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光学活性N−置換プロリンの分離方法 - 特開2008−19212 | j-tokkyo
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【発明の名称】 光学活性N−置換プロリンの分離方法
【発明者】 【氏名】宮田 卓也

【氏名】香川 巧

【要約】 【課題】N−置換プロリン光学異性体混合物の効率的かつ工業的な分割方法を提供する。

【構成】一般式(1)他の特定の構造を有する光学活性ポリマレイミド誘導体からなる群より選ばれる化合物を含む分取用光学異性体分離剤と、特定の構造を有するN−置換プロリンの光学異性体混合物とを接触させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】


[上記一般式(1)中、nは2〜10,000の数を表し、*印は不斉炭素を表す。]
で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、下記一般式(2)
【化2】


[上記一般式(2)中、nは2〜10,000の数を表し、*印は不斉炭素を表す。]
で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、下記一般式(3)
【化3】


[上記一般式(3)中、nは2〜10,000の数を表し、*印は不斉炭素を表す。]
で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、及び下記一般式(4)
【化4】


[上記一般式(4)中、nは2〜10,000の数を表し、*印は不斉炭素を表す。]
で示される光学活性ポリマレイミド誘導体からなる群より選ばれる光学活性ポリマレイミド誘導体を含むことを特徴とする光学活性N−置換プロリンの分取用光学異性体分離剤。
【請求項2】
分取用光学異性体分離剤が、光学活性ポリマレイミド誘導体を担体に担持させたものであることを特徴とする請求項1に記載の分取用光学異性体分離剤。
【請求項3】
担体が有機多孔質担体又は無機多孔質担体であることを特徴とする請求項2に記載の分取用光学異性体分離剤。
【請求項4】
担体がシリカゲルであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の分取用光学異性体分離剤。
【請求項5】
担体の平均粒径が10μm〜500μmであることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の分取用光学異性体分離剤。
【請求項6】
光学活性ポリマレイミド誘導体を担体に対して3〜20重量%担持させることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の分取用光学異性体分離剤。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の光学異性体分離剤が充填されていることを特徴とする光学活性N−置換プロリンの分取用充填カラム。
【請求項8】
下記一般式(5)
【化5】


[上記一般式(5)中、Rはアセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基、メトキシカルボニル基、N−エトキシカルボニル基、2−プロペニルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、又はホルミル基を示す。*印は不斉炭素を表す。]
で示されるN−置換プロリンの光学異性体混合物と、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の分取用光学異性体分離剤とを接触させることを特徴とする光学活性N−置換プロリンの分離方法。
【請求項9】
下記一般式(5)
【化6】


