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【発明の名称】 易重合性化合物の重合防止方法
【発明者】 【氏名】石田 徳政

【氏名】▲高▼木 浩之

【氏名】上村 政宏

【要約】 【課題】重合安定作用を有する化合物の重合抑制能の消失を抑制し、且つ多くの種類の易重合性化合物に対して、易重合性化合物を取り扱う装置内の気相中での重合を効率良く防止することができる易重合性化合物の重合防止方法を実現する。

【解決手段】本発明の易重合性化合物14の重合防止方法は、常温、常圧で液体若しくは固体である、重合安定作用を有する化合物34を気体状で、非凝縮性ガスと共に、易重合性化合物を取り扱う装置20内に導入する方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温、常圧で液体若しくは固体である、重合安定作用を有する化合物を気体状で、非凝縮性ガスと共に、易重合性化合物を取り扱う装置内に導入することを特徴とする易重合性化合物の重合防止方法。
【請求項2】
上記重合安定作用を有する化合物を、易重合性化合物を取り扱う装置内の気相中に導入することを特徴とする請求項1に記載の易重合性化合物の重合防止方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、易重合性化合物の重合防止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリル酸およびそのエステルなどのような易重合性化合物は、工業的に重要な製造原料であり、大規模なプラントで大量に生産されている。上記易重合性化合物の生産における各工程では、気相と液相とが混在する系であるため、液相および気相の両方において、易重合性化合物の重合を抑制させる必要がある。
【0003】
上記易重合性化合物の重合を防止するために、様々な重合安定作用を有する化合物が用いられている。これら重合安定作用を有する化合物の多くは、易重合性化合物よりも沸点が高い化合物であるため、気相中には重合安定作用を有する化合物が十分に存在していない。このため、蒸発した易重合性化合物が凝縮する際に重合が生じ易い。
【0004】
このような気相中における重合を防止する方法として、重合安定作用を有する化合物を気化または昇華したものを導入する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、重合抑制作用を有する気体状化合物としてNOを導入する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−348358号公報(2001年12月18日公開)
【特許文献2】国際公開第01/038285号パンフレット(2001年5月31日公開)(対応国内公表公報:特表2003−532631号公報)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、重合安定作用を有する化合物を気化または昇華して導入するために高温まで加熱する必要があり、重合安定作用を有する化合物の構造変化によって重合抑制能が消失したり、着色成分が増加する等の問題を生じる。
【0007】
具体的には、特許文献1に記載の方法では、重合安定作用を有する化合物を加熱して昇華させる方法や、溶液にした後、加熱して蒸気を発生させる方法が考えられるが、何れの方法であっても、気体状の重合安定作用を有する化合物を導入するためには、重合安定作用を有する化合物を気化させる装置内の圧力を、重合安定作用を有する化合物を導入する装置内の圧力よりも高くする必要があり、重合安定作用を有する化合物を高温まで加熱する必要がある。
【0008】
また、特許文献1では、重合安定作用を有する化合物の導入量を制御する方法について全く記載されていないため、重合安定作用を有する化合物の導入量を制御することが困難であった。
【0009】
更には、上記特許文献2の構成では、重合安定作用を有する化合物を高温まで加熱する必要はないが、重合抑制作用を有する、常温で気体状化合物の種類が少ないため、適用可能な易重合性化合物の種類が限定されるという問題を生じる。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、重合安定作用を有する化合物の重合抑制能の消失を抑制し、且つ多くの種類の易重合性化合物に対して、易重合性化合物を取り扱う装置内の気相中での重合を効率良く防止することができる易重合性化合物の重合防止方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る易重合性化合物の重合防止方法は、上記課題を解決するために、常温、常圧で液体若しくは固体である、重合安定作用を有する化合物を気体状で、非凝縮性ガスと共に、易重合性化合物を取り扱う装置内に導入することを特徴としている。
【0012】
