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【発明の名称】 マイクロ流体デバイス、反応装置、及び、反応方法
【発明者】 【氏名】廣田 匡紀

【氏名】山田 高幸

【氏名】田畑 和章

【要約】 【課題】常温において反応性及び反応効率に優れ、反応を安全に実施可能であるマイクロ流体デバイス、反応装置、並びに、反応方法を提供すること。

【解決手段】気体放電を用いるプラズマ生成機構を備えた気体用微小流路、液体用微小流路、並びに、気体用微小流路及び液体用微小流路が合流して形成される気液混相用微小流路を少なくとも有することを特徴とするマイクロ流体デバイス、前記マイクロ流体デバイスを用いた反応装置。また、前記反応装置を準備する工程、前記気体用微小流路に気体を供給する工程、前記液体用微小流路に被反応物を含む液体を供給する工程、前記プラズマ生成機構により前記気体由来のラジカルを発生させる工程、前記気液混相用微小流路において、被反応物を含む前記液体とラジカルを含む前記気体との気泡流又はスラグ流を形成する工程、並びに、前記被反応物と前記ラジカルとを反応させる工程を含む反応方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体放電を用いるプラズマ生成機構を備えた気体用微小流路、
液体用微小流路、並びに、
気体用微小流路及び液体用微小流路が合流して形成される気液混相用微小流路を少なくとも有することを特徴とする
マイクロ流体デバイス。
【請求項2】
気体用微小流路の少なくとも一部が、絶縁体からなる矩形流路であり、
前記矩形流路の内壁に設けた第1のプラズマ生成用電極、及び、前記第1のプラズマ生成用電極と対向するように前記矩形流路の内壁に設けた第2のプラズマ生成用電極を有する請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
気体用微小流路の少なくとも一部が、絶縁体からなる矩形流路であり、
前記矩形流路の内壁に設けた第1のプラズマ生成用電極、及び、前記第1のプラズマ生成用電極が設けられた内壁面と同一面上に前記矩形流路の内壁に設けた第2のプラズマ生成用電極を有する請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
気体用微小流路の少なくとも一部が、絶縁体からなる円筒管状流路であり、
前記円筒管状流路の周囲に設けられたコイル状のプラズマ生成用電極を有する請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
気体用微小流路の少なくとも一部が、絶縁体からなる円筒管状流路であり、
前記円筒管状流路の周囲に設けられた1対のプラズマ生成用環状電極を有する請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス、
前記気体用微小流路に気体を供給する手段、
前記液体用微小流路に液体を供給する手段、及び、
前記プラズマ生成機構に電力を供給する手段を少なくとも備えた
反応装置。
【請求項7】
請求項6に記載の反応装置を準備する工程、
前記気体用微小流路に気体を供給する工程、
前記液体用微小流路に被反応物を含む液体を供給する工程、
前記プラズマ生成機構により前記気体由来のラジカルを発生させる工程、
前記気液混相用微小流路において、被反応物を含む前記液体とラジカルを含む前記気体との気泡流又はスラグ流を形成する工程、並びに、
前記被反応物と前記ラジカルとを反応させる工程を含む
反応方法。
【請求項8】
前記気液混相用微小流路において、被反応物を含む前記液体とラジカルを含む前記気体との気泡流又はスラグ流を形成する工程が、前記気液混相用微小流路において、被反応物を含む前記液体とラジカルを含む前記気体との気泡流を形成する工程である請求項7に記載の反応方法。
【請求項9】
前記気液混相用微小流路において、被反応物を含む前記液体とラジカルを含む前記気体との気泡流又はスラグ流を形成する工程が、前記気液混合相微小流路において、被反応物を含む前記液体とラジカルを含む前記気体とのスラグ流を形成する工程である請求項7に記載の反応方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロ流体デバイス、反応装置、及び、反応方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微小流路に複数の流体を流し、各々の流体中に含まれる化合物を反応させて目的の生成物を得るというマイクロリアクタ装置が知られている。
多相系反応にマイクロ空間を利用することにより、物質移動が効率的となり機械的な攪拌無しでも従来スケールのフラスコ中における超高速撹拌に相当する比界面積が実現されることから、マイクロリアクタを用いた反応の研究が積極的になされている。
例えば、非特許文献1には、触媒を固定したマイクロリアクタを用いて、水素還元反応の研究例が明示されている。
また、特許文献1には、その内部に炭化水素を含むガスを流通可能とした、絶縁体からなるチューブと、該チューブの外側に配置された、プラズマ発生のための電力を供給可能とするための第1の電極と、該チューブの内側に配置された、プラズマ発生のための電力を供給可能とするための第2の電極とを少なくとも含むマイクロリアクタ装置であって;該チューブの内径が、前記炭化水素を含むガスの消炎距離以下であるマイクロリアクタ装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−285187号公報
