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【発明の名称】 生物系廃棄物の処理方法及びその装置
【発明者】 【氏名】芹澤 順三郎

【要約】 【課題】簡便かつ衛生的に、廃鶏等の生物系廃棄物を高温処理して肥料化できる生物系廃棄物の処理方法及びその装置を提供する。

【解決手段】回転駆動軸21に多数本の回転粉砕羽根23が取付けられた回転粉砕羽根ユニットUが処理槽B内に配設された処理装置Aを使用して、被処理物である廃鶏類等の生物系廃棄物を回転粉砕させながら発酵処理する生物系廃棄物の処理方法であって、前記処理槽B内に前記生物系廃棄物を投入し、高温耐性菌及び木片チップを添加、混合した後、高温熱風Wを吹き込んで処理槽B内温度を90℃から120℃に維持した状態で、前記生物系廃棄物、高温耐性菌、及び木片チップの混合物を回転粉砕、攪拌しながら発酵処理を行い、前記生物系廃棄物を肥料化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動軸に多数本の回転粉砕羽根が取付けられた回転粉砕羽根ユニットが処理槽内に配設された処理装置を使用して、被処理物である廃鶏類等の生物系廃棄物を回転粉砕させながら発酵処理する生物系廃棄物の処理方法であって、
前記処理槽内に前記生物系廃棄物を投入し、好気性細菌及び水分調整材を添加、混合した後、高温熱風を吹き込んで処理槽内温度を90℃から120℃に維持した状態で、前記生物系廃棄物、好気性細菌、及び水分調整材の混合物を回転粉砕、攪拌しながら発酵処理を行い、前記生物系廃棄物を肥料化することを特徴とする生物系廃棄物の処理方法。
【請求項2】
前記好気性細菌は、アクチノマイセス属の放線菌を主体とする高温耐性菌であることを特徴とする請求項1に記載の生物系廃棄物の処理方法。
【請求項3】
前記水分調整材は、長さ3mmから15mm、幅1mmから3mm、厚さ2mmから5mmの大きさの木片チップであって、温度140℃から250℃、圧力4.9×105 Paから9.8×105 Paの水蒸気条件下で30分から120分処理して得られた半炭化状態の前記好気性細菌用担体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の生物系廃棄物の処理方法。
【請求項4】
回転駆動軸に多数本の回転粉砕羽根が取付けられた回転粉砕羽根ユニットが前記処理槽内に配設され、被処理物である廃鶏類等の生物系廃棄物を回転粉砕させながら前記高温熱風と前記好気性細菌の作用によって、前記生物系廃棄物を発酵処理する生物系廃棄物の処理装置であって、
前記処理槽を構成する断面半円状の底板には、刃板部が前記回転駆動軸の軸心に対してほぼ直交する多数の固定粉砕刃が取付けられていることを特徴とする生物系廃棄物の処理装置。
【請求項5】
前記固定粉砕刃は、前記処理槽の底板に固定される固定板部と、当該固定板部から起立した刃板部とからなって、前記固定板部における回転粉砕羽根の回転方向に沿って手前側に位置する端面は、当該端面に当接した被処理物が回転粉砕羽根の回転によって刃板部の側に移動するように、前記回転駆動軸の軸心に対して傾斜し、前記刃板部における回転粉砕羽根の回転方向に沿って手前側に位置する端面は、前記固定板部の板面に対して前傾していることを特徴とする請求項4に記載の生物系廃棄物の処理装置。
【請求項6】
前記処理槽の底板に固定された多数の固定粉砕刃は、展開状態において千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の生物系廃棄物の処理装置。
【請求項7】
前記回転粉砕羽根は、先端部に処理槽の底板面との間で粉砕された被処理物を磨り潰すための断面略円形の磨潰し具が設けられていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の生物系廃棄物の処理装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、主に廃鶏等の生物系廃棄物を高温耐性菌により高温発酵処理して肥料化(堆肥化)する生物系廃棄物の処理方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
手軽に調理できて栄養価も高い卵は、日常の食卓には欠かせない食材となっているが、特に、養鶏技術等の進歩により最近では卵を安価に入手できるため、卵の消費量は非常に高い。また、鶏肉を常食する食文化を持つ地域だけでなく、牛肉等から鶏肉を好む健康志向の消費者も世界的に増加し、鶏肉の消費量も増加している。養鶏施設では多量の鶏を飼育しているが、それに伴い廃鶏(死鶏)の発生数、その処理数も多い。養鶏施設では、廃鶏の発生は不可避であり、その処理方法は大きな問題となっている。従来の廃鶏処理方法としては、地中に埋めて廃棄する、産業廃棄物処理業者に依頼する、或いは、特許文献1に記載されるように、そのまま鶏糞に混入させて堆肥化する等の方法が実施されてきた。しかし、地中に埋めて廃棄する場合には、まず、その廃棄場所として膨大な敷地面積が必要であり、限られた敷地面積では廃鶏の廃棄量に限界がある。次に、廃鶏を地中に埋めれば土壌汚染や地下水汚染等の問題を生ずるおそれがある。更に、産業廃棄物処理業者に依頼するのは、廃鶏を引き取ってもらうまでに時間がかかり、引き取ってもらうまで廃鶏を収容する場所も要する。手間もコストもかかる。また、廃鶏を鶏糞に混入させて堆肥化すると、前記鶏糞の成分にばらつきがあるため、得られた堆肥の成分にもばらつきが生じる。更に、いずれの方法も、環境衛生上の問題、即ち廃鶏の死因が病原性微生物である等の場合において、病原性微生物が拡散して感染地域が拡大してしまう可能性を否定できない。
