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【発明の名称】 コンポジット推進薬
【発明者】 【氏名】中山 久広

【氏名】佐藤 航

【氏名】駒井 巌

【要約】 【課題】簡便な方法により燃焼速度の温度依存性を低下させることにより、ロケット作動時の推力及び燃焼時間の温度依存性を制御することが可能なコンポジット推進薬を提供する。

【解決手段】本発明は、水酸基含有ポリマーのポリイソシアネート硬化物、酸化剤、平均粒径200nm以下のナノサイズのアルミニウム粉末を含有するコンポジット推進薬である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基含有ポリマーのポリイソシアネート硬化物、酸化剤、平均粒径200nm以下のナノサイズのアルミニウム粉末を含有することを特徴とするコンポジット推進薬。
【請求項2】
水酸基含有ポリマーのポリイソシアネート硬化物10〜35質量%、酸化剤50〜88質量%、平均粒径200nm以下のナノサイズのアルミニウム粉末2〜20質量%を含有することを特徴とする請求項1に記載のコンポジット推進薬。
【請求項3】
水酸基含有ポリマーのポリイソシアネート硬化物10〜35質量%、酸化剤50〜88質量%、平均粒径200nm以下のナノサイズのアルミニウム粉末2〜20質量%、及び酸化鉄5質量%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載のコンポジット推進薬。
【請求項4】
酸化剤は、過塩素酸アンモニウムであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のコンポジット推進薬。
【請求項5】
水酸基含有ポリマーのポリイソシアネート硬化物、酸化剤、平均粒径200nm以下のナノサイズのアルミニウム粉末を、混練してスラリー状態とした後、型に注入して硬化させることを特徴とするコンポジット推進薬の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼速度の温度依存性を低下させることにより、ロケット作動時の推力及び燃焼時間の温度依存性を抑制することが可能なコンポジット推進薬に関する。
【背景技術】
【0002】
コンポジット推進薬の代表的な例としては、燃料成分とマトリックス成分を兼ねたバインダ及び過塩素酸アンモニウム等の酸化剤を主成分とし、必要に応じてアルミニウム粉末を助燃剤として含むコンポジット推進薬が知られている。そしてその優れた燃焼特性及び機械的特性により、ロケット用固体燃料等に幅広く使用されている。
しかしながら、この従来のコンポジット推進薬に使用されているアルミニウムは、平均粒径3〜50μmのミクロンサイズのアルミニウムであり、専らロケット用固体燃料における燃焼時の燃焼温度を高める助燃剤として使用されているにすぎない。
【0003】
近年、ロケットを高性能化する要求の1つとして、運用する環境条件によらず燃焼速度の変動が小さい、即ち温度依存性の小さいコンポジット推進薬が求められており、その点を改良した固体推推進薬用燃料が開示された。例えば、アジド基含有ポリマーと赤りん微粒子表面の樹脂コーティング物との組み合わせ使用により、温度感度を低下させる方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特公平8−5735号公報(第3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された方法は、赤りんという危険性の高い特殊な原材料を樹脂コーティングするという複雑な方法により製造した原材料を用いており、一般的には使用しにくいという問題が挙げられる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、より簡便な方法により燃焼速度の温度依存性を低下させることにより、ロケット作動時の推力および燃焼時間の温度依存性を制御することが可能なコンポジット推進薬を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、コンポジット推進薬に特定の粒径を有するアルミニウム粉末を加えることによって、これらの問題を解決できることの知見を得て本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明の第1の発明は、水酸基含有ポリマーのポリイソシアネート硬化物、酸化剤、平均粒径200nm以下のナノサイズのアルミニウム粉末を含有することを特徴とするコンポジット推進薬である。