[上記一般式(5)中、Rはアセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基、メトキシカルボニル基、N−エトキシカルボニル基、2−プロペニルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、又はホルミル基を示す。*印は不斉炭素を表す。]
で示されるN−置換プロリンの光学異性体混合物を、請求項7に記載の分取用充填カラムを用い、高速液体クロマトグラフィーにより分取を行うことを特徴とする光学活性N−置換プロリンの分離方法。
【請求項10】
擬似移動床式クロマトグラフィー方式により分取を行うことを特徴とする請求項9に記載の光学活性N−置換プロリンの分離方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性N−置換プロリンの光学異性体の分離方法に関する。詳しくは、光学活性ポリマレイミド誘導体からなる分取用光学異性体分離剤を用いて、N−置換プロリンの光学異性体混合物を分取する方法に関する。本発明の分離方法により得られる光学活性N−置換プロリンは、医薬中間体として極めて有用である。
【背景技術】
【0002】
光学活性N−置換プロリンの製造方法としては、酒石酸を用いL−プロリンを異性化させると同時にD−プロリンと酒石酸のジアステレオマー塩を析出させる分別再結晶法(例えば、非特許文献1参照)、N−置換プロリンを酵素により選択的に脱保護し光学活性なL−プロリンを得る酵素法(例えば、非特許文献2参照)、2−(ヒドロキシカルボニル)−2−ピロリンをシンコナアルカロイド修飾パラジウム触媒存在下、不斉還元しL−プロリンを得る不斉合成法(例えば、非特許文献3参照)、アミノ酸修飾ゲル(MCIゲル)を用い銅キレーターの存在下、カラムで分離する分離方法(例えば、非特許文献4参照)等で得られた光学活性プロリンを常法に従って光学活性N−プロリンへ誘導する方法等がある。
【0003】
一方、光学異性体の混合物を分離するための光学異性体分割剤として利用される光学活性な合成高分子が数多く知られており、例えば、光学活性メタクリル酸トリフェニルメチルエステル重合体(例えば、特許文献1参照)、光学活性アクリル酸アミド重合体(例えば、特許文献2参照)、シリカゲル表面に化学結合した側鎖に光学活性置換基を有するポリアクリルアミド(例えば、特許文献3参照)、光学活性ノルボルネン重合体(例えば、特許文献4参照)等が知られている。本発明者らも各種光学活性ポリマレイミド誘導体について特許出願している(例えば、特許文献5〜特許文献10参照)。
【0004】
【特許文献1】特開昭56−106907号公報
【特許文献2】特開昭56−167708号公報
【特許文献3】特開昭63−1446号公報
【特許文献4】特開平7−118172号公報
【特許文献5】特開2001−106729号公報
【特許文献6】特開2002−088121号公報
【特許文献7】特開2002−097227号公報
【特許文献8】特開2003−064054号公報
【特許文献9】特開2004−294219号公報
【特許文献10】特開2004−346011号公報
【非特許文献1】Huaxue Fanying Gongcheng Yu Gongyi,21(2),176−180,2005。
【0005】
【非特許文献2】Advanced Synthesis & Catalysis,345(6+7),830−834,2003。
【0006】
【非特許文献3】Chirality,13(10),619−624,2001。
【0007】
【非特許文献4】Jounal of Chromatography,461,397−405,1989。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来法の分別再結晶又は異性化を組み合わせた分別再結晶法は目的とする光学活性プロリンに対して1モル量以上の光学活性カルボン酸誘導体が必要で経済的な方法とはいえない。酵素を用いる方法については、基質の希薄な溶液での実施が必要で工業的製法とは言いがたい。シンコナアルカロイド修飾パラジウム触媒を用いた不斉還元法は、L−プロリンを得るためには工業的に有利な方法であるが、D−プロリンを得ることはできない。アミノ酸修飾ゲル(MCIゲル)を用い銅キレーターの存在下、カラムで分離する分離方法はD−プロリン及びL−プロリンが得られる方法であるが、銅イオン存在下での水溶液での分離のため、分離後の回収、銅イオンの除去等精製法が煩雑となる。様々なキラル化合物を原料とし合成する方法については、比較的高価な光学活性体を原料として用いるため経済的とは言えない。
【0009】
一方、従来の光学活性高分子は、光学活性化合物の分離剤として用いた場合、光学分離を行う対象物が限られており、光学分離できない化合物が多くあることが知られている。そのため、光学分離を行う対象物の範囲を広げるためには、既存の光学分離剤とは異なった化学構造を持ち、そのことによって異なった光学分離特性を示す光学分離剤の開発を行う必要がある。
【0010】
N−置換プロリンの光学異性体を分離し得る光学活性高分子は未だ提案されておらず、この分取目的化合物に適応可能であり、更にクロマトグラフィーによる分取生産性を向上させるために、分離能の高い分取用光学異性体分離剤の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために、N−置換プロリンの光学異性体混合物の分離について、鋭意検討した結果、特定の光学活性ポリマレイミド誘導体を含有する分離剤を分取用光学異性体分離剤として用いた分離方法が極めて有効であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち本発明は、以下に示すとおりの光学活性N−置換プロリンの分取用光学異性体分離剤、及びそれを用いた光学活性N−置換プロリンの分離方法である。
【0013】
[1]下記一般式(1)
【0014】
【化1】


【0015】
[上記一般式(1)中、nは2〜10,000の数を表し、*印は不斉炭素を表す。]
で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、下記一般式(2)
【0016】
【化2】


【0017】
[上記一般式(2)中、nは2〜10,000の数を表し、*印は不斉炭素を表す。]
で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、下記一般式(3)
【0018】
【化3】


