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【発明の名称】 合成蛍石の製造方法及び合成蛍石の製造装置
【発明者】 【氏名】茂井 幹雄

【氏名】山▲崎▼ 富夫

【氏名】小沼 智之

【要約】 【課題】リン鉱石の熱分解により第三リン酸カルシウムを製造するプロセスで発生するフッ素を含む排ガス等のようなフッ素を含むガスからフッ素を除去すると共にこのフッ素からフッ化カルシウム含有率が高い生成物(合成蛍石)を生成することができる合成蛍石の製造方法を提供する。

【解決手段】フッ素を含むガス中のフッ素を、このフッ素に対する化学量論量を超える量の水酸化カルシウムと反応させてフッ化カルシウムと水酸化カルシウムとを含む混合物を生成するフッ化カルシウム回収工程と、フッ素を含むガスを水と接触させてフッ化水素水溶液を生成するフッ化水素回収工程と、前記フッ化カルシウム回収工程で得られた混合物と前記フッ化水素回収工程で得られたフッ化水素水溶液とを反応させて合成蛍石を生成する再反応工程とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素を含むガス中のフッ素を、このフッ素に対する化学量論量を超える量の水酸化カルシウムと反応させてフッ化カルシウムと水酸化カルシウムとを含む混合物を生成するフッ化カルシウム回収工程と、フッ素を含むガスを水と接触させてフッ化水素水溶液を生成するフッ化水素回収工程と、前記フッ化カルシウム回収工程で得られた混合物と前記フッ化水素回収工程で得られたフッ化水素水溶液とを反応させて合成蛍石を生成する再反応工程とを含むことを特徴とする合成蛍石の製造方法。
【請求項2】
上記フッ素を含むガスが、リン鉱石の熱分解により第三リン酸カルシウムを製造するプロセスで発生する排ガスであることを特徴とする請求項1に記載の合成蛍石の製造方法。
【請求項3】
フッ素を含むガス中のフッ素を、このフッ素に対する化学量論量を超える量の水酸化カルシウムと反応させてフッ化カルシウムと水酸化カルシウムとを含む混合物を生成するフッ化カルシウム回収部と、フッ素を含むガスを水と接触させてフッ化水素水溶液を生成するフッ化水素回収部と、前記フッ化カルシウム回収部で得られた混合物と前記フッ化水素回収部で得られたフッ化水素水溶液とを反応させて合成蛍石を生成する再反応部とを具備することを特徴とする合成蛍石の製造装置。
【請求項4】
フッ化カルシウム回収部へフッ素を含むガスを供給するガス供給路と、前記ガス供給路から分岐してフッ化水素回収部へフッ素を含むガスを供給する分岐路とを具備することを特徴とする請求項3に記載の合成蛍石の製造装置。
【請求項5】
フッ化カルシウム回収部へフッ素を含むガスを供給するガス供給路を具備し、フッ化水素回収部が、前記ガス供給路を流通するガス中のフッ素の一部からフッ化水素水溶液を生成するものであることを特徴とする請求項3に記載の合成蛍石の製造装置。
【請求項6】
上記ガス供給路の始端がリン鉱石の熱分解により第三リン酸カルシウムを製造する第三リン酸カルシウム製造部に接続され、フッ素を含むガスとして、前記第三リン酸カルシウム製造部におけるリン鉱石の熱分解により第三リン酸カルシウムを製造するプロセスで発生する排ガスを供給するものであることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の合成蛍石の製造装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、リン鉱石の熱分解により第三リン酸カルシウムを製造するプロセスで発生する排ガス等のようなフッ素を含むガス中のフッ素を利用した合成蛍石の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
第三リン酸カルシウムの製造方法としては、塩化カルシウム及びリン酸ナトリウムを過剰のアンモニアと反応させる方法や、消石灰とリン酸液から合成する方法等が挙げられるが、特に肥料や家畜飼料用の第三リン酸カルシウムは、リン鉱石の熱分解により製造する熱分解法が用いられている。
【0003】
このような熱分解法による第三リン酸カルシウムの製造プロセスでは、リン鉱石中には数%(約3〜4%)のフッ素が含まれていることから、当該プロセスにて発生する排ガス中にはフッ素が含まれることとなる。この排ガスに何らの処理も施さなければ、フッ素を含む排ガスが大気中に放出されてしまうが、フッ素は人体に有害であり大きな環境被害を与えるため、排ガス中から除去すべきであり、大気汚染防止法によってもその排出濃度が規制されている。
【0004】
このため、従来、熱分解法により発生する排ガスを水酸化カルシウムを含むスラリーと接触させることでフッ素と水酸化カルシウムとを反応させてフッ化カルシウムを生成することにより排ガス中からフッ素を除去することが行われている。また、NaOH、Na2SO4等も吸収液に用いられ、酸性フッ化ソーダ、フッ化ソーダ等のナトリウム塩として回収されている。このようなフッ素の除去方法としては乾式処理法と湿式処理法があるが、性能的に勝る湿式処理法が主として用いられている。湿式処理法としては、スプレー塔、スクラバー、充填塔などを用いる吸収塔方式が挙げられる。
