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【発明の名称】 微細加工用ガラス基板、及びガラス基板の加工方法
【発明者】 【氏名】小島 智明

【氏名】浅賀 猛

【氏名】千島 達也

【氏名】内田 茂

【氏名】楠山 幸一

【要約】 【課題】流路などの表面に凹凸形状を安価にかつ高精度に形成することができ、微細凹凸構造のエッヂ部においても適切な加工形状が得られるガラス基板の加工方法を提供する。

【構成】本発明のガラス基板の加工方法は、ガラス基板の被加工面を研磨する第1工程S1と、前記被加工面にエッチングマスクを形成する第3工程S3及び第4工程S4と、湿式エッチング処理により前記ガラス基板の被加工面に前記微細凹凸構造をパターン形成する第5工程S5と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿式エッチング処理による表面への微細凹凸構造の形成に供される微細加工用ガラス基板であって、
前記微細凹凸構造が形成される被加工面の表層部のエッチング速度が、当該ガラス基板内部のエッチング速度より大きいことを特徴とする微細加工用ガラス基板。
【請求項2】
湿式エッチング処理による表面への微細凹凸構造の形成に供される微細加工用ガラス基板であって、
前記微細凹凸構造が形成される被加工面の表層部に、当該ガラス基板内部よりもエッチング速度が大きい深さ1nm以上20μm以下の易エッチング層が形成されていることを特徴とする微細加工用ガラス基板。
【請求項3】
ガラス基板表面への微細凹凸構造の形成に適用できるガラス基板の加工方法であって、
ガラス基板の被加工面を研磨する工程と、
前記被加工面にエッチングマスクを形成する工程と、
湿式エッチング処理により前記ガラス基板の被加工面に前記微細凹凸構造をパターン形成する工程と、
を有することを特徴とするガラス基板の加工方法。
【請求項4】
前記湿式エッチング処理が、フッ酸を主成分とするエッチング液を用いたエッチング処理であることを特徴とする請求項3に記載のガラス基板の加工方法。
【請求項5】
前記エッチングマスクが、金属膜、金属酸化膜、及びレジストから選ばれる単層膜、又はこれらを組み合わせた積層膜であることを特徴とする請求項3又は4に記載のガラス基板の加工方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMSなどの分野で微細な凹凸パターンを形成される微細加工用ガラス基板、及びガラス基板の加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の分野ではシリコンウェハへ微細なパターン加工が中心であったが、DNA(deoxyribonucleic acid)チップに代表されるようなバイオ関係を中心にガラス基板への微細なパターン加工が要求されるようになってきた。ガラス基板に対して微細パターンの溝を形成する技術としては、ガラス基板の最表面にフッ素を添加した酸化シリコン層を形成することで、エッチング速度をガラス基板の厚さ方向で変化させる技術(特許文献1参照)や、ガラス基板の表面に圧子を押圧して基板表面に応力を残留させ、かかる応力残留部分とそれ以外の部分とのエッチング速度の差異を利用してガラス基板表面に所望のパターンの溝を形成するものが知られている。
【特許文献1】特開2002−030440号公報
【特許文献2】特開2005−230647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、高価な真空装置を用いてガラス基板の被加工面に成膜する必要があり、特許文献2記載の技術では、形成するパターンと同サイズの圧子を用意する必要があるため高精細のパターン形成には不向きである。
ところで、ガラス基板のパターン加工自体は、特許文献1にも記載されているように、ガラス基板上に所定形状のマスクを形成し、かかるマスクを介して湿式エッチング処理を行う方法でも可能である。しかしながら、この加工方法には、特許文献1に記載の課題に加えて、以下のような問題がある。
湿式エッチング処理にフッ酸のような等方的にエッチングが進行するエッチング液を用いると、原理的にはマスクの端部を中心とした半円状の断面を有するエッチング形状が得られるはずである。ところが実際には、前記の様な条件でガラス基板をエッチングすると、エッチングにより形成した凹部の開口端に鋭角なエッジ形状を持つ逆テーパー部分が発生する。ガラス基板の表面に凹凸を有する微細なパターンにおいて、エッヂ部にこのような逆テーパー形状が存在すると、エッヂ部のカケや、他の部品との組み合わせにおいて不具合が発生するおそれがある。
