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【発明の名称】 シクロプロパンカルボン酸の光学分割方法
【発明者】 【氏名】松尾 憲忠

【氏名】田辺 陽

【氏名】愛宕 孝之

【氏名】安河内 宏昭

【要約】 【課題】本発明は、(R)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンおよび(S)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンの新規用途を提供することを課題とするものである。

【解決手段】本発明によれば、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロプロパンカルボン酸の反応性誘導体を、
式R−(I)


「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表す。」
で示される(R)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンと塩基の存在下に反応させて、
式R−(II)



「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表し、
Xは、シクロプロパンカルボン酸のカルボン酸残基を表す。」
で示されるエステル化合物のジアテレオマー混合物に導き(工程A)、次いで、
該ジアステレオマー混合物を各々のジアステレオマーに分離し(工程B)、次いで、
得られたジアステレオマーの一方または各々を加水分解する(工程C)
あるいは、
シクロプロパンカルボン酸またはその反応性誘導体を、
式S−(I)


「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表す。」
で示される(S)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンと塩基の存在下に反応させて、
式S−(II)


「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表し、
Xは、シクロプロパンカルボン酸のカルボン酸残基を表す。」
で示されるエステル化合物のジアテレオマー混合物に導き(工程A)、次いで、
該ジアステレオマー混合物を各々のジアステレオマーに分離し(工程B)、次いで、
得られたジアステレオマーの一方または各々を加水分解する(工程C)
ことを特徴とするシクロプロパンカルボン酸の光学分割方法。
【請求項2】
シクロプロパンカルボン酸を、
式R−(I)


「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表す。」
で示される(R)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンと反応助剤の存在下に反応させて、
式R−(II)



「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表し、
Xは、シクロプロパンカルボン酸のカルボン酸残基を表す。」
で示されるエステル化合物のジアテレオマー混合物を導き(工程A)、次いで、
該ジアステレオマー混合物を各々のジアステレオマーに分離し(工程B)、次いで、
得られたジアステレオマーの一方または各々を加水分解する(工程C)
あるいは、
シクロプロパンカルボン酸を、
式S−(I)


「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表す。」
で示される(S)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンと反応助剤の存在下に反応させて、
式S−(II)


「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表し、
Xは、シクロプロパンカルボン酸のカルボン酸残基を表す。」
で示されるエステル化合物のジアテレオマー混合物を導き(工程A)、次いで、
該ジアステレオマー混合物を各々のジアステレオマーに分離し(工程B)、次いで、
得られたジアステレオマーの一方または各々を加水分解する(工程C)
ことを特徴とするシクロプロパンカルボン酸の光学分割方法。
【請求項3】
シクロプロパンカルボン酸が、ピレスロイド酸である請求項1または2に記載される方法。
【請求項4】
ピレスロイド酸が、trans−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸、cis−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸、trans−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸、cis−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸、trans−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジブロモビニル)シクロプロパンカルボン酸、cis−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジブロモビニル)シクロプロパンカルボン酸およびcis−2,2−ジメチル−3−(2−トリフルオロメチル−2−クロロビニル)シクロプロパンカルボン酸から選ばれる1種である請求項3に記載される方法。
【請求項5】
ピレスロイド酸が、trans−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸である請求項3に記載される方法。
【請求項6】
ピレスロイド酸が、trans−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸である請求項3に記載される方法。
【請求項7】
シクロプロパンカルボン酸が、1−メチルシクロプロパンカルボン酸である請求項1〜6に記載される方法。
【請求項8】
式R−(IIa)


「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表し、
Yは、メチル基、塩素原子、または臭素原子を表し、
Zは、メチル基、塩素原子、臭素原子、またはトリフルオロメチル基を表す。
但し、
(1)Yが、メチル基のとき、Zは、メチル基であり、
(2)Yが、塩素原子のとき、Zは、塩素原子、またはトリフルオロメチル基であるか、または、
(3)Yが、臭素原子のとき、Zは、臭素原子である。」
で示される化合物、
あるいは、
式S−(IIa)


「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表し、
Yは、メチル基、塩素原子、または臭素原子を表し、
Zは、メチル基、塩素原子、臭素原子、またはトリフルオロメチル基を表す。
但し、
(1)Yが、メチル基のとき、Zは、メチル基であり、
(2)Yが、塩素原子のとき、Zは、塩素原子、またはトリフルオロメチル基であるか、または、
(3)Yが、臭素原子のとき、Zは、臭素原子である。」
で示される化合物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロプロパンカルボン酸の光学分割方法に関する。
【背景技術】
【0002】
式R−(I)あるいはS−(I)



「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表す。」
で示される(R)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンあるいは(S)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンは、
式R−(III)あるいは式S−(III)



