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【発明の名称】 複層ガラス
【発明者】 【氏名】秋山 貴彦

【要約】 【課題】複層ガラスの遮音性能を高める。

【構成】板ガラスの周縁に配設したスペーサにより所定間隔を隔てて重ね合わされた少なくとも2枚の板ガラスと、板ガラス間に中空層を有し、板ガラス間に前記スペーサのすくなくとも1つと平行に配設された共鳴用部材とを備え、共鳴用部材、スペーサおよび2枚の板ガラスで囲まれた空隙部を有し、共鳴用部材には前記中空層と前記空隙部とを連通する複数個の貫通孔が設けられた複層ガラスであって、貫通孔の孔径が、0.5mm以上2mm未満である複層ガラス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2枚の板ガラスを、その周縁部にスペーサを配設して前記板ガラスの間に中空層ができる様に隔置し、かつ前記中空層内に前記スペーサの少なくとも1つと所定間隔をもって対抗して共鳴用部材を配設し、前記板ガラスと、共鳴用部材と、スペーサとによって画成された空隙部を形成するとともに、板ガラスの周縁部をシールしてなる複層ガラスであって、前記共鳴用部材には前記中空層と空隙部とを連通させる複数個の貫通孔が設けられており、前記貫通孔の孔径は0.5mm以上2mm未満であることを特徴とする複層ガラス。
【請求項2】
前記スペーサと前記共鳴用部材との有効空隙が15mm以上30mm以下である請求項1に記載の複層ガラス。
【請求項3】
前記共鳴用部材の厚さが2mm以上20mm以下であり、貫通孔相互の間隔が10mm以上200mm以下である請求項1または2に記載の複層ガラス。
【請求項4】
前記板ガラスの厚さが2mm以上30mm以下であり、板ガラス相互の間隔が4mm以上30mm以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の複層ガラス。
【請求項5】
少なくとも1枚の板ガラスが合わせガラスである請求項1から4のいずれか1項に記載の複層ガラス。
【請求項6】
前記中空層に窒素ガス、六フッ化硫黄ガス、アルゴンガスまたはクリプトンガスが封入された請求項1〜5のいずれか1項に記載の複層ガラス。
【請求項7】
共鳴器の共鳴周波数が160〜630Hzである請求項1〜6のいずれか1項に記載の複層ガラス。
【請求項8】
前記スペーサと前記共鳴用部材とが連結部材を介して一体化してなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の複層ガラス。
【請求項9】
前記連結部材および/または前記共鳴用部材が透明材料である請求項1〜8のいずれか1項に記載の複層ガラス。
【請求項10】
前記貫通孔の少なくとも一方の開口部には音響抵抗材が配されてなる請求項1〜9のいずれか1項に記載の複層ガラス。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、遮音性能を高めることにより建築物の窓用としてはもとより、車輌や船舶などの窓用としても好適に使用できる複層ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
複層ガラスにおける遮音性能の良否は、コインシデンス効果と共鳴透過現象との如何に依存するとされている。このうち、コインシデンス効果による遮音性能の低下は、使用する板ガラスの密度や縦弾性係数のほか、その時々の気温等にも関係するとされており、単板ガラスのみならず複層ガラスにも発生する共通の現象である。
【0003】
一方、低音域での共鳴透過現象は、等間隔で隔置された2枚の板ガラスが共鳴すること
により発生する複層ガラスに特有の現象である。
従来より使用されている一般的な複層ガラスにおいては、スペーサの両側面と板ガラスとの間には一次シールが、2枚の板ガラス端縁とスペーサの外側面とを覆って二次シールが設けられている。
【0004】
しかし、この構成では、複層ガラスの中空層の大きさ、該中空層に封入された気体の種類、板ガラスの厚さ、等の制限より、160〜500Hzの音域で共鳴透過現象による遮音性能の低下という不具合が生じやすい。
また、2枚の板ガラスの板厚が同一または近似である場合、コインシデンス効果を顕著に生じ、高音域から中音域にかけても遮音性能の低下という不具合が生じやすい。
