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【発明の名称】 3R−アミノピロリジン誘導体の製造方法
【発明者】 【氏名】角田 秀俊

【氏名】福村 考記

【要約】 【課題】本発明の課題は、比較的安価でかつ工業的スケールで入手容易な3R−ヒドロキシプロリン誘導体を製造原料とし、収率よく、かつ高い立体選択性で3R−アミノピロリジン誘導体を、工業的な見地から効率よく製造する方法を提供することを目的とする。

【構成】一般式(1)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】



(式中、R1は置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のベンジル基、−CO−O−X、−CO−Yを示し、Xは置換または無置換の炭素数アルキル基、置換または無置換のベンジル基、置換または無置換のフルオレニルメチル基、置換または無置換のアリール基を示し、Yは、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基を示す。)で表される化合物と、一般式(2)
【化2】



[式中、R2、R3、R4は、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環を示し、同一でも異なってもよい。また、R2とR3が結合して窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を形成してもよい。Aは、水素原子、一般式(3)
【化3】



(式中、R5、R6は、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環を示し、同一でも異なってもよい。また、R5とR6が結合して窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を形成してもよい。あるいは、R2とR5が結合して窒素原子を含む環を形成してもよい。)で表される置換基、または一般式(4)
【化4】



(式中、R7は、フッ素原子で一部あるいは全てが置換されたアルキル基を示す。)で表される置換基を示す。]で表される化合物を反応させ、立体反転を伴ってスルホン酸エステル化し、一般式(5)
【化5】



(式中、R1、R4は前記と同義である。)で表される化合物とし、続いて再び立体反転を伴って一般式(6)
【化6】



[式中、R1は前記と同義である。Xは、アジド基、アミノ基を有する一般式(7)、
【化7】



(式中、R8、R9は、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環を示し、同一でも異なってもよい。)で表される化合物、またはフタルイミド基を有する一般式(8)、
【化8】



(式中、R3は、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基を示す。)で表される化合物を示す。]で表される化合物とし、Xがアジド基の場合にはアジド基の還元反応、Xが一般式(7)で表されるアミノ基(ただし一般式(7)のR8、R9が水素原子である場合を除く)である場合にはアミノ基の脱保護反応、Xが一般式(8)で表されるフタルイミド基の場合にはフタロイル基の脱保護反応を行うことによる、一般式(9)
【化9】



(式中、R1は前記と同義である。)で表される化合物の製造方法。
【請求項2】
一般式(1)
【化10】



(式中、R1は無置換または置換の炭素数1〜6のアルキル基、無置換または置換のベンジル基、−CO−O−X、−CO−Yを示し、Xは無置換または置換の炭素数1〜6のアルキル基、無置換または置換のベンジル基、無置換または置換のフルオレニルメチル基、無置換または置換のアリール基を示し、Yは、無置換または置換の炭素数1〜6のアルキル基、無置換または置換のフェニル基を示す。)で表される化合物と、一般式(2)
【化11】



[式中、R2、R3、R4は、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環を示し、同一でも異なってもよい。また、R2とR3が結合して窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を形成してもよい。Aは、水素原子、一般式(3)
【化12】



(式中、R5、R6は、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環を示し、同一でも異なってもよい。また、R5とR6が結合して窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を形成してもよい。あるいは、R2とR5が結合して窒素原子を含む環を形成してもよい。)で表される置換基、または一般式(4)
【化13】



(式中、R7は、フッ素原子で一部あるいは全てが置換されたアルキル基を示す。)で表される置換基を示す。]で表される化合物を反応させ、立体反転を伴ってスルホン酸エステル化し、一般式(5)
【化14】



(式中、R1、R4は前記と同義である。)で表される化合物とし、続いて立体反転を伴って一般式(6)
【化15】



[式中、R1は前記と同義である。Xは、アジド基、アミノ基を有する一般式(7)、
【化16】



(式中、R8、R9は、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環を示し、同一でも異なってもよい。)で表される化合物、またはフタルイミド基を有する一般式(8)、
【化17】



(式中、R3は、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基を示す。)で表される化合物を示す。]で表される化合物の製造方法。
【請求項3】
R1が−CO−O−Xであり、Xがメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル、アリル基、ベンジル基、フルオレニルメチル基である請求項1、2に記載の製造方法。
【請求項4】
R4がメチル基、フェニル基、p-メチルフェニル基、ナフチル基、トリフルオロメチル基である請求項1〜3に記載の製造方法。
【請求項5】
一般式(2)で表される化合物が、一般式(10)
【化18】



(式中、R2、R3、R4、R5、R6は前記と同義である。)で表される請求項1〜4に記載の製造方法。
【請求項6】
一般式(2)で表される化合物が、一般式(11)
【化19】