で示される(R)−1,1’−2−ビナフトールあるいは(S)−1,1’−2−ビナフトールから、それぞれ容易に誘導されるものである。
また、(R)−1,1’−2−ビナフトールおよび(S)−1,1’−2−ビナフトールについては、様々の不斉合成触媒の原料として有用であることが知られている。
【非特許文献1】Tetrahedron Asymmetry,1997,8,3125
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、式R−(I)あるいはS−(I)



「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表す。」
で示される(R)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンあるいは(S)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンの用途については、今まで知られていなかった。
本発明は、(R)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンおよび(S)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンの新規用途を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、シクロプロパンカルボン酸またはその反応性誘導体を、式R−(I)あるいはS−(I)



「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表す。」
で示される(R)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンあるいは(S)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンと反応させて、式R-(II)または式S-(II)


「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表し、
Xは、シクロプロパンカルボン酸のカルボン酸残基を表す。」
で示されるエステル化合物のジアテレオマー混合物とした後、該ジアステレオマー混合物を各々のジアステレオマーに分離し、得られたジアステレオマーの一方または各々を加水分解することにより、シクロプロパンカルボン酸を容易に光学分割することができることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
即ち、本発明は、
シクロプロパンカルボン酸の反応性誘導体(例えば、酸クロライド、酸無水物等)を、
式R−(I)


「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表す。」
で示される(R)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンと塩基の存在下に反応させて、
式R−(II)



「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表し、
Xは、シクロプロパンカルボン酸のカルボン酸残基を表す。」
で示されるエステル化合物のジアテレオマー混合物に導き(工程A)、次いで、
該ジアステレオマー混合物を各々のジアステレオマーに分離し(工程B)、次いで、
得られたジアステレオマーの一方または各々を加水分解する(工程C)
あるいは、
シクロプロパンカルボン酸またはその反応性誘導体を、
式S−(I)


「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表す。」
で示される(S)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンと塩基の存在下に反応させて、
式S−(II)


「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表し、
Xは、シクロプロパンカルボン酸のカルボン酸残基を表す。」
で示されるエステル化合物のジアテレオマー混合物に導き(工程A)、次いで、
該ジアステレオマー混合物を各々のジアステレオマーに分離し(工程B)、次いで、
得られたジアステレオマーの一方または各々を加水分解する(工程C)
ことを特徴とするシクロプロパンカルボン酸の光学分割方法、
および、
シクロプロパンカルボン酸を、
式R−(I)


「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表す。」
で示される(R)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンと反応助剤の存在下に反応させて、
式R−(II)



「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表し、
Xは、シクロプロパンカルボン酸のカルボン酸残基を表す。」
で示されるエステル化合物のジアテレオマー混合物を導き(工程A)、次いで、
該ジアステレオマー混合物を各々のジアステレオマーに分離し(工程B)、次いで、
得られたジアステレオマーの一方または各々を加水分解する(工程C)
あるいは、
シクロプロパンカルボン酸を、
式S−(I)


「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表す。」
で示される(S)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンと反応助剤の存在下に反応させて、
式S−(II)


「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表し、
Xは、シクロプロパンカルボン酸のカルボン酸残基を表す。」
で示されるエステル化合物のジアテレオマー混合物を導き(工程A)、次いで、
該ジアステレオマー混合物を各々のジアステレオマーに分離し(工程B)、次いで、
得られたジアステレオマーの一方または各々を加水分解する(工程C)
ことを特徴とするシクロプロパンカルボン酸の光学分割方法を提供するものである。
【0006】
また、本発明は、例えば、ある種のピレスロイド酸、すなわち、例えば、
式R−(IIa)


「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表し、
Yは、メチル基、塩素原子、または、臭素原子を表し、
Zは、メチル基、塩素原子、臭素原子、またはトリフルオロメチル基を表す。
但し、
(1)Yが、メチル基のとき、Zは、メチル基であり、
(2)Yが、塩素原子のとき、Zは、塩素原子、またはトリフルオロメチル基であるか、または、
(3)Yが、臭素原子のとき、Zは、臭素原子である。」
で示される化合物R−(IIa)あるいは、
式S−(IIa)


「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表し、
Yは、メチル基、塩素原子、または臭素原子を表し、
Zは、メチル基、塩素原子、臭素原子、またはトリフルオロメチル基を表す。
但し、
(1)Yが、メチル基のとき、Zは、メチル基であり、
(2)Yが、塩素原子のとき、Zは、塩素原子、またはトリフルオロメチル基であるか、または、
(3)Yが、臭素原子のとき、Zは、臭素原子である。」
で示される化合物S−(IIa)に有利に適用することができ、本発明は、該エステルやエステル誘導体をも提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、
式R−(I)あるいはS−(I)