【0004】
この発明は上記のような従来のものが持つ問題点を解決するもので、流路などの表面に凹凸形状を安価にかつ高精度に形成することができ、微細凹凸構造のエッヂ部においても適切な加工形状が得られる微細加工用ガラス基板、及びガラス基板の加工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の微細加工用ガラス基板は、上記課題を解決するために、湿式エッチング処理による表面への微細凹凸構造の形成に供される微細加工用ガラス基板であって、前記微細凹凸構造が形成される被加工面の表層部のエッチング速度が、当該ガラス基板内部のエッチング速度より大きいことを特徴とする。
あるいは、本発明の微細加工用ガラス基板は、湿式エッチング処理による表面への微細凹凸構造の形成に供される微細加工用ガラス基板であって、前記微細凹凸構造が形成される被加工面の表層部に、当該ガラス基板内部よりもエッチング速度が大きい深さ1nm以上20μm以下の易エッチング層が形成されていることを特徴とする構成であってもよい。
【0006】
上記構成の微細加工用ガラス基板では、ガラス基板の被加工面の表層に基板内部よりもエッチング速度が大きくなる層が形成されており、特許文献1記載の技術のようにガラス基板の表面に他の膜を成膜したものではないため、極めて安価に製造可能な微細加工用ガラス基板となっている。また、特許文献2記載の技術のように、基板表面の一部にエッチング速度の異なる部位を形成する必要がないため、加工精度が圧子の寸法精度に制限されず、極めて微細な構造であっても高精度に加工できる微細加工用ガラス基板となる。
【0007】
また、上述したエッヂ部の逆テーパー形状については、その発生原理は以下のようなものであると考えられる。
すなわち、ガラス基板の被加工面に金属膜を用いてマスクを形成した際に、マスクとガラス基板とが界面部分で反応して化合物等を形成し、かかる化合物等に起因してガラス基板のエッチング速度が低下するためであると考えられる。
特に、ガラス基板をエッチングしている最中にマスク用の金属膜がガラス基板から剥離しないように金属膜とガラス基板の密着力を強化すると、前記界面の化合物層等が強固になるため逆テーパー形状がより発生しやすくなる。また、このような逆テーパー形状の発生を抑制するためにマスク用の金属膜とガラス基板の密着性を低下させることも考えられるが、このような密着性の低い界面においてはガラス基板のエッチング液が界面に容易に浸入するため、界面部分の横方向のエッチング速度が大きくなり、エッチング中のマスク膜の剥離が発生しやすくなる。
【0008】
本発明では、上述した構成を具備していることで、上記エッヂ部における逆テーパー形状の問題も解決できるものとなっている。すなわち本発明では、ガラス基板の内部の湿式エッチング速度と比較して被加工面におけるガラス基板の湿式エッチング速度を大きくしたことにより、ガラス基板の表面における基板面方向のエッチング速度を、ガラス基板の厚さ方向(深さ方向)のエッチング速度よりも常に大きくすることができる。したがって、エッチングにより被加工面に形成する凹部の開口方向におけるエッチングが深さ方向へのエッチングと比較して速やかに広がるため、逆テーパー形状の発生を抑制することができる。
【0009】
本発明のガラス基板の加工方法は、ガラス基板表面への微細凹凸構造の形成に適用できるガラス基板の加工方法であって、ガラス基板の被加工面を研磨する工程と、前記被加工面にエッチングマスクを形成する工程と、湿式エッチング処理により前記ガラス基板の被加工面に前記微細凹凸構造をパターン形成する工程と、を有することを特徴とする。
この加工方法によれば、湿式エッチングに先立ってガラス基板の表面を研磨することで、ガラス基板のごく表層に、ガラス基板内部よりもエッチング速度が大きくなる易エッチング層ともいうべき領域を形成することができる。このような易エッチング層をガラス基板表面に形成することで、エッチングマスクとガラス基板との界面においてエッチング速度が低下するのを防止することができ、その結果、微細凹凸構造のエッチ部に逆テーパー形状が形成されるのを効果的に防止することができる。
このように本発明は、ガラス基板表面を研磨するという簡便な工程を追加するのみで、微細凹凸構造を高精度に形成できるようにするものであり、従来技術に比して、加工精度、効率、及びコストの点で極めて有利な技術である。
【0010】
