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【発明の名称】 堆肥化施設及び堆肥の製造方法
【発明者】 【氏名】藤岡 憲二

【要約】 【課題】家畜糞の堆肥化施設として、従来から堆肥原料を好気性菌を用いて発酵(堆肥化)させるようにしたものが主流であるが、この場合は堆肥化施設が大掛かりとなって設備コストが高価になるほか、悪臭飛散の問題があった。

【解決手段】地盤1の土壌を所定面積で所定深さだけ排土した凹所2に防水シート3を敷設し、該防水シート3上に凹所2の深さだけ土壌4を充填し、該充填土壌4の上に条件的嫌気性菌を混入した堆肥原料5を積み上げ、該堆肥原料5の上を防水シート7,8で被覆して、堆肥原料5を条件的嫌気性菌で発酵・堆肥化させるようにすることにより、設備コストを極めて安価にでき、且つ悪臭飛散を極力抑えることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤(1)の土壌を所定面積で所定深さだけ排土した凹所(2)に防水シート(3)を敷設し、該防水シート(3)上に凹所(2)の深さだけ土壌(4)を充填し、該充填土壌(4)の上に条件的嫌気性菌を混入した堆肥原料(5)を積み上げ、その積み上げた堆肥原料(5)の上を防水シート(7,8)で被覆していることを特徴とする堆肥化施設。
【請求項2】
地盤(1)の土壌を所定面積で所定深さだけ排土して地面に凹所(2)を形成し、該凹所(2)に防水シート(3)を敷設し、該防水シート(3)上に凹所(2)の深さだけ土壌(4)を充填し、該充填土壌(4)の上に条件的嫌気性菌を混入した堆肥原料(5)を積み上げ、その積み上げた堆肥原料(5)の上を防水シート(7,8)で被覆して、前記堆肥原料(5)を堆肥化させることを特徴とする堆肥の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本願発明は、堆肥原料を堆肥化するための堆肥化施設及び堆肥の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、家畜排泄物法の施行に伴い、畜産農家で発生する家畜糞を適正に処理することが義務付けられている。例えば、家畜糞の保管設備として、家畜糞成分が地中に浸透しない構造(コンクリート槽が一般的である)で、適当な覆い及び側壁を有することが求められている。
【0003】
一方、家畜糞を有効利用するために堆肥化することが推奨されているが、家畜糞の堆肥化方法としては、発酵槽内に堆肥原料(家畜糞)と発酵促進材を混合・収容して、堆肥原料を発酵させることにより堆肥化させるようにしたものが主流となっている。堆肥化用の発酵促進材には、一般に好気性菌を用いているが、この好気性菌による発酵堆肥化方法では、堆肥原料中に空気(酸素)を十分に送り込む必要がある。
【0004】
好気性菌による代表的な堆肥化施設としては、堆肥舎内で堆積発酵させるもの(この場合は定期的に堆肥原料を切り返す必要がある)、発酵槽内をロータリーやスクープで撹拌するもの、縦型密閉式発酵機を使用するもの、等がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した好気性菌による各種の堆肥化施設には、それぞれ次のような問題があった。
【0006】
(イ) 堆肥舎内で堆積発酵させるものでは、家畜糞成分が地中に浸透しないようにするための構造(一般にコンクリート床)が必要であるとともに、雨水避けの屋舎を築造する必要があって、施設費用が高くなる。又、好気性菌による発酵堆肥化方法では、定期的に人力で堆肥原料を切り返す(撹拌する)必要があるとともに、そのときの作業環境(悪臭)が劣悪である。
【0007】
(ロ) 発酵槽内をロータリーやスクープで撹拌するものでは、発酵槽の構築費用やロータリー・スクープ等の機械費用が高価となり且つ駆動用の電気代も必要となる。さらに、発酵槽の上面が開放されているので、雨水避けの屋根工事が必要であるとともに悪臭問題もある。
【0008】
(ハ) 縦型密閉式発酵機は、装置が非常に高価であるとともに、運転コスト(電気代)がかかる。