【特許文献1】特開2005−124391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、簡便かつ衛生的に、廃鶏等の生物系廃棄物を高温処理して肥料化できる生物系廃棄物の処理方法及びその装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、回転駆動軸に多数本の回転粉砕羽根が取付けられた回転粉砕羽根ユニットが処理槽内に配設された処理装置を使用して、被処理物である廃鶏類等の生物系廃棄物を回転粉砕させながら発酵処理する生物系廃棄物の処理方法であって、前記処理槽内に前記生物系廃棄物を投入し、好気性細菌及び水分調整材を添加、混合した後、高温熱風を吹き込んで処理槽内温度を90℃から120℃に維持した状態で、前記生物系廃棄物、好気性細菌、及び水分調整材の混合物を回転粉砕、攪拌しながら発酵処理を行い、前記生物系廃棄物を肥料化することを特徴としている。
【0005】
請求項1の発明によれば、被処理物には水分調整材が混合されているので、処理槽内を90℃から120℃という高温状態においても処理槽内の水分を急激に蒸発させて前記被処理物を乾燥させ過ぎてしまうことなく、好気性細菌が十分に発酵可能な程度の水分を前記処理槽内にとどめておき、発酵速度に併せて徐々に乾燥させていくことが可能である。また、外気から取り込んだ空気をヒータや熱風発生装置等により高温熱風にして処理槽内に導入するため、前記好気性細菌が十分に発酵可能な程度の空気を処理槽内に確保することができる。更に、前記処理槽内温度が上記のような高温状態にあるので、生物系廃棄物を腐敗させて悪臭の原因となる病原性微生物や雑菌等は死滅するために、前記生物系廃棄物の処理工程において悪臭の発生が抑制される。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記好気性細菌は、アクチノマイセス属の放線菌を主体とする高温耐性菌であることを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明によれば、前記好気性細菌として、アクチノマイセス属の放線菌を主体とする高温耐性菌類を用いることによって、90℃から120℃という処理槽内の高温条件下でも前記高温耐性菌は活性を示すので、前記生物系廃棄物を十分に発酵処理することができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記水分調整材は、長さ3mmから15mm、幅1mmから3mm、厚さ2mmから5mmの大きさの木片チップであって、温度140℃から250℃、圧力4.9×105 Paから9.8×105 Paの水蒸気条件下で30分から120分処理して得られた半炭化状態の前記好気性細菌用担体であることを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明によれば、木材を細片化した木片チップを使用することにより、被処理物中に空隙が生じるため、前記被処理物中の通気性を良好にすることができる。また前記木片チップに水蒸気で高温高圧処理を施すことにより、前記好気性細菌の増殖を阻害する前記木材に含有する精油等が揮発し、前記木片チップに付着している腐朽菌等の雑菌は殺菌される。また、前記木片チップが半炭化状態になることにより、木片の多孔性や耐摩耗性、臭気成分の吸着性が上昇する。このため、半炭化状の前記木片チップを生物系廃棄物に混合することによって、前記生物系廃棄物に不要な雑菌を与えることなく、被処理物中の水分量を適度に調節し、前記生物系廃棄物の発酵過程で発生するアンモニア等の臭気成分の分子を吸着できる。
【0010】
請求項4の発明は、回転駆動軸に多数本の回転粉砕羽根が取付けられた回転粉砕羽根ユニットが前記処理槽内に配設され、被処理物である廃鶏類等の生物系廃棄物を回転粉砕させながら前記高温熱風と前記好気性細菌の作用によって、前記生物系廃棄物を発酵処理する生物系廃棄物の処理装置であって、前記処理槽を構成する断面半円状の底板には、刃板部が前記回転駆動軸の軸心に対してほぼ直交する多数の固定粉砕刃が取付けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項4の発明によれば、前記処理槽を構成する断面半円状の底板に、多数の固定粉砕刃が取付けられ、該固定粉砕刃の刃板部が前記回転駆動軸の軸心に対してほぼ直交するように底板から起立しているため、回転粉砕羽根ユニットの多数本の回転粉砕羽根が回転すると、処理槽内の生物系廃棄物の混合物は断面半円状の底板に沿って連れ廻され、その途中で多数の前記固定粉砕刃に引っ掛かって粉砕されていくので、前記固定粉砕刃がない場合と比較して前記生物系廃棄物の粉砕効率が向上して、発酵処理が促進される。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4に記載の発明において、前記固定粉砕刃は、前記処理槽の底板に固定される固定板部と、当該固定板部から起立した刃板部とからなって、前記固定板部における回転粉砕羽根の回転方向に沿って手前側に位置する端面は、当該端面に当接した被処理物が回転粉砕羽根の回転によって刃板部の側に移動するように、前記回転駆動軸の軸心に対して傾斜し、前記刃板部における回転粉砕羽根の回転方向に沿って手前側に位置する端面は、前記固定板部の板面に対して前傾していることを特徴としている。
【0013】
