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【発明の名称】 球状セラミックス粒子
【発明者】 【氏名】阪口 美喜夫

【要約】 【課題】複合体のフィラー等としての優れた特性、例えば鋳物砂として高温でも優れた耐蝕性、耐焼着性を有し、少ないフィラー添加量でも優れた光拡散性を有する球状セラミックス粒子及びその用途を提供する。

【解決手段】セラミックス組成中にMgOおよびAl23を主成分として含有してなり、MgO/Al23重量比率が0.05〜5、平均粒径が0.5〜500μmである球状セラミックス粒子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス組成中にMgOおよびAl23を主成分として含有してなり、MgO/Al23重量比率が0.05〜5、平均粒径が0.5〜500μmである球状セラミックス粒子。
【請求項2】
火炎溶融法で製造されたものである請求項1に記載の球状セラミックス粒子。
【請求項3】
球形度が0.95以上である請求項1又は2に記載の球状セラミックス粒子。
【請求項4】
MgOおよびAl23を主成分とする、MgO/Al23重量比率が0.05〜5、平均粒径が0.5〜500μmの粉末粒子を、火炎中で溶融して球状化する工程を含む球状セラミックス粒子の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3いずれか記載の球状セラミックス粒子を母材中に含んでなる複合体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス組成中にMgOとAlとを主成分として含有する球状セラミックス粒子、及びその用途等に関し、特に、高温で使用される鋳造用鋳型の鋳物砂や、光学部材等の複合体のフィラー等として有用である。
【背景技術】
【0002】
鋳造用鋳型に使用される鋳物砂の球形度を向上し、吸水率を低減させて、鋳型製造時の流動性及び充填性を改善する技術として、下記の特許文献1には、Al23及びSiO2を主成分として含有し、火炎溶融法で製造される球状鋳物砂が開示されている。
【0003】
また、下記の特許文献2には、耐蝕性、耐焼着性に優れ、併せて強度及び表面平滑性に優れた球状鋳物砂として、MgO及びSiO2を主成分として含有し、火炎溶融法で製造されるセラミックス粒子が開示されている。
【0004】
一方、セラミックス粒子の他の用途としては、光拡散性部材のフィラー(例えば、特許文献3参照)や電気絶縁材料のフィラー等が挙げられる。
【0005】
【特許文献1】特開2004−202577号公報
【特許文献2】特開2006−150451号公報
【特許文献3】特開2001−188109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、近年用途が拡大しているチタン合金などの合金を鋳造する場合、より高温での耐蝕性と耐焼着性が要求されるため、従来の球状鋳物砂では要求特性を満足するのが困難であった。加えて、従来から使用されているシリカやアルミナと比較して、光拡散性、電気特性などが優れたものが要求されている。
【0007】
そこで、本発明の目的は、複合体のフィラー等としての優れた特性、例えば鋳物砂として高温でも優れた耐蝕性、耐焼着性を有し、少ないフィラー添加量でも優れた光拡散性を有する球状セラミックス粒子及びその用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、セラミックス組成中にMgOとAlとを含む球状セラミックス粒子が、鋳物砂として高温でも優れた耐蝕性、耐焼着性を有し、少ないフィラー添加量でも優れた光拡散性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明の球状セラミックス粒子は、セラミックス組成中にMgOおよびAl23を主成分として含有してなり、MgO/Al23重量比率が0.05〜5、平均粒径が0.5〜500μmであることを特徴とする。
【0010】
なお、本発明における各種の物性値は、具体的には実施例に記載の方法で測定される値である。
【0011】
また、本発明の球状セラミックス粒子の製造方法は、MgOおよびAl23を主成分とする、MgO/Al23重量比率が0.05〜5、平均粒径が0.5〜500μmの粉末粒子を、火炎中で溶融して球状化する工程を含むものである。
【0012】
また、本発明は、上記の球状セラミックス粒子の用途、即ち、光学部材等の複合体、及び鋳物砂に関するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の球状セラミックス粒子は、球状セラミックス粒子が有する成形性や充填性等の特性に加えて、鋳物砂、複合体用のフィラー等としての優れた特性、例えば鋳物砂として高温でも優れた耐蝕性、耐焼着性を有し、また、少ないフィラー添加量でも優れた光拡散性を有する。このため、本発明の球状セラミックス粒子は、光学部材等の複合体、及び鋳物砂として、特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の球状セラミックス粒子の形状である「球状」とは、球形度0.88以上、好ましくは0.90以上のものをいう。球状であるか否かについては、セラミックス粒子を後述する走査型電子顕微鏡(たとえば、キーエンス社製、VF−8000型)で観察し、判定することができる。
【0015】
本発明の球状セラミックス粒子は、MgOおよびAl23を主成分とするが、ここで「主成分」とは、MgOおよびAl23が合計量でセラミックス粒子全体の全成分中に60重量%以上含有されていることをいう。
【0016】
