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【発明の名称】 自立式堆肥化バッグ
【発明者】 【氏名】田中 逸郎

【要約】 【課題】堆肥化に必要な条件を網羅すると共に、自立化の手段が前記条件を何ら阻害することなく、且つ、経済性に優れた自立式堆肥化バッグを提供する。

【解決手段】上面を開口した筒状胴部2の下面に底蓋3を備え、少なくとも前記底蓋3をメッシュ地とすると共に、前記胴部2を扁平状に圧縮可能な柔軟性素材とした有底円筒状のバッグ本体1と、前記胴部2の周面に螺旋状に設けた袋状帯7と、該袋状帯7に挿通され、前記胴部2を自立保持可能な螺旋状の骨格バネとからなる。胴部2に非伸縮性を有する輪状の横帯10を1または2以上周設したり、提手付きの縦帯11を設けることもある。さらに、胴部2の少なくとも下縁に開口形状を保持するフープ筋を設け、このフープ筋を骨格バネと連続して形成することもある。胴部2の上下対向する位置に、骨格バネの弾性力に抗して、胴部2を圧縮保持可能に連結する上下一対のファスナを少なくとも二対設けることも好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を開口した筒状胴部の下面に底蓋を備え、少なくとも前記底蓋をメッシュ地とすると共に、前記胴部を扁平状に圧縮可能な柔軟性素材とした有底円筒状のバッグ本体と、前記胴部の周面に螺旋状に設けた袋状帯と、該袋状帯に挿通され、前記胴部を自立保持可能な螺旋状の骨格バネとからなることを特徴とした自立式堆肥化バッグ。
【請求項2】
バッグ本体は、胴部に非伸縮性を有する輪状の横帯を1または2以上周設してなる請求項1記載の自立式堆肥化バッグ。
【請求項3】
バッグ本体は、胴部に提手付きの縦帯を設けてなる請求項1または2記載の自立式堆肥化バッグ。
【請求項4】
バッグ本体は、少なくとも底蓋をポリエチレンメッシュから形成した請求項1、2または3記載の自立式堆肥化バッグ。
【請求項5】
バッグ本体は、胴部の上面に通気性を有する上蓋を開閉可能に設けてなる請求項1から4のうち何れか一項記載の自立式堆肥化バッグ。
【請求項6】
上蓋は、さらに撥水性を兼ね備えてなる請求項5記載の自立式堆肥化バッグ。
【請求項7】
胴部の少なくとも下縁に開口形状を保持するフープ筋を設けた請求項1から6のうち何れか一項記載の自立式堆肥化バッグ。
【請求項8】
骨格バネとフープ筋を連続して形成した請求項7記載の自立式堆肥化バッグ。
【請求項9】
胴部の上下対向する位置に、骨格バネの弾性力に抗して、胴部を圧縮保持可能に連結する上下一対のファスナを少なくとも二対設けた請求項1から8のうち何れか一項記載の自立式堆肥化バッグ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、自立式の堆肥化バッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高水分の家畜の糞尿と植物質の水分調整材を混合してなる原肥を、全面が通気性素材からなる容袋に収容し、一定期間通気性を確保した状態で放置しておく高水分原肥の堆肥化促進方法は既に公知であり(特許文献1を参照)、また、上下の上蓋および底蓋をメッシュ地等の通気性素材とする一方、胴部をクロス地等の無通気性素材として、前記胴部の煙道的通風効果により、通気性と原肥の水分量を調整しうる堆肥化コンテナーも古くから知られている(特許文献2を参照)。
【0003】
一方、柔軟性素材からなる有底円筒状のバッグ本体に螺旋状のスプリングを設け、その弾性力によって自立可能とした伸縮バッグも、種々構造のものが公知である(特許文献3〜8を参照)。
【0004】
【特許文献1】特公平3−75512号公報
【特許文献2】実公平2−11348号公報
【特許文献3】実開昭64−11935号公報
【特許文献4】実開昭62−188426号公報
【特許文献5】特開2001−31084号公報
【特許文献6】特開2003−102356号公報
【特許文献7】特開平10−215948号公報
