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【発明の名称】 汚泥槽用濾過板及び汚泥濃縮装置
【発明者】 【氏名】吉田 孝次
【氏名】山口 幹昌
【課題】吸引濾過時に汚泥のクラックが生成せず、かつ、汚泥の剥離除去が十分に行えて、汚泥を高濃度に濃縮できる汚泥槽用濾過板及び汚泥濃縮装置を提供する。

【構成】濾布21で囲まれた袋状の通路22と、濾液吸引兼空気供給管25に連結されて前記通路内に配置された配管23とを備え、前記配管23は、柔軟性を有する材料で形成されると共に、前記通路22に開通する連通孔24を有している濾過板20を、汚泥濃縮装置の汚泥槽10内に配設する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥槽内に配置されて、濾液吸引兼空気供給管に連結される濾過板において、
濾布で囲まれた袋状の通路と、前記濾液吸引兼空気供給管に連結されて前記通路内に配置された配管とを備え、
前記配管は、柔軟性を有する材料で形成されると共に、前記通路に開通する連通孔を有していることを特徴とする汚泥槽用濾過板。
【請求項2】
前記配管は、不透水性の材料で形成されている請求項1記載の汚泥槽用濾過板。
【請求項3】
前記配管は、金属メッシュ、疎水処理を施した布、疎水処理を施したメッシュ成形体、及び疎水処理を施した不織布から選ばれた1種からなる請求項1又は2記載の汚泥槽用濾過板。
【請求項4】
前記配管は、前記濾布の一部を管状に形成して、該管体を前記通路内に配置したもので構成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の汚泥槽用濾過板。
【請求項5】
汚泥槽内に配置されて、濾液吸引兼空気供給管に連結される濾過板において、
濾布で囲まれた袋状の通路と、前記濾液吸引兼空気供給管に連結されて前記通路内に配置された配管とを備え、
前記配管は、前記濾過板の縁部に沿って配設され、
前記濾過板の縁部に近接するほど厚く内部に向かうほど薄くなる楔形断面の管体で形成されると共に、前記通路に開通する連通孔を有していることを特徴とする汚泥槽用濾過板。
【請求項6】
汚泥槽内に配置されて、濾液吸引兼空気供給管に連結される濾過板において、
濾布で囲まれた袋状の通路と、前記濾液吸引兼空気供給管に連結されて前記通路内に配置された配管とを備え、
前記配管は、前記濾過板の上縁部に沿って所定間隔で配置され、
一端を前記濾液吸引兼空気供給管に連結されると共に、他端を前記通路内に挿入された複数本の配管で構成されていることを特徴とする汚泥槽用濾過板。
【請求項7】
汚泥槽と、該汚泥槽内に配設された濾過板と、この濾過板に連結された濾液吸引兼空気供給管とを備えた汚泥濃縮装置において、
前記濾過板として、請求項1〜6のいずれか1つに記載された汚泥槽用濾過板が用いられていることを特徴とする汚泥濃縮装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水場や下水処理場等における汚泥の濃縮に用いる濾過板及び汚泥濃縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、浄水場や下水処理場から排出される汚泥は、通常90%以上の水分を含有している。そこで、これらの汚泥を処理するにあたって、まず、脱水処理を行って、汚泥を濃縮して減量化を図り、そして焼却や埋め立て等を行っている。
【0003】
これら汚泥の脱水処理には、加圧や真空等による機械脱水が一般的である。しかしながら、これら機械脱水では、処理に要するエネルギーが大きい。そのため、サイフォンの原理(特許文献1、2参照)や、ポンプ吸引(特許文献3参照)等を利用して、濾布等の濾過手段の表面に汚泥を吸引付着させ、汚泥中の水分(濾液)を吸引して濃縮し、機械脱水でのエネルギー負荷を軽減している。
【特許文献1】特公昭62−58762号公報
【特許文献2】特開平6−206098号公報