請求項5の発明によれば、前記処理槽内において回転粉砕羽根の回転により連れ廻される被処理物の生物系廃棄物が、底板に固定された多数の固定粉砕刃に当接すると、固定粉砕刃を構成する固定板部の手前側の端面が上記のように傾斜しているため、連れ廻り回転されている被処理物は、固定粉砕刃の刃板部の側に移動させられて、粉砕頻度が増す。従って、被処理物の粉砕効率が向上する。
【0014】
また、固定粉砕刃を構成する固定板部の手前側の端面が上記のように傾斜し、かつ刃板部の手前側の端面が上記のように前傾しているために、前記固定板部の端面が回転駆動軸の軸心に平行で、前記刃板部の端面が前記固定板部の板面に対して垂直である場合と比較して、被処理物が固定粉砕刃に衝突する際の衝突力が緩和されて、衝突力によって処理槽の底板に固定されている固定粉砕刃が外れなくなる。
【0015】
請求項6の発明は、請求項4又は5に記載の発明において、前記処理槽の底板に固定された多数の固定粉砕刃は、展開状態において千鳥状に配置されていることを特徴としている。
【0016】
請求項6の発明によれば、回転粉砕羽根ユニットの回転時において、多数の固定粉砕刃に対して被処理物が分散して衝突するために、各回転粉砕羽根の回転抵抗が均一となって、被処理物をスムーズに粉砕できる。
【0017】
請求項7の発明は、請求項4ないし6のいずれかに記載の発明において、前記回転粉砕羽根は、先端部に処理槽の底板面との間で粉砕された被処理物を磨り潰すための断面略円形の磨潰し具が設けられていることを特徴としている。
【0018】
請求項7の発明によれば、回転粉砕羽根と処理槽の底板に設けられた固定粉砕刃とで粉砕された被処理物は、更に、回転粉砕羽根の回転によって、当該回転粉砕羽根の先端の断面略円形の磨潰し具と、処理槽の底板面との間で磨り潰されることにより、骨類が粉砕されてより小さく粉砕される。この結果、ユニットの回転時において、多数の固定粉砕刃に対して被処理物が更に分散して衝突するために、回転粉砕羽根ユニットの回転抵抗が均一となって、被処理物をよりスムーズに粉砕できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、処理槽内を90℃から120℃という高温状態においても、好気性細菌が十分に発酵可能な程度の水分を前記処理槽内にとどめておき、発酵速度に併せて徐々に乾燥させていくことが可能である。また、外気から取り込んだ空気を高温熱風にして処理槽内に導入するため、前記好気性細菌が十分に発酵可能な程度の空気を処理槽内に確保することができる。更に、生物系廃棄物を腐敗させて悪臭の原因となる病原性微生物や雑菌等は死滅するために、前記生物系廃棄物の処理工程において悪臭の発生が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、最良の実施形態を挙げて本発明について更に詳細に説明する。なお、以下、本発明である生物系廃棄物の処理装置を単に「処理装置」ということもある。最初に、図1ないし図9を参照にして、処理装置について説明する。図1は、処理装置Aの全体斜視図であり、図2は、処理装置Aの正面断面図であり、図3は、図2のX−X線断面図であり、図4は、側板3を取り外した状態の右側面図であり、図5は処理槽Bの底板5に固着された多数の固定粉砕刃7の配置を示す展開図であり、図6は、前記底板5に固着された固定粉砕刃7の斜視図であり、図7(イ),(ロ)は、それぞれ固定粉砕刃7の正面図及び右側面図であり、図8は、断面L字形のアングル材51の直交部を真上にした状態で、長手方向に対して45°傾斜した角度θ0 で切断する状態を示す平面図であり、図9は、回転粉砕羽根23の斜視図である。図1ないし図4において、処理装置Aは、複数本のアングル材で構成された枠体1を直方体枠状に組んで、底面を除く残りの5面は天板2及び側板3で覆われた構成であり、枠体1の底部の四隅には移動可能なようにキャスター15が取付けられている。また、処理装置Aは、長手方向(正面視において左右方向)に沿って処理槽Bと機器収納室Cとに二分されている。前記処理槽Bは、両側板4a,4bが枠体1を構成するアングル材1aに溶接された状態で枠体1に取付けられて、前記処理槽Bには回転粉砕羽根ユニットUが回転可能に支持された構成となっている。
【0021】
図2ないし図4、及び図9を用いて回転粉砕羽根ユニットUについて説明する。回転粉砕羽根ユニットUの回転駆動軸21は、処理槽Bの側板4a,4bを貫通して両側端の軸受22a,22bにより水平に支持されている。前記各軸受22a,22bは、枠体1を構成するアングル材1bによって支持されている。前記回転駆動軸21の一端部は、機器収納室Cに入り込んでいて、当該機器収納室Cに設置された軸受22cにも支持されている。前記軸受22cは、枠体1を構成するアングル材1cの短手方向(正面視において前後方向)に沿った中央部に固定されていて、アングル材1cの前記中央部は直立するアングル材1dによって下から補強されている。回転駆動軸21には、軸方向に沿って一定間隔をおき、しかも回転方向に沿って90°ずつ位相をずらして多数本の回転粉砕羽根23が取付筒25を介して取付けられている。図9に示すように、回転粉砕羽根23の構成は、粉砕刃体23bが取付板部23aの回転方向Pに沿った前側に固着され、前記取付板部23aの後側にはバランス板部23cが固着されている。前記回転粉砕羽根23のうち、処理槽Bの軸方向の両端に取付けられた各回転粉砕羽根23の先端部には、処理槽Bを構成する両側板4a,4bの内側面の付着物を除去可能にするためのスクレーパ板26が取付けられている。また、軸方向の両端以外の位置に取付けられた各回転粉砕羽根23の先端部には、被処理物S中に含まれる骨類を処理槽Bの底板5との間で磨り潰して細かく砕いていくための断面略円形状の磨潰し具24が固着されている。
【0022】