本発明の球状セラミックス粒子の主成分であるMgOおよびAl23の含有量としては、耐火性の向上という観点から、それらの合計量として、球状セラミックス粒子の全成分中、好ましくは65〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%であり、さらに好ましくは85〜100重量%、最も好ましくは90〜100重量%である。MgOおよびAl23の含有量は公知の分析方法、例えば、湿式重量法または蛍光X線法で測定することができる。
【0017】
また、MgO/Al23重量比率は0.05〜5であるが、球状化のし易さの観点から、0.1〜4.5が好ましく、0.2〜2がより好ましい。
【0018】
なお、本発明の球状セラミックス粒子に主成分以外の成分として含まれ得るものとしては、たとえば、SiO2、Fe23、TiO2、K2O、Na2O等の金属酸化物が挙げられる。これらは該セラミックス粒子の原料に由来する。SiO2が含まれる場合、球状セラミックス粒子の耐蝕性、耐焼着性の向上の観点から、その含有量としては10重量%以下が好ましい。Fe23とTiO2 が含まれる場合、それらの含有量としてはそれぞれ10重量%以下が好ましく、Fe23の含有量は1重量%以下がより好ましい。K2OとNa2Oが含まれる場合、それらの含有量としては合計量として3重量%以下が好ましく、より好ましくは2重量%以下である。
【0019】
本発明の球状セラミックス粒子の平均粒径は0.5〜500μm、好ましくは1〜400μmの範囲である。
【0020】
本発明の球状セラミックス粒子は、好ましくは火炎溶融法により得られるものである(この場合を「第1の態様」という)。従って、球形度が高く、緻密であるという構造的特徴を有する。当該構造的特徴は、流動性、鋳型強度、鋳造された鋳物の表面平滑性の向上に大きく寄与する。
【0021】
本発明の好ましい第1の態様の球状セラミックス粒子は、MgOおよびAl23を主成分として含有してなり、MgO/Al23重量比率が0.05〜5、平均粒径が0.05〜500μmで、火炎溶融法で製造されたものである。流動性の向上の観点から、その球形度は、0.95以上であるものが好ましく、0.98以上であるものがより好ましく、0.99以上であるものがさらに好ましい。
【0022】
一方、本発明の好ましい第2の態様の球状セラミックス粒子は、火炎溶融法で得られたものに限られず、MgOおよびAl23を主成分として含有してなり、MgO/Al23重量比率が0.05〜5、平均粒径が0.05〜500μmで、その球形度は0.95以上である。流動性の向上の観点から、その球形度はより好ましくは0.98以上であり、更に好ましくは0.99以上である。
【0023】
また、本発明の球状セラミックス粒子の吸水率(重量%)としては、2重量%以下が好ましく、0.9重量%以下がより好ましい。吸水率はJIS A1109細骨材の吸水率測定方法に従って測定することができる。
【0024】
また、球状セラミックス粒子の吸水率が低いことは一般に、粒子の構造上、開孔が少ないことを意味しており、そのような球状セラミックス粒子は強度が高く耐粉砕性、透明性に優れ、複合材料として好適である。
【0025】
一方、本発明の球状セラミックス粒子が、流動性の低い公知のセラミックス粒子との混合物中に好ましくは50体積%以上含有されておれば、該混合物からなるセラミックス粒子は、充分に本発明の所望の効果を発揮し得る。即ち、前記のような公知のセラミックス粒子に本発明の球状セラミックス粒子を徐々に添加していけば、添加量に応じて本発明の所望の効果を発揮するようになるが、前記混合物からなるセラミックス粒子中に、前記所定の球形度を有する本発明の球状セラミックス粒子が50体積%以上含まれると、その効果は顕著になる。なお、当該混合物からなるセラミックス粒子中の、本発明の球状セラミックス粒子の含有量としては、より好ましくは60体積%以上、さらに好ましくは80体積%以上である。本発明の球状セラミックス粒子としては、その利用性に優れることから、球形度が0.98以上であるものがさらに好適である。また、かかる球状セラミックス粒子を50体積%以上含むセラミックス粒子は、本発明の球状セラミックス粒子と同等の効果を発揮し得ることから、かかるセラミックス粒子も本発明に包含される。
【0026】
中でも、本発明の第1の態様の球状セラミックス粒子は前記の火炎溶融法により製造される。一方、本発明の第2の態様の球状セラミックス粒子は、たとえば、造粒して焼結する方法、電融アトマイズ法、ゾルゲル法、噴霧乾燥法、、混合法、沈殿法、水熱法、CVD法といった公知の手法を用いて製造することが可能であるが、中でも、本発明の第1の態様の球状セラミックス粒子と同様に火炎溶融法により製造するのが好適である。そこで、以下においては、火炎溶融法による、本発明の球状セラミックス粒子の製造方法の一例を説明する。なお、当該製造方法も本発明に包含される。
【0027】
本発明の球状セラミックス粒子の製造方法は、MgOおよびAl23を主成分とする、MgO/Al23重量比率が0.05〜5、平均粒径が0.5〜500μmの粉末粒子を出発原料とし、当該粉末粒子を火炎中で溶融して球状化する工程を含むものである。なお、原料である粉末粒子の平均粒径も、本発明の球状セラミックス粒子の平均粒径を求める場合と同様にして求めることができる。
【0028】
本発明の球状セラミックス粒子の製造方法において「MgOおよびAl23を主成分とする」とは、本発明の球状セラミックス粒子全体の成分中にMgOおよびAl23が合計量で60重量%以上、好ましくは65〜100重量%、さらに好ましくは80〜100重量%含有するように出発原料の配合組成が調整されていることをいう。
【0029】
