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【発明の名称】 (trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンの製造方法
【発明者】 【氏名】北村 光晴

【氏名】西内 潤也

【氏名】伏見 則夫

【要約】 【課題】液晶を含む電子材料用途及び医農薬用途といった機能化学品向けに好適に用いられる(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンを選択的に合成し、容易に高純度の製品が取得可能な工業的製造方法を提供する。

【構成】フッ化水素および三フッ化ホウ素の存在下、(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体混合物を異性化することを特徴とする、高純度の(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンの製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ化水素および三フッ化ホウ素の存在下、式(1)で表される(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体混合物を異性化することを特徴とする、高純度の式(2)で表される(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンの製造方法。
【化1】



(式(1)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基である。)
【化2】



(式(2)中、Rは前記と同様である。)
【請求項2】
(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼン1モルに対してフッ化水素2モル以上30モル以下を使用する、請求項1に記載の(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンの製造方法。
【請求項3】
(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼン1モルに対して三フッ化ホウ素0.1モル以上2モル以下を使用する、請求項1または請求項2に記載の(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンの製造方法。
【請求項4】
異性化反応温度が−50℃から30℃の範囲であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンの製造方法。
【請求項5】
式(2)で表される(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼン中の異性体比がcis−体/trans−体モル比0.1未満である請求項1〜4のいずれかに記載の(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶を含む電子材料用途及び医農薬用途といった機能化学品向けに好適に用いられる(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シクロヘキシルベンゼン誘導体は液晶化合物として知られている(非特許文献1参照)。例えば4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンズアルデヒドや(非特許文献2参照)、4−(trans−4−プロピルシクロヘキシル)ベンズアルデヒド等が使用されている(特許文献1参照)。シクロヘキシルベンゼン誘導体には、cis−シクロヘキシルベンゼン誘導体(cis−体)とtrans−シクロヘキシルベンゼン誘導体(trans−体)という立体異性体が存在するが、液晶用途においてはcis−体は液晶性を示さないため、液晶性を有するtrans−体のみが使用される。
【0003】
一般にシクロヘキシルベンゼン誘導体はcis−体とtrans−体の混合物として製造されるため、混合物よりtrans−体を分離する方法が必要となる。通常混合物からのtrans−体の分離方法としては、晶析によりtrans−体を単離する方法が用いられるが、この方法は効率が悪くコスト高になる。
【0004】
一方、cis−体をtrans−体に異性化して、trans−体を効率良く製造する方法も検討されている。例えば特許文献2及び特許文献3にはt−ブトキシカリウムを用い、cis−体をtrans−体に異性化してtrans−体を得る方法が記載されている。しかし、この方法では多量のt−ブトキシカリウムを使用するため、反応終了後にアルカリ廃液処理の負荷が大きいという問題が生じる。
【0005】
また、塩化アルミニウムの様なルイス酸とハロゲン化アルキル化合物の存在下でcis−体をtrans−体に異性化する方法が示されている(特許文献4参照。)。この方法では反応後の塩化アルミニウム処理が問題になる上、溶媒として環境負荷の大きい塩化メチレン等を使用しなくてはならない。
【0006】
また、ヘテロポリ酸を用いてcis−体をtrans−体に異性化する方法が示されている(特許文献5参照。)。この方法は反応に長時間を要する上、必ずしも反応効率が高いというわけではない。
【0007】
さらに、トリフルオロメタンスルホン酸を用いてcis−体をtrans−体に異性化する方法が示されている(特許文献6参照。)。この方法では高価なトリフルオロメタンスルホン酸を多量に使用するため経済的では無く、抽出溶媒として環境負荷の大きい塩化メチレンを使用するといった問題もある。
【0008】
【非特許文献1】季刊化学総説22「液晶の化学」、後藤泰行著、学会出版センター刊、1994年4月25日、p40〜59
【非特許文献2】HELVETICA CHIMICA ACTA Vol.68(1985)p1444〜1452
【特許文献1】特開平3−141274号公報
【特許文献2】特開平7−278548号公報
【特許文献3】特開平9−278687号公報
【特許文献4】特開平9−100286号公報
【特許文献5】特開平7−41435号公報
【特許文献6】特開2004−256490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、かかる状況に鑑み、液晶を含む電子材料用途及び医農薬用途といった機能化学品向けに好適に用いられる(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンを選択的に合成し、容易に高純度の製品が取得可能な工業的製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体混合物を原料とし、フッ化水素および三フッ化ホウ素の共存下に反応させることにより、(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼン中のcis−体からtrans−体への異性化反応が進行すること、また蒸留等の簡単な精製工程により容易に高純度の(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンが得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0011】
即ち本発明は、フッ化水素および三フッ化ホウ素の存在下、式(1)で表される(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体混合物を異性化することを特徴とする、高純度の式(2)で表される(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンの製造方法に関するものである。
【化1】