【非特許文献1】Georg Wieβmeier et. al., Ind. Eng. Chem. Res., 1996, 35, pp.4412-4416
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、常温において反応性及び反応効率に優れ、反応を安全に実施可能であるマイクロ流体デバイス、反応装置、並びに、反応方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は以下の<1>、<6>又は<7>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<5>、<8>及び<9>と共に以下に示す。
<1> 気体放電を用いるプラズマ生成機構を備えた気体用微小流路、液体用微小流路、並びに、気体用微小流路及び液体用微小流路が合流して形成される気液混相用微小流路を少なくとも有することを特徴とするマイクロ流体デバイス、
<2> 気体用微小流路の少なくとも一部が、絶縁体からなる矩形流路であり、前記矩形流路の内壁に設けた第1のプラズマ生成用電極、及び、前記第1のプラズマ生成用電極と対向するように前記矩形流路の内壁に設けた第2のプラズマ生成用電極を有する上記<1>に記載のマイクロ流体デバイス、
<3> 気体用微小流路の少なくとも一部が、絶縁体からなる矩形流路であり、前記矩形流路の内壁に設けた第1のプラズマ生成用電極、及び、前記第1のプラズマ生成用電極が設けられた内壁面と同一面上に前記矩形流路の内壁に設けた第2のプラズマ生成用電極を有する上記<1>に記載のマイクロ流体デバイス、
<4> 気体用微小流路の少なくとも一部が、絶縁体からなる円筒管状流路であり、
前記円筒管状流路の周囲に設けられたコイル状のプラズマ生成用電極を有する上記<1>に記載のマイクロ流体デバイス、
<5> 気体用微小流路の少なくとも一部が、絶縁体からなる円筒管状流路であり、前記円筒管状流路の周囲に設けられた1対のプラズマ生成用環状電極を有する上記<1>に記載のマイクロ流体デバイス、
<6> 上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス、前記気体用微小流路に気体を供給する手段、前記液体用微小流路に液体を供給する手段、及び、前記プラズマ生成機構に電力を供給する手段を少なくとも備えた反応装置、
<7> 上記<6>に記載の反応装置を準備する工程、前記気体用微小流路に気体を供給する工程、前記液体用微小流路に被反応物を含む液体を供給する工程、前記プラズマ生成機構により前記気体由来のラジカルを発生させる工程、前記気液混相用微小流路において、被反応物を含む前記液体とラジカルを含む前記気体との気泡流又はスラグ流を形成する工程、並びに、前記被反応物と前記ラジカルとを反応させる工程を含む反応方法、
<8> 前記気液混相用微小流路において、被反応物を含む前記液体とラジカルを含む前記気体との気泡流又はスラグ流を形成する工程が、前記気液混相用微小流路において、被反応物を含む前記液体とラジカルを含む前記気体との気泡流を形成する工程である上記<7>に記載の反応方法、
<9> 前記気液混相用微小流路において、被反応物を含む前記液体とラジカルを含む前記気体との気泡流又はスラグ流を形成する工程が、前記気液混相用微小流路において、被反応物を含む前記液体とラジカルを含む前記気体とのスラグ流を形成する工程である上記<7>に記載の反応方法。
【発明の効果】
【0006】
前記<1>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、常温及び大気圧付近において反応活性種を生成することができ、反応性及び反応効率に優れ、反応を安全に実施可能であるマイクロ流体デバイスを提供することができる。また、反応のスケールアップを容易に達成することができる。
また、前記<2>に記載の発明によれば、<1>に記載の発明において、より反応性及び反応効率に優れるマイクロ流体デバイスを提供することができる。
また、前記<3>に記載の発明によれば、<1>に記載の発明において、より反応性及び反応効率に優れるマイクロ流体デバイスを提供することができる。
また、前記<4>に記載の発明によれば、<1>に記載の発明において、より反応性及び反応効率に優れるマイクロ流体デバイスを提供することができる。
また、前記<5>に記載の発明によれば、<1>に記載の発明において、より反応性及び反応効率に優れるマイクロ流体デバイスを提供することができる。
また、前記<6>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、常温及び大気圧付近において反応性及び反応効率に優れ、反応を安全に実施可能である反応装置を提供することができる。また、反応のスケールアップを容易に達成することができる。
また、前記<7>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、常温及び大気圧付近において反応性及び反応効率に優れ、反応を安全に実施可能である反応方法を提供することができる。
また、前記<8>に記載の発明によれば、<7>に記載の発明において、より反応性及び反応効率に優れる反応方法を提供することができる。
また、前記<9>に記載の発明によれば、<7>に記載の発明において、より反応性及び反応効率に優れる反応方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