【0019】
[上記一般式(3)中、nは2〜10,000の数を表し、*印は不斉炭素を表す。]
で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、及び下記一般式(4)
【0020】
【化4】


【0021】
[上記一般式(4)中、nは2〜10,000の数を表し、*印は不斉炭素を表す。]
で示される光学活性ポリマレイミド誘導体からなる群より選ばれる光学活性ポリマレイミド誘導体を含むことを特徴とする光学活性N−置換プロリンの分取用光学異性体分離剤。
【0022】
[2]分取用光学異性体分離剤が、光学活性ポリマレイミド誘導体を担体に担持させたものであることを特徴とする上記[1]に記載の分取用光学異性体分離剤。
【0023】
[3]担体が有機多孔質担体又は無機多孔質担体であることを特徴とする上記[2]に記載の分取用光学異性体分離剤。
【0024】
[4]担体がシリカゲルであることを特徴とする上記[2]又は[3]に記載の分離剤。
【0025】
[5]担体の平均粒径が10μm〜500μmであることを特徴とする上記[2]乃至[4]のいずれかに記載の分取用光学異性体分離剤。
【0026】
[6]光学活性ポリマレイミド誘導体を担体に対して3〜20重量%担持させることを特徴とする上記[2]乃至[5]のいずれかに記載の分取用光学異性体分離剤。
【0027】
[7]上記[1]乃至[6]のいずれかに記載の分離剤が充填されていることを特徴とする光学活性N−置換プロリンの分取用充填カラム。
【0028】
[8]下記一般式(5)
【0029】
【化5】


【0030】
[上記一般式(5)中、Rはアセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基、メトキシカルボニル基、N−エトキシカルボニル基、2−プロペニルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、又はホルミル基を示す。*印は不斉炭素を表す。]
で示されるN−置換プロリンの光学異性体混合物と、上記[1]乃至[6]のいずれかに記載の分取用光学異性体分離剤とを接触させることを特徴とする光学活性N−置換プロリンの分離方法。
【0031】
[9]下記一般式(5)
【0032】
【化6】