よって、「MgOおよびAl23を主成分とする」限り、当該粉末粒子としては、後述するようなMgO源としての原料とAl23源としての原料の混合物からなるものであっても、(MgO+Al23)源としての原料単独からなるものであっても、また、MgO源としての原料および/またはAl23源としての原料と(MgO+Al23)源としての原料との混合物であってもよい。
【0030】
出発原料としての前記粉末粒子においては、主成分であるMgOおよびAl23の合計量としての含有量は、得られる球状セラミックス粒子中のMgOおよびAl23の合計量が全成分中、好ましくは65重量%以上になるようにする観点から、好ましくは75重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上であり、さらに好ましくは85〜100重量%、最も好ましくは90〜100重量%である。
【0031】
前記粉末粒子のMgO/Al23重量比率としては、得られる球状セラミックス粒子中のMgO/Al23重量比率が0.05〜5になるようにする観点から、好ましくは0.05〜5であり、より好ましくは0.1〜4、更に好ましくは0.2〜2である。
【0032】
前記粉末粒子の平均粒径としては、球状セラミックス粒子の粒径と球形度が広い範囲で分布することを抑制する観点から0.5μm以上、好ましくは1μm以上であり、所望の球形度を有するセラミックス粒子を得る観点から500μm以下であり、それらの両観点を満たすため1〜500μm、好ましくは1〜300μmである。また、得られるセラミックス粒子の球形度の向上という観点からは、1〜200μmがさらに好ましい。
【0033】
本発明の球状セラミックス粒子を得るためには、出発原料としての粉末粒子は、溶融時の成分蒸発を考慮し、MgO/Al23重量比率および平均粒径が上記範囲内になるよう調整して使用するのが好ましい。
【0034】
出発原料である粉末粒子を溶融する際、当該粒子に水分が含まれると、該水分が蒸発するため、得られるセラミックス粒子には当該水分の蒸発に伴って多数の開孔が形成されることになる。当該開孔の形成は、セラミックス粒子の吸水率の増加や、球形度の低下をもたらす。従って、出発原料の含水率(重量%)としては、得られる球状セラミックス粒子の吸水率および球形度を適切な範囲に調節する観点から、10重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましく、1重量%以下がさらに好ましい。含水率は粉末粒子10gを800℃で1時間加熱した時の減量により求める。
【0035】
出発原料は、たとえば、耐火性を有する鉱産原料および合成原料から選ぶことができる。MgO源としての原料として、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシア、スピネル、カンラン石、輝石ズン岩、蛇紋岩、オリビン系鉱物等を挙げることができる。また、Al23源としての原料として、水酸化アルミニウム、アルミナ、スピネル、ボーサイト、バン土頁岩等を挙げることができる。これらの原料はそれぞれ単独で、もしくは2種以上を混合して使用することができる。選択された出発原料は、その含水率を低下させるため、あるいはその溶融を容易にするために仮焼もしくは電融して使用するのが好ましい。仮焼された原料粉末粒子としては、焼結スピネル、電融スピネル等が例示される。
【0036】
出発原料としての粉末粒子を火炎中で溶融して球状化する工程では、上記のような出発原料を酸素等のキャリアガスに分散させ、火炎中に投入することによって溶融し、球状化を行う(火炎溶融法)。好適な態様においては、下記火炎中に投入する。
【0037】
用いる火炎はプロパン、ブタン、メタン、天然液化ガス、LPG、重油、灯油、軽油、微粉炭等の燃料を酸素と燃焼させることによって発生させる。燃料の対酸素比は完全燃焼の観点から容量比で1.01〜1.3が好ましい。高温の火炎を発生させる観点から、酸素付加空気バーナー、酸素・ガスバーナーが好適である。さらに酸素・ガスバーナーが好適である。特にバーナーの構造は限定するものではないが、特開平7−48118号公報、特開平11−132421号公報、特開2000−205523号公報または特開2000−346318号公報で開示されているバーナーが例示される。
【0038】
本発明の製造方法で用いる0.5〜500μm、好ましくは1〜300μmの範囲にある大きな平均粒径をもつ上記耐火性の原料粉末粒子を球状化するには以下の手法が好適である。
【0039】
火炎中への粉末粒子の投入は、キャリアガス中に分散して行なう。キャリアガスとしては、酸素が好適に用いられる。この場合、キャリアガスの酸素は燃料燃焼用として消費できる利点がある。ガス中の粉体濃度は、粉末粒子の充分な分散性を確保する観点から、0.1〜20kg/Nm3が好ましく、0.2〜10kg/Nm3がより好ましい。
【0040】
火炎中での球状化を速やかに行なうと共に、単分散した球状セラミックス粒子を得る観点から、原料粉末粒子の形状と組成を選択することが好ましい。形状としては、火炎中での滞留時間確保や溶融、球状化を速やかに行なう観点から、原料粉末粒子の長軸径/短軸径比が9以下であるのが好ましく、より好ましくは4以下、さらに好ましくは2以下である。
【0041】
また、粉末粒子は、ガス等を電離させて生じるプラズマジェット火炎中でも好適に溶融し、球状化できる。
【0042】
なお、火炎の温度としては、火炎中での球状化を速やかに行なうと共に、粒子同士の融着を防止する観点から、2000〜3000℃が好ましく、2100〜2600℃がより好ましく、2200〜2500℃がより好ましい。
【0043】