(マイクロ流体デバイス)
本発明のマイクロ流体デバイスは、気体放電を用いるプラズマ生成機構を備えた気体用微小流路(以下、単に「気体流路」ともいう。)、液体用微小流路(以下、単に「液体流路」ともいう。)、並びに、気体用微小流路及び液体用微小流路が合流して形成される気液混相用微小流路(以下、単に「気液混相流路」ともいう。)を少なくとも有することを特徴とする。
【0009】
図1は、本発明のマイクロ流体デバイスの一例を示す概念図である。
図1に示す本発明のマイクロ流体デバイス10は、プラズマ生成機構12をその一部分に備えた気体用微小流路14と、液体用微小流路16と、気体用微小流路14及び液体用微小流路16が合流して形成される気液混相用微小流路18とを有するマイクロ流体デバイスである。
本発明のマイクロ流体デバイス10は、例えば、気体用微小流路14にプラズマ生成によりラジカルやイオン等の所望の反応活性種を発生することができるものを含む気体を、液体用微小流路16に被反応物を含む液体を流し、プラズマ生成機構12によりプラズマを生成して所望の反応活性種を発生させ、気液混相用微小流路18において、反応活性種を含む気体と、被反応物を含む液体とを混相した気液混相流を形成し、反応活性種と被反応物とを反応させ、所望の反応物を得る。
また、気液混相流中で前記反応活性種と前記被反応物とを反応させるため、気相と液相との界面の面積が大きく、反応効率に優れる。
【0010】
<気体放電を用いるプラズマ生成機構>
本発明のマイクロ流体デバイスにおける気体用微小流路は、気体放電を用いるプラズマ生成機構を備えた微小流路である。また、前記気体用微小流路は、所望の気体を流すことが可能であればよい。
【0011】
本発明のマイクロ流体デバイスにおけるプラズマ生成機構は、気体放電を用いる機構であり、電子温度が反応場の温度(気体の温度)と等しくない非平衡プラズマを発生することができる機構であることが好ましく、常温常圧付近で非平衡プラズマを発生することができる機構であることがより好ましい。
気体放電の方法としては、プラズマを生成可能な方法であれば特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的には、グロー放電、高周波放電、バリア放電、電子サイクロトロン共鳴(ECR)放電、マイクロ波放電、コロナ放電、及び、アーク放電等が例示できる。この中でも、グロー放電、高周波放電、及び、バリア放電が好ましく例示でき、グロー放電、及び、高周波放電がより好ましく例示できる。
気体放電に使用する電極の配置及び形状としては、プラズマが生成可能であれば特に制限はないが、図2乃至図5にそれぞれ一例が示されている配置及び形状であることが好ましい。
気体放電を行う際の電圧は、使用する気体や所望の反応に応じ、適宜設定することができる。
また、本発明のマイクロ流体デバイスは、少なくとも1つのプラズマ生成機構を備えていればよく、2以上のプラズマ生成機構を備えたデバイスであってもよい。
図2乃至図5は、それぞれ本発明のマイクロ流体デバイスにおけるプラズマ発生機構及び前記プラズマ発生機構付近の気体用微小流路の一例を示す概略図であり、点線により気体用微小流路の内壁面を表す。すなわち、図2及び図3における気体用微小流路は矩形流路であり、図4及び図5における気体用微小流路は円筒形状流路である。
【0012】
図2に一例を示すように、気体用微小流路14aの形状が矩形流路である場合、本発明のマイクロ流体デバイスは、矩形流路14aの内壁に設けた第1のプラズマ生成用電極12aa、及び、前記第1のプラズマ生成用電極12aaと対向するように前記矩形流路14aの内壁に設けた第2のプラズマ生成用電極12ab(以下、これら2つの電極を「対向電極」ともいう。)を有することが好ましい。
また、図3に一例を示すように、気体用微小流路14bの形状が矩形流路である場合、本発明のマイクロ流体デバイスは、矩形流路14bの内壁に設けた第1のプラズマ生成用電極12ba、及び、前記第1のプラズマ生成用電極14baが設けられた内壁面と同一面上に前記矩形流路14bの内壁に設けた第2のプラズマ生成用電極14bb(以下、これら2つの電極を「並行電極」ともいう。)を有することが好ましい。
また、図4に一例を示すように、気体用微小流路14cの形状が円筒管状流路である場合、本発明のマイクロ流体デバイスは、円筒管状流路14cの周囲に設けられたコイル状のプラズマ生成用電極12cを有することが好ましい。
また、図5に一例を示すように、気体用微小流路14dの形状が円筒管状流路である場合、本発明のマイクロ流体デバイスは、円筒管状流路14dの周囲に設けられた少なくとも1対のプラズマ生成用環状電極12da、12dbを有することが好ましい。
【0013】
これら電極12aa、12abは、図2に示すように矩形流路の幅全体に、すなわち、矩形流路内面のうち電極が設けられていない他の2面に接するように設けてもよく、他の1面のみに接するように設けてもよく、また、接しないように他の2面から離して設けてもよい。
矩形流路に使用する電極の形状は、図2及び図3に示すような直方体である必要はなく、任意の形状であればよい。
図2及び図3に示すように微小流路内部に電極部分が露出するように設ける場合、電極は微小流路内部に突出するように設けてもよく、微小流路内面から突出しないため微小流路内面と電極の流路内露出面とが同一面になるように設けてもよい。