【0033】
[上記一般式(5)中、Rはアセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基、メトキシカルボニル基、N−エトキシカルボニル基、2−プロペニルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、又はホルミル基を示す。*印は不斉炭素を表す。]
で示されるN−置換プロリンの光学異性体混合物を、上記[7]に記載の分取用充填カラムを用い、高速液体クロマトグラフィーにより分取を行うことを特徴とする光学活性N−置換プロリンの分離方法。
【0034】
[10]擬似移動床式クロマトグラフィー方式により分取を行うことを特徴とする上記[9]に記載の光学活性N−置換プロリンの分離方法。
【発明の効果】
【0035】
本発明の分取用光学異性体分離剤によれば、上記一般式(5)で示されるN−置換プロリンのラセミ体を容易かつ効率的に分離して光学活性なN−置換プロリンを得ることができる。
【0036】
また、従来の充填剤では、生産性向上のために用いる担体の粒径を大きくすると理論段数が低下し、光学活性化合物の充分な分離が得られない等の問題があったが、本発明の分取用光学異性体分離剤は、分取目的化合物に対して大きな分離係数(α値)を有するため、理論段数の低下が起こっても、光学異性体間の充分な分離を得ることができ、液体クロマトグラフィーによる分取法の生産性の向上が大いに期待できる。
【0037】
さらに、これまで工業的規模での液体クロマトグラフィーによる分取法は、従来の分取用光学異性体分離剤が非常に高価であるため、経済的な面から広く普及していないのが現状であった。しかしながら、前述のように本発明による分取用光学異性体分離剤は光学活性ポリマレイミド誘導体、担体ともに安価に入手することが可能であり、また製造方法も簡便なため、大量製造が可能であるため、工業的規模で利用において非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明の光学活性N−置換プロリンの分取用光学異性体分離剤は、上記一般式(5)で示されるN−置換プロリンの光学異性体混合物を分離するのに有効量の、上記一般式(1)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、上記一般式(2)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、上記一般式(3)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、及び上記一般式(4)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体からなる群より選ばれる光学活性ポリマレイミド誘導体を含有する。
【0039】
上記一般式(1)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体としては、特に限定するものではないが、例えば、(S,S)−ポリ[(S)−(−)−1−フェニルエチル−1−マレイミド]、(S,S)−ポリ[(R)−(−)−1−フェニルエチル−1−マレイミド]、(R,R)−ポリ[(S)−(−)−1−フェニルエチル−1−マレイミド]、(R,R)−ポリ[(R)−(−)−1−フェニルエチル−1−マレイミド]が挙げられる。
【0040】
上記一般式(2)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体としては、特に限定するものではないが、例えば、(S,S)−ポリ[(S)−(−)−1−シクロヘキシルエチル−1−マレイミド]、(S,S)−ポリ[(R)−(−)−1−シクロヘキシルエチル−1−マレイミド]、(R,R)−ポリ[(S)−(−)−1−シクロヘキシルエチル−1−マレイミド]、(R,R)−ポリ[(R)−(−)−1−シクロヘキシルエチル−1−マレイミド]が挙げられる。
【0041】
上記一般式(3)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体としては、特に限定するものではないが、例えば、(S,S)−ポリ{N−[(1S,2S)−2−ベンジルオキシシクロペンチル]−1−マレイミド}、(R,R)−ポリ{N−[(1S,2S)−2−ベンジルオキシシクロペンチル]−1−マレイミド}が挙げられる。
【0042】
上記一般式(4)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体としては、特に限定するものではないが、例えば、(S,S)−ポリ{N−[(1R,2R)−2−ベンジルオキシシクロペンチル]−1−マレイミド}、(R,R)−ポリ{N−[(1R,2R)−2−ベンジルオキシシクロペンチル]−1−マレイミド}が挙げられる。
【0043】
本発明において、上記一般式(1)〜(4)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体は、例えば、特開2001−106729号公報、特開2003−64054号公報、特開2004−346011号公報等に記載の方法に従って、該当する光学活性マレイミドモノマーを不斉アニオン重合することにより調製することができる。
