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低臭気な堆肥化処理方法 - 特開2008−37718 | j-tokkyo
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【発明の名称】 低臭気な堆肥化処理方法
【発明者】 【氏名】中下 隆史

【氏名】安藤 文彦

【要約】 【課題】本発明は、低温域における臭気の発生を抑えた発酵から高温域における発酵との2段階方式により悪臭が発生することなく完全な発酵が行える低臭気な堆肥化処理方法を提供することを目的とするものである。

【構成】本発明は、生活ゴミや動植物残滓に、単独もしくは複数の微生物を接種して、増殖させ、発酵、分解させる堆肥化処理方法において、一次処理が、消臭機能を有する微生物により行われる第1次発酵工程と、二次処理が、堆肥化促進機能を有する微生物により第一次発酵工程より高温度で行われる第2次発酵工程を備える工程とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生活ゴミや動植物残滓に、単独もしくは複数の微生物を接種して、増殖させ、発酵、分解させる堆肥化処理方法において、
一次処理が、消臭機能を有する微生物により行われる第1次発酵工程と、
二次処理が、堆肥化促進機能を有する微生物により第一次発酵工程より高温度で行われる第2次発酵工程を備える
ことを特徴とする低臭気な堆肥化処理方法。
【請求項2】
前記一次処理における温度が30〜60℃の中温域である
ことを特徴とする請求項1記載の低臭気な堆肥化処理方法。
【請求項3】
前記二次処理における温度が70〜85℃の高温域である
ことを特徴とする請求項1または2記載の低臭気な堆肥化処理方法。
【請求項4】
前記微生物が枯草菌および放線菌よりなる微生物群から選ばれる少なくとも1種よりなる
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の低臭気な堆肥化処理方法。
【請求項5】
前記消臭機能を有する微生物が枯草菌で、前記堆肥化促進機能を有する微生物が放線菌であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の低臭気な堆肥化処理方法。
【請求項6】
枯草菌と放線菌を共存させながら1次処理を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の低臭気な堆肥化処理方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は低臭気な堆肥化処理方法に関する。詳しくは家庭や飲食店等から排出される大量の生ごみや食品加工・焼酎工場から排出される焼酎粕などの食物残滓を堆肥化する際の臭いの発生を抑えた処理方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
生ゴミなど含水率の高い(75%〜90%)食物残滓の堆肥化処理方法においては、例えば図3に示す有機性固形廃棄物の堆肥化処理方法がある。この発明は生ゴミにて代表される有機性固形廃棄物101を破砕又はそのままの状態で受入れ、通性嫌気的な条件下で貯留処理102、次いで有機性固形廃棄物101を含水率70%以下に脱水処理し、固形状材料103と分離汚水とに分離する脱水処理工程104、脱水に伴う分離汚水を貯留する分離汚水貯留工程105、および脱水後の固形状材料103を好気的条件下で発酵処理する発酵処理工程106を有し、該発酵処理工程106において、発酵中の固形状材料103の含水率が発酵のための適正値を維持するように、前記分離汚水貯留工程105で貯留された分離汚水を発酵中の固形状材料103に散水する構成とするものである(特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−100188号公報(要約書、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように食物残滓の含水率を65%〜70%に調整して、発酵処理を行うことが最も効率の良い発酵処理として認められているが、図4の堆肥化処理工程における発酵温度推移グラフで示すように、含水率を65%とした状態で発酵菌を添加した場合には好条件下での発酵・分解により急激な発酵温度が上昇し、24時間後には78.5℃の最高温度となる。
【0005】
ここで温度上昇に伴い食物残滓に含まれる水分が分離されて泥状化するために、通気性不良となり嫌気性状態に陥り、不良となり嫌気性状態に陥り、乳酸発酵に転じることにより酸性化し、発酵菌が死滅する。そしてこの嫌気性発酵が進むことにより発生する臭気が強くなり、処理施設周辺の環境を悪化させる原因となっている。
【0006】
このように第1発酵時に悪臭が発生することが多いために、施設の周辺に悪臭が洩れないように空気清浄機を設けて多大な付属設備によるコストがかかるのが現状である。また、発酵時の腐敗による悪臭の発生を抑えるために、強制的に空気を供給し、温度を加えたとしても、それは大腸菌などの増殖に好ましい環境となり、目的の有効菌が働いているかどうか確認できない状態で乾燥されることとなり、それを堆肥として使用した場合に悪臭や雑菌の発生により農作物に悪影響を及ぼす問題がある。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、低温域における臭気の発生を抑えた発酵と高温域における発酵との2段階方式により悪臭が発生することなく完全な発酵が行える低臭気な堆肥化処理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係る低臭気な堆肥化処理方法は、生活ゴミや動植物残滓に、単独もしくは複数の微生物を接種して、増殖させ、発酵、分解させる堆肥化処理方法において、一次処理が、消臭機能を有する微生物により行われる第1次発酵工程と、二次処理が、堆肥化促進機能を有する微生物により第一次発酵工程より高温度で行われる第2次発酵工程を備える工程とする。