上記方法によれば、重合安定作用を有する化合物を気体状で、非凝縮性ガスと共に導入するため、重合安定作用を有する化合物を高温まで加熱することなく、重合安定作用を有する化合物を気体状で、易重合性化合物を取り扱う装置内に導入することができる。また、重合安定作用を有する化合物を非凝縮性ガスと共に導入するため、重合安定作用を有する化合物の導入量の制御が容易である。
【0013】
従って、重合安定作用を有する化合物の重合抑制能の消失を抑制し、且つ多くの種類の易重合性化合物に対して、易重合性化合物を取り扱う装置内の気相中での重合を効率良く防止することができるという効果を奏する。
【0014】
本発明に係る易重合性化合物の重合防止方法では、上記重合安定作用を有する化合物を、易重合性化合物を取り扱う装置内の気相中に導入することが好ましい。
【0015】
上記方法によれば、易重合性化合物を取り扱う装置内の気相中で起こる重合をより効果的に抑制することができるという更なる効果を奏する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る易重合性化合物の重合防止方法は、以上のように、常温、常圧で液体若しくは固体である、重合安定作用を有する化合物を気体状で、非凝縮性ガスと共に、易重合性化合物を取り扱う装置内に導入することを特徴としている。
【0017】
これにより、重合安定作用を有する化合物の重合抑制能の消失を抑制し、且つ多くの種類の易重合性化合物に対して、易重合性化合物を取り扱う装置内の気相中での重合を効率良く防止することができるという効果を奏する。
【0018】
即ち、重合安定作用を有する化合物の重合抑制能の消失を抑制できるため、重合安定作用を有する化合物を気化させる装置に導入した重合安定作用を有する化合物をロスすること無く使用することができ、経済的に有利である。また、重合安定作用を有する化合物の導入量の制御が容易であるため、バッチ式蒸留のように系内の重合安定作用を有する化合物の濃度が変化し易い場合においても、重合安定作用を有する化合物の濃度を一定に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。尚、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は、X以上Y以下であることを示す。
【0020】
本実施の形態に係る易重合性化合物の重合防止方法は、常温、常圧で液体若しくは固体である、重合安定作用を有する化合物を気体状で、非凝縮性ガスと共に、易重合性化合物を取り扱う装置内に導入する。
【0021】
上記非凝縮性ガスとは、露点が重合防止剤導入装置内の温度以下であるガスを意味し、例えば、空気、酸素、窒素、二酸化炭素、ヘリウム等の希ガス類、及びこれらの混合物並びに製造工程で発生した排ガス等が挙げられる。また、非凝集性ガス中の酸素濃度は1〜21体積%の範囲内であることが好ましい。非凝集性ガス中の酸素濃度が1体積%未満の場合、易重合性化合物が重合を引き起こす可能性が高まり、酸素濃度が21体積%を超える場合、経済的でない。
【0022】
上記易重合性化合物としては、α,β−不飽和カルボン酸およびそのエステルが挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸およびそのエステルが挙げられる。上記エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、アクリル酸イソノニル、アクリル酸イソオクチルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、トリメタクリル酸トリメチロールプロパンなどのメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0023】
本発明における易重合性化合物として、上記例示した具体的な化合物以外に、(メタ)アクリル酸が挙げられる。(メタ)アクリル酸の場合、本発明の形態で重合防止効果のあるガスを非凝縮性ガスと共に、重合物が発生し易い工程へ導入する。具体的には、気相酸化後の(メタ)アクリル酸を含むガスの捕集工程又は凝縮工程、あるいは共沸脱水工程、高沸点分離工程等、重合物の発生の抑制が必要な工程に、重合防止効果のあるガスを非凝縮性ガスと共に直接導入する形態であってもよい。より具体的には、例えば、原料ガスであるプロピレンやイソブチレンを気相酸化反応し、そのガスを凝縮又は溶剤で捕集してアクリル酸又はメタアクリル酸を製造する形態において、気相酸化反応器から次の凝縮又は溶剤捕集の工程へアクリル酸ガス又はメタアクリル酸ガスを導入する導入管から、重合防止効果のあるガスを非凝縮性ガスと共に導入する形態であってもよい。
【0024】
重合安定作用を有する上記化合物としては、従来公知の重合抑制剤として知られる化合物を用いることができ、例えば、フェノール化合物類、パラフェニレンジアミン類、アミン化合物類、ジアルキルジチオカルバミン酸銅塩類、N−オキシル化合物類、ニトロソ化合物類、およびこれらの分解物などが挙げられる。これら化合物は、1種類のみ使用してもよいし、2種類以上併用してもよい。
