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【発明の名称】 刈草の加熱装置
【発明者】 【氏名】塔本 晃弘

【氏名】右城 安雄

【氏名】縫村 博己

【氏名】新谷 昌之

【要約】 【課題】刈草に含まれる有害種子が発芽不能となるように、刈草を少ない水蒸気で効率よく加熱でき、シンプルな構成で閉塞の恐れがない加熱装置を提供することである。

【構成】上部の供給口1aから供給される刈草Aを、下部の排出口1cへ移送しながら加熱する加熱機1の供給口1aに、刈草Aの投入口2cから昇り勾配とされたスクリュフィーダ2の排出口2dを傾動可能に接続し、加熱機1の排出口1cとスクリュフィーダ2の投入口2cとで検知される水蒸気の量に基づいて、スクリュフィーダ2の昇り勾配を調整することにより、加熱機1の供給口1aに接続した昇り勾配のスクリュフィーダ2に、供給口1aからの水蒸気の排出抵抗を持たせて、この排出抵抗をスクリュフィーダ2の昇り勾配の調整で調節可能とし、水蒸気の無駄な排出と大気の流入をなくして、シンプルな構成で閉塞の恐れがなく、刈草Aを少ない水蒸気で効率よく加熱できるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細断した刈草を、刈草に含まれる種子を発芽不能とするために、水蒸気によって直接加熱する刈草の加熱装置において、上部に設けられた供給口から供給される刈草を、下部に設けられた排出口へ移送しながら加熱する加熱機の供給口に、刈草が投入される投入口から昇り勾配とされたスクリュフィーダの排出口を接続し、このスクリュフィーダを傾動可能として、前記加熱機の排出口と前記スクリュフィーダの投入口とで検知される前記水蒸気の量に基づいて、前記スクリュフィーダの昇り勾配を調整できるようにしたことを特徴とする刈草の加熱装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、堆肥用に細断された刈草に含まれる種子を発芽不能とするために、刈草を水蒸気で直接加熱する刈草の加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
雑草等の刈草を発酵させて堆肥とする際には、刈草に含まれる有害な種子がそのまま堆肥の中に残り、堆肥が施された畑等でこれらの有害種子が発芽して、農作物の生育を妨げることがある。このような堆肥中の有害種子の発芽を防止するために、細断した刈草に含まれる有害種子が発芽不能となるまで加熱処理した後、これに発酵処理を施して堆肥とすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたものには、細断した刈草を高速発酵乾燥処理装置に投入して、この発酵乾燥処理装置の中で刈草を加熱する方法や、細断した刈草を野外でシートによって覆い、シートの内側で過熱水蒸気を噴射して刈草を加熱する方法が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−240784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された発酵乾燥処理装置の中で刈草を加熱する方法は、工場等で大量の堆肥を製造する場合は好適であるが、農家等では、畑や庭の隅に刈草を積み上げ、これらをシート等で長期間覆って発酵させる方法で、堆肥を自家製造することが多いので、このような自家製造には向いていない。また、野外でシートに覆われた刈草に過熱水蒸気を噴射して加熱する方法は、過熱水蒸気がシートから漏洩するので、大量の水蒸気を必要とし、かつ、漏洩する過熱水蒸気による火傷の心配もある。
【0005】
少ない水蒸気で刈草を加熱するためには、刈草の供給口と排出口を有する加熱機を用い、供給口と排出口にダブルダンパ等のシール機構を設ければ、水蒸気の無駄な排出や大気の流入をなくして、刈草を効率よく加熱することができる。しかしながら、嵩密度の低い刈草は、シール機構を設けると供給口や排出口を閉塞する恐れがある。また、ダブルダンパ等のシール機構を設けると、加熱装置が複雑なものとなる問題もある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、刈草に含まれる有害種子が発芽不能となるように、刈草を少ない水蒸気で効率よく加熱でき、シンプルな構成で閉塞の恐れがない加熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、細断した刈草を、刈草に含まれる種子を発芽不能とするために、水蒸気によって直接加熱する刈草の加熱装置において、上部に設けられた供給口から供給される刈草を、下部に設けられた排出口へ移送しながら加熱する加熱機の供給口に、刈草が投入される投入口から昇り勾配とされたスクリュフィーダの排出口を接続し、このスクリュフィーダを傾動可能として、前記加熱機の排出口と前記スクリュフィーダの投入口とで検知される前記水蒸気の量に基づいて、前記スクリュフィーダの昇り勾配を調整できるようにした構成を採用することにより、加熱機の供給口に接続した昇り勾配のスクリュフィーダに、加熱機の供給口から排出される水蒸気に対する排出抵抗を持たせて、この排出抵抗をスクリュフィーダの昇り勾配の調整で調節可能とし、シール機構を設けることなく水蒸気の無駄な排出と大気の流入をなくして、シンプルな構成で閉塞の恐れがなく、刈草に含まれる有害種子が発芽不能となるように、刈草を少ない水蒸気で効率よく加熱できるようにした。また、この加熱装置は、加熱機で刈草を加熱した水蒸気を、スクリュフィーダでの刈草の予熱に利用できる利点もある。