【特許文献3】特開平6−71114号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記機械脱水前の脱水処理において、濾過手段としては、図9に示すような、濾布21で囲まれた袋状の通路の一端に、濾液吸引兼空気供給管(以下、「分配管」と記載する)25と連結する配管23が配置された濾過板20等を用いることが一般的である。
【0005】
しかしながら、このような濾過板では、以下のような問題がある。すなわち、濾布21表面に付着した汚泥の周囲を一旦排除し、汚泥が大気に露出した状態で、濾過板を吸引して汚泥濃度をさらに濃縮するような操作を行った場合(高濃縮濾過処理)、図10に示すように、分配管から濾布の下側では濾布21同士が密着するため濾布表面は平坦になるが、配管23の周辺部では配管23の形状によって段差(くびれ)が生じる。そのため、従来の濾過板では、配管23の形状に沿ってクラックが発生しやすい。そして、一旦クラックが生じると、クラック面から濾布21内に空気が混入し、濾布21内の圧力が大気圧に戻るため、脱水処理が不十分な状態で終了してしまい、汚泥を十分濃縮できない。また、濾布21表面に付着した濃縮汚泥は、濾過手段の内部から外部へ向けて加圧空気等を流通して濾布21表面から剥離させて回収するが、配管23は、通常塩化ビニル(PVC)等の硬質材料で形成されていることから、配管23を配置した近傍では濾布の変形幅が小さい。このため、配管23の周辺部(特に上部)では、汚泥の剥離除去が不十分であり、濾布21表面の汚泥を十分剥離することができない問題があった。
【0006】
また、上記特許文献3のような円筒状の濾過手段を有する場合においても、濾過筒の形状に沿ってクラックが発生するため、濃縮率を高めることができなかった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、汚泥を高濃度に濃縮できる汚泥槽用濾過板及び汚泥濃縮装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するにあたり、本発明の汚泥槽用濾過板は、汚泥槽内に配置されて、濾液吸引兼空気供給管に連結される濾過板において、濾布で囲まれた袋状の通路と、前記濾液吸引兼空気供給管に連結されて前記通路内に配置された配管とを備え、前記配管は、柔軟性を有する材料で形成されると共に、前記通路に開通する連通孔を有していることを特徴とする。
【0009】
上記発明によれば、濾過板を吸引して汚泥を濃縮する際、前記配管が潰れて濾過板がほぼ平坦になることから、付着した汚泥にクラックが生じにくく、水分をできるだけ除去して汚泥の濃縮度を高めることができる。
【0010】
本発明の汚泥槽用濾過板において、前記配管は、不透水性の材料で形成されていることが好ましい。
【0011】
また、前記配管は、金属メッシュ、疎水処理を施した布、疎水処理を施したメッシュ成形体、及び疎水処理を施した不織布から選ばれた1種からなることが好ましい。
【0012】
上記態様によれば、濾布に付着した汚泥を濾液吸引兼空気供給管から空気を吹き込んで濾布表面から剥離する際、濾布が膨らんで付着した汚泥との界面に隙間が生じやすくなるので、濾布表面から汚泥を効率よく剥離除去できる。
【0013】
また、前記配管は、前記濾布の一部を管状に形成して、該管体を前記通路内に配置したもので構成されていることが好ましい。これによれば、配管を濾布と一体に形成できるので、配管の取付け作業が簡単となり、かつ、材料コストを抑えて濾過板の製造コストを抑えることができる。
【0014】
本発明の汚泥槽用濾過板のもう一つは、汚泥槽内に配置されて、濾液吸引兼空気供給管に連結される濾過板において、濾布で囲まれた袋状の通路と、前記濾液吸引兼空気供給管に連結されて前記通路内に配置された配管とを備え、前記配管は、前記濾過板の縁部に沿って配設され、前記濾過板の縁部に近接するほど厚く内部に向かうほど薄くなる楔形断面の管体で形成されると共に、前記通路に開通する連通孔を有していることを特徴とする。
【0015】
上記発明によれば、濾過板を吸引して汚泥を濃縮する際、濾過板が扁平化しても、その扁平な面に対して配管挿入部が楔形断面をなしているため、付着した汚泥にクラックが生じにくく、濃縮度を高めることができる。
【0016】
