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【発明の名称】 テトラヒドロピランを反応溶媒とするアルコール化合物の製造方法
【発明者】 【氏名】安田 浩

【氏名】前田 喜彦

【要約】 【課題】水素化アルミニウムリチウムなどの水素化アルミニウム化合物を用いた有機化合物の還元反応における反応溶媒、生成物の分離などの課題を解決する。

【構成】本発明のアルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸クロライド化合物、オキシラン化合物等の有機化合物の還元方法において、テトラヒドロピランと水素化アルミニウムリチウムなどの水素化アルミニウム化合物からなる組成物を用いることにより、反応溶媒と抽出溶媒を同一のものとすることができるため、反応工程の簡素化、エネルギーコストの低減などが実現できるようになる。また、溶媒として毒性の低いテトラヒドロピランを用いることにより、生体への安全性も高まる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】


(式中、MはX価の陽イオンとなり得る金属または原子団を表し、Xは1〜3の整数を表す。)で示される化合物とテトラヒドロピランからなる組成物。
【請求項2】
式(1)で表される化合物がNaAlH4である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
式(1)で表される化合物がMg(AlH42である請求項1記載の組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の組成物中で、アルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸クロライド化合物を還元したのち水を加えてテトラヒドロピラン中に反応生成物であるアルコール化合物を回収することを特徴とするアルコール化合物の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物中で、アルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸クロライド化合物を還元したのち酸性水溶液を加えてテトラヒドロピラン中に反応生成物であるアルコール化合物を回収する請求項4に記載のアルコール化合物の製造方法。
【請求項6】
酸性水溶液中の酸がプロトン酸である請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
酸性水溶液中の酸がリンを含む酸である請求項5または6に記載の製造方法。
【請求項8】
酸性水溶液中の酸がリン酸及び/またはリン酸塩を含む請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
水層のpHが5以下であることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)などの水素化アルミニウム化合物とテトラヒドロピランからなる組成物、該組成物でアルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸クロライド化合物、オキシラン化合物を還元してアルコール化合物を製造する方法、及び還元後の溶液に水または酸性水溶液を加えて、生成したアルコール化合物を効率よく単離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)は簡便かつ強力な還元剤として、広範囲な有機化合物の還元反応に用いられてきた(有機合成化学協会誌,52巻,p616(1994):非特許文献1)。
水素化アルミニウムリチウムは湿気に鋭敏で水と激しく反応するので、通常は有機化合物や塩類を適度に溶解させた非プロトン性溶媒中を用いる。中でも、耐塩基性をもつエーテル系溶媒が好ましく使用されている。このようなエーテル系の溶媒としてはエーテル、テトラヒドロフラン、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)などが用いられる。
【0003】
しかし、エーテルは低沸点の特殊引火物であり麻酔性が高く、安全管理上、製造プロセスにおいて溶媒として用いるには問題がある。
【0004】
また、水素化アルミニウムリチウムの還元反応においては反応後、水を加えて過剰のヒドリドを分解し、同時に生成物を有機層に、金属塩を水層に分液する必要がある。そのため、水と混和するテトラヒドロフランまたはジグライムを溶媒として用いた場合には、分離が困難であり、生成したアルコール等の回収が難しい。
また、反応液を濃縮し、抽出溶媒を加えることによって反応により生成したアルコール化合物を得る場合には、高沸点のジグライム、ジエチレングリコールおよび蒸発潜熱の高い水を留去し、さらに反応溶媒と異なる抽出溶媒を用いなければならないため、反応工程の煩雑化やエネルギーコストが掛かる点が問題となる。
【0005】
水素化アルミニウムリチウムはテトラヒドロピラン中でも使用することができるが、エポキシ樹脂に含まれる不純物の塩素の除去(特開平1−108218号公報:特許文献)、ポリメタクロレイン中の不純物のオキシム基の還元分解(Soedineniya,Seria A, 11 p2049 (1969):非特許文献2)などの限られた例について知られているだけである。
【0006】
また、反応後に水を加えて生成した水酸化アルミニウムは、ゾルゲル状の物質として析出するため、反応溶媒からの分離が困難である。
水酸化アルミニウムの分離には通常ろ過が用いられるが、ゾルゲル状の水酸化アルミニウムはろ過性が悪く、しばしろ過器の目詰まりを起こし、生産性を低下させる。また、ゾルゲル状の水酸化物に生成したアルコールがとりこまれ、アルコールの回収が困難となってしまう問題があった。
【0007】
【非特許文献1】有機合成化学協会誌,52巻,p616(1994)
【非特許文献2】Soedineniya,Seria A, 11 p2049 (1969)
【特許文献1】特開平1−108218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、水素化アルミニウムリチウムなどの水素化アルミニウム化合物を用いた有機化合物の還元反応における上述したような反応溶媒、生成物の分離などの課題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意努力した結果、水素化アルミニウムリチウムなどの水素化アルミニウム化合物とテトラヒドロピランからなる組成物を用いて有機化合物を還元することにより、反応溶媒と抽出溶媒を同一のものとすることができるため、反応工程の簡素化、エネルギーコストの低減などが実現できるようになり、また、溶媒として毒性の低いテトラヒドロピランを用いることにより生体への安全性も高まり、さらに、反応後の水層を酸で処理することにより、生成したアルコールを効率的に単離することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は以下のアルコール化合物の製造方法に関するものである。
[1]下記式(1)
【化1】