【0005】
このような湿式処理法においては、吸収液としては水を用いてフッ化水素(HF)として回収する方法、水酸化ナトリウム溶液を用いてフッ化ナトリウム(NaF)やフッ化水素ナトリウム(NaHF2)として吸収する方法などがあるが、水を吸収液とする場合は設備に高い耐食性が必要とされるという問題が生じ、水酸化ナトリウム溶液を吸収液とする場合は設備の耐食性の問題のほか、排水処理問題も生じてしまう。そこで、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)スラリーを用いてフッ化カルシウム(CaF2)として回収する方法が最もシンプルでコストがかからず、同時に排水処理も問題も解決する。このとき回収されるフッ化カルシウムは、産業廃棄物として処理される。
【0006】
ところで、フッ化カルシウムを主成分とする鉱物である蛍石は、化学原料(フッ素原料)、焼物原料、鉄鋼用途等の需要があるのに対し、近年の資源枯渇と、それに伴う産出国の輸出規制とによって、安定した供給が見込めなくなりつつある。そこで上記熱分解法による第三リン酸カルシウムの製造プロセスで生成するフッ化カルシウムを利用することができれば、天然の蛍石に代替してフッ化カルシウムの安定供給に寄与することができ、しかも産業廃棄物を低減することもできる。
【0007】
しかし、上記のような湿式処理法によるフッ素を含む排ガスと水酸化カルシウムを含むスラリーとの反応では、フッ素を効率よく回収するためには、反応系のpHをアルカリ側(pH7.5以上)に維持する必要があり、そのため回収されるフッ素の量に比した水酸化カルシウムの使用量は、化学量論量を超えることとなる。その結果、得られる生成物中のフッ化カルシウム含有率は65〜70重量%程度に留まり、市場価値が低いものとなってしまう。ここで、蛍石のうち化学原料用に使用されるもの(アシッドグレード)に求められる純度は98重量%以上、焼物原料用に使用されるもの(セラミックグレード)に求められる純度(フッ化カルシウム含有率)は85重量%以上、鉄鋼用途に使用されるもの(メタラジカルグレード)に求められる純度は75重量%以上であるため、排ガス処理により回収される生成物のフッ化カルシウム含有率はメタラジカルグレードにも届かないものとなってしまうものである。
【0008】
また、従来、天然蛍石を対象として、浮遊選鉱法により純度の高い蛍石を得る方法が提案されているが(特許文献1,2参照)、当該方法を上記回収された生成物に適用しても純度を十分に向上することは困難であり、また当該方法の実施に伴って発生する排水の処理の問題も生じてしまうものである。
【特許文献1】特開昭47−112824号公報
【特許文献2】特公昭49−10882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、リン鉱石の熱分解により第三リン酸カルシウムを製造するプロセスで発生するフッ素を含む排ガス等のようなフッ素を含むガスからフッ素を除去すると共にこのフッ素からフッ化カルシウム含有率が高い生成物(合成蛍石)を生成することができる合成蛍石の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る合成蛍石の製造方法は、フッ素を含むガス中のフッ素を、このフッ素に対する化学量論量を超える量の水酸化カルシウムと反応させてフッ化カルシウムと水酸化カルシウムとを含む混合物を生成するフッ化カルシウム回収工程と、フッ素を含むガスを水と接触させてフッ化水素水溶液を生成するフッ化水素回収工程と、前記フッ化カルシウム回収工程で得られた混合物と前記フッ化水素回収工程で得られたフッ化水素水溶液とを反応させて合成蛍石を生成する再反応工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記フッ素を含むガスが、リン鉱石の熱分解により第三リン酸カルシウムを製造するプロセスで発生する排ガスであることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る合成蛍石の製造装置は、フッ素を含むガス中のフッ素を、このフッ素に対する化学量論量を超える量の水酸化カルシウムと反応させてフッ化カルシウムと水酸化カルシウムとを含む混合物を生成するフッ化カルシウム回収部1と、フッ素を含むガスを水と接触させてフッ化水素水溶液を生成するフッ化水素回収部2と、前記フッ化カルシウム回収部1で得られた混合物と前記フッ化水素回収部2で得られたフッ化水素水溶液とを反応させて合成蛍石を生成する再反応部3とを具備することを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項3において、フッ化カルシウム回収部1へフッ素を含むガスを供給するガス供給路4と、前記ガス供給路4から分岐してフッ化水素回収部2へフッ素を含むガスを供給する分岐路5とを具備することを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項3において、フッ化カルシウム回収部1へフッ素を含