【0009】
第2の発明は、水酸基含有ポリマーのポリイソシアネート硬化物10〜35質量%、酸化剤50〜88質量%、平均粒径200nm以下のナノサイズのアルミニウム粉末2〜20質量%を含有することを特徴とする第1の発明のコンポジット推進薬である。
【0010】
第3の発明は、水酸基含有ポリマーのポリイソシアネート硬化物10〜35質量%、酸化剤50〜88質量%、平均粒径200nm以下のナノサイズのアルミニウム粉末2〜20質量%、及び酸化鉄5質量%以下を含有することを特徴とする第1の発明のコンポジット推進薬である。
【0011】
第4の発明は、酸化剤が過塩素酸アンモニウムであることを特徴とする第1〜第3の発明の何れかのコンポジット推進薬である。
【0012】
第5の発明は、水酸基含有ポリマーのポリイソシアネート硬化物、酸化剤、平均粒径200nm以下のナノサイズのアルミニウム粉末を、混練してスラリー状態とした後、型に注入して硬化させることを特徴とするコンポジット推進薬の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明のコンポジット推進薬では、簡便な方法により燃焼速度の温度依存性を低下させることにより、ロケット作動時の推力および燃焼時間の温度依存性を制御することが可能である。即ち、特定の粒径を有するアルミニウム粉末を加えることによって、燃焼速度の温度依存性を低下させるものであり、そのために燃焼速度の温度依存性を低下させることによりロケット作動時の推力および燃焼時間を制御することが可能となる。また、圧力依存性の変動にかかわらず燃焼速度の温度依存性が小さいため、比較的安定に固体燃焼させることが可能である。したがって、様々な運用温度環境条件の使用に耐えうる固体燃料である。
【0014】
第2の発明のコンポジット推進薬では、前述の第1の発明の効果がより優れる。
【0015】
第3の発明のコンポジット推進薬では、前述の第1の発明の効果に加えて、燃焼速度を向上させることができる。
【0016】
第4の発明のコンポジット推進薬では、酸化剤として過塩素酸アンモニウムを用いるので、有効酸素又は酸化成分の含有量が多く、混合時や貯蔵時において化学的安定性が高く、吸湿性が少なく、そして破砕性が良い。
【0017】
第5の発明のコンポジット推進薬の製造方法では、各原料を所定の温度下で混練してスラリーとした後、所定の型に注入して所定の温度及び時間で硬化させればよいので、特殊な装置、設備、手法を用いることなく容易に実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明のコンポジット推進薬は、(1)水酸基含有ポリマーのポリイソシアネート硬化物、(2)酸化剤、(3)平均粒径200nm以下のナノサイズのアルミニウム粉末を含有することを特徴とする。
用途に応じて、その他の添加剤をさらに追加することができる。
【0019】
前記(1)成分中の水酸基含有ポリマーとしては、末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)、アジドメチル基を有する末端水酸基ポリエーテル、例えばグリシジルアジドポリマー(GAP)、3,3−ビスアジドメチルメチルオキセタン/テトラヒドロフラン共重合体(BAMO/THF共重合体)等がある。その中でも、安価でかつ一般的なコンポジット推進薬に多く採用されている末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)を使用するのが好ましい。
【0020】
前記(1)水酸基含有ポリマーのポリイソシアネート硬化物は、コンポジット推進薬のバインダとなるものであり、例えば分子の末端に水酸基を平均2〜2.5個有する平均分子量2000〜4000の液状ポリブタジエンをポリイソシアネート、例えばイソホロンジイソシアネートで硬化したものが挙げられる。
【0021】
また、バインダ中には燃料の機械的特性の調整剤として、ジオクチルアジペート(DOA)等の可塑剤、トリス−1(2−メチルアジリジニル)フォスフィンオキシド(MAPO)等の粒子とバインダを結合させるための結合剤、トリメチロールプロパン(TMP)等の架橋剤、ジブチルチンジラウレート(DBTDL)等の硬化触媒を含有させることが可能である。