前記湿式エッチング処理が、フッ酸を主成分とするエッチング液を用いたエッチング処理であることが好ましい。また前記エッチングマスクが、金属膜、金属酸化膜、及びレジストから選ばれる単層膜、又はこれらを組み合わせた積層膜であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の微細加工用ガラス基板によれば、簡素な構造で安価に製造でき、かつ正確な凹凸形状を形成することができる。また本発明のガラス基板の加工方法によれば、端部に逆テーパー形状が形成されるのを抑制しつつ正確な形状で溝部を形成でき、信頼性に優れた微細凹凸構造を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明に係るガラス基板の加工方法を示すフローチャートである。図2は、図1に示す各工程に概略対応させた断面工程図である。
本実施形態のガラス基板の加工方法は、図1及び図2に示すように、微細凹凸構造が形成されるガラス基板10の被加工面10Aを研磨する第1工程S1と、研磨後のガラス基板10を洗浄する第2工程S2と、ガラス基板10上にエッチングマスクとなるマスク材膜11Aを形成する第3工程S3と、マスク材膜11A上にレジストパターン12をパターン形成し、マスクとしてのレジストパターン12を介してマスク材膜11Aを部分的に除去してエッチングマスク11を得る第4工程S4と、レジストパターン12及びエッチングマスク11をマスクとして用いた湿式エッチング処理によりガラス基板10に凹部10bを形成する第5工程S5と、ガラス基板10上のエッチングマスク11を除去する第6工程S6と、を有している。
【0013】
第1工程S1では、まず、ボロシリケートガラス、合成石英ガラス、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、無アルカリガラス等からなるガラス基板10を用意する。次いで、図2(a)に示すように、例えば、研磨パッド50と、酸化セリウムを主成分とする研磨液とを用いてガラス基板10の被加工面10Aを研磨する。この研磨工程は複数回行うこともでき、その際には各回の研磨条件を変更してもよい。
【0014】
第2工程S2では、研磨処理後のガラス基板10を、公知の洗浄方法を用いて洗浄し、基板面に付着した研磨液等を除去することで、図2(b)に示すように、表層に易エッチング層10aを有するガラス基板10を得る。ガラス基板10の洗浄方法としては、洗剤を用いて洗浄した後、純水洗浄を施すのが一般的である。ガラス基板10の被加工面10Aに形成された易エッチング層10aは、第1工程S1の研磨工程で形成される層であり、ガラス基板10に微細凹凸構造を形成するための湿式エッチング処理において、ガラス基板10の内部(易エッチング層10a以外の部分)よりも大きいエッチング速度を有する部位である。易エッチング層10aの深さは、被加工面10Aから1nm以上20μm以下である。このような範囲であれば、基板面方向のエッチング速度を高め、微細凹凸構造のエッヂ部における逆テーパー形状の発生を防止する効果が十分に得られる。本発明の加工方法により得られるエッヂ部の順テーパー形状は、表面から15μm〜20μm程度の範囲に形成されることが分かっており(実施例1及び図3(b)参照)、かかる範囲で加工形状を変化させるには、易エッチング層10aの深さは20μm以下で十分である。
【0015】
第3工程S3では、図2(c)に示すように、ガラス基板10上にエッチングマスクとなるマスク材膜11Aを形成する。マスク材膜11Aとしては、Cr、Ni、Au、Pt等の金属材料からなる金属膜を用いることができ、これらの金属膜を積層した積層金属膜であってもよい。また場合によってはフォトレジストをマスク材膜11Aとして用いることもでき、フォトレジストと金属膜とを積層した複合積層膜であってもよい。これらのうちでも、ガラス基板10との密着性や、パターニングのしやすさの点でCr膜を用いることが好ましい。
【0016】
第4工程S4では、まず、マスク材膜11A上にレジストを塗布し、これを露光、現像処理することで、図2(d)に示すように、開口部12aを有するレジストパターン12を形成する。次いで、図2(e)に示すように、レジストパターン12をマスクとする湿式エッチング処理によりマスク材膜11Aを部分的に除去することで、レジストパターン12の開口部12aに通じる開口部11aをマスク材膜11Aに形成する。これにより、所定形状の平面パターンを有するエッチングマスク11を得る。
マスク材膜11Aのエッチング処理には、マスク材膜11AがCr膜である場合には、硝酸第2セリウムアンモニウム溶液を用いた湿式エッチング処理が適用できる。
【0017】
