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耐クラック性に優れた無アルカリガラス - 特開2008−13434 | j-tokkyo
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【発明の名称】 耐クラック性に優れた無アルカリガラス
【発明者】 【氏名】三和 晋吉

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量百分率で、SiO2 58〜70%、Al23 12〜25%、B23 9〜15%、MgO 0〜1%、CaO 0〜9%、SrO 0〜6%、BaO 0〜6%、ZnO 0〜5%、ZrO2 0〜5%、TiO2 0〜5%、P25 0〜5%、SiO2+B23+P25≧65%、Al23/B23=1.2〜2.0、SrO+BaO=3.1〜9%の組成を有し、実質的にアルカリ金属酸化物を含有せず、密度が2.5g/cm3以下、30〜380℃における熱膨張係数が26〜40×10-7/℃、クラック抵抗値が9.8N以上であることを特徴とする耐クラック性に優れた無アルカリガラス。
【請求項2】
質量百分率で、SiO2 58〜70%、Al23 14.5〜25%、B23 10〜15%、MgO 0〜0.5%(但し0.5%を含まず)、CaO 0〜9%、SrO 0〜6%、BaO 0〜6%、ZnO 0〜5%、ZrO2 0〜5%、TiO2 0〜5%、P25 0〜5%、SiO2+B23+P25≧65%、Al23/B23=1.2〜2.0、MgO+CaO+SrO+BaO=6.5〜11%(但し11%を含まず)、SrO+BaO=3.1〜9%の組成を有することを特徴とする請求項1記載の耐クラック性に優れた無アルカリガラス。
【請求項3】
SrO 0.5〜6%であることを特徴とする請求項1又は2記載の耐クラック性に優れた無アルカリガラス。
【請求項4】
BaO 0.5〜6%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐クラック性に優れた無アルカリガラス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載のガラスを用いたフラットパネルディスプレイ用ガラス基板。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項記載のガラスを用いた液晶ディスプレイ用ガラス基板。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ、ハードディスク、フィルター、センサー等の基板として好適な無アルカリガラスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子工業の分野では、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ、ハードディスク、フィルター、センサーの基板としてガラス基板が広く使用されている。
【0003】
この種のガラス基板には、用途の応じて様々な特性が要求され、例えば液晶ディスプレイ基板には、以下のような特性が求められる。
【0004】
(1)ガラス中にアルカリ金属酸化物が含有されていると、熱処理中にアルカリイオンが成膜された半導体物質中に拡散し、膜の特性の劣化を招くため、実質的にアルカリ金属イオンを含有しないこと。
【0005】
(2)フォトリソグラフィーエッチング工程で使用される種々の酸、アルカリ等の薬品に対する耐性(耐薬品性)に優れていること。すなわち、液晶ディスプレイ基板には透明導電膜、絶縁膜、半導体膜、金属膜等が成膜され、さらにフォトリソグラフィーエッチング工程においてガラス基板は種々の回路、パターンが形成される。これらの成膜及びフォトリソグラフィーエッチング工程においてガラス基板は種々の熱処理や薬品処理を受ける。
【0006】
例えばTFT型アクティブマトリックス液晶ディスプレイでは、ガラス基板上に絶縁膜や透明導電膜を成膜し、さらにアモルファスシリコンや多結晶シリコンのTFT(薄膜トランジスタ)がフォトリソグラフィーエッチング工程を用いてガラス基板上に多数形成される。このような工程では、ガラス基板は300〜600℃の熱処理を受けると共に、硫酸、塩酸、アルカリ溶液、フッ酸、バッファードフッ酸等の種々の薬品による処理を受ける。特にバッファードフッ酸は、絶縁膜のエッチングに広く用いられるが、ガラスを浸食してその表面を白濁させやすく、またガラス成分と反応して反応生成物ができ、これが工程中のフィルターを詰まらせたり、基板に付着するため、これに対する耐久性は重要である。
【0007】
