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環状芳香族化合物からなる低誘電材料 - 特開2008−1670 | j-tokkyo
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【発明の名称】 環状芳香族化合物からなる低誘電材料
【発明者】 【氏名】蓬田 知行

【氏名】石井 宏寿

【氏名】鞆津 典夫

【要約】 【課題】層間絶縁膜材料への空孔導入量の増加により生ずる種々の問題点を解消し、空孔導入を必要としない層間絶縁膜材料として優れた低誘電材料を提供する。

【構成】下記式(1)で表される環状芳香族化合物からなる低誘電材料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される環状芳香族化合物からなる低誘電材料。
【化1】


(式中、Arは、置換又は非置換の炭素数6〜52の2価の芳香族基であり、Xは、Arで表される芳香族基同士を結合させる置換基であり、2つのArは1〜3個のXを介して結合しても良く、nは、4〜8の整数を表し、複数のAr、Xは同一でも異なってもよい。)
【請求項2】
下記式(2)で表される構造を有する環状芳香族化合物からなる低誘電材料。
【化2】


(式中、Arは、置換又は非置換の炭素数6〜52の4価の芳香族基であり、Ar2’は、置換又は非置換の炭素数6〜52の3価の芳香族基であり、Xは、Arで表される芳香族基を結合させる置換基であり、Yは、単結合、二重結合、エーテル基、置換もしくは非置換のアセタール基、又は置換もしくは非置換のメチレン基である。Yに結合する[ ]内の環状芳香族化合物は互いに積層して筒状の構造を構成する。nは、4〜8の整数を表し、複数のAr、Ar2’、X、Yは同一でも異なってもよく、mは、0〜3の整数を表し、複数のnは同じでも異なってもよい。)
【請求項3】
前記式(2)で表される環状芳香族化合物が、下記式(3)で表される環状芳香族化合物である請求項2に記載の低誘電材料。
【化3】


(式中、Arは、式(2)のArと同じであり、Arは、Ar2’と同じであり、Xは、Arで表される芳香族基を結合させる置換基であり、Yは上記のYと同様である。Yは3価の置換基であり、置換又は非置換の、炭素数3〜20の脂環式置換基、炭素数6〜14の芳香族基、アセタール基、メチリジン基、アミノ基であり、Zは、Arで表される芳香族基を結合させる置換基であり、nは4〜8の整数を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、複数のAr,Ar、X、Y、Y、Zはそれぞれ同一でも異なってもよい。)
【請求項4】
前記式(3)で表される環状芳香族化合物が、下記式(4)で表される環状芳香族化合物である請求項3に記載の低誘電材料。
【化4】


(式中、Rは、置換もしくは非置換の炭素数6〜14の芳香族基、又は置換もしくは非置換の炭素数5〜50の脂環式置換基であり、Rは、水素、置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族基、置換もしくは非置換の炭素数3〜20の分岐状脂肪族基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50の脂環式置換基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜30の芳香族基である。Rは、それぞれ置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族基、置換もしくは非置換の炭素数3〜20の分岐状脂肪族基、又は置換もしくは非置換の炭素数4〜50の脂環式置換基であり、kは0〜2の整数を表し、lは0〜3の整数を表し、kが1又はlが1〜2である場合、Rの位置はいずれでもよく、kが2又はlが2〜3である場合、複数のRは同一でも異なってもよく、nは4〜8の整数を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、複数のR、Rはそれぞれ同一でも異なってもよい。)
【請求項5】
下記式(5)で表される環状芳香族化合物。
【化5】