(式中、MはX価の陽イオンとなり得る金属または原子団を表し、Xは1〜3の整数を表す。)で示される化合物とテトラヒドロピランからなる組成物。
[2]式(1)で表される化合物がNaAlH4である前記1記載の組成物。
[3]式(1)で表される化合物がMg(AlH42である前記1記載の組成物。
[4]前記1に記載の組成物中で、アルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸クロライド化合物を還元したのち水を加えてテトラヒドロピラン中に反応生成物であるアルコール化合物を回収することを特徴とするアルコール化合物の製造方法。
[5]前記1に記載の組成物中で、アルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸クロライド化合物を還元したのち酸性水溶液を加えてテトラヒドロピラン中に反応生成物であるアルコール化合物を回収する前記4に記載のアルコール化合物の製造方法。
[6]酸性水溶液中の酸がプロトン酸である前記5に記載の製造方法。
[7]酸性水溶液中の酸がリンを含む酸である前記5または6に記載の製造方法。
[8]酸性水溶液中の酸がリン酸及び/またはリン酸塩を含む前記5〜7のいずれかに記載の製造方法。
[9]水層のpHが5以下であることを特徴とする前記5〜8のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸クロライド化合物、オキシラン化合物等の有機化合物の還元方法において、テトラヒドロピランと水素化アルミニウムリチウムなどの水素化アルミニウム化合物からなる組成物を用いることにより、反応溶媒と抽出溶媒を同一のものとすることができるため、反応工程の簡素化、エネルギーコストの低減などが実現できるようになる。また、溶媒として毒性の低いテトラヒドロピランを用いることにより、生体への安全性も高まる。
さらに、反応後の水層を酸で処理することにより、生成したアルコールを効率的に単離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の具体的内容について詳細に説明する。
本発明は、下記式(1)
【化1】