むガスを供給するガス供給路4を具備し、フッ化水素回収部2が、前記ガス供給路4を流通するガス中のフッ素の一部からフッ化水素水溶液を生成するものであることを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項3乃至5のいずれかにおいて、上記ガス供給路4の始端がリン鉱石の熱分解により第三リン酸カルシウムを製造する第三リン酸カルシウム製造部6に接続され、フッ素を含むガスとして、前記第三リン酸カルシウム製造部6におけるリン鉱石の熱分解により第三リン酸カルシウムを製造するプロセスで発生する排ガスを供給するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、フッ素を含むガス中のフッ素を回収して合成蛍石の合成に利用することができ、このときフッ化カルシウム回収工程では高効率でフッ素を除去して混合物を生成することができ、且つこの混合物中に残存する水酸化カルシウムと、フッ化水素回収工程で得られたフッ化水素とを再反応工程で反応させることで、前記混合物中の水酸化カルシウム含有量を低減すると共にフッ化カルシウム含有量を向上することができ、純度の高い合成蛍石を高効率で製造することができるものである。また、再反応工程では5〜10重量%程度の低濃度のフッ化水素水溶液を用いる場合であっても高効率で純度の高い合成蛍石を得ることができ、このためフッ化水素回収工程のために設けられる設備には高度の防食処理を施す必要がなく、合成蛍石を製造するための設備コストを低減することができるものである。更に、フッ素を含むガスからフッ素を除去することで、このガスのフッ素含有量を低減することができ、このガスを大気中に放出しても、排出基準を満足して環境を悪化させないようにすることができるものである。
【0017】
また、請求項2に係る発明によれば、第三リン酸カルシウムを製造するプロセスで発生する排ガスからフッ素を除去することで、このガスを大気中に放出しても環境を悪化させないようにすることができるものであり、また排ガスからフッ素を除去する際に生成する生成物を廃棄物とすることなく、逆にこの生成物として工業上有用な合成蛍石を得ることができ、廃棄物の低減に寄与することができるものである。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、フッ化カルシウム回収部1で得られた混合物とフッ化水素回収部2で得られたフッ化水素とを再反応部3で反応させることで、純度の高い合成蛍石を高効率で得ることができる。また、再反応部3では5〜10重量%程度の低濃度のフッ化水素水溶液を用いる場合であっても高効率で純度の高い合成蛍石を得ることができ、このためフッ化水素回収部2には高度の防食処理を施す必要がなく、合成蛍石を製造するための設備コストを低減することができるものである。更に、フッ素を含むガスからフッ素を除去することで、このガスのフッ素含有量を低減することができ、このガスを大気中に放出しても環境を悪化させないようにすることができるものである。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、ガス供給路4を介してフッ化カルシウム回収部1へフッ素を含むガスを供給すると共に、分岐路5を介してフッ化水素回収部2へフッ素を供給して、フッ化カルシウム回収部1とフッ化水素回収部2に必要とされるガスをそれぞれ別個に供給することができるものである。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、ガス供給路4を流通するフッ素を含むガスに対して、順次フッ化水素回収部2による処理とフッ化カルシウム回収部1による処理を施すことができるものである。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、第三リン酸カルシウム製造部6で発生する排ガスからフッ素を除去することで、このガスを大気中に放出しても環境を悪化させないようにすることができるものであり、また排ガスからフッ素を除去する際に生成する生成物を廃棄物とすることなく、逆にこの生成物として工業上有用な合成蛍石を得ることができ、廃棄物の低減に寄与することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0023】
図1に示す合成蛍石の製造装置は、第三リン酸カルシウム製造部6、フッ化カルシウム回収部1、フッ化水素回収部2及び再反応部3を備える。
【0024】
第三リン酸カルシウム製造部6は、リン鉱石の熱分解により第三リン酸カルシウムを製造するものである。この第三リン酸カルシウム製造部6としては、重油や天然ガス等の適宜の燃料を燃焼させてその燃焼熱によりリン鉱石を加熱する、公知のロータリーキルン等の適宜の反応装置を採用することができる。
【0025】
第三リン酸カルシウム製造部6とフッ化カルシウム回収部1とは、ガス供給路4にて接続されている。ガス供給路4はフッ素を含むガスをフッ化カルシウム回収部1へ供給する流路であり、本実施形態では第三リン酸カルシウム製造部6におけるリン鉱石の熱分解により第三リン酸カルシウムを製造するプロセスで発生する排ガスが流通し、この排ガスをフッ化カルシウム回収部1へ供給するようになっている。