【0044】
本発明の分取用光学異性体分離剤としては、例えば、上記一般式(1)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、上記一般式(2)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、上記一般式(3)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、及び上記一般式(4)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体からなる群より選ばれる光学活性ポリマレイミド誘導体そのもの、当該光学活性ポリマレイミド誘導体を何らかの担体に物理的に吸着させ担持したもの、当該光学活性ポリマレイミド誘導体を担体に化学的に結合させ固定化したもの等が挙げられる。これらのうち、分離剤の耐圧能力の向上、溶媒置換による膨潤、収縮の防止、分離条件の多様化、分離性能の向上等の目的のためには、上記一般式(1)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、上記一般式(2)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、上記一般式(3)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、及び上記一般式(4)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体からなる群より選ばれる光学活性ポリマレイミド誘導体を多孔質担体に物理的に吸着させ担持したものが特に好ましい。
【0045】
本発明において、多孔質担体としては、特に限定するものでないが、例えば、多孔質有機担体又は多孔質無機担体を使用することができる。
【0046】
多孔質有機担体としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリアクリル酸、ポリアリルアルコール、ポリアクリルアミド、架橋ポリスチレン等が挙げられる。また、多孔質無機担体としては、特に限定するものではないが、例えば、シリカゲル、珪藻土、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、酸化チタン、マグネシア、ポリシロキサン等が挙げられる。本発明においてはこれらのうちシリカゲルが特に好ましい。
【0047】
担体の平均粒径は、通常10μm〜500μmの範囲、好ましくは30μm〜200μmの範囲である。平均粒径が10.0μmよりも小さいとカラムに充填し、通液した際の運転圧が上昇する場合があり好ましくなく、一方、平均粒径が200μmよりも大きいと、理論段数が著しく低下し、分離不良を引き起こす場合がある。
【0048】
担体の平均細孔径は、通常1nm〜1μmの範囲、好ましくは10nm〜300nmの範囲であり、担体の平均比表面積は、通常1m/g〜1000m/gの範囲、好ましくは10m/g〜300m/gの範囲である。
【0049】
本発明において、担体としてシリカゲルを使用する場合には、そのまま用いても良いが、必要に応じてシリカゲル表面の残存シラノールをアルキルシラン等により処理してから用いても良い。
【0050】
本発明において、上記した光学活性ポリマレイミド誘導体を担体に担持する方法としては、特に限定するものではないが、上記一般式(1)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、上記一般式(2)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、上記一般式(3)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体、及び上記一般式(4)で示される光学活性ポリマレイミド誘導体からなる群より選ばれる光学活性ポリマレイミド誘導体の溶液を担体に塗布してから、溶剤を留去する方法によって好適に行うことができる。ポリマーをシリカゲルの細孔内部まで均一に担持するため、必要に応じて光学活性ポリマレイミド誘導体の所要量の溶解した溶液を複数に分割し担持しても良い。
【0051】
光学活性ポリマレイミド誘導体を担持する際に使用可能な溶剤としては、光学活性ポリマレイミド誘導体が溶解可能な溶剤であればあらゆるものが適用可能であり、特に限定するものではないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられる。
【0052】
また、光学活性ポリマレイミド誘導体の担体に対する担持量比としては、用いる担体の種類、物性により異なるため、特に限定するものではないが、通常1wt%〜50wt%の範囲、好ましくは3wt%〜20wt%の範囲である。担持量比が3%未満であると、光学分割しようとする光学異性体混合物の種類、濃度によっては分離が不十分になるおそれがあり、担持量比が20%を超えると、後述する分取用充填カラムにおける理論段数の低下を引き起こす場合がある。
