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【発明の名称】 汚泥コンポストの製造方法
【発明者】 【氏名】藤井 康二郎

【要約】 【課題】下水に含まれる毛髪等が、下水を活性汚泥処理して排出された汚泥から得られるコンポストに残存せず、繊維状夾雑物によりコンポストを構成する粒子どうしが結合されずに互いに独立して取り扱えるコンポストの製造方法を提供する。

【解決手段】有機性排水の活性汚泥処理に伴い発生する汚泥から、汚泥コンポストを製造する方法で、汚泥は繊維状夾雑物を含んでおり、汚泥を濃縮する工程と、濃縮された汚泥から繊維状夾雑物が透過しにくいフィルタとフィルタの直前で回転するインペラとを組み合わせた除去装置を用いて繊維状夾雑物を除去する工程と、繊維状夾雑物が除去された汚泥をコンポスト化する工程とを経る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性排水の活性汚泥処理に伴い発生する汚泥から、汚泥コンポストを製造する方法であって、前記汚泥は繊維状夾雑物を含んでおり、前記汚泥を濃縮する工程と、前記濃縮された汚泥から、前記繊維状夾雑物が透過しにくいフィルタと前記フィルタの直前で回転するインペラとを組み合わせた除去装置を用いて前記繊維状夾雑物を除去する工程と、前記繊維状夾雑物が除去された汚泥をコンポスト化する工程とを経ることを特徴とする汚泥コンポストの製造方法。
【請求項2】
前記汚泥には、前記活性汚泥処理の前段に位置し、前記有機性排水に含まれる比較的小さな水不溶物を沈降除去する初沈工程から排出された初沈汚泥と、活性汚泥処理を行う活性汚泥槽から排出された余剰汚泥とを含むことを特徴とする請求項1に記載の汚泥コンポストの製造方法。
【請求項3】
前記得られた汚泥コンポストの各粒子が、互いに独立して散布できるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の汚泥コンポストの製造方法。
【請求項4】
前記有機性排水が、下水または農村集落排水または畜産糞尿であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の汚泥コンポストの製造方法。
【請求項5】
前記フィルタは多数の円筒形開孔を有するスクリーン状であり、前記インペラは前記フィルタのスクリーン状表面に沿って回転するものであり、前記除去する工程において、前記フィルタの表面上に近接した前記繊維状夾雑物が、前記インペラの回転により、前記表面から引き離されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の汚泥コンポストの製造方法。
【請求項6】
前記フィルタは、前記円筒形開孔の直径が0.5mm以上1.6mm以下であり、かつ開孔率が15%以上30%以下であることを特徴とする請求項5に記載の汚泥コンポストの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭等から排出される下水等の有機性排水に含まれる毛髪等の繊維状夾雑物を、低消費エネルギーで下水汚泥から効率よく除去し、改善された品質のコンポストを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水や農村集落排水や畜産糞尿等の有機性排水(以下、簡単に下水という)は、活性汚泥による生物処理をうけて浄化されることが多い。この活性汚泥処理に伴い発生する余剰汚泥は、8割が埋め立て処分されているが、埋め立ての適地は年々減少の一途となっている。また、余剰汚泥の焼却処分も行われているが、大量の重油を消費して炭酸ガスを排出することから好ましい対策とは言えない。
【0003】