(式中、Rは、置換もしくは非置換の炭素数6〜14の芳香族基、又は置換もしくは非置換の炭素数5〜50の脂環式置換基であり、Rは、水素、置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族基、置換もしくは非置換の炭素数3〜20の分岐状脂肪族基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50の脂環式置換基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜30の芳香族基である。Rは、それぞれ置換もしくは非置換の炭素数5〜50の脂環式置換基であり、jは0以上の整数を表し、kは0〜2の整数を表し、lは0〜3の整数を表し、化合物全体のj、k及びlの合計は1以上である。kが1又はlが1〜2である場合、Rの位置はいずれでもよく、kが2又はlが2〜3である場合、複数のRは同一でも異なってもよく、nは4〜8の整数を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、複数のR、Rはそれぞれ同一でも異なってもよい。)
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の低誘電材料からなる半導体用層間絶縁膜材料。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の低誘電材料を有機溶媒に溶解させた塗料。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の低誘電材料からなる薄膜。
【請求項9】
請求項8に記載の薄膜を含む半導体装置。
【請求項10】
請求項8に記載の薄膜を含む電子回路装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、低誘電材料に関する。詳細には、特定構造の環状芳香族化合物からなり、電気・電子分野において、半導体の層間絶縁膜材料等に好適に用いられる低誘電材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
低誘電材料は電機・電子部品における材料として、帯電や抵抗値上昇等の問題点を解消するために広く用いられている。特に低誘電材料は、半導体の層間絶縁膜材料として有用であり、低誘電率を具備した材料の開発が活発に行われている。
【0003】
低誘電材料の主な用途である半導体の層間絶縁膜材料としては、現在シロキサン系化合物が中心に用いられている。シロキサン系化合物は主にケイ素と酸素から構成されている。ところが、分子の双極子モーメントが大きいほど誘電率は高くなるため、非共有電子対を多く有するシロキサン系化合物等は不利である。しかし、今までは誘電率の要求値がk=3〜4程度でよかったこと、シリコンウェハに対する密着性のバランスの点等から、シロキサン系化合物が用いられていた。
【0004】
近年、半導体の高性能化の要求から半導体回路幅の微細化が求められており、誘電率をさらに低くすることが必要になってきた。一方、低誘電率化の観点からシロキサン系化合物は、無機シロキサン系化合物から有機シロキサン系化合物に、さらにコントロールされたナノメートルレベルの空孔の導入と技術が進展してきた。
例えば、特許文献1ではボラジン−ケイ素系高分子のような有機/無機重合体が提案されている。しかし、低誘電率を具備するものの重合に必要なプラチナ触媒を除去する工程がないため、残留プラチナ原子により生じる絶縁破壊や低安定性の点で問題が残っていた。
【0005】
一方、有機系の低誘電材料として、ナフチレン系重合体が提案されている(特許文献2,3)。特許文献2には、残留触媒が除去された、誘電率が低い層間絶縁膜が開示されているが、絶縁膜の測定部位により誘電率の分布があり、低誘電率でない部位が存在する可能性があった。特許文献3では、低誘電率の材料が得られているが、表面粗さの点で改良の余地があった。誘電率分布の発生や表面粗さはいずれも、重合体を絶縁膜材料として用いたことに起因するものである可能性がある。
【特許文献1】特開2002−359240号公報
【特許文献2】国際公開WO2004/083278パンフレット
【特許文献3】国際公開WO2005/092946パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
公知の層間絶縁膜材料に見られる低誘電率化においては、熱分解性のポアジェン(空孔のもとになる物質)を導入することにより、ナノメートルレベルの空孔導入量を増加させる手法が用いられている。しかし、空孔導入量の増加は層間絶縁膜の強度低下を引き起こすため、強度低下を伴わず誘電率を低下させるのには限界があった。
本発明の目的は、空孔導入を必要としない層間絶縁膜材料として好適な低誘電材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下の低誘電材料等が提供される。
1.下記式(1)で表される環状芳香族化合物からなる低誘電材料。
【化6】


(式中、Arは、置換又は非置換の炭素数6〜52の2価の芳香族基であり、Xは、Arで表される芳香族基同士を結合させる置換基であり、2つのArは1〜3個のXを介して結合しても良く、nは、4〜8の整数を表し、複数のAr、Xは同一でも異なってもよい。)
2.下記式(2)で表される構造を有する環状芳香族化合物からなる低誘電材料。
【化7】


(式中、Arは、置換又は非置換の炭素数6〜52の4価の芳香族基であり、Ar2’は、置換又は非置換の炭素数6〜52の3価の芳香族基であり、Xは、Arで表される芳香族基を結合させる置換基であり、Yは、単結合、二重結合、エーテル基、置換もしくは非置換のアセタール基、又は置換もしくは非置換のメチレン基である。Yに結合する[ ]内の環状芳香族化合物は互いに積層して筒状の構造を構成する。nは、4〜8の整数を表し、複数のAr、Ar2’、X、Yは同一でも異なってもよく、mは、0〜3の整数を表し、複数のnは同じでも異なってもよい。)
3.前記式(2)で表される環状芳香族化合物が、下記式(3)で表される環状芳香族化合物である2に記載の低誘電材料。
【化8】


(式中、Arは、式(2)のArと同じであり、Arは、Ar2’と同じであり、Xは、Arで表される芳香族基を結合させる置換基であり、Yは上記のYと同様である。Yは3価の置換基であり、置換又は非置換の、炭素数3〜20の脂環式置換基、炭素数6〜14の芳香族基、アセタール基、メチリジン基、アミノ基であり、Zは、Arで表される芳香族基を結合させる置換基であり、nは4〜8の整数を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、複数のAr,Ar、X、Y、Y、Zはそれぞれ同一でも異なってもよい。)
4.前記式(3)で表される環状芳香族化合物が、下記式(4)で表される環状芳香族化合物である3に記載の低誘電材料。
【化9】


(式中、Rは、置換もしくは非置換の炭素数6〜14の芳香族基、又は置換もしくは非置換の炭素数5〜50の脂環式置換基であり、Rは、水素、置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族基、置換もしくは非置換の炭素数3〜20の分岐状脂肪族基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50の脂環式置換基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜30の芳香族基である。Rは、それぞれ置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族基、置換もしくは非置換の炭素数3〜20の分岐状脂肪族基、又は置換もしくは非置換の炭素数4〜50の脂環式置換基であり、kは0〜2の整数を表し、lは0〜3の整数を表し、kが1又はlが1〜2である場合、Rの位置はいずれでもよく、kが2又はlが2〜3である場合、複数のRは同一でも異なってもよく、nは4〜8の整数を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、複数のR、Rはそれぞれ同一でも異なってもよい。)
5.下記式(5)で表される環状芳香族化合物。
【化10】