また、本発明の汚泥槽用濾過板の更にもう一つは、汚泥槽内に配置されて、濾液吸引兼空気供給管に連結される濾過板において、濾布で囲まれた袋状の通路と、前記濾液吸引兼空気供給管に連結されて前記通路内に配置された配管とを備え、前記配管は、前記濾過板の上縁部に沿って所定間隔で配置され、一端を前記濾液吸引兼空気供給管に連結されると共に、他端を前記通路内に挿入された複数本の配管で構成されていることを特徴とする。
【0017】
上記発明によれば、濾過板を吸引して汚泥を濃縮する際、前記濾液吸引兼空気供給管に連結する上記配管が所定間隔で配置された複数の配管からなるので、濾過板が扁平化しても濾布表面の段差が小さくなり、ほぼ平坦な構造となるので、付着した汚泥にクラックが生じにくく、濃縮度を高めることができる。
【0018】
また、本発明の汚泥濃縮装置は、汚泥槽と、該汚泥槽内に配設された濾過板と、この濾過板に連結された濾液吸引兼空気供給管とを備えた汚泥濃縮装置において、前記濾過板として、上記汚泥槽用濾過板が用いられていることを特徴とする。
【0019】
上記発明によれば、汚泥の濃縮度を高めることができるので、汚泥排出量の減量化、処理コストの低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、濾過板を吸引して汚泥を濃縮する際、濾布表面に大きな段差が生じないので、表面に付着した汚泥にクラックが生じにくく、水分をできるだけ除去して、汚泥の濃縮度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明による汚泥濃縮処理装置の一実施形態を示す概略構成図であり、図2は、同汚泥濃縮装置に用いられる、本発明による濾過板の第1の実施形態を示す斜視図である。
【0022】
この処理装置は、汚泥を脱水処理して濃縮するための汚泥槽10と、汚泥の脱水処理に用いる濾過板20と、該汚泥を脱水処理して得られる濾過水を貯留するための濾液貯留槽30とで主に構成されている。
【0023】
汚泥槽10は、矩形状の汚泥室を内部に備え、汚泥室の下方は底板に向かって先細りとなるように構成されている。汚泥室の上部には、汚泥槽10内に供給する汚泥の量を検出するための水位計1が設けられている。汚泥室の下部側方には、汚泥給排口5が設けられており、この汚泥給排口5に汚泥給排管6が接続され、汚泥給排管6には汚泥給排弁V1を介して汚泥給排ポンプP1が接続されている。そして、汚泥給排弁V1を開放し、汚泥給排ポンプP1を稼動させることで、汚泥室内に汚泥(未濃縮汚泥)を送入し、あるいは引き抜くことができるようになっている。汚泥室の底部には、濃縮汚泥引き抜き口7が設けられており、この濃縮汚泥引き抜き口7には濃縮汚泥引き抜き管8が接続されている。更に、濃縮汚泥引き抜き管8には汚泥排出弁V7が設けられ、濃縮汚泥引き抜き口7と汚泥排出弁V7との途中には枝管を介して水位計3が接続されている。そして、汚泥排出弁V7を開放することで、汚泥槽10の下部から濃縮汚泥を排出することができるようになっている。また、汚泥室の内部には、複数の濾過板20が所定の間隔で垂直に懸架されている。
【0024】
この実施形態では、濾過板20として、図2に示すものが用いられている。すなわち、濾過板20は、2枚の濾布21を平らな板状をなす袋状に形成し、かつ、上下方向に沿って、かつ、幅方向に所定間隔で縫い込んだ複数の縫い目26によって、上下に伸びる通路22を幅方向に複数並んで形成した構造をなしている。また、内部には、通路22に開通する連通孔24を有し、分配管25へと連通する配管23が設けられている。
【0025】
本発明において、配管23は柔軟性を有する材料で形成され、柔軟性と不透水性とを備えた材料で形成されていることが好ましい。配管23を柔軟性を有する材料で形成することにより、後述する汚泥の高濃縮濾過処理の際、図3のように、配管23がつぶれて濾布21の表面に段差がなくなり、平坦な構造になる。このため、高濃縮濾過処理時において、濾布21表面に堆積した汚泥(濃縮汚泥)にクラックが生じにくくなり、効率よく脱水処理を行うことができる。更にまた、不透水性を有する材料であれば、濾布に付着した汚泥を、濾液吸引兼空気供給管から空気を吹き込んで濾布表面から剥離する際、濾布の全体にわたって空気を吹き付けて濾布を膨らませることができるので、濾布表面から汚泥を効率よく剥離除去できる。