(3)成膜、アニール等の工程で、ガラス基板は数百℃に加熱されるが、その際にガラスが熱収縮しないように歪点が高いこと。現在の多結晶シリコンTFT−LCDでは、その工程温度は約400〜600℃であり、これらの用途に用いるガラスには少なくとも640℃以上の歪点を有することが望ましいとされる。
【0008】
(4)ガラス基板の熱膨張係数がガラス基板上に成膜されるa−SiあるいはP−Siのそれに近いこと。具体的には、30〜380℃において26〜40×10-7/℃の熱膨張係数であることが必要とされる。より望ましい熱膨張係数の範囲は28〜38×10-7/℃である。熱膨張係数を40×10-7/℃以下にすることは、耐熱衝撃性の向上にも寄与する。
【0009】
またガラスを溶融し、薄板状に成形するには、以下の特性が要求される。
【0010】
(5)ガラス中に、泡、ぶつ、脈理等の透明ガラス基板として好ましくない溶融欠陥が発生しない様、溶融性に優れていること。
【0011】
(6)ガラス基板中に、溶融時あるいは成形時に発生する異物が混入するのを避けるため、耐失透性に優れていること。
【0012】
すなわち無アルカリガラス基板は、一般に溶融し難く、安価に高品質のガラス基板を大量に供給するためには、その溶融性を高めて、泡、異物等による不良率を軽減することが重要である。
【0013】
また液晶ディスプレイ基板は、一般にダウンドロー法で成形されるため、耐失透性が重要であり、ガラスの成形温度を考えると、その液相線温度が1200℃以下であることが必要である。
【0014】
さらに近年、フラットパネルディスプレイには軽量化の要求が高まっており、ガラス基板にも軽量化が強く求められている。この要求を満たすためには、ガラスの低密度化によるガラス基板の軽量化が望まれる。特に液晶ディスプレイ様ガラス基板の密度としては、2.5g/cm3以下であることが望ましく、さらに好ましくは、2.45g/cm3以下であることが望ましい。
【特許文献1】国際公開第97/011920号
【特許文献2】国際公開第00/032528号
【特許文献3】国際公開第98/027019号
【特許文献4】特開昭64−083538号公報
【特許文献5】特開2000−001331号公報
【特許文献6】特開平11−292563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
現在、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイは、パーソナルな分野への利用が進んでおり、機器の更なる軽量化が図られている。これに伴い、ガラス基板にも軽量化の要求が益々高まっており、この要求に応えるためにガラス基板の薄板化が進んでいる。
【0016】
しかしながら、この種の基板は大型化も進んでおり、ガラス基板としての強度の問題を無視して基板の薄板化を図ることはできなくなっている。特に液晶ディスプレイ用ガラス基板に用いられる0.7mm以下の板厚のガラス基板では、ディスプレイの製造工程において、ガラス基板がカセットや装置と接触することにより、基板端面にカケやクラックが発生しやすい。電子機器の軽量化に伴い、現在の液晶ディスプレイでは、基板の端部に近いところまで、画素が作り込まれているため、基板端面でカケ、クラックが発生すると、その部分のディスプレイ表示が正常に行われなくなる。また基板端面でのカケやクラックは、その後の工程、あるいはディスプレイとして製品化した後、徐々にクラックの伸展を引き起こし、ディスプレイパネルの破壊を招く可能性が大きい。さらにカケによって発生したガラス片やガラス粉が基板表面を汚染することにより、駆動電極線の断線など重大なディスプレイの欠陥を引き起こす。これを防ぐために、一般にガラス基板の端面部分を研削する、所謂面取りが行われている。また特にカケが発生しやすい基板のコーナー部分では角取りも行われる。
【0017】
しかし、特に液晶ディスプレイ等では、近年、大面積の基板に何枚ものディスプレイを作りこむ、所謂多面取りが行われており、この多面取りによる製造工程では、ガラス基板を切断した後、2枚のガラス基板の貼り合わせを行ったり、貼り合わせた後に切断を行って、ディスプレイを完成させるため、基板の周囲に面取りが施されることなく、エッジ部がそのまま存在する状態で後工程を流れたり、あるいは最終製品になることが多い。このような事情からガラスの耐クラック性を向上することが重要になってきている。
【0018】
ところが現在市販されている液晶ディスプレイ用ガラス基板には、上記した全ての要求特性を満足するものは存在せず、更なる改善が求められている。