そこで、汚泥から水分を分離して肥料等として使用できるコンポストを製造する技術開発が各種なされてきた。ところが、下水には毛髪等の繊維状夾雑物が多数含まれており、この繊維夾雑物は、活性汚泥を用いた生物処理ではその多くが分解されない。そのため、活性汚泥処理における沈殿槽で活性汚泥浮遊物質(MLSS)と共に下水から沈降分離されて汚泥中に残存する状態となる。このような汚泥から粒子状コンポストを製造すると、繊維状夾雑物が絡み合ってコンポストの大きな塊を形成しやすくなり、各工程の切り替えし、粉砕、通気等の各操作において障害を生じやすい。また、このような大きな塊は、内部が嫌気性状態に保たれてしまうため臭気を放つ不完全なコンポストになる。
【0004】
また、繊維状夾雑物が得られたコンポストに混ざり込んで、コンポストの複数の粒子を数珠のような互いにつながった状態にしてしまうことも大きな問題とされている。このような状態のコンポスト粒子は、肥料散布時に粒子を互いに引き剥がしつつ散布しなければならず、作業がかなり面倒で使いにくいものになること、毛髪が混ざっていることに対する嫌悪感が生じること、引き剥がしの際にせっかく形成された粒子が壊れてしまうこと、毛髪に付着しているヘアダイの化学成分までも農地にばら撒かれてしまうこと等から大きな問題となっていた。
【0005】
従来のコンポストの製造では、繊維状夾雑物を汚泥から除去するにはスリット型のドラムフィルターやかき上げバースクリーン等が多く用いられており、特に毛髪等が多い場合にはスリット型ドラムフィルターが多用されている。スリット型ドラムフィルターには、スリット幅が1mmの装置が多いが、これでは毛髪が多く抜け通ってしまう。そのため、スリット幅が0.7mmの装置が最近使用されるようになってきたが、まだ多くの毛髪がスリットを抜け通り、コンポスト中に存在しているのが実情である。また、スリット型に代えて網目状ドラムフィルターが用いられることもあるが、こちらは容易に目詰まりしてしまう問題点がある。
【0006】
このように、有効な繊維状夾雑物を除去する好適な方法が存在しないため、実下水場の中には、茶道で用いられる剣山に似た、多数の釘を板から突出させた器具に汚泥を注ぎ、繊維状夾雑物を引っ掛け取る方法を採用している所もある。しかし、これでは器具のメンテナンスにかなりの手間がかかるうえ、繊維状夾雑物の捕捉率も決して高くはない。
【0007】
ところで、故紙繊維とそれ以外の異物とが分散した水分散液から、スクリーンフィルタとその直前で高速回転するインペラとを用い、インペラが回転によりキャビテーションを生じることでフィルタの目詰まりを防止しつつ、故紙繊維とそれ以外の異物とを分離する故紙処理方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、特許文献1に開示された技術では、故紙繊維がフィルタを容易に透過するから、これを汚泥に適用しても、毛髪に代表される繊維状夾雑物が容易にフィルタを透過してしまうことは明らかである。
【0008】
また、汚泥コンポストの製造に係わるものではないが、有機廃液を膜分離活性汚泥法を用いて処理する際に、毛髪等の長繊維状の夾雑物や汚泥等が、活性汚泥槽に浸漬された濾過膜モジュールに詰まるのを防止するために、原水中の長繊維状夾雑物をスクリーン状フィルタと、そのスクリーン状フィルタのスクリーン面に沿って回転する回転刃とを組み合わせた長繊維状物除去装置により除去する処理方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、下水の全量に対して長繊維状夾雑物を除去する操作を行うため、除去装置の運転にかなりの電気代がかかる問題点があった。
【特許文献1】特開昭57−56593号公報