(式中、R2、R3、R4は前記と同義である。)で表される請求項1〜4に記載の製造方法。
【請求項7】
一般式(2)で表される化合物が、一般式(12)
【化20】



(式中、R2、R3、R4は前記と同義である。)で表される請求項1〜4に記載の製造方法。
【請求項8】
一般式(2)で表される化合物が、一般式(13)
【化20】



(式中、R4は前記と同義である。)で表される請求項1〜4に記載の製造方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、農薬、化粧品素材をはじめ多方面において有用な3R−アミノピロリジン誘導体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生理活性を有する有用化合物として、3R−アミノピロリジン誘導体が注目されている。例えば、医薬品分野において開発中の抗菌剤(BRL−5788)[特許文献1]や抗肥満薬(A−331440)[特許文献2]の重要な鍵中間体として、3R−アミノピロリジン誘導体の利用が検討されている。
【0003】
従来の3R−アミノピロリジン誘導体の製造方法としは、以下の方法が知られている。
(1)対応する3S−ヒドロキシピロリジン誘導体から立体反転を伴ってアミノ基を導入する方法。[特許文献3][非特許文献1]
(2)D−アスパラギン酸を原料とし、ジカルボン酸の還元とピロリジン環化反応により製造する方法[特許文献4]
(3)ラセミ体の3−アミノピロリジン誘導体を合成し、光学分割する方法[特許文献5]
(1)の問題点としては、原料となる3S−ヒドロキシピロリジン誘導体が、安定的にかつ安価に入手困難なことにある。従来知られている3S−ヒドロキシピロリジン誘導体の製造方法は、製造工程が多工程となり、また高価な試薬を必要とする。一方、(2)の問題点としては、出発原料が高価な非天然体であるD−アスパラギン酸を用いていること、加えてジカルボン酸の還元には多量の水素化ホウ素ナトリウムを使用しなければならないことにある。よってこの製造方法は、高コストであり安全性の面からも解決すべき課題が多い。さらには、(3)の問題点としては、ラセミ体の3−アミノピロリジン誘導体の製造方法自体が多工程で決して安価な方法ではなく、加えて光学分割には一般に高価な光学分割剤を必要とする上に、理論上50%は不要な光学異性体を得てしまうことにある。
【0004】
以上のように、従来の方法では、コストの問題、安全性の問題、不要物を多く副生してしまうなど廃棄物問題等解決すべき課題も多く、工業的に十分満足できるような製造技術は知られていなかった。
【特許文献1】WO99/65920
【特許文献2】WO02/06223
【特許文献3】US4916141
【非特許文献1】J.Med.Chem.,35,1764(1992)
【特許文献4】EP1236716
【特許文献5】GB1392194
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、比較的安価でかつ工業的スケールで入手容易な3R−ヒドロキシプロリン誘導体を製造原料とし、収率よく、かつ高い立体選択性で3R−アミノピロリジン誘導体を、工業的な見地から効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は鋭意検討した結果、出発原料として比較的安価で、かつ工業的なスケールで入手容易な光学活性な3R−ヒドロキシピロリジン誘導体と、一般式(2)
【0007】
【化21】



(式中、R2、R3、R4は、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環を示し、同一でも異なってもよい。また、R2とR3が結合して窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を形成してもよい。Aは、水素原子、一般式(3)
【0008】
【化22】



(式中、R5、R6は、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環を示し、同一でも異なってもよい。また、R5とR6が結合して窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を形成してもよい。あるいは、R2とR5が結合して窒素原子を含む環を形成してもよい。)で表される置換基、または一般式(4)
【0009】
【化23】



(式中、R7は、フッ素原子で一部あるいは全てが置換されたアルキル基を示す。)で表される置換基を示す。)で表される化合物を反応させることで、立体反転を伴って一般式(5)
【0010】
【化24】



(式中、R1、R4は前記と同義である。)で表されるスルホン酸エステル誘導体を製造できる画期的な製造方法を見出した。前記の製造方法は、高い立体選択性を有していることからラセミ化の心配が無く、かつ反応後の後処理において試薬由来の副生成物の除去が容易であることから、工業的な観点から非常に有用である。さらには、前記のスルホン酸エステル誘導体に対して、再度、立体反転を伴って窒素原子を有する化合物を導入することで、高い光学純度で、かつ効率よく目的とする光学活性な3R−アミノピロリジン誘導体に誘導できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、一般式(1)


【0011】


(式中、R1は置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のベンジル基、−CO−O−X、−CO−Yを示し、Xは置換または無置換の炭素数アルキル基、置換または無置換のベンジル基、置換または無置換のフルオレニルメチル基、置換または無置換のアリール基を示し、Yは、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基を示す。)で表される化合物と、一般式(2)
【0012】
【化26】