「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表す。」
で示される(R)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレン、あるいは、(S)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンを使用して、シクロプロパンカルボン酸を容易に光学分割することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において、シクロプロパンカルボン酸としては、特に、ピレスロイド酸が挙げられ、ピレスロイド酸としては、trans−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸、cis−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸、trans−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸、cis−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸、trans−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジブロモビニル)シクロプロパンカルボン酸、cis−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジブロモビニル)シクロプロパンカルボン酸、cis−2,2−ジメチル−3−(2−トリフルオロメチル−2−クロロビニル)シクロプロパンカルボン酸が挙げられる(ここで、ピレスロイド酸とは、エステル結合を有するピレスロイド化合物であり、殺虫活性を有するカルボン酸である)。
また、他のシクロプロパンカルボン酸としては、2,2−ジクロルシクロプロパンカルボン酸が挙げられる。
【0009】
本発明において、シクロプロパンカルボン酸の反応性誘導体としては、酸クロライド、酸無水物等が挙げられる。
【0010】
本発明において、工程Aは、通常、シクロプロパンカルボン酸の酸クロライドまたは酸無水物と(R)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンまたは(S)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンとを塩基の存在下に反応させる(以下、反応A−1と記す。)か、または、シクロプロパンカルボン酸と(R)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンまたは(S)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンとを反応助剤の存在下に反応させる(以下、反応A−2と記す。)ことにより行うことができる。
【0011】
本発明の反応A−1において、
シクロプロパンカルボン酸の酸クロライドまたは酸無水物は、シクロプロパンカルボン酸を各々塩化チオニル等のクロル化剤または無水酢酸等と反応させることにより得ることができる。
本反応において用いられる塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、N−メチルイミダゾール等の有機塩基、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。また、必要に応じて、溶媒を用いることができ、該溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒、アセトニトリル、水等が挙げられ、反応温度は、通常−10℃〜50℃の範囲であり、反応時間は、通常10分〜24時間であり、反応に用いられる試剤の量は、該酸クロライドまたは酸無水物1モルに対して、(R)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンまたは(S)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンが、通常0.8〜1.2モルの割合であり、塩基が、通常1.0〜10モルの割合である。
反応終了後の反応液は、有機溶媒抽出、濃縮等の通常の後処理を行って、式R−(II)またはS−(II)で示されるエステル化合物(ジアテレオマー混合物)を単離することができる。
【0012】
本発明の反応A−2において、
本反応に用いられる反応助剤としては、例えば、塩化パラトルエンスルホニルおよび N-メチルイミダゾール複合剤(K. Wakasugi, A. Iida, T. Misaki, Y. Nishii, Y. Tanabe, Adv. Synth. Catal., 345, 1209-1214 (2003).)、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水剤等が挙げられる。
本反応においては、必要に応じて、溶媒を用いることができ、該溶媒としては、トルエン等の炭化水素溶媒等が挙げられ、反応温度は、通常、−40℃〜100℃の範囲であり、好ましくは、−20℃〜60℃、特に好ましくは、−10℃〜40℃であり、反応時間は、通常0.5時間〜24時間であり、反応に用いられる試剤の量は、シクロプロパンカルボン酸1モルに対し、(R)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンまたは(S)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンが、通常0.8〜1.2モルの割合であり、反応助剤が、通常1.0〜2.0モルの割合である。
反応終了後の反応液は、有機溶媒抽出、濃縮等の通常の後処理を行って、式R−(II)またはS−(II)で示されるエステル化合物(ジアテレオマー混合物)を単離することができる。
【0013】
本発明の工程Bの分離方法としては、クロマトグラフィー(シリカゲルカラムクロマトグラフィー、シリカゲル分取薄層クロマトグラフィーおよび分取液体クロマトグラフィー等)や優先晶析等の物理的方法が挙げられる。シリカゲルカラムクロマトグラフィーやシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー等を行う場合の展開溶媒としては、一般的にクロロホルムなどのハロゲン系溶媒を単独に用いる場合や、混合溶媒を用いて行うことができる。混合溶媒で行う場合、極性が低いヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系、またはトルエン等の芳香族系溶媒と、極性が高い溶媒、例えば、酢酸エチル等のエステル系溶媒、イソプロパノール、メタノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、またはメチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶媒等とを適当な比率で混合して用いられる。混合比率は用いられる極性が低い溶媒と極性が高い溶媒の種類にもよるが、通常、極性が低い溶媒1に対して、極性が高い溶媒を0.001から1の範囲で行う場合が多い。また、優先晶析等の物理的方法においても、シリカゲルカラムクロマトグラフィーやシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー等を行う場合の展開溶媒と同様の溶媒を用いて行うことができる。
【0014】
本発明の工程Cの加水分解反応は、通常の酸(例えば、塩酸、硫酸等)、または塩基(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等)による加水分解反応の条件によって行うことができる。
反応温度は、通常−10℃〜120℃の範囲であり、反応時間は、通常10分〜48時間であり、反応に用いられる試剤の量は、式R−(II)またはS−(II)で示される化合物1モルに対して、酸や塩基は、通常0.1〜100モルの割合である。また、必要に応じて、溶媒を用いることができ、該溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル溶媒、メタノール等のアルコール溶媒、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒、水等が挙げられる。
反応終了後の反応液は、有機溶媒抽出、濃縮等の通常の後処理を行って、目的とする光学活性なシクロプロパンカルボン酸を単離することができる。
【0015】
本発明方法により得られる光学活性なシクロプロパンカルボン酸は、例えば、医薬(例えば、抗炎症剤等)、農薬(例えば、殺虫剤、除草剤等)およびその製造中間体、もしくは、光学分割剤等として有用である。
【0016】
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の例に制限されるものではない。
【0017】
本発明方法において用いられる(R)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンおよび(S)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンは、高橋らの報告(Tetrahedron Asymmetry 8巻、3125ページ(1997年))によって調製した。
【0018】
次に、本発明の実施例を示す。
【0019】
実施例1
(1)(1R,3S)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、および
(1S,3R)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレートの合成