【0019】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、実質的にアルカリ金属酸化物を含有せず、熱膨張係数と密度が低く、種々の酸やアルカリ等の薬品に対する高い耐性(耐薬品性)を持ち、歪点が高く、耐クラック性、溶融性及び耐失透性に優れるガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
一般に窓ガラスに用いられているソーダライムガラスは耐クラック性が低く、後述するクラック抵抗値は5N程度であるが、本発明者は、種々の研究を繰り返した結果、SiO2−Al23−B23−RO系のガラスにおいて、SiO2、B23及びP25の合量と、Al23/B23の比率を厳密に規制すると、ガラスの耐クラック性が向上し、クラック抵抗値を9.8N(窓ガラスの約2倍)以上にすることが可能であることを見いだし、本発明を提案するに至った。
【0021】
すなわち本発明の耐クラック性に優れた無アルカリガラスは、質量百分率で、SiO2 58〜70%、Al23 12〜25%、B23 9〜15%、MgO 0〜1%、CaO 0〜9%、SrO 0〜6%、BaO 0〜6%、ZnO 0〜5%、ZrO2 0〜5%、TiO2 0〜5%、P25 0〜5%、SiO2+B23+P25≧65%、Al23/B23=1.2〜2.0、SrO+BaO=3.1〜9%の組成を有し、実質的にアルカリ金属酸化物を含有せず、密度が2.5g/cm3以下、30〜380℃における熱膨張係数が26〜40×10-7/℃、クラック抵抗値が9.8N以上であることを特徴とする。
【0022】
また本発明の耐クラック性に優れた無アルカリガラスは、好ましくは、質量百分率で、SiO2 58〜70%、Al23 14.5〜25%、B23 10〜15%、MgO 0〜0.5%(但し0.5%を含まず)、CaO 0〜9%、SrO 0〜6%、BaO 0〜6%、ZnO 0〜5%、ZrO2 0〜5%、TiO2 0〜5%、P25 0〜5%、SiO2+B23+P25≧65%、Al23/B23=1.2〜2.0、MgO+CaO+SrO+BaO=6.5〜11%(但し11%を含まず)、SrO+BaO=3.1〜9%の組成を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の無アルカリガラスは、密度が小さいため、電子機器の軽量化を図ることができ、耐クラック性に優れているため、基板にしてもクラックが発生し難く、電子機器を歩留まりよく製造でき、信頼性を高めることができる。
【0024】
また実質的にアルカリ金属酸化物を含有しないため、基板上に形成する各種の膜特性を損なうことがない。さらに歪点が高く、耐熱性に優れているため、製造工程でのパターンズレも起こらず、熱膨張係数もSi膜との整合性を持っている。
【0025】
その他にも、耐薬品性に優れているため、製造工程で基板が変質することがなく、溶融性、成形性に優れているため、安価にガラス基板を製造することができる。
【0026】
従って、本発明の無アルカリガラスは、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ等のディスプレイパネル、ハードディスク、フィルター、センサーの基板として適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の無アルカリガラスの組成を上記のように限定した理由は、次の通りである。
【0028】
SiO2が58%より少ないと、耐薬品性、特に耐酸性が低下すると共に低密度化が困難になる。一方、70%より多いと、高温粘度が大きくなり、溶融性が低下すると共にクリストバライトの失透が出やすくなり、ガラス中に失透異物の欠陥が生じやすくなる。SiO2の好ましい含有量は58〜67%である。
【0029】
Al23が12%より少ないと、失透温度が上昇し、ガラス中にクリストバライトの失透異物が生じやすくなると共に歪点が低下する。一方、25%より多いと、ガラスの耐バッファードフッ酸性が低下し、ガラス表面に白濁を生じやすくなると共にガラスのクラック抵抗性が低下する。Al23の好ましい含有量は14.5〜25%、より好ましくは15〜25%である。
【0030】
23は、融剤として働き、粘性を下げ、ガラスの溶融性を改善する成分である。B23が9%より少ないと、融剤としての作用が乏しくなり、また耐バファードフッ酸性が低下すると共に耐クラック性が低下する。一方、15%より多いと、ガラスの歪点が低下し、耐熱性が低下すると共に耐酸性が低下する。B23の好ましい含有量は10〜15%、より好ましくは11〜15%である。
【0031】