次に、図3、図5ないし図8を用いて処理槽B及び、当該処理槽Bの内周面に取付けられた固定粉砕刃7について説明する。図3に示すように、前記処理槽Bの下半部は断面半円状をした底板5から構成されていて、前記底板5の外周面には、断面円弧状にシート型のヒータ8が貼り付けられている。最底部5aを除く底板5の内周面には、回転駆動軸21の軸方向に沿って各回転粉砕羽根23と干渉しない位置に多数の固定粉砕刃7が、回転駆動軸21の軸方向、及び回転方向の双方に沿って所定間隔をおいて溶接により一体に取付けられている。また、前記底板5の内周面を回転粉砕羽根23の回転方向Pに沿って展開した状態において、前記固定粉砕刃7は全て同一の向きで千鳥状に配置されているが、両端側、即ち底板5の最底部5aから最も離れた位置に配置された固定粉砕刃7のピッチは半分になって、密に配置されている。ここで、図5を用いて前記固定粉砕刃7の形状について説明する。図8に示すように、前記固定粉砕刃7は、断面L字形のアングル材51の直交部を真上にした状態で、長手方向に対して45°傾斜した角度θ0 で所定幅に切断されたものであり、図5ないし図7に示すように、前記固定粉砕刃7は、固定板部7aに対して刃板部7bがほぼ直交した変則L字形をしている。このため、前記刃板部7bの回転方向Pに沿った手前側に位置する端面7b1 は、前記固定板部7aの板面7a2 に対して角度θで前傾している。また、前記固定粉砕刃7は、刃板部7bの板面7b2 が回転駆動軸21の軸方向に対して直交するように前記底板5に固定されていて、固定粉砕刃7の固定板部7aにおいて、回転粉砕羽根23の回転方向Pに沿って手前側に位置する端面7a1 は、当該端面に当接した被処理物Sが回転粉砕羽根23の回転によって刃板部7bの側に移動させられて、前記刃板部7bの回転方向Pに沿って手前側に位置する端面7b1 と回転粉砕羽根23の粉砕刃体23bとの間で被処理物Sが効率的に粉砕可能となるように、前記回転駆動軸21の軸心に対して傾斜している。なお、図6において、前記固定粉砕刃7の形状との比較のために、前記アングル材51の直交部を真上にした状態で短手方向に沿って所定幅に切断されて作られた単純L字形の部材を二点鎖線で示してある。また、処理槽Bの長手方向に沿った中央部において、底板5の最底部5aよりも僅かに高い位置で、しかも相隣接する固定粉砕刃7の間の部分には、被処理物Sの処理中における処理槽B内の温度を検出する温度センサ9の検出部が内部に僅かに臨んだ形態で取付けられている。
【0023】
次に、図2及び図4を用いて機器収納室C及び当該機器収納室Cに配置された機器について説明する。機器収納室Cには、前記回転粉砕羽根ユニットUの回転駆動軸21を駆動させる駆動モータ31、処理槽B内に高温熱風を送るためのブロワ32、処理槽B内の温度によりブロワ32の断続運転の制御等を行う制御盤33が収納されている。駆動モータ31の駆動軸31aに取付けられた鎖歯車34と、前記回転駆動軸21の一端部に取付けられた鎖歯車35とが無端鎖36で連結されている。また、ブロワ32の送気管32aは、処理槽Bの側板4bを貫通して熱風流入孔6から処理槽B内に入り込んでいると共に、ブロワ32の吸気管32bは、熱風発生装置Hに連結されて、当該熱風発生装置Hで発生した高温熱風Wを吸引して、処理槽B内に送り込んでいる。
【0024】
また、図1に示すように、処理装置Aの天板2において、蓋板11により閉塞可能な被処理物Sの投入口12が正面手前側に形成され、処理槽Bの側板4bに形成された熱風流入孔6から最も離れた部分には、処理槽B内で被処理物Sの生物系廃棄物41から発生した水蒸気や気体成分を含んだ気流を排気するための排気筒13が設けられている。また、処理装置Aの側面において、機器収納室C側の側面を覆う側板3は、取外し可能な点検扉3aとなっており、点検扉3aの反対側、即ち処理槽B側の側面を覆う側板3bには、粉砕及び発酵処理を終えて肥料化された被処理物S’(以下、「処理済被処理物」という。)の取出口14が設けられている。なお、図中の符号11aは蓋板11を開閉するための取っ手であり、符号14aは、前記取出口14の周囲を覆う取出口カバーである。また、処理装置Aには、運転時間が経過した時点で自動的に運転を終了するためのタイマー、及び処理装置Aの運転中に蓋板11が開いた場合に運転を停止する安全装置が内蔵されている(共に図示せず)。
【0025】
次に、被処理物Sである生物系廃棄物41の発酵処理について説明する。処理装置Aの処理槽Bには、廃鶏類の生物系廃棄物41、水分調整材としての半炭化状の木片チップ42、及び好気性細菌であるアクチノマイセス属の放線菌類を主体とした高温耐性菌43を投入し、これらの混合物を被処理物Sとして、前記高温耐性菌43により被処理物Sを発酵処理して肥料(堆肥)化する。ここでの発酵とは好気的発酵を指し、生物系廃棄物41等を構成する有機物を好気的に好気性細菌の代謝によって分解、低分子化することをいう。肥料化(堆肥化)とは、前記有機物を完全分解するのではなく、易分解性有機物は分解して低分子化し、難分解性有機物は残存した「中間分解物」の状態で留めておくことをいい、肥料化された処理済被処理物S’は、低分子化された無機物(肥料成分)と残存している有機物とがバランスよく土壌に供給されるので良質な有機質資材となる。前記好気性細菌である高温耐性菌43が十分に活性化し、前記被処理物Sを発酵させるには、前記高温耐性菌43の栄養源、即ち、エネルギー源として分解すべき有機物の存在、適度な温度、水分量、酸素(空気)量が必要であり、前記処理槽B内の環境を上記条件が揃うように整えなければならない。以下、各条件について説明する。
【0026】