【0053】
本発明においては、上記一般式(5)で示されるN−置換プロリンの光学異性体混合物を本発明の分取用光学活性分離剤と接触させることにより、その光学活性体が分取される。
【0054】
本発明の上記一般式(5)で示されるN−置換プロリンとしては、特に限定するものではないが、例えば、N−アセチルプロリン、N−トリフルオロアセチルプロリン、N−ベンゾイルプロリン、N−メトキシカルボニルプロリン、N−エトキシカルボニルプロリン、N−2−プロペニルオキシカルボニルプロリン、N−ベンジルオキシカルボニルプロリン、N−t−ブトキシカルボニルプロリン、N−9−フルオレニルメトキシカルボニルプロリン、N−ホルミルプロリン等が挙げられる。
【0055】
本発明において、上記一般式(5)で示されるN−置換プロリンの光学異性体混合物の分離方法としては、例えば、液体クロマトグラフィー、超臨界クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動等のクロマトグラフィー法や、膜分離による光学異性体分離に適用可能であるが、本発明の分取用光学異性体分離剤を、ガラス製、金属製等のカラムに充填した分取用充填カラムを用いて、液体クロマトグラフィー法へ応用することが好ましい。本発明のN−置換プロリンを液体クロマトグラフィーで分離する方法としては、例えば、本発明の分離剤を充填した分取用充填カラムを用い、通常はヘキサン及び2−プロパノールからなる溶剤を用いて、順相系での分離が可能である。
【0056】
カラムとしては、例えば、光学純度測定を目的に使用される液体クロマトグラフィーの分析用カラムや、数mg〜数kgの光学活性体取得を目的とする単カラム方式の液体クロマトグラフィーの分取用カラム等が挙げられる。本発明の分離剤のカラムへの充填に当たっては、溶剤に分離剤を分散させて、ポンプを用い充填しても良いし、乾燥させた分離剤をそのままカラムに充填しても良い。
【0057】
本発明において、上記一般式(5)で示されるN−置換プロリンの分離量については、用いる光学活性ポリマレイミド誘導体の種類、光学活性ポリマレイミド誘導体の担持量、担体の種類、担体の粒子径により異なるが通常、光学活性ポリマレイミド誘導体が担持された担体1g当たり0.01mg〜40mgの分離が可能である。さらに必要に応じて、用いる光学活性ポリマレイミド誘導体の種類を選択することにより、所望する光学活性体を先に溶出させることも可能である。
【0058】
また、本発明の分取用光学異性体分離剤は、擬似移動床方式に代表される連続式液体クロマトグラフィーの分取用カラム等においても使用可能である。更に、光学異性体混合物を分離するためには、超臨界流体を移動相とする超臨界流体クロマトグラフィーを用いることも可能である。
【実施例】
【0059】
以下本発明を調製例、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0060】
(旋光度の測定)
HORIBA製SEPA−200を使用した。
【0061】
(平均分子量の測定)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、高速GPCシステム)によりポリスチレン換算で算出した。
【0062】
調製例1 光学活性(S,S)−ポリ[(S)−(−)−1−フェニルエチル−1−マレイミド]の調製:
攪拌機を備えた2Lの丸底3つ口フラスコに、ジエチル亜鉛2.21g(17.9mmol)、(−)−スパルテイン5.03g(21.4mmol)及び乾燥トルエン1.6Lを仕込み、攪拌しながら−13℃で30分攪拌を行った後、この溶液に特開2002−88121号公報に記載の方法で得られた(S)−N−α−メチルベンジルマレイミド60.0g(298mmol)を添加、さらに同温度で72時間反応を行った。
【0063】
反応終了後、反応液を5Lのメタノールに投入し、次いで析出物をろ取した。得られた赤色固体を1N塩酸で洗浄、次いで水洗した後、室温度で減圧下、乾燥することにより目的物の光学活性(S,S)−ポリ[(S)−(−)−1−フェニルエチル−1−マレイミド]60.0gを白色固体として得た(収率100%)。
【0064】
数平均分子量(Mn)=20.0×10,Mw/Mn=9.45
比旋光度[α]43525=297.0°(C=1.0,CHCl,l=10cm)。
【0065】
調製例2 光学活性(S,S)−ポリ[(S)−(+)−1−シクロヘキシルエチル−1−マレイミド]の調製:
攪拌機を備えた1Lの丸底3つ口フラスコに、ジエチル亜鉛2.21g(17.9mmol)、(−)−スパルテイン5.03g(21.4mmol)及び乾燥トルエン630mlを仕込み、攪拌しながら−11℃で30分攪拌を行った後、この溶液に特開2003−064054号公報に記載の方法に従って調製された(S)−(+)−1−シクロヘキシルエチル−1−マレイミド60.0g(298mmol)を添加、さらに同温度で96時間反応を行った。