【0022】
この(1)水酸基含有ポリマーのポリイソシアネート硬化物の含有量(水酸基含有ポリマーのポリイソシアネート硬化物、酸化剤及びナノサイズのアルミニウム粉末の3成分中に占める割合)は、通常10〜35質量%であり、好ましくは11〜20質量%である。その含有量が10質量%未満の場合には、機械的特性が低下し、一方、35質量%を超える場合には、単位質量当たりのエネルギーが低下する傾向にある。
【0023】
また、前記可塑剤、粒子とバインダを結合させるための結合剤、架橋剤や硬化触媒等の機械的特性の調整剤についての含有量(水酸基含有ポリマーのポリイソシアネート硬化物、酸化剤及びナノサイズのアルミニウム粉末の総量100質量部に対する割合)は、10質量%以下加えることが可能であり、好ましくは7質量%以下である。本添加剤の含有量が10質量%を超える場合には、金属粉末等の高密度添加剤の沈降が生じる可能性が高くなり好ましくない。
【0024】
前記(2)酸化剤としては、従来公知のコンポジット推進薬に使用される酸化剤、すなわち、有効酸素又は酸化成分の含有量が多く、混合時や貯蔵時において化学的安定性が高く、吸湿性が少なく、そして破砕性が良いものが好ましく、例えば過塩素酸アンモニウムなどの過塩素酸塩や、硝酸アンモニウム、硝酸カリウムなどの硝酸塩、三酸化モリブデン、三酸化ビスマスなどの金属酸化物等は全て使用可能である。その中でも過塩素酸アンモニウムの単独使用や、燃焼温度の低減、安全性の向上、環境に対する影響の低減等の観点から過塩素酸アンモニウムとそれ以外の酸化剤との併用が好ましい。
【0025】
この(2)酸化剤の含有量(水酸基含有ポリマーのポリイソシアネート硬化物、酸化剤、及びナノサイズのアルミニウム粉末の3成分中に占める割合)は、通常50〜88質量%であり、好ましくは60〜87質量%である。その含有量が50質量%未満の場合には、酸化剤が不足することによって推進薬としてのエネルギーが低下し、一方、酸化剤の含有量が88質量%を超える場合には、バインダの量が不足するため、機械的特性が低下する傾向にある。
【0026】
さらに、この(2)酸化剤としては、コンポジット推進薬組成物の成形性の観点から大小あるいは中小2種類の平均粒子径、または大中小3種類の平均粒子径のものが用いられ、例えば300〜450μmの平均粒子径を持つ大粒子、100〜300μmの平均粒子径を持つ中粒子、1〜100μmの平均粒子径を持つ小粒子を併用使用することが好ましい。
【0027】
前記(3)ナノサイズのアルミニウム粉末は、平均粒子径が200nm以下、好ましくは50〜150nmであり、平均粒子径が200nmより大きい場合には燃焼速度の温度依存性を低減させる効果が小さくなる傾向にある。
【0028】
この(3)ナノサイズのアルミニウム粉末の含有量(水酸基含有ポリマーのポリイソシアネート硬化物、酸化剤、及びナノサイズのアルミニウム粉末の3成分中に占める割合)は、通常2〜20質量%、好ましくは3〜15質量%である。その含有量が2質量%未満の場合には、燃焼速度の温度依存性を低減させる効果が小さくなり、一方、含有量が20質量%を超える場合には、バインダとの均一混合性が劣る等の製造性が低下する傾向にある。
【0029】
また、前記主要成分以外にコンポジット推進薬に使用されている従来公知のその他の添加剤、例えば金属粉末、金属化合物粉末、カーボンブラック、シクロテトラメチレンテトラニトラミン(HMX)、シクロトリメチレントリニトラミン(RDX)、トリアミノグアニジンナイトレート(TAGN)等を併用することも可能である。
前記金属粉末としては、アルミニウム粉末、マグネシウム粉末、アルミニウムとマグネシウムとの合金の粉末、ジルコニウム粉末、ボロン粉末、ベリリウム粉末などが挙げられる。
前記金属化合物粉末としては、炭化ジルコニウム粉末、酸化ジルコニウム粉末、酸化鉄粉末、フッ化リチウム粉末、炭酸ストロンチウム粉末などが挙げられる。
【0030】
これらのその他の添加剤の平均粒子径は、通常200μm以下、好ましくは50μm以下である。平均粒子径が200μmを超える場合には燃焼完結性が悪くなり、単位質量当たりのエネルギーが低下する傾向にある。
また、その他の添加剤の含有量(水酸基含有ポリマーのポリイソシアネート硬化物、酸化剤及びナノサイズのアルミニウム粉末の総量100質量部に対する割合)は、通常15質量%以下であり、好ましくは0.01〜15質量%である。その含有量が15質量%を超える場合には、金属粉末の燃焼完結性が悪くなり、単位質量当たりのエネルギーが低下する傾向にある。
