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1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの連続製造法及び製造装置 - 特開2008−1609 | j-tokkyo
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【発明の名称】 1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの連続製造法及び製造装置
【発明者】 【氏名】加藤 栄一

【氏名】松本 仁

【要約】 【課題】DMIを簡易な方法で連続的に製造する方法の提供。

【構成】N,N’−ジメチルエチレンジアミンと尿素とを反応させて、連続的に1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを製造する方法であって、a)第1反応器に1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを充填して100〜250℃に加熱し、b)該第1反応器にN,N’−ジメチルエチレンジアミン、尿素を滴下し、得られる反応液を該温度にて攪拌し、c)これを100〜250℃に加熱した1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを充填した第2反応器に滴下し、d)該第2反応器中で反応液を該温度にて攪拌し、e)所定の時間経過後に第2反応器中の反応液を第2反応器より排出させ、f)一方、e)の反応中にc〜d)操作を第3反応器中に繰り返すg)所定の時間経過後に第3反応器中の反応液を第3反応器より排出させ、そして上記工程d)〜g)を繰り返すことを含む、前記製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N,N’−ジメチルエチレンジアミンと尿素とを反応させて、連続的に1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを製造する方法であって、
a)少なくとも1つの弁を備えた第1反応器に1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを充填して100〜250℃に加熱し、
b)該第1反応器にN,N’−ジメチルエチレンジアミン、尿素、及び場合により1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの混合物を滴下し、得られる反応液を該温度にて攪拌し、
c)該弁を第2反応器側に開放して第1反応器と第2反応器とを開通させ、該反応液を該弁を通じてオーバーフローさせて、これを100〜250℃に加熱した1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを充填した第2反応器に滴下し、
d)該第2反応器中で反応液を該温度にて攪拌し、
e)該第2反応器中の反応液が所定の量に達したときに該弁を閉鎖して第1反応器と第2反応器とを遮断し、同時に該弁を第3反応器側に開放して第1反応器と第3反応器とを開通させ、該反応液を該弁からオーバーフローさせて、これを100〜250℃に加熱した1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを充填した第3反応器に滴下し、所定の時間経過後に第2反応器中の反応液を第2反応器より排出させ、
f)該第3反応器中で反応液を該温度にて撹拌し、
g)該第3反応器中の反応液が所定の量に達したときに該弁を閉鎖して第1反応器と第3反応器とを遮断し、同時に該弁を第2反応器側に開放して第1反応器と第2反応器とを開通させ、該反応液を該弁を通じてオーバーフローさせて、これを100〜250℃に加熱した1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを充填した第2反応器に滴下し、所定の時間経過後に第3反応器中の反応液を第3反応器より排出させ、
そして上記工程d)〜g)を繰り返す
ことを含む、前記製造方法。
【請求項2】
第2反応器あるいは第3反応器から排出された反応液を蒸留する工程をさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