【0025】
上記フェノール化合物類としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどが挙げられる。
【0026】
上記パラフェニレンジアミン類としては、例えば、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0027】
上記アミン化合物類としては、例えば、チオジフェニルアミン、フェノチアジンなどが挙げられる。
【0028】
上記ジアルキルジチオカルバミン酸銅塩類としては、ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅などが挙げられる。
【0029】
上記N−オキシル化合物類としては、例えば、2,2,4,4−テトラメチルアゼチジン−1−オキシル、2,2−ジメチル−4,4−ジプロピルアゼチジン−1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチル−3−オキソピロリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−アセトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾイルオキシピペリジン−1−オキシル、4,4’,4''−トリス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)ホスファイト、4,4’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)セバケートなどが挙げられる。
【0030】
上記ニトロソ化合物類としては、例えば、p−ニトロソフェノール、ニトロソベンゼン、N−ニトロソジフェニルアミン、亜硝酸イソノニル、N−ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N,N’−ジニトロソフェニレンジアミンまたはこれら化合物の塩などが挙げられる。
【0031】
本実施の形態において使用することができる重合抑制剤は、モノマーが熱などによりラジカル化した場合に、他のモノマーと重合反応をするよりも先にそのラジカルと反応して重合反応を停止させることができる官能基(構造)を有している化合物である。一般的に、重合抑制剤が有する、そのような官能基は活性が高いため、熱などで一部変質すると考えられる(例えば、ハイドロキノンが熱若しくは酸によりベンゾキノンに変化する)。
【0032】
しかしながら、実際に重合抑制剤を使用する環境は、モノマーが重合し易い環境(つまり、熱等が加えられた環境)であるため、重合抑制剤の変質が起こってしまう。このため、本願の重合抑制剤の添加方法を用いることにより、このような重合抑制剤の変質を緩和若しくは無くすことができる。
【0033】
以下に、図1及び2を用いて、本発明に係る易重合性化合物の重合防止方法について説明する。
【0034】
本発明に係る易重合性化合物の重合防止方法では、例えば、図1に示す重合防止性易重合性化合物取扱装置50を用いることによって、常温、常圧で液体若しくは固体である、重合安定作用を有する化合物34を気体状で、非凝縮性ガスと共に、易重合性化合物取扱装置(易重合性化合物を取り扱う装置)20内に導入することができる。
【0035】
図1に示すように、重合防止性易重合性化合物取扱装置50は、重合防止剤導入装置40と易重合性化合物取扱装置20とが配管7を介して繋がった構成を有している。尚、管7には流量を制御するための弁等を設けることができる。
【0036】
上記重合防止剤導入装置40では、反応容器6に、温度調整を行うための加熱手段5と、重合安定作用を有する化合物34を均一に攪拌するための攪拌手段1と、非凝縮性ガスを重合防止剤導入装置40に導入するための非凝縮性ガス導入手段41とが設けられている。
【0037】
易重合性化合物取扱装置20では、反応容器16に、温度調整を行うための加熱手段15と、易重合性化合物14を均一に攪拌するための攪拌手段11とが設けられている。また、例えば、易重合性化合物14を還流させることができるように、コンデンサ51が備えられている。易重合性化合物取扱装置20を用いる場合では、配管7の易重合性化合物取扱装置20側の端部は、反応容器16内のみならず、コンデンサ51内に設けてもよい。これにより、コンデンサ51においても易重合性化合物14の重合を効率良く防止することができる。
【0038】
配管7の重合防止剤導入装置40側の端部は、重合安定作用を有する化合物34を気体状で易重合性化合物取扱装置20に導入するため、重合安定作用を有する化合物34の液面よりも高い位置に設けられている。同様に、配管7の易重合性化合物取扱装置20側の端部は、反応容器16内の気相に位置し、反応容器16内の気相に重合安定作用を有する化合物34を気体状で導入することができる。
【0039】