【0026】
配管23の材料としては、具体的には、金属メッシュ、疎水処理を施した布、疎水処理を施したメッシュ成形体、及び疎水処理を施した不織布が挙げられ、特に疎水処理を施した布が好ましい。
【0027】
また、上記疎水処理を施した布、メッシュ成形体及び不織布としては、ポリエステル基布に、PVC処理等を施したもの等が挙げられる。
【0028】
濾液貯留槽30には、濾液貯留槽30内に給水するための給水弁V2と、濾液貯留槽30内の空気を除去するための空気抜き弁V3と、貯留された濾液の水位を検出するための水位計2と、濾液貯留槽30内の圧力を検出する圧力計4と、濾液貯留槽30に接続されたポンプP3と、弁V5が設置されている。濾液貯留槽30の下部側方には、濾液排出口32が設けられており、この濾液排出口32に濾液引き抜き弁V4が配置された濾液排出管31が接続している。また、この濾液排出管31は、引き抜き弁V6を介して濾液排出ポンプP2に連結する配管31aと接続している。
【0029】
次に、この汚泥濃縮装置を用いた汚泥の濃縮方法について説明する。
【0030】
まず、汚泥給排弁V1を開放し、汚泥給排ポンプP1を稼動させて、脱水処理の対象物となる汚泥(未濃縮汚泥)を、汚泥槽10内に配置された濾過板20の上方に至るまで供給する。そして、空気抜き弁V3及び給水弁V2を開とし、分配管25内に水を充満させて、分配管25及び濾液貯留槽30内に存在している空気を空気抜き弁V3を通して外部に放出する。その後、空気抜き弁V3を閉とし、濾液引き抜き弁V4を開として、濾液排出管31内に水を充填させ、濾液貯留槽30内の水位が所定の値に上昇した時点で給水弁V2を閉とし、濾液貯留槽30への給水を停止する。
【0031】
このようにすると、サイフォン効果により、濾液排出管31の長さに応じた負圧が濾過板20の内部に作用し、濾布21に接する未濃縮汚泥の含有水が、濾過板20の内側に吸収されて分配管25から排出され、濾液貯留槽30へと供給される。同時に、未濃縮汚泥の粒子が濾布21面上に捕集されて堆積していき、濾布21面上に濃縮汚泥による堆積層が形成される。かくして、上記通常濾過処理により、濾過板20内が十分に負圧となり、未濃縮汚泥の含有水は濾過され、一方、濾過板20の表面には、汚泥(濃縮汚泥)が堆積される(通常濾過処理)。
【0032】
そして、通常濾過処理を所定時間実施した後、汚泥給排弁V1を開放し、汚泥給排ポンプP1を稼動させて、水位計3で汚泥室内の汚泥量(未濃縮汚泥量)を監視しながら、汚泥(未濃縮汚泥)を汚泥槽10の系外に引き抜く。引き抜き終了後、濾液引き抜き弁V4を閉とし、引き抜き弁V6を開とし、濾液排出ポンプP2を稼動させる(高濃縮濾過処理)。
【0033】
こうして濾液排出ポンプP2で吸引しながら、高濃縮濾過処理を行うことにより、濾過板20の濾布21面上に濃縮汚泥のみが付着した状態で濾過が継続され、濾布表面に付着した濃縮汚泥中の水分除去が進む。この状態で脱水処理を進めると、最終的に濾布21面上の濃縮汚泥が収縮して、これにクラックが発生する。そしてクラックが発生すると、空気がクラックを通して濾過板20内に入るようになるので、濾過板20内の負圧力が低下し、それ以上吸水できなくなる。したがって、濾布21面上の濃縮汚泥にクラックが形成されるまで上記高濃縮濾過処理を行うことができる。
【0034】
なお、濾過板20を濾液排出ポンプP2で吸引して、濾布21面上の汚泥の濃縮が進む間に、汚泥中に含まれていた気体成分が濾過側に濾液と共に通過して、濾液貯留槽30に蓄積され、濾液貯留槽30の液面が下がっていく場合がある。濾液貯留槽30の液面が低下すると、濾液排出ポンプP2に空気が入り、吸引に影響(吸引ができなくなる)が生じることがあるので、このような状態を回避するため、濾液貯留槽30の水位が、空気の流入で下がらないように、水位計2で濾液貯留槽30の水位を監視し、水位が一定になるように濾液貯留槽30内の空気を、バキュームポンプ等で吸引排気する。
【0035】