【0066】
反応終了後、反応液を5Lのメタノールに投入し、次いで析出物をろ取した。得られた赤色固体を1N塩酸で洗浄、次いで水洗した後、室温度で減圧下、乾燥することにより目的物の光学活性(S,S)−ポリ[(S)−(+)−1−シクロヘキシルエチル−1−マレイミド]58.8gを白色固体として得た(収率98%)。
【0067】
数平均分子量(Mn)=28.0×10,Mw/Mn=3.25
比旋光度[α]43525=170.0°(C=1.0,CHCl,l=10cm)。
【0068】
調製例3 光学活性(S,S)−ポリ{N−[(1S,2S)−2−ベンジルオキシシクロペンチル]−1−マレイミド}の調製:
攪拌機を備えた2Lの丸底3つ口フラスコに、ジエチル亜鉛2.21g(17.9mmol)、(−)−スパルテイン5.03g(21.4mmol)及び乾燥トルエン950mlを仕込み、攪拌しながら−13℃で30分攪拌を行った後、この溶液を特開2004−346011号公報に記載の方法で得られたN−[(1S,2S)−2−ベンジルオキシシクロペンチル]マレイミド60.0g(298mmol)を添加、さらに同温度で168時間反応を行った。
【0069】
反応終了後、反応液を5Lのメタノールに投入し、次いで析出物をろ取した。得られた赤色固体を1N塩酸で洗浄、次いで水洗した後、室温度で減圧下、乾燥することにより目的物の光学活性(S,S)−ポリ{N−[(1S,2S)−2−ベンジルオキシシクロペンチル]−1−マレイミド}55.2gを白色固体として得た(収率92%)。
【0070】
数平均分子量(Mn)=21.0×10,Mw/Mn=10.0
比旋光度[α]43525=193.4°(C=1.0,CHCl,l=10cm)。
【0071】
実施例1 光学活性(S,S)−ポリ[(S)−(−)−1−フェニルエチル−1−マレイミド]15%担持シリカゲルの調製:
100mlのナス型フラスコに、調製例1で調製した光学活性ポリ[(S)−(−)−1−フェニルエチル−1−マレイミド]0.75g及びクロロホルム50ml仕込み溶解させ、溶解液の25mlを、別の100mlのナス型フラスコに準備したシリカゲル(平均粒径30μm、平均細孔径30nm)4.25gに添加し、次いでロータリーエバポレーターでクロロホルムを減圧留去した。続いて残りのポリマー溶解液25mlを同様に添加し、ロータリーエバポレーターでクロロホルムを減圧留去することにより、目的物の光学活性(S,S)−ポリ[(S)−(−)−1−フェニルエチル−1−マレイミド]15%担持シリカゲル5.0gを得た。
【0072】
実施例2 光学活性(S,S)−ポリ[(S)−(−)−1−シクロヘキシルエチル−1−マレイミド]12.5%担持シリカゲルの調製:
100mlのナス型フラスコに、調製例2で調製した光学活性ポリ[(S)−(−)−1−シクロヘキシルエチル−1−マレイミド]0.625g及びクロロホルム50ml仕込み溶解させ、溶解液の25mlを、別の100mlのナス型フラスコに準備したシリカゲル(平均粒径70μm、平均細孔径100nm)4.375gに添加し、次いでロータリーエバポレーターでクロロホルムを減圧留去した。続いて残りのポリマー溶解液25mlを同様に添加し、ロータリーエバポレーターでクロロホルムを減圧留去することにより、目的物の光学活性(S,S)−ポリ[(S)−(−)−1−シクロヘキシルエチル−1−マレイミド]12.5%担持シリカゲル5.0gを得た。
【0073】
実施例3 光学活性(S,S)−ポリ{N−[(1S,2S)−2−ベンジルオキシシクロペンチル]−1−マレイミド}7.5%担持シリカゲルの調製:
100mlのナス型フラスコに、調製例3で調製した光学活性ポリ{N−[(1S,2S)−2−ベンジルオキシシクロペンチル]マレイミド}0.375g及びクロロホルム50ml仕込み溶解させ、溶解液の25mlを、別の100mlのナス型フラスコに準備したシリカゲル(平均粒径50μm、平均細孔径100nm)4.625gに添加し、次いでロータリーエバポレーターでクロロホルムを減圧留去した。続いて残りのポリマー溶解液25mlを同様に添加し、ロータリーエバポレーターでクロロホルムを減圧留去することにより、目的物の光学活性(S,S)−ポリ{N−[(1S,2S)−2−ベンジルオキシシクロペンチル]−1−マレイミド}7.5%担持シリカゲル5.1gを得た。
【0074】
実施例4 光学活性(S,S)−ポリ[(S)−(−)−1−フェニルエチル−1−マレイミド]15%担持シリカゲル充填カラムの調製:
実施例1と同じ方法で得られた光学活性(S,S)−ポリ[(S)−(−)−1−フェニルエチル−1−マレイミド]15%担持シリカゲル15gを2−プロパノール60mlに分散させた後、ステンレス製の4.6mmID×250mmLのカラムに中圧ポンプを用い、圧力3.1MPaで充填した。得られたカラムの理論段数は1200段であった。
【0075】
理論段数の測定に当たっては、溶離液としてn−ヘキサン/2−プロパノール=90/10(vol/vol)を用い、流速3ml/minにおいて、トルエンの溶出により測定した。なお、理論段数は下式により算出した(以下同様)。