[式中、R2、R3、R4は、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環を示し、同一でも異なってもよい。また、R2とR3が結合して窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を形成してもよい。Aは、水素原子、一般式(3)
【0013】
【化27】



(式中、R5、R6は、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環を示し、同一でも異なってもよい。また、R5とR6が結合して窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を形成してもよい。あるいは、R2とR5が結合して窒素原子を含む環を形成してもよい。)で表される置換基、または一般式(4)
【0014】
【化28】



(式中、R7は、フッ素原子で一部あるいは全てが置換されたアルキル基を示す。)で表される置換基を示す。]で表される化合物を反応させ、立体反転を伴ってスルホン酸エステル化し、一般式(5)
【0015】
【化29】



(式中、R1、R4は前記と同義である。)で表される化合物とし、続いて再び立体反転を伴って一般式(6)
【0016】
【化30】



[式中、R1は前記と同義である。Xは、アジド基、アミノ基を有する一般式(7)、
【0017】
【化31】



(式中、R8、R9は、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環を示し、同一でも異なってもよい。)で表される化合物、またはフタルイミド基を有する一般式(8)、
【0018】
【化32】



(式中、R3は、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基を示す。)で表される化合物を示す。]で表される化合物とし、Xがアジド基の場合にはアジド基の還元反応、Xが一般式(7)で表されるアミノ基(ただし一般式(7)のR8、R9が水素原子である場合を除く)である場合にはアミノ基の脱保護反応、Xが一般式(8)で表されるフタルイミド基の場合にはフタロイル基の脱保護反応を行うことによる、一般式(9)
【0019】
【化33】