【0026】
フッ化カルシウム回収部1は、上記ガス供給路4から供給された排ガス中のフッ素を、このフッ素に対する化学量論量を超える量の水酸化カルシウムと反応させてフッ化カルシウムと水酸化カルシウムとを含む混合物を生成するものである。このフッ化カルシウム回収部1としては、例えば水酸化カルシウムを水中に分散させた水酸化カルシウムスラリーを前記排ガスと接触させることで、ガス吸着プロセスによってフッ化カルシウムと水酸化カルシウムとを含むスラリー状の混合物を生成するスプレー塔、スクラバー等にて構成されるものを設けることができる。フッ素が除去された後の排ガスはフッ化カルシウム回収部1に接続された排出路12から外部に放出されるようになっている。
【0027】
また、上記ガス供給路4には、第三リン酸カルシウム製造部6とフッ化カルシウム回収部1との間で分岐する分岐路5が設けられており、この分岐路5がフッ化水素回収部2に接続されている。
【0028】
フッ化水素回収部2は、分岐路5から供給される排ガス中のフッ素を水に溶解させて、フッ化水素水溶液を生成するものである。このフッ化水素回収部2としては、例えば水を前記排ガスと接触させることで、ガス吸着プロセスによってフッ化水素水溶液を生成する充填塔にて構成されるものを設けることができる。図3に示すフッ化水素回収部2では、充填物を充填した充填塔8と、水を貯留する循環タンク9との間を循環路10で接続し、この循環路10に設けたポンプ11による駆動力で水を充填塔8と循環タンク9との間で循環させるようにしている。この充填塔8には分岐路5が接続され、分岐路5から供給される排ガスが充填塔8内で水と接触するようになっている。また、充填塔8にはフッ素が除去された排ガスが放出される排出管7が接続されている。この排出管7は外部に開放してフッ素が除去された排ガスを外部に放出するようにしても良く、また図1に示すようにこの排出管7をガス供給路4に接続してフッ素が除去された排ガスをガス供給路4に返送し、フッ化カルシウム回収部1へ供給するようにしても良い。
【0029】
再反応部3は、フッ化カルシウム回収工程で得られた混合物と、フッ化水素回収工程で得られたフッ化水素水溶液とを反応させて合成蛍石を生成するものである。再反応部3としては、適宜の反応容器にて構成することができ、この反応容器内に前記混合物とフッ化水素水溶液とを供給し、混合することで両者を反応させることができる。
【0030】
以下、このような合成蛍石の製造装置を用いた合成蛍石の製造方法について説明する。
【0031】
まず第三リン酸カルシウム製造部6において、上記のようにリン鉱石の熱分解により第三リン酸カルシウムを製造する。このとき、例えばリン鉱石を反応促進第三成分と共に1300〜1500℃に加熱することで熱分解することにより、第三リン酸カルシウムを得ることができる。ここで、リン鉱石中には3〜4%程度のフッ素が含まれていることから、前記熱分解による第三リン酸カルシウムの製造プロセスで発生した排ガス中には、リン鉱石中に含まれていたフッ素が含有されることとなる。
【0032】
上記排ガスは、ガス供給路4に送られ、このガス供給路4を通じてフッ化カルシウム回収部1へと供給される。また前記排ガスの一部はガス供給路4から分岐する分岐路5を通じてフッ化水素回収部2へ供給される。
【0033】
ここで、フッ化カルシウム回収部1への排ガスの供給量と、フッ化水素回収部2への排ガスの供給量との割合は適宜設定されるが、例えばフッ化カルシウム回収部1とフッ化水素回収部2への排ガスの供給量の総量に対する、フッ化水素回収部2への排ガスの供給量が、30〜70%の範囲となるようにすることができる。この供給量の比率の調整は、例えばガス供給路4と分岐路5の内径の比率を調整したり、ガス供給路4と分岐路5のうちの一方又は双方にガス供給量を調整する調整弁を設けてこの調整弁を調整したりするなどして、行うことができる。
【0034】
フッ化カルシウム回収部1では、フッ素を含むガス中のフッ素が、このフッ素に対する化学量論量を超える量の水酸化カルシウムと反応して、フッ化カルシウムと水酸化カルシウムとを含む混合物が生成される(フッ化カルシウム回収工程)。このとき、既述のように水酸化カルシウムを水中に分散させた水酸化カルシウムスラリーを排ガスと接触させることで、排ガス中のフッ素と水酸化カルシウムとを反応させる。この水酸化カルシウムスラリーとしては、水酸化カルシウム含有量が20重量%以下の範囲のものを用いることができる。このように水酸化カルシウムスラリーが排ガスと接触すると、フッ素が水酸化カルシウムスラリーに吸収されると共に水酸化カルシウムと反応してフッ化カルシウムを生成する。この反応は、反応系のpHが7.5以上であれば十分な反応速度で進行するが、このpHが7.5程度になると反応速度が十分ではなくなり、排ガス中からフッ素を十分に回収することができなくなる。このため、反応により得られる混合物はpHが7.5程度になるとフッ化カルシウム回収部1から取り出されるようにすることが好ましい。これにより、フッ素との反応には化学量論量を超える量の水酸化カルシウムが供され、過剰分の水酸化カルシウムが混合物中に残存することとなる。