【0009】
そこで、本願発明は、堆肥原料発酵のための菌として条件的嫌気性菌を使用することで簡易な堆肥化施設を可能にするとともに、堆肥原料からの悪臭問題を改善し得るようにした、堆肥化施設及び堆肥の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、堆肥化施設を請求項1の発明とし、堆肥の製造方法を請求項2の発明としている。
【0011】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明にかかる堆肥化施設は、地盤の土壌を所定面積で所定深さだけ排土した凹所に防水シートを敷設し、該防水シート上に凹所の深さだけ土壌を充填し、該充填土壌の上に条件的嫌気性菌を混入した堆肥原料を積み上げ、その積み上げた堆肥原料の上を防水シートで被覆していることを特徴としている。
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明にかかる堆肥の製造方法は、地盤の土壌を所定面積で所定深さだけ排土して地面に凹所を形成し、該凹所に防水シートを敷設し、該防水シート上に凹所の深さだけ土壌を充填し、該充填土壌の上に条件的嫌気性菌を混入した堆肥原料を積み上げ、その積み上げた堆肥原料の上を防水シートで被覆して、該堆肥原料を堆肥化させることを特徴としている。
【0012】
尚、以下の説明では、凹所に敷設される防水シートを敷設シートといい、堆肥原料の上に被覆される防水シートを被覆シートということがある。
【0013】
本願請求項1の堆肥化施設は、家畜飼育現地の余剰空き地で屋根のない露天に設置できるものであり、本願請求項2の堆肥製造方法も、同家畜飼育現地の余剰空き地で屋根のない露天で行えるものである。
【0014】
地面に形成される凹所の大きさは、飼育家畜数の規模(家畜糞の発生量)や余剰空き地の広さ等に応じて適宜に設定できる。
【0015】
凹所に敷設する防水シート(敷設シート)は、地面側からの堆肥原料への遮水と堆肥原料成分が地中に浸透するのを阻止するためのものである。
【0016】
この敷設シート上には、上記凹所の深さだけ土壌を充填するが、この充填土壌は凹所を掘削した土壌を埋め戻せばよい。
【0017】
堆肥原料は、家畜糞を主原料とし、必要に応じて植物製チップや籾殻・おが屑等を混合することができる。
【0018】
そして、本願の堆肥化施設及び堆肥製造方法では、後述するように堆肥原料中に酸素が乏しい状態で堆肥化させる関係で、発酵促進材として条件的嫌気性菌を混入したものを使用している。
【0019】
そして、本願の堆肥化施設では、凹所に充填した土壌の上に上記発酵促進材(条件的嫌気性菌を使用)を混入した堆肥原料を所定量だけ積み上げ、さらにその堆肥原料の上に防水シート(被覆シート)を被覆して構成している。
【0020】
上記被覆シートは、山積みした堆肥原料が雨水で濡れるのを防止するためのもので、該堆肥原料の上面及び側周面の全面を被覆するように設置される。このように被覆シートで被覆された堆肥原料(条件的嫌気性菌入り)中は酸素の乏しい状態となり、堆肥原料発酵のための菌としては条件的嫌気性菌が使用される。
【0021】
そして、本願の堆肥化施設及び堆肥製造方法では、上記設備内で所定日数だけそのまま放置するだけで、堆肥原料を発酵促進材(条件的嫌気性菌)により発酵させて堆肥化し得るようになっている。尚、本願の場合は、発酵促進材に条件的嫌気性菌を使用しているので、堆肥原料への空気導入は不要であり、被覆シートを被覆したままで堆肥化させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本願請求項1の堆肥化施設及び本願請求項2の堆肥製造方法は、上記したように地盤の土壌を排土して凹所を形成し、該凹所に防水シート(敷設シート)を敷設し、敷設シート上に土壌を充填し、該充填土壌の上に条件的嫌気性菌(発酵促進材)を混入した堆肥原料を積み上げ、その積み上げた堆肥原料の上を防水シート(被覆シート)で被覆して、堆肥原料を発酵させる(堆肥化させる)ようにしたものである。従って、本願各請求項の発明は、次のような効果がある。