(式中、Rは、置換もしくは非置換の炭素数6〜14の芳香族基、又は置換もしくは非置換の炭素数5〜50の脂環式置換基であり、Rは、水素、置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族基、置換もしくは非置換の炭素数3〜20の分岐状脂肪族基、置換もしくは非置換の炭素数5〜50の脂環式置換基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜30の芳香族基である。Rは、それぞれ置換もしくは非置換の炭素数5〜50の脂環式置換基であり、jは0以上の整数を表し、kは0〜2の整数を表し、lは0〜3の整数を表し、化合物全体のj、k及びlの合計は1以上である。kが1又はlが1〜2である場合、Rの位置はいずれでもよく、kが2又はlが2〜3である場合、複数のRは同一でも異なってもよく、nは4〜8の整数を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、複数のR、Rはそれぞれ同一でも異なってもよい。)
6.上記1〜4のいずれかに記載の低誘電材料からなる半導体用層間絶縁膜材料。
7.上記1〜4のいずれかに記載の低誘電材料を有機溶媒に溶解させた塗料。
8.上記1〜4のいずれかに記載の低誘電材料からなる薄膜。
9.上記8に記載の薄膜を含む半導体装置。
10.上記8に記載の薄膜を含む電子回路装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、空孔導入を必要としない層間絶縁膜材料として好適な低誘電材料が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の低誘電材料の一つは、下記式(1)で表される環状芳香族化合物である。
【化11】


【0010】
式(1)において、Arは、置換又は非置換の炭素数6〜52の2価の芳香族基を表す。
Arとして、好ましくは、置換又は非置換のフェニレン基やナフチレン基である。具体的には、フェニレン基、メチルフェニレン基、メトキシフェニレン基、エトキシフェニレン基、フェノキシフェニレン基、ナフチレン基、メチルナフチレン基、ジメチルナフチレン基、エチルナフチレン基、ジエチルナフチレン基、ヒドロキシフェニレン基、ジヒドロキシフェニレン基、トリヒドロキシフェニレン基等が好ましいものとして挙げられる。特に好ましくは、置換又は非置換のフェニレン基である。
【0011】
式(1)においてXは、Ar同士を結合させる置換基であり、具体的には、単結合、二重結合、エーテル基(−O−)、置換もしくは非置換のアセタール基(−OCR11O−)、又は置換もしくは非置換のメチレン基(−CR11−)である。
Xは、好ましくは、エーテル基(−O−)、置換もしくは非置換のアセタール基(−OCR11O−)、置換もしくは非置換のメチレン基(−CR11−)である。
【0012】
ここでR11は、水素、炭素数6〜40の芳香族基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族基、置換もしくは非置換の炭素数3〜20の分岐状脂肪族基、又は置換もしくは非置換の炭素数3〜50の脂環式置換基である。好ましくは、炭素数6〜20の芳香族含有基、置換もしくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状脂肪族基、又は置換もしくは非置換の炭素数3〜12の分岐状脂肪族基である。
11が炭素数5以下の不飽和性環状置換基、例えば、ジシクロペンタジエニル基等では、クロロホルム等の有機溶媒に対して低溶解性であるため、薄膜を形成しにくくなる場合がある。炭素数21以上の芳香族含有基では、結晶性が高くなるため、薄膜形成上好ましくない場合がある。また、炭素数13以上の直鎖又は分岐上の脂肪族基も、結晶性が高く薄膜形成上好ましくない場合がある。
【0013】
炭素数6〜40の芳香族基として具体的には、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、フェニルヘプチル基、フェニルオクチル基、フェニルデシル基、フェニルドデシル基等の置換あるいは非置換の芳香族基、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基、フェノキシプロピル基、フェノキシブチル基、フェノキシペンチル基、フェノキシヘキシル基、フェノキシヘプチル基、フェノキシオクチル基、フェノキシデシル基、フェノキシドデシル基等のアリールオキシ基含有基が好ましく挙げられる。
【0014】
置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族基、又は置換もしくは非置換の炭素数3〜20の分岐状脂肪族基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n―デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、メチルヘキシル基、エチルヘキシル、メチルペンチル基、エチルペンチル基、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、エトキシヘキシル基等がよい。置換基を有する場合、置換基の位置は限定されない。
【0015】
置換もしくは非置換の炭素数3〜50の脂環式置換基として好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ビアダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルニル基等が挙げられる。
【0016】
Xは、特に好ましくは、非置換のメチレン基又は−CR12H−型の置換メチレン基である。この場合、R12は特に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、フェネチル基、フェニル基、ベンジル基等が好ましい。
【0017】
1のArと他のArは、1〜3つのXを介して結合していてもよい。2つ以上のXで結合しているとき、それぞれのXは同一であっても異なっていてもよい。例えば、−Ar−CH−O−CH−Ar−(2つのメチレン基と1つエーテル結合の組み合わせてArを結合した構造)が挙げられる。
【0018】
式(1)において、nは4〜8の整数を表す。複数のArは同一でも異なっていてもよい。製造容易性の点でn=4が好ましい。
【0019】
式(1)として好ましくは、下記式(1−a)のカリックスアレーン、下記式(1−b)のカリックスレゾルシナレンが挙げられる。
【化12】


【0020】
式(1−a)、(1−b)において、R13,R14,R15は、上記のR11と同様である。
式(1−a)において、iは0〜3の整数である。式(1−b)において、hは0〜2の整数である。
【0021】
式(1−a)、(1−b)において、R13は、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、フェネチル基、フェニル基、ベンジル基である。
式(1−a)、(1−b)において、好ましくは、i、hが0であるか、又はR14が、置換もしくは非置換の炭素数3〜50の脂環式置換基である。
脂環式置換基としては、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ビアダマンチル基、脂肪族基を有するビアダマンチル基が好ましい。
式(1−a)、(1−b)において、R15は、好ましくは、水素である。
式(1−a)、(1−b)において、nは4であることが合成の容易さの点で好ましい。
【0022】
本発明の低誘電材料の他の実施形態として、下記式(2)に示す環状芳香族化合物が挙げられる。
【化13】