(式(1)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基である。)
【化2】



(式(2)中、Rは前記と同様である。)
【発明の効果】
【0012】
本発明の方法によれば(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体混合物をフッ化水素及び三フッ化ホウ素の共存下で異性化反応させることにより選択的かつ容易に高純度の(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンを製造することができる。該化合物は例えば液晶等の電子材料用途及び医農薬用途において有用な化合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は式(1)に示す(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体混合物を無水フッ化水素(以下HF)及び三フッ化ホウ素(以下BF3)の共存下に反応させることにより、高純度の式(2)に示す(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンを製造する方法に関するものである。式(1)及び式(2)中のRは炭素数1〜10のアルキル基である。
【0014】
炭素数1〜10のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基があげられる。中でもメチル基、エチル基、n-プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基が好ましく、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基がさらに好ましい。
【0015】
本発明において、式(2)に示す(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンを製造する際、HFとBF3を触媒として使用し、式(1)に示す(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼン中のcis−体をtrans−体に異性化させることが特に重要である。この製造方法により、目的とする構造の式(2)に示す(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンを得ることができる。また、触媒として使用したHFおよびBF3は揮発性が高いため、回収し再利用することができる。このことから使用した触媒を廃棄する必要がなく、経済的に非常に優れると同時に環境に対する負荷も軽減される。
本発明において用いる(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体混合物は、Journal of organic chemistry of the USSR、vol.19、1479〜1483頁、1983年記載の方法により、シクロヘキセン、脂肪酸クロライド、ベンゼンを原料としてAlCl共存下で反応させた後、得られた4−アルカノイル−1−フェニルシクロヘキサンをウォルフ−キシュナー還元することで製造できる。あるいはブロモベンゼンとマグネシウムよりグリニャール試薬を調製し、4−アルキルシクロヘキサノンと反応させた後、脱水、水素化する方法によっても製造できる(特開平7−278548号公報および特開平9−100286号公報参照。)。(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体モル比は0.1以上のものが得られる。
【0016】
本発明方法で用いるHFとしては、実質的に無水のものが好ましい。式(1)に示す(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体混合物に対するHFの量は、式(1)に示す(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体混合物1モルに対し2〜30モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは2〜20モルの範囲である。これよりHFが少ない場合には、効率的に異性化反応を進行させることが出来ず、HFが多すぎると反応器やHF回収の工程が大きくなり生産効率の点で好ましくない。式(1)に示す(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体混合物に対するBF3の量は、式(1)に示す(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体混合物1モルに対し0.1〜2モルが好ましく、さらに好ましくは0.1〜1モルの範囲である。これよりBF3が少ないと異性化反応が極端に遅くなり、またこれより多い量は不必要である。
【0017】
本発明における反応温度は−50℃から30℃の範囲で実施するのが好ましく、更に好ましくは−30℃〜20℃の範囲が推奨される。これより高温では式(1)に示す(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体混合物や式(2)に示す(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンの分解等の副反応が激しく起こり、またこれより低温では異性化速度の低下をきたし好ましくない。
【0018】