図4に示すようなコイル状のプラズマ生成用電極12cを設ける場合、コイル状電極の巻き数は電圧や所望のプラズマ発生条件等により任意に変更することができる。
図5に示すような少なくとも1対のプラズマ生成用環状電極12da、12dbを設ける場合、環状電極間の距離は電圧や所望のプラズマ発生条件等により任意に変更することができる。また、各環状電極の幅はプラズマが生成可能であれば特に制限はない。このような環状電極は、1対、すなわち、2個以上設けていればよく、3個であっても、4個(2対)であってもよい。
また、前記円筒管状流路には、流れ方向に垂直な断面の形状が円形のものだけでなく、楕円形、略円形、及び、略楕円形のものも含まれる。
【0014】
プラズマ生成用電極として、図2及び図3に示すような対向電極又は並行電極を用いる場合は、直流電圧をかけることが好ましい。また、直流電圧をかける場合、グロー放電によりラジカルを生成することが好ましい。なお、前記矩形流路だけでなく、多角形流路や円筒管状流路等に対向電極又は並行電極を設けてもよいことはいうまでもない。
プラズマ生成時にかける直流電圧は、使用する気体や電極等にも依存するが、0.5kV以上10kV以下であることが好ましい。また、プラズマ生成時における気体用微小流路を流れる気体の圧力は、13.3kPa(100mmHg)以上101kPa(760mmHg)以下であることが好ましい。
【0015】
プラズマ生成用電極として、図4及び図5に示すようなコイル状又は少なくとも1対の環状電極を用いる場合は、交流電圧をかけることが好ましい。また、交流の周波数は、1kHz以上10kHz以下であることが好ましい。
プラズマ生成時にかける交流電圧は、使用する気体や電極等にも依存するが、0.5kV以上10kV以下であることが好ましい。また、プラズマ生成時における気体用微小流路を流れる気体の圧力は、10kPa以上100kPa以下であることが好ましい。
【0016】
プラズマ生成機構に使用する電極の材質は、銅、アルミニウム、ニッケル、パラジウム、金、白金、及び、これらを含む合金等のような公知の材料を、所望に応じ選択できる。また、前記電極の表面は、流路内面に露出していてもよく、公知の誘電体で覆われていてもよい。
プラズマ生成機構において、プラズマを発生させるための気体放電は、所望の反応に必要な反応活性種を得られればよく、連続的に放電を行っても、適当な間隔で放電を行っても、間欠的に放電(パルス放電)を行ってもよい。
【0017】
<微小流路>
本発明における微小流路は、その一部において少なくともマイクロスケールの流路であればよい。すなわち、本発明の中空デバイスにおいて最も流路の幅(流路径)が狭い部分の幅が、5,000μm以下であり、好ましくは10μm以上1,000μm以下の範囲であり、より好ましくは30μm以上500μm以下の範囲である。また、流路の深さは、10μm以上1,000μm以下の範囲であることが好ましい。
また、微小流路は、流体を導入する少なくとも1つの導入口及び流体を排出する少なくとも1つの排出口を有しており、複数の導入口及び/又は排出口を有することができる。
【0018】
本発明における微小流路は、矩形流路、円筒管状流路、又は、多角形流路であってもよく、所望の反応を阻害しない限り任意の形状の流路であればよい。また、気体用微小流路又は液体用微小流路が他方を内部に有する形状であってもよく、例えば、円芯状流路が挙げられる。その中でも、矩形流路、円筒管状流路、又は、多角形流路であることが好ましく、矩形流路、又は、円筒管状流路であることがより好ましい。また、気体用微小流路、液体用微小流路、及び、気液混相用微小流路のそれぞれで、流路の形状が同じであっても異なっていてもよい。
また、本発明のマイクロ流体デバイスは、特に流路の合流部分近傍において、気液混相用微小流路の断面積は、気体用微小流路の断面積、及び、液体用微小流路の断面積の和であることが好ましい。
本発明のマイクロ流体デバイスにおける微小流路が、矩形流路である場合、気体用微小流路では幅が100μm以上500μm以下、高さが100μm以上500μm以下であることが好ましく、液体用微小流路では幅が100μm以上500μm以下、高さが100μm以上500μm以下であることが好ましく、気液混相用微小流路では幅が200μm以上1,000μm以下、高さが100μm以上500μm以下であることが好ましい。
本発明のマイクロ流体デバイスにおける微小流路が、円筒管状流路である場合、気体用微小流路では直径が100μm以上500μm以下であることが好ましく、液体用微小流路では直径が100μm以上500μm以下であることが好ましく、気液混相用微小流路では直径が200μm以上1,000μm以下であることが好ましい。
本発明のマイクロ流体デバイスにおける気体用微小流路、液体用微小流路、及び、気液混相用微小流路の流路長は、所望の反応等にあわせ任意の長さであればよい。
【0019】
<マイクロ流路デバイスの形状や材質等>
本発明のマイクロ流体デバイスは、気体用微小流路、液体用微小流路、及び、気液混相用微小流路を1つずつ有していてもよく、前記各流路のうち少なくとも1種を2つ以上有していてもよい。また、気体用微小流路を2つ以上有する場合、その少なくとも1つにプラズマ生成機構が備えられていればよい。
本発明のマイクロ流体デバイスにおける、気体用微小流路と液体用微小流路とが合流する形状や気体用微小流路と液体用微小流路との合流部での角度については、所望の反応等にあわせ任意の形状及び角度を選択することができる。また、気体用微小流路及び液体用微小流路の合計数が3つ以上である場合、合流部分が1箇所(すなわち、3つ以上の流路を一度に合流させる形状)であっても、2箇所以上であってもよい。