【特許文献2】特開2004−261663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、下水に含まれる毛髪等の繊維状夾雑物が、下水を活性汚泥処理するにあたり排出される汚泥から得られるコンポストに残存せず、繊維状夾雑物によりコンポストを構成する粒子どうしが結合されずに互いに独立して取り扱える、汚泥コンポストの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、有機性排水の活性汚泥処理に伴い発生する汚泥から、汚泥コンポストを製造する方法であって、前記汚泥は繊維状夾雑物を含んでおり、前記汚泥を濃縮する工程と、前記濃縮された汚泥から、前記繊維状夾雑物が透過しにくいフィルタと前記フィルタの直前で回転するインペラとを組み合わせた除去装置を用いて前記繊維状夾雑物を除去する工程と、前記繊維状夾雑物が除去された汚泥をコンポスト化する工程とを経ることを特徴とする汚泥コンポストの製造方法である。
【0011】
ここで、前記汚泥には、前記活性汚泥処理の前段に位置し、前記有機性排水に含まれる比較的小さな水不溶物を沈降除去する初沈工程から排出された初沈汚泥と、活性汚泥処理を行う活性汚泥槽から排出された余剰汚泥とを含むことは好ましい。また、前記得られた汚泥コンポストの各粒子が、互いに独立して散布できるものであることは好ましい。また、前記有機性排水が、下水または農村集落排水または畜産糞尿であることは好ましい。また、前記フィルタは多数の円筒形開孔を有するスクリーン状であり、前記インペラは前記フィルタのスクリーン状表面に沿って回転するものであり、前記除去する工程において、前記フィルタの表面上に近接した前記繊維状夾雑物が、前記インペラの回転により、前記表面から引き離されることは好ましい。また、前記フィルタは、前記円筒形開孔の直径が0.5mm以上1.6mm以下であり、かつ開孔率が15%以上30%以下であることは好ましい。
【発明の効果】
【0012】
下水から沈降分離された汚泥から繊維状夾雑物をほぼ除去できるので、最終的に得られたコンポストに繊維状夾雑物が残存せず、コンポスト粒子が繊維状夾雑物によりつながってしまうことがない。そのため、コンポストの取り扱いの際に粒子どうしを引き剥がすような手間がかからず、肥料等としてのコンポスト粒子を必要な場所に必要な数だけ容易に散布できる。また、コンポストの製造時には、製造途中の障害となる大きな塊で内部が嫌気性の不完全なコンポストが生じない。また、下水から分離された汚泥をさらに濃縮してから繊維状夾雑物をほぼ全量除去することができるから、下水全体に対して除去する場合に比較して処理対象液の容量が大幅に減少している。そのため、繊維状夾雑物の除去に必要な運転エネルギー(電気代)も大幅に減少し、下水処理に適用するのに好適な低コストを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態例を図面も引用しながら説明する。図1は、本発明の製造方法の処理工程の概略を示したフロー図であり、現在の一般的な下水処理場の下水処理フローを利用している。まず下水1は、下水処理場の沈砂池2へ流入し、沈砂池2に一定時間滞留する。この間に、下水1中に含まれる大きなゴミや砂などが沈降除去される。砂などが除去された下水は、沈砂池2から初沈槽3に移動する。初沈槽3では、下水をさらにゆっくり流し、沈砂池2で取り除けなかった微生物や泥や一部の繊維状夾雑物等を沈降・除去する。ここで沈降・除去された比較的小さい水不溶物からなる汚泥を、初沈汚泥と言う。
【0014】
初沈槽3で初沈汚泥を除かれた下水は曝気槽4に移動する。曝気槽4では好気性雰囲気下において、活性汚泥が下水中に溶け込んだ汚れを栄養として吸収し、沈降しやすい泥に変化させる。ただし、繊維状夾雑物はほとんど分解されず、汚泥中に残存する。このように生物処理された下水は、終沈槽5に移動し、下水に含まれて移動した活性汚泥と繊維状夾雑物に代表されるその他の不溶成分が沈降・除去される。活性汚泥等が沈降除去された上澄み液は、塩素消毒された後、放流水6として河川や湖などの公共水域に放流される。なお、放流水6には、繊維状夾雑物は含まれない。一方、終沈槽5で沈降除去された活性汚泥22や繊維状夾雑物は、一部が曝気槽4に返送汚泥23として戻され、残りは、濃縮槽24に送られる。