(式中、R1は前記と同義である。)で表される化合物の製造方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、比較的安価でかつ工業的スケールで入手容易な光学活性な3R−ヒドロキシプロリン誘導体を出発原料とし、工業的な見地から、効率的に、かつ高い光学純度で光学活性な3R−アミノピロリジン誘導体を製造することができる。本発明によって製造できる光学活性な3R−アミノピロリジン誘導体は、医薬品、農薬、化粧品素材をはじめとする多方面で利用可能な化合物であり、本発明の工業的な効果は極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
一般式(1)において、R1中の「置換または無置換のアルキル基」とは、アルキル基の任意の水素原子が置換基で置換されたアルキル基または無置換のアルキル基を意味する。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ヘキサデシル基、ビニル基またはアリル基等を挙げることができる。また、アルキル基の置換基としては、例えばアルキル基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。
【0023】
一般式(1)において、R1中の「置換または置換のベンジル基」とは、ベンジル基の任意の水素原子が置換基で置換されたベンジル基または無置換のベンジル基を意味する。ベンジル基の置換基としては、例えばアルキル基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。また、ベンズヒドリル基、トリチル基、ジメトキシトリチル基等も「置換のベンジル基」の範疇である。
【0024】
一般式(1)において、R1中の「置換または無置換のフルオレニルメチル基」とは、フルオレニルメチル基の任意の水素原子が置換基で置換されたフルオレニルメチル基または無置換のフルオレニルメチル基を意味する。フルオレニルメチル基の置換基としては、例えばアルキル基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。
【0025】
一般式(1)において、R1中の「置換または無置換のアリール基」とは、アリール基の任意の水素原子が置換基で置換されたアリール基または無置換のアリール基を意味する。アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基またはチエニル基等を挙げることができる。また、アリール基の置換基としては、例えばアルキル基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。
【0026】
一般式(2)において、R2、R3、R4中の「置換または無置換のアルキル基」、「置換または無置換のアリール基」は、前記の一般式(1)中の「置換または無置換のアルキル基」、「置換または無置換のアリール基」と同義である。
【0027】
一般式(2)において、R2、R3、R4中の「置換または無置換のヘテロ環」とは、ヘテロ環の任意の水素原子が置換基で置換されたヘテロ環または無置換のヘテロ環を意味する。ヘテロ環としては、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオフェン、モルホリン、ジオキサン等を挙げることができる。また、ヘテロ環の置換基としては、例えばアルキル基、メトキシ基、ベンジルオキシ基またはメトキシエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子などを挙げることができる。
一般式(2)において、「R2とR3が結合して窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を形成してもよい」とは、R2とR3が結合して窒素原子を含む環の形成、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環の形成を意味する。窒素原子を含む環としては、例えばピラゾール、ピロリジン、イミダゾール、ピペリジン、インドール、ベンズイミダゾール、カルバゾール等を挙げることができる。窒素原子と他のヘテロ原子を含む環としては、例えばモルホリン、チオモルホリン等を挙げることができる。
【0028】
一般式(3)において、R5,R6中の「置換または無置換のアルキル基」、「置換または無置換のアリール基」は、前記の一般式(1)中の「置換または無置換のアルキル基」、「置換または無置換のアリール基」と同義である。
一般式(3)において、R5,R6中の「置換または無置換のヘテロ環」は、前記の一般式(2)中の「置換または無置換のヘテロ環」と同義である。
一般式(3)において、「R5とR6が結合して窒素原子、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環を形成してもよい」とは、R5とR6が結合して窒素原子を含む環の形成、または窒素原子と他のヘテロ原子を含む環の形成を意味する。窒素原子を含む環としては、例えばピラゾール、ピロリジン、イミダゾール、ピペリジン、インドール、ベンズイミダゾール、カルバゾール等を挙げることができる。窒素原子と他のヘテロ原子を含む環としては、例えばモルホリン、チオモルホリン等を挙げることができる。
一般式(3)において、「R2とR5が結合して窒素原子を含む環を形成してもよい」とは、R2とR5が結合して窒素原子を含む環の形成を意味する。窒素原子を含む環としては、例えばイミダゾリン、テトラヒドロピリミジン、ベンズイミダゾリン等を挙げることができる。
【0029】
一般式(4)において、R7の「フッ素原子で一部あるいは全てが置換されたアルキル基」とは、アルキル基の任意の一部水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基またはアルキル基の全ての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を意味する。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ヘキサデシル基、ビニル基またはアリル基等を挙げることができる。
【0030】
一般式(7)において、R8,R9中の「置換または無置換のアルキル基」、「置換または無置換のアリール基」は、前記の一般式(1)中の「置換または無置換のアルキル基」、「置換または無置換のアリール基」と同義である。
一般式(7)において、R8,R9中の「置換または無置換のヘテロ環」は、前記の一般式(2)中の「置換または無置換のヘテロ環」と同義である。
【0031】
一般式(8)において、R10中のハロゲン原子とは、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等を挙げることができる。
一般式(8)において、R10中の「置換または無置換のアルキル基」、「置換または無置換のアリール基」は、前記の一般式(1)中の「置換または無置換のアルキル基」、「置換または無置換のアリール基」と同義である。
【0032】
出発原料である一般式(1)で表される化合物の入手方法に関して説明する。
一般式(1)で表される化合物は、市販品を入手することができるか、あるいはtrans−4−ヒドロキシ−L−プロリンを公知の方法によって脱炭酸反応を行い、続いて必要に応じてアミノ基を反応により誘導化することで合成的に入手することが可能である。
【0033】
一般式(5)で表される化合物の製造方法に関して説明する。
一般式(1)で表される3R−ヒドロキシピロリジン誘導体を、一般式(2)で表されるスルホン酸エステル化剤で処理することで、立体反転を伴って一般式(5)で表されるスルホン酸エステル誘導体を得ることができる。
【0034】
反応に用いるスルホン酸エステル化剤は、原料である一般式(1)の化合物に対して、任意の使用等量で実施可能である。好ましくは、0.5等量から5等量の範囲であり、より好ましくは0.9等量から2.5等量の範囲である。
【0035】
反応は、特に塩基共存下で実施する必要はないが、場合によっては、塩基共存下でも行うことができる。この場合、共存させる塩基に特に制限はないが、例えばピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基類を挙げることができる。
【0036】
反応は、無溶媒でも実施可能であるが、必要に応じて希釈溶媒中で行うこともできる。反応に用いることができる溶媒としては、反応の進行に悪影響を及ぼさないものであるならば特に制限はない。例えば、トルエン、キシレン、クメン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジクロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができる。
【0037】
反応温度は、反応が進行する温度であれば特に制限はない。好ましくは、−100℃〜溶媒の沸点の温度範囲であり、より好ましくは、−20℃〜120℃の温度範囲である。
【0038】
一般式(6)で表される化合物の製造方法に関して説明する。
一般式(5)で表される化合物に対して窒素原子を有する化合物を反応させることで、再度立体反転を伴い一般式(6)で表される化合物を製造することができる。
【0039】
一般式(5)に対して反応させる窒素原子を有する化合物としては、例えばアジド化合物類、アミン化合物類またはフタルイミド化合物類を挙げることができる。アジド化合物類としては、例えばリチウムアジド、ナトリウムアジド、テトラ−n−ブチルアンモニウムアジド等を挙げることができる。アミン化合物類としては、例えばアンモニア、メチルアミン、ジエチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、アリルアミン、フェニルアミン、ピリジルアミン等を挙げることができる。フタルイミド化合物類としては、フタルイミドカリウム等を挙げることができる。
【0040】
反応させる窒素原子を有する化合物は、原料である一般式(1)の化合物に対して、任意の使用等量で実施可能である。好ましくは、0.5等量から5等量の範囲であり、より好ましくは0.9等量から2.5等量の範囲である。
【0041】
反応は、特に塩基共存下で実施する必要はないが、場合によっては、塩基共存下でも行うことができる。この場合、共存させる塩基に特に制限はないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、金属ナトリウム、ナトリウムアミド等の無機塩基、ピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ−7−ウンデセン等の有機アミン塩基、n-ブチルリチウム、エチルマグネシルムブロマイド等の有機金属塩基などを挙げることができる。また、使用する塩基の当量に特に制限はない。
【0042】
反応は、無溶媒でも実施可能であるが、必要に応じて希釈溶媒中で行うこともできる。反応に用いることができる溶媒としては、反応の進行に悪影響を及ぼさないものであるならば特に制限はない。例えば、トルエン、キシレン、クメン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジクロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール等のプロトン性極性溶媒を挙げることができる。
【0043】
反応温度は、反応が進行する温度であれば特に制限はない。好ましくは、−100℃〜溶媒の沸点の温度範囲であり、より好ましくは、−20℃〜120℃の温度範囲である。
【0044】
一般式(9)で表される化合物の製造方法に関して説明する。
一般式(6)で表される化合物のXがアジド基である場合、還元反応によって、一般式(9)で表される3R−アミノピロリジン誘導体を製造することができる。
【0045】
実施可能な還元反応に特に制限はないが、例えばパラジウム−炭素触媒、ラネーニッケル等の遷移金属を用いた接触水素還元反応、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム等の還元剤を用いた反応、トリフェニルホスフィン−水等による還元反応などを挙げることができる。
使用する触媒、試薬量に特に制限はなく、使用水素圧力にも特に制限はない。
反応は、無溶媒でも実施可能であるが、必要に応じて希釈溶媒中で行うこともできる。反応に用いることができる溶媒としては、反応の進行に悪影響を及ぼさないものであるならば特に制限はない。例えば、トルエン、キシレン、クメン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジクロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール等のプロトン性極性溶媒を挙げることができる。
反応温度は、反応が進行する温度であれば特に制限はない。好ましくは、−100℃〜溶媒の沸点の温度範囲であり、より好ましくは、−20℃〜120℃の温度範囲である。
【0046】
一般式(6)で表される化合物のXがモノベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基である場合、還元的な脱ベンジル化反応によって、一般式(9)で表される3R−アミノピロリジン誘導体を製造することができる。
【0047】
実施可能な還元反応に特に制限はないが、例えばパラジウム−炭素触媒を用いた接触水素還元反応を挙げることができる。
使用する触媒量に特に制限はなく、使用水素圧力にも特に制限はない。
反応は、無溶媒でも実施可能であるが、必要に応じて希釈溶媒中で行うこともできる。反応に用いることができる溶媒としては、反応の進行に悪影響を及ぼさないものであるならば特に制限はない。例えば、トルエン、キシレン、クメン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール等のプロトン性極性溶媒を挙げることができる。
【0048】
反応温度は、反応が進行する温度であれば特に制限はない。好ましくは、−100℃〜溶媒の沸点の温度範囲であり、より好ましくは、−20℃〜120℃の温度範囲である。
【0049】
一般式(6)で表される化合物のXがフタルイミド基類である場合、脱フタロイル化反応によって、一般式(9)で表される3R−アミノピロリジン誘導体を製造することができる。
脱フタロイル化反応に特に制限はないが、例えばヒドラジン、フェニルヒドラジン等のヒドラジン類による方法、メチルアミンによる方法、水素化ホウ素ナトリウムによる還元的な方法等を挙げることができる。
使用する試薬量に特に制限はないが、例えば、ヒドラジンによる脱フタロイル化反応を例に挙げるならば、一般式(9)で表される化合物に対して、好ましくは0.5〜5等量、より好ましくは1〜2等量の範囲である。
【0050】
反応は、無溶媒でも実施可能であるが、必要に応じて希釈溶媒中で行うこともできる。反応に用いることができる溶媒としては、反応の進行に悪影響を及ぼさないものであるならば特に制限はない。例えば、トルエン、キシレン、クメン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール等のプロトン性極性溶媒を挙げることができる。
【0051】
反応温度は、反応が進行する温度であれば特に制限はない。好ましくは、−100℃〜溶媒の沸点の温度範囲であり、より好ましくは、−20℃〜120℃の温度範囲である。
【0052】
一般式(6)または(9)で表される化合物の単離方法に特に制限はないが、例えば、反応液から直接結晶化によって回収する方法、または反応液を濃縮した後に、適切な溶媒を用いることで結晶化を行い単離する方法、あるいは反応液または反応液の濃縮物から蒸留操作によって単離する方法等を挙げることができる。
前記の方法により、高純度な一般式(6)または(9)で表される化合物を得ることができる。
【0053】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【実施例1】
【0054】
(R)−N−tert−ブトキシカルボニル−3−フタロイルイミドピロリジン(以下R−BPPと略す)の製造
【0055】
【化60】