塩化パラトルエンスルホニル(191mg, 1.00ミリモル)を、(±)-trans-2,2-ジメチル-3-(2,2-ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸(208mg, 1.00ミリモル)とN-メチルイミダゾール(204mg, 2.49ミリモル)のCH3CN溶液(0.50ml)に、0-5℃でアルゴン雰囲気下、攪拌しながら加えた。同温度で30分攪拌した後、反応液に、(R)-2-ヒドロキシ-2’-エトキシ-1,1’-ビナフタレン(261mg, 0.83ミリモル)を0-5℃で加え、20-25℃で2時間攪拌した。反応混合物を冷却後、10%NaOH水5mlを加えた後、酢酸エチル5mlで3回抽出した。合わせた有機相を、水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。
得られた固形物を冷却した(ヘキサン:酢酸エチル=15:1)溶液(8ml)で洗浄後、酢酸エチル0.5mlで再結晶して、(1R,3S)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(150mg 36%)を得た。一方、濾過液を濃縮して、粗製物(234mg, 56%)を得た。得られた粗製物は徐々に結晶化した。この結晶を酢酸エチル0.5mlで再結晶して、(1S,3R)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを得た。

(1R,3S)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート


(1R,3S)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレートの物性:
無色結晶(光学純度97%)
mp:158-160℃
Rf = 0.59(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)
[α]D29 +77.4(c 1.00, CHCl3)
1HNMR(300MHz, CDCl3) δ0.93(3H, s), 0.96(3H, s), 1.03(3H, t, J = 6.9 Hz), 1.28(1H, d, J = 5.5 Hz), 1.86(1H, dd, J = 5.5, 7.6 Hz), 4.00(2H, q, J = 6.9 Hz), 5.35(1H, d, J = 7.6 Hz), 7.14(1H, d, J = 8.3 Hz), 7.18-7.50(7H, m), 7.83(1H, d, J = 8.3Hz), 7.88-8.02(3H, m)
13C NMR(75MHz, CDCl3) δ14.9, 19.6, 22.3, 29.1, 32.8, 34.3, 65.1, 115.3, 118.6, 121.9, 122.3, 123.7, 125.3, 126.2, 126.3, 126.5, 127.7, 128.0, 128.8, 129.1, 129.8, 131.6, 133.7, 133.8, 146.8, 154.2, 169.2
IR(KBr) 3459, 3057, 2988, 2953, 1740, 1620, 1593, 1507, 1154 cm-1

(1S,3R)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート



(1S,3R)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレートの物性:
薄い黄色結晶(光学純度95%)
mp:50-52℃
Rf = 0.59(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)
[α]D25 -40.2(c 4.45, CHCl3)
1HNMR(300MHz, CDCl3) δ0.54(3H, s), 0.88(3H, s), 1.09(3H, t, J = 6.9Hz), 1.36(1H, d, J = 5.5Hz), 1.96(1H, dd, J = 5.5, 8.3 Hz), 4.05(2H, q, J = 6.9 Hz), 5.41(1H, d, J = 8.3 Hz), 7.08(1H, d, J = 8.3 Hz), 7.13-7.32(4H, m), 7.35-7.47(3H, m), 7.82(1H, d, J = 8.3Hz), 7.87-7.99(3H, m)
13C NMR(75MHz, CDCl3) δ14.8, 18.9, 22.1, 29.2, 32.7, 34.1, 65.0, 115.1, 118.4, 121.8, 123.5, 125.4, 125.5, 126.2, 126.2, 126.4, 126.7, 127.6, 128.0, 128.8, 129.0, 129.7, 131.6, 133.6, 133.8, 146.8, 154.2, 169.0
IR(KBr) 3436, 3057, 2978, 2928, 1746, 1620, 1593, 1508, 1152 cm-1