【0005】
上記欠点の対処法として、特開2004−205992号公報においては、共鳴器を備えた複層ガラスが提案されている。しかし、この構成においても遮音性能が低下するという問題が完全に解決された訳ではない。
【0006】
【特許文献1】特開2004−205992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、160〜500Hzの周波数帯での遮音性能改善量を最適化した共鳴器を設計し、JIS A 4706:2000における遮音性能等級が共鳴器を持たないものに比べて1ランク向上する複層ガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述の課題を解決すべくなされたものであり、少なくとも2枚の板ガラスを、その周縁部にスペーサを配設して前記板ガラスの間に中空層ができる様に隔置し、かつ前記中空層内に前記スペーサの少なくとも1つと所定間隔をもって対抗して共鳴用部材を配設し、前記板ガラスと、共鳴用部材と、スペーサとによって画成された空隙部を形成するとともに、板ガラスの周縁部をシールしてなる複層ガラスであって、前記共鳴用部材には前記中空層と空隙部とを連通させる複数個の貫通孔が設けられており、前記貫通孔の孔径は0.5mm以上2mm未満であることを特徴とする複層ガラスを提供する。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の複層ガラスであって、前記スペーサと前記共鳴用部材との有効空隙が15mm以上50mm以下であることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の複層ガラスであって、前記共鳴用部材の厚さが2mm以上20mm以下であり、貫通孔相互の間隔が10mm以上200mm以下であることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の複層ガラスであって、前記板ガラスの厚さが2mm以上30mm以下であり、板ガラス相互の間隔が4mm以上30mm以下であることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は請求項1から4のいずれか1項に記載の複層ガラスであって、少なくとも1枚の板ガラスが合わせガラスであることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複層ガラスであって、前記中空層に窒素ガス、六フッ化硫黄ガス、アルゴンガスまたはクリプトンガスが封入されたことを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複層ガラスであって、共鳴器の共鳴周波数が160〜630Hzであることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複層ガラスであって、前記スペーサと前記共鳴用部材とが連結部材を介して一体化してなることを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の複層ガラスであって、前記連結部材および/または前記共鳴用部材が透明部材であることを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の複層ガラスであって、前記貫通孔の少なくとも一方の開口部には音響抵抗材が配されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、200〜500Hzの音域で共鳴透過現象による遮音性能の低下という不具合を著しく抑制し、JIS A 4706:2000における遮音性能等級が共鳴器を持たないものに比べて1ランク向上する複層ガラスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳説する。
図1は本発明に係わる複層ガラスの一例を示す概略図であり、図2は複層ガラスの部分(A−A)断面図、図3は共鳴用部材の部分上面図である。
【0020】
図1および図2に示すように、複層ガラス1は、2枚の板ガラス2および2を、スペーサ3によって、板ガラス2、2とスペーサ3との間に一次シール8を介して所定の間隔に保持し、板ガラス2および2の周縁部内部とスペーサ3の外周面とで形成された凹部に二次シール9を配して周縁部がシールされている。