【0015】
濃縮槽25には、初沈槽3で沈降・除去された初沈汚泥24も送られており、終沈槽5からの汚泥と初沈汚泥24の両方が、コンポストの原料となる汚泥7として濃縮槽25で濃縮される工程が実行される。このように、原料汚泥7として終沈槽5からの汚泥だけではなく、一部の繊維状夾雑物を含む初沈汚泥24も用いるようにしても、後工程においていずれにも含まれる繊維状夾雑物をほぼ除去できるので、下水処理に伴い発生する汚泥のほぼ全量を、良好にコンポスト化することが可能になる。
【0016】
濃縮槽25では、バルブ30が閉じた状態で汚泥7を貯めて、さらに汚泥成分を沈澱させて濃縮する。さらに必要により遠心力を用いて機械的に濃縮しても良い。濃縮は、容量比にして下水の1/100〜1/50程度になるように行うのがよい。濃縮された汚泥の濃度は高い方がよいが、濃度が高くなると粘度も高くなって処理が難しくなるため、通常の汚泥では5%程度が上限である。また、濃縮汚泥をいったん嫌気性雰囲気下で40℃くらいに加熱して約1ヶ月反応させた消化汚泥では、パルプ質等が分解されて粘度が低くなるため、7%程度が上限である。
【0017】
後述の繊維状夾雑物除去装置で消費される電力は、処理すべき汚泥の容量と比例関係にある。そのため、このように濃縮することで低消費エネルギーで繊維状夾雑物を汚泥から除去することが可能になる。その際、汚泥が濃縮されることで繊維状夾雑物も濃縮されるから、フィルタの除去性能に悪影響が出ることが懸念されたが、意外にもそのような影響はほとんどなく、良好に繊維状夾雑物を除去できることがわかった。
【0018】
濃縮槽25で濃縮された汚泥は、待ちタンク8に送られる。なお、濃縮槽25で汚泥を除かれた残りの排水は、沈砂池2に返される。待ちタンク8に溜められた汚泥は、バルブ8を介して加圧ポンプ9により繊維状夾雑物の除去装置10の1次側室13に送られる。除去装置10は、繊維状夾雑物が透過しにくいフィルタ12と、そのフィルタ12の直前でモータ19により回転するインペラ11とを組み合わせた装置であり、繊維状夾雑物26はフィルタ12を透過しにくいが、その他の可溶性成分は、加圧ポンプ9により加えられた圧力により容易にフィルタ12を透過して、2次側室14に移ることができる。
【0019】
具体的には、フィルタは平板なスクリーン状とするのがよく、具体的には金属板に多数の円筒形開孔が穿孔されているものであることが好ましい。円筒形開孔の直径は、0.5mm以上1.7mm以下とするのが好ましい。0.5mm以上あれば汚泥中に含まれるパルプ質がフィルタを透過し、1次側室13内でパルプ質が濃縮されることがない。また、1.7mm以下であれば、毛髪等の繊維状夾雑物がフィルタを通り抜けにくい。より好ましい直径は、1.0mm以上1.4mm以下である。
【0020】
また、スクリーン状フィルタの開孔率は、濾過水量を確保する点では高い方が良いが、加圧下におけるスクリーン状フィルタの機械的強度を確保する観点からは低い方が良く、これらのバランスを取って、開孔率は15%以上30%以下とするのが好ましく、より好ましくは20%以上25%以下である。
【0021】
スクリーン状フィルタ12の直前には、フィルタ12のスクリーン面に沿って回転するインペラ11が設けられている。ここでフィルタの直前とは、加圧ポンプ9からスクリーン面に向かう濾過方向に対して、スクリーン面の上流側に近接してという意味である。インペラ11は、モータ19により回転して濾過方向に対して逆方向の流れを生ぜしめる機能を有しており、インペラ11とスクリーン状フィルタ12との間に減圧部(キャビテーション)を発生せしめ、濾過によりスクリーン状フィルタ12上に集積しやすい繊維状夾雑物26をフィルタ12から引き離す。これにより、フィルタ12の目詰まりを防ぐと共に繊維状夾雑物26を1次側室13内に留める役割を果たす。従って、インペラ11は、キャビテーションを生じうるものであれば良く、その形状は限定されない。また、インペラ11の回転数等は、加圧ポンプ9による加圧の程度により適宜設定すればよい。