【0023】
(1) 敷設シートにより地面と堆肥原料間の遮水ができる一方、被覆シートにより堆肥原料が雨水で濡れるのを防止できるので、堆肥化施設を極めて簡易で且つ低コストに構築できる。即ち、堆肥原料を載せる地面をコンクリートにしなくてもよく、且つ屋根を設ける必要がない(設備コストが安価となる)。
【0024】
(2) 発酵促進材として条件的嫌気性菌を使用することにより、堆肥原料中に空気を送り込む必要がないので空気導入のための設備が不要となる(設備コストが安価となる)。
【0025】
(3) 条件的嫌気性菌による発酵に空気を必要としないので、堆肥原料を被覆シートで被覆したままでよく、堆肥原料の切り返し(撹拌)作業が不要になるかあるいは切り返し回数を極めて少なくできる。
【0026】
(4) 堆肥原料を被覆シートで被覆したままで発酵(堆肥化)させることができるので、堆肥原料からの悪臭が周囲に飛散しにくくなる。
【0027】
(5) 凹所に充填した土壌の上に堆肥原料を積み上げて堆肥化させるようにしているので、堆肥原料中に過剰水分がある場合にその過剰水分を上記充填土壌で吸収できる。尚、該充填土壌で堆肥原料中の水分を吸収しても、充填土壌の下に防水シート(敷設シート)があるので家畜糞成分(特に水質汚濁の原因となる硝酸性窒素)が地中に浸透することがない。
【0028】
(6) 堆肥原料の下に充填土壌があると、堆肥原料の切り返し(撹拌)を行う場合に敷設シートが傷つかないとともに、条件的嫌気性菌が生息し易い環境となる。
【0029】
(7) 凹所に敷設した敷設シート上に土壌を充填してその充填土壌の上に堆肥原料を積み上げるようにしているので、例えば地表面に防水シートを敷き、その上に土壌を盛り、その上に堆肥原料を積み上げる場合に比して、同量の堆肥原料であればその積み上げ高さを凹所深さ分だけ低くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、添付の図面を参照して本願の実施形態を説明すると、図1〜図3には本願実施形態の堆肥化施設を示している。
【0031】
この実施形態の堆肥化施設は、家畜飼育現地の余剰空き地で屋根のない露天に設置できるものである。そして、この実施形態の堆肥化施設は、図1〜図3に示すように、地盤1の土壌を所定面積で所定深さだけ排土して凹所2を形成し、該凹所2に防水シート(敷設シート)3を敷設し、該敷設シート3上に凹所2の深さだけ土壌4を充填し、該充填土壌4の上に発酵促進材6を混入した堆肥原料5を積み上げ、その積み上げた堆肥原料5の上を防水シート(被覆シート)7,8で被覆して構成されている。
【0032】
地面に形成される凹所2の大きさは、飼育家畜数の規模(家畜糞の発生量)や余剰空き地の広さ等に応じて適宜に設定できる(例えば幅が3〜6m、長さが5〜20m、深さが30〜50cm程度にできる)。この凹所形成用に掘削した土は、凹所近傍に積み上げておき、後で充填土壌4として利用できる。尚、凹所2の開口縁部には、その全周に亘って適宜小高さ(例えば3〜10cm程度)の土手を盛り上げておくとよい。この土手は、雨水が凹所2側に流入するのを防止するためのものである。
【0033】
この凹所2には防水シート(敷設シート)3を敷設するが、この敷設シート3は、地面側からの堆肥原料5への遮水と堆肥原料成分が地中に浸透するのを阻止するためのものである。そして、敷設シート3は、凹所2の外形よりやや広い範囲に敷設するが、上記のように凹所2の開口縁部に小高さの土手を盛り上げたものでは、該土手を被覆するようにして敷設シート3を敷設するとよい。尚、この敷設シート3は、数箇月間地中に埋めた状態でも劣化しない材質のものであればよく、例えばブルーシートと称される一般的なものも使用できる。
【0034】
この敷設シート3上には、上記凹所2の深さだけ土壌4を充填するが、この充填土壌4は凹所2を掘削した土壌を埋め戻せばよい。
【0035】
堆肥原料5は、家畜糞を主原料とし、必要に応じて(増量あるいは水分調整のために)植物(木・草・竹)チップや籾殻・おが屑等を混合することができる。
【0036】