MgOは、ガラスの歪点を低下せずに高温粘性を下げ、溶融性を改善する。またアルカリ土類金属酸化物の中では、最も密度を下げる効果があるが、多量に含有すると、失透温度が上昇する。またMgOは、バッファードフッ酸と反応して生成物を形成し、ガラス基板表面の素子上に固着したり、ガラス基板に付着して、これを白濁させる虞れがあるため、含有量を制限すべきである。従って、その含有量は0〜1%、好ましくは0〜0.5%である。
【0032】
CaOも、MgOと同様に歪点を下げずに高温粘性を下げ、ガラスの溶融性を著しく改善する成分であるが、9%より多いと、ガラスの耐バッファードフッ酸性が低下し、ガラス基板の表面が浸食されやすくなると共に、反応生成物がガラス基板の表面に付着してガラスを白濁させる。
【0033】
SrOは、ガラスの耐薬品性を向上すると共に、失透性を改善する成分であるが、多量に含有すると、溶融性が悪化すると共に、ガラスの密度、熱膨張係数が上昇するため好ましくない。従って、その含有量は、0〜6%、好ましくは0.5〜6%、さらには3〜6%である。
【0034】
BaOは、ガラスの耐薬品性、耐失透性を向上する成分であるが、多量に含有すると、ガラスの密度や熱膨張係数が上昇するため好ましくない。また一般に無アルカリガラス基板は、溶融し難く、安価に高品質のガラス基板を大量に供給するためには、その溶融性を高めて、泡や異物等による不良率を低下させることが非常に重要である。ところがBaOは、ガラスの溶融性を悪化させる成分であるため多量に含有することは好ましくない。また本発明の組成系のガラスでは、SiO2の量を減少させることが、溶融性を高めるために最も効果的であるが、SiO2を減少させると、耐酸性が極端に低下すると共にガラスの密度、熱膨張係数が上昇するため好ましくない。従って、BaOの含有量は、0〜6%、好ましくは0.5〜6%、さらには3〜6%である。
【0035】
SrOとBaOは、ガラスの耐クラック性を高める作用を有している。しかしながらこれらの成分が多くなりすぎると、ガラスの密度、熱膨張係数が上昇するため、合量で3.1〜9%に規制する。
【0036】
MgO、CaO、SrO、BaOといったアルカリ土類金属酸化物は、これらを混合して用いることにより、ガラスの失透温度を著しく下げ、ガラス中に結晶異物を生じさせ難くすることにより、ガラスの溶融性、成形性を改善する効果がある。しかしながらこれらの成分が多くなると、ガラスの密度が上昇して基板の軽量化が図れなくなるため、これらの合量値を6.5%以上、11%未満(好ましくは10%未満)に規制することが望ましい。
【0037】
ZnOは、ガラス基板の耐バッファードフッ酸性を改善すると共に、溶融性を改善する成分であるが、5%以上含有するとガラスが失透しやすくなる。また歪点が低下するため耐熱性が得られない。
【0038】
ZrO2は、ガラスの耐薬品性、特に耐酸性を改善する成分であるが、5%以上含有すると、失透温度が上昇し、ジルコンの失透異物が出やすくなるため好ましくない。
【0039】
TiO2も、ガラスの耐薬品性、特に耐酸性を改善し、かつ高温粘性を下げて溶融性を向上する成分であるが、5%以上含有する成分であるが、5%以上含有すると、ガラスに着色に生じ、その透過率を減じるためディスプレイ用のガラス基板としては好ましくない。
【0040】
25は、ガラスの耐クラック性を向上する成分であるが、多量に含有すると、ガラス中に分相、乳白現象が起こると共に、耐酸性が著しく低下するため好ましくない。従って、その含有量は0〜5%である。
【0041】
本発明のようなアルカリ土類アルミノシリケート無アルカリガラスの場合、耐クラック性を高めるためには、ネットワークフォ−マーであるSiO2、Al23、B23、P25を多く含有させることが重要である。特にSiO2、B23、P25は、耐クラック性を高める上で有効であり、この3成分を合量で65%以上、好ましくは70%以上含有することが望ましい。
【0042】
またAl23は、ネットワークフォーマーの中では、比較的、耐クラック性を高める作用が小さいが、低密度、高歪点を達成する上で欠かせない成分である。従って、Al23はB23に対して、1.2〜2.0、好ましくは1.2〜1.9、より好ましくは1.30〜1.65の比率となるように、その量を規制すべきである。このAl23/B23の比率が、1.2以下では、高歪点化が図れず、2.0以上では、耐クラック性が低下する。
【0043】
さらに本発明では、上記成分以外にも、ガラス特性が損なわれない限り、As23、Sb23、F2、Cl2、SO3、CあるいはAl、Si等の金属粉末等の清澄剤を用いることができる。またCeO2、SnO2、Fe23等も清澄剤として用いることができる。
【0044】
またガラス中にアルカリ金属酸化物が含まれると、ガラス基板上に形成される各種の膜や半導体素子の特性を劣化させるため、実質的に含有しないことが必要である。
【実施例】