少なくとも2つのコックを備えた第1の反応器、該第1のコックに接続された第2の反応器、及び該第2のコックに接続された第3の反応器を含むことを特徴とする、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの連続製造用反応器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、各種反応中間体、各種溶剤として有用な1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(以下「DMI」と称する)の製造法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DMIは、極性非プロトン溶媒として極めて有用な物質である。特にポリアミド類、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリウレタン、フエノール樹脂などの高分子化合物に優れた溶媒であり、また無機塩類の多くのものと錯塩を形成して溶解し、多くの有機反応の溶媒としても用いられる有用な物質である。
【0003】
DMIの製造方法は多数提案されている。たとえば、N,N’−ジメチルエチレンジアミンと二酸化炭素とを反応させる方法(特許文献1)や、エチレンジアミンと尿素を反応させて2−イミダゾリジノンを得、これにホルマリンを付加させた反応生成物をトリクロロ酢酸、ギ酸などで還元してN,N′−ジメチル化させる方法、またこの還元方法を改良して貴金属触媒を使用し、酸性下に水素添加する方法、さらにN,N′−ジメチルエチレンジアミンから、これとホスゲンもしくはトリクロロメチルクロロホーメートをホスゲンに分解しながら反応させる方法などが知られている。さらに特許文献2には、N,N′−ジメチルエチレンジアミンと尿素を加熱反応させた場合、中間体として1,1’−ジメチル−1,1’−ジメチレンビスウレアが生成することに着目し、極性非プロトン溶媒の存在下に、N,N′-ジメチルエチレンジアミンに対し尿素を約2モル倍仕込み、初期反応の1,1’−ジメチル−1,1’−ジメチレンビスウレアの生成が完結するまでは140℃以下で反応させ、引き続き180℃以上でN,N′-ジメチルエチレンジアミンを添加しながら反応させることを特徴とする2段階法が提案されている。
【特許文献1】特公平1−15505号
【特許文献2】特公平6−65666号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
DMIを製造する方法はこのように公知であるが、従来の方法では連続的に、すなわち1段反応で合成することは非常に困難であった。また合成過程で高価な触媒を使用する必要があり、触媒を用いると触媒の後処理が必要であった。さらに酸性条件下で還元を行う従来法では、耐食性の装置が必要となるとともに、反応物を中和する後処理工程が必須となり、場合によっては中和に際して生じる塩を分離する必要もあった。したがっていずれの方法によっても収率が極めて低く、工業的方法としては到底満足できるものではなかった。
【0005】
したがって本発明は、工業的に有用なDMIを簡易な方法で連続的に製造する方法を鋭意検討し、本発明を完成するに至った。本発明の態様は以下の通りである:
1.N,N’−ジメチルエチレンジアミンと尿素とを反応させて、連続的に1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを製造する方法であって、
a)少なくとも1つの弁を備えた第1反応器に1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを充填して100〜250℃に加熱し、
b)該第1反応器にN,N’−ジメチルエチレンジアミン、尿素、及び場合により1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの混合物を滴下し、得られる反応液を該温度にて攪拌し、
c)該弁を第2反応器側に開放して第1反応器と第2反応器とを開通させ、該反応液を該弁を通じてオーバーフローさせて、これを100〜250℃に加熱した1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを充填した第2反応器に滴下し、
d)該第2反応器中で反応液を該温度にて攪拌し、
e)該第2反応器中の反応液が所定の量に達したときに該弁を閉鎖して第1反応器と第2反応器とを遮断し、同時に該弁を第3反応器側に開放して第1反応器と第3反応器とを開通させ、該反応液を該弁からオーバーフローさせて、これを100〜250℃に加熱した1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを充填した第3反応器に滴下し、所定の時間経過後に第2反応器中の反応液を第2反応器より排出させ、
f)該第3反応器中で反応液を該温度にて撹拌し、