【0021】
板ガラス2としては、建築用に一般的に使用されるソーダライムシリカガラス(例えば、旭硝子社製、商品名:AS)が代表的であるが、これに限られずその他の組成の板ガラスも使用できる。同様に、通常のソーダライムシリカガラス以外にも、強化ガラスや網入り板ガラス、合わせガラスも使用でき、片側の板ガラス2を合わせガラスとし、他方を通常のソーダライムシリカガラスとする等、種類や厚さの異なる板ガラスを組み合わせて使用することもできる。また、無機質の板ガラスのみならず有機質の板状体、例えばポリカーボネート、アクリル樹脂等も使用できる。なお、製造上および市場の観点から、板ガラスの厚さは2mm以上30mm以下、板ガラス相互の間隔が4mm以上30mm以下であることが好ましい。
【0022】
スペーサ3は、板ガラス2、2の相互の間隔が所定値に確保できれば材質、形状は限定されないが、図示のような断面矩形状が好ましい。なお、図示は省略したが、スペーサ3の中空部分に乾燥剤を充填し、かつ、スペーサ3の中空層側に貫通孔を所定間隔で複数個設けてもよい。
【0023】
一次シール8としては主に耐透湿性および粘着力を発揮できる材質が好ましく、たとえば、ポリイソブチレンが好適に使用できる。二次シール9としては主に接着力を発揮できる材質が好ましく、たとえば、ポリスルフィド、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂が好適に使用できる。
【0024】
なお、複層ガラス1としては、2枚の板ガラス2、2をその間に設けたスペーサ3で所定間隔を隔てて重ね合わせ、単一の中空層4を有する構成に限られるものではなく、3枚以上の板ガラス2、・・・、2を隣り合う板ガラス2、2間にスペーサ3を設けて所定間隔を隔てて重ね合わせ、複数の中空層4を有する構成であってもよい。
【0025】
中空層4内にはスペーサ3に平行にスペーサ3と所定距離Hの間隔を隔てて板状の共鳴用部材5が配設され、共鳴用部材5、スペーサ3および2枚の板ガラス2、2で空隙部7が形成される。共鳴用部材5は矩形断面の角材または板材である。また、共鳴用部材5は板ガラス2の4辺全周に沿って設けてもよいし1辺にのみ沿って設けてもよい。共鳴用部材5は所定の厚さLを有しており、また、共鳴用部材5には中空層4と空隙部7とを連通する直径dの複数個の貫通孔6が所定ピッチ間隔P毎に設けられている(図3参照)。
【0026】
共鳴用部材5は、不図示の額縁より内側に露出するため、窓ガラスとしての透視性を妨げないために外観上透明材料で形成することが好ましい。また、所望の共鳴周波数、例えば160〜630Hzを有する共鳴器が構成できれば、種々の寸法の共鳴用部材5を使用可能であるが、外観上や製造上の観点から厚さLが2mm以上20mm以下、孔ピッチ間隔Pが10mm以上200mm以下程度とするのが好ましい。
【0027】
優れた遮音性能を得るには、直径dは0.5mm以上2mm未満であることが好ましく、厚さLが2mm以上10mm未満では0.8以上1.5mm以下であることが特に好ましい。
【0028】
また、スペーサ3と共鳴用部材5の間隔H(有効空隙)は、遮音性能と外観上の観点から15mm以上50mm以下とすることが好ましい。
【0029】
共鳴用部材5の幅は、板ガラス2の相互の間隔Wと略等しく、図示しない接着剤等の固定手段により板ガラス2に固定されている。共鳴用部材5の材質としては、各種の材料が使用できるが、硬質樹脂、ゴム、金属材料、等が吸音性が少なくて好ましい。また、共鳴用部材5の表面、すなわち、共鳴用部材5の上下面および貫通孔6の周壁面は、平滑に仕上げてあることが、吸音性が少なくて好ましい。
【0030】
図4は共鳴用部材とスペーサを一体とした複層ガラスの部分断面図である。
図示したように、共鳴用部材5は連結部材10を介してスペーサ3の係合用突起部と嵌合して連結し、一体構造としてもよい。この場合、連結部材10は共鳴用部材5とともに透明な材質を用いて形成することが複層ガラスとして好ましい。
【0031】
スペーサ3上辺の両側端には水平片である係止部3aが延設され、共鳴用部材5の下部両側端からは連結部材10が垂設され、かつ、連結部材10の下端部には、それぞれ2箇所に内向きの水平片が平行に延設され係合凹部10aを形成している。