本願の堆肥化施設及び堆肥製造方法では、後述するように堆肥原料中に酸素が乏しい状態で堆肥化させる関係で、発酵促進材6として条件的嫌気性菌を混入したものを使用している。この条件的嫌気性菌は、酸素が少ない条件下でも活動できる微生物であり、酸素がなくても発酵系で活動できるものである。尚、条件的嫌気性菌を用いた発酵促進材6は、数種のものが商品化されている。
【0037】
そして、図示実施形態の堆肥化施設では、凹所2に充填した土壌4の上に上記発酵促進材6を混入した堆肥原料5を所定量(高さの上限が3m程度)だけ積み上げ、さらにその堆肥原料5の上を被覆シート7,8で被覆して構成されている。
【0038】
この実施形態では、堆肥原料5中に発酵促進材6を混入させるのに、堆肥原料を符号5aで示すように、例えば30cm程度積み上げるごとに1回ずつ発酵促進材6を所定量ずつ介在させるようにしている。即ち、この堆肥原料5は、各発酵促進材6,6・・の層をそれぞれ上下から堆肥原料層5a,5aで挟むようにして順次積層している。尚、他の実施形態では、堆肥原料と発酵促進材(条件的嫌気性菌)を予め混合・撹拌したものを積層させるようにしてもよい。
【0039】
被覆シート7,8は、山積みした堆肥原料5が雨水で濡れるのを防止するためのもので、該堆肥原料5の上面及び側周面の全面を被覆するように設置される。又、この実施形態では、被覆シートは上下2枚重ね状態で被覆しており、下面側シート7にブルーシートと称される通常の防水シートを使用している一方、上面側シート8に黒色系の防水シートを使用している。黒色系の被覆シート8を上面側に位置させると、黒色系では太陽熱の吸収効率が良好となるので、条件的嫌気性菌による発酵効率を高めることができる。又、被覆シート7,8を二重にすると、堆肥原料5中で発生する発酵熱が外部に放出されにくくなり、熱損失が少なくなる。この被覆シート7,8は、風で捲れないように紐で縛ったり周囲に重り(符号9)を載せたりしておくとよい。尚、図1及び図2において、符号10は堆肥原料5中の温度を検出するための温度計である。
【0040】
そして、この実施形態の堆肥製造方法は、上記のように構成した堆肥化施設において、所定日数だけそのまま放置するだけで、堆肥原料5が発酵促進材(条件的嫌気性菌)6により順次発酵して堆肥化されるようになる。
【0041】
又、本願の場合は、発酵促進材6に条件的嫌気性菌を使用しているので、堆肥原料5への空気導入は不要であり、堆肥原料5の切り返し(撹拌)作業を行わなくてもよいか、あるいは切り返し回数を極端に少なくできる。
【0042】
この実施形態の堆肥化施設及び堆肥製造方法は、上記したように地盤1の土壌を排土して凹所2を形成し、該凹所2に防水シート(敷設シート)3を敷設し、該敷設シート3上に土壌4を充填し、該充填土壌4の上に発酵促進材(条件的嫌気性菌入り)6を混入した堆肥原料5を積み上げ、該堆肥原料5の上を防水シート(被覆シート)7,8で被覆して、堆肥原料5を発酵させる(堆肥化させる)ようにしたものである。従って、この実施形態の堆肥化施設及び堆肥製造方法では、上記した(1)〜(7)の各効果を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本願実施形態の堆肥化施設の断面図である。
【図2】図1の堆肥化施設の斜視図である。
【図3】図1のIII部拡大図である。
【符号の説明】
【0044】
1は地盤、2は凹所、3は防水シート(敷設シート)、4は充填土壌、5は堆肥原料、6は発酵促進材(条件的嫌気性菌入り)、7,8は防水シート(被覆シート)である。
【出願人】 【識別番号】507174293
【氏名又は名称】株式会社協和土建
【出願日】 平成19年5月28日(2007.5.28)
【代理人】 【識別番号】100075731
【弁理士】
【氏名又は名称】大浜 博


【公開番号】 特開2008−290924(P2008−290924A)
【公開日】 平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願番号】 特願2007−140693(P2007−140693)