【0008】
すなわち、加熱機に供給される水蒸気は、大部分が刈草を加熱したのち、上部に設けられた供給口からスクリュフィーダの中を通ってスクリュフィーダ内の刈草を予熱し、十分に熱エネルギを活用して、スクリュフィーダの投入口から上方へ排出されるが、加熱機内の水蒸気が過剰になった場合は、一部の水蒸気が十分に熱エネルギを活用することなく、加熱機の排出口から下方へ大量に排出される。また、加熱機内の水蒸気が少なくなった場合は、その下部の排出口から低温の大気が流入し、刈草の加熱が不十分になる。したがって、刈草を少ない水蒸気で効率よく加熱するためには、水蒸気が加熱機の下部の排出口まで充満するように、水蒸気が加熱機の排出口でわずかに検知される程度にするのがよい。
【0009】
前記加熱機の供給口からスクリュフィーダを通ってその投入口から排出される水蒸気の量は、スクリュフィーダの昇り勾配を小さくすれば排出抵抗が小さくなって多くなり、昇り勾配を大きくすれば排出抵抗が大きくなって少なくなる。したがって、スクリュフィーダの投入口から排出される水蒸気の量が少なく、加熱機の排出口から排出される水蒸気の量が多い場合は昇り勾配を小さくし、スクリュフィーダの投入口から排出される水蒸気の量が多く、加熱機の排出口で水蒸気が検知されない場合は昇り勾配を大きくすればよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の刈草の加熱装置は、上部に設けられた供給口から供給される刈草を、下部に設けられた排出口へ移送しながら加熱する加熱機の供給口に、刈草が投入される投入口から昇り勾配とされたスクリュフィーダの排出口を接続し、このスクリュフィーダを傾動可能として、加熱機の排出口とスクリュフィーダの投入口とで検知される前記水蒸気の量に基づいて、スクリュフィーダの昇り勾配を調整できるようにすることにより、加熱機の供給口に接続した昇り勾配のスクリュフィーダに、加熱機の供給口から排出される水蒸気に対する排出抵抗を持たせて、この排出抵抗をスクリュフィーダの昇り勾配の調整で調節可能としたので、シール機構を設けることなく水蒸気の無駄な排出と大気の流入をなくして、シンプルな構成で閉塞の恐れがなく、刈草に含まれる有害種子が発芽不能となるように、刈草を少ない水蒸気で効率よく加熱することができる。また、この加熱装置は、加熱機で刈草を加熱した水蒸気を、スクリュフィーダでの刈草の予熱に利用できる利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。この刈草の加熱装置は、図1乃至図3に示すように、刈草Aを加熱する加熱機1と、加熱機1に細断された刈草Aを供給するスクリュフィーダ2と、加熱機1に水蒸気を供給するボイラ3と、ボイラ3にそれぞれ水と燃料を供給する水タンク4および灯油タンク5と、ボイラ3や後述する各作動部を操作する制御盤6とで基本的に構成されており、これらが同一の基台7に配設されて、トラックで刈草のある河川堤防や道路脇等の現場へ持ち運び可能とされている。
【0012】
前記加熱機1は、上部に設けられた供給口1aから供給される刈草Aを、スクリュ羽根1bで移送しながら連続的に水蒸気で加熱する横向きのものであり、加熱された刈草Aは、供給口1aと反対側の下部に設けられた排出口1cから排出コンベア21等に排出される。ボイラ3から蒸気配管3aを通して供給される水蒸気は、加熱機1の下部に設けられた複数の蒸気入口1dから導入される。
【0013】
前記スクリュフィーダ2は、ケーシング2a内にスクリュ羽根2bが設けられ、投入コンベア22等から刈草Aが投入されるホッパ8が取り付けられた投入口2cから、加熱機1の供給口1aに蛇腹9で接続された排出口2dまで昇り勾配とされており、基台7に設けられた支柱7aにピン10で傾動自在に支持され、シリンダ11で傾動されるようになっている。
【0014】
前記ボイラ3は、灯油タンク5から供給される灯油をバーナ3bで燃焼させて、水タンク4から供給される水を水蒸気に変え、上部に接続された蒸気配管3aで、水蒸気を加熱機1に供給する。なお、ボイラ3には、燃焼排ガスを排出する煙突3cが取り付けられている。
【0015】
前記制御盤6には、図示は省略するが、ボイラ3、加熱機1とスクリュフィーダ2の各スクリュ羽根1b、2bを駆動するモータ12a、12b、およびスクリュフィーダ2を傾動させるシリンダ11を作動させる操作ボタンが設けられている。
【0016】