【0032】
したがって、両側の係止部3aと係合凹部10aをそれぞれ嵌合することによりスペーサ3と共鳴用部材5とが一体化する。この構成であれば、スペーサ3を一次シール8および二次シール9を介して板ガラス2に固定するのみでよく、共鳴用部材5を別途板ガラス2に固定する必要がない。なお、連結部材10はスペーサ3(共鳴用部材5)の全長に亘って設ける構成でも、スペーサ3(共鳴用部材5)の全長に対し局部的に所定間隔をおいて設ける構成でもよい。
【0033】
この共鳴用部材5と空隙部7とにより、共鳴器が形成される。以下、この共鳴器の原理を説明する。
【0034】
共鳴用部材5に中空層4側から音波が入射すると、特定の周波数で貫通孔6内の空気が激しく振動する。このとき、貫通孔6内の空気と、貫通孔6の周壁面との摩擦によって音響エネルギーが熱エネルギーに変換されて吸音効果が得られる。
【0035】
所定の厚さLの共鳴用部材5に連続的に貫通孔6が配されている構成は、ヘルムホルツ共鳴器が連続的に並んでいる構成と等価であると考えられる。この場合、該共鳴器は貫通孔6の数が多い程(ただし、貫通孔6の間隔は制限される)、その吸音効果は大きい。
【0036】
このように、本発明の複層ガラスは、従来のヘルムホルツ共鳴器を持った複層ガラスに僅かの変更を加えるのみで、充分な遮音効果が得られるため、サッシや窓などの建築空間の他の部分に共鳴器を設ける必要はない。したがって、建築空間に全く変更を加えることなく、優れた遮音性能が得られる技術であり、人口密度の高い都市空間において極めて有益である。
【0037】
本発明において、複層ガラスの構成によってfr(共鳴器の共鳴周波数)が求められる。すなわち、気体の音速C、スペーサ3と共鳴用部材5との間隔H、共鳴用部材5の厚さL、貫通孔6の直径d、貫通孔相互の間隔Pおよび板ガラス2、2の内のり寸法W等のパラメータを下記(1)式に代入することによりfrが算出される。
【0038】
【数1】


【0039】
また一般に、複層ガラスの構成によってfrmd(複層ガラスが持つ固有の共鳴透過周波数)が求められる。すなわち、気体中の音速C、気体の密度ρ、ガラスの面密度mおよび板ガラス2、2の内のり寸法W等のパラメータを下記(2)式に代入することによりfrmdが算出される。
【0040】
【数2】


【0041】
このように、複層ガラスの構成における各値を任意に設定することにより、所望のf(共鳴器の共鳴周波数)と、frmd(複層ガラスの共鳴透過周波数)とを合わせることができる。
【0042】
本発明の他の実施の形態として、少なくとも1枚の板ガラス2が合わせガラスである複層ガラス1が挙げられる。このように、合わせガラスが使用されたり、板ガラスの外側にフィルムや樹脂等が接着された複層ガラス1は、安全面に優れ、複層ガラスとしての機能向上に寄与できる。
【0043】
本発明のさらに他の実施の形態として、中空層4に六フッ化硫黄ガス、アルゴンガスまたはクリプトンガスを封入した複層ガラスが挙げられる。通常の複層ガラス1は、中空層4に乾燥空気または窒素ガスが封入される構成が一般的であるが、これの代わりに、断熱性能を上げることを主たる目的で上記ガスを封入すると、媒体間の音速の違いによる波動的エネルギー損失を生じ、遮音性能が向上する効果が得られる。
【0044】
なお、窒素ガス、六フッ化硫黄ガス、アルゴンガス、クリプトンガスの0℃、1気圧での密度ρは、それぞれ、1.25kg/m、6.6kg/m、1.78kg/m、3.74kg/mであり、音速Cは、それぞれ、337m/秒、130m/秒、308m/秒、212m/秒であり、その結果frmd(8および4mmのフロート板ガラス2枚を10mmの間隔を隔てて形成した複層ガラスの共鳴透過周波数)は、それぞれ、216Hz、192Hz、236Hz、235Hzと算出される。
【0045】
本発明のさらに他の実施の形態として、貫通孔の少なくとも一方の開口部には音響抵抗材(不図示)が配されてなる構成が挙げられる。このような構成であれば、音響抵抗材が貫通孔の前後での気体の摩擦運動を促進し、広い周波数範囲の吸音の効果が得られる。
【0046】
なお、音響抵抗材とは、気体振動(空気振動)により自ら励振されやすい物質であり、たとえば、グラスウール、ロックウール等の繊維材、フィルム等の膜状材、等が挙げられる。
【実施例】
【0047】