以上の方法により、本発明の所望の球状セラミックス粒子を得ることができる。当該セラミックス粒子は、流動性に非常に優れたものである。また、前記の通り、本発明の球状セラミックス粒子が所定の割合で含まれるように、該セラミックス粒子と公知のセラミックス粒子とを適宜混合することにより、本発明の球状セラミックス粒子と同等の効果を発揮し得るセラミックス粒子を得ることができる。後述する鋳型の製造においてこれらのセラミックス粒子を用いると、使用するバインダーの量を少なくできることから、それらのセラミックス粒子は、セラミックス粒子として効率的に再生(リサイクル)することができる。
【0044】
本発明の球状セラミックス粒子は、単独で、又は公知の他の材料と混合して、球状セラミックス粒子を含んでなる光学部材等の複合体、鋳物砂、または該鋳物砂を成形してなる鋳造用鋳型などに使用することができる。本発明の球状セラミックス粒子は、特に、高温で使用される鋳造用鋳型の鋳物砂や、光学部材のフィラー等として有用である。以下、これらの用途について説明する。
【0045】
[本発明の複合体]
本発明の複合体は、本発明の球状セラミックス粒子を母材中に含むものである。該複合体としては、光学部材、鋳造用鋳型の他、球状セラミックス粒子を含有する鋳物、電気絶縁材、セラミック補強構造材、熱伝導性部材、セラミックスマトリックス複合体、金属マトリックス複合体などが挙げられる。
【0046】
複合体の母材としては、異なる組成のセラミックス粒子の他、金属、プラスチック、ゴム、その他の樹脂、これらの混合物、等が挙げられ、複合体の用途に応じた母材が適宜選択される。また、球状セラミックス粒子の含有量についても、複合体の用途に応じた含有量が適宜設定される。
【0047】
[鋳物砂および鋳造用鋳型]
本発明の鋳物砂は、以上のような本発明の球状セラミックス粒子を含んでなる。つまり、本発明の球状セラミックス粒子は、必要に応じて公知のセラミックス粒子などと混合して、鋳鋼、鋳鉄、アルミニウム、銅およびこれらの合金等の鋳型を製造する際の鋳物砂として用いることができる。
【0048】
本発明の球状セラミックス粒子は、鋳物砂として高温でも優れた耐蝕性、耐焼着性を有するため、近年用途が拡大しているチタン合金などの合金を高温(例えば1660〜1860℃)で鋳造する場合でも、その鋳造用鋳型の構成材料(鋳物砂)として好適に使用することができる。つまり、本発明の球状セラミックス粒子で得られる鋳造用鋳型は、チタンのような融点1500℃以上の金属を主成分とする鋳物を製造するのに好適に使用される。
【0049】
また、本発明の鋳造用鋳型は、本発明の球状セラミックス粒子を含む鋳物砂を成形してなる。つまり、本発明のセラミックス粒子は、単独で、もしくは珪砂等のその他の公知のセラミックス粒子や耐火性骨材と組み合わせて、粘土、水ガラス、シリカゾル等の無機質バインダー、またはフラン樹脂、フェノール樹脂、フランフェノール樹脂等の有機質バインダーと混合され、所望の鋳造用鋳型を用いて公知の方法に従って造型され得る。
【0050】
高強度の鋳造用鋳型を得る観点から、バインダーの使用量としては、セラミックス粒子100重量部に対して、バインダーを0.05〜5重量部使用するのが好適である。このようにして得られる鋳型は、高強度であり、しかもその表面が平滑である。従って、この鋳造用鋳型で鋳造すると、表面荒れが小さく、後工程である研磨工程への負荷が小さい鋳物が得られる。
【0051】
鋳物砂として用いる場合、中実で緻密であり高強度の鋳型を得る観点から、本発明のセラミックス粒子の平均粒径は、10〜500μmが好ましく、20〜300μmがより好ましい。
【0052】
鋳造用鋳型の製造に使用する観点から、本発明のセラミックス粒子の粒子密度(g/cm3)としては3〜4g/cm3の範囲が好ましい。この範囲のものは中実で緻密であり高強度の鋳型が得られる。粒子密度は、JIS R1620の粒子密度測定法に従って測定することができる。
【0053】
また、前記鋳物をさらに適宜加工することにより、表面および内面欠陥の少ない構造物が得られる。また、このような鋳物に、本発明の球状セラミックス粒子を含有させることも可能である。当該構造物としては、たとえば、金型、エンジン部材、工作機械部材、建築部材等が挙げられる。
【0054】
上記のような鋳型を用いた鋳物の製造方法は、例えば次の工程を含むものである。
工程1:本発明の球状セラミックス粒子を鋳物砂として含んでなる鋳型を製造する工程、
工程2:鋳物の原料金属を溶融して必要に応じて添加物を混合し、溶湯を得る工程、
工程3:工程1で得た鋳型に、工程2で得た溶湯を充填する工程、
工程4:工程3の後に、硬化した鋳物を前記鋳型から取り出す工程。
【0055】
工程1は、好ましくは、
工程1a:耐火性骨材(本発明の場合、球状セラミックス粒子)をバインダーと混合して混合物を製造する工程、
工程1b:前記混合物を木型もしくは金型などの型に充填する工程、
工程1c:工程1bで得た成形型(上型、下型および中子など)を組み合わせて鋳型を製造する工程、
を含む自硬性鋳型造型法が挙げられる。
【0056】
本発明の球状セラミックス粒子は、工程1aで使用するバインダーが少量でも、鋳型を硬化させることができる。
【0057】
[光学部材]
本発明における光学部材は、本発明の球状セラミックス粒子を基材中に含んでなり、該光学部材としては、光拡散性部材、反射防止部材などが挙げられる。光拡散部材の具体的な用途としては、例えば液晶ディスプレー、透過型または反射型スクリーン、照明カバー、照明看板、プロジェクター用のフレネルレンズ、発光ダイオードなどに好適に用いられる。
【0058】