【0023】
式(2)の化合物は上述した式(1)の環状芳香族化合物を積層した構造を有する。
式(2)において、Arは、置換又は非置換の炭素数6〜52の4価の芳香族基であり、Ar2’は、置換又は非置換の炭素数6〜52の3価の芳香族基である。
Ar及びAr2’は、上述した式(1)のArで例示した基と同じ構造を有する3価又は4価の基である。
Xは、Ar同士又はAr2’同士を結合させる置換基であり、具体的には式(1)のXと同じである。
【0024】
式(2)において、Yは単結合、二重結合、エーテル基、置換又は非置換のアセタール基、置換又は非置換のメチレン基を表す。具体的には、上述した式(1)のXと同じである。Yに結合する[ ]内の環状芳香族化合物は互いに積層して筒状の構造を構成する。
は、より好ましくは、置換又は非置換のアセタール基(−OCR16O−)であり、さらに好ましくは−OCHR16O−で表されるアセタール基である。
【0025】
16としては、炭素数6〜20の芳香族含有基が好ましい。具体的には、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、フェニルヘプチル基、フェニルオクチル基、フェニルデシル基、フェニルドデシル基、トリル基、フェニルフェニル基、ナフチル基等の置換又は非置換の芳香族基、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基、フェノキシプロピル基、フェノキシブチル基、フェノキシペンチル基、フェノキシヘキシル基、フェノキシヘプチル基、フェノキシオクチル基、フェノキシデシル基、フェノキシドデシル基等のアリールオキシ基含有基が好ましく挙げられる。より好ましくは、フェニル基、トリル基、フェニルフェニル基、ナフチル基である。
【0026】
式(2)において、nは、4〜8の整数を表す。合成の容易さの観点で、好ましくはn=4である。複数のAr、Ar2’、X、Yは同一でも異なってもよい。
【0027】
式(2)において、mは0〜3の整数を表す。好ましくはm=2である。
また、それぞれのnは同一であっても異なっていてもよい。
【0028】
式(2)で表される環状芳香族化合物は、好ましくは、式(3)で表される環状芳香族化合物である。
【化14】


【0029】
式(3)において、Arは、式(2)のArと同様であり、Arは、式(2)のAr2’と同様である。
式(3)において、Xは、式(1)及び式(2)のXと同様である。
式(3)において、Yは、式(2)のYと同様である。
式(3)において、Yは3価の置換基であり、置換又は非置換の、炭素数3〜20の脂環式置換基、炭素数6〜14の芳香族基、アセタール基、メチリジン基(注:3価のCH)、アミノ基、下記の構造(a)を有する基等が挙げられる。好ましくは、下記の構造(a)及び下記の構造(a)における水素の代わりにメチル基、アダマンチル基、ビアダマンチル基、ジアマンチル基を有する置換基である。
【0030】
【化15】


【0031】
式(3)において、Zは、ArとArを結合させる置換基であり、具体例としては式(2)のYと同様である。
nは、4〜8の整数を表す。複数のn、Ar、Ar、X、Z、Yは同一でも異なってもよい。
【0032】
式(2)で表される環状芳香族化合物は、特に好ましくは、式(4)で表される環状芳香族化合物である。
【化16】