(式中、MはX価の陽イオンとなり得る金属または原子団を表し、Xは1〜3の整数を表す。)で示される水素化アルミニウムリチウムなどの水素化アルミニウム化合物とテトラヒドロピランからなる組成物、及び該組成物を用いてアルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸クロライド化合物、オキシラン化合物を還元するアルコール化合物の製造方法、及び反応後溶液に水または酸性水溶液を添加することにより、生成したアルコールを効率的に単離する方法に関する。
【0013】
[水素化アルミニウム化合物]
本発明で使用される水素化アルミニウム化合物について説明する。
本発明で使用される水素化ホウ素アルミニウム化合物としては、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、水素化アルミニウムナトリウム(NaAlH4)、水素化アルミニウムマグネシウム(Mg(AlH42)、が好ましく用いることができ、これらは通常市販されている粉末品を用いることができる。
これらの化合物は湿気で分解しやすく、水と激しく反応するので、取り扱いは通常不活性雰囲気下で行う。
【0014】
[溶媒]
溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒とテトラヒドロピランとの混合溶媒を使用することもできるが、回収、再利用をする観点からテトラヒドロピランを単独で用いることが望ましい。
テトラヒドロピランは通常、蒸留、脱水剤処理をして使用される。
テトラヒドロピランの使用量としては、水素化アルミニウム化合物の重量に対して2〜50倍量、好適には5〜30倍量が用いられる。
【0015】
[水素化アルミニウム化合物とテトラヒドロピランからなる組成物]
本発明の水素化アルミニウム化合物とテトラヒドロピランからなる組成物は、前述した水素化アルミニウム化合物をテトラヒドロピラン中に溶解または分散させることにより生成する。
この水素化アルミニウム化合物とテトラヒドロピランからなる組成物は、窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気下で安定に存在し、テトラヒドロピランの融点〜還流温度までの間の温度で使用することができる。
【0016】
[水素化アルミニウム化合物とテトラヒドロピランからなる組成物による還元反応]
水素化アルミニウム化合物の使用量は、還元に用いる化合物により変わる。例えば、水素化アルミニウム化合物として水素化アルミニウムリチウムを用いる場合、1molの水素化アルミニウムリチウムあたり4molのヒドリドがあるので、アルデヒド、ケトン化合物などのカルボニル化合物を還元する場合は少なくとも約0.25mol量必要である。エステル化合物を還元する場合は少なくとも約0.5mol当量、カルボン酸化合物を還元する場合は少なくとも約0.75mol当量、カルボン酸塩化物を還元する場合は少なくとも約0.5mol当量の水素化アルミニウムリチウムが用いられる。
【0017】
本還元反応は、通常窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気下で行われる。
通常、テトラヒドロピランと水素化アルミニウム化合物からなる組成物に、有機化合物を添加することにより行われる。この際の反応温度は、−45℃〜添加する反応液の還流温度以下の範囲で行い、特に0℃〜反応液の還流温度の範囲が好ましい。
【0018】
[還元後の生成物の単離]
本発明では、還元反応後の反応液に水を加え、無機物を水層に、生成した生成物をテトラヒドロピラン層に抽出分離することができる。すなわち、テトラヒドロピランが反応溶媒と抽出溶媒を兼ねるので、反応溶媒を濃縮したり、別途抽出溶媒を加えたりする必要がなく、反応生成物を直接抽出分離することができる。
また、還元反応後に水を加えると、水層は塩基性となる。このとき、水素化アルミニウム化合物が分解し、生成したゾルゲル状の水酸化アルミニウムも水層及び有機層に分散してしまう。そこで、酸性水溶液を加えて溶液を酸性にすると、水酸化アルミニウムは水層に溶解するようになるので、水層に無機物を、テトラヒドロピラン層に生成物を分離することができるようになる。
【0019】
[酸性水溶液]
反応後、水添加により生成した水酸化アルミニウム化合物は塩基性〜中性にかけてゾルゲル状になり、生成物との分離が困難である。よって、水層を酸性にして水酸化アルミニウムを水に溶解させて分液し、水酸化アルミニウムを分離することが好ましい。
この際に用いる酸としてはプロトン酸が好適であり、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、臭化水素酸などのプロトン酸、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムなどのプロトンを有する塩を用いることができる。これらの中でも特に硫酸およびリン酸が好適に用いることができ、リン酸が最も好適である。
【0020】
添加する酸の量は、反応仕込み時に用いた水素化アルミニウム化合物の量及び用いる酸の種類により増減する。添加する量の目安としては、テトラヒドロピラン層と水層に明瞭な界面ができ、かつテトラヒドロピラン層が透明になるまで添加する。
【0021】
これらの酸を用いた場合の水層のpHとしては5以下が好適であり、2以下がさらに好適であり、1以下が最も好適である。
また、酸に弱い化合物に対しては、リン酸塩を用いて、リン酸塩の緩衝作用によりpHを4〜5に保つことが好ましい。
【0022】
本発明は種々の有機化合物の還元反応に用いることが出来るが、特に以下に挙げる化合物の還元反応に好適に用いることが出来る。
【0023】
[アルデヒド化合物]