【0022】
除去装置10の運転では、スクリーン状フィルタ12前後の差圧管理が重要である。差圧は10kPa〜30kPa程度に調整するのが、繊維状夾雑物の除去性能及び濾過性能のバランスの観点から好ましい。より好ましくは15kPa〜25kPaである。
【0023】
一定時間の除去運転により、1次側室13内に蓄積した繊維状夾雑物26は、バルブ33から一定時間ごとに排出し、さらに除去装置内を洗浄するのが好ましい。1回の除去運転を行う時間は、スクリーン状フィルタ前後の許容される差圧の上限値、例えば30kPaに達しない範囲内で、濃縮汚泥のSS濃度と含まれる毛髪量の変化状況を勘案しながらあらかじめ決めればよい。除去装置の運転は、このように定められた時間により設定されたタイマーを用いた自動運転により行うのが好ましい。なお、除去装置から排出された繊維状夾雑物26は、脱水後に最終処分される。
【0024】
また、除去装置10内を洗浄する際には、インペラ11を回転させながら、バルブ32から洗浄水15を除去装置10内に導入し、フィルタ12を透過して2次側室14に移動した洗浄水を、バルブ34から初沈槽3に戻すようにして行えばよい。スクリーン状フィルタの洗浄開始差圧は、差圧の上限値、例えば30kPa、に設定すればよい。定期的に洗浄操作を行うことで、安定した繊維状夾雑物の除去が可能になる。
【0025】
フィルタ12を透過した濾液には繊維状夾雑物がほとんど含まれておらず、濾液は2次側室14からバルブ35を経由して脱水機21に送られる。脱水機21では、遠心分離により濾液中の有機物等が水分から分離され、得られた有機物等がコンポスト化原料の一部として用いられ、副資材としての他のコンポスト化原料と合わせてコンポスト化装置27に投入されてコンポスト化される。
【0026】
コンポスト化の際に用いることができる他のコンポスト化原料としては、従来公知のものを特に制限なく用いることができる。例えば、廃棄木材、おがくず、藁類、籾殻、バーク、野菜くず等の生ごみ等が挙げられる。
【0027】
コンポスト化装置27におけるコンポスト化の方法も特に限定されず、公知のコンポスト化方法を用いることができる。コンポスト化工程では、好気性発酵時に70℃以上の高温状態の熱殺菌に類似した状況となるから、下水汚泥に含まれて農地還元において問題となる、人畜や植物に有害な病原菌、寄生虫、害虫の卵、雑草の種子等が死滅する作用がある。その際、コンポスト化原料中に毛髪のような繊維状夾雑物が存在しないので、好気性発酵時に繊維状夾雑物による汚泥の大きな塊を形成するような作用が生じない。そのため、各種処理の切り替えし、粉砕、通気等の各操作において、障害となりやすい大きな塊が生じない。そのため、得られたコンポスト粒子が内部まで好気性に保たれて臭気が残らず、肥料等としての使用目的に合致した良好なコンポストが得られる。
【0028】
具体的なコンポスト化方法としては、例えば、ロータリーキルン等の処理ドラム内にコンポスト化原料を投入し、これらの送り、破砕、掻き上げ等により、処理段階に応じた発酵及び水分調整を行なって製造する方法、処理ドラム内に投入されたコンポスト原料の加水量、温度、空気量の処理雰囲気調整を行なって製造する方法、処理ドラムに工夫を加え、回転軸の投入管からの給気系と、回転軸の他側面の排気系とを供えた装置を用いてコンポスト化処理する方法、コンポスト化原料を加熱用の容器内に収容し、通気しないで加熱乾燥と100〜200℃での熱処理を行い、コンポスト粒子を得る方法等の、各種の方法を用いることができる。