【0033】
式(4)においてRは、炭素数6〜14の芳香族基、又は置換もしくは非置換の炭素数5〜50の脂環式置換基であり、好ましくは、炭素数6〜14の芳香族基である。
芳香族基として、具体的には、フェニレン基、メチルフェニレン基、メトキシフェニレン基、エトキシフェニレン基、フェノキシフェニレン基、ナフチレン基、メチルナフチレン基、ジメチルナフチレン基、エチルナフチレン基、ジエチルナフチレン基等の置換もしくは非置換の芳香族基、ヒドロキシナフチレン基等の置換もしくは非置換のヒドロキシ基含有芳香族基、メトキシナフチレン基、エトキシナフチレン基等の置換もしくは非置換のアルコキシ基含有芳香族基、フェノキシナフチレン基等の置換もしくは非置換のアリールオキシ基含有芳香族基が好ましい基として挙げられる。芳香族基として、特に好ましくは、フェニレン基やナフチレン基である。
尚、炭素数16以上の芳香族基は、ひずみが大きいので、分子安定性の観点からは、必ずしも好ましくはない。
【0034】
脂環式置換基として、好ましくは、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ビアダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボニル基である。
【0035】
式(4)において、Rは水素、置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族基、置換もしくは非置換の炭素数3〜20の分岐状脂肪族基、置換もしくは非置換の炭素数6〜30の芳香族基、又は置換もしくは非置換の炭素数5〜50の脂環式置換基である。
好ましくは、炭素数6〜20の芳香族基、置換もしくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状脂肪族基、又は置換もしくは非置換の炭素数3〜12の分岐状脂肪族基である。
炭素数6以下の芳香族基であると、クロロホルム等の有機溶媒に対して低溶解性となる場合があり、炭素数21以上の芳香族基であると、結晶性が高くなる場合がある。また、炭素数13以上の直鎖状又は分岐状脂肪族基であると、結晶性が高くなる場合がある。
【0036】
炭素数6〜20の芳香族基として具体的には、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、フェニルヘプチル基、フェニルオクチル基、フェニルデシル基、フェニルドデシル基等の置換あるいは非置換の芳香族基、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基、フェノキシプロピル基、フェノキシブチル基、フェノキシペンチル基、フェノキシヘキシル基、フェノキシヘプチル基、フェノキシオクチル基、フェノキシデシル基、フェノキシドデシル基等の置換あるいは非置換のフェノキシ基含有芳香族基が好ましく挙げられる。特に好ましくは、フェネチル基等である。
【0037】
置換もしくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状脂肪族基、又は置換もしくは非置換の炭素数3〜12の分岐状脂肪族基として好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n―デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、メチルヘキシル基、エチルヘキシル、メチルペンチル基、エチルペンチル基、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、エトキシヘキシル基等が挙げられる。特に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基である。尚、置換基を有する場合、その置換位置は限定されない。
【0038】
置換又は非置換の炭素数3〜50の脂環式置換基として好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ビアダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボニル基等が挙げられる。
【0039】
式(4)において、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族基、置換又は非置換の炭素数3〜20の分岐状脂肪族基、アルコキシ基含有脂肪族基、又は置換もしくは非置換の炭素数4〜50の脂環式置換基である。
好ましくは、炭素数1〜12の置換又は非置換の直鎖状脂肪族基、炭素数3〜12の置換又は非置換の分岐状脂肪族基、置換もしくは非置換の炭素数4〜50の脂環式置換基である。
【0040】
炭素数1〜12の置換又は非置換の直鎖状脂肪族基、炭素数3〜12の置換又は非置換の分岐状脂肪族基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n―デシル基、ウンデシル基、ドデシル基が挙げられる。
【0041】
アルコキシ基含有脂肪族基として、好ましくは、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、エトキシヘキシル基等である。
【0042】
置換又は非置換の炭素数4〜50の脂環式置換基として、好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ビアダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボニル基等が挙げられる。
【0043】
式(4)において、kは0〜2の整数である。また、lは0〜3の整数である。kが1又はlが1〜2であるとき、Rの位置はいずれでもよい。kが2又はlが2〜3であるとき、複数のRは、同一であっても異なってもよい。
【0044】
式(4)において、nは4〜8の整数であり、好ましくは4である。それぞれのnは同一であっても異なってもよい。
このとき複数のR,Rはそれぞれ同一であっても異なってもよい。
【0045】
式(4)のうち、下記式(5)で表される環状芳香族化合物は新規物質であり、特に誘電率の低い化合物である。
【化17】


【0046】
式中、Rとjを除き各置換基は上記式(4)と同じである。jは0以上の整数である。但し、化合物全体のj+k+lの合計は1以上である。即ち、化合物1分子にRが1つ以上結合している。Rは、それぞれ置換もしくは非置換の炭素数5〜50の脂環式置換基であり、具体的には上記式(4)のRで例示した脂環式置換基と同じである。特に、置換又は非置換のシクロヘキシル基、アダマンチル基又は下記式で表されるビアダマンチル基が好ましい。
【0047】
【化18】