まず、エネルギー源となる有機物の存在については、前記生物系廃棄物41は廃鶏類であるため、これらを構成している糖、蛋白質、炭水化物および脂質などの易分解性有機物が前記高温耐性菌の主な栄養源となっている。次に、温度条件については、好気性細菌としてアクチノマイセス属の放線菌類を主体とした前記高温耐性菌43を用いるので、処理槽B内の温度が90℃から120℃という高温に至っても発酵のための温度条件は満たされる。120℃より高温になってしまうと、高温すぎて前記高温耐性菌43が不活性化してしまう点、処理槽B内の水分が蒸発してしまい、適度の水分量を保つことができない点等で不都合であり、90℃より低温の場合には、前記高温耐性菌43は活性状態に保てるが、雑菌等の殺菌効果が低下するので雑菌による生物系廃棄物41の分解、腐敗が生じてしまい、悪臭の発生や処理済被処理物S’の肥料としての品質の低下が起こるため、適さない。なお、処理槽B内の温度設定については、処理槽B内に投入する生物系廃棄物41の体積量(重量)や、処理済被処理物S’の使用目的等に応じて90℃から120℃の温度範囲内で、処理装置Aの運転開始時に使用者が自由に設定することができる。
【0027】
適度な水分量については、水分調整材として半炭化状態の木片チップ42を使用するために、処理槽B内には前記高温耐性菌43が活性可能な水分量に保たれる。即ち、処理槽B内の被処理物S中の水分量が多過ぎると、通気性が悪くなるため好気的条件を満たさず発酵不良となり、低水分でも水不足で発酵不良となってしまうので、適度な量が保たれていなければならない。本発明では、水分調整材として、杉や檜等の木材を長さ3mmから15mm、幅1mmから3mm、厚さ2mmから5mmの大きさに細片化したチップに、温度140℃から250℃、圧力4.9×105 Paから9.8×105 Paの水蒸気条件下で30分から120分処理を施して得られた半炭化状態の木片チップ42を使用する。木片チップ42を上記寸法に細片化するのは、上記寸法より大きいと、前記高温耐性菌43の担持部となる木片チップ42の表面積の総和が減少してしまうからであり、上記寸法より小さいと、前記木片チップ42が生物系廃棄物41中に混入することで生じる空隙率は減少し、被処理物S中に十分な通気性を確保できなくなり、前記高温耐性菌43が十分に好気性発酵できなくなるからである。また、半炭化状態に処理された木片チップ42において、その微視的構造は、細胞壁が気質として残り、導管又は仮導管がマクロ孔となったハニカム構造を呈しており、前記細胞壁内部にも微細孔が生成されるので、木片チップ42の多孔性が非常に高い。また、半炭化状態の木片チップ42は耐摩耗性にも優れ、前記木片チップ42を処理槽B内に投入し、前記生物系廃棄物41と共に回転粉砕、攪拌しても、即座に粉々に粉砕されるのではなく、徐々に粉砕されていくので、前記多孔性を有する木片構造が長時間維持される。従って、前記多孔性及び前記耐摩耗性により、前記木片チップ42は吸水性、保水性に優れており、処理槽B外周面のヒータ8及び熱風発生装置Hから供給された高温熱風Wによって処理槽B内が高温(90℃から120℃)になっても、木片チップ42を含んだ被処理物Sの水分量は適度に保たれ、被処理物Sが発酵処理されて肥料化されていく速度に沿うように、前記被処理物S中の水分は蒸発して減少していく結果、適度に乾燥した良質な有機肥料が生成する。以上より、木片チップ42は優れた水分調節機能を有している。
【0028】
ここで、前記木片チップ42の水分調節機能以外の利点について説明する。まず、上記したように、前記木片チップ42を生物系廃棄物41と混合することにより、被処理物S内の通気性が増す。次に、前記木片チップ42の多孔性によって、気体分子の吸着性が高く、前記生物系廃棄物41の発酵過程で発生するアンモニアや硫化物等の臭気成分分子を吸着する。従って、前記木片チップ42を使用することにより、生物系廃棄物41の発酵の際に発生する悪臭を抑制することができる。また、前記木片チップ42は半炭化状態にあるので、前記高温耐性菌43の増殖を阻害する製油等は木材から揮発していて、前記木片チップ42に付着している腐朽菌等の雑菌も殺菌されている。このため、前記半炭化状の木片チップ42を生物系廃棄物41に添加、混合しても、前記生物系廃棄物41に不要な雑菌を与えることはないので、前記雑菌により生物系廃棄物41が分解されて悪臭を発生したり、腐敗することはほとんど無い。また、従来では鶏糞等を堆肥化する場合には、鶏糞中の通気性を高めて発酵を促進するためにオガコを加えていた。しかし、オガコの構成成分であるセルロースやリグニンが難分解性有機物であるためにかえって発酵分解が低下し、また、生成した堆肥を使用すると、土壌中で前記難分解性有機物の発酵分解が進行して土壌中の酸素が消費されてしまうため、植物の根の呼吸を阻害してしまう等の不都合があった。しかし、木片チップ42は既に半炭化状態まで処理されているため、処理槽B内での発酵処理速度が低下することはほとんど皆無であり、また、処理済被処理物S’を使用した場合、土壌中における前記難分解性有機物の発酵分解は非常に遅く、植物への悪影響も非常に小さいと考えられ、木片チップ42を使用した場合、良質な有機肥料を生成できる。
【0029】