第5工程S5では、ガラス基板10上に形成されたエッチングマスク11及びレジストパターン12をマスクとし、フッ酸を用いた湿式エッチング処理を行う。この湿式エッチング処理では、レジストパターン12の開口部12aに連続するエッチングマスク11の開口部11aから等方的にガラス基板10のエッチングを進行させ、図2(f)に示すように、開口部11aに対応する位置に断面半円型の凹部10bを形成する。ガラス基板10のエッチング処理にはフッ酸を用いるのが一般的であるが、他のエッチング液を用いた湿式エッチング処理によりガラス基板10を加工してもよいのは勿論である。
【0018】
そして、第6工程S6において、ガラス基板10上のエッチングマスク11及びレジストパターン12を、公知の剥離方法を用いて剥離すれば、一面側に微細凹凸構造を構成する凹部10bが形成された基板を得ることができる。
【0019】
以上説明した本発明のガラス基板の加工方法では、ガラス基板10を加工する前記第5工程S5において、先に記載のようにガラス基板10の表層に易エッチング層10aが形成されており、易エッチング層10aはそれ以外の部分のガラス基板10よりもフッ酸によるエッチング速度が大きくなっている。そのため、凹部10bの形成に際しては、凹部10bの深さ方向のエッチングに比して、凹部10bの開口方向(基板面方向)のエッチングが優先的に進行する。これにより、凹部10bのエッジ部(凹部10bとエッチングマスク11との境界部)は、凹部10bの開口端から凹部10bの底部に向かって傾斜する順テーパー形状となる。したがって、本発明に係る加工方法によれば、ガラス基板10上に形成した微細凹凸構造のエッヂ部が欠けたり、デバイスに適用する際に他の構成部材との組み合わせに不具合を生じたりすることが無い、適切な加工形状を得ることができる。
【0020】
また本発明の加工方法によれば、湿式エッチング処理によりガラス基板10を加工するのに先立って、被加工面10Aを研磨するという極めて簡便な処理により、凹部10bの加工形状を適切に制御できるようになっており、基板上に他の機能膜を成膜してエッチング速度を調整する方法や、微細加工を施した圧子を用いる方法に比して、加工の効率、コスト、及び加工精度において極めて有利な方法である。
【実施例】
【0021】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例におけるガラス基板の加工方法は、上記実施形態に準ずるものであるので、必要に応じて図1及び図2を参照しつつ説明することとする。
【0022】
(実施例1)
ガラス基板10としてボロシリケートガラス(ショット社製 テンパックス フロート)基板を用意した。
ボロシリケートガラス基板に第1の研磨工程として酸化セリウムを主成分とする研磨剤と硬質ポリシャ(ウレタンパッド)の研磨パッドによる研磨を用った。次いで、第2の研磨工程として酸化セリウムを主成分とする研磨剤と軟質ポリシャ(スウェードタイプ)の研磨パッドによる研磨を行った。
次に、研磨工程が終了した後、研磨後のボロシリケートガラス基板に対して洗剤、純水洗浄を行い、イソプロピルアルコール蒸気中で乾燥させた。
次に、乾燥処理後のボロシリケートガラス基板に、マスク材膜11AとしてCr膜をスパッタリングで成膜した。その後、Cr膜上にレジストを塗布し、リソグラフィー法を用いてレジストパターン12を形成した。
次に、レジストパターン12をマスクとする硝酸第2セリウムアンモニウム溶液を用いた湿式エッチング処理により、Cr膜をパターニングし、最終的なガラス基板エッチング用のエッチングマスク11を得た。
次に、フッ酸を主成分とするエッチング液を用いた浸漬処理(湿式エッチング処理)を行った。このエッチング処理により、深さ60μm、開口幅150μmの溝状の凹部10bを、エッチングマスク11の開口部11aに対応する位置のボロシリケートガラス基板表面に形成した。その後、エッチングマスク11及びレジストパターン12をボロシリケートガラス基板から剥離した。
ここで図3は、実施例1で得られる凹部10bの形状を説明するための図である。図3(c)は実施例1で形成した溝状の凹部10bの概略斜視図であり、図3(a)、図3(b)は、形成した凹部10bをSEM観察した断面画像のトレース図である。図3(a)、(b)に示すように、本実施例の加工方法によれば、形成した凹部10bのエッヂ部10cにおいて、ガラス基板表面から15μm程度の深さまで緩やかな順テーパー形状の断面形状が得られている。
【0023】
(比較例1)
図4は、比較例1で得られる凹部110bの形状を説明するための図であり、図4(a)、図4(b)は、形成した凹部110bをSEM観察した断面画像のトレース図である。
比較例1は、ガラス基板の被加工面を研磨する第1工程S1を行わない以外は、実施例1と同様の加工条件で凹部を形成した場合の例であり、研磨工程の有無による加工形状の変化を検証したものである。