【0045】
以下、本発明の無アルカリガラスを実施例に基づいて詳細に説明する。
【0046】
表1〜5は、本発明の実施例(試料No.1〜28)及び比較例(試料No.29〜34)を示すものである。
【0047】
【表1】


【0048】
【表2】


【0049】
【表3】


【0050】
【表4】


【0051】
【表5】


【0052】
上表の各試料は、次のようにして調製した。
【0053】
まず表中の組成となるように原料を調合した後、白金坩堝に入れ、1620℃で24時間溶融し、その後、カーボン板上に流し出し、板状に成形した。こうして得られた各ガラス試料を用いて、各種特性を測定した。
【0054】
表から明らかなように、本発明の実施例は、密度が2.47g/cm3以下であるため、基板の軽量化を図ることが可能であり、また、熱膨張係数が26〜35×10-7/℃であるため、Si膜との整合性が良く、さらにクラック抵抗値が15N以上であるため、非常に耐クラック性に優れていた。しかも、これらの試料は、歪点が654℃以上であるため、熱収縮が小さく、また102.5ポイズに相当する温度が1678℃以下、液相温度が1190℃以下であるため、溶融性、成形性に優れているものである。さらに耐HCl性、耐BHFに優れていた。
【0055】
それに対して、比較例であるNo.29の試料は、密度、熱膨張係数が大きく、歪点が低く、耐HCl性が悪かった。No.30の試料は、密度、熱膨張係数が大きく、耐クラック性、耐BHF性に劣っていた。No.31の試料は、密度が高く、耐BHF性が悪かった。No.32の試料は、耐クラック性、耐BHF性が悪く、液相温度が高いため、ガラスが失透しやすいものと考えられる。No.33の試料は、歪点が低く、耐HCl性が悪かった。No.34の試料は、密度、熱膨張係数が大きく、液相温度が高く、耐BHF性が悪かった。
【0056】
尚、表中の密度は、周知のアルキメデス法で求めた。
【0057】
熱膨張係数は、ディラトメーターを用いて30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数を測定した。
【0058】
クラック抵抗値は、ガラス試料の両面を光学研磨した後、和田らが提案した方法(M.Wada et Al.Proc.,the Xth ICG,vol.11,Ceram.Soc.,JAPAN,Kyoto,1974,P39)を用いて測定した。この方法は、ビッカース硬度計のステージにガラス試料を置き、ガラス表面にビッカース圧子(菱形状のダイヤモンド圧子)を種々の荷重で15秒間押しつける。そして、徐荷後15秒までに圧痕の四隅から発生するクラック数をカウントし、最大発生しうるクラック数(4ヶ)に対する割合を求め、クラック発生率とする。尚、このクラック発生率は、同一荷重で20回測定し、その平均値を求めたものである。このようにしてクラック発生率が50%になる時の荷重を「クラック抵抗値」とした。クラック抵抗値が大きいということは、高い荷重でもクラックが発生しにくい、つまり耐クラック性に優れているということである。尚、クラック抵抗値は、湿度の影響を受けるため、測定は気温25℃、湿度30%の条件で行った。
【0059】
歪点は、ASTM C336−71に基づいて測定した。
【0060】
102.5ポイズ温度は、高温粘度である102.5ポイズの温度を記載したものであり、この値が低いほど溶融性に優れていることになる。
【0061】
液相温度は、ガラス試料を300〜500μmの粒径に粉砕し、これを白金ボート中に投入し、温度勾配炉で24時間熱処理した後、これを取り出し、ガラス中に失透(結晶異物)の見られた温度を示した。
【0062】
耐HCl性と耐BHF性は、ガラス試料の両面を光学研磨した後、薬液中に浸漬した後のガラス表面を観察することによって評価した。耐HCl性については、10%塩酸を用いて80℃、3時間の処理を施し、耐BHF性については、63BHF溶液(HF:6%、NH4F:30%)を用いて20℃、30分間の処理を施した。処理後にガラス表面が白濁したり、クラックが発生したものは×、弱い白濁や荒れが認められなかったものは△、全く変化のないものは○で示した。
【出願人】 【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
【出願日】 平成19年9月3日(2007.9.3)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−13434(P2008−13434A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2007−228244(P2007−228244)