(2)(1R,3S)-2,2-ジメチル-3-(2,’2’-ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸の合成



水酸化カリウム(30mg, 0.54ミリモル)の水溶液(0.30ml)を、(1R,3S)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(80mg, 0.16ミリモル)のテトラヒドロフラン(1.0ml)とメタノール(0.20ml)との混合液に室温で攪拌しながら加えた。60℃で1時間攪拌後、反応液をエーテル(5ml)で3回抽出した。水層を6N塩酸でpH 1にした後、酢酸エチル(5ml)で3回抽出した。合わせた酢酸エチル層を、水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮して、(1R,3S)-2,2-ジメチル-3-(-2,’2’-ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸(32 mg, 収率 97%)を得た。

(1R,3S)-2,2-ジメチル-3-(2,’2’-ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸


(1R,3S)-2,2-ジメチル-3-(2,’2’-ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸の物性:
無色結晶(光学純度 99% 以上)
mp:70-71℃
[α]D24 +35.7(c 1.45, CHCl3)
1HNMR(300MHz, CDCl3) δ1.21(3H, s), 1.33(3H, s), 1.61 (1H, d, J = 5.2Hz), 2.27(1H, dd, J = 5.2, 8.3 Hz), 5.62(1H, d, J = 8.3 Hz)
13C NMR(75MHz, CDCl3) δ20.1, 22.6, 30.0, 33.6, 34.5, 122.5, 126.5, 177.7
IR(KBr) 2961, 2932, 1688, 1449, 1244, 1113, 932, 880 cm-1
【0020】
実施例2
(1)(1R,3S)-[(S)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、および
(1S,3R)-[(S)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレートの合成

実施例1と全く同様にして、(S)-2-ヒドロキシ-2’-エトキシ-1,1’-ビナフタレンを用いて、(1R,3S)-[(S)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、および
(1S,3R)-[(S)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを合成した。

(1R,3S)-[(S)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート


(1R,3S)-[(S)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレートの物性:
淡黄色結晶(光学純度 99% 以上)
mp:50-51℃
Rf = 0.67 (ヘキサン:酢酸エチル=5:1)
[α]D23 +40.5 (c 0.50, CHCl3)
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.93 (3H, s), 0.96 (3H, s), 1.03 (3H, t, J = 6.9 Hz), 1.29 (1H, d, J = 5.5 Hz), 1.86 (1H, dd, J = 5.5, 7.9 Hz), 4.00 (2H, q, J = 6.9 Hz), 5.35 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.14 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.18-7.49 (7H, m), 7.83 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.88-8.01 (3H, m)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ14.9, 19.6, 22.3, 29.1, 32.8, 34.3, 65.1, 115.3, 118.6, 121.9, 122.3, 123.7, 125.3, 126.2, 126.3, 126.5, 127.7, 128.0, 128.8, 129.1, 129.8, 131.6, 133.7, 133.8, 146.8, 154.2, 169.2
IR (KBr) 3449, 3057, 2978, 2928, 1746, 1620, 1593, 1508, 1152 cm-1

(1S,3R)-[(S)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート


(1S,3R)-[(S)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレートの物性:
無色結晶(光学純度 99% 以上)
mp:161-162℃
Rf = 0.67(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)
[α]D23 -78.6 (c 2.30, CHCl3)
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.53 (3H, s), 0.89 (3H, s), 1.09 (3H, t, J = 6.9 Hz), 1.36 (1H, d, J = 5.5 Hz), 1.97 (1H, dd, J = 5.5, 8.3 Hz), 4.06 (2H, q, J = 6.9 Hz), 5.42 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.08 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.13-7.32 (4H, m), 7.35-7.47 (3H, m), 7.83 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.87-7.99 (3H, m)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ14.9, 19.6, 22.3, 29.1, 32.8, 34.2, 65.1, 115.3, 118.6, 121.9, 122.3, 123.7, 125.3, 126.2, 126.5, 127.7, 128.0, 128.8, 129.1, 129.8, 131.6, 133.7, 133.7, 146.8, 154.2, 169.0
IR (KBr) 3457, 3057, 3034, 2988, 2953, 2889, 1740, 1620, 1593, 1507, 1154 cm-1

(2)(1S,3R)-2,2-ジメチル-3-(2,’2’-ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸の合成



実施例1の (2) と同様にして、(1S,3R)-2,2-ジメチル-3-(2,’2’-ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸を合成した。