本発明に係る易重合性化合物の重合防止方法では、上記重合安定作用を有する化合物34を気体状で、非凝縮性ガスと共に易重合性化合物取扱装置20内に導入する。具体的には、非凝縮性ガス導入手段41により、非凝縮性ガスを重合防止剤導入装置40に導入し、重合防止剤導入装置40内の圧力を易重合性化合物取扱装置20内の圧力よりも高くすることにより、重合安定作用を有する化合物34を気体状で、易重合性化合物取扱装置20内に導入し易くする。このため、必要以上に重合安定作用を有する化合物34を加熱する必要が無いため、重合安定作用を有する化合物34の重合抑制能の消失を抑制することができる。
【0040】
非凝縮性ガス導入手段41により、非凝縮性ガスを重合防止剤導入装置40に導入する際、重合安定作用を有する化合物34が重合防止剤導入装置40で液体として存在する場合には、重合安定作用を有する化合物34の液中に非凝縮性ガスを導入してもよいし、重合防止剤導入装置40内の気中に導入してもよい。
【0041】
尚、重合防止性易重合性化合物取扱装置50において、重合安定作用を有する化合物34の流量を調節することができる装置を備えていることが更に好ましい。これにより、例えば、バッチ式蒸留のように留出率の変化に応じて上記組成が変化することにより、蒸気に含まれる重合安定作用を有する化合物34の量が変化する場合であっても、易重合性化合物取扱装置20内へ上記重合安定作用を有する化合物34を過不足無く導入することができる。
【0042】
また、上記非凝縮性ガスの重合防止剤導入装置40への導入流量は、重合防止剤導入装置40の容量に対して50vol%/h以上(つまり、重合防止剤導入装置40の容量が1mであれば、0.5m/h以上)であり、コンデンサー部での凝集蒸気量に対して5体積%以下の範囲内であることが好ましい。非凝縮性ガスの流量が少ない場合、重合安定作用を有する化合物34を効率よく易重合性化合物取扱装置20内に導入することができず、非凝縮性ガスの流量が多すぎる場合には、反応液のロスが増加する。
【0043】
重合防止剤導入装置60・70への上記非凝縮性ガスの導入流量は、重合防止剤導入装置60・70の容量に対して50vol%/h以上であり、標準状態(0℃、1013hPa)における重合防止剤導入装置60・70内の留出成分蒸気量に対して5vol%以下の範囲内であることが好ましい。この場合も、非凝縮性ガスの流量が少ないと、易重合性化合物取扱装置60・70内に重合安定作用を有する化合物34を効率良く導入することができず、非凝縮性ガスの流量が多すぎると、蒸留留分のロスが多くなる傾向がある。
【0044】
重合防止剤導入装置40内の圧力は、易重合性化合物取扱装置20内の圧力よりも高ければ特には限定されず、例えば、1〜100hPaの範囲内に設定することができる。
【0045】
重合防止性易重合性化合物取扱装置50を用いることにより、易重合性化合物取扱装置20内で、重合安定作用を有する化合物を高温に加熱しないため、重合安定作用を有する化合物34の分解の際に副生する高沸点化合物などが易重合性化合物取扱装置20内に混入しない。このため、易重合性化合物14に混入する不純物量が低減し、後の精製工程を簡略化することができる。
【0046】
また、重合安定作用を有する化合物34の分解の際に副生する高沸点化合物には、重合を促進する作用を有する物質が存在する場合があることが知られている(例えば、特開2001−348358号公報)。高沸点化合物に重合を促進する作用を有する物質が含まれている場合であっても、重合防止性易重合性化合物取扱装置50を用いることにより、重合を促進する作用を有する物質が易重合性化合物14に混入することを抑制することができる。
【0047】
従って、重合安定作用を有する化合物34の重合抑制能の消失を抑制し、且つ多くの種類の易重合性化合物に対して、易重合性化合物取扱装置20内の気相中での重合を効率良く防止することができる。
【0048】
更には、上記方法では、重合安定作用を有する化合物34を気体状で、非凝縮性ガスと共に、易重合性化合物取扱装置20内に導入しており、重合安定作用を有する化合物34は非凝縮性ガスに希釈されているため、重合安定作用を有する化合物34の導入量をより細かく調整することができる。これにより、重合安定作用を有する化合物34を易重合性化合物取扱装置20内に過剰に導入することを抑制することができるため、より低コストで易重合性化合物34の重合を抑制することができる。
【0049】
また、重合安定作用を有する化合物34の重合抑制の効果を発揮させるために酸素が必要であれば、重合安定作用を有する化合物34と同時に、酸素を易重合性化合物取扱装置20内に導入してもよいし、別途、酸素のみを易重合性化合物取扱装置20内に導入し、混合してもよい。
【0050】
また、上記重合安定作用を有する化合物34は、易重合性化合物取扱装置20内の気相中及び/又は液相中に導入することができるが、気相中に導入することが好ましい。これにより、易重合性化合物取扱装置20の気相中に重合安定作用を有する化合物34をより効率良く存在させることができるため、易重合性化合物取扱装置20内の気相中における易重合性化合物14の重合をより効率良く防止することができる。また、上記重合安定作用を有する化合物34は、重合性化合物取扱装置20の気相中における重合物が発生し易い場所(例えば、易重合性化合物の蒸気が凝縮し易い場所など)に直接導入することがより好ましい。