次に、前記高温耐性菌43が前記生物系廃棄物41を十分に発酵するために必要な酸素(空気)量について説明する。まず、上記したように細片化した木片チップ42を使用することにより、前記被処理物S中の空隙率が上昇し、通気性が増すので前記高温耐性菌43に酸素が供給される。次に、回転粉砕羽根ユニットUにより、処理装置Aの運転中には、処理槽B内を回転粉砕羽根23が回転し、被処理物Sを攪拌するので、前記生物系廃棄物41は、処理槽Bの内周面に固定された固定粉砕刃7に衝突し、前記被処理物Sは細部にわたって空気と十分に接触する。これにより、前記被処理物S中に存在する高温耐性菌43には酸素が十分に供給されるため、前記高温耐性菌43は好気性発酵を行い、前記被処理物S中の生物系廃棄物41を分解していく。また、処理槽B内には、熱風発生装置Hで作られた高温熱風Wが熱風流入孔6から導入されるため、前記高温耐性菌43が好気性発酵を行って処理槽B内の酸素を消費しても、外気が取り込まれて高温化した高温熱風Wには十分な酸素量が含まれているため、処理槽B内には適度な酸素量が供給されることとなって、前記高温耐性菌43が嫌気性条件下に晒されることはない。従って、酸素不足により前記生物系廃棄物41の分解が途中で止まってしまうことはなく、又不十分に分解されて悪臭が発生することもない。
【0030】
以上より、処理槽B内には、高温耐性菌43が生物系廃棄物41を発酵処理できるための上記各条件が満たされるため、処理装置Aの運転を開始すると、処理槽B内では前記高温耐性菌43が前記生物系廃棄物41を十分に発酵し、水分が適度に抜けていく結果、適度に乾燥した処理済被処理物S’が生成する。処理済被処理物S’は、植物の発育に不可欠な窒素、リン、カリウム等の肥効成分を多く含有した良質な有機肥料である。また、発酵鶏糞に比べて、処理済被処理物S’は、生物系廃棄物41である廃鶏の骨類が含まれているためにカルシウムが多く、廃鶏の羽が含まれているために窒素も多く含まれたものとなっている。
【0031】
次に、処理装置Aの操作方法について説明する。まず、処理装置Aの使用開始初日には、処理装置Aの蓋板11を開けて、処理槽Bの有効処理容量の約40%の半炭化状木片チップ42、及び前記有効処理容量0.1m3 につき1kgの高温耐性菌43を処理槽B内に投入する。生物系廃棄物41(廃鶏)の投入量については、使用開始初日から一週間前後は高温耐性菌43を活性化させるために、通常連続運転時に投入する量の70%程度に投入量を抑えて生物系廃棄物41を毎日追加投入して処理装置Aを連続運転する。この作業を初期作業という。約一週間の前記初期作業の期間経過後からは、所定量の生物系廃棄物41(廃鶏) を処理槽Bに追加投入して処理装置Aの通常連続運転を行う。本実施例では、有効処理容量が0.7m3 である処理槽Bを使用し、前記通常連続運転の際は、前記生物系廃棄物41 (廃鶏) を通常運転開始日には50羽(前記有効処理容量の約30%に相当)、その翌日以降には30羽(前記有効処理容量の18%から20%に相当)ずつ毎日追加投入していく。この作業を通常作業という。前記初期作業における処理装置Aの連続運転は、前記通常作業における処理装置Aの通常連続運転と同一であるので、以下、通常作業における処理装置Aの通常連続運転について説明する。通常連続運転開始日において、前記初期作業によって既に処理槽B内で生成された処理済被処理物S’に追加する形で、50羽の生物系廃棄物41を処理槽B内に投入して、前記蓋板11を閉める。次に、処理槽B内に投入した被処理物Sの容量、外気温、処理済被処理物S’の用途等を考慮して、処理槽B内の温度(通常90℃であり、上限は120℃程度)を設定する。前記生物系廃棄物41の処理時間(処理装置Aの運転時間)を設定し、始動スイッチを押して処理装置Aの運転を開始する。前記処理装置Aの運転が開始されると、処理槽Bの底板5の外周面に貼り付けられたヒータ8が作動して前記底板5を加熱し始めると同時に、熱風発生装置Hも作動して外気から取り込まれた空気から高温熱風Wを発生させる。当該高温熱風Wは、ブロア32の吸気管32bから吸引されてブロア32の送気管32aを通り、処理槽Bの側板4bに形成された熱風流入孔6から処理槽B内に導入される。前記ヒータ8及び前記高温熱風Wにより処理槽B内の温度が上昇していく。設定温度が90℃の場合、処理槽B内の表面温度は約20分、処理槽B内中心部の温度は約4時間程度で前記設定温度に到達する。また、熱風発生装置Hを作動すると、前記処理槽B内の中心部の温度は約2時間で到達する。設定温度に到達した後は、温度制御されて設定温度が維持される。一方、処理装置Aの運転が開始されると、処理装置Aの機器収納室Cに収納されている駆動モータ31が作動を開始し、駆動モータ31の駆動軸31aに取付けられた鎖歯車34が回転し、前記鎖歯車34と無端鎖36で連結された鎖歯車35が回転する。前記鎖歯車35は、回転粉砕羽根ユニットUの回転駆動軸21の一端部に取付けられているため、前記回転駆動軸21も回転し、前記回転駆動軸21に取付けられた多数本の回転粉砕羽根23が処理槽B内を回転方向Pに沿って低速回転する。
【0032】
次に、図3、図5及び図10を用いて被処理物Sを粉砕、攪拌していく過程について説明する。図10は、回転粉砕羽根23の磨り潰し作用の説明図である。前記回転粉砕羽根23が処理槽B内で回転方向Pに沿って回転すると、前記被処理物Sは処理槽Bの底板5の内周面に沿って、前記回転粉砕羽根23と共に連れ廻り始める。このとき、前記被処理物Sは、前記底板5の内周面に一体に取付けられた固定粉砕刃7の刃板部7bにおける回転方向Pの手前側の端面7b1 に衝突し、前記被処理物Sは、前記端面7b1 と前記回転粉砕羽根23の粉砕刃体23bとの間で切断される。各回転粉砕羽根23は、回転方向Pに沿って90°ずつ位相をずらして回転駆動軸21に所定間隔をおいて取付けられているので、効率良く被処理物Sは前記刃板部7bの端面7b1 に衝突し、切断、粉砕されていく。前記固定粉砕刃7は、前記底板5の回転方向Pに沿った展開状態において千鳥状に多数配置されているので、多数の固定粉砕刃7に対して被処理物Sは分散して衝突するために、各回転粉砕羽根23の回転抵抗が均一となって、被処理物Sをスムーズに切断、粉砕できる。