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【発明の名称】 発酵堆肥の製造方法
【発明者】 【氏名】北島 隆彦

【要約】 【課題】悪臭が少なく、土壌に適度な栄養成分を供給することができるとともに、植物の生長阻害を防ぐことが可能な発酵堆肥の製造方法を提供する。

【解決手段】繊維状に分離された竹と家畜糞尿とを含む堆肥原料に有用微生物を混合して発酵させる。竹を繊維状に分離することで、竹に含まれる難分解性のリグニンを物理的にある程度分解した状態で堆肥原料に含有させることができる。これにより、竹の発酵を促進させることができ、竹が未発酵の状態で堆肥中に塊状に残留することを防ぐことができる。また、竹が未発酵物や半発酵物として堆肥中に残留しても、この竹は繊維状に分離されているため柔らかく、植物の生長を阻害する障害物にならず、大根や人参などの根菜類をまっすぐに生長させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維状に分離された竹と家畜糞尿とを含む堆肥原料に有用微生物を混合して発酵させることを含む発酵堆肥の製造方法。
【請求項2】
前記堆肥原料は、前記繊維状に分離された竹を家畜の敷料とすることで、前記敷料と当該敷料に排泄された家畜糞尿とが混ざり合った混合物である請求項1に記載の発酵堆肥の製造方法。
【請求項3】
前記竹は、破砕してチップ状にした後、加圧しつつ破砕・混練することによって繊維状に分離されたものである請求項1または2に記載の発酵堆肥の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、有機廃棄物を原料とした発酵堆肥の製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、筍堀り従事者の老齢化と人手不足にともない、食用筍の採掘をしないまま放置され、またその後生長した若竹の伐採をしないまま親竹になるまで放置されている管理不十分な竹林が目立っている。竹林の管理が不十分であると、竹の侵攻が進んで保水力が低下し、また、隣接する杉、ヒノキなどの他木への被害が起こり、きれいな山が喪失してしまうという、自然環境面の問題がある。このため、竹を有効利用することは、環境保全の観点からも切望されている。竹を有効利用する例として、本発明者は、筍皮や若竹(親竹となる以前の生長過程の竹)を主原料とした発酵堆肥の製造方法を特許文献1に開示している。
【0003】
【特許文献1】特開2006−131487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、家畜糞尿を発酵させた発酵堆肥は古くから農業の分野で広く用いられている。しかしながら、家畜糞尿には水分が多く含まれているためそれ単独での堆肥化が難しく、また、悪臭を放つため、家畜糞尿を原料とした堆肥の利用促進を図ることは困難であった。さらに、家畜糞尿のみを原料とした堆肥は、堆肥中に含まれる過度の窒素分により土壌の高栄養化を招き、植物の栽培において弊害が生じていた。
【0005】
そこで、特許文献1では、筍皮や若竹を主原料とし、これに家畜糞やチップ状に破砕した竹と有用微生物を加えて発酵させることによって発酵堆肥を製造している。これにより、多孔質である竹が家畜糞尿に含まれる水分を調整するとともに、竹が有する消臭効果によって家畜糞尿の悪臭が低減され、また、竹が分解される際に窒素分が消費されるため土壌の適度な栄養化を図ることができるといった優れた発酵堆肥を製造することができる。しかしながら、上記製造方法では、竹がチップ状に破砕されているため、これらが未発酵物として堆肥中に残りやすい。この場合、上記方法で製造された発酵堆肥を土壌に混合して大根や人参などの根菜類を栽培すると、未発酵状態の竹が障害物となり、大きく曲がったり二股に分かれたりするなど異形状に生長してしまうという問題が発生する。
【0006】
そこで本発明は、悪臭が少なく、土壌に適度な栄養成分を供給することができるとともに、植物の生長阻害を防ぐことが可能な発酵堆肥の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発酵堆肥の製造方法は、繊維状に分離された竹と家畜糞尿とを含む堆肥原料に有用微生物を混合して発酵させることを含むことを特徴とする。
【0008】
竹を繊維状に分離することで、竹に含まれる難分解性のリグニンを物理的にある程度分解した状態で堆肥原料に含有させることができる。これにより、竹の発酵を促進させることができ、未発酵の状態で堆肥中に塊状に残留することを防ぐことができる。また、竹が未発酵物や半発酵物として堆肥中に残留しても、この竹は繊維状に分離されているため柔らかく、植物の生長を阻害する障害物にならない。さらに、竹が繊維状に分離されていることで、チップ状に破砕された場合と比べて総表面積が大きくなり、竹と家畜糞尿とが接触する面積の増加を図ることができるので、家畜糞尿に含まれる水分をより吸収しやすく、また、竹の発酵過程における有用微生物の住みかとしての機能も高くなる。これにより、堆肥原料の発酵を促進して、短期間で堆肥原料を堆肥化することができる。