【0035】
この混合物には、上記のように反応により生成したフッ化カルシウムと、過剰分の水酸化カルシウムとを含有する。この混合物の固形分中におけるフッ化カルシウムの含有率は、排ガス中のフッ素以外の成分の種類や含有量等により変動するが、65〜70重量%程度となる。
【0036】
このフッ化カルシウム回収工程によりフッ素が除去された排ガスは、フッ化カルシウム回収部1から外部に放出される。このとき、排ガス中のフッ素含有量は、フッ化カルシウム回収工程によりフッ素が除去されることで大幅に低減され、このようにフッ素含有量が低減された排ガスを外部に放出することができる。
【0037】
一方、フッ化水素回収部2では、既述のように、排ガスと水とが接触してフッ化水素水溶液が生成する(フッ化水素回収工程)。このとき、充填塔8と循環タンク9との間を循環する水と排ガスとが接触することによりフッ化水素水溶液が生成され、このフッ化水素水溶液中のフッ化水素濃度が所定の値に達したら、このフッ化水素水溶液をフッ化水素回収部2から取り出すようにすることができる。このとき生成されるフッ化水素水溶液の濃度は5〜10重量%の範囲であることが好ましい。この範囲であっても、後述する再反応工程においてフッ化カルシウム回収工程で得られた混合物との反応により高純度の合成蛍石を得ることができる。また、このようにフッ化水素水溶液の濃度を低濃度にすることで、フッ化水素回収工程におけるフッ化水素回収部2の充填塔8等の設備には、高温・高濃度のフッ化水素水溶液を扱う場合に必要とされるハステロイ、貴金属(銀等)、銅合金、モネル、モリブデン等による腐食処理を施す必要が無くなる。このため、例えばフッ化水素回収部2の充填塔8や循環タンク9を塩化ビニル等で形成し、充填物をポリエチレン等にて形成し、配管を塩化ビニルやポリエチレン等にて形成することができる。
【0038】
このフッ化水素回収工程によりフッ素が除去された排ガスは、上記排出管7が外部に開放されている場合にはフッ化水素回収部2から外部に放出される。このとき、排ガス中のフッ素含有量は、フッ化カルシウム回収工程によりフッ素が除去されることで大幅に低減され、このようにフッ素含有量が低減された排ガスを外部に放出することができる。
【0039】
また、排出管7がガス供給路4に接続されている場合には、フッ素が除去された排ガスがガス供給路4に返送され、フッ化カルシウム回収部1へ供給される。このようにすると、フッ化水素回収工程による処理後の排ガス中にフッ素が残存してる場合に、この残存するフッ素をフッ化カルシウム回収部1におけるフッ化カルシウムの生成に利用することができる。
【0040】
次に、フッ化カルシウム回収工程で得られた混合物とフッ化水素回収工程で得られたフッ化水素水溶液とを再反応部3で反応させる(再反応工程)。このとき混合物に存在する水酸化カルシウムと、フッ化水素水溶液中のフッ化水素とが反応してフッ化カルシウムが生成する。これにより、前記混合物よりもフッ化カルシウム純度が向上した合成蛍石のスラリーが得られる。
【0041】
そして、この合成蛍石のスラリーを濾過、乾燥するなどして水分を除去し、合成蛍石を得ることができるものである。
【0042】
このようにして合成蛍石を製造すると、フッ化カルシウム回収工程で得られた混合物中に残存する水酸化カルシウムを、更にフッ化水素回収工程で得られたフッ化水素水溶液と反応させることにより、フッ化カルシウム含有量を向上し、純度の高い合成蛍石を得ることができる。
【0043】
すなわち、フッ化カルシウム回収工程では、既述のようにフッ素を効率よく回収するためには、反応系のpHが7.5以上のアルカリ性領域である必要があり、このためフッ化カルシウム回収工程で得られる混合物中には水酸化カルシウムが残存することとなって、フッ化カルシウム回収工程のみではフッ化カルシウムの含有量の向上には限界があるが、この残存する水酸化カルシウムを、フッ化水素回収工程で得られたフッ化水素水溶液中のフッ化水素と反応させることにより、フッ化カルシウムを生成させて、フッ化カルシウム含有量を向上し、純度の高い合成蛍石を得ることができるものである。
【0044】
ここで、排ガスからフッ素を回収するにあたり、フッ化水素回収工程のみによって全てのフッ素をフッ化水素水溶液として回収し、このフッ化水素水溶液と水酸化カルシウムとを反応させてフッ化カルシウムを生成することも考えられるが、その場合は大量かつ高濃度のフッ化水素水溶液を生成する必要があり、フッ化水素回収工程に必要とされるフッ化水素回収部2の設備が大型化すると共にこのフッ化水素回収部2にはハステロイ、貴金属(銀等)、銅合金、モネル、モリブデン等による腐食処理を施す必要が生じてしまい、設備コストの負担が高くなってしまう。これに対して、本発明ではフッ化水素回収部2の設備を小型化することができると共にハステロイ、貴金属(銀等)、銅合金、モネル、モリブデン等による腐食処理を施す必要がなく、設備コストが抑制することができるものであり、またフッ化カルシウム回収工程のみで排ガス中のフッ素を回収する既存の設備がある場合にはこの既存の設備にフッ化水素回収部2を増設するだけで本発明を実施することが可能となるものである。