【0056】
[反応1] (S)−N−tert−ブトキシカルボニル−3−メタンスルホニルオキシピロリジンの(以下S−BMSPと略す)製造
窒素雰囲気下にて、メタンスルホン酸ナトリウム(22.8g)をアセトニトリル(150g)に懸濁し、20〜30℃の温度範囲でDFI(26.2g)を滴下した。反応液を20〜30℃で3時間攪拌し、FMSIのアセトニトリル溶液を得た。続いて、3R−N−tert−ブトキシカルボニル-3−ヒドロキシピロリジン(24.1g)を加え、60−65℃で7時間攪拌した。別途、炭酸水素ナトリウム(40.5g)を水(400g)に懸濁した溶液に、前記の反応液を滴下した。トルエン(500g)で抽出し、水(400g)で洗浄した後に、得られたトルエン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、トルエン溶液を減圧濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル600g,ヘキサン:酢酸エチル=3:1→2:1)で精製し、表題化合物(S−BMSP)を無色透明シロップとして得た。H−NMRは、参考例1で得られたS−BMSPと一致した。
収量 27.4g
収率 80%
H−NMR(CDCN,400MHz) δ5.28−5.24(m,1H),3.68−3.46(m,4H),3.05(s,3H),2.28−2.12(m,2H),1.47(s,9H)
【0057】
[反応2] R−BPPの製造
【0058】
【化30】