【0009】
ここで、有用微生物としては、放線菌、光合成菌、糸状菌、乳酸菌、酵母、麹菌などからいずれか1種または複数種を選んで用いるとよい。
【0010】
また、堆肥原料として、繊維状に分離された竹を家畜の敷料とすることで、敷料とこの敷料に排泄された家畜糞尿とが混ざり合った混合物を用いる方が望ましい。
【0011】
水分含有量の多い家畜糞と固形物である竹を万遍なく混ぜる作業はある程度の時間を要するものであり、また作業も煩雑である。しかしながら、繊維状に分離された竹を家畜の飼育に供される床に敷き込む、つまり敷料とすることで、敷料と敷料上に排泄された家畜糞尿とが適度に絡み合って次第に混ざり合うので、人為的に行う混合・攪拌の工程にかかる作業の負担や費やす時間を減らすことができる。また、上述したように、竹が繊維状に分離されていることにより、チップ状に破砕された竹と比較して家畜糞尿に含まれる水分を吸収しやすい。したがって、これらの混合物の回収作業も容易となる。さらに、上述したように、竹が繊維状に分離されていることで、竹と家畜糞尿とが接触する面積の増加を図ることができ、家畜糞尿の悪臭の低減に伴って、畜舎の臭いも改善することができる。また、竹の有用成分により畜舎の抗菌化も図ることができる。
【0012】
また、竹は、破砕してチップ状にした後、加圧しつつ破砕・混練することによって繊維状に分離することができる。
【0013】
これにより、径が1mm以下程度の大きさに分離された繊維状の竹を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、繊維状に分離された竹と家畜糞尿とを含む堆肥原料に有用微生物を混合して発酵させることにより、堆肥原料の発酵を促進して短期間で発酵堆肥を製造することができる。また、繊維状に分離された竹と家畜糞尿とを堆肥原料とすることで土壌に対して適度な栄養を付与することが可能な発酵堆肥を製造することができることから、有機廃棄物である家畜糞尿の利用促進を図ることができる。これにより、環境汚染の原因として挙げられる家畜糞尿の処理問題を容易に解決して、環境にかかる負荷を低減することができる。また、製造された発酵堆肥は、悪臭が少なく、適度な栄養成分を含み、植物の生長阻害を防ぐ発酵堆肥とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本実施の形態において用いられる竹とは、若竹、親竹のことを言い、単独で用いても両方用いてもよい。若竹とは親竹となる以前の生長過程の竹を指し、食用筍として掘らずにおいたため生長して食用にはならなくなったもので、およそ竹の枝が出る前迄のものである。わが国で最も多い孟宗竹でいえば、生育場所によって差異があるが、通常高さ1〜4m程度(地表から出て約1週間から1ヶ月)迄のものを言う。また、親竹とはそれ以上生長したもので、通常1年以上経過した竹質が硬くなった竹である。
【0016】
これら原料となる竹を、植繊機を用いて繊維状に分離する。植繊機とは、破砕してチップ状にした原料がホッパーから投入されると、中に設けられているスクリューによって加圧しつつ破砕・混練し、さらにカッターによってミンチ状にすりつぶして機械先端部の穴から吐き出すものである。この植繊機を用いることで、竹は、バラバラに解れ、径が1mm以下程度の大きさの綿状に分離される。このように竹を分離することで、竹に含まれる難分解性のリグニンを物理的にある程度分解した状態で堆肥原料に含ませることができるので、竹の分解や発酵を促進させることができる。
【0017】
ここで、竹の分解や発酵を促進させるためには、竹を微粉末の状態にして堆肥原料中に含ませることも考えられる。しかしながら、この場合、竹の発酵が促進されすぎてしまい、発酵堆肥として土壌に混合しても、多孔質である竹が土壌中の有用微生物の住みかとして機能したり、土壌中の水分を保持したり、通気性を確保したりすることができなくなり、植物の生育に対して良好な土壌を維持することができない。本実施の形態では、竹を繊維状に分離することで、竹の分解や発酵が過度にならないよう適度に制御することができ、発酵堆肥として土壌に混合させた後でも、竹の多孔質を有効に活用して、有用微生物の住みかを提供して活発に活動させたり、土壌の保水機能や通気性を確保したりすることができる。
【0018】
本実施の形態において家畜とは、牛、豚、鶏、馬、羊、山羊などのことを言い、これらが排泄する糞尿が堆肥原料となる。家畜糞尿に対する竹の混合割合は、家畜糞尿に含まれる水分量が家畜の種類によって大きく異なるため、それぞれ適宜設定すること望ましいが、好ましくは30%以上、望ましくは40%以上、さらに望ましくは60%以上であるとよい。若竹、親竹以外の堆肥原料としては、野菜屑、食品絞り粕、食品屑、籾殻、草木その他の分解されやすい有機物原料を少量使用することができる。また、必要に応じて貝殻、骨粉、水産加工廃棄物等の肥料成分としての物質を添加してもよい。堆肥原料の30%以上を若竹や親竹のいわゆる竹成分とすることで、他の竹成分以外のものを堆肥原料とする発酵肥料との差別化ができ、トレーサビリティの点からも安心な発酵堆肥となる。また、堆肥原料に最適の発酵方法、とくに混合する有用微生物群のなかの最適な微生物を選定することができる。