(1S,3R)-2,2-ジメチル-3-(2,’2’-ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸


(1S,3R)-2,2-ジメチル-3-(2,’2’-ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸の物性:
無色結晶(光学純度 99% 以上)
mp:70-72℃
[α]D26 -35.8(c 1.85, CHCl3)
1HNMR(300MHz, CDCl3) δ1.21(3H, s), 1.33(3H, s), 1.61 (1H, d, J = 5.2Hz), 2.27(1H, dd, J = 5.2, 8.3 Hz), 5.62(1H, d, J = 8.3 Hz)
13C NMR(75MHz, CDCl3) δ20.0, 22.6, 30.0, 33.6, 34.5, 122.5, 126.5, 177.7
IR(KBr) 3052, 2998, 2961, 2934, 1688, 1449, 1244, 1113, 934, 880 cm-1
【0021】
実施例3
(1)(1R,3R)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジメチルビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、および
(1S,3S)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジメチルビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレートの合成

実施例1と全く同様にして、(R)-2-ヒドロキシ-2’-エトキシ-1,1’-ビナフタレンを用いて、(1R,3R)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジメチルビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、および
(1S,3S)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジメチルビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを合成した。

(1R,3R)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジメチルビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート


(1R,3R)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジメチルビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレートの物性:
無色結晶(光学純度 99% 以上)
mp:165-167℃
Rf = 0.70(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)
[α]D24 +88.5 (c 1.00, CHCl3)
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.90 (3H, s), 0.95 (3H, s), 1.04 (3H, t, J = 6.9 Hz), 1.10 (1H, d, J = 5.5 Hz), 1.36 (3H, s), 1.62 (3H, s), 1.69-1.76 (1H, m), 4.01 (2H, q, J = 7.2 Hz), 4.68 (1H, d, J = 6.9 Hz), 7.12-7.33 (5H, m), 7.35-7.46 (3H, m), 7.82 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.87-8.00 (3H, m)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ14.9, 18.2, 20.0, 21.9, 25.4, 28.9, 32.8, 34.4, 65.1, 115.4, 118.8, 120.5, 122.2, 123.6, 125.2, 125.5, 126.1, 126.2, 126.4, 127.6, 128.0, 128.7, 129.1, 129.7, 131.5, 133.7, 133.8, 135.8, 147.0, 154.2, 170.6
IR (KBr) 3449, 2926, 2857, 1738, 1620, 1593, 1508, 1458, 1246, 1142, 1113, 862, 810 cm-1

(1S,3S)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジメチルビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート


(1S,3S)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジメチルビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレートの物性:
淡黄色結晶(光学純度 99% 以上)
mp:43-44℃
Rf = 0.70(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)
[α]D23 -53.5 (c 1.35, CHCl3)
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.48 (3H, s), 0.83 (3H, s), 1.09 (3H, t, J = 6.9 Hz), 1.18 (1H, d, J = 5.5 Hz), 1.55 (3H, s), 1.65 (3H, s), 1.75-1.88 (1H, m), 4.05 (2H, q, J = 6.9 Hz), 4.73 (1H, d, J = 7.9 Hz), 7.09 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.13-7.32 (4H, m), 7.34-7.47 (3H, m), 7.81 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.87-7.99 (3H, m)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ14.8, 18.4, 19.3, 21.8, 25.5, 29.1, 32.5, 34.2, 65.1, 115.3, 118.8, 120.8, 122.2, 123.6, 125.2, 125.4, 125.7, 126.2, 126.2, 126.3, 127.5, 128.0, 128.7, 129.1, 129.6, 131.6, 133.7, 133.9, 135.4, 147.1, 154.2, 170.4
IR (KBr) 3420, 3059, 2978, 2926, 1744, 1622, 1593, 1508, 1460, 1244, 1136, 1111, 856, 808 cm-1

(2)(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(2,’2’-ジメチルビニル)シクロプロパンカルボン酸の合成



実施例1の(2)と同様にして、(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(2,’2’-ジメチルビニル)シクロプロパンカルボン酸を合成した。

(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(-2,’2’-ジメチルビニル)シクロプロパンカルボン酸


(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(-2,’2’-ジメチルビニル)シクロプロパンカルボン酸の物性:
無色オイル(光学純度 98%)
[α]D24 +23.1(c 1.10, CHCl3)
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ1.15 (3H, s), 1.30 (3H, s), 1.40 (1H, d, J = 5.5 Hz), 1.71 (3H, s), 1.72 (3H, s), 2.09 (1H, dd, J = 5.5, 7.6 Hz), 4.90 (1H, d, J = 7.6 Hz)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ18.5, 20.4, 22.2, 25.5, 29.7, 33.5, 34.6, 120.8, 135.8, 178.7
IR (KBr) 2926, 1692, 1443, 1289, 1244, 1115 cm-1
【0022】
実施例4
(1)(1R,3S)-[(R)-2’-メトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、および
(1S,3R)-[(R)-2’-メトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレートの合成