【0059】
上記の[反応1]で得られたS−BMSP(26.5g)をN,N-ジメチルホルムアミド(300g)に溶解し、フタルイミドカリウム(22.2g)を加えた。反応液を85℃に加熱し、5時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残査をトルエン(250g)に溶解し、水(150g)、0.2N水酸化ナトリウム水溶液(150g)、水(150g)、水(150g)で順次洗浄した。得られたR−BPPを含むトルエン溶液を減圧濃縮することで、淡褐色の残査(35g)を得た。この残査中のR−BPPの光学純度は98%eeであった。この残査にヘキサン(50g)を加え、室温にて結晶化を行った。得られた乳白色結晶を40℃で減圧乾燥した。参考例1で得られたS−BMSPから上記の[反応2]と同様に反応させたR−BPPと光学異性が一致した。
融点:114.5℃
収量=25.3g
収率=80%
H−NMR(CDCl,400MHz) δ7.89−7.83(m,2H),7.78−7.72(m,2H),4.86(dddd,1H,J=8.0Hz),3.74−3.62(m,3H),3.46−3.36(m,1H),2.68−2.56(m,1H),2.17−2.05(m,1H),1.47(s,9H)
化学純度=99.8%
光学純度=98.5%
[HPLC分析条件1: R−BPPの化学純度の確認]
使用カラム YMC−Pack ODS−AM, AM−312 (150×6.0mmI.D.)
溶離液 アセトニトリル/10mM NaH2PO4=50/50
流量 1ml/min
検出波長 紫外線210nm
カラム温度 40℃
[HPLC分析条件2: R−BPPの光学純度の確認]
使用キラルカラム DAICEL CHIRALCEL OJ
溶離液 ヘキサン/2−プロパノール=90/10
流量 1ml/min
検出波長 紫外線210nm
カラム温度 25℃
【実施例2】
【0060】
R−BPPの製造
[反応1] (S)−N−tert−ブトキシカルボニル−p−トルエンスルホニルオキシピロリジンの(以下S−BTSPと略す)製造
【0061】
【化66】


【0062】
窒素雰囲気下にて、p−トルエンスルホン酸ナトリウム(3.75g)をアセトニトリル(20g)に懸濁し、0〜5℃の温度範囲でDFI(2.63g)を滴下した。反応液を20〜30℃で3時間攪拌し、FTSIのアセトニトリル溶液を得た。続いて、3R−N−tert−ブトキシカルボニル-3−ヒドロキシピロリジン(2.41g)を加え、20〜30℃で8時間攪拌した。別途、炭酸水素ナトリウム(4.05g)を水(40g)に懸濁した溶液に、前記の反応液を滴下した。トルエン(50g)で抽出し、を水(40g)で洗浄した後に、得られたトルエン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、トルエン溶液を減圧濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60g,ヘキサン:酢酸エチル=4:1→3:1)で精製し、表題化合物(S−BTSP)を無色透明シロップとして得た。H−NMRは、実施例例2で得られたS−BTSPと一致した。
収量 3.44g
収率 78%
H−NMR(CDCN,400MHz) δ7.79(d,2H,J=8.3Hz),7.35(d,2H,J=8.35),5.04(bs,1H),3.53−3.37(m,4H),2.46(s,3H),2.20−1.95(m,2H),1.43(s,9H)
【0063】
[反応2] R−BPPの製造
【0064】