本発明で使用されるアルデヒド化合物については特に制限はない。ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒド、プロピオンアルデヒド、バレロアルデヒド、シクロヘキサンカルボアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド化合物、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、バニリン、2−ナフタレンアルデヒド、テレフタルアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、1,2−ナフタレンジカルボアルデヒドなどの芳香族アルデヒド化合物などを用いることができる。
【0024】
[ケトン化合物]
本発明で使用されるケトン化合物については特に制限はない。アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、イソホロン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルアセトン、アセチルアセトン、アセト酢酸メチルなどの脂肪族ケトン化合物、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、デオキシベンゾイン、アセトナフトフェノン、ブチロナフトフェノン、インデン−1−オン、フルオレン−9−オンなどの芳香族ケトン化合物などを用いることができる。
【0025】
[エステル化合物]
本発明で使用されるエステル化合物については特に制限はない。蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクチル酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸メチル、フェニル酢酸エチル、アセト酢酸エチル、シュウ酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸メジチル、マレイン酸ジメチル、グルタル酸ジエチルなどの脂肪族エステル化合物、安息香酸エチル、アニス酸メチル、2−ナフタレンカルボン酸メチル、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、トリメリット酸トリメチル、ピロメリット酸テトラメチルなどの芳香族エステル化合物などを用いることができる。
【0026】
[カルボン酸化合物]
本発明で使用されるカルボン酸化合物については特に制限はない。蟻酸、酢酸、プロピオン、ブタン酸、酪酸、ヘキサン酸、オクチル酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、アセト酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸などの脂肪族カルボン酸化合物、安息香酸、アニス酸、2−ナフタレンカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香族カルボン酸化合物などを用いることができる。
【0027】
[カルボン酸塩化物]
本発明で使用されるカルボン酸塩化物については特に制限はない。蟻酸クロライド、酢酸クロライド、プロピオン酸クロライド、ブタン酸クロライド、酪酸クロライド、ヘキサン酸クロライド、オクチル酸クロライド、シクロヘキサンカルボン酸クロライド、フェニル酢酸クロライド、アセト酢酸クロライド、シュウ酸ジクロライド、マロン酸ジクロライド、コハク酸ジクロライド、マレイン酸ジクロライド、グルタル酸ジクロライドなどの脂肪族カルボン酸塩化物、安息香酸クロライド、アニス酸クロライド、2−ナフタレンカルボン酸クロライド、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、フタル酸ジクロライド、トリメリット酸トリクロライド、ピロメリット酸テトラクロライドなどの芳香族カルボン酸化合物などを用いることができる。
【0028】
[オキシラン化合物]
本発明で使用されるオキシラン化合物については特に制限はない。エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシヘキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリンなどのオキシラン化合物を用いることができる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明について代表的な例を示し具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
なお、実施例における各成分の分析にはガスクロマトグラフ装置 6890N(アジレント・テクノロジー(株)製)を用い、分析カラムとしてDB−1カラム(J&W Scientific社製,長さ30m、直径0.32mm、膜厚1μm)を用いた。
【0030】
[実施例1]
容量100mlのナスフラスコに氷冷下、撹拌子、水素化アルミニウムリチウム0.37g(10mmol)、テトラヒドロピラン15mlを加え撹拌した。
その後、アセトフェノン2.4g(20mmol)のテトラヒドロピラン5ml溶液を氷零下20分で添加し、さらに室温で2時間撹拌した。
反応液に水20mlを加え、ゾルゲル状の水酸化アルミニウムを桐山濾紙5Aで分離し、溶液を分液した。テトラヒドロピラン層と水層の1−フェニルエタノールをGCで定量した。結果を表1に示す。
【0031】
[実施例2]
実施例1と同じ手順で操作を行い、還元反応後、水層に85%リン酸20gを添加したところ、水酸化アルミニウムはきれいに水層に溶解し、テトラヒドロピラン層、水層とも無色透明となった。この時の水層のpHは1であった。溶液を分液し、テトラヒドロピラン層と水層の1−フェニルエタノールをGCで定量した。結果を表1に示す。
【0032】
[比較例1]
溶媒としてテトラヒドロピランの代わりにテトラヒドロフランを用いた他は、実施例1と同じ手順で操作を行った。反応結果を表1に示す。
【0033】
[比較例2]
溶媒としてテトラヒドロピランの代わりにテトラヒドロフランを用いた他は実施例2と同じ手順で操作を行った。反応結果を表1に示す。
【0034】
【表1】