g)該第3反応器中の反応液が所定の量に達したときに該弁を閉鎖して第1反応器と第3反応器とを遮断し、同時に該弁を第2反応器側に開放して第1反応器と第2反応器とを開通させ、該反応液を該弁を通じてオーバーフローさせて、これを100〜250℃に加熱した1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを充填した第2反応器に滴下し、所定の時間経過後に第3反応器中の反応液を第3反応器より排出させ、
そして上記工程d)〜g)を繰り返す
ことを含む、前記製造方法。
2.第2反応器あるいは第3反応器から排出された反応液を蒸留する工程をさらに含む、上記1に記載の製造方法。
3.少なくとも2つのコックを備えた第1の反応器、該第1のコックに接続された第2の反応器、及び該第2のコックに接続された第3の反応器を含むことを特徴とする、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの連続製造用反応器。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る製造方法を詳しく説明する。図1は、本発明に係る製造方法を工業的に行うために好適な反応装置の例を模式的に表したものである。本発明の製造方法を実施するのに好適な反応器は、反応器1、2及び3と記載された3つの反応器から構成される。このうち反応器1、2及び3は弁(バルブ)を介して接続されている。ここでは、3つの反応器を接続するため、三方弁を用いた例を記載している。反応器1、2及び3には予め所定の量のDMIが反応溶剤として仕込んである。
【0007】
まず、反応器1を、所定の温度に維持し、攪拌する。ここにDMIの原料となるN,N’−ジメチルエチレンジアミン(以下「DED」と称する)、尿素、ならびに好ましくは溶媒としてのDMIの混合物を連続的に滴下していく。反応器1中では、DEDと尿素とが以下のように反応して、DMIが生成する。
【0008】
【化1】


【0009】
反応器1に上記混合物を滴下していき、所定の量に達したところで、滴下を続行しつつ弁を開放し、反応器1と反応器2とを開通させる(図1(A))。すると反応液は弁からオーバーフローして反応器2に滴下される。
【0010】
反応器2を所定の温度に維持して攪拌し、反応器1にて反応しきれなかったDED及び尿素をさらに反応させる。この間も反応器1での原料混合物の滴下を続行する。
【0011】
次いで反応器2の反応液が所定の量に達したところで、反応器2側の弁を閉鎖する。これと同時に反応器3側に弁を開放し、反応器1と反応器3とを開通させ、反応液を反応器3の方に滴下させる(図1(B))。一方反応器2の方は、所定の時間攪拌を続け、反応器2より反応液を排出させる。排出された反応液には、元々反応溶剤として仕込んでおいたDMIとあわせて、DEDと尿素との反応により目的のDMIを得ることができる。さらに、極微量に含まれうる副生物や未反応物を必要に応じて蒸留等により除去することで、高純度のDMIを得ることができる。
【0012】
一方、反応器3は所定の温度に維持して攪拌し、反応器1で反応しきれなかったDED及び尿素をさらに反応させる。この間も反応器1での原料混合物の滴下を続行する。
【0013】
次いで反応器3の反応液が所定の量に達したところで、反応器3側の弁を閉鎖する。これと同時に反応器2側の弁を開放し、反応器1と反応器2とを開通させ、反応液を再度反応器2の方に滴下させる。一方反応器3の方は、所定の時間攪拌を続け、反応器3より反応液を排出させる。排出された反応液には、元々反応溶剤として仕込んでおいたDMIとあわせて、DEDと尿素との反応により目的のDMIを得ることができる。さらに、極微量に含まれうる副生物や未反応物を必要に応じて蒸留等により除去することで、高純度のDMIを得ることができる。
【0014】
反応器1に滴下する原料混合物は、適宜これら原料を混合して滴下装置に補充し、連続的に原料を滴下し続けることが可能となる。また加熱混合撹拌が可能な滴下装置を使用すれば、原料混合物を作りつつ滴下を続けることができる。
【0015】
このように、反応器1と反応器2、ならびに反応器1と反応器3とをそれぞれ弁を介して接続し、反応液をオーバーフローさせることによって別の反応器へ移動させ、所定量の目的物が得られたところで弁を開放・閉鎖するなどして順次接続を変換し、反応器2及び3を交互に用いることが本発明に係る製造方法の特徴である。このような方法を採ることにより、比較的長時間の反応が必要で合成困難であったDMIを、バッチ式でなく連続的に行うことができるのである。
【0016】