【0020】
本発明のマイクロ流体デバイスにおける前記プラズマ生成機構以外のデバイス本体部分の材質としては、気体放電を用いるプラズマ生成機構の近傍が少なくとも絶縁体により形成されており、かつ、反応に使用する気体や液体等と反応又は溶解などを起こし反応の阻害するものでなければ特に制限はないが、微小流路全体を絶縁体により形成することが好ましい。
本発明のマイクロ流体デバイスの材質として具体的には、ガラス、シリコーン、セラミックス、及び、樹脂等など一般的に用いられているものが例示でき、使用する液体及び気体により、適宜選択することが好ましい。
成形の容易性から、ガラス、シリコーン又は樹脂であることが好ましく、熱硬化性や光硬化性を有する反応性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等)、熱可塑性樹脂などの高分子材料を用いることがより好ましい。
前記樹脂としては、耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性、透明性などが、行う反応や単位操作に適した樹脂であることが好ましく、具体的には、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン・アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミド樹脂、アミドイミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂等が好ましく例示できるが、より好ましくはエポキシ樹脂である。また、前記樹脂は、必要に応じて、混合樹脂であっても、ポリマーアロイであってもよい。
また、前記熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂は、「高分子大辞典」(1994年、丸善(株)発行)に記載のものも、所望に応じ、好適に用いることができる。
本発明のマイクロ流体デバイスは、前記プラズマ生成機構以外のデバイス本体部分を単一の材質により作製してもよく、複数の材質を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
本発明のマイクロ流体デバイスの大きさは、使用目的に応じ適宜設定することができるが、1cm2以上100cm2以下の範囲が好ましく、10cm2以上40cm2以下の範囲がより好ましい。また、マイクロ流体デバイスの厚さは、2mm以上30mm以下の範囲が好ましく、3mm以上15mm以下の範囲がより好ましい。
【0022】
本発明のマイクロ流体デバイスは、その用途に応じて、気体用微小流路、液体用微小流路及び気液混相用微小流路以外にも、温度制御、分離、精製、検出、分析、洗浄等の機能を有する部位を有していてもよい。
また、本発明のマイクロ流体デバイスには、必要に応じて、例えば、マイクロ流体デバイスに流体を送液するための送液口や、マイクロ流体デバイスから流体を回収するための回収口などを設けてもよい。
【0023】
また、本発明のマイクロ流体デバイスは、その用途に応じて、複数を組み合わせたり、分離、精製、分析、洗浄等の機能を有する装置や、送液装置、回収装置、他のマイクロ流体デバイス等を組み合わせ、反応装置等のマイクロ化学システムを好適に構築することができる。
【0024】
本発明のマイクロ流体デバイスの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を用いて製造することができる。
マイクロ流体の形成方法としては、特に制限はなく、例えば、公知の方法を用いることができる。マイクロ流体は、例えば、微細加工技術により作製することができる。微細加工方法としては、例えば、X線を用いたLIGA技術を用いる方法、フォトリソグラフィー法によりレジスト部を構造体として使用する方法、レジスト開口部をエッチング処理する方法、マイクロ放電加工法、レーザー加工法、ダイアモンドのような硬い材料で作られたマイクロ工具を用いる機械的マイクロ切削加工法がある。これらの技術は単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
これらの中で、材質として樹脂を用いる場合には、機械的マイクロ切削加工法を用いることが好ましい。また、材質として樹脂を用い、2以上の樹脂基板を貼り合わせてデバイスを製造する場合には、2以上の樹脂基板の貼り合わせ時に揮発性液体又は超音波を使用し熱圧着する方法を用いることが好ましい。
【0025】
(反応装置)
本発明の反応装置は、本発明のマイクロ流体デバイス、前記気体用微小流路に気体を供給する手段(「気体供給手段」ともいう。)、前記液体用微小流路に液体を供給する手段(「液体供給手段」ともいう。)、及び、前記プラズマ生成機構に電力を供給する手段(「電力供給手段」ともいう。)を少なくとも備えた装置である。
前記気体又は液体供給手段としては、特に制限はなく、公知の手段や公知の装置等を用いることができる。
前記電力供給手段としては、使用する気体のプラズマを発生することができる電力を供給可能なものであればよく、公知の手段や電源装置等を用いることができる。また、交流電源を用いる場合は、周波数が1kHz以上10kHz以下の低周波電源を用いることが好ましい。
【0026】