ここで、第2次発酵工程は第一次発酵工程より10℃以上高温度で行われることが好ましく、20℃以上高温度で行われることが特に好ましい。10℃以上高温度としたのは、たとえば第1次発酵工程で枯草菌を使用した場合の上限温度と第2次発酵工程で放線菌を使用した場合の下限温度との差が10℃以上あると効果が得やすいからである。
【0009】
ここで、生活ゴミや動植物残滓の水分調整を行った後に、枯草菌や放線菌を含む微生物を接種して一次処理において特に30〜60℃の中温域内にて発酵を行うことにより、中温域内での好気的条件下における添加した特に枯草菌の増殖により臭気、例えばアンモニア、カプタン、アミン、油脂成分を分解することにより臭気の発生を抑えながら好気的発酵を継続する。
次に、一次処理において臭気成分の発生が抑えられた中間処理物を、二次処理において第一次発酵工程より高温度、特に70〜85℃の高温域内での好気的条件下における特に放線菌の働きにより発酵をより促進させて短期間での堆肥化を可能とする。
一次処理においては消臭機能を有する微生物、二次処理においては堆肥化促進機能を有する微生物であれば使用できるがいずれも枯草菌または放線菌が好ましく、消臭機能を有する微生物としては枯草菌が特に好ましく、堆肥化促進機能を有する微生物としては放線菌が特に好ましい。また、一次処理において枯草菌と放線菌とを共存させることもできる。枯草菌と放線菌とを共存させ、第一次発酵工程を30〜60℃の中温域内、第2次発酵工程を70〜85℃の高温域内で行うことにより、一次処理においては枯草菌の機能を発揮させ、二次処理においては放線菌の機能を発揮させることができる。
【0010】
なお、前記一次処理において30〜60℃の中温域と限定した理由は、温度が30℃未満では枯草菌の活動が抑制されて充分な消臭効果を得ることができず、また温度が60℃超では枯草菌が熱によって死滅する恐れがあるからである。
【0011】
また、前記二次処理において70〜85℃の高温域と限定した理由は、温度が70℃未満では、放線菌の充分な発酵促進がなされず、温度が85℃を超えると放線菌が熱によって死滅する恐れがあるからである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の低臭気な堆肥化処理方法では、一次処理において発生するアンモニア臭を30〜60℃の中温域での枯草菌による臭気成分の分解によって臭気を抑えながら発酵を促進させることができる。したがって、空気清浄機やベンチレーターなどの付帯設備が不要なり、臭気を押さえられた好条件下での作業が可能となる。
【0013】
また、二次処理においては、70〜85℃の範囲での高温域での放線菌による発酵・分解により、水分過多を抑制しながら高温状態を維持することにより短期間での堆肥化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1に、本発明の低臭気な堆肥化処理方法を適用した堆肥化処理場の一例を示す平面見取図を示す。
【0015】
ここで示す堆肥化処理場1は、敷地内に堆積槽2、ワラ堆積倉庫3、攪拌処理槽4、排水槽5および汚水貯留槽6などから構成されるものである。
【0016】
この堆積槽2は図2に示すように、その底面に散気管7が配管され食物残滓Aに空気が供給されることにより発酵時の温度調整が行える構成とするとともに、堆積される食物残滓Aは週に1回ホイールローダーなどによって攪拌して発酵の均一化を図れるようにする。
【0017】
そこで堆積槽2において生ゴミで代表される食物残滓(含水率75%〜90%)や牛糞、馬糞などの家畜糞にワラ堆積槽倉庫3よりワラやおが屑および戻し堆肥などを投入して含水率55%〜60%の範囲内で水分調整を行うとともに枯草菌および放線菌が含んだ微生物を接種して一次処理を行う。
【0018】
次に堆積槽2において2〜3日間の一次発酵を行った後に食物残滓を攪拌処理槽4まで運搬して二次発酵を行う。この攪拌処理槽4には散気管(図示せず。)と撹拌羽根(図示せず。)が設けられ、一次発酵終了後の食物残滓に散気管により空気を供給しながら撹拌羽根によって撹拌されることで好気的発酵条件下での安定した発酵・分解が継続されるとともに食物残滓内の水分の蒸散が行われ、約6週間で完熟した堆肥の生産が行われる。
【0019】
実施例1
ここで、一日に産出される生ゴミ2t/日と馬糞0.3t/日の合計重量2.3t/日を前記詳述した堆肥化処理場において堆肥化処理を行った。
【0020】
一次処理において微生物製剤として枯草菌であるパナエコクリーン(商標登録)/(国際衛生株式会社製)および放線菌であるビオグリーン(商標登録)/(豊栄物産株式会社製)の混合物を原料投入時に混合し、空気の供給によって堆積層内の温度を30〜60℃の範囲内で管理しながら、水分を55〜60%に調整された原料を2〜3日間の中温発酵処理を行った。次に二次処理では、攪拌処理槽内の温度を75〜85℃の範囲内で管理しながら30〜45日間かけて攪拌発酵処理を行った。
【0021】
そこで堆積槽位置、攪拌処理槽の投入位置および攪拌処理槽の排出位置におけるアンモニア濃度を従来におけるビオグリーン(商標登録)/(豊栄物産株式会社製)のみの接種により第1次醗酵工程、第2次醗酵工程共に70〜80℃で管理する従来の堆肥化処理と本発明による堆肥化処理との比較測定を行った結果を下記表1に示す。測定単位はppmとする。
【0022】
【表1】