そして、圧力計4の指示される負圧が低下した時点で濾液排出ポンプP2の稼動を停止する。次いで、弁V5を開とし、ポンプP3を稼動させて分配管25内に空気を供給し、連通孔24から該空気を濾布21に吹付け、濾布21を膨らませて濃縮汚泥を濾布21面上から剥離させる。なお、濃縮汚泥を濾布21面上から剥離させるにあたって、空気のみを用いた場合に比べて、空気と水を混合した気液流を用いた方が剥離性が高いことから、濾液貯留槽30内の濾液の一部を、上記空気と混合させて気液流とし、上記濃縮汚泥の剥離性処理を行ってもよい。そして、濾布21から剥離された濃縮汚泥は、汚泥排出弁V7を開放して、濃縮汚泥引き抜き口から汚泥槽10の系外に排出する。
【0036】
図4には、本発明の汚泥濃縮装置に用いることができる濾過板20の第2の実施形態が示されている。
【0037】
第1の実施形態の濾過板との相違点としては、配管23が、濾布21の一部を管状に形成したもので構成されている点である。
【0038】
第2の実施形態の濾過板は、例えば、図5に示すようにして製造することができる。すなわち、まず、一枚の濾布21を折りたたむ(図5(a)参照)。そして、上縁部と、上縁部から所定の距離の箇所をミシン等で縫合して配管23を形成し、更に濾布21の表面に連通孔24を所定間隔で設ける(図5(b)参照)。そして、この濾布21を、裏返し(図5(c)参照)、側縁部及び幅方向に沿って所定間隔をおいた部分を上下に縫合する(図5(d)参照)。その結果、縫い目26によって区画された上下に伸びる通路22が幅方向に複数並んで形成される。
【0039】
第2の実施形態の濾過板において、配管23、すなわち濾布21の配管23をなす箇所は、PVC処理等の疎水処理が施されていることが好ましい。疎水処理が施されていれば、濾布に付着した汚泥を、濾液吸引兼空気供給管から空気を吹き込んで濾布表面から剥離する際、濾布の全体にわたって空気を吹き付けて膨らませることができるので、濾布表面から汚泥を効率よく剥離除去できる。
【0040】
第2の実施形態の濾過板によれば、配管23が濾布21で構成されていることから、柔軟性がある。このため、上記高濃縮濾過処理の際、第1の実施形態の濾過板20と同じく濾布21の表面に段差がなくなり、平坦な構造となるので、高濃縮濾過処理時において、濾布21表面に堆積した汚泥(濃縮汚泥)にクラックが生じにくくなり、効率よく脱水処理を行うことができる。また、配管を濾布と一体に形成できるので、配管の取付け作業が簡単となり、更には、材料コストを抑えることができる。
【0041】
図6には、本発明の汚泥濃縮装置に用いることができる濾過板20の第3の実施形態が示されている。
【0042】
第1の実施形態の濾過板との相違点としては、配管23が、縁部に近接するほど厚く、内部に向かうほど薄くなる、連通孔24を所定間隔で有する楔形断面の管体23aで構成されている点である。
【0043】
第3の実施形態の濾過板において、管体23aは、塩化ビニル(PVC)、金属等の硬質材料で形成されていてもよいが、第1の実施形態と同様の材料で形成されていることが特に好ましい。
【0044】
そして、第3の実施形態の濾過板によれば、高濃縮濾過処理を行った際、管体23aが柔軟性を有していなくとも、図7に示すように、濾布21の表面の段差は小さく、くびれのない、ほぼ平坦な構造となるので、高濃縮濾過処理時において、濾布21表面に堆積した汚泥(濃縮汚泥)にクラックが生じにくくなり、効率よく脱水処理を行うことができる。
【0045】
図8には、本発明の汚泥濃縮装置に用いることができる濾過板20の第4の実施形態が示されている。
【0046】
第1の実施形態の濾過板20との相違点としては、配管23が、一端を前記濾液吸引兼空気供給管に連結されると共に、他端を前記通路内に挿入された複数本の配管23bで構成されている点である。
【0047】
第4の実施形態の濾過板において、配管23bは、塩化ビニル(PVC)、金属等の硬質材料で形成されていてもよいが、第1の実施形態と同様の材料で形成されていることが特に好ましい。そして、配管23bは、内部に向かうほど薄くなる形状の管体であることがより好ましい。
【0048】
