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【発明の名称】 廃TCB払い出し方法および払い出し装置
【発明者】 【氏名】片寄 隆裕

【氏名】村上 克二

【氏名】長野 勝雅

【要約】 【課題】外気温度が結晶の析出温度以下に低下する冬季や寒冷地においても安定して廃TCBをPCB処理設備から系外に搬送することができる廃TCBの払い出し方法および払い出し装置を提供する。

【解決手段】PCB無害化処理設備で分離された廃TCBを系外の産業廃棄物処理設備へ払い出す廃TCB払い出し装置において、分離された廃TCB2を廃TCBの結晶が析出しない温度に保温した廃TCB送液管6の流出口7に、廃TCB2を貯蔵する貯蔵容器1の上部の開口に被せて廃TCB2を充填し、且つ充填後に取り外せる充填用蓋3が固定されて一体に形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PCB無害化処理設備で分離された廃TCBを系外の産業廃棄物処理設備へ払い出す廃TCB払い出し方法において、
分離された廃TCBを廃TCBの結晶が析出しない温度に保温した廃TCB送液管を液送し、液送された廃TCBを廃TCB送液管の流出口から貯蔵容器に充填して貯蔵し、廃TCBを貯蔵した貯蔵容器を密閉した後、PCB無害化処理設備から系外の産業廃棄物処理設備へ搬送することを特徴とする廃TCB払い出し方法。
【請求項2】
PCB無害化処理設備で分離された廃TCBを系外の産業廃棄物処理設備へ払い出す廃TCB払い出し装置において、
分離された廃TCBを廃TCBの結晶が析出しない温度に保温した廃TCB送液管の流出口に、廃TCBを貯蔵する貯蔵容器の上部の開口に被せて廃TCBを充填し、且つ充填後に取り外せる充填用蓋が固定されて一体に形成されていることを特徴とする廃TCB払い出し装置。
【請求項3】
前記充填用蓋に前記貯蔵容器内の廃TCBのレベルを計測するレベル計が設けられると共に、充填される廃TCBのレベルが設定値に達すると、レベル計から送信される信号により廃TCB送液管に設けられた送液を遮断する遮断弁が設けられていることを特徴とする請求項2記載の廃TCB払い出し装置。
【請求項4】
前記充填用蓋に接地手段が設けられていることを特徴とする請求項2又は3記載の廃TCB払い出し装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」という。)の無害化処理において分離された廃トリクロロベンゼン(以下「廃TCB」という。)の払い出し方法および払い出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PCBは、電気絶縁性に優れていることから、コンデンサやトランスなどの電気機器の絶縁油や絶縁材料などに使用されていた。しかし、PCBは人体に有害で且つ自然界での分解が困難な環境汚染物質であることから、その生産が中止されるとともに、PCBで汚染されたコンデンサやトランスなどは回収され、保管されていた。
【0003】
コンデンサやトランスの無害化処理方法は、例えば、コンデンサやトランスからPCB油を抜き取り、抜き取ったPCB油の分解処理を行う。一方、抜油されたコンデンサやトランスは、解体され、材質別に分類された後、それぞれ洗浄、分離処理が行われる(特許文献1)。
【0004】
また、抜油されたPCB油やPCB汚染物等をドラム缶に封入して高温のプラズマを熱源としたプラズマ溶融分解炉に投入してプラズマ溶融分解処理することも行われている(特許文献2)。
【0005】
図3はPCB無害化処理工程の一例を示す概略図である。
【0006】
トランスに封入される絶縁油はPCBと粘度調整用のTCBの混合液が使用されており、前処理工程でトランスから抜油したPCBとTCBの混合液はTCB分離塔でPCBとTCBが分離される。PCBは液処理工程に送られて分解される。
【0007】
抜油後のトランスは解体される。その際の予備洗浄、解体前洗浄、撹拌洗浄(一次)で使用された比較的濃度の高いPCBを含む洗浄溶剤は、第1蒸留塔でPCBと洗浄溶剤+TCBに分離し、PCBは液処理工程に送られて分解し、洗浄溶剤+TCBは第1TCB除去塔でPCB濃度数ppm以下の洗浄溶剤とTCBに分離し、分離した洗浄溶剤は前処理工程で予備洗浄、解体前洗浄、撹拌洗浄(一次)で再利用する。
【0008】