【0045】
図2に示す合成蛍石の製造装置の他の例を示す。この合成蛍石の製造装置も、第三リン酸カルシウム製造部6、フッ化カルシウム回収部1、フッ化水素回収部2及び再反応部3を備える。
【0046】
本実施形態では、分岐路5は設けられておらず、ガス供給路4の経路中にフッ化水素回収部2が設けられている。このフッ化水素回収部2は、図1に示す例と同様にフッ素を含むガスを水と接触させてフッ化水素水溶液を生成するものであるが、このときガス供給路4を流通するガス中のフッ素の一部からフッ化水素水溶液を生成するものである。
【0047】
このようなフッ化水素回収部2としては、図3に示すものと同様に充填塔8と循環タンク9とを備えるものを用いることができる。このとき、ガス供給路4のうち第三リン酸カルシウム製造部6とフッ化水素回収部2とを接続する部分を上流側経路4a、フッ化水素回収部2とフッ化カルシウム回収部1とを接続する部分を下流側経路4bとする。上流側経路4aは充填塔8に接続されており、これにより排ガスを充填塔8に供給することができる。また、充填塔8から下流側経路4bが導出されるようになっており、充填塔8内で処理された後の排ガスが下流側経路4bを通じてフッ化カルシウム回収部1に供給することができるようになっている。
【0048】
他の構成は、図1に示すものと同様である。
【0049】
このような合成蛍石の製造装置を用いても、図1に示すものと同様に純度の高い合成蛍石を得ることができる。以下、合成蛍石の製造方法について説明する。
【0050】
まず第三リン酸カルシウム製造部6において、図1に示すものと同様にリン鉱石の熱分解により第三リン酸カルシウムを製造し、これにより発生した排ガスがガス供給路4に送られる。
【0051】
ガス供給路4を流通する排ガスは、まず上流側経路4aからフッ化水素回収部2へ供給される。このフッ化水素回収部2では、図1に示す場合と同様に、排ガスと水とが接触してフッ化水素水溶液が生成する(フッ化水素回収工程)。このとき、排ガス中に含まれるフッ素のうち一部のみがフッ化水素水溶液の生成に利用されるようにする。そのためにはフッ化水素回収部2におけるフッ素の除去性能を調整する必要があるが、この調整は、例えば空塔速度、充填塔高さ、液ガス比、フッ化水素水溶液回収時のフッ化水素濃度等を調整することにより行うことができる。このとき、排ガス中に最初に含まれているフッ素のうち30〜70%の割合のものが、フッ化水素回収部2においてフッ化水素の生成に利用されるように調整することが好ましい。
【0052】
フッ化水素回収工程においてフッ素の一部が除去された排ガスは、ガス供給路4の下流側経路4bを通じてフッ化カルシウム回収部1へ供給される。このフッ化カルシウム回収部1では、図2に示す場合と同様にフッ素を含むガス中のフッ素が、このフッ素に対する化学量論量を超える量の水酸化カルシウムと反応して、フッ化カルシウムと水酸化カルシウムとを含む混合物が生成され(フッ化カルシウム回収工程)、このフッ化カルシウム回収工程によりフッ素が除去された排ガスは、フッ化カルシウム回収部1から外部に放出される。
【0053】
次に、フッ化カルシウム回収工程で得られた混合物とフッ化水素回収工程で得られたフッ化水素水溶液とを、図1に示す場合と同様に再反応部3で反応させる(再反応工程)。これにより合成蛍石のスラリーを得ることができ、この合成蛍石のスラリーを濾過、乾燥するなどして水分を除去し、合成蛍石を得ることができるものである。
【0054】
上記各実施形態では、フッ素を含むガスの供給源として第三リン酸カルシウム製造部6を用い、フッ素を含むガスとしてリン鉱石の熱分解により第三リン酸カルシウムを製造するプロセスで発生する排ガスを利用しているが、フッ素を含むガスとしてはこのようなものに限られず、適宜のガスを利用することができる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を実施例により更に詳述する。
【0056】
合成蛍石の製造装置として、図1に示す構成のものを用いた。
【0057】
このとき、第三リン酸カルシウム製造部6としては、ロータリーキルンにて構成されるものを用いた。この第三リン酸カルシウム製造部6は、燃焼燃料としてC重油を用い、粉砕したリン鉱石を反応促進第三成分と共に1300〜1500℃の範囲で加熱することにより熱分解させて、第三リン酸カルシウムを製造する設備である。
【0058】
また、フッ化カルシウム回収部1としては、図3に示すものと同様の装置構成を有するものを用いた。但し、このフッ化カルシウム回収部1では、図3における充填塔8に代えてスプレー塔が設けられている。このフッ化カルシウム回収部1では、吸収液として濃度6重量%の水酸化カルシウムスラリーを用い、この吸収液のpHが徐々に低下してpHが7.5の近傍となったところで、吸収液の一部を抜き取り、減量した吸収液に10重量%石灰乳を補充するようにした。この動作を繰り返すことで、吸収液のpHを9〜7.5の範囲のアルカリ状態に維持した。そして、抜き取った吸収液を、フッ化カルシウムと水酸化カルシウムとを含むpH7.5のスラリー状の混合物として回収した。