DEDと尿素とは、比較的高温(たとえば100〜250℃、好ましくは180〜230℃、さらに好ましくは200〜220℃)で反応するが、DEDと尿素とを単に混合して高温にて攪拌しても、シアヌル酸や高分子量物などの副生物が多く生成し、目的のDMIが効率よく生成しない。ところが、まず反応温度以下で原料混合物を作り、これを少量ずつ反応溶媒(DMI)に滴下して適切な反応温度に加熱し、少量ずつ逐次反応させていくと、副生物なくDMIを製造することができることを本発明者らは見いだした。また本発明の方法では、目的生成物と反応溶媒が同じ(DMI)であるため、最終的には簡易な蒸留を行うだけで、精製DMIを得ることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次いで本発明の製造方法を用いて、実験室レベルでDMIを製造する方法を具体的に説明する。
【0018】
実験室的に本発明の製造方法を実施するために好適な反応器の例を図2に模式的に示す。少なくとも2つのコックを備えた反応器1と、該コック1に接続された反応器2、及び該コック2に接続された反応器3を含む反応装置の例である。このような反応器は、たとえば反応釜の胴部に少なくとも2つのコックを有するような反応器を特別に製造することにより得ることができ、あるいは市販の4つ口あるいは5つ口フラスコに市販の二方コックや三方コック、バルブなどを接続することにより得ることも可能である。後に説明するように、反応器1には、原料混合物を滴下するための滴下装置、反応液の温度をモニターするための装置、ならびに還流管(冷却管)を通常備える必要があるので、市販のフラスコを用いて本製造方法に適した反応器1を得るためには5つ口以上のフラスコを使用する必要がある。
【0019】
まず反応器1、2及び3に所定量のDMIを充填する。充填するDMIの量は、反応スケールや反応時間、所望の製造量により適宜決めることができるが、反応器1に充填するDMIの量は、その液面上部が上記2つのコックを超えない程度であることが望ましい。所定量のDMIを充填した反応器を各々所定の温度に維持し、攪拌する。DEDと尿素との反応のためには、通常180〜230℃、好ましくは200〜220℃程度とする。適切な反応温度の維持は、各反応器毎にマントルヒータや恒温槽などを用意してもよく、小スケールで製造する場合は3つの反応器全体を恒温槽や恒温室に入れることもできる。攪拌は磁気撹拌子を使用することが最も簡便であるが、撹拌羽根を備えた撹拌モータなどを使用しても良く、反応スケールに応じて適宜選択することができる。
【0020】
反応器1に滴下する原料混合物を、DED、尿素及び場合によりDMIを混合することにより調製する。DEDと尿素とは、好ましくはモル比にて1:3〜3:1に混合することができるが、一般的には1:1で混合することが好ましい。溶剤としてのDMIは、DEDと尿素との混合物を少なくとも液状に維持することができる量必要であり、一般的にはDEDの重量の1倍〜5倍程度加えるのが好適である。原料を混合し、室温よりやや高い温度で(約50〜100℃)撹拌すると、液状の原料混合物を得ることができる。
【0021】
このように得た原料混合物を滴下装置に充填し、原料混合物を充填した滴下装置を反応器1に接続して、先に説明したように所定の温度に維持した撹拌DMI中に原料混合物を滴下する。滴下速度は原料混合物の濃度に応じて適宜決定することができるが、急速に滴下すると副生物の生成量が増加して好ましくなく、また必要以上に緩慢に滴下すると反応時間が長くなり適当でない。したがって副生物の生成を抑制しつつ効率的にDMIを製造するためには、たとえば100gのDEDと72gの尿素、ならびに100gのDMIを混合して得た原料混合物の場合は、1時間あたり20g〜100g、好ましくは30〜70g、さらに好ましくは40〜60gずつ滴下することが好ましい。
【0022】
溶剤としてのDMIを使用しない場合は、DEDと尿素の混合物はスラリー状となるので、これを滴下するためにはスラリーポンプ等を使用することが好ましい。
【0023】
原料混合物を滴下していくと、反応液の水位が上昇し、反応器1に備えたコック1及びコック2まで到達する。ここで反応器1での滴下を続行しながらコック1を開放すると、コック1を通って先につながる反応器2の方に反応液が滴下される。反応器2には反応器1と同様に反応液の温度をモニターするための装置、ならびに還流管(冷却管)を備えている。反応器2を先に説明した温度に維持しつつ反応器1からコック1を通って滴下される反応液を撹拌する。反応器2の反応液が所定の量に達したときに、コック1を閉鎖し、同時にコック2を開放する。反応器1の反応液は、今度はコック2を通って先に接続された反応器3の方に滴下される(図3a)。反応器3には反応器2と同様に反応液の温度をモニターするための装置、ならびに還流管(冷却管)を備えている。反応器3を先に説明した温度に維持しつつ反応器1からコック2を通って滴下される反応液を撹拌する。
【0024】