前処理工程で分解された被処理物は洗浄工程において、真空超音波洗浄、撹拌洗浄(二次)、判定洗浄され、洗浄に使用されたPCBを数ppm含む洗浄溶剤は第2蒸留塔で蒸留を行い、PCB濃縮液と洗浄溶剤+TCBに分離する。洗浄溶剤+TCBは第2TCB除去塔でPCB濃度0.1ppm以下の洗浄溶剤とTCBに分離し、洗浄溶剤は洗浄工程の真空超音波洗浄、撹拌洗浄(二次)、判定洗浄に再使用される。
【0009】
第2蒸留塔から出たPCB濃縮液は第2溶剤回収塔でさらに洗浄溶剤を回収し、PCBは液処理工程に送られて分解される。
【0010】
TCB分離塔、第1TCB除去塔、第2TCB除去塔で分離された廃TCBは、タンクローリにてPCB処理設備から系外に搬送され、その後、特定の産業廃棄物処理設備で処理される。
【特許文献1】特開2002−316951号公報
【特許文献2】特開2004−121801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
PCB無害化処理において分離された廃TCBは、低温(約3℃以下)になると、結晶が析出し固化する。したがって、タンクローリによる搬送では、外気温度が結晶の析出温度以下に低下する冬季や寒冷地においては、搬送途中に固化してタンクローリからの排出が困難となるため、タンクローリに保温手段を付加することが必要となる。タンクローリに保温手段を付加することは、設備費が増大するだけでなく、付加した保温手段が故障した場合には廃TCBがタンク内で固化するためにその後の対応が困難となる。
【0012】
そこで、本発明は、保温手段を付加したタンクローリを使用することなく、外気温度が結晶の析出温度以下に低下する冬季や寒冷地においても安定して廃TCBをPCB処理設備から系外に搬送することができる廃TCB払い出し方法および払い出し装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の廃TCB払い出し方法は、PCB無害化処理設備で分離された廃TCBを系外の産業廃棄物処理設備へ払い出す廃TCB払い出し方法において、分離された廃TCBを廃TCBの結晶が析出しない温度に保温した廃TCB送液管を液送し、液送された廃TCBを廃TCB送液管の流出口から貯蔵容器に充填して貯蔵し、廃TCBを貯蔵した貯蔵容器を密閉した後、PCB無害化処理設備から系外の産業廃棄物処理設備へ搬送することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の廃TCB払い出し装置は、PCB無害化処理設備で分離された廃TCBを系外の産業廃棄物処理設備へ払い出す廃TCB払い出し装置において、分離された廃TCBを廃TCBの結晶が析出しない温度に保温した廃TCB送液管の流出口に、廃TCBを貯蔵する貯蔵容器の上部の開口に被せて廃TCBを充填し、且つ充填後に取り外せる充填用蓋が固定されて一体に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の廃TCB払い出し方法では、PCB無害化処理設備から系外の無害化処理施設へ廃TCBが貯蔵された貯蔵容器を搬送手段に積載し搬送する際に、外気温度がTCBの析出温度以下に低下する冬季や寒冷地においても、高価な保温手段を有するタンクローリを使用しなくても安定して廃TCBを搬送することが可能となる。
【0016】
本発明の払い出し装置では、管路の端部に充填用蓋を一体的に形成すると共に、貯蔵容器の胴部とを離接可能ととしているために、貯蔵容器のセット、取り替え、積載が容易となり、作業効率が向上する。
【0017】
レベル計と遮断弁により、貯蔵容器への廃TCBの注入時に、廃TCBがあふれることがない。
【0018】
接地手段により、貯蔵作業時、静電気で廃TCBが発火するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1(a)は本発明の貯蔵容器の斜視図、(b)は同断面図である。
【0020】
廃TCBが充填され、貯蔵される貯蔵容器1には、上部が開放されたドラム缶を使用し、ドラム缶の上部は、所定量の廃TCB2を貯蔵した後に密閉用蓋(図示せず)を被せ固定して密閉可能とする。
【0021】
廃TCB2を貯蔵容器1に充填する際に、密閉用蓋を外した貯蔵容器1の上部に廃TCBを充填するための充填用蓋3が被される。充填用蓋3は、充填用蓋3のみで貯蔵容器1の開口全体を覆う大きさにしてもよいが、図1(a)に示すように、貯蔵容器1の大きさによっては取り扱いやすいように分割して揮発防止用蓋4とともに開口全体を覆う大きさにしてもよい。充填用蓋(図1では揮発防止用蓋4)には開閉できる点検蓋5を設けてもよい。