式(1)に示す(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体混合物をHFとBF3の共存下、異性化させる反応は、無溶媒で行っても良いし、溶媒を用いて行っても良い。使用する溶媒としては反応に不活性なもの、例えばn−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素が好ましい。溶媒を使用する場合には式(1)に示す(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体混合物1重量部に対し0.5〜20重量部の使用が好ましい。
【0019】
本発明方法における反応形式は、液相と気相が充分に混合できる撹拌方法であれば特に制限はなく、回分式,半回分式,連続式等いずれの方法も採用できる。
例えば、回分式では、電磁撹拌装置付オートクレーブに、式(1)に示す(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体混合物、無水HFおよびBF3を仕込み、内容物を撹拌し液温を−50℃〜30℃に保った後、氷の中に内容物を採取し油層を得てガスクロマトグラフィーで分析し式(2)に示す(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンの生成を確認できる。
例えば、半回分式では、電磁撹拌装置付オートクレーブに、無水HFおよびBF3を仕込み、内容物を撹拌し液温を−50℃〜30℃に設定し、温度を一定に保つような状態にした後、溶媒に溶かした式(1)に示す(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体混合物を供給する。原料溶液を供給後そのままの状態を一定時間保った後に、氷の中に内容物を採取し油層を得てガスクロマトグラフィーで分析し、式(2)に示す(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンの生成を確認できる。
例えば連続式では、まず始めに電磁撹拌装置付オートクレーブに、無水HFおよびBF3を仕込み、内容物を撹拌し液温を−50℃〜30℃に設定し、温度を一定に保つような状態にした後、(4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンのcis−体/trans−体混合物を供給する半回分式の反応を行う。さらに続けて、無水HFおよびBF3も供給開始し、反応液を氷水の中に連続的に抜き出す。反応液がオートクレーブ中に滞留する時間は、0.3〜5時間が好ましい。これよりも滞留時間が短いと反応が十分に進まない、またこれよりも長いと装置が大きくなり効率が悪い。得られた油層をガスクロマトグラフィーで分析し、式(2)に示す(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンの生成を確認できる。
【0020】
異性化反応によって得られる反応生成液は高純度の(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼン・HF−BF3錯体のHF溶液であり、加熱することにより高純度の(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンとHF−BF3の結合が分解され、HF,BF3を気化分離し、回収、再利用することができる。この錯体の分解操作はできるだけ迅速に進めて生成物の加熱変質、異性化等を避ける必要がある。錯体の熱分解を迅速に進めるためには、例えばHF−BF3に不活性な溶媒(例えばヘプタン等の飽和炭化水素やベンゼンなどの芳香族炭化水素)の還流下で分解するのが好ましい。熱分解により得られた粗生成物は蒸留することにより容易に精製することができ、cis−体/trans−体モル比0.1未満の高純度(trans−4−アルキルシクロヘキシル)ベンゼンを得ることができる。
【実施例】
【0021】
以下に、実施例を以って本発明の方法を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<ガスクロマトグラフィー分析条件>
ガスクロマトグラフィーは、島津製作所製GC−17AとキャピラリーカラムとしてAgilent Technologies製 DB−WAX(0.32mmφ×30m)を用いた。100℃で60分保持後、100℃から220℃まで5℃/min.で昇温し、6分保持した。
<製造例1>
<(4−n−プロピルシクロヘキシル)ベンゼン(cis−体/trans−体モル比1.36)の合成方法>
還流冷却器を備えた内容積2000mLの三つ口フラスコ中に600mLのヘキサンと160gの無水AlClを混合し−60℃まで冷却した後、プロピオン酸クロライド110gとシクロヘキセン82.2gを添加し、3.5時間攪拌しつつ−40℃まで昇温させた。溶剤をデカンテーションにより除いた後、残渣を冷ヘキサンで洗浄した。得られた1−プロピオニル−2−クロロシクロヘキサンにベンゼン500mLと追加のAlCl 60gとを加え、45℃で3.5時間攪拌した。室温まで反応液を冷却し、氷中に採取し、油層を分離、濃縮することにより(4−プロピオニルシクロヘキシル)ベンゼン130gを得た。これを1200mLのジエチレングリコールと水酸化カリウム225g、80%ヒドラジン水和物310gと混合し、1時間還流させた。その後フラスコを220℃まで昇温し、揮発物を留去した。更に一時間還流させ、室温まで冷却後水中にあけヘキサンで油層を抽出した。水、5%硫酸、80%硫酸で洗浄、乾燥した後、得られた油層を蒸留精製し、(4−n−プロピルシクロヘキシル)ベンゼン85gを得た。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、(4−n−プロピルシクロヘキシル)ベンゼン純度98.0%、cis−体/trans−体モル比1.36であった。