矩形で、縦1480mm、横1230mm、厚さ8および4mmのフロート板ガラス2、2'(旭硝子社製、商品名:AS)各1枚を10mmの中空層を有するように、複層ガラスを製作し、図1に示すように共鳴用部材5を複層ガラス1の四端縁部分に設けた。共鳴用部材5の厚さLは5mm、貫通孔6相互の間隔Pは前式(1)と(2)が1/3オクターブ・バンドずれる〔(1)>(2)〕設計とし、共鳴用部材5の材質は、アクリル系樹脂を使用した。
【0048】
貫通孔6の直径dを1、2mm(実施例1、比較例1)の2種類の共鳴用部材5を用意し、スペーサ3と共鳴用部材5との間隔H(有効空隙)を15mmとなるように取り付けて評価した。なお、この場合前記(2)式によるfrmd(共鳴透過周波数)は238Hzとなり、前記(1)式によるfr(共鳴器の共鳴周波数)は300Hzとした。
【0049】
また、貫通孔6の直径dを1、1.5、2、3、4mm(実施例2、3および比較例2、3、4)の5種類の共鳴用部材5を用意し、スペーサ3と共鳴用部材5との間隔H(有効空隙)を20mmとなるように取り付けて評価した。なお、この場合前記(2)式によるfrmd(共鳴透過周波数)は238Hzとなり、前記(1)式によるfr(共鳴器の共鳴周波数)は300Hzとした。
【0050】
テストの結果を表1に示す。図5はテスト結果を表すグラフであり、(a)は孔径と改善量の関係、(b)は孔径とT−3不足量の関係を示すグラフである。
【0051】
【表1】


【0052】
表1から分かる様に、1/3オクターブ・バンド中心周波数で160〜500Hz(一部の周波数測定点を除き)において、比較例1〜4(直径が2、3、4mm)の場合に比べ、本発明の実施例1〜3(直径dが1、1.5mm)の場合には音響透過損失が高くなっており、共鳴器をもたない同構成の複層ガラスからの改善量も大きくなる傾向がある。また、JIS等級T−3不足量も少なくなる傾向がある。
【0053】
本テストの結果、JISの遮音性能等級において間隔H15mmの場合、直径dが2mm(比較例1)ではT−2だが、直径dが1mm(実施例1)では1ランク上のT−3となっており、間隔H20mmの場合、直径dが2、3、4mm(比較例2、3、4)ではT−2だが、直径dが1、1.5mm(実施例2、3)では1ランク上のT−3となっている。
【0054】
一般に、遮音性能評価基準としては、JIS A 4706(2000年改正)の遮音等級線T−1〜4(25〜40等級)が用いられる。すなわち、図5、6に示す音響透過損失曲線が遮音等級線T−1〜4の各等級線を上回れば、その等級として評価される。遮音等級の判定基準としては、各周波数帯域の全測定点(16点)全てが、該当する遮音等級線を上回ること、または、各周波数帯域で該当する遮音等級線を下回る値の合計が3dB以下の場合に、その遮音等級とされる。なお、複層ガラスの遮音性能として、一般に問題となるのは低音域であるので、800Hz超の中音域から高音域にかけての帯域の特性は、あまり問題とならない。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、一般住宅、マンション、オフィスビル等の窓ガラスとして用いられる複層ガラスに有用であるだけでなく、電車等車両、船舶および航空機等のガラスにも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係わる複層ガラスの一例を示す概略図である。
【図2】複層ガラスの部分(A−A)断面図である。
【図3】共鳴用部材の部分上面図である。
【図4】共鳴用部材とスペーサを一体とした複層ガラスの部分断面図である。
【図5】テスト結果を表すグラフである。
【符号の説明】
【0057】
1:複層ガラス
2:板ガラス
3:スペーサ
4:中空層
5:共鳴用部材
6:貫通孔
7:空隙部
8:一次シール
9:二次シール
10:連結部材
【出願人】 【識別番号】000000044
【氏名又は名称】旭硝子株式会社
【出願日】 平成18年7月20日(2006.7.20)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−24546(P2008−24546A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−198416(P2006−198416)