【0022】
PCB無害化処理設備で分離された廃TCBは廃TCB送液管6で送液されてくる。廃TCB送液管6の流出口7には、廃TCBを貯蔵容器1内に充填する充填用蓋3が固定されて一体化されている。廃TCB送液管6の流出口付近は充填用蓋3を自由に動かして貯蔵容器1の上部の開口に容易に位置決めして被せることができるようにフレキシブルホースにすることが好ましい。廃TCB送液管6の途中には、貯蔵容器1に近い位置に流路を開閉する開閉弁8が設けられ、開閉弁8の開閉により貯蔵容器1への廃TCBの流入、停止を行う。開閉弁8の開閉は遠隔で操作できるようにしてもよい。
【0023】
さらに充填用蓋3には、貯蔵容器内の廃TCB2のレベルを計測するレベル計9が設けられる。レベル計9の信号線10は廃TCB送液管6に沿って固定され、廃TCB2のレベルが設定値に達すると、レベル計9の計測信号により廃TCB送液管6に設けられた遮断弁11が閉まり、廃TCB送液管6からの廃TCBの流出を止め、貯蔵容器内に過剰に廃TCBが貯蔵されるのを防止する。
【0024】
廃TCB送液管6には保温手段12を設けて廃TCBの結晶が析出しないようにする。
【0025】
充填用蓋3にはアースリールなどにより接地手段13を設け、静電気による廃TCBの発火を防止する。
【0026】
本発明の払い出し方法について説明する。図2は廃TCBの払い出しの説明図である。
【0027】
図2において、廃TCB送液管6の遮断弁11および開閉弁8は閉の状態にある。密閉蓋が開口に取り付けてある空の貯蔵容器1を払い出し場所にフォークリフトで搬入し、廃TCB送液管8の流出口近くの所定位置に置く。
【0028】
密閉蓋を貯蔵容器1の上部から取り外した後、フレキブルホース6の端部に固定されている充填用蓋3を貯蔵容器1の上部に被せてセットする。
【0029】
次いで遮蔽弁11を開いた後、開閉弁8を開いて廃TCB送液管6の流出口7から廃TCBを貯蔵容器1へ流入させて貯蔵を開始する。廃TCB送液管6は保温手段12が設けられているので、廃TCB2は、析出することなく貯蔵容器1へ充填される。
【0030】
所定量の廃TCB2が貯蔵されると開閉弁8を閉じて廃TCB2の流出を停止させる。なお、廃TCB2が貯蔵量のレベルを超えて設定量のレベルに達すると、レベル計9が検知し、検知信号が発振されて遮断弁11を閉じて廃TCB2の送液が停止し、廃TCBが過剰に貯蔵されるのを防止することができる。
【0031】
所定量の廃TCB2が貯蔵されると、充填用蓋3を取り外したのち、密閉蓋を取り付ける。
【0032】
次いで、密閉蓋を取り付けた貯蔵容器1をフォークリフトで搬出する。
【0033】
貯蔵容器1ごとに以上の作業を繰り返した後、所定個数の貯蔵容器1を搬送車両に移し換えてPCB無害化処理施設から搬出し、産業廃棄物処理設備へ搬送する。
【0034】
廃TCBを貯蔵容器1に貯蔵した後は、そのまま搬送し、また開封することなく溶解処理するので、廃TCBが析出固化しても問題なく且つ安全に処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】(a)は本発明の貯蔵容器の斜視図、(b)は同断面図である。
【図2】廃TCBの払い出しの説明図である。
【図3】PCB無害化処理工程の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0036】
1:貯蔵容器
2:廃TCB
3:充填用蓋
4:揮発防止用蓋
5:点検蓋
6:廃TCB送液管
7:流出口
8:開閉弁
9:レベル計
10:信号線
11:遮断弁
12:保温手段
13:アースリール
【出願人】 【識別番号】306022513
【氏名又は名称】新日鉄エンジニアリング株式会社
【識別番号】390022873
【氏名又は名称】日鐵プラント設計株式会社
【出願日】 平成19年1月23日(2007.1.23)
【代理人】 【識別番号】100082164
【弁理士】
【氏名又は名称】小堀 益

【識別番号】100105577
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 隆人


【公開番号】 特開2008−179548(P2008−179548A)
【公開日】 平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願番号】 特願2007−12830(P2007−12830)