光学部材に使用する場合、球状セラミックス粒子の平均粒径は、好適な光拡散性及び光透過性を確保し、該セラミックス粒子を基材に添加して光拡散性部材を製造する際の機械的強度を確保する観点から、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、20μm以下が更に好ましい。また、粒子の凝集・合一を抑制し、セラミックス粒子の粒径分布をあまり大きくしない観点や球形度の観点から、0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましく、1μm以上が更に好ましく、5μm以上が更に好ましい。前記観点を総合した観点から、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜50μmがより好ましく、1〜30μmが更に好ましく、5〜20μmが更に好ましい。平均粒径は、実施例に記載する方法で測定する。
【0059】
また、セラミックス粒子の球形度は、好適な光拡散性及び光透過性を確保する観点から、0.95以上が好ましく、0.96以上がより好ましく、0.98以上が更に好ましい。球形度がこの範囲であると、基材への分散性が良好で、高添加が可能となり、光拡散性部材の光学的特性を付与しやすくなる。球形度は、実施例に記載する方法で測定する。
【0060】
光学部材中に余分な気泡の発生を抑制し、好適な光拡散性及び光透過性を達成する観点から、本発明に使用するセラミック粒子の表面には気孔が少ないことが好ましい。表面の気孔の程度として、セラミックス粒子の吸水率を指標とすることができる。即ち、セラミックス粒子の気孔は、吸水率は低い方が少ない傾向にあり、吸水率は0.8重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がより好ましく、0.3重量%以下が更に好ましい。
【0061】
光学部材に使用するセラミックス粒子の色は、光透過性を確保する観点から、白色であることが好ましい。白色度は、分光式色彩計により測定されるL*値が、85以上であることが好ましく、90以上であることがより好ましく、95以上であることが特に好ましい。かかる白色度は、セラミックス粒子中の副成分の量と組成を調整することで、得ることができる。
【0062】
セラミックス粒子はMgOとAlとで構成される成分を主成分として含有してなる複合化合物であり、その構造は、非晶構造(非晶質)もしくは結晶構造(結晶質)をとりうるが、耐熱性、耐薬品性または耐光性に優れ、安定した光拡散性を確保する観点から、結晶質のものが好ましい。かかる高結晶化は、セラミックス粒子製造時の焼成温度を1200〜1850℃、焼成時間を1〜5時間に調整することで得ることができる。
【0063】
光学部材に使用するセラミックス粒子として、MgOとAl、の重量比〔(またはMgO)/Al〕が0.05〜5のものを使用して、前記の高結晶化を行う処理を施すと、X線回折パターン測定により主たるピークがJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)のNo.21−1152のMgAl Spinelに帰属され、光拡散性及び光透過性を向上する観点から好ましい。
【0064】
光学部材に使用するセラミックス粒子は、基材中での分散性を向上させる観点から、シランカップリング剤、シリコーン、脂肪酸石鹸等で表面処理を行うことが好ましい。
【0065】
光学部材に使用するセラミックス粒子を基材に添加する際及びその後の加工性を向上する観点から、適度の流動性を有することが好ましい。流動性は、パウダーテスターによって測定される安息角が指標となり、安息角が、好ましくは50度以下、より好ましくは40度以下であり、更に好ましくは35度以下であり、セラミックス粒子の球形度を高く、吸水率を低減することで好ましい範囲に調整できる。安息角は、実施例に記載する方法で測定できる。
【0066】
安息角を上記範囲にするため、セラミックス粒子の球形度は0.95以上が好ましく、0.96以上がより好ましく、0.98以上が更に好ましい。安息角を上記範囲にするため、吸水率は0.8重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がより好ましく、0.3重量%以下が更に好ましい。セラミックス粒子の平均粒径を大きくすることで、吸水率を低減でき、火炎溶融処理することで、吸水率を更に低減できる。
【0067】
光拡散性部材としては、好ましくは全透過率が50%以上かつ光散乱強度が70%以上であり、より好ましくは全透過率が70%以上かつ光散乱強度が80%以上であり、光拡散性部材の全透過率及び散乱強度は、ヘイズメーターで測定される値を指す。特に、セラミックス粒子の含有量が、光拡散性部材の基材100重量部に対して50重量部以下でこのような光学特性を有することが好ましく、より好ましくは含有量が10重量部以下の場合である。
【0068】
光学部材に使用する基材は、透明なガラス、樹脂であれば特に制限はなく、たとえばガラスであれば、ソーダ石灰ガラス等のアルカリガラスや硼珪酸ガラスが好適に用いられる。また、樹脂であれば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線等のエネルギー線硬化型樹脂等が使用でき、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース、ブチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン等が挙げられる。これらのうち、透明性、耐光性、耐熱性の観点から、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等が好ましく、アクリル樹脂がより好ましく用いられる。
【0069】
これらのうち、光拡散性部材が良好な光拡散性及び光透過性を確保する観点から、基材の屈折率は、好ましくは1.3〜1.65、より好ましくは1.45〜1.63、更に好ましくは1.55〜1.62であることが望ましい。