【特許文献8】特開平11−239420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術のうち特許文献1・2に示された堆肥化技術は、バッグ本体(容袋)を自立させるものではないため、原料の詰め込み作業や切り返し作業に不便である。これに対して、特許文献3〜8に示された伸縮バッグは螺旋状のスプリングを骨格としてバッグ本体を自立させることが可能であるものの、これを堆肥化バッグとして利用するには次のような課題がある。先ず、特許文献3・4に開示の伸縮バッグは、骨格として形状記憶合金を使用するため製造コストが高く、同時に形状記憶合金は形状と温度の相関性が高いため気温差の激しい屋外での使用には不適である。また、特許文献3および5〜7に開示の伸縮バッグは、液体や粉体を収容物として、胴部と底の双方を耐水性あるいは無通気性素材から構成するため、まったく通気性が得られず、原肥の水分調整も不可能で、そもそも好気性微生物が伸縮バッグに侵入することすらできない。なお、特許文献8に開示の伸縮バッグは、「植栽容器」として利用するものであるから、土壌として堆肥を収容することも考えられるが、その構成は、内外二枚のシートを貼り合わせた中に螺旋状骨格を位置させ筒壁を構成するものであるから、やはり堆肥化に必要な通気性や排水性、好気性微生物の侵入が充分に確保されず、また二枚のシート重量によって筒壁が重くなるため自立化が困難であると同時に、製造コストも高くつく。この点、堆肥化バッグは、容量70リットルのとき、径420mm、高さ530mmにも及ぶ大型バッグとなるから、筒壁の重量化による自立困難性は顕著である。
【0006】
なお、堆肥化技術についての特許文献1・2と、伸縮バッグについての特許文献3〜8を、そこに開示された内容のまま組み合わせることについては、どのようにして堆肥化に必要な条件を備えながら自立可能とし、いかに経済的・合理的に構成するかの具体的思想を示唆するものではない。
【0007】
本発明は上述した課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、堆肥化に必要な条件を網羅すると共に、自立化の手段が前記条件を何ら阻害することなく、且つ、経済性に優れた自立式堆肥化バッグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために本発明では、上面を開口した筒状胴部の下面に底蓋を備え、少なくとも前記底蓋をメッシュ地とすると共に、前記胴部を扁平状に圧縮可能な柔軟性素材とした有底円筒状のバッグ本体と、前記胴部の周面に螺旋状に設けた袋状帯と、該袋状帯に挿通され、前記胴部を自立保持可能な螺旋状の骨格バネとから自立式堆肥化バッグを構成した。この手段において、バッグ本体は藁や落ち葉などの原料を収容し、適度な含水量とした状態で、一定期間屋外に放置することにより前記原料を堆肥化するものである。このとき、少なくとも底蓋はメッシュ地であるため、接地から好気性微生物を内部に取り込み、且つ、通気性の確保と余剰水の排出を行うことによって、堆肥化に必要な最低条件を備える。なお、底蓋をメッシュ地とすることは本発明の必須要件であるが、胴部については内容物がこぼれないように収容するものであれば、通気性および通水性の有無(メッシュ地の採否)は原肥の質や種類等に応じて任意に選択することができる。このようなバッグ本体は螺旋状の骨格バネの弾性力によって展延時の筒状に自立保持される。そして、本発明では、この骨格バネを胴部に周設した袋状帯に挿通することで胴部との一体伸縮を可能としている。このため、袋状帯によって胴部重量が増すことがなく、比較的低弾力の骨格バネでもバッグ本体を自立させることができる。これと同時に、バッグ本体は袋状帯の周設箇所のみ当該袋状帯と胴部生地との二枚構造となるだけで、それ以外の大半は一枚構造であるから、胴部の通気性や通水性は何ら阻害されない。この袋状帯は、内部を骨格バネの挿通孔とした筒体の他、帯状生地の両サイドのみを縫製等によって胴部に固着することにより、未固着である帯状生地の長手方向中央部と胴部生地との間隙を骨格バネの挿通孔としたものであってもよい。また、袋状帯の胴部に対する周設方法は、縫製による他、ホットメルト固着や接着によるなど、容易に剥離しないものであれば、特に限定されない。