塩化パラトルエンスルホニル(229mg, 1.20ミリモル)を、(±)-trans-2,2-ジメチル-3-(2,2-ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸(251mg, 1.20ミリモル)とN-メチルイミダゾール(246mg, 3.0ミリモル)とのCH3CN溶液(1.0ml)に、0-5℃でアルゴン雰囲気下、攪拌しながら加えた。0-5℃で30分攪拌した後、反応液に、(R)-2-ヒドロキシ-2’-メトキシ-1,1’-ビナフタレン(300mg, 1.00ミリモル)を0-5℃で加え、20-25℃で2時間攪拌した。反応混合物を冷却後、飽和NaHCO3水3mlを加えた後、クロロホルム5mlで3回抽出した。合わせた有機相を、水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。
得られた固形物を冷却したジエチルエーテル(8ml)で洗浄後、クロロホルムで再結晶して、(1R,3S)-[(R)-2’-メトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(185 mg 38%)を得た。一方、濾過液を濃縮して粗製物を得た。得られた粗製物は徐々に結晶化した。この結晶をクロロホルム(0.5ml)で再結晶し、(1S,3R)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを得た。

(1R,3S)-[(R)-2’-メトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート



(1R,3S)-[(R)-2’-メトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレートの物性:
無色結晶(光学純度95%)
mp:232-233℃
Rf = 0.23(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)
[α]D29 +68.5(c 4.00, CHCl3)
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.92 (3H, s), 0.95 (3H, s), 1.29 (1H, d, J = 5.5 Hz), 1.87 (1H, dd, J = 5.5, 7.6 Hz), 3.73 (3H, s), 5.36 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.06-7.49 (8H, m), 7.78-8.03 (4H, m)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ19.6, 22.3, 29.1, 32.8, 34.2, 56.7, 113.6, 117.8, 121.9, 122.4, 123.7, 125.3, 125.4, 126.1, 126.4, 126.6, 127.7, 128.1, 129.0, 130.0, 131.7, 133.6, 146.8, 154.9, 169.2
IR (KBr) 3457, 3056, 2938, 2839, 1738, 1263, 1217, 1152, 1109 cm-1

(1S,3R)-[(R)-2’-メトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート


(1S,3R)-[(R)-2’-メトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレートの物性:
無色結晶(光学純度90%)
mp:65-66℃
Rf = 0.23(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)
[α]D24 -32.2(c 3.65, CHCl3)
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.56 (3H, s), 0.87 (3H, s), 1.35 (1H, d, J = 5.5 Hz), 1.96 (1H, dd, J = 5.5, 8.3 Hz), 3.75 (3H, s), 5.39 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.02-7.47 (8H, m), 7.77-8.01 (4H, m)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ18.9, 22.2, 29.3, 32.8, 34.1, 56.8, 113.6, 117.7, 121.9, 123.6, 125.2, 125.4, 125.5, 126.1, 126.4, 126.5, 126.7, 127.6, 128.1, 129.0, 129.9, 131.7, 133.6, 146.9, 154.9, 169.1
IR (KBr) 3457, 3057, 2930, 2839, 1746, 1263, 1215, 1152, 1111 cm-1
(2)(1R,3S)-2,2-ジメチル-3-(2,’2’-ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸の合成



水酸化カリウム(48mg, 0.86ミリモル)の水溶液(0.51ml)を、(1R,3S)-[(R)-2’-メトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(84mg, 0.17ミリモル)とテトラヒドロフラン(0.86ml)との混合液に室温で攪拌しながら加えた。60℃で6時間攪拌後、反応液をエーテル(5ml)で3回抽出した。水層を6N塩酸でpH 1にした後、酢酸エチル(5ml)で3回抽出した。合わせた酢酸エチル層を、水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮して、(1R,3S)-2,2-ジメチル-3-(-2,’2’-ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸(29 mg, 収率 81%)を得た。

(1R,3S)-2,2-ジメチル-3-(2,’2’-ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸


(1R,3S)-2,2-ジメチル-3-(2,’2’-ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸の物性:
無色結晶(光学純度 74%)
mp:67-68℃
[α]D23 +33.4(c 1.45, CHCl3)
1HNMR(300MHz, CDCl3) δ1.21(3H, s), 1.33(3H, s), 1.61 (1H, d, J = 5.2Hz), 2.27(1H, dd, J = 5.2, 8.3 Hz), 5.62(1H, d, J = 8.3 Hz)
13C NMR(75MHz, CDCl3) δ20.1, 22.6, 30.0, 33.6, 34.5, 122.5, 126.5, 177.7
IR(KBr) 3052, 2998, 2961, 2932, 1688, 1449, 1244, 1113, 932, 880 cm-1
【0023】
実施例5
(1)(1R)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-2,2-ジクロルシクロプロパンカルボキシレート、および
(1S)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-2,2-ジクロルシクロプロパンカルボキシレートの合成