また、前記被処理物Sの切断が繰り返されて被処理物Sの切断片がある程度小さくなった場合でも、固定粉砕刃7の固定板部7aにおける回転方向Pに対して手前側の端面7a1 が、前記回転駆動軸21の軸心に対して傾斜しているために、前記被処理物Sの切断片は回転粉砕羽根23の回転に伴って前記端面7a1 の先端部分から基端部にかけて順次当接していきながら刃板部7bの側に移動させられるので、前記刃板部7bの端面7b1 での切断、粉砕の頻度を増すことができる。一方、前記端面7b1 は、前記固定板部7aの板面7a2 に対して45°の角度で前傾しているため、前記回転粉砕羽根23の回転に伴い、被処理物Sは前記端面7b1 の基端部から先端部にかけて順次当接していくので、前記端面7b1 が前記板面7a2 に対して垂直で、被処理物が一度に前記端面7b1 全体に当接してしまう場合に比べると、よりスムーズに被処理物Sを切断することができる。また、前記固定板部7aの端面7a1 が回転駆動軸21の軸心に平行で、前記刃板部7bの端面7b1 が前記固定板部7aの板面7a2 に対して垂直である場合には、前記被処理物Sは固定粉砕刃7の各端面7a1 ,7b1 に一度に衝突するのでその衝突力は大きいが、前記端面7a1 ,7b1 が上記のように傾斜、前傾しているために、前記被処理物Sが固定粉砕刃7に衝突する衝突力は緩和されて、前記底板5に溶接されて固定されている固定粉砕刃7は外れなくなる。更に、処理槽B内の多数の固定粉砕刃7は、底板5の展開状態において、固定板部7aが全て同一の向きで配置されていることによって、回転粉砕羽根23の回転時において、前記回転粉砕羽根23が底板5の最底部5aから被処理物Sを持ち上げながら上方向に回転する際には、前記固定粉砕刃7の前記端面7a1 が傾斜した固定板部7a及び前記端面7b1 が前傾した刃板部7bによって、被処理物Sがスムーズかつ効率的に粉砕されていく。それと同時に、前記回転粉砕羽根23が上方から前記最底部5aに向けて下方向に回転する際には、前記被処理物Sが固定板部7aの端面7a1 上、又は前記刃板部7bの板面7b2 上に当接しても、前記固定板部7aの端面7a1 は傾斜し、前記刃板部7bの端面7b1 は前傾しているので、前記被処理物Sは前記端面7a1 又は前記板面7b2 上に溜まることなく、前記最底部5aに滑り落ちていく。このため、被処理物Sは固定粉砕刃7上に溜まらずに前記最底部5aに集まり易くなって、満遍なく粉砕されて細かくなっていく。更に、図10に示すように、軸方向の両端以外の位置にある各回転粉砕羽根23の取付板部23aの先端部には、断面略円形状の磨潰し具24が固着されているため、各回転粉砕羽根23の回転に伴って、前記磨潰し具24が前記底板5の内周面を摺動する結果、生物系廃棄物41中の骨類はある程度細片化されると回転粉砕羽根23のみでは更に細かく粉砕していくのは困難であるが、前記磨潰し具24と底板5の内摺面との間で前記骨類は磨り潰されていくので、前記被処理物Sはより一層細かくなっていく。なお、各回転粉砕羽根23が回転している際に付着した処理槽Bの側板4a、4bの付着物は、軸方向の両端の位置にある回転粉砕羽根23の先端部に取付けられたスクレーパ板26が回転することによって除去される。なお、前記最底部5aから最も離れた、即ち処理槽B内で最も高い位置に配置された固定粉砕刃7はピッチを密にして配置されていることによって、回転粉砕羽根23に連れ廻されている被処理物Sが回転に伴って処理槽Bの下半部よりも上方に持ち上がり、処理槽Bの上部或いは処理装置Aの蓋板11の裏面にまで被処理物Sが付着してしまうのを防止している。前記防止効果を高めるために、前記位置に配置された固定粉砕刃7の刃板部7bの寸法を大きくしてもよい。
【0033】
上記のように、前記被処理物Sは、高温(90℃から120℃程度)に維持された処理槽B内において、回転駆動軸21の低速回転により、各回転粉砕羽根23が回転方向Pに回転して、連れ廻り回転させられる間に、底板5に設けられた各固定粉砕刃7に引っ掛けられて徐々に切断、粉砕されていき、各回転粉砕羽根23の先端部の磨潰し具24により磨り潰されて更に細かくなっていく。
【0034】
前記被処理物Sが回転粉砕羽根23及び固定粉砕刃7により切断、粉砕されていく一方、前記被処理物S中の生物系廃棄物41は、高温耐性菌43によって好気性発酵されて分解処理されていく。前記処理槽B内の水蒸気や、前記生物系廃棄物41に含まれる窒素や硫黄の一部が分解して僅かに発生したアンモニアや硫黄化合物の気体分子等からなる気流は、処理装置Aの天板2に形成された排気筒13から排気される。一回の投入量の生物系廃棄物41を良質な有機肥料にまで発酵処理するためには、約48時間を要するが、24時間経過時には、処理槽B内の処理済被処理物S’の全体量は有効処理容量の約40%(本実施例では約0.3m3 ),48時間経過時には前記有効処理容量の10%(本実施例では約0.07m3 )になる。最初に投入した生物系廃棄物41を24時間処理した時点で、所定量の新たな生物系廃棄物41を処理槽Bに追加投入する。その翌日にも前記所定量と同量の新たな生物系廃棄物41を処理槽Bに追加投入する。以上のように、処理装置Aを連続運転させながら、毎日新たな生物系廃棄物41の追加投入を繰り返し、前記生物系廃棄物41の処理を行う。この結果、投入された生物系廃棄物41は処理により減量化されて処理済被処理物S’となるが、毎日一定量ずつ新たな生物系廃棄物41が処理槽Bに追加投入されていくので、前記処理槽B内の処理済被処理物S’の全体量は徐々に増加していく。