<製造例2>
<(4−n−ペンチルシクロヘキシル)ベンゼン(cis−体/trans−体モル比0.67)の合成方法>
還流冷却器を備えた内容積2000mLの三つ口フラスコ中に700mLの無水THFと削り状マグネシウム27gを加えた。ここにブロモベンゼン160gを穏やかな還流が持続する速度で滴下した。滴下終了後、更に1時間攪拌した。これに4−n−ペンチルシクロヘキサノン(東京化成製)170gのTHF100mL溶液を50℃で加えた。2時間還流後、反応生成液を室温に冷却し、塩化アンモニウム水溶液にあけ、ベンゼンで抽出した。このベンゼン溶液にp−トルエンスルホン酸1gを加え、還流しながら発生してくる水分を分離除去した。水が留出しなくなったところで室温に冷却した。反応混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて塩化ナトリウム水溶液で洗浄、乾燥、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して(4−n−ペンチルシクロヘキセニル)ベンゼンを得た。これを酢酸エチル1000mLに溶かし、5%Pd/C 2gを触媒として、0.5MPaで水素化した。理論量の水素が消費された後、触媒を濾別し、濾液を濃縮して(4−n−ペンチルシクロヘキシル)ベンゼン220gを得た。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、(4−n−ペンチルシクロヘキシル)ベンゼン純度99.2%、cis−体/trans−体モル比0.67であった。
【0022】
<実施例1>
温度を制御できる内容積500mlの電磁撹拌装置付オートクレーブ(SUS316L製)に、無水HF 74.3g(3.71モル)、BF3 5.05g(0.074モル)を仕込み、内容物を撹拌し液温を−30℃に保ったまま、製造例1で得た(4−n−プロピルシクロヘキシル)ベンゼン50.0g(0.248モル;cis−体/trans−体モル比1.36)とn−ヘプタン50.0gとを混合した原料を供給し、0.5時間保った後、氷の中に内容物を採取し、中和処理をして得られた油層をガスクロマトグラフィーで分析したところ、(trans−4−n−プロピルシクロヘキシル)ベンゼン純度91.0%、cis−体/trans−体モル比0.05であった。
【0023】
<実施例2>
(異性化反応)
ナックドライブ式攪拌機と上部に3個の入口ノズル、底部に1個の抜き出しノズルを備え、ジャケットにより内部温度を制御できる内容積10リットルのステンレス製オートクレーブに、HF 1793g(89.6モル)、BF3 122.0g(1.8モル)を導入し、内容物を撹拌し液温を−30℃に保ったまま、製造例1で得た(4−n−プロピルシクロヘキシル)ベンゼン1209g(6.0モル;cis−体/trans−体モル比1.36)とn−ヘプタン1209gとを混合した原料をオートクレーブ上部より約90分かけて供給し異性化反応を行った。得られた反応液の一部を氷水中にサンプリングし、中和処理をして得られた油層をガスクロマトグラフィーで分析して反応成績を求めたところ、(trans−4−n−プロピルシクロヘキシル)ベンゼン純度92.5%、cis−体/trans−体モル比0.05であった。
(錯体熱分解)
内径76cm、長さ176cmの蒸留塔にテフロン(登録商標)製ラシヒリングを充填し、HF/BF3/(trans−4−n−プロピルシクロヘキシル)ベンゼン錯体の分解を行った。蒸留塔の中段に供給する錯体溶液の供給流量は410g/Hとし、分解助剤としてベンゼンを蒸留塔の下段に500g/H供給した。塔内圧力は0.4MPa、塔底温度140℃、塔底液抜液量544g/Hであった。塔頂部より触媒であるHFとBF3を回収し、塔底部より(trans−4−n−プロピルシクロヘキシル)ベンゼンを大量のベンゼンと共に抜出した。塔底部の無機フッ素分/(trans−4−n−プロピルシクロヘキシル)ベンゼンは221ppm、錯体分解率は99.9%であった。(trans−4−n−プロピルシクロヘキシル)ベンゼン純度は95.5%であった。
(蒸留精製)
得られた錯体塔底液を2質量%NaOH水溶液で中和水洗後、理論段数20段の精留塔を用いて精留を行ったところ、主留部分として純度99.2%の(trans−4−n−プロピルシクロヘキシル)ベンゼン 1150gが得られた。
【0024】
<実施例3>
製造例2で得た(4−n−ペンチルシクロヘキシル)ベンゼン57.0g(0.248モル;cis−体/trans−体モル比0.67)とn−ヘプタン57.0gとの混合物を原料として仕込んだ以外は、実施例1と同様にして異性化反応と反応液の処理を行った。得られた油層をガスクロマトグラフィーで分析したところ、(trans−4−n−プロピルシクロヘキシル)ベンゼン純度90.5%、cis−体/trans−体モル比0.05であった。
【出願人】 【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】 【識別番号】100117891
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 隆


【公開番号】 特開2008−13463(P2008−13463A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184729(P2006−184729)