(式中、R21は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、ビアダマンチル基の任意の位置に0.1〜17個の範囲で結合している。)
【0048】
炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が好ましい。置換数は0.5〜6が特に好ましい。
尚、上記において、置換基数が整数とならない場合があるのは次の理由による。即ち、本発明の化合物の製造法として好適に用いられる後記のフリーデル・クラフト反応を使用する場合、得られる化合物はR21で置換されたものと未置換物との混合物として回収される。このため、1分子当たりの平均置換数が整数ではなく少数になる場合がある。
【0049】
Rとして、上記の脂環式置換基を導入することにより、特に誘電率の低い化合物が得られる。これは、主鎖構造に脂環式置換基が入る場合と比較して、ペンダントとして入る場合は、薄膜を構成する分子同士の分子間距離が相対的に遠くなり、分子間の空隙が確保できるため、誘電率の上昇につながる電子分極の密度が低下するため、誘電率が低下すると考えられる。また、全ての分子には電子分極が存在するが、脂環式置換基は電子分極が低いため、ペンダントとして導入する際に、誘電率の上昇に寄与し難いためと考えられる。
【0050】
本発明においては、Rである脂環式置換基は芳香族環に直接結合していることが好ましい。アルキル基等を介して結合すると、介在基の部分で側鎖が曲がってしまうため、分子間距離を充分に離すことが困難となる。また、耐熱性の観点から、加熱時の回転による分子の運動を引き起こすので好ましくない場合がある。
【0051】
本発明の低誘電材料は、いわゆるおわん型構造をした環状芳香族化合物からなる。この環状芳香族化合物を用いることにより、空孔導入をすることなしに、ULSI等半導体の性能が飛躍的に向上する結果につながる層間絶縁膜材料の提供が可能となる。
現状の熱分解性ポアジェンの導入によるナノメートルレベルの空孔導入手法では強度低下せずに誘電率を低下させるのには限界がある。このため、オングストロームレベルの空孔を導入する必要がある。それは即ち原子レベルのサイズの空孔、即ち分子間自由体積を増加させることに他ならない。
特に、カリックスレゾルシナレン化合物に代表される環状化合物を分子構成要素として、単結合、エーテル結合などにより複数結合させることにより椀型の分子構造とすることで、分子内にオングストロームレベルの大きな空孔を構築することができ、誘電率低下が可能となる。
【0052】
式(1)の環状芳香族化合物は、アルデヒドとフェノール誘導体又はレゾルシノールとの塩酸存在下での縮合反応により効率的に合成することができる。具体的な合成方法として、J.Am.Chem.Soc.,1981,103,3782−3792,J.Org.Chem.,1980,45,4498−4500等に記載された方法を利用することができる。
【0053】
式(2)の環状芳香族化合物は、a)アルデヒドとレゾルシノールとの塩酸存在下での縮合反応、b)アセタール化反応、c)ウルマン反応によるエーテル化反応、のいずれかの方法により効率的に合成することができる。具体的な合成方法として、Org.Lett.,Vol.2,No.24,3845−3848,2000,J.Am.Chem.Soc.,2003,125,650−651に記載された方法を利用することができる。
【0054】
尚、式(5)のRとして、上述した脂環式置換基を導入するには、Rのハロゲン化物(R−X)と基体化合物を、ルイス酸存在下のフリーデル・クラフト反応により反応させることにより得られる。
Rのハロゲン化物(R−X)としては、例えば、3−ブロモ−5,5’−ジブチル−1,1’−ビアダマンタンが好ましい。
ルイス酸は、公知のルイス酸性を有する化合物を用いることが可能である。
具体的には塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、フッ化アルミニウム、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、五フッ化リン、スカンジウムトリフラートの他、チタン、ジルコニウム等の金属のアルコキシド化合物等、公知の化合物が例示される。
好ましくは塩化アルミニウム、臭化アルミニウムである。これらを組み合わせて用いてもよい。
【0055】
ルイス酸の添加量は、使用するハロゲン化脂環式化合物に対して、好ましくは、0.001当量〜10当量である。好ましくは0.01当量〜1当量である。
【0056】
好ましいルイス酸の種類及び添加量は、基体の芳香族化合物とハロゲン化脂環式化合物の組合せや反応条件により異なるが、その反応性、経済性の観点から、塩化アルミニウム及び/又は臭化アルミニウムを0.01当量〜1当量用いる。
【0057】
使用する反応基質や反応条件により、溶媒を用いても用いなくても反応は実施できる。一般的には、溶媒により反応基質及び触媒の濃度が低下することにより反応速度が低下したり、溶媒自身が反応に関与し反応の選択率を低下させたりする可能性があるため、溶媒を用いない方が好ましい例が多い。しかし、基質の形態等に起因して、反応の制限上、又は後処理の制限上、溶媒を使用することが好ましい場合は、ハロゲン化炭化水素溶媒を用いるのが一般的である。ハロゲン化炭化水素として、好ましくは、1,1,2,2−テトラクロロエタンである。
【0058】
フリーデル・クラフツ反応を実施するに際して、アルコール系溶媒やピリジン等の塩基性有機溶媒は、ルイス酸の触媒作用を抑制するため好ましくない。また、芳香族系溶媒は、反応基質であるハロゲン化脂環式化合物と反応し副生成物を与えてしまうため好ましくない。
【0059】
フリーデル・クラフツ反応を実施する際の反応温度は、好ましくは−100℃〜200℃であり、より好ましくは−78℃〜100℃である。−78℃未満では十分な反応速度が得られない場合があり、100℃を超えると副反応が進行し、所望の化合物の収率が低下する恐れがある。
【0060】
このような反応を行うことにより、式(5)の化合物が得られる。尚、この方法で得られる化合物は、実際は式(5)で示される置換物とRが全く結合していない未置換物の混合物として回収される。置換物と未置換物を精製分離してもよいが、実用上、混合物のまま使用してもよい。化合物1つあたりの置換数(化合物全体のj+k+lの合計)は、例えば、Rがナフチレンの場合、0.01〜88であり、好ましくは、0.05〜44である。置換数が0.05未満では低誘電率化等の性能の有意な向上が見込めない場合がある。
【0061】
本発明の低誘電材料は、半導体用層間絶縁膜材料として好適に使用できる。例えば、半導体装置の製造におけるULSI多層配線構造の層間絶縁膜材料として用いる場合、耐熱性及び安定性等が要求されるが、各特性の要求値は、低誘電材料を用いる部位によって異なるため、一概には定義できない。しかし、層間絶縁膜材料として使用する場合、一般に誘電率等は低く、耐熱性、安定性等が高いことが望ましい。特に誘電率が3.0以下であることが望ましい。本発明の低誘電材料はこれらの性質を具備するものである。
【0062】
本発明の低誘電材料は、有機溶媒に溶解させて塗料として使用することができる。
本発明の低誘電材料は、一般的な有機溶媒に溶解させることができる。具体的な有機溶媒として、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、DMF、NMP、DMSO、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル、シクロヘキサノントルエン、ベンゼン、アセトン等が挙げられる。
塗料における低誘電材料の配合量は、作製する薄膜の厚さや塗料の粘度等を考慮して適宜調整できるが、一般には、0.01重量%〜50重量%程度である。
【0063】
本発明の低誘電材料は、層間絶縁膜等、薄膜の形態で使用されることが好ましい。本発明の低誘電材料からなる薄膜は、上述した塗料を使用して、スピンコーティング法、スプレーコーティング法等の塗布法や、CVD法等の、一般に公知の方法により製膜できる。厚さが10nm〜10μmの薄膜が形成できる。
また、本発明の低誘電材料は、薄膜を形成した後、高温でキュアする必要がない上、熱硬化させるために必要となる触媒や架橋材を必要としないため、これらの残留がない。
本発明の低誘電材料からなる薄膜は、半導体装置(集積回路)用や電子回路装置用の層間絶縁膜として好適に利用できる。
【0064】
本発明の低誘電材料は、誘電率が低いので、本発明の低誘電材料から作製された薄膜は、CPU、DRAM、フラッシュメモリ等の半導体装置、薄膜上にパターン形成し、回路を描いて作製された薄膜トランジスタに代表される情報処理用小型電子回路装置、高周波通信用電子回路装置等の電子回路装置、画像表示装置、光通信用装置等の部材、表面保護膜、耐熱膜等として使用することができる。
【0065】
本発明の低誘電材料の誘電率は、使用する環状芳香族化合物の置換基の種類、置換位置、置換数により異なるため一概に定義できないが、誘電率kの値として、好ましくは3.0以下の範囲、より好ましくは2.6以下、さらに好ましくは2.4以下である。誘電率kの下限値は特定する必要はないが、現実的な値として1.5程度である。
尚、誘電率kは、水銀プローブ法により求めた値である。
本発明の低誘電材料として使用される環状芳香族化合物は上記の誘電率の範囲内において、主鎖構造、分子量、置換基の種類、置換位置、置換数を適宜調整できる。
【0066】
誘電率kは、上記式(1)〜式(4)に示される環状芳香族化合物の構造、特に、置換基の種類、置換位置により変化する。例えば、R,R,R13,R14をn−ヘプチル基等の長鎖脂肪族基、アダマンチル基、ビアダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボニル基等の脂環式置換基とすれば、比較的誘電率は低くなる。
【実施例】
【0067】
実施例1
(1)3,5−ジブロモベンザルブロミド(下記式)の合成
【化19】