【0065】
上記の[反応1]で得られたS−BTSP(1.71g)をN,N-ジメチルホルムアミド(20g)に溶解し、フタルイミドカリウム(1.11g)を加えた。反応液を85℃に加熱し、5時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残査をトルエン(25g)に溶解し、水(15g)、0.2N水酸化ナトリウム水溶液(15g)、水(15g)、水(15g)で順次洗浄した。得られたR−BPPを含むトルエン溶液を減圧濃縮することで、淡褐色の残査(2.0g)を得た。この残査中のR−BPPの光学純度は92%eeであった。この残査にヘキサン(15g)を加え、室温にて結晶化を行った。得られた乳白色結晶を40℃で減圧乾燥した。参考例2で得られたS−BTSPから上記の[反応2]と同様に反応させたR−BPPと光学異性が一致した。
収量=1.30g
収率=82%
融点、H−NMRは、実施例1と一致した。
化学純度=99.5%
光学純度=95.0%
分析条件は実施例1と同様である。
【実施例3】
【0066】
R−BPPの製造
[反応1] 3S−N−tert−ブトキシカルボニル-3−ヘキサンスルホニルオキシピロリジン(以下S−BHSP略す)の製造
【0067】
【化64】


【0068】
窒素雰囲気下にて、p−ヘキサンスルホン酸ナトリウム(2.61g)をアセトニトリル(14g)に懸濁し、20〜30℃の温度範囲でDFI(1.89g)を滴下した。反応液を20〜30℃で3時間攪拌し、FHSIのアセトニトリル溶液を得た。続いて、3R−N−tert−ブトキシカルボニル-3−ヒドロキシピロリジン(1.74g)を加え、20〜30℃で8時間攪拌した。別途、炭酸水素ナトリウム(2.93g)を水(30g)に懸濁した溶液に、前記の反応液を滴下した。トルエン(50g)で抽出し、を水(30g)で洗浄した後に、得られたトルエン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、トルエン溶液を減圧濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル50g,ヘキサン:酢酸エチル=3:1→2:1)で精製し、表題化合物(S−BHSP)を無色透明シロップとして得た。H−NMRは、参考例3で得られたS−BHSPと一致した。
収量 2.74g
収率 83%
H−NMR(CDCN,400MHz) δ5.25(bs,1H),3.70−3.45(m,4H),2.35−2.05(m,2H)1.90−1.80(m,2H),1.47(s,9H),1.50−1.40(m,2H),1.35−1.28(m,4H),0.90(t,3H,J=6.8Hz)
【0069】
[反応2] R−BPPの製造


【0070】
上記の[反応1]で得られたS−BHSP(1.68g)をN,N-ジメチルホルムアミド(20g)に溶解し、フタルイミドカリウム(1.11g)を加えた。反応液を85℃に加熱し、5時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残査をトルエン(25g)に溶解し、水(15g)、0.2N水酸化ナトリウム水溶液(15g)、水(15g)、水(15g)で順次洗浄した。得られたR−BPPを含むトルエン溶液を減圧濃縮することで、淡褐色の残査(2.0g)を得た。この残査中のR−BPPの光学純度は94%eeであった。この残査にヘキサン(15g)を加え、室温にて結晶化を行った。得られた乳白色結晶を40℃で減圧乾燥した。参考例3で得られたS−BHSPから上記の[反応2]と同様に反応させたR−BPPと光学異性が一致した。
収量=1.23g
収率=77%
融点、H−NMRは、実施例1と一致した。
化学純度=99.0%
光学純度=96.0%
分析条件は実施例1と同様である。
【実施例4】
【0071】
(R)−3−アジド−N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン(以下R−BAZPと略す)の製造
[反応1] 実施例1と同様に実施し、S−BMSPを得た。
[反応2] R−BAZPの製造
【0072】
【化30】



