は、穏やかな条件下で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
基本的に、エステル交換触媒の選択は限定されない。原則的に、任意のエステル交換触媒を使用することができる。特に適するエステル交換触媒は、アルコラート(例えば、ナトリウムメチラート、カリウムメチラート)、または水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム)、および炭酸塩である。触媒は、反応混合物全体を基準に、好ましくは0.01〜5%、特に0.5〜1%の量で使用する。
【0010】
エステル交換反応において標的化合物に加えて生成する化合物CH3-O-CO-Zの蒸留による連続除去が、本方法の重要パラメーターであり、反応を穏やかな条件下で行い、淡色生成物を得ることを確実にする。
【0011】
基本的に、反応温度は限定されない。反応を、40〜150℃で行うのが好ましい。60〜110℃の温度範囲が特に好ましい。
反応物質を、好ましくは互いに化学量論量で、特に、わずかに過剰のジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートで反応させる。
【0012】
化合物(II)中の特に適するZ基の例は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピルおよび-C(CH3)=CH2または-CH=CH2である。
好ましい態様において、式(II)中のZはメチル基である。別の好ましい態様において、式(II)中のZは、-C(CH3)=CH2基または-CH=CH2基である。
【0013】
所望により、本発明の方法を溶媒の存在下に行うことができる。しかし、本方法を溶媒の不存在下に行うのが好ましい。
所望により、標的生成物(I)を、当業者には周知の精製工程に供して、生成物の純度を高めることができる。
【0014】
また本発明は、溶媒としての、あるいは、高沸点加工液としての、化合物(I)の使用に関する。この点に関して、化合物(I)が高温での分解によりCO2を放出しうることが有利である(防炎作用)。さらに、化合物(I)を、次の目的に、即ち、疎水性乳化剤、ハロゲン不含の潤滑添加剤(例えば燃料用)に使用することができる。
【実施例】
【0015】
実施例1:グリセロールカーボネートアセテート(グリセロールカーボネートの酢酸エステル)の製造
以下の量を使用した。
【表1】


【0016】
操作
トリアセチン(=グリセロールの三酢酸エステル)、ジメチルカーボネート(DMC)およびナトリウムメタノラート(MeONa)を撹拌し、分散物を生成させた。温度を、窒素雰囲気中で上昇させた。蒸留が、底部温度65〜70℃で始まった。底部温度を、徐々に110℃まで上昇させた。蒸留物の量1412gは、比較的正確に理論量(1446g)に到達し、蒸留物の純度を屈折によってモニターした。底部生成物を50℃まで冷却し、HClで中和した。水(70g)を加えて、より良好な分離を得た(塩を溶解した)。水相を除去した。有機相を水(360g)で洗浄し、50℃で除去した。透明な有機相を、水流真空中で乾燥した。
【0017】
生成物を、透明なオレンジ色の液体として得た(密度=1.34)。収量は1500g(85%)であった。純度(GC分析)は98%であった。生成物を、1H-NMRスペクトルによって確かめた。
【出願人】 【識別番号】307008369
【氏名又は名称】コグニス・オレオケミカルズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【出願日】 平成19年6月21日(2007.6.21)
【代理人】 【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄

【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二

【識別番号】100083356
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 康夫

【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一


【公開番号】 特開2008−1703(P2008−1703A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2007−164039(P2007−164039)