【0068】
J.Org.Chem.,1999,64,9286のExperimental Sectionに記載の合成法を参考に合成した。即ち、容量500mLのフラスコに3,5−ジブロモベンザルアルデヒド10g(37.9mmol)を加え、無水ジクロロメタン150mLに溶解させた。系内を窒素雰囲気にし、遮光して1M三臭化ホウ素57mL(56.8mmol)を滴下した。室温で24時間撹拌して反応させた。アセトン150mLを加え反応を止めた。塩化メチレンを減圧蒸留により除去した。塩化メチレン/純水を加え、分液ロートにて有機層を抽出した。硫酸マグネシウムで水を除去し、シリカゲルカラムによるクロマトグラフィー(塩化メチレン:ヘキサン=1:3)により精製することで、3,5−ジブロモベンザルブロミドを13.6g(収率:89%)を得た。
【0069】
(2)下記式(6)で表されるカリックスレゾルシナレンの合成
【化20】


【0070】
容量1Lのフラスコにレゾルシノール50.0g(454.5mmol)を加え、メタノール272mLに溶解させた。濃塩酸45.4mLを加え、氷水浴で10〜15℃に冷却した。系内を窒素雰囲気にし、オクタナール70mL(454.5mmol)を50分間滴下した。オイルバスで内温60℃に加温し、2時間加熱撹拌した。反応溶液を純水1.0Lに滴下して再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過した。この沈殿物を再度1.5Lの純粋に加えて洗浄し、ろ過した。これにより式(6)に示すカリックスレゾルシナレン89.1g(収率:89%)を得た。
【0071】
実施例2
(1)中間体化合物(下記式(7))の合成
【化21】


【0072】
Org.Lett.,Vol.2,No.24,3845−3848(2000)に記載されている合成法を参考にして合成した。
容量1Lのフラスコに実施例1(2)で合成したカリックスレゾルナシレン6.08g(6.9mmol)と、実施例1(1)で合成した3,5−ジブロモベンザルブロミド12.4g(30.4mmol)をジメチルアセトアミド(DMA)365mLに溶解させ、ジアザビシクロウンデセン8.2mL(55.2mmol)を加えた。系内を窒素雰囲気にし、オイルバスで内温65℃に加温し、3日間加熱撹拌して反応させた。DMAを減圧蒸留により除去し、塩化メチレン/水を加え、分液ロートにて有機層を抽出した。硫酸マグネシウムで水を除去し、シリカゲルカラムによるクロマトグラフィー(塩化メチレン:ヘキサン=1:3)により精製することで式(7)に示す化合物を3.01g(収率:23%)得た。
【0073】
(2)下記式(8)で表される環状芳香族化合物の合成
【化22】


【0074】
J.Am.Chem.Soc.,2003,125,650に文献に記載されている合成法を参考にして合成した。
上記(1)で合成した式(7)の化合物16.20g(3.24mmol)、2,7−ジヒドロキシナフタレン5.19g(32.40mmol)、炭酸カリウム9.00g(65.12mmol)、ピリジン720mLを加え、懸濁溶液にした。15分間窒素バブリングを行い、酸化銅(II)5.32g(66.92mmol)を加えた。系内を窒素雰囲気にし、オイルバスで加温し、ピリジン還流下で7日間加熱撹拌して反応させた。ピリジンを減圧蒸留することにより除去し、塩化メチレン200mLに溶解させ、セライトを用いて、ろ過した。塩化メチレンを減圧蒸留により除去し、メタノール200mLに溶解させ、ろ過した。不溶物へ塩化メチレン/水を加え分液ロートにて有機層を抽出した。硫酸マグネシウムで水を除去し、シリカゲルカラムによるクロマトグラフィー(塩化メチレン:ヘキサン=1:3)により分取することで3置換体と4置換体の混合物1.8g(収率:30%)が得られた。
【0075】
3置換体と4置換体の混合物2.0g(1.08mmol)、2,7−ジヒドロキシナフタレン358mg(2.12mmol)、炭酸カリウム1.22g(8.48mmol)、ピリジン240mlを加え、懸濁溶液にした。15分間窒素バブリングを行い、酸化銅(II)421.6g(5.3mmol)を加えた。系内を窒素雰囲気にし、オイルバスで加温し、ピリジン還流下で3日間加熱撹拌して反応させた。ピリジンを減圧蒸留により除去し、塩化メチレン100mlに溶解させ、セライトを用いて、ろ過した。塩化メチレンを減圧蒸留により除去し、メタノール100mlに溶解させ、ろ過した。不溶物へ塩化メチレン/水を加え有機層を抽出した。硫酸マグネシウムで水を除去し、シリカゲルカラムによるクロマトグラフィー(塩化メチレン:ヘキサン=1:3)により精製することで式(8)に示す化合物(ディープキャビタンド)0.63g(収率:34%)を得た。
【0076】
実施例3
下記式(9)で表される環状芳香族化合物を合成した。
【化23】