【0070】
また、光拡散性部材の良好な光拡散性及び光透過性を確保する観点から、使用するセラミックス粒子の屈折率は、1.6〜1.8が好ましく、1.65〜1.75がより好ましく、1.67〜1.73が更に好ましい。当該屈折率は、前記のセラミックスの組成と結晶構造を好適範囲に調整することで、前記の好適範囲に調整できる。
【0071】
また、基材とセラミックス粒子は、光拡散性部材が良好な光拡散性及び光透過性を確保する観点から、基材の屈折率とセラミックス粒子の屈折率の差が、好ましくは0.01〜0.3、より好ましくは0.03〜0.2、更に好ましくは0.05〜0.15であるように組合せることが望ましい。
【0072】
基材とセラミックス粒子の好適な組合せの例を表1に示した。
【0073】
【表1】


【0074】
光拡散性部材の良好な光拡散性と光透過性を確保する観点から、基材中のセラミックス粒子の含有量は、特に、良好な光拡散性を確保する観点から、基材100重量部に対するセラミックス粒子の添加量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部、更に好ましくは1重量部以上であり、特に光透過性を確保する観点から、好ましくは1000重量部以下、より好ましくは100重量部以下、更に好ましくは30重量部以下、更に好ましくは10重量部以下である。前記観点を総合した観点から、0.1〜1000重量部が好ましく、0.1〜100重量部がより好ましく、0.1〜30重量部が更に好ましく、0.5〜30重量部が更に好ましく、1〜10重量部が更に好ましい。
【0075】
本発明の光学部材には、必要に応じて、離型剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、蛍光体、発光体、強化剤などを、光拡散性と光透過性を損なわない範囲で添加することができる。その添加量は、光拡散性と光透過性の観点から、光拡散性部材中10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。
【0076】
光学部材は、いずれの形状でもよく、シート状、レンズ状、柱状、板状などの形状が挙げられるが、均一な光拡散性や高い光透過性を得ようとする場合には、シート状が好ましい。
【0077】
光学部材がシート状である場合、その厚さは、光拡散性部材の良好な光拡散性及び透明性を確保する観点から、特に、良好な光拡散性を確保する観点から、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは10μm以上であり、特に、良好な光透過性を確保する観点から、好ましくは20mm以下、より好ましくは2mm以下、更に好ましくは1mm以下であり、前記観点を総合した観点から、0.05μm〜20mmが好ましく、1μm〜2mmがより好ましく、10μm〜1mmが更に好ましい。
【0078】
本発明の光学部材は、基材中にセラミックス粒子を分散させる工程により製造することができる。セラミックス粒子の分散は、例えば、次の(a)〜(d)のいずれかの工程によって好適に行うことができる。
(a)混練機を用いて前記基材中に前記セラミックス粒子を練り込む工程、
(b)前記基材を構成する樹脂の溶液、エマルジョン、ディスパージョンまたはサスペンジョンの中に前記セラミックス粒子を混合し、この混合物をシート状に成型する工程、
(c)シート表面に前記セラミックス粒子及びバインダーを含む層を形成する工程、又は
(d)前記基材を構成する樹脂を合成する際に、その樹脂のモノマー中に前記セラミックス粒子を添加して重合する工程。
【0079】
これらのうち、上記(a)に示す工程のように、混練機を用いて基材中にセラミックス粒子を練り込み方法が好ましく、混練後にシート状に成型する方法がより好ましい。その際、混練機として、練ロール機、二軸混練機、ニーダー、インターナルミキサー、押出機など、公知の混練機を用いることができる。成型機は、ロール成型機、射出成型機、押し出し成型機、熱プレス成型機などを用いることができる。
【0080】
上記(b)に示す工程では、例えば、樹脂を溶液、ディスパージョン等の液状にするための各種液状媒体が使用され、塗工支持体上に塗工した後に液状媒体の乾燥などが行われる。塗工には、ブレードコーター、コンマコーター、バーコーター、カレンダーコーター、ディップコーターなどを用いることができる。
【0081】
上記(c)に示す工程では、例えば、下地基材となるシートの表面に、前記セラミックス粒子及びバインダーを含む塗工液を、上記(b)と同様にして塗工した後、乾燥させることで、セラミックス粒子及びバインダーを含む層を形成することができる。
【0082】
上記(d)に示す工程では、例えば、セラミックス粒子を含むモノマー組成物を上記(b)と同様にして塗工した後、モノマーの種類に応じた条件で重合させることができる。その際、必要に応じて、触媒、開始剤、架橋剤などを添加することができる。
【実施例】
【0083】
以下、本発明を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0084】
(1)組成
蛍光X線法(JIS R2216「耐火れんが及び耐火モルタルの蛍光X線分析法」)による元素分析を行って、Al、Mg、の各原子の組成を定量する。X線回折測定を行い、回折パターンから、Al、MgO、あるいはこれらの複合化合物の存在を確認する。回折パターンが得られない場合は、ラマン分光、IR、NMR等の測定によりAl、MgO、の存在を確認する。以上から、MgOとAl、との合計量、及び、MgOとAlの重量比〔MgO/Al〕を算出する。
【0085】