【0035】
[実施例3]
実施例1と同じ手順で操作を行い、還元反応を行った後、水20mlを添加し、更に硫酸2gを添加したところ、テトラヒドロピラン層と水層は無色透明で分液した。この時の水層のpHは1であった。
テトラヒドロピラン層の1−フェニルエタノールをGCで定量したところ、収率94%であった。
【0036】
[実施例4]
実施例1と同じ手順で操作を行い、還元反応を行った後、水20mlを添加し、更にリン酸二水素ナトリウムを6g添加したところ、テトラヒドロピラン層は無色透明となり、水層は白濁したが分液した。この時の水層のpHは4であった。
テトラヒドロピラン層の2−フェニルエタノールをGCで定量したところ、収率95%であった。
【0037】
[実施例5]
容量100mlのナスフラスコに氷冷下、撹拌子、水素化アルミニウムリチウム0.37g(10mmol)、テトラヒドロピラン15mlを加え撹拌した。
その後、安息香酸エチル1.50g(10mmol)のテトラヒドロピラン5ml溶液を氷零下20分で添加し、更に室温で2時間撹拌した。反応液に水10mlを加え、更にリン酸を20g添加したところ、テトラヒドロピラン層と水層は無色透明で分液した。この時の水層のpHは1であった。
テトラヒドロピラン層とのベンジルアルコールをGCで定量したところ、収率88%であった。
【0038】
[実施例6]
水素化アルミニウム化合物として、水素化アルミニウムナトリウム0.54g(10mmol)を用いた他は、実施例1と同じ手順で還元反応を行った。還元反応後の処理は実施例2と同様の方法で行った。この結果を表2に示す。
【0039】
[実施例7]
水素化アルミニウム化合物として、水素化アルミニウムマグネシウム0.43g(5mmol)を用いた他は、実施例1と同じ手順で還元反応を行った。還元反応後の処理は実施例2と同様の方法で行った。この結果を表2に示す。
【0040】
【表2】


【0041】
[実施例8:リン酸塩処理]
実施例1と同じ手順で操作を行い、還元反応を行った後、水30mlを添加し、さらにリン酸二水素ナトリウム5gを添加したところ、テトラヒドロピラン層は無色透明、水層は白色で分液した。このとき水層のpHは5であった。
テトラヒドロピラン層の1−フェニルエタノールをGCで定量したところ、収率91%であった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のアルデヒド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、カルボン酸化合物、酸クロライド化合物、オキシラン化合物等の有機化合物の還元方法において、テトラヒドロピランと水素化アルミニウムリチウムなどの水素化アルミニウム化合物からなる組成物を用いることにより、反応溶媒と抽出溶媒を同一のものとすることができるため、反応工程の簡素化、エネルギーコストの低減などが実現できるようになる。また、溶媒として毒性の低いテトラヒドロピランを用いることにより、生体への安全性も高まる。
さらに、反応後の水層を酸で処理することにより、生成したアルコールを効率的に単離することができる。
【出願人】 【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100081086
【弁理士】
【氏名又は名称】大家 邦久

【識別番号】100121050
【弁理士】
【氏名又は名称】林 篤史


【公開番号】 特開2008−1648(P2008−1648A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173586(P2006−173586)