比較例1では、まず、実施例1で用いたのと同等のボロシリケートガラス(ショット社製 テンパックス フロート)基板をガラス基板110として用意した。
次に、研磨工程を行わずに、ポロシリケートガラス基板に対して洗剤、純水洗浄を行い、イソプロピルアルコール蒸気中で乾燥させた。
次に、乾燥処理後のボロシリケートガラス基板に、マスク材膜となるCr膜をスパッタリングで成膜した。Cr膜上にレジストを塗布し、リソグラフィー法を用いてレジストパターンを形成した。
次に、レジストパターンをマスクとし、Cr膜を硝酸第2セリウムアンモニウム溶液でエッチングしたものを最終的なガラス基板エッチング用のエッチングマスクとして形成した。
次に、上記エッチングマスクをマスクとし、フッ酸を主成分とするエッチング液に浸漬する処理(湿式エッチング処理)により、図4(a)に示すように、深さ60μm、開口幅150μmの凹部110bを形成した。その後、エッチングマスク及びレジストパターンをボロシリケートガラス基板から剥離した。
図4(a)及び図4(b)に示すように、比較例1の凹部110bでは、開口端側のエッヂ部110cにおいて、凹部110bの内側に向かって延びる長さ1.5μm程度のオーバーハング状の逆テーパー形状が発生することが確認された。
【0024】
(比較例2)
図5は、比較例2で得られる凹部120bの形状を説明するための図であり、図5(a)、図5(b)は、形成した凹部110bをSEM観察した断面画像のトレース図である。
比較例2は、ガラス基板の種類及び形成する凹部の形状を異ならせた場合の加工例である。なお、本例でも比較例1と同様にガラス基板の被加工面を研磨する第1工程S1は行っていない。
比較例2では、まず、ガラス基板120として、無アルカリガラス(コーニング社製 1737)基板を用意した。
次に、研磨工程を行わずに、無アルカリガラス基板に対して洗剤、純水洗浄を行い、次いでイソプロピルアルコール蒸気中で乾燥させた。
次に、乾燥処理後の無アルカリガラス基板に、マスク材膜となるCr膜をスパッタリングで成膜した。Cr膜上にレジストを塗布し、リソグラフィー法を用いてレジストパターンを形成した。
次に、レジストパターンをマスクとし、Cr膜を硝酸第2セリウムアンモニウム溶液でエッチングしたものを最終的なガラス基板エッチング用のエッチングマスクとして形成した。
次に、エッチングマスクをマスクとし、フッ酸を主成分とするエッチング液に浸漬する処理(湿式エッチング処理)により、図5(a)に示すように、深さ40μm、開口幅100μmの凹部120bを形成した。その後、エッチングマスク及びレジストパターンを無アルカリガラス基板から剥離した。
図5(a)及び図5(b)に示すように、比較例2の凹部120bでも、開口端側のエッヂ部120cにおいて、凹部120b内に向かって延びる長さ350nm程度のオーバーハング状の逆テーパー形状が発生することが確認された。
【0025】
実施例1と、比較例1,2とを比較すれば明らかなように、本発明に係るガラス基板の加工方法によれば、ガラス基板の表面を研磨する第1工程S1を有していることで、ガラス基板10の被加工面10Aに形成する凹部10bのエッヂ部10cを順テーパー形状に形成することができる。したがって本発明によれば、微細凹凸構造のエッヂ部に逆テーパー形状が発生するのを効果的に防止することができる。これにより、逆テーパー形状のエッヂ部のカケや、他の部品との組み合わせにおける不具合の発生を効果的に防止でき、優れた信頼性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態に係る加工方法を示すフローチャート。
【図2】図1に対応する断面工程図。
【図3】実施例1に係る凹部の形状を説明するための図。
【図4】比較例1に係る凹部の形状を説明するための図。
【図5】比較例2に係る凹部の形状を説明するための図。
【符号の説明】
【0027】
10 ガラス基板、10A 被加工面、10a 易エッチング層、10b 凹部、10c エッヂ部、11A マスク材膜、11 エッチングマスク、11a 開口部、12 レジストパターン、12a 開口部
【出願人】 【識別番号】000101710
【氏名又は名称】アルバック成膜株式会社
【出願日】 平成18年7月20日(2006.7.20)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾


【公開番号】 特開2008−24543(P2008−24543A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−198198(P2006−198198)