(2)平均粒径
平均粒径は、D50(体積基準の50%の中位粒径)を意味し、堀場製作所LA−920によるレーザー回折/散乱法で測定する。
含水率は粉末粒子10gを800℃で1時間加熱した時の減量により求める。
【0086】
(3)球形度
球形度は、セラミックス粒子について、リアルサーフェースビュー顕微鏡VF−7800(キーエンス社製)で測定して得られたSEM像(倍率は30〜3000倍)の粒子投影断面の面積及び該断面の周囲長を求め、次いで、〔粒子投影断面の面積と同じ面積の真円の円周長〕/〔粒子投影断面の周囲長〕を計算し、任意の50個の粒子につき、それぞれ得られた値を平均して求める。
【0087】
(4)吸水率
吸水率はJIS A1109細骨材の吸水率測定方法に従って測定する。
【0088】
(5)安息角
安息角の測定は、JIS R9301−2−2による。安息角の測定に用いるパウダーテスターは、ホソカワミクロン社製のTYPEPT−Eを使用する。
【0089】
(6)屈折率
セラミックス粒子及び基材樹脂の屈折率は、JIS K7142「プラスチックの屈折率測定方法」のうち、B法(顕微鏡を用いる液浸法(ベッケ線法))による。但し、JIS K7142で使用される浸液に代えて、島津デバイス製造社製「接触液」を使用し、浸液の温度が15〜20℃の条件で測定する。顕微鏡は、偏光顕微鏡「オプチフォト」(ニコン製)を使用する。
【0090】
(7)全透過率及び光散乱強度
サンプル粒子を100重量部に対して、アミノプロピルトリエトキシシランを1重量部添加し、表面処理を施した。アクリルペレット(三菱レーヨン社製VH―001)100重量部に対して、該表面処理したサンプル粒子を0.7重量部の割合で混ぜ、ロール混練機(西村機械製作所製)により185℃で混合し、プレス機(東洋精機製)でプレスして厚さ1mmの光拡散性部材を作製した。
【0091】
これを用いて、ヘイズメーター〔村上色彩技術研究所製(形式:HR−100)〕で平行光線透過率(Tp)と散乱光透過率(Td)を測定し、Tp+Tdにより全透過率を算出し、〔Td/(Tp+Td)〕×100を算出して光散乱強度を求めた。全透過率が大きい程、光透過性が高く、光散乱強度が大きい程、光拡散性が高いと評価する。
【0092】
(8)耐光性試験(促進耐光性試験法)
比較する2つの部材をサンシャインスーパーロングライフウェザーメーター(スガ試験機械株式会社製)にセットし、カーボンアーク光を照射した。照射前後のサンプルを分光式色彩計(SE−2000)(日本電色工業株式会社製)を用いて黄色度(b)を測定し、下記に示す式により照射前後でのサンプルの黄変度合いを比較した。
【0093】
Δb=光照射後のb−光照射前のb
(9)粒子の密度
粒子密度は、JIS R1620の粒子密度測定法に従って測定した。
【0094】
(10)セラミックス粒子の流動性
JISK6721の漏斗を用い、流動時間(秒)をもとめた。流動時間が短いほうが流動性に優れる。
【0095】
(11)鋳型の強度
セラミックス粒子を74〜250μmに分級後、成形バインダーとしてカオーステップS660(花王クエーカー製)をセラミックス粒子100重量部に対して1.2重量部添加し、自硬性鋳型造型法に従って成形(直径50μm×高さ50μm)し鋳型を得た。次いで、24時間、室温で養生後、圧縮試験機(島津製作所製)を用い、鋳型の圧縮強度(MPa)を測定した(25℃、湿度55%)。
【0096】
(12)鋳型の表面肌
以下の評価基準に従って鋳型から脱型後の鋳物表面を目視観察により評価し、当該評価結果を鋳型の表面肌の評価結果として用いた。すなわち、鋳物表面の状態が平滑であれば、鋳型の表面肌も平滑である。なお、鋳物は、鋳鉄FC−250を高周波炉により1400℃で溶融し、50μm×50μm×400μmの直方体の形状のものを作製した。
〔評価基準〕
○: セラミックス粒子跡がなく、平滑な面を示す。
△: セラミックス粒子跡が少し認められ、やや平滑な面を示す。
×: セラミックス粒子跡が明確で、荒れた面を示す。
【0097】
(13)耐蝕性および耐焼着性
上記(12)で使用した同様の鋳型にチタン合金(組成:Ti―6Al―4)の溶湯(温度1710℃)を流しこみ、鋳物を脱型後、該鋳型の断面で溶湯接触部の状態を観察し、以下の評価基準に従って該鋳型の耐蝕性、耐焼着性を評価した。なお、鋳型は実質的にセラミックス粒子そのものから形成されるものであるため、鋳型の耐蝕性、耐焼着性の評価結果はセラミックス粒子の耐蝕性、耐焼着性の評価結果をも示すといえる。
〔評価基準〕
◎: 表面変質、焼着ほとんど無し
○: 軽度の表面の変質、焼着が認められる
△: 中程度の表面の変質、焼着が認められる
×: 激しい表面の変質、焼着が認められる。
【0098】
実施例1
MgO/Al重量比が0.4となるよう、アルミナ(純度99.9%)とマグネシア(純度99.9%)を水中で湿式混合し、真空乾燥した後、1500℃、3時間焼成したものを乾式粉砕し、表2に示す性状のセラミックス粒子(原料粉末粒子)を得た。
【0099】
原料粉末粒子として、上記のセラミックス粒子を用い、当該粉末粒子を、酸素をキャリアガスとして用い、LPG(プロパンガス)を対酸素比(容量比)1.1で燃焼させた火炎(2400℃)中に投入し、表3に示す性状の球状セラミックス粒子を得た。この球状セラミックス粒子を用いて、上記の各評価を行った。その結果を表3に合わせて示す。
【0100】
実施例2〜7
実施例1において、表2に示すように平均粒径が異なるセラミックス粒子(原料粉末粒子)を得た後、これを用いて火炎溶融を行ったこと以外は、実施例1と同じ条件で表3に示す性状の球状セラミックス粒子を得た。この球状セラミックス粒子を用いて、上記の各評価を行った。その結果を表3に合わせて示す。
【0101】