【0019】
堆肥原料の発酵工程において、発酵温度は発酵状態を管理する上で重要であり、60℃以上、好ましくは70℃以上となるように、堆肥原料の混合割合を設定し、また、切り返しを行う。前述の混合割合で発酵させれば、有用微生物の活動は旺盛となって発酵温度が70℃以上となり、切り返しを適宜行うことによって70℃以上を維持すれば、家畜糞尿に含まれる有害菌や雑草種子を殺菌・死滅させることができるとともに、発酵がさらにスムーズに進んで短期間で良質な堆肥を製造することができる。
【0020】
本発明において用いる有用微生物は、有害物質を含まず、発酵工程において活性を示すものであればよい。実際に用いる有用微生物としては、嫌気性微生物と好気性微生物が共存した有用微生物で、放線菌、光合成菌、乳酸菌、糸状菌、酵母、麹菌のいずれか1種以上を含むものであることが好ましい。これらの微生物のなかで、放線菌としてはStreptomyces、Streptoverticillium、Nocardia、Micromonospora、Rhodococcus、Actinomyces、Corynebacterium、光合成菌としてはChlorobium、Chromatium、Chloroflexus、Rhodospirillum、Rhodopseudomonas、Rhodobacter、Acetobacter、Azotobacter、Rhizobium、Methlomonas、乳酸菌としてはPropionibacterium、Lactobacillus、Pediococcus、Streptococcus、Micrococcus、Leunostoc、糸状菌としてはAspergillus、Mucor、Trichodema、酵母に属するものとしてはPichia、Saccharomyces、Candida、細菌としてはBacillus、Cellulomonas、Celluribrio、Cytohaga、Clostridium、Desuifotomaculumのなかから選定して使用するのが望ましい。
【0021】
次に、本実施の形態における発酵堆肥の製造方法について説明する。
まず、植繊機(神鋼造機株式会社製)を用いて竹を繊維状に分離する。これを、畜舎の床の上に敷料として適当な厚さとなるように広げる。竹は繊維状に分離されて径が1mm以下程度の細かい綿のような状態となっているため、家畜の足や体を傷つけることはない。
【0022】
敷料の上に排泄された糞尿は敷料と適度に絡み合い、家畜が敷料上を歩いたり寝そべったりすることで次第に敷料と家畜糞尿が混ざり合う。ここで、竹が繊維状に分離されていることにより、排泄された糞尿の水分が吸収されるので、畜舎の乾燥した床面環境が効果的に維持される。また、竹が有する消臭機能により、畜舎における悪臭の低減を図ることができる。
【0023】
敷料と家畜糞尿とが混ざり合ったものは、適宜回収して堆肥原料とする。回収された堆肥原料はこのまま有用微生物を加えて発酵させてもよいが、たとえば、含水率の高い豚糞などが原料に含まれる場合には、水分量を適量とするために籾殻やフスマなど吸水率の高い材料を加えてもよい。また、野菜屑、食品絞り粕、食品屑、籾殻、草木その他の分解されやすい少量の有機物原料はこの段階で堆肥原料中に混合させる。
【0024】
発酵工程では、発酵温度が70℃以上となるように適宜切り返しを行う。季節や天候などによりずれは生じるが、およそ30〜40日程度で発酵が終了し、発酵堆肥の製造が完了する。このようにして製造された発酵堆肥は、家畜糞尿により分解時に多量に生産される窒素分が竹の分解の際に消費されるため窒素分が過多になることがなく、土壌の適度な栄養化を図ることが可能な発酵堆肥となる。
【0025】
上記方法で製造された発酵堆肥は土壌に混合して使用する。本実施の形態では、竹を繊維状に分離しているため、発酵堆肥中に竹が未発酵物や半発酵物として残留しても、植物の根の生長を妨げる障害物とはならず、大根や人参などの根菜類をまっすぐ下方へ生長させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、有機廃棄物を原料とした発酵堆肥の製造方法として用いることができる。特に本発明の製造方法により製造された発酵堆肥は、悪臭が少なく、土壌に適度な栄養成分を供給することができるとともに、植物の生長阻害を防ぐことが可能な発酵堆肥として好適に用いることができる。
【出願人】 【識別番号】304065086
【氏名又は名称】マイクロメディアジャパン株式会社
【出願日】 平成18年11月21日(2006.11.21)
【代理人】 【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久


【公開番号】 特開2008−127246(P2008−127246A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−314791(P2006−314791)