上記の[反応1]で得られたS−BMSP(100mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(0.5mg)に溶解し、アジ化ナトリウム(37mg)を加えた。反応液を80℃に加熱し、5時間攪拌した。反応液にトルエン(500mg)に溶解し、水(750mg)で2回洗浄した。得られたR−BAZPを含むトルエン溶液を減圧濃縮し、表題化合物(R−BAZP)を無色透明シロップとして得た。
収量=80mg
収率=定量的
H−NMR(CDCl,400MHz) δ4.10−4.00(m,1H),3.52−3.30(m,4H),2.05−1.93(m,2H),1.46(s,9H)
光学純度=98.0%
[HPLC分析条件3: R−BAZPの光学純度の確認]
使用キラルカラム DAICEL CHIRALCEL OJ
溶離液 ヘキサン/2−プロパノール=99/1
流量 1ml/min
検出波長 紫外線210nm
カラム温度 25℃
保持時間 S−BAZP 8.5min
R−BAZP 10.0min
【実施例5】
【0073】
(R)−3−アミノ−N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン(以下R−BAPと略す)の製造
【0074】
【化31】


【0075】
実施例1で得られたR−BPP(17g)をメタノール(170g)に溶解し、室温にてヒドラジン・1水和物(2.87g)を加え、1時間攪拌した。続いて、反応液を60℃に加温し、3時間攪拌した。反応液を冷却後、メタノール(120g)を減圧濃縮し、析出したフタロイル基由来の副生成物をろ過によって除去した。ろ液を減圧濃縮し、得られた残査にトルエン(85g)を加えて再溶解した後に、不溶物をろ別した。ろ液を減圧濃縮し得られた淡黄色残査(12.1g)から減圧蒸留(115〜120℃/0.7KPa)にて表題化合物(R−BAP)を単離した。
収量=6.95g
収率=70%
H−NMR(CDCl,400MHz) δ3.60−3.30(m,4H),3.10−2.90(m,1H),2.10−2.00(m,1H),1.70−1.55(m,1H),1.50−1.25(m,2H),1.47(s,9H)
化学純度=99.0%
光学純度=98.5%ee
[HPLC分析条件4: R−BAPの化学純度の確認]
使用カラム YMC−Pack ODS−AM, AM−312
溶離液 アセトニトリル/10mM NaH2PO4, 10mM C6H13SO3Na(pH=3.0,H3PO4)
=20/80
流量 1ml/min
検出波長 紫外線210nm
カラム温度 40℃¥
[HPLC分析条件5: S-BPPの光学純度の確認]
使用キラルカラム DAICEL CHIRALPAK AS
溶離液 ヘキサン/エタノール=99/1
流量 1ml/min
検出波長 紫外線210nm
カラム温度 25℃
分析サンプルの調整
R−BAP(10mg)をエタノール(1ml)に溶解し、室温でジ-tert-ブチルジカーボネート(18mg)を加え3分間良く攪拌する。この調整液にヘキサン(10ml)を加え分析サンプルとした。
【実施例6】
【0076】
R−BAPの製造


【0077】
実施例4で得られたR−BAZP(80mg)をメタノール(3g)に溶解し、10% パラジウム−炭素触媒(50%含水品)(20mg)を加え、水素雰囲気下、常圧にて2時間攪拌した。反応液から触媒をろ別し、得られたろ液を減圧濃縮し、表題化合物(R−BAP)を得た。
収量 63mg
収率 90%
1H−NMR、HPLCによる保持時間は実施例5と一致した。
【0078】
[参考例1] S−BMSPの製造
3S−N−tert−ブトキシカルボニル-3−ヒドロキシピロリジン、メタンスルホニルクロライド、およびピリジンを用い、J.Org.Chem.,9,235(1944)に記載の公知の方法によってS−BMSPの比較サンプルを得た。
[参考例2] S−BTSPの製造
3S−N−tert−ブトキシカルボニル-3−ヒドロキシピロリジン、p−トルエンスルホニルクロライド、およびピリジンを用い、J.Org.Chem.,9,235(1944)に記載の公知の方法によってS−BTSPの比較サンプルを得た。
[参考例3] S−BHSPの製造
3S−N−tert−ブトキシカルボニル-3−ヒドロキシピロリジン、ヘキサンスルホニルクロライド、およびピリジンを用い、J.Org.Chem.,9,235(1944)に記載の公知の方法によってS−BHSPの比較サンプルを得た。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、比較的安価でかつ工業的スケールで入手容易な光学活性な3R−ヒドロキシプロリン誘導体を出発原料とし、工業的な見地から、効率的に、かつ高い光学純度で光学活性な3R−アミノピロリジン誘導体を製造することができる。よって本発明は、医薬品、農薬、化粧品素材等をはじめとする機能製品に対して、工業的な観点から極めて効率的な新規な製造方法を提供するものであり、その有用性は非常に高い。
【出願人】 【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−1611(P2008−1611A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−170545(P2006−170545)