【0009】
バッグ本体は、胴部に非伸縮性を有する輪状の横帯を1または2以上周設してなることが好ましい。輪状の横帯は胴部の半径方向に対する補強帯として機能する。特に、胴部の拡開を抑制し、原料の踏み固めや堆肥の沈積によって胴部が変形したりはち切れたりすることを防止できる。
【0010】
バッグ本体は、胴部に提手付きの縦帯を設けてなることが好ましい。提手によって本バッグの持ち運びが容易となり、また縦帯によって胴部の上下方向に対する補強がなされるからである。
【0011】
バッグ本体は、少なくとも底蓋をポリエチレンメッシュから形成したものであることが好ましい。ポリエチレンメッシュは柔軟性と軽量性に優れるため、骨格バネによる自立が容易となるからである。しかも、ポリエチレンメッシュにより低コストでバッグ本体を成形することができる。なお、この手段では、胴部をもポリエチレンメッシュによって成形する場合があることは、もちろんである。
【0012】
バッグ本体は、胴部の上面に通気性を有する上蓋を開閉可能に設けてなることが好ましい。内容物の散逸が防止できるからである。また、通気性によって、新鮮な空気を取り込み、且つ、発酵熱や水蒸気を排出して、内容物の腐敗を防止することができる。なお、上蓋の採否は任意であり、上蓋を省略して、胴部の上面開口を巾着構造とすることも可能である。
【0013】
上蓋は、さらに撥水性を兼ね備えることが好ましい。本バッグを雨ざらしに放置した場合、雨水によって内容物が水分過剰となることを防止できるからである。なお、通気性と撥水性を備えた素材としては、ゴアテックス(登録商標)を例示することができる。
【0014】
胴部の少なくとも下縁に開口形状を保持するフープ筋を設けることが好ましい。胴部の下面は自立の際に土台となるが、フープ筋で開口保持することにより、安定的な土台を得ることができるからである。なお、このフープ筋は、胴部上縁に設けてもよく、この場合、その開口保持機能によって、原料の詰め込みや堆肥の取出し等が容易となる。
【0015】
さらに、例えば1本の鋼材を曲げ加工して、骨格バネとフープ筋を連続して形成することにより、自立を安定的且つ迅速に行うことができると共に、低コストで製造することが可能となる。
【0016】
なお、本バッグは、常態で骨格バネによって自立状態にあるが、不使用時には骨格バネの弾性力に抗して胴部を圧縮し、全体を扁平状態とすることができる。そこで、胴部の上下対向する位置に、骨格バネの弾性力に抗して、胴部を圧縮保持可能に連結する上下一対のファスナを少なくとも二対設けることで、上述した不使用時の扁平状態を簡単に維持でき、本バッグの運搬や保管の便に供する。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、骨格バネを胴部に周設した袋状帯に挿通することとしたので、胴部の重量化を避けつつ、同時に、その通気性や通水性を損なうことなく、堆肥化と自立化を低コストで両立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1は本発明の一実施形態に係るバッグの斜視図、図2はその要部断面図である。なお、これら図面は、本発明の理解を容易にするため、特徴部分を誇張して概念的に示したもので、製品としての寸法を正確に表現したものではない。
【0019】
図中、1はバッグ本体であり、所定の容積を有する円筒状胴部2の上下面に底蓋3および上蓋4を設けたものである。この実施形態においてバッグ本体1は、全てポリエチレンメッシュによって成形されており、上蓋4はチャック5によって開閉可能としている。バッグ本体1をポリエチレンメッシュで成形することにより、通気性と通水性、さらには好気性微生物の侵入が得られ、また胴部2を扁平状に圧縮する際の柔軟性も確保される。なお、この実施形態において底蓋3は開閉機能を有しないが、上蓋4と同様に開閉可能な構造とすれば、本バッグを上下逆さにしても使用することができる。
【0020】