【0051】
重合安定作用を有する化合物34の気化は、非凝縮性ガスを重合防止剤導入装置40内に導入しているため、必要以上に熱を加える必要がなく、例えば、重合安定作用を有する化合物34を、0℃以上、易重合性化合物取扱装置20内の液温より10℃低い温度以下の範囲内に加熱することによって行うことができる。
【0052】
また、重合安定作用を有する化合物34の気化を促進するために、様々な方法を行うことができる。具体的には、攪拌を行ってもよいし、重合安定作用を有する化合物34を溶媒などに溶解させてもよい。
【0053】
上記重合安定作用を有する化合物34を溶解させる溶媒としては、特には限定されないが、易重合性化合物14から最終的に得られる製品または重合防止性易重合性化合物取扱装置50を用いる工程以降で使用される反応工程液(例えば、反応液、蒸留残渣など)に含まれる溶媒や、蒸気が発生し難い高沸点の溶剤などであれば、容易に除去することができるため好ましい。
【0054】
上述した方法において例示した易重合性化合物取扱装置20は、易重合性化合物14を取り扱う装置であれば特には限定されないが、易重合性化合物が凝集する箇所に効率的に重合抑制成分が供給されるように、ガスを移動させる機構を有する装置がより好ましい。
【0055】
易重合性化合物取扱装置20としては、具体的には、上記易重合性化合物を製造するための反応装置、上記易重合性化合物と他の物質とを反応させるための反応装置、上記易重合性化合物と他の物質とを混合するための混合装置、蒸留装置、濾過装置などの上記易重合性化合物を精製するための精製装置、上記易重合性化合物を保存するためのタンクなどが挙げられる。具体的には、易重合性化合物取扱装置20の代わりに、図2に示す易重合性化合物取扱装置70を用いてもかまわない。
【0056】
図3に示す易重合性化合物取扱装置70では、易重合性化合物14を蒸留精製するため、反応容器16に、易重合性化合物14の成分を分離する分離塔61が設けられている。分離塔61には、分離塔61により分離された易重合性化合物14を冷却するためのコンデンサ51、コンデンサ51により冷却された易重合性化合物14を回収するための留出タンク62とが、この順に配管により接続されている。また、易重合性化合物取扱装置70内を減圧にする減圧装置64が設けられており、コンデンサ51と留出タンク62との間の配管から分岐した配管に接続されている。尚、コンデンサ51と留出タンク62との間の配管と、減圧装置64との間には、減圧装置64が易重合性化合物14などを吸引することを防止するための減圧装置保護用コンデンサ63が設けられている。易重合性化合物取扱装置70を用いる場合では、配管7の易重合性化合物取扱装置70側の端部は、反応容器16内のみならず、分離塔61内や、コンデンサ51内や、留出タンク62内や、減圧装置保護用コンデンサ63内に設けてもよい。これにより、反応容器16から留出タンク62若しくは減圧装置64におけるラインにおいても易重合性化合物14の重合を効率良く防止することができる。
【0057】
また、上記反応装置で取り扱う反応としては、α,β−不飽和カルボン酸とエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどの環状エーテルとの付加反応などが挙げられる。
【0058】
上述した方法では、重合安定作用を有する化合物34の易重合性化合物取扱装置20内への導入は、易重合性化合物14を取り扱う前(例えば、反応前)に一括で導入してもよいし、何回かに分割して導入してもよい。また、易重合性化合物14の取り扱い中(例えば、反応中)に、連続的に導入してもよいし、断続的に導入してもよい。
【0059】
また、上述した方法において用いられる重合防止剤導入装置(例えば、重合防止剤導入装置40)は、重合安定作用を有する化合物34の易重合性化合物取扱装置20内への導入および作業性の効率を高めるため、上述したような加熱手段5、攪拌装置1などに加えて、減圧装置や、溶媒の投入ライン、抜き取りラインなどを備えていてもかまわない。上記重合防止剤導入装置40は、使用する重合安定作用を有する化合物34や、重合安定作用を有する化合物34の気体状の分解物の物性値(例えば、沸点、蒸気圧、分解温度など)と、易重合性化合物14の重合を抑制するのに必要な量とにより適宜選択すればよい。
【0060】
尚、上述の説明では、易重合性化合物14を液体および気体で取り扱う場合について説明したが、これに限るものではない。固体で取り扱う場合であってもよい。
【0061】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0062】
〔実施例〕