【0059】
また、フッ化水素回収部2としては、塩化ビニル製の高さ4000mm、直径200mmの充填塔8に、ポリエチレン製の充填物(東洋ゴム製「HIREX II 125」)を充填したものと、吸収液である工業用水を貯留する塩化ビニル製の循環タンク9とを、塩化ビニル製及びポリエチレン製の循環路10にて接続して構成されるものを用いた。そして、排ガスを充填塔8内に流通させると共に、ポンプ11により循環タンク9と充填塔8との間で工業用水を循環させて、液ガス比L/G=1L/1m3、空塔速度1m/secの条件で運転し、フッ化水素水溶液を得るようにした。
【0060】
(実施例1)
容器中で、フッ化カルシウム回収工程により得られた温度45℃のスラリー状の混合物にフッ化水素回収工程で得られた温度60℃のフッ化水素水溶液を10分間かけて添加した。このとき濃度5重量%と濃度10重量%の各フッ化水素水溶液について同様の操作を行い、またフッ化水素水溶液の添加量は、前記混合物中に残存する水酸化カルシウム量に対するフッ化水素の化学量論量の1.2倍(120%)のフッ化水素が含まれる量とした。
【0061】
フッ化水素の添加を終了した後、容器内で4時間放置して反応させ、得られた合成蛍石のスラリーをNo.5Cの濾紙を用いて減圧濾過した後、105℃で6時間加熱乾燥して、合成蛍石を得た。この合成蛍石のフッ化カルシウム含有量をJIS K0105に規定されるイオン電極法により測定した結果を、図4に示す。
【0062】
図示のように、濃度5重量%のフッ化水素水溶液を用いた場合の合成蛍石の純度の測定結果は90.5重量%であり、濃度10重量%のフッ化水素水溶液を用いた場合の純度の測定結果は89重量%であって、ほぼ同一の高い純度の合成蛍石を得ることができ、フッ化水素水溶液の濃度が5〜10重量%の範囲において純度の高い合成蛍石を得ることができることが確認できた。
【0063】
(実施例2)
容器中で、フッ化カルシウム回収工程により得られた温度45℃のスラリー状の混合物に、フッ化水素回収工程で得られた温度60℃のフッ化水素水溶液を10分間かけて添加した。このときフッ化水素水溶液としては濃度5重量%のものを用い、またフッ化水素水溶液の添加量は、前記生成物中に残存する水酸化カルシウム量に対するフッ化水素の化学量論量の1.2倍(120%)のフッ化水素が含まれる量とした。
【0064】
フッ化水素の添加を終了した後、容器内で0時間(添加直後)、2時間放置、4時間放置の三通りの条件で反応させ、各反応時間ごとに得られたスラリー状の合成蛍石をNo.5Cの濾紙を用いて減圧濾過した後、105℃で6時間加熱乾燥して、合成蛍石を得た。この合成蛍石のフッ化カルシウム含有量をJIS K0105に規定されるイオン電極法により測定した結果を、図5に示す。
【0065】
図示のように、合成蛍石の純度の測定結果は反応時間が0時間の場合は若干低くなるものの、反応時間に対する純度の変動が小さく、短い反応時間で高い反応効率により純度の高い合成蛍石を得ることができることが確認できた。
【0066】
(実施例3)
容器中で、フッ化カルシウム回収工程により得られた温度45℃のスラリー状の混合物に、フッ化水素回収工程で得られた温度60℃のフッ化水素水溶液を10分間かけて添加した。このときフッ化水素水溶液としては濃度5重量%のものを用い、またフッ化水素水溶液の添加量は、前記生成物中に残存する水酸化カルシウム量に対するフッ化水素の化学量論量の90%、100%、110%、又は120%のフッ化水素が含まれる量とした。
【0067】
フッ化水素の添加を終了した後、4時間放置して反応させ、得られた合成蛍石のスラリーをNo.5Cの濾紙を用いて減圧濾過した後、105℃で6時間加熱乾燥して、合成蛍石を得た。この合成蛍石のフッ化カルシウム含有量をJIS K0105に規定されるイオン電極法により測定した結果を、図6に示す。
【0068】
図示のように、合成蛍石の純度の測定結果は、フッ化水素の添加量が化学量論量の90%である場合は若干低くなるものの、添加量が化学量論量の100%以上であれば、添加量が多くなるほどその分だけ純度は徐々に増大するものの、十分に高い純度の合成蛍石を得ることができることが確認できた。
【0069】
(実施例4)
容器中で、フッ化カルシウム回収工程により得られた温度45℃のスラリー状の混合物に、フッ化水素回収工程で得られた濃度5重量%のフッ化水素水溶液を10分間かけて添加した。このときフッ化水素水溶液としては、フッ化水素回収工程にて得られた直後の60℃の温度のものと、これを冷却して25℃としたものとを用いた。また、フッ化水素水溶液の添加量は、前記生成物中に残存する水酸化カルシウム量に対するフッ化水素の化学量論量の120%のフッ化水素が含まれる量とした。
【0070】
フッ化水素の添加を終了した後、容器中で4時間放置して反応させ、得られたスラリー状の合成蛍石をNo.5Cの濾紙を用いて減圧濾過した後、105℃で6時間加熱乾燥して、合成蛍石を得た。この合成蛍石のフッ化カルシウム含有量をJIS K0105に規定されるイオン電極法により測定した結果を、図7に示す。
【0071】