一方、図中、6・6は胴部2の上下縁に設けた輪状の袋状帯、7は胴部2の外周面に設けた螺旋状の袋状帯である。両袋状帯6・7は、一枚の帯布から連続してなり、図2に示したように、前記帯布の両サイド(長手方向に対する左右縁)を胴部2に縫着することで、長手方向中央部を未縫着として、当該未縫着部を挿通孔としている。なお、ここでは胴部2の外周面に螺旋状の袋状帯7を設けることとしたが、胴部2の内周面に設けても良い。ただし、縫着作業性や胴部2の内面平滑性を良好とするには、本実施形態の態様とすることが好ましい。
【0021】
図2において、8・8は輪状の袋状帯6・6に挿通された輪状のフープ筋、9は螺旋状の袋状帯7に挿通された螺旋状の骨格バネである。この実施形態において、フープ筋8と骨格バネ9は、一本の鋼材を曲げ加工することによって連続して形成している。そして、フープ筋8によって胴部2の上下面を円形状に保持すると共に、骨格バネ9は、その弾性力によって胴部2を上下に伸長させ、円筒状を保持した状態で自立させる。
【0022】
さらに、本実施形態では、図1に示したように、胴部2の外周面に非伸縮性の横帯10を周設すると共に、提手付きの縦帯11を設けている。横帯10は胴部2を補強して、不用意な拡径を抑制し、胴部2の変形やはち切れを防ぐものである。また、この実施形態において縦帯11は、一部を未縫着として、当該未縫着部を提手として、本バッグを自立した状態で持ち運べるようにしたものである。同時に、縦帯11は胴部2を補強するものである。なお、この実施形態では、胴部2の全高にわたり縦帯11を設けているが、その長さはこれよりも短くてよく、また、提手の構成もリング状となれば、本実施形態に限定されない。
【0023】
このように、本バッグは、骨格バネ9の弾発性により、常態で、図1に示したような自立状態を維持する。同時に、胴部2下縁のフープ筋8によって、下面が安定性のよい円形に保持されると共に、胴部2上縁のフープ筋8によって上面を開口保持する。従って、本バッグは、自立状態が安定し、しかも上面開口も保持されるから、原料の投入や堆肥の取出し、原料の踏み固めや切り返しなどの各作業を容易に行うことができる。
【0024】
一方、図3に示したように、胴部2の上下対向する位置に、係脱可能な一対のファスナ12a・12bを少なくとも二対設けておくことで、本バッグを扁平状態に圧縮した状態に保持することができる。即ち、不使用時には、骨格バネ9を弾性力に抗して胴部2を圧縮し、ファスナ12a・12bを係合することで、嵩を無くした扁平状態で本バッグの運搬・保管の便に供するものである。逆に、ファスナ12a・12bの係合を解除すれば、骨格バネ9の弾性力によって、自然に本バッグを図1に示した自立状態とすることができる。
【0025】
なお、上記実施形態では、バッグ本体1につき、胴部2をポリエチレンメッシュから構成したが、胴部2を無通気性の素材から構成することも可能である。また、上蓋4もまたポリエチレンメッシュから構成したが、より好ましくは、ゴアテックス(登録商標)のように、撥水性と通気性を兼ね備えた素材から構成する。ただし、上蓋4を省略することも可能である。さらに、フープ筋8と骨格バネ9、これらを挿通する輪状の袋状帯6と螺旋状の袋状帯7は、連続せず、別個独立の構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る自立式堆肥化バッグの斜視図
【図2】同、断面図
【図3】圧縮保持可能とした別実施形態に係る自立式堆肥化バッグの正面図
【符号の説明】
【0027】
1 バッグ本体
2 胴部
3 底蓋
4 上蓋
5 チャック
6 輪状の袋状帯
7 螺旋状の袋状帯
8 フープ筋
9 骨格バネ
10 横帯
11 縦帯
12a・12b ファスナ
【出願人】 【識別番号】000217251
【氏名又は名称】田中産業株式会社
【出願日】 平成18年9月27日(2006.9.27)
【代理人】 【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明


【公開番号】 特開2008−81354(P2008−81354A)
【公開日】 平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願番号】 特願2006−262760(P2006−262760)