実施例8〜10
実施例1において、湿式混合する原料のMgO/Al重量比率を変えることで、表2に示す性状のセラミックス粒子(原料粉末粒子)を得た後、これを用いて火炎溶融を行ったこと以外は、実施例1と同じ条件で表3に示す性状の球状セラミックス粒子を得た。この球状セラミックス粒子を用いて、上記の各評価を行った。その結果を表3に合わせて示す。
【0102】
実施例11〜13
実施例1において、表2に示す性状のセラミックス粒子(原料粉末粒子、平均粒径50μm)を得た後、これを用いて火炎溶融により異なる球形度の粒子を得たこと以外は、実施例1と同じ条件で表3に示す性状の球状セラミックス粒子を得た。この球状セラミックス粒子を用いて、上記の各評価を行った。その結果を表3に合わせて示す。
【0103】
実施例14
イオン交換水100重量部にAlCl・6HOを12.3重量部と、MgCl・6HOを5.08重量部を溶解し、透明な液とした(溶液A)。次に、5.8重量%アンモニア水325重量部に、溶液Aを加えpH9.5〜10となるように調節しながら、30分間撹拌した。得られた沈殿を濾過・洗浄したのち、100℃で48時間乾燥した。得られた乾燥物を1100℃、1時間焼成・粉砕し、表3に示す性状の球状セラミックス粒子を得た。この球状セラミックス粒子を用いて、上記の各評価を行った。その結果を表3に合わせて示す。
【0104】
実施例15
実施例1における水で湿式混合したスラリーを180℃の熱風下で噴霧乾燥し、1400℃で3時間焼成し、球状セラミックスを得た。この球状セラミックス粒子を用いて、上記の各評価を行った。その結果を表3に合わせて示す。
【0105】
比較例1〜2
実施例1において、表2に示すように平均粒径が異なるセラミックス粒子(原料粉末粒子)を得た後、これを用いて火炎溶融を行ったこと以外は、実施例1と同じ条件で表3に示す性状の球状セラミックス粒子を得た。この球状セラミックス粒子を用いて、上記の各評価を行った。その結果を表3に合わせて示す。
【0106】
比較例3〜4
実施例1において、湿式混合する原料のMgO/Al重量比率を変えることで、表2に示す性状のセラミックス粒子(原料粉末粒子)を得た後、これを用いて火炎溶融を行ったこと以外は、実施例1と同じ条件で表3に示す性状の球状セラミックス粒子を得た。この球状セラミックス粒子を用いて、上記の各評価を行った。その結果を表3に合わせて示す。
【0107】
比較例5
表3の性状を有する市販の球状シリカ粉末を用いて、上記の各評価を行った。その結果を表3に合わせて示す。
【0108】
比較例6
表3の性状を有する市販の不定形シリカ粉末を用いて、上記の各評価を行った。その結果を表3に合わせて示す。
【0109】
比較例7
表3の性状を有する市販の球状アルミナ粉末を用いて、上記の各評価を行った。その結果を表3に合わせて示す。
【0110】
比較例8
表2の性状を有する市販のフォルステライト粉末を出発原料とし、酸素をキャリアガスとして用い、LPG(プロパンガス)を対酸素比(容量比)1.1で燃焼させた火炎(2200〜2500℃)中に投入し、表3に示す性状のセラミックス粒子を得た。この球状セラミックス粒子を用いて、上記の各評価を行った。その結果を表3に合わせて示す。
【0111】
比較例9
表2の性状を有する市販のムライト粉末を出発原料とし、酸素をキャリアガスとして用い、LPG(プロパンガス)を対酸素比(容量比)1.1で燃焼させた火炎(2200〜2500℃)中に投入し、表3に示す性状のセラミックス粒子を得た。この球状セラミックス粒子を用いて、上記の各評価を行った。その結果を表3に合わせて示す。
【0112】
【表2】


【0113】
【表3】


【0114】
表3から明らかな通り、実施例の球状セラミックス粒子を用いた光拡散性部材は、全透過率が70%を超えており、少ないフィラー添加量であるにも係わらず、光拡散強度が、従来の市販セラミックッス粒子を添加した光拡散性部材より高いことがわかる。特に、同じ組成で球形度の異なるセラミックッス粒子を添加した光拡散性部材(実施例11〜13)を比較することで、球形度が大きいほど光拡散強度がより高いことがわかる。
【0115】
また、表3の結果より、比較例のセラミックス粒子に比べ、実施例のセラミックス粒子は優れた流動性を有することが分かる。また、得られた鋳型についても、比較例のものと比べ、実施例のものは強度に優れ、また、表面肌が平滑であることが分かる。実施例のセラミックス粒子から製造された鋳型で鋳造された鋳物は後工程である研磨工程を充分軽減できる程に表面は平滑であった。
【0116】
また、実施例のセラミックス粒子で得られた鋳型では表面の変質や焼着が実質的になく、従って、かかる鋳型は、高温(1700℃以上)でも耐蝕性及び耐焼着性に優れたものであることが分かる。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成18年12月27日(2006.12.27)
【代理人】 【識別番号】100105717
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 雄三

【識別番号】100104422
【弁理士】
【氏名又は名称】梶崎 弘一

【識別番号】100104101
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 俊彦

【識別番号】100108109
【弁理士】
【氏名又は名称】光吉 利之


【公開番号】 特開2008−162825(P2008−162825A)
【公開日】 平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願番号】 特願2006−352137(P2006−352137)