図示のように、合成蛍石の純度の測定結果は、添加するフッ化水素の温度が25℃でも純度87%の合成蛍石が得られるが、この温度が60℃の場合の方がより高い純度の合成蛍石を得ることができ、フッ化水素回収工程にて得られた直後の60℃程度の温度のフッ化水素水溶液を用いることが好ましいことが確認できた。
【0072】
(実施例5)
フッ化カルシウム回収工程により得られたスラリー状の混合物をNo.5Cの濾紙を用いて減圧濾過した後、105℃で6時間加熱乾燥した。得られた固形状の混合物中のフッ化カルシウム含有量をJIS K0105に規定されるイオン電極法により測定した結果、69重量%であった。
【0073】
また上記と同様のフッ化カルシウム回収工程により得られた温度45℃のスラリー状の混合物を用いて、実施例3と同一の条件での合成蛍石の製造を7回行い、得られた合成蛍石のフッ化カルシウム含有量をJIS K0105に規定されるイオン電極法により測定した。
【0074】
これらの結果を、表1に示す。
【0075】
【表1】


【0076】
表1に示すように、同一方法を繰り返し行って合成蛍石を製造しても、得られる合成蛍石の純度の変化は小さいことから、当該方法は再現性が高く、実用的であることが確認できた。
【0077】
(実施例6)
容器中で、フッ化カルシウム回収工程により得られた温度45℃の混合物に、フッ化水素回収工程で得られた温度60℃のフッ化水素水溶液を10分間かけて添加した。このときフッ化水素水溶液としては濃度5重量%のものを用い、またフッ化水素水溶液の添加量は、前記生成物中に残存する水酸化カルシウム量に対するフッ化水素の化学量論量の120%のフッ化水素が含まれる量とした。
【0078】
フッ化水素の添加を終了した後、4時間放置して反応させ、得られたスラリー状の合成蛍石をNo.5Cの濾紙を用いて減圧濾過した後、105℃で6時間加熱乾燥して、合成蛍石を得た。
【0079】
また、フッ化カルシウム回収工程により得られたスラリー状の混合物を上記と同一条件で濾過・乾燥して、固形状の混合物を得た。
【0080】
上記の固形状の混合物及び合成蛍石、並びにアシッドグレードの天然蛍石について、成分分析を行った結果を下記表2に示す。尚、フッ化カルシウムの分析はJIS K0105に規定されているランタン・アリザリンコンプレキソン吸光光度法にて行い、他の成分の分析はJIS K0102に規定される原子吸光光度法にて行った。
【0081】
【表2】


【0082】
表2に示すように、固形状の混合物と合成蛍石の測定結果を比べると、水酸化カルシウムに起因すると思われるCaOの含有量が合成蛍石では大きく低下すると共に、CaF2の含有量が増大しており、本発明では混合物中に残存する水酸化カルシウムをフッ化カルシウムに変換することにより純度の高い合成蛍石が得られることが確認できた。
【0083】
また、合成蛍石とアシッドグレードの天然蛍石の測定結果を比べると、合成蛍石のCaF2の含有量はアシッドグレードの天然蛍石には及ばず、またCaF2以外の他の成分の含有量が概ね高く、特に硫黄の含有量が高いことが確認された。これらの合成蛍石中の不純物は、主として排ガス中への第三リン酸カルシウムの製造プロセスで使用される原料のダスティング(飛散)や加熱用の燃料中の成分の混入に起因するものと思われる。このため、フッ化カルシウム回収工程及びフッ化水素回収工程に供される前に排ガスに対して集塵処理等を施すことでこれらの不純物を除去すれば、合成蛍石の純度の更なる向上が期待できる。また、特に硫黄の含有量が高いのは、燃焼として硫黄含有量の高いC重油を用いたことに起因するものと考えられるため、燃料として硫黄含有量の低いB重油やA重油を用い、或いは硫黄を含有しない天然ガスを用いれば、合成蛍石の純度の更なる向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態の他例を示す概略図である。
【図3】同上の実施の形態におけるフッ化水素回収部の構成の一例を示す概略図である。
【図4】実施例1における測定結果を示すグラフである。
【図5】実施例2における測定結果を示すグラフである。
【図6】実施例3における測定結果を示すグラフである。
【図7】実施例4における測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0085】
1 フッ化カルシウム回収部
2 フッ化水素回収部
3 再反応部
4 ガス供給路
5 分岐路
6 第三リン酸カルシウム製造部
【出願人】 【識別番号】000222875
【氏名又は名称】東洋電化工業株式会社
【出願日】 平成18年12月28日(2006.12.28)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清

【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫


【公開番号】 特開2008−162859(P2008−162859A)
【公開日】 平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願番号】 特願2006−355565(P2006−355565)