【0029】
上記の工程により得られたコンポストは、コンポストを構成する粒子が互いに独立して、毛髪等の繊維状夾雑物により数珠状につながった状態にはならず、土壌への散布時に粒子どうしを1つ1つ手で引き剥がす必要がない。そのため、必要な場所に必要な数の粒子を容易に散布でき手間がかからないうえ、毛髪が含まれることによる不快感も無い。
【0030】
さらに、得られたコンポストは、植物に必要な窒素やリンを含み、肥料取締り法に沿う重金属を含まないものであり、さらに毛髪に付着しているヘアダイ等の化学成分も同時に除去されている。従って、農耕地や緑地への有機質肥料または土壌改良剤として有用である。以下、実施例をもって本発明をより具体的に説明するが、本発明は、以下の具体的態様に限定されるものではない。
【実施例1】
【0031】
初沈汚泥をコンポスト化対象としない以外は図1に示されたものと同様の処理工程を、A下水処理場内にA下水処理場の既存の処理設備を利用して設置した。A下水処理場の終沈槽から引き抜かれる余剰汚泥量は100m3/日、余剰汚泥の固形物のSS濃度は1.5%である。図1のフローに従い、繊維状夾雑物の除去装置に終沈池からの余剰汚泥を濃縮槽に導入する。濃縮槽では、汚泥を重力濃縮により常温で水分率がおよそ98%にまで濃縮し(元の下水に対する容量倍率は1/100〜1/300)、待ちタンクに移送する。
【0032】
続いて、待ちタンクから加圧ポンプで繊維状夾雑物の除去装置(旭化成クリーン化学社製、商品名フィブフィルターFF−250−LS)に濃縮汚泥を送り込んで、繊維状夾雑物の除去を行った。なお、除去装置のスクリーン状フィルタには円筒形開孔の孔径が多数設けられており、その孔径は1.5mm、フィルタの開孔率は22%、フィルタの直径は150mmであった。また、除去装置の運転条件等は以下の通りとした。
(1)モータ出力・・・・・・・・・・・・・2.2Kw(400V)
(2)余剰汚泥供給量・・・・・・・・・・・4.3m3/Hr
(3)供給圧力・・・・・・・・・・・・・・200kPa
(4)濾液圧力・・・・・・・・・・・・・・180kPa
(5)スクリーン状フィルタ前後の差圧・・・20kPa
(6)濾過時間・・・・・・・・・・・・・・2時間
(7)洗浄・毛髪等排出時間・・・・・・・・120秒
【0033】
濾過運転に伴い一次側室内に毛髪、長繊維類、紙さが濃縮されるので、濾過時間経過後に洗浄水を導入し、一次側室内を洗浄する。つづいて1次側室の排出口のバルブを開き、蓄積した毛髪、長繊維類や紙さを排出する。これらの排出と洗浄の時間を上記のように120秒に設定した。2次側室側から排出された洗浄排水は初沈槽に戻した。
【0034】
この濾過と排出のサイクルをタイマーと自動弁とを用いて自動的に繰り返した。その間、スクリーン状フィルタの差圧が徐々に上昇し、これが30kPaに到達した段階で運転を停止した。そして一次側室を開いてスクリーン状フィルタを清掃した。運転開始から一回目の清掃までの運転期間は2ヶ月であった。
【0035】
濾過運転に伴い、1次側室内から排出された濃縮された毛髪等繊維状夾雑物及び固形物を乾燥したものの写真を図2に示す。図2では多くの毛髪が観察され、濃縮汚泥中の毛髪が多数除去されたことが確認できる。また活性汚泥で分解されなかった少量の紙さ類も観察される。なお、図2中の球状物は植物の種子である。
【0036】
一方、フィルタを透過した濾液中の毛髪類等に関しては、汚泥濃度が1.5%あるため不透明で、そのままでは目視で観察できない。そのため濾液を100倍に希釈し、ガラス板上に展開して観察したが、毛髪や他の夾雑物は観察されなかった。濃縮汚泥を用いているにも係わらず繊維状夾雑物の除去能が高く、良好な濾液が得られた。この濾液に、常法に従って消石灰および塩化第二鉄を加えて脱水機にかけ、遠心濃縮して含水率70%の脱水汚泥を得た。