本発明の反応装置は、必要に応じ、所望の手段を備えることができ、温度制御、分離、精製、検出、分析、及び/又は、洗浄手段等や、反応物や気体、液体等の回収手段、他のマイクロ流体デバイス等が例示できる。
また、本発明の反応装置は、少なくとも1つの本発明のマイクロ流体デバイスを有する装置であり、必要に応じ、複数の微小流路を有することが好ましい。
【0027】
(反応方法)
本発明の反応方法は、本発明の反応装置を準備する工程(以下、「準備工程」ともいう。)、前記気体用微小流路に気体を供給する工程(以下、「気体供給工程」ともいう。)、前記液体用微小流路に被反応物を含む液体を供給する工程(以下、「液体供給工程」ともいう。)、前記プラズマ生成機構により前記気体由来のラジカルを発生させる工程(以下、「ラジカル発生工程」ともいう。)、前記気液混相用微小流路において、被反応物を含む前記液体とラジカルを含む前記気体との気泡流又はスラグ流を形成する工程(以下、「混相流形成工程」ともいう。)、並びに、前記被反応物と前記ラジカルとを反応させる工程(以下、「反応工程」ともいう。)を含む。
また、本発明の反応方法は、必要に応じ、前記した工程以外の任意の工程を含むことができる。
【0028】
図1を参照しながら、本発明の反応方法の一例を以下に説明する。
本発明の反応方法は、本発明のマイクロ流体デバイス10を備えた本発明の反応装置を使用し、気体用微小流路14には気体を、液体用微小流路16には被反応物を含む液体を供給する。気体用微小流路14に有するプラズマ生成機構12により前記気体のプラズマを生成して前記気体由来のラジカルを発生させ、気液混相用微小流路18において、前記ラジカルを含む気体と、被反応物を含む液体とを混相した気泡流又はスラグ流を形成し、前記ラジカルと前記被反応物とを反応させ、所望の反応物を得ることができる。
前記反応工程は、気液混相流中で反応する工程であり、気液混相流を気泡流又はスラグ流とすることにより、気相と液相との混合効率に優れ、また、多くの気泡やスラグが生じることにより、気液界面の面積が大きくなり、反応効率に優れる。
【0029】
本発明に用いることができる気体としては、プラズマ生成によりラジカルやイオン等の所望の反応活性種を発生することができるものを含む気体であればよく、単一成分の気体であっても、2種以上の気体の混合気体であってもよい。また、気体用微小流路に流す前記気体としては、反応に支障がない限り、気体に少量の液体や固体を含んでいてもよい。
また、本発明に用いることができる気体は、可燃性ガス又は支燃性ガスを少なくとも含む気体であることが好ましく、水素又は酸素を少なくとも含む気体であることがより好ましい。
可燃性ガス及び支燃性ガスは危険物であり、取り扱い方によっては爆発や発火等の危険性のあるガスであるが、本発明のマイクロ流体デバイスを用いることにより、これら気体の消炎距離以下のマイクロ空間にてプラズマ生成や反応等を行うことができ、安全に取り扱うことができる。なお、「消炎距離」とは、2枚の平板の間を当該気体の火炎が伝搬できない最大の平板間隔のことをいい、例えば、特開2004−285187号公報を参照することができる。
【0030】
可燃性ガスとして具体的には、アクリロニトリル、アクロレイン、アセチレン、アセトアルデヒド、アルシン、アンモニア、一酸化炭素、エタン、エチルアミン、エチルベンゼン、エチレン、塩化エチル、塩化ビニル、塩化メチル、酸化エチレン、酸化プロピレン、シアン化水素、シクロプロパン、ジシラン、ジボラン、ジメチルアミン、臭化メチル、水素、セレン化水素、トリメチルアミン、トルエン、二硫化炭素、ブタジエン、ブタン、ブチレン、プロパン、プロピレン、ベンゼン、ホスフィン、メタン、モノゲルマン、モノシラン、モノメチルアミン、メチルエーテル、硫化水素、空気と混合した場合の爆発限界の下限が10パーセント以下のもの、及び、空気と混合した場合の爆発限界の上限と下限の差が20パーセント以上のものが例示でき、これらの中でも水素が特に好ましく例示できる。
支燃性ガスとしては、酸素、オゾン、空気、塩素、一酸化窒素、二酸化窒素、三フッ化窒素等が例示でき、これらの中でも酸素が特に好ましく例示できる。
【0031】
本発明に用いることができる液体としては、所望の被反応物を含む液体であればよく、単一成分の液体(被反応物のみ)であっても、2種以上の化合物の混合液体であってもよく、また、液体中に気体や固体が溶解した溶液であってもよい。また、液体用微小流路に流す前記液体としては、反応に支障がない限り、液体に少量の気体や固体を含んでいてもよい。
前記液体の主成分としては、所望の反応に応じ、液体状の被反応物、有機溶媒、水、無機酸、有機酸等の液体化合物又はこれらの混合物を用いることができる。
【0032】
本発明のマイクロ流体デバイスを使用して行う反応は、プラズマにより生成するラジカルやイオン等の該気体由来の反応活性種を用いた反応であることが好ましく、還元反応、酸化反応、ハロゲン化反応等が挙げられ、水素還元反応、酸素酸化反応、ハロゲン化反応であることがより好ましい。
水素還元反応としては、被反応物や反応条件に応じて、エチレン性不飽和結合又は芳香環の水素化反応、炭素−ヘテロ原子不飽和結合の水素化、炭素−炭素単結合又は炭素−ヘテロ原子単結合の水素化、及び、金属化合物の還元等が例示でき、エチレン性不飽和結合又は芳香環の水素化反応を好ましく例示できる。
酸素酸化反応としては、被反応物や反応条件に応じて、炭素−炭素単結合又は炭素−ヘテロ原子単結合の酸化、炭素−炭素不飽和結合又は炭素−ヘテロ原子不飽和結合の酸化、及び、金属化合物の還元等が例示できる。