一方、コック1を閉鎖した後、反応器2の方は所定の時間反応を続ける。反応液の量にもよるが、通常3〜10時間程度撹拌を続けるのが好ましい。反応を終了し、反応器2をコック1から取り外し(図3b)、コック1にはDMIを所定量充填した反応器2を新たに取り付ける。取り外した反応器2は、次いで高純度のDMIを得ることを目的として、好ましくは反応液中に存在しうる着色成分や高沸点の副生物を除去するために反応器2そのまま、あるいは反応液を別の蒸留釜に反応液を移して蒸留し、高純度のDMIを得ることができる。蒸留は好ましくは弱減圧状態にて100〜160℃、好ましくは100〜150℃にて行うことができる。
【0025】
反応器3の方も反応器2と同様に反応液の量が所定の量になるまで滴下を続け、所定の量に達したときにコック2を閉鎖し、同時にコック1を開放する。反応器1の反応液は、今度はコック1を通って新たに取り付けられた反応器2の方に滴下される。新たに取り付けられた反応器2の方は、先に説明したのと同様の手順を繰り返す。
【0026】
一方、コック2を閉鎖した後、反応器3の方は反応器2と同様所定の時間反応を続ける。反応を終了し、反応器3をコック2から取り外し(図3c)、コック2にはDMIを所定量充填した反応器3を新たに取り付ける。取り外した反応器3は、次いで高純度のDMIを得ることを目的として、好ましくは反応液中に存在しうる着色成分や高沸点の副生物を除去するために反応器3そのまま、あるいは別の蒸留釜に反応液を移して蒸留し、高純度のDMIを得ることができる。
【0027】
本発明の製造方法を工業的に行うためには、先に説明したとおり例えば図1に表す反応装置を使用することができる。あるいは、例えば図4に表す簡易的な反応装置を使用することも可能である。図4に記載の反応装置を使用してDMIを製造する方法は、厳密に言うと連続製造方法ではないが、擬似的な連続方法として本発明の方法に含まれるものとする。
【0028】
図4の装置は、反応器1及び2と記載された2つの反応器から主に構成される。このうち反応器1及び2は弁(バルブ)を介して接続されている。反応器1及び2には予め所定の量のDMIが反応溶剤として仕込んである。
【0029】
まず、反応器1を、所定の温度に維持し、攪拌する。ここにDMIの原料となるDED、尿素、ならびに好ましくは溶媒としてのDMIの混合物を連続的に滴下していく。反応器1中では、DEDと尿素とが反応して、DMIが生成する。
【0030】
反応器1に上記混合物を滴下していき、所定の量に達したところで、滴下を続行しつつ弁を開放し、反応器1と反応器2とを開通させる。すると反応液は弁を通じてオーバーフローして反応器2に滴下される。
【0031】
反応器2を所定の温度に維持して攪拌し、反応器1にて反応しきれなかったDED及び尿素をさらに反応させる。この間も反応器1での原料混合物の滴下を続行する。
【0032】
次いで反応器2の反応液が所定の量に達したところで、反応器2側の弁を閉鎖し、反応1への反応混合物の滴下を停止する。次いで反応器2の方は、所定の時間攪拌を続け、反応器2より反応液を排出させる。反応器2中の反応液を全て排出した後、あらかじめ、所定量のDMI仕込み、再び弁を開放して反応器1と2とを開通させ、反応1への反応混合物の滴下を再開する。一方、タンクに排出された反応液には、元々反応溶剤として仕込んでおいたDMIとあわせて、DEDと尿素との反応により目的のDMIを得ることができる。さらに極微量に含まれうる副生物や未反応物を必要に応じて蒸留等により除去することで、高純度のDMIを得ることができる。
[発明の効果]
【0033】
DEDと尿素とを反応させてDMIを得る反応は、従来、反応時間が長く、また原料を単に混合して反応温度に上昇させてもDMIへの選択率及び転化率が低く、収率の低いものであった。しかし本製造方法のように、目的生成物であるDMIを溶剤として用いて、ここに原料混合物を滴下し、逐次反応させていくことによって副生物が非常に少なく高転化率にて得ることができることがわかった。本製造方法は、二つのコックを介して3つの反応器を接続させた新規な反応器を使用し、反応器1と反応器2、及び反応器1と反応器3の間で反応液を移動させていくことにより充分長い反応時間を取りつつ、連続的に反応を続けることができる。本製造方法により得られるDMIは、着色成分や高沸点の副生物の生成が非常に少ないため、最終反応液を単蒸留するだけで目的生成物である高純度のDMIを製造できる。
【実施例】
【0034】