【0031】
本発明のコンポジット推進薬の製造方法は、例えば全ての原料を所定の温度下で混練してスラリー状態とした後、所定の型に注入して所定の温度および時間で硬化させる方法である。
【0032】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を具体例によって説明する。
なお、燃焼速度の温度依存性は次に示す試験方法により測定した。
〈燃焼速度、及びその温度依存性〉
まず、最初に硬化後のコンポジット推進薬からサンプル(7mm×7mm×100mm)を切り出し、その柱状の側面部分をメラミン樹脂等により厚さ0.5mm程度となるように被覆した後、サンプルの上部より約1cmの所に点火用のニクロム線を、さらにサンプル棒の上部より3cm、5cm、7cmのそれぞれの所に燃焼速度測定用のヒューズ線を通した。
次に、試料を60℃,20℃,−40℃の温度に調節し、同様に60℃,20℃,−40℃に調節された圧力容器内に挿入し、窒素ガスを充填することによって加圧した後にニクロム線に通電することによりコンポジット推進薬に点火し、3本のヒューズ線が溶断する時間差を測定することによってコンポジット推進薬の燃焼速度を求めた。
【0034】
なお、燃焼速度の温度依存性は、各温度条件下で窒素ガスによる圧力1〜12MPaの範囲で試験を行うことによって各試験温度における圧力と燃焼速度の関係を求め、その燃焼速度の同一圧力での値と試験温度との関係を式(燃焼速度の温度依存性)={∂(LN(燃焼速度))/(∂(推進薬初期温度))}P に当てはめ、その直線式の傾きから計算した値である。
【0035】
〔実施例1〕
末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)(末端水酸基の数:平均2.1個、平均分子量:2800)15.79質量部、ポリイソシアネートとしてのイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記する。)1.21質量部、平均粒子径20μmの過塩素酸アンモニウム(表1ではAP(小粒)と表記)20.7質量部、平均粒子径400μmの過塩素酸アンモニウム(表1ではAP(大粒)と表記)48.3質量部、平均粒子径100nmのアルミニウム粉末(表1ではナノサイズアルミと表記)14質量部を混練してスラリー状態の混合物を得た。
【0036】
次に、それを減圧下で型に流し込んだ後、末端水酸基ポリブタジエンとIPDIを60℃の条件下で10日間反応(末端水酸基ポリブタジエンとIPDIとからブタジエンバインダを形成,表1ではHTPBバインダーと表記)させることによりコンポジット推進薬を得た。
表1に組成割合、表2に各試験温度におけるコンポジット推進薬の圧力2MPa,5MPaおよび10MPaにおける燃焼速度の測定結果を、表3にその燃焼速度の温度依存性の試験結果を示す。
【0037】
【表1】


【0038】
【表2】


【0039】
【表3】


【0040】
〔実施例2〕
ナノサイズのアルミニウム粉末の一部を平均粒子径30μmのアルミニウム粉末(表1ではマイクロサイズアルミ(汎用品)と表記)に置き換え、ナノサイズのアルミニウム粉末と平均粒子径30μmのアルミニウム粉末との配合割合を1:1として用いた以外は前記実施例1と同様の操作を行ってコンポジット推進薬を得た。
このコンポジット推進薬について、前記実施例1と同様の各種試験を行い、表1に組成割合を、その結果を表2および表3に示す。
【0041】
〔実施例3〕
ナノサイズのアルミニウム粉末の一部を平均粒子径30μmのアルミニウム粉末に置き換え、ナノサイズのアルミニウム粉末と平均粒子径30μmのアルミニウム粉末(表1ではマイクロサイズアルミ(汎用品)と表記)との配合割合を3:11として用いそれ以外は前記実施例1と同様の操作を行ってコンポジット推進薬を得た。
このコンポジット推進薬について、前記実施例1と同様の各種試験を行い、表1に組成割合を、その結果を表2および表3に示す。
【0042】
〔実施例4〕
添加剤として酸化鉄を外割で0.1質量%添加して用いた以外は前記実施例1と同様の操作を行ってコンポジット推進薬を得た。
このコンポジット推進薬について、前記実施例1と同様の各種試験を行い、表1に組成割合を、その結果を表2および表3に示す。