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0063】
〔製造例〕
容量1.5リットルの攪拌機付きSUS−316型オートクレーブに、アクリル酸572g、触媒として新品の酢酸クロム3.8g及び重合防止剤(重合安定作用を有する化合物)としてハイドロキノンモノメチルエーテル(以下、MQと記す)0.48gを仕込んだ。オートクレーブ内を50℃に昇温させた後、その内部を窒素ガスで置換し、酸素濃度3容積%、内部圧を0.05MPaG(ゲージ圧)とした。その後、上記オートクレーブ内に、エチレンオキシド367gを等速で4時間かけて供給した。この間、反応温度を50℃に維持した。エチレンオキシドの供給終了後、反応温度を70℃に昇温し、反応を継続させた。3時間反応を継続することで、未反応アクリル酸が0.10重量%以下となったので、反応を終了させ、反応液を冷却した。
【0064】
〔比較例1〕
製造例で得られた反応液900gにサリチル酸(SAL)2.0gを添加し、該混合物を容量1.0リットルのSUS−316製蒸留釜に仕込み、蒸留釜をオイルバスで加熱し、バッチ蒸留を行った。蒸留は、蒸留釜内圧4hPa、液温度70〜85℃、更に毎時250mLの空気を蒸留釜に導入しながら、4時間かけて実施した。この蒸留によって、目的生成物であるヒドロキシエチルアクリレート786gと蒸留残渣111gとを得た。しかし、蒸留装置内の液凝縮部に若干の重合物が確認された。
【0065】
〔比較例2〕
比較例1において、製造例で得られた反応液900gにサリチル酸(SAL)2.0gを添加する替わりに、製造例で得られた反応液900gにハイドロキノン(HQ)0.50g及びSAL2.0gを添加したこと以外は、比較例1と同様の操作を行った。この蒸留によって淡黄色のヒドロキシエチルアクリレート786g(HQ10ppm含有)を得た。尚、ヒドロキシエチルアクリレートのHQ濃度はガスクロマトグラフ法により求めた。
【0066】
〔比較例3〕
比較例1で用いた装置の気相部にガス化槽(重合防止剤導入装置)を接続し、重合防止剤を予めガス化槽でガス化させた後、重合防止剤ガスを蒸留釜の気相部に導入したこと以外は、比較例1と同様に蒸留を実施した。ガス化槽(容量100mL)の操作は、ヒドロキシエチルアクリレート50gに5.0gのHQを溶解させ、10hPa、液温度100℃で発生した蒸気を、蒸留釜の気相部に導入し続けることにより行った。この操作により、ガス化槽内の残液は黄色に変色し、このときのガス化槽内の残液中のHQ量は0.40gであった。
【0067】
この蒸留によって、淡黄色のヒドロキシエチルアクリレート788g(HQ10ppm含有)を得た。
【0068】
〔比較例3−2〕
比較例3の操作後、ヒドロキシエチルアクリレート2.0g、HQ0.01gをガス化層に追加し、蒸留釜の内容物(残液)を、製造例で得られた反応液と入れ替え、再度蒸留を行った。この蒸留によって、淡黄色のヒドロキシエチルアクリレート(HQ8ppm含有)を得た。
【0069】
〔比較例4〕
比較例3で用いた装置で蒸留を実施した。ガス化槽の操作条件はヒドロキシエチルアクリレート50gに0.50gのHQを溶解させ、10hPa、液温度60℃で発生した蒸気を蒸留釜気相部に導入し続けた。この操作後、ガス化槽内の残液の概観に特に変化は見られず、ガス化槽内の残液中のHQ量は0.50gであった。
【0070】
この蒸留によって、無色のヒドロキシエチルアクリレート786g(HQ未検出)を得た。しかし、蒸留装置内の液凝縮部に若干の重合物が確認された。
【0071】
〔比較例5〕
比較例3で用いた装置で蒸留を実施した。ガス化槽の操作条件は比較例1で得た蒸留残渣50gに0.50gのHQを溶解させ、10hPa、液温度100℃で発生した蒸気を蒸留釜の気相部へ導入し続けた。この操作後、ガス化槽内の残液中のHQ量は0.30gであった。
【0072】
この蒸留によって、淡黄色のヒドロキシエチルアクリレート786g(HQ10ppm含有)を得た。
【0073】
〔比較例5−2〕
比較例5の操作後、HQ0.01gをガス化層に追加し、蒸留釜の内容物(残液)を、製造例で得られた反応液と入れ替え、再度蒸留を行った。この蒸留によって、淡黄色のヒドロキシエチルアクリレート786g(HQ6ppm含有)を得た。
【0074】
〔比較例6〕
比較例3で用いた装置で蒸留を実施した。ガス化槽の操作条件は比較例1で得た蒸留残渣50gに0.50gのHQを溶解させ10hPa、液温度60℃で発生した蒸気を蒸留釜の気相部へ導入し続けた。この操作後、ガス化槽内の残液中のHQ量は0.49gであった。
【0075】
この蒸留によって、無色のヒドロキシエチルアクリレート786g(HQ未検出)を得た。しかし、蒸留装置内の液凝縮部に若干の重合物が確認された。
【0076】
〔実施例1〕
比較例3で用いた装置を用いて蒸留操作を実施した。ガス化槽の操作条件は、ヒドロキシエチルアクリレート50gに0.50gのHQを溶解させ、900ml/hで空気を導入しながら、10hPa、液温度60℃で発生した蒸気を蒸留釜の気相部へ導入し続けた。この操作後、ガス化槽内の残液の外観に特に変化は見られず、ガス化槽内の残液中のHQ量は0.49gであった。