2つのコックを有する容量0.5Lの反応釜1に撹拌モーター、冷却管、熱電対、ならびに滴下漏斗を取り付けた。反応釜1のコック1には容量0.5Lの反応釜2を、そしてコック2には同じく容量0.5Lの反応釜3を接続し、それぞれの反応釜に撹拌モーター、冷却管、熱電対を取り付けた。次いでコック1及び2を閉鎖した反応釜1にDMI(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ネオス)0.5Lを充填し、油浴に入れ、釜内部の温度を210〜220℃に維持した。反応釜2及び3には各々0.15LのDMIを充填し、同じく油浴に入れ、釜内部の温度を210〜220℃に維持した。
【0035】
原料混合物としてDED(ネオス)100g、尿素(特級、関東化学)72g及び溶剤のDMI100gを混合し、撹拌しながら90℃に加熱し、全体を液状化させた。この原料混合物を反応釜1に取り付けた滴下漏斗に入れ、反応釜1への滴下を開始した。
【0036】
原料混合物を1時間あたり約50gの速度で滴下した。反応釜1中のDMIを溶剤として原料混合物中のDEDと尿素とが反応を開始し、同時に反応釜1中の反応液の液面が上昇した。液面が上昇してコックの部分まで到達したところで、コック1を開放した。反応液がコック1から溢れ、反応釜2の方へ滴下された。原料混合物を反応釜1に同じ速度にて滴下し続けると、反応釜2への滴下も続行され、反応釜1及び2で反応が進行していった。
【0037】
反応釜2の反応液が約0.5Lに達したときにコック1を閉鎖し、同時にコック2を開放した。反応釜1中の反応液は、今度はコック2から溢れて反応釜3の方へ滴下された。原料混合物を反応釜1に同じ速度にて滴下し続けると反応釜3への滴下も続行され、反応釜1及び3で反応が進行していった。
【0038】
コック1を閉鎖された反応器2はそのまま約4時間加熱撹拌を続けた。加熱を停止し、反応釜2をコック1から取り外し、そのまま120〜150℃で弱減圧状態にて蒸留して釜残の着色成分や高沸点物を除去して、純度99.8%の高純度DMIを原料に対する収率99%で得た。反応釜2を取り外したコック1には、先に説明した反応釜2と同じものを新たに接続した。
【0039】
一方、反応釜3の反応液が約0.5Lに達したときにコック2を閉鎖し、同時にコック1を開放した。反応釜1中の反応液は、今度はコック1から溢れて新たに取り付けた反応釜2の方へ滴下された。原料混合物を反応釜1に同じ速度にて滴下し続けると反応釜2への滴下も続行され、反応釜1及び2で反応が進行していった。
【0040】
コック2を閉鎖された反応器3はそのまま約4時間加熱撹拌を続けた。加熱を停止し、反応釜3をコック2から取り外し、そのまま120〜150℃で弱減圧状態にて蒸留して釜残の着色成分や高沸点物を除去して、純度99.8%の高純度DMIを原料に対する収率99%で得た。反応釜3を取り外したコック2には、先に説明した反応釜3と同じものを新たに接続した。
【0041】
反応釜1に滴下する原料混合物は、先と同様な方法にて随時作り、必要に応じて滴下装置に追加した。
【0042】
この操作を繰り返して、純度99.8%のDMIを連続的に合成することができた。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の製造方法によれば、各種反応中間体、反応溶剤などに利用可能なDMIを工業的又は実験室レベルにて連続的に効率よく製造することができるので、反応中間体あるいは各種溶剤としてこれを使用する化学工業及び製薬工業等の分野、ならびに廃棄物処理 等の分野への原料供給手段として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の製造方法を工業的に実施するための反応器の例を模式的に表したものである。
【図2】本発明の製造方法を実験室にて行う場合の反応器の例を模式的に表したものである。
【図3】本発明の製造方法の実施の原理を模式的に表したものである。
【図4】本発明の製造方法を工業的に実施するための反応器の別の例を模式的に表したものである。
【出願人】 【識別番号】000135265
【氏名又は名称】株式会社ネオス
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫

【識別番号】100076691
【弁理士】
【氏名又は名称】増井 忠弐

【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰

【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男

【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行

【識別番号】100114904
【弁理士】
【氏名又は名称】小磯 貴子


【公開番号】 特開2008−1609(P2008−1609A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−170456(P2006−170456)