【0043】
〔実施例5〕
平均粒子径20μmの過塩素酸アンモニウム(表1ではAP(小粒)と表記)20.7質量部、平均粒子径200μmの過塩素酸アンモニウム(表1ではAP(中粒)と表記)48.3質量部を用いた以外は前記実施例1と同様の操作を行ってコンポジット推進薬を得た。
このコンポジット推進薬について、前記実施例1と同様の各種試験を行い、表1に組成割合を、その結果を表2および表3に示す。
【0044】
〔比較例1〕
アルミニウムとして平均粒子径30μmのアルミニウム粉末のみを用いたこと以外は前記実施例1と同様の操作を行ってコンポジット推進薬を得た。
このコンポジット推進薬について、前記実施例1と同様の各種試験を行い、表1に組成割合を、その結果を表2および表3に示す。
【0045】
燃焼速度の温度依存性を低下させる添加剤としてナノサイズのアルミニウム粉末を含有する場合(実施例1)は、ナノサイズのアルミニウム粉末を含有しない場合(比較例1)に比較して、燃焼速度の温度依存性が2MPaで57%、5MPaで67%、10MPaで79%低下した。
【0046】
またナノサイズのアルミニウム粉末の一部を平均粒子径30μmのアルミニウム粉末に置き換え、その配合割合を1:1とした場合(実施例2)は、ナノサイズのアルミニウム粉末を含有しない場合(比較例1)に比較して、燃焼速度の温度依存性が2MPaで33%、5MPaで50%、10MPaで38%低下した。
【0047】
またナノサイズのアルミニウム粉末の一部を平均粒子径30μmのアルミニウム粉末に置き換え、その配合割合を3:11とした場合(実施例3)は、ナノサイズのアルミニウム粉末を含有しない場合(比較例1)に比較して、燃焼速度の温度依存性が2MPaで23%、5MPaで25%、10MPaで29%低下した。
【0048】
このことより、コンポジット推進薬組成の一部として添加しているアルミニウム粉末中のナノサイズアルミニウム粉末の割合が高いほど、燃焼速度の温度依存性が小さくなることが示された(図1,表3)。
【0049】
添加剤として酸化鉄を外割で0.1質量%添加した場合(実施例4)は、ナノサイズのアルミニウム粉末を含有しない場合(比較例1)に比較して、燃焼速度が増加し、かつ燃焼速度の温度依存性が2MPaで57%、5MPaで71%、10MPaで63%低下した。
【0050】
このことより、ナノサイズのアルミニウム粉末を添加したコンポジット推進薬に酸化鉄を添加した場合は、燃焼速度の増加を達成でき、かつ燃焼速度の温度依存性は実施例1と同様に低く抑えることができ、温度感度が小さいという優位特性があることが示された(表2,表3)。
【0051】
平均粒子径20μmの過塩素酸アンモニウム20.7質量部、平均粒子径200μmの過塩素酸アンモニウム48.3質量部を用いた場合(実施例5)は、ナノサイズのアルミニウム粉末を含有しない場合(比較例1)に比較して、中〜高圧側の燃焼速度を高くでき、かつ燃焼速度の温度依存性が2MPaで43%、5MPaで54%、10MPaで67%低下した。
【0052】
このことより、ナノサイズのアルミニウム粉末を添加したコンポジット推進薬の過塩素酸アンモニウムの粒径を小さくした場合においては、燃焼速度の増加を達成でき、かつ燃焼速度の温度依存性は実施例1と同様に低く抑えることができ、温度感度が小さいという優位特性があることが示された(表2,表3)。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例におけるナノサイズアルミニウム粉末の割合と、燃焼速度の温度感度低下割合との関係を示すグラフである。
【出願人】 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛省技術研究本部長
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
【出願日】 平成19年1月11日(2007.1.11)
【代理人】 【識別番号】100082669
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 賢三


【公開番号】 特開2008−169073(P2008−169073A)
【公開日】 平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願番号】 特願2007−3537(P2007−3537)