【0037】
続いて、この脱水汚泥を用いてコンポスト化を行った。最初は、脱水汚泥を他のコンポスト製造施設で製造されたコンポストと混合造粒機で混合し、発酵槽に投入した。発酵槽は横型発酵槽とし、切り返しできる4槽設置のものとした。以下、通常のコンポスト製造法に従って、汚泥温度を管理し、発酵通気量を調整し、適宜切り返しを行った。コンポスト返送率を60%として連続製造に入った。得られたコンポストの含水率は30〜35%であった。他の製造施設からのコンポストを用いた影響が無くなったと考えられる連続製造2ヶ月後のコンポストを目視観察したが、毛髪が絡んだコンポスト粒子は見当たらなかった。
【実施例2】
【0038】
初沈汚泥と余剰汚泥とを消化処理するB下水処理場を用い、図1に示されたものと同様の処理工程をB下水処理場内にB下水処理場の既存の処理設備を利用して設置した。B下水処理場の消化汚泥量は120m3/日、消化汚泥の固形物のSS濃度は、濃縮後で6.0%であり、濃縮前に対する容量比は1/600であった。消化汚泥を圧縮槽から導いて待ちタンクに貯留し、続いて加圧ポンプから繊維状夾雑物の除去装置に汚泥を供給した。なお、除去装置の仕様は、モータを駆動電圧が200Vのものに変更した以外は実施例1のものと同じとした。運転条件は以下の通りである。
(1)電動機・・・・・・・・・・・・・・・2.2Kw(200V)
(2)消化汚泥供給量・・・・・・・・・・・4.9m3/Hr
(3)供給圧力・・・・・・・・・・・・・・250kPa
(4)濾液圧力・・・・・・・・・・・・・・225kPa
(5)スクリーン状フィルタ前後の差圧・・・25kPa
(6)濾過時間・・・・・・・・・・・・・・25分
(7)洗浄・毛髪等排出時間・・・・・・・・5分
【0039】
上記の濾過時間と洗浄排出時間からなるサイクルを繰り返し、それに伴ってスクリーン状フィルタ前後の差圧が徐々に上昇するので、差圧が30kPaに達した段階で濾過運転を停止して、除去装置を開き、スクリーン状フィルタを清掃した。運転開始から一回目の清掃までの運転期間は1ヶ月であった。
【0040】
濾過運転に伴い、1次側室内から排出された毛髪等繊維状夾雑物及び固形物を乾燥したものの写真を図3に示す。図3では、全体に黒褐色で多くの毛髪が観察できる。また、初沈汚泥からくるプラスチック製品やその破片等も含まれている。なお、紙さは分解されていない。一方、フィルタを透過した濾液を500倍に希釈し、ガラス板上に展開して観察したところ、毛髪等の繊維状夾雑物は含まれていないことがわかった。
【0041】
この濾液に、実施例1と同様に消石灰と塩化第二鉄とを加えて脱水機にかけ、遠心脱水して含水率60%の脱水汚泥を得た。この脱水汚泥を用いて実施例1と同様にしてコンポスト化を行った。得られたコンポストは、含水率が30〜60%であり、毛髪等の繊維状夾雑物を含まない良好なコンポストが得られた。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】汚泥コンポストの製造方法の処理工程の全体概略を示したフロー図である。
【図2】濃縮汚泥中の固形物を乾燥したものを写真撮影した図である。
【図3】消化汚泥中の固形物を乾燥したものを写真撮影した図である。
【出願人】 【識別番号】592008859
【氏名又は名称】旭化成クリーン化学株式会社
【出願日】 平成18年11月28日(2006.11.28)
【代理人】 【識別番号】100107571
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 哲郎


【公開番号】 特開2008−133150(P2008−133150A)
【公開日】 平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願番号】 特願2006−319724(P2006−319724)