【0077】
実施例2(2)において、2,7−ジヒドロキシナフタレンの代わりにレゾルシノールを用いた他は、実施例2と同様の合成法により式(9)に示す化合物を得た(収率44%)。
【0078】
実施例4
実施例2で合成した上記式(8)の環状芳香族化合物のフェニル環上に、ジブチルビアダマンチル基を導入した化合物を、以下の手順により合成した。
窒素雰囲気下、容量100ミリリットルのフラスコ中に、式(8)で表される環状芳香族系化合物と、3−ブロモ−5,5’−ジブチル−1,1’−ビアダマンタン(0.23g、0.50ミリモル)を入れた後、1,1,2,2−テトラクロロエタン(15ミリリットル)を添加、攪拌し均一溶液とした。該溶液を氷浴中で攪拌しつつ0℃まで冷却した後、窒素雰囲気下で無水臭化アルミニウム(0.13g、0.50ミリモル)を添加し、0℃に冷却しつつ3時間攪拌し、反応を実施した。次いで、冷却攪拌したままメタノール(1ミリリットル)を滴下することにより反応を停止させ、さらにメタノール(50ミリリットル)を添加することにより、生成物を白色固体として析出させ、ろ別、メタノール洗浄することによりジブチルビアダマンチル置換環状芳香族系化合物を得た(0.40g、収率88%)。
【0079】
得られたジブチルビアダマンチル置換環状芳香族系化合物の構造を、H−NMRにより確認した。図1にジブチルビアダマンチル置換環状芳香族系化合物のH−NMRスペクトルを示す。
このスペクトルから、この化合物が式(8)で表される環状芳香族系化合物1モルに対して、ジブチルビアダマンチル基が0.73モル結合したものであった。
【0080】
実施例5
[絶縁膜の成膜及び誘電率の測定]
実施例2にて合成した化合物(8)を用い、濃度10wt%のテトラクロロエタン溶液を作成した。これを、スピンコーターを用いて2000rpm、60秒間回転させ、シリコンウェハ上に塗布し粘着性の薄膜を形成した。この粘着性薄膜が形成したシリコンウェハ(2cm角)を250℃にて60分加熱、その後、200℃にて真空乾燥することにより均一な表面形状の非粘着性薄膜を形成させた。この膜厚は触針式膜厚測定器により0.5μmと計測され、誘電率を水銀プローブ法により測定したところ比誘電率kは2.9であった。誘電率測定にあたっては、水銀プローバー(Four Dimensions社製)を使用した。
【0081】
実施例6
実施例3で合成した化合物(9)を実施例5と同様の手法により成膜した。得られた薄膜について実施例4と同様に誘電率を測定したところ、比誘電率kは2.4であった。
【0082】
実施例7
実施例1で合成した化合物(6)を実施例5と同様の手法により成膜した。得られた薄膜について実施例4と同様に誘電率を測定したところ、比誘電率kは2.9であった。
【0083】
実施例8
実施例4で合成した、化合物(8)のジブチルビアダマンチル基置換体を実施例5と同様の手法により成膜した。得られた薄膜について実施例5と同様に誘電率を測定したところ、比誘電率kは2.7であった。
【0084】
比較例1
フェノール130g(1.38mol)、水13mL、37%ホルムアルデヒド水溶液92.4g(1.14mol)及びシュウ酸2水和物1gを加え、30分間撹拌しながら加熱還流した。1gのシュウ酸2水和物を追加し、さらに1時間加熱還流した後、水400mL加え冷却した。樹脂を30分間かけて沈降させた後、水相をデカンテーションにより分離し、ノボラック樹脂140g(1.31mol、収率95%)を得た。
得られたノボラック樹脂は、実施例4と同様の方法により成膜した。得られた薄膜について実施例4と同様に比誘電率kを測定した。このノボラック樹脂の比誘電率kは4.8であった。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の低誘電材料は、半導体装置、電子回路装置等で使用される電子材料、半導体用層間絶縁膜材料、透明材料、高強度材料、耐熱材料等として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】実施例4で得られたジブチルビアダマンチル置換環状芳香族系化合物のH−NMRのチャート図である。
【出願人】 【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
【出願日】 平成18年6月26日(2006.6.26)
【代理人】 【識別番号】100086759
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 喜平


【公開番号】 特開2008−1670(P2008−1670A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−175273(P2006−175273)