水素還元反応又は酸素酸化反応以外に、芳香族化合物のハロゲン化反応が好ましく例示できる。
【0033】
本発明のマイクロ流体デバイスを用いる反応において、気体用微小流路に送流する気体の流量Vgと、液体用微小流路に送流する液体の流量Vlとの比は、Vg≦Vlであることが好ましく、気液混相用微小流路においてスラグ流又は気泡流を形成するようにVg及びVlを設定することがより好ましい。
気液混相用微小流路においてスラグ流又は気泡流を形成することにより、気相と液相との界面の面積を大きくすることができ、反応効率が優れる。
【0034】
図6は、本発明のマイクロ流体デバイスの気液混相用微小流路に気体及び液体を流し、気泡流を形成した一例を示す概略図である。
図7は、本発明のマイクロ流体デバイスの気液混相用微小流路に気体及び液体を流し、スラグ流を形成した一例を示す概略図である。
気泡流とは、図6に示すように、気泡の流れ方向の大きさが流路径よりも小さな孤立気体(気泡)のみを含む流れのことである。
また、スラグ流とは、図7に示すように、気泡の流れ方向の大きさが流路径よりも大きな孤立気体(スラグ)を含む流れのことである。
スラグ流及び気泡流の形成条件は、用いる気体及び液体の物理的物性(密度、粘度、表面表力等)や流路の形状、他の送流条件(温度、圧力等)等にも依存するため、一概には言えないが、その目安としては、Vl/Vgの値が1以上10未満であると、気液混相用微小流路において気体及び液体は図7に示すようなスラグ流を形成し、Vl/Vgの値が10以上であると、気液混相用微小流路において気体及び液体は図6に示すような気泡流を形成する。
また、気液混相流については、植田辰洋著「気液二相流」(株)養賢堂刊、1981年等の公知の文献を参照することができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例を参照して本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
(実施例1:還元反応)
【0037】
【化1】


【0038】
上式に示すようにシス,トランス,トランス−1,5,9−シクロドデカトリエン(CDT)及び/又はシクロドデカジエン(CDD)の選択的水素化を行うことにより、シクロドデセン(CDE)を得ることができる。前記反応における副反応としては、過剰還元反応によりシクロドデカン(CDA)が生じてしまう反応が挙げられる。
【0039】
CDT及び/又はCDDを使用したCDEへの選択的水素化を、図3に示すようなプラズマ生成機構として並行する電極を有する矩形微小流路により構成されたマイクロ流体デバイスを用いて行った。
以下に使用したマイクロ流体デバイスの具体的な構成を示す。
気体用微小流路部:幅100μm、高さ100μm、流路長15mm
液体用微小流路部:幅500μm、高さ100μm、流路長15mm
気液混相用微小流路部:幅600μm、高さ100μm、流路長30mm
電極間ギャップ:15μm
【0040】
前記マイクロ流体デバイス素子を用いた反応条件を以下に示す。
プラズマ生成:直流電圧700Vを電極間にかけた。
圧力:気液混相用微小流路部下流側を50kPaで吸引した(差圧約50kPa)。
還元剤:気体用微小流路内に水素ガスを流量1ml/minで供給した。
反応基質:液体用微小流路内にCDTとCDDとの混合液を流量5ml/minで供給した。
なお、気液混相用微小流路部では、前記還元剤及び前記反応基質の気液スラグ流となった。
【0041】
前記構成のマイクロ流体デバイスを使用し、前記反応条件により得られた基質を、走査電子顕微鏡に取り付けた波長分散X線分析装置(日本電子(株)製JED−2300)にて組成分析を実施した結果、CDT及びCDDの変換率98%時に、CDEが収率95%で得られた。
【0042】
(実施例2:水素還元反応)
水素還元反応のその他の例として、ニトロベンゼンの水素化を行うことによりアニリンを得る反応が挙げられる。
【0043】
【化2】


【0044】
ニトロベンゼンの選択的水素化を、図3に示すようなプラズマ生成機構として並行する電極を有する矩形微小流路により構成されたマイクロ流体デバイスを用いて行った。
以下に使用したマイクロ流体デバイスの具体的な構成を示す。
気体用微小流路部:幅100μm、高さ100μm、流路長15mm
液体用微小流路部:幅500μm、高さ100μm、流路長15mm
気液混相用微小流路部:幅600μm、高さ100μm、流路長30mm
電極間ギャップ:15μm
【0045】
前記マイクロ流体デバイス素子を用いた反応条件を以下に示す。
プラズマ生成:直流電圧700Vを電極間にかけた。
圧力:気液混相用微小流路部下流側を50kPaで吸引した(差圧約50kPa)。
還元剤:気体用微小流路内に水素ガスを流量1ml/minで供給した。
反応基質:液体用微小流路内にニトロベンゼンを流量5ml/minで供給した。
なお、気液混相用微小流路部では、前記還元剤及び前記反応基質の気液スラグ流となった。
上記反応条件により、ニトロベンゼンの水素化を行うことによりアニリンを得る反応において、変換率85%が得られた。
【0046】
(実施例3:酸化反応)
酸化反応の例として、シクロペンタジエンの酸化を行って得た中間体を還元することによってシクロペンタジオールを得る反応が挙げられる。
【0047】
【化3】


【0048】
以下に使用したマイクロ流体デバイスの具体的な構成を示す。
気体用微小流路部:幅100μm、高さ100μm、流路長15mm