【0077】
この蒸留によって、無色のヒドロキシエチルアクリレート788g(HQ10ppm含有)を得た。
【0078】
〔実施例1−2〕
実施例1の操作後、ヒドロキシエチルアクリレート2.0g、HQ0.01gをガス化層に追加し、蒸留釜の内容物(残液)を、製造例で得られた反応液と入れ替え、再度蒸留を行った。この蒸留によって、無色のヒドロキシエチルアクリレート788g(HQ10ppm含有)を得た。これらの操作後に、蒸留装置内に重合物は確認されなかった。
【0079】
〔実施例2〕
比較例3で用いた装置を用いて蒸留操作を実施した。ガス化槽の操作条件は、比較例1で得た蒸留残渣50gに0.50gのHQを溶解させ、900ml/hで空気を導入しながら、10hPa、液温度60℃で発生した蒸気を蒸留釜の気相部へ導入し続けた。この操作後、ガス化槽内の残液中のHQ量は0.48gであった。この蒸留によって、無色のヒドロキシエチルアクリレート786g(HQ10ppm含有)を得た。これらの操作後に、蒸留装置内に重合物は確認されなかった。
【0080】
〔実施例2−2〕
実施例2の操作後、HQ0.01gをガス化層に追加し、蒸留釜の内容物(残液)を、製造例で得られた反応液と入れ替え、再度蒸留を行った。この蒸留によって、無色のヒドロキシエチルアクリレート786g(HQ10ppm含有)を得た。これらの操作後に、蒸留装置内に重合物は確認されなかった。
【0081】
〔比較例7〕
ヒドロキシプロピルアクリレート900g、MQ0.40gを容量1.0リットルのSUS−316製蒸留釜に仕込み、蒸留釜をオイルバスで加熱し、バッチ蒸留を行った。蒸留は、蒸留釜内圧4hPa、液温度70〜85℃、更に毎時250mLの空気を蒸留釜に導入しながら、3時間かけて実施した。この蒸留によって、無色のヒドロキシプロピルアクリレート675g(MQ60ppm含有)を得た。しかし、蒸留装置内の液凝縮部に若干の重合物が確認された。
【0082】
〔実施例3〕
比較例7で用いた装置の気相部にガス化槽(重合防止剤導入装置)を接続し、ヒドロキシプロピルアクリレート900gにMQ0.18gを蒸留釜に仕込み、比較例7と同様にバッチ蒸留を行った。ガス化槽(容量100mL)の操作は、ヒドロキシプロピルアクリレート45.0gに5.0gのMQを溶解させ、900mL/hで空気を導入しながら、10hPa、液温度60℃で発生した蒸気を、蒸留釜の気相部に導入し続けることにより行った。この蒸留によって、無色のヒドロキシプロピルアクリレート675g(MQ60ppm含有)を得た。蒸留装置内に重合物は確認されなかった。
【0083】
〔実施例3−2〕
ガス化槽への空気の導入量以外は実施例3と同様の操作でバッチ蒸留を行った。空気の導入は、流出量が0〜225gの間は900mL/h、225〜450gの間は770mL/h、450〜675gの間は530mL/hで行った。この蒸留によって、無色のヒドロキシプロピルアクリレート(MQ50ppm含有)を得た。蒸留装置内に重合物は確認されなかった。
【0084】
〔比較例8〕
ヒドロキシエチルメタクリレート900g、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン0.02g、MQ0.05gを容量1.0リットルのSUS−316製蒸留釜に仕込み、蒸留釜をオイルバスで加熱し、3時間かけてバッチ蒸留(蒸留釜内圧:4hPa、液温度:70〜85℃、空気導入速度:250mL/h)を行い、ヒドロキシエチルメタクリレート675gを得た。尚、留出量が100g時のN分濃度(微量全窒素分析装置(三菱化成製、TN−05)により測定)は2ppm、300g時のN分濃度は0.5ppm、600g時のN分濃度は0.5ppm未満であった。しかし、蒸留装置内の液凝縮部に若干の重合物が確認された。
【0085】
〔実施例4〕
比較例8で用いた装置の気相部にガス化槽(重合防止剤導入装置)を接続し、ヒドロキシエチルメタクリレート900gにMQ0.05gを蒸留釜に仕込み、比較例8と同様にバッチ蒸留を行った。ガス化槽(容量100mL)の操作は、ヒドロキシエチルメタクリレート45gに0.02gのN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンを溶解させ、90mL/hで空気を導入しながら、10hPa、液温度40℃で発生した蒸気を、蒸留釜の気相部に導入し続けることにより行った。この蒸留によって、無色のヒドロキシエチルメタクリレート675gを得た。尚、留出量が100g時、300g時、及び600g時のN分濃度は何れも1ppmであった。これらの操作後に、蒸留装置内に重合物は確認されなかった。
【0086】
〔実施例5〕