【0023】
以上の結果から、一次処理における堆積槽での悪臭の原因であるアンモニア濃度が4ppmであり、従来の32ppmに比べて著しく減少し、その後の第2次発酵工程の過程においても、従来法に比べアンモニア濃度が著しく減少した。このアンモニア濃度では殆んどの人が臭気を感じない値である。
【0024】
実施例2
次に、一日に産出される、たまねぎ3.5t/日:えび0.5t/日:あさり0.3t/日:汚泥1t/日の合計重量5.3t/日を前記詳述した堆肥化処理場において堆肥化処理を行った。
【0025】
一次処理において微生物製剤としてパナエコクリーン(商標登録)/(国際衛生株式会社製)およびビオグリーン(商標登録)/(豊栄物産株式会社製)の混合物を原料投入時に混合し、空気の供給によって堆積槽内の温度を30〜60℃の範囲内にで管理しながら、水分を55〜60%に調整された原料を2〜3日間の中温発酵を行った。次に二次処理では、攪拌処理槽内の温度を75〜85℃の範囲内で管理しながら30〜45日間かけて攪拌発酵処理を行った。
【0026】
そこで堆積槽位置、攪拌処理槽の投入位置および攪拌処理槽の排出位置におけるアンモニア濃度を、ビオグリーン(商標登録)/(豊栄物産株式会社製)のみの接種により第1次醗酵工程、第2次醗酵工程共に70〜80℃で管理する従来の堆肥化処理従と本発明による堆肥化処理との比較測定を行った結果を下記表2に示す。測定単位はppmとする。
【0027】
【表2】


【0028】
以上の結果から、一次処理における堆積槽での悪臭の原因であるアンモニア濃度が1ppmであり、従来の40ppmに比べて著しく減少し、その後の第2次発酵工程の過程においても、従来法に比べアンモニア濃度が著しく減少した。
【0029】
以上のように一次発酵時において、枯草菌および放線菌が含んだ微生物を接種することにより、30〜60℃の中温域内を至適とする枯草菌は、悪臭の原因となるアンモニア、カプタン、アミン、油脂成分を分解することにより臭気の発生を抑えながら発酵を促進する。これにより、最も悪臭が発生する一次発酵時の低臭気を可能とする。
【0030】
次に、攪拌処理槽内にて二次発酵を行う場合には、75〜85℃の高温域内を至適とする放線菌は、高温状態を継続した状態での発酵・分解を促進することにより、その結果水分の蒸散を効率よく行うことができ、好気性発酵条件下での発酵を完了することにより完熟度の高い堆肥を生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の低臭気な堆肥化処理方法を適用した堆肥化処理場の一例を示す平面見取図を示す。
【図2】図1における堆積層の内部機構を示す断面説明図である。
【図3】従来の堆肥化処理方法の一例を示す説明図である。
【図4】従来の堆肥化処理における発酵温度推移グラフ図である。
【符号の説明】
【0032】
1 堆肥化処理場
2 堆積槽
3 ワラ堆積倉庫
4 攪拌処理槽
5 排水槽
6 汚水貯留槽
7 散気管
【出願人】 【識別番号】595134858
【氏名又は名称】豊栄物産株式会社
【識別番号】390016056
【氏名又は名称】国際衛生株式会社
【出願日】 平成18年8月9日(2006.8.9)
【代理人】 【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗


【公開番号】 特開2008−37718(P2008−37718A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−216623(P2006−216623)