【0076】
理論段数(N)=5.54×[Tr/(W1/2)]
Tr=保持時間(sec)
1/2=半値幅(mm)。
【0077】
実施例5 光学活性(S,S)−ポリ[(S)−(−)−1−シクロヘキシルエチル−1−マレイミド]12.5%担持シリカゲル充填カラムの調製:
実施例2と同じ方法で得られた光学活性(S,S)−ポリ[(S)−(−)−1−シクロヘキシルエチル−1−マレイミド]12.5%担持シリカゲル600gを、ガラス製の25mmID×500mmLのカラムに粉末で充填した。次いで、中圧ポンプを用い、圧力4.0MPaで2−プロパノールを4時間通液した後、カラム入り口に発生した空隙を充填ゲルと同じゲルで埋め戻した。得られたカラムの理論段数は2400段であった。
【0078】
実施例6 光学活性(S,S)−ポリ{N−[(1S,2S)−2−ベンジルオキシシクロペンチル]−1−マレイミド}7.5%担持シリカゲル充填カラムの調製:
実施例3で得られた光学活性(S,S)−ポリ{N−[(1S,2S)−2−ベンジルオキシシクロペンチル]マレイミド}7.5%担持シリカゲル600gを2−プロパノール2.4Lに分散させた後、ガラス製の25mmID×500mmLのカラムに中圧ポンプを用い、圧力3.1MPaで充填した。得られたカラムの理論段数は1800段であった。
【0079】
実施例7 N−ベンジルオキシカルボニルプロリンの光学分割及び光学活性体の分取:
実施例4で得られた、光学活性[(S)−(−)−1−フェニルエチル−1−マレイミド]15%担持シリカゲル充填カラム(25mmID×500mmL)を中圧液体クロマトグラフィー装置(東ソー製マルチポンプCCPP−D、紫外可視検出器UV−8020)に取り付け、室温中、移動相にn−ヘキサン/イソプロパノール=90/10(vol/vol)を30ml/minの流速で通液した。該カラムにN−ベンジルオキシカルボニルプロリンのラセミ体(S体/R体=50/50;光学純度=0%ee)の濃度128mg/ml(移動相と同じn−ヘキサン/イソプロパノール混合溶媒)の溶液を3ml注入することにより光学分割処理を行った。クロマトグラムのピーク検出の結果、N−ベンジルオキシカルボニルプロリンをk1’=2.02、k2’=2.91、α=4.46にて分離することができ、それぞれの画分を分取した。分取したN−ベンジルオキシカルボニルプロリンのS体画分及びR体画分をそれぞれロータリーエバポレーターを用いて減圧下に移動相を留去することにより、N−ベンジルオキシカルボニル−D−プロリン191.7mg(光学純度=99.9%ee)、及びN−ベンジルオキシカルボニル−L−プロリン191.0mg(光学純度=99.7%ee)を得た。なお、各分離データは下式により算出した。
【0080】
k1’:最初に溶出するエナンチオマーの保持係数
k1’=(t1−t0)/t0
(t0は1,3,5−トリ−tert−ブチルベンゼンの値を使用)
k2’:2番目に溶出するエナンチオマーの保持係数
k2’=(t2−t0)/t0
(t0は1,3,5−トリ−tert−ブチルベンゼンの値を使用)
α :分離係数
α=k2’/k1’。
【0081】
実施例8 N−アセチルプロリンの光学分割及び光学活性体の分取:
実施例4で調製したカラムを用い、N−アセチルプロリン13mgを溶解させたヘキサン/2−プロパノール溶液(90/10 vol/vol、200μL)を注入し、ヘキサン/2−プロパノール=90/10で溶出させ、N−アセチルホモ−D−フェニルアラニン5.2mg(光学純度99.2%ee)及びN−アセチルホモ−L−フェニルアラニン4.3mg(光学純度98.5%ee)を得た。
【0082】
実施例9 N−エトキシカルボニルプロリンの光学分割及び光学活性体の分取:
実施例5で調製したカラムを用い、実施例7と同じ操作でN−エトキシカルボニルプロリン140mgを分離し、N−エトキシカルボニル−D−プロリン52mg(98.3%ee)及びN−エトキシカルボニル−L−プロリン48mg(97.8%ee)を得た。
【0083】
比較例:
セルロース−3,5−ジメチルフェニルカルバメートをキラル固定相に用いた市販カラム(ダイセル化学工業(株)製、商品名「CHIRALCEL OD−H」、4.6mmID×250mmL)を用い、移動相:n−ヘキサン/2−プロパノール=90/10(vol/vol)、流速:1.0ml/minの条件で、N−ベンジルオキシカルボニルプロリンの分離を行った。N−ベンジルオキシカルボニルプロリンのカラムへの吸着力が強いため、クロマトグラムのピーク検出においてはピークが全く検出できなかった。

【出願人】 【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
【出願日】 平成18年7月13日(2006.7.13)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−19212(P2008−19212A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−192793(P2006−192793)