第4の実施形態の濾過板によれば、高濃縮濾過処理を行った際、配管23bが柔軟性を有していなくとも、上記第3の実施形態と同様、濾布21の表面の段差を小さくすることができ、くびれのない、ほぼ平坦な構造にできる。このため、高濃縮濾過処理時において、濾布21表面に堆積した汚泥(濃縮汚泥)にクラックが生じにくくなり、効率よく脱水処理を行うことができる。
【実施例】
【0049】
(実施例1)
図1の濾過処理槽を用い、汚泥の濾過処理を行った。濾過板20は、配管23が疎水処理を施した布で構成された図3の濾過板(第1の実施形態)を用いた。汚泥は、河川浄水汚泥の冬期汚泥を用いた。運転条件は、通常濾過を圧力−33kPaで90分濾過運転を行った後、汚泥槽10内の汚泥(未濃縮汚泥)を汚泥給排口5から排出した。その後、濾液排出ポンプP2を稼動させ、圧力−93kPaで20分濾過運転(高濃縮濾過処理)を行った。高濃縮濾過処理を開始してから、16分後に、濾布21面上に堆積した濃縮汚泥にクラックが発生した。そして、得られた濃縮汚泥の汚泥濃度は、8.5質量%であった。
【0050】
(比較例1)
実施例1において、濾過板20として、配管23が円径の塩化ビニル管で構成された図9の濾過板(従来品)を用いた以外は、実施例1と同様にして濾過処理を行った。高濃縮濾過処理を開始してから、6分後に、濾布21面上に堆積した濃縮汚泥にクラックが発生した。そして、得られた濃縮汚泥の汚泥濃度は、5.7質量%であった。
【0051】
図11に、実施例1及び比較例1の濾過処理時における圧力変化を示す。
【0052】
図11より、比較例1では、高濃縮濾過処理の開始から6分経過後、すなわち、濾布21面上に堆積した濃縮汚泥にクラックが生じた時点で、圧力増加が認められ、ほぼ大気圧となった。一方、実施例1では、高濃縮濾過処理の開始から16分まで圧力を維持、すなわち高度濃縮濾過処理を継続することができた。その結果、濃縮した汚泥濃度は、比較例1では5.7質量%であったのに対し、実施例1では8.5質量%となり、約1.49倍汚泥濃度が上昇した。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の汚泥濃縮処理装置の概略構成図である。
【図2】本発明の濾過板の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図3】第1の実施形態の濾過板を用いて高濃縮濾過処理を行った時の濾過板20の正面断面図である。
【図4】本発明の濾過板の第2の実施形態を示す斜視図である。
【図5】第2の実施形態の濾過板の製造方法の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の濾過板の第3の実施形態を示す斜視図である。
【図7】第3の実施形態の濾過板を用いて高濃縮濾過処理を行った時の濾過板20の正面断面図である。
【図8】本発明の濾過板20の第4の実施形態を示す斜視図である。
【図9】従来の濾過板の斜視図である
【図10】従来の濾過板を用いて高濃縮濾過処理を行った時の正面断面図である。
【図11】実施例1及び比較例1の濾過処理時における圧力変化を示す図表である。
【符号の説明】
【0054】
1〜3:水位計
4:圧力計
5:汚泥給排口
6:汚泥給排管
7:濃縮汚泥引き抜き口
8:濃縮汚泥引き抜き管
10:汚泥槽
20:濾過板
21:濾布
22:通路
23、23b:配管
23a:管体
24:連通孔
25:分配管
26:縫い目
30:濾液貯留槽
31:濾液排出管
32:濾液排出口
P1:汚泥給排ポンプ
P2:濾液排出ポンプ
P3:圧力ポンプ
V1:汚泥給排弁
V2:給水弁
V3:空気抜き弁
V4:濾液引き抜き弁
V5:弁
V6:引き抜き弁
V7:汚泥排出弁

特許の図
【出願人】 【識別番号】591083244
【氏名又は名称】富士電機システムズ株式会社
【出願日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【代理人】 【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
【公開番号】 特開2008−12443(P2008−12443A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−186625(P2006−186625)