以下に、上述した加熱装置で水蒸気が刈草Aを加熱する作用と、少ない水蒸気で効率よく刈草Aを加熱するために、前記シリンダ11を作動させてスクリュフィーダ2の昇り勾配を調整する操作を説明する。前述したように、加熱機1に供給される水蒸気は、加熱機1内で刈草Aを加熱したのち一部が凝縮水となり、凝縮しなかった水蒸気の大部分は、供給口1aからスクリュフィーダ2の中を通ってその内部の刈草Aを予熱し、熱エネルギを十分に活用してスクリュフィーダ2の投入口2cから外部に排出されるが、供給される水蒸気が過剰な場合は、一部の水蒸気が十分に熱エネルギを活用することなく、加熱機1の排出口1cから排出される。また、加熱機1内の水蒸気が少なくなると、その下部の排出口1cから低温の大気が流入し、刈草Aの加熱が不十分になる。したがって、少ない水蒸気で効率よく刈草Aを加熱するためには、水蒸気が加熱機1の排出口1cまで充満するように、排出口1cでわずかに検知される程度にするのがよい。
【0017】
この実施形態では、作業者が前記スクリュフィーダ2の投入口2cと加熱機1の排出口1cを監視し、スクリュフィーダ2の投入口2cから排出される水蒸気の量が少なく、加熱機1の排出口1cで検知される水蒸気の量が多い場合は、図2に実線で示したように、シリンダ11でスクリュフィーダ2を傾動させて、その昇り勾配を小さくするように調整する。また、スクリュフィーダ2の投入口2cから排出される水蒸気の量が多く、加熱機1の排出口1cで水蒸気が検知されない場合は、図2に一点鎖線で示したように、スクリュフィーダ2の昇り勾配を大きくするように調整する。なお、昇り勾配を最小にしても、加熱機1の排出口1cで検知される水蒸気の量が多い場合は、ボイラ3からの水蒸気の供給量を減らし、昇り勾配を最大にしても、加熱機1の排出口1cで水蒸気が検知されない場合は、ボイラ3からの水蒸気の供給量を増加させる。
【0018】
前記スクリュフィーダ2の昇り勾配を調整することにより、昇り勾配を小さくして、加熱機1の排出口1cからスクリュフィーダ2の投入口2cまでの高さHを高くした場合は、いわゆる煙突効果が大きくなり水蒸気がスクリュフィーダ2内を流れやすくなるため、加熱機1の供給口1aからスクリュフィーダ2側に排出される水蒸気の排出抵抗が小さくなって、スクリュフィーダ2の投入口2cから排出される水蒸気の量が多くなり、加熱機1の排出口1cからの水蒸気の排出が抑制される。また、昇り勾配を大きくして、加熱機1の排出口1cからスクリュフィーダ2の投入口2cまでの高さH’を低くした場合は、スクリュフィーダ2側に排出される水蒸気の排出抵抗が大きくなって、スクリュフィーダ2の投入口2cから排出される水蒸気の量が少なくなる。したがって、少ない水蒸気で刈草Aを効率よく加熱することができる。なお、スクリュフィーダ2は、刈草Aの閉塞を考慮して内径を大きく設計しているので、内部を水蒸気が流れやすいが、昇り勾配とすることで水蒸気の流れを抑制して、一定の排出抵抗を確保している。
【0019】
上述した実施形態では、作業者がスクリュフィーダの投入口と加熱機の排出口での水蒸気の量を監視して、スクリュフィーダの昇り勾配を調整するようにしたが、スクリュフィーダの投入口と加熱機の排出口に水蒸気を検出する水蒸気センサを設け、この水蒸気センサの検出出力に基づいて、スクリュフィーダの昇り勾配を自動的に調整するようにしてもよい。
【0020】
また、上述した実施形態では、スクリュフィーダの昇り勾配をシリンダで調整するようにしたが、この昇り勾配は一度調整すればそれほど頻繁に調整する必要はないので、例えば、クレーン等でスクリュフィーダの投入口側を吊り上げ、ライナ等で高さ調節が可能な支持台でスクリュフィーダの投入口側を支持するようにしてもよい。
【0021】
さらに、上述した実施形態では、加熱機を横向きのものとしたが、加熱機は供給口が上部に、排出口が下部にあればよく、斜め向きとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】刈草の加熱装置の実施形態を示す切欠き正面図
【図2】図1の切欠き側面図
【図3】図1の切欠き平面図
【符号の説明】
【0023】
A 刈草
1 加熱機
1a 供給口
1b スクリュ羽根
1c 排出口
1d 蒸気入口
2 スクリュフィーダ
2a ケーシング
2b スクリュ羽根
2c 投入口
2d 排出口
3 ボイラ
3a 蒸気配管
3b バーナ
3c 煙突
4 水タンク
5 灯油タンク
6 制御盤
7 基台
7a 支柱
8 ホッパ
9 蛇腹
10 ピン
11 シリンダ
12a、12b モータ
【出願人】 【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
【出願日】 平成18年8月17日(2006.8.17)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二

【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久

【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由

【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博


【公開番号】 特開2008−44819(P2008−44819A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−222519(P2006−222519)