前記処理済被処理物S’が増量して、処理槽B内で回転駆動軸21から直上に伸びる回転粉砕羽根23の最上端部から下に約50mmの高さまで到達したら、処理装置Aの側板3bの下端部に設けられた取出口14を開けて、持ち手の長い取出具等を用いて、処理槽Bに堆積している前記処理済被処理物S’を、底板5の最底部5aからかき出すようにして取出口14から取り出す。このとき、処理槽B内から処理済被処理物S’を全部取り出すのではなく、戻し肥料として処理槽Bの有効処理量の約30%(本実施例では約0.2m3 )を残しておくとよい。取り出された処理済被処理物S’は放冷により冷却する。取り出された前記処理済被処理物S’の体積量は有効処理容量の約30%、即ち本実施例では約0.2m3 であり、前記処理済被処理物S’の比重は0.8から1.0であることから、取り出された前記処理済被処理物S’の重量は約200kgである。前記処理済被処理物S’の取出し後、生物系廃棄物41を新たに50羽投入し、その翌日には30羽追加投入して上記の処理工程を繰り返していく。なお、処理装置Aを通常連続運転する場合には、設定を連続運転にしておけば運転を停止することなく、毎日投入される生物系廃棄物41の処理を続けていくことができる。但し、新たな生物系廃棄物41を投入口12から処理槽B内に投入する場合等で蓋板11が開いている間は、安全装置が作動して運転は停止する。
【実施例】
【0035】
処理装置Aを用いて廃鶏処理を行った。以下にその処理内容を説明する。まず、処理装置Aの装置仕様について、寸法は幅1900mm、奥行1100mm、高さ1100mm、処理槽Bの有効処理容量は0.7m3 、モータ31の仕事率は0.75kW、ヒータ8の仕事率は2.1kW、電源は交流電圧200Vである。熱風発生装置Hは、竹網製作所製の「TSK−31B」を使用した。生物系廃棄物41として廃鶏を50羽(処理槽Bの有効処理容量の約30%)、高温耐性菌43としてアクチノマイセス属の放線菌を主体とする高温耐性菌類(有限会社芹澤微生物研究所より市販の「芹澤菌B101」)を7.0kg、木片チップ42(長さ3mmから15mm、幅1mmから3mm、厚さ2mmから5mmの大きさの杉材小片を、温度150℃、圧力6.9×105 Paの水蒸気条件下で40分間処理したもの)を0.3m3 (処理槽Bの有効処理容量の約40%)処理槽Bに投入した。処理装置Aの処理時間を48時間、処理槽B内の温度を90℃に設定して始動スイッチを押して処理装置Aの運転を開始した。処理装置Aの運転開始から48時間後に処理装置Aの取出口14から生成した処理済被処理物S’を取り出し、放冷した。通常は、上記したように処理装置Aを連続運転して廃鶏を毎日所定量追加投入して廃鶏処理を行うが、本実施例では、上記の初期作業における処理装置Aの使用開始初日を想定して、処理槽Bに高温耐性菌43及び木片チップ42を所定量投入した。また、生物系廃棄物41の廃鶏の投入量については、上記の通常作業における通常運転開始日を想定して50羽とした。
【0036】
前記廃鶏処理を行った結果、処理済被処理物S’の生成量は、約0.07m3 で、約70kgであった。前記処理済被処理物S’について成分分析を行ったところ、窒素(N)6.6%、りん酸(五酸化二リン;P2 5 )4.6%、加里(酸化カリウム;K2 O)1.4%、亜鉛(Zn)120mg/kg、石灰(酸化カルシウム;CaO)3.7%、水分20.6%、炭素率(C/N)7.55という結果を得た。(なお、窒素及び炭素率については乾式燃焼法、それ以外は肥料分析法による。)上記の成分分析結果より、前記処理済被処理物S’は、植物の発育に不可欠な窒素、リン、カリウム等の肥効成分を多く含有した良質な有機肥料であることがわかった。また、発酵鶏糞に比べて前記処理済被処理物S’には、廃鶏の骨類が含まれているためにカルシウムが多く含まれ、又廃鶏の羽が含まれているために窒素も多く含まれていることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】処理装置Aの全体斜視図である。
【図2】処理装置Aの正面断面図である。
【図3】図2のX−X線断面図である。
【図4】側板3を取り外した状態の右側面図である。
【図5】処理槽Bの底板5に固着された多数の固定粉砕刃7の配置を示す展開図である。
【図6】処理槽Bの底板5に固着された固定粉砕刃7の斜視図である。
【図7】(イ)は、固定粉砕刃7の正面図である。(ロ)は、固定粉砕刃7の右側面図である。
【図8】断面L字形のアングル材51の直交部を真上にした状態で、長手方向に対して45°傾斜した角度θ0 で切断する状態を示す平面図である。
【図9】回転粉砕羽根23の斜視図である。
【図10】回転粉砕羽根23の磨り潰し作用の説明図である。
【符号の説明】
【0038】
A :生物系廃棄物の処理装置(処理装置)
B :処理槽
P :回転粉砕羽根の回転方向
S :被処理物
U :回転粉砕羽根ユニット
W :高温熱風
5 :底板
7 :固定粉砕刃
7a :固定板部
7a1 :回転方向に沿って手前側の固定板部の端面
7a2 :固定板部の板面
7b :刃板部
7b1 :回転方向に沿って手前側の刃板部の端面
21 :回転駆動軸
23 :回転粉砕羽根
24 :磨潰し具
41 :生物系廃棄物
42 :木片チップ
43 :高温耐性菌(好気性細菌)
【出願人】 【識別番号】599035122
【氏名又は名称】有限会社 芹澤微生物研究所
【出願日】 平成18年11月16日(2006.11.16)
【代理人】 【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛


【公開番号】 特開2008−127213(P2008−127213A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−310012(P2006−310012)