実施例1と全く同様にして、2,2-ジクロルシクロプロパンカルボン酸を用いて、(1R)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-2,2-ジクロルシクロプロパンカルボキシレート、および
(1S)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-2,2-ジクロルシクロプロパンカルボキシレートを合成した。

(1R)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジメチルビニル)-2,2-ジクロルシクロプロパンカルボキシレート


(1R)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-2,2-ジクロルシクロプロパンカルボキシレートの物性:
無色結晶(光学純度99%)
mp:128-129℃
Rf = 0.56(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)
[α]D23 +34.1(c 1.80, CHCl3)
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ1.10 (3H, t, J = 6.9 Hz), 1.67 (1H, dd, J = 7.2 Hz, Jgem = 9.6 Hz), 1.79 (1H, t, J = 7.2 Hz), 2.33 (1H, dd, J = 7.2 Hz, Jgem = 9.6 Hz), 4.05 (2H, q, J = 6.9 Hz), 4.68 (1H, d, J = 6.9 Hz), 7.08 (1H, d, J = 8.3 Hz) 7.16-7.34 (4H, m), 7.37-7.50 (3H, m), 7.83 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.90-8.02 (3H, m)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ14.8, 26.2, 32.7, 57.2, 65.0, 115.0, 117.9, 121.4, 123.6, 125.4, 125.6, 126.4, 126.4, 126.5, 127.7, 128.1, 129.0, 129.1, 130.0, 131.8, 133.7, 133.8, 146.5, 154.2, 164.9
IR (KBr) 3489, 3057, 2982, 2930, 1763, 1620, 1593, 1508, 1472, 1366, 1246, 1150, 1111, 810, 750 cm-1

(1S)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-3-(2,2-ジメチルビニル)-2,2-ジクロルシクロプロパンカルボキシレート


(1S)-[(R)-2’-エトキシ-1,1’-ビナフチル-2-イル]-2,2-ジクロルシクロプロパンカルボキシレートの物性:
無色結晶(光学純度99%)
mp:45-47℃
Rf = 0.56(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)
[α]D23 -38.6(c 0.90, CHCl3)
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ1.07 (3H, t, J = 6.9 Hz), 1.59 (1H, dd, J = 7.9 Hz, Jgem = 10.0 Hz), 1.70 (1H, t, J = 7.9 Hz), 2.25 (1H, dd, J = 7.9 Hz, Jgem = 10.0 Hz), 3.98-4.18 (2H, m), 7.07-7.56 (8H, m), 7.81-8.08 (4H, m)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ14.8, 26.4, 32.6, 57.4, 65.0, 115.1, 118.0, 121.5, 123.7, 125.3, 125.6, 126.3, 126.4, 126.5, 127.7, 128.0, 129.0, 129.9, 131.8, 133.6, 133.7, 146.5, 154.2, 165.1
IR (KBr) 3490, 3059, 2980, 2930, 1759, 1622, 1593, 1508, 1472, 1366, 1238, 1150, 1111, 808, 750 cm-1

(2)(1R)-2,2-ジクロルシクロプロパンカルボン酸の合成



実施例1の (2) と同様にして、(1R)-2,2-ジクロルシクロプロパンカルボン酸を合成した。

(1R)-2,2-ジクロルシクロプロパンカルボン酸


(1R)-2,2-ジクロルシクロプロパンカルボン酸の物性:
無色オイル(光学純度 54%)
[α]D24 +72.2(c 0.85, CHCl3)
1HNMR(300MHz, CDCl3) δ1.96(1H, dd, J = 7.6 Hz, Jgem = 10.0 Hz), 2.11(1H, t, J = 7.6 Hz), 2.59(1H, dd, J = 7.6 Hz, Jgem = 10.0 Hz), 11.30-11.74 (1H, m)
13C NMR(75MHz, CDCl3) δ27.0, 32.9, 57.6, 173.2
IR(KBr) 3108, 3077, 3023, 2936, 2784, 2691, 2589, 1705, 1453, 1439, 1352, 1256, 1213, 1117, 930, 723, 662 cm-1
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明によれば、
式R−(I)あるいはS−(I)



「式中、Aは、メチル基またはエチル基を表す。」
で示される(R)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンあるいは(S)−2−ヒドロキシ−2’−アルコキシ−1,1’−ビナフタレンを使用して、シクロプロパンカルボン酸を容易に光学分割することが可能である。
【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
【出願日】 平成19年2月14日(2007.2.14)
【代理人】 【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨


【公開番号】 特開2008−195657(P2008−195657A)
【公開日】 平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願番号】 特願2007−33104(P2007−33104)