プロピレンを通常の気相接触酸化法を用いて酸化し、水捕集、トルエン共沸脱水、軽沸分分離の工程を経て粗アクリル酸を得た。粗アクリル酸中には安定剤としてジブチルジチオカルバミン酸銅(II)塩20ppm、MQ50ppm、フェノチアジン100ppmが含有していた。この粗アクリル酸800gを、分離塔を備えた、容量1.0リットルのSUS−316製蒸留釜(分離塔は充填物を備えており、分離塔の最上部にはガス化槽(重合防止剤導入装置)が接続されている)に導入した。
【0087】
上記蒸留釜による蒸留は、塔底の液温度が60℃、圧力が40hPaで、蒸留釜内に700mL/hで空気を導入しながら、6時間かけて行った。尚、導入される粗アクリル酸量に対して10ppmのMQを溶かした留出液の一部を塔頂より還流比0.3で還流させた。ガス化槽の操作条件は、粗アクリル酸50gにN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン0.02gを溶解させ、100mL/hで空気を導入しながら、60hPa、液温度40℃で発生した蒸気を蒸留装置内に導入し続けた。この蒸留によりアクリル酸を600g得た。
【0088】
尚、得られたアクリル酸中のN分濃度は流出量が100g、300g、600gの何れの場合においても1ppmであった。また、これらの操作後に、蒸留装置内に重合物は確認されなかった。
【0089】
〔比較例9〕
分離塔の最上部にガス化槽(重合防止剤導入装置)が接続されていないこと、並びに初期仕込みとしてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン0.02gを追加したこと以外は、実施例5と同様の操作を行い、アクリル酸を600g得た。尚、得られたアクリル酸中のN分濃度は流出量が100g時では2ppm、300g時及び600g時では0.5ppm未満であった。また、これらの操作後に、蒸留装置内に若干の重合物が確認された。
【0090】
以上実施例の結果より、重合安定作用を有する化合物を気体状で、非凝縮性ガス(空気)と共に、易重合性化合物を取り扱う装置内に導入している実施例では、重合防止剤導入装置を用いない比較例1,2,7,8と比較して重合の抑制効果に優れていた。また、重合防止剤導入装置を用いているが、非凝縮性ガス(空気)と共に重合安定作用を有する化合物を導入していない比較例3,3−2,4,5,5−2,6と比較して、安定剤残存率が高かった。つまり、重合安定作用を有する化合物のロスが少ないため、より低コストで重合を抑制することができることが確認された。
【0091】
また、ガス化槽で用いるヒドロキシエチルアクリレートの替わりに蒸留残渣を用いた場合であっても同様に、重合を抑制することができることが確認できた(実施例2、比較例5参照)。
【0092】
尚、比較例7と実施例3及び3−2との効果の差は、バッチ蒸留の場合では蒸留ボトムから発生する重合安定作用を有する化合物の蒸気量が変化することに起因していると考えられる。つまり、比較例7では、重合安定作用を有する化合物の濃度が低い初期の段階で重合物が発生してしまうが、実施例3及び3−2では、重合防止剤導入装置を備えているため、重合安定作用を有する化合物の蒸気量が安定しており、重合物が発生していなかったと考えられる。また、実施例3−2では、蒸留後半の重合安定作用を有する化合物の投入量を減らしても重合物が発生していなかった。
【0093】
また、比較例8,9では、蒸留初期にN分が多く留出し、蒸留後半にはN分が留出しなくなったのに対して、実施例4,5では、蒸留期間中ほぼN分が一定量留出していたことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の易重合性化合物の重合防止方法は、気相中の易重合性化合物の重合を効率良く防止することができる。このため、反応装置や蒸留装置などの易重合性化合物を取り扱う分野に幅広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本実施の形態に係る重合防止方法で用いられる重合防止性易重合性化合物取扱装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本実施の形態に係る重合防止性易重合性化合物取扱装置における易重合性化合物取扱装置の一例の概略構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0096】
14 易重合性化合物
20 易重合性化合物取扱装置(易重合性化合物を取り扱う装置)
34 重合安定作用を有する化合物
70 易重合性化合物取扱装置(易重合性化合物を取り扱う装置)
【出願人】 【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
【出願日】 平成19年3月9日(2007.3.9)
【代理人】 【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−222610(P2008−222610A)
【公開日】 平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願番号】 特願2007−61032(P2007−61032)