液体用微小流路部:幅500μm、高さ100μm、流路長15mm
気液混相用微小流路部:幅600μm、高さ100μm、流路長70mm
電極間ギャップ:15μm
【0049】
前記マイクロ流体デバイス素子を用いた反応条件を以下に示す。
プラズマ生成:直流電圧850Vを電極間にかけた。
圧力:気液混相用微小流路部下流側を50kPaで吸引した(差圧約50kPa)。
酸化剤:気体用微小流路内に酸素ガスを流量1ml/minで供給した。
反応基質:液体用微小流路内にシクロペンタジエンを流量5ml/minで供給した。
なお、気液混相用微小流路部では、前記還元剤及び前記反応基質の気液スラグ流となった。
上記反応条件により反応を行い、還元体であるシクロペンタジオールが得られた。
【0050】
(実施例4:ハロゲン化反応)
ハロゲン化反応の例として、4−ニトロトルエンのフッ素化を行うことにより、2−フルオロ−4−ニトロトルエンを得る反応が挙げられる。
【0051】
【化4】


【0052】
以下に使用したマイクロ流体デバイスの具体的な構成を示す。
気体用微小流路部:幅100μm、高さ100μm、流路長15mm
液体用微小流路部:幅500μm、高さ100μm、流路長15mm
気液混相用微小流路部:幅600μm、高さ100μm、流路長70mm
電極間ギャップ:15μm
【0053】
前記マイクロ流体デバイス素子を用いた反応条件を以下に示す。
プラズマ生成:直流電圧1,000Vを電極間にかけた。
圧力:気液混相用微小流路部下流側を50kPaで吸引した(差圧約50kPa)。
ハロゲン化剤:気体用微小流路内にフッ素ガス(フッ素が10%となるよう窒素により希釈したガス)を流量1ml/minで供給した。
反応基質:液体用微小流路内に4−ニトロトルエンを流量5ml/minで供給した。
なお、気液混相用微小流路部では、前記還元剤及び前記反応基質の気液スラグ流となった。
上記反応条件により、4−ニトロトルエンのフッ素化を行うことにより、2−フルオロ−4−ニトロトルエンを得る反応において、変換率79%、収率80%が得られた。
【0054】
(実施例5:ハロゲン化反応)
ハロゲン化反応の例として、トルエンのフッ素化を行うことにより、2−フルオロトルエンを得る反応が挙げられる。
【0055】
【化5】


【0056】
以下に使用したマイクロ流体デバイスの具体的な構成を示す。
気体用微小流路部:幅100μm、高さ100μm、流路長15mm
液体用微小流路部:幅500μm、高さ100μm、流路長15mm
気液混相用微小流路部:幅600μm、高さ100μm、流路長70mm
電極間ギャップ:15μm
【0057】
前記マイクロ流体デバイス素子を用いた反応条件を以下に示す。
プラズマ生成:直流電圧1,000Vを電極間にかけた。
圧力:気液混相用微小流路部下流側を50kPaで吸引した(差圧約50kPa)。
ハロゲン化剤:気体用微小流路内にフッ素ガス(フッ素が10%となるよう窒素により希釈したガス)を流量1ml/minで供給した。
反応基質:液体用微小流路内にトルエンを流量5ml/minで供給した。
なお、気液混相用微小流路部では、前記還元剤及び前記反応基質の気液スラグ流となった。
上記反応条件により、トルエンのフッ素化を行うことにより、2−フルオロトルエンを得る反応において、変換率20%から60%の領域で、反応選択性が安定して収率40%得られることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明のマイクロ流体デバイスの一例を示す概念断面図である。
【図2】本発明のマイクロ流体デバイスにおけるプラズマ発生機構及び前記プラズマ発生機構付近の気体用微小流路の一例を示す概略図である。
【図3】本発明のマイクロ流体デバイスにおけるプラズマ発生機構及び前記プラズマ発生機構付近の気体用微小流路の他の一例を示す概略図である。
【図4】本発明のマイクロ流体デバイスにおけるプラズマ発生機構及び前記プラズマ発生機構付近の気体用微小流路の他の一例を示す概略図である。
【図5】本発明のマイクロ流体デバイスにおけるプラズマ発生機構及び前記プラズマ発生機構付近の気体用微小流路の他の一例を示す概略図である。
【図6】本発明のマイクロ流体デバイスの気液混相用微小流路に気体及び液体を流し、気泡流を形成した一例を示す概略図である。
【図7】本発明のマイクロ流体デバイスの気液混相用微小流路に気体及び液体を流し、スラグ流を形成した一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0059】
10:マイクロ流体デバイス
12:プラズマ生成機構
12aa、12ab、12ba、12bb、12c、12da、12db:電極
14、14a、14b、14c、14d:気体用微小流路
16:液体用微小流路
18:気液混相用微小流路
20:気体
22:液体
【出願人】 【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
【出願日】 平成19年2月20日(2007.2.20)
【代理人】 【識別番号】100101719
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 恭弘


【公開番号】 特開2008−201723(P2008−201723A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−39955(P2007−39955)