トップ :: C 化学 冶金 :: C01 無機化学

【発明の名称】 球状無機酸化物粉体とその製造方法およびその用途
【発明者】 【氏名】都築 宏

【氏名】稲垣 昌敏

【氏名】鵜川 博行

【要約】 【課題】金属不純物の含有濃度が極めて低く、平均粒子径が極めて小さく、電子部品用の放熱材料として有用な微粒球状無機酸化物粉体、およびその製造方法を提供する。

【解決手段】最大粒子径が7μm以下、かつ平均粒子径が0.2〜0.9μmであり、金属成分の含有量が0.05質量%未満である球状無機酸化物粉体。この球状無機酸化物粉体を含む樹脂組成物。この球状無機酸化物粉体は、原料粉体またはそのスラリーを解砕・分散機能を有する装置を経由させて、キャリアガス中または溶媒中に分散させた直後に、連続的に高温火炎中に供給して、該火炎中で球状化させ、生成する球状微粒粉体を捕集することにより製造される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー回折/散乱法の粒度測定で、最大粒子径が7μm以下、かつ平均粒子径が0.2〜0.9μmの範囲であり、含有する金属成分の濃度が0.05質量%未満であることを特徴とする球状無機酸化物粉体。
【請求項2】
最大粒子径と平均粒子径の比が1.5〜29の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の球状無機酸化物粉体。
【請求項3】
含有する金属成分が、金属アルミニウム成分である請求項1または2に記載の球状無機酸化物粉体。
【請求項4】
含有するFe23成分の濃度が0.10質量%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の球状無機酸化物粉体。
【請求項5】
含有するSiO2成分の濃度が0.07質量%未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の球状無機酸化物粉体。
【請求項6】
αアルミナ結晶相分率が、1〜98質量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の球状無機酸化物粉体。
【請求項7】
粉体の熱伝導度が、単結晶時において30W/m・K以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の球状無機酸化物粉体。
【請求項8】
原料粉体をキャリアガスによって高温火炎中に供給し、該火炎中で球状化させることにより球状酸化物粉体を製造する方法において、原料粉体を解砕・分散機能を有する装置を経由させて、キャリアガス中に分散させた直後に、連続的に該火炎中に導入し、得られる球状微粒粉体を捕集することを特徴とする球状無機酸化物粉体の製造方法。
【請求項9】
該解砕・分散機能を有する装置が、高速気流粉砕装置であることを特徴とする請求項8に記載の球状無機酸化物粉体の製造方法。
【請求項10】
該解砕・分散機能を有する装置が、含塵ガス中の粉体粒子同士が衝突する方式の装置であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の球状無機酸化物粉体の製造方法。
【請求項11】
原料粉体のスラリーを高温火炎中に噴霧し、該火炎中で球状化させることにより球状酸化物粉体を製造する方法において、原料粉体スラリーを解砕・分散機能を有する装置を経由させて、溶媒中に分散させた直後に、連続的に該火炎中に噴霧し、得られる球状微粒粉体を捕集することを特徴とする球状無機酸化物粉体の製造方法。
【請求項12】
該解砕・分散機能を有する装置が、高圧湿式ジェットミル型粉砕装置であることを特徴とする請求項11に記載の球状無機酸化物粉体の製造方法。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたものである請求項1〜7のいずれか1項に記載の球状無機酸化物粉体。
【請求項14】
原料粉体として酸化アルミニウムを用いて製造されたものであることを特徴とする請求項13に記載の球状無機酸化物粉体。
【請求項15】
請求項1〜7、請求項13および請求項14のいずれか1項に記載の球状無機酸化物粉体を含有してなることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項16】
該球状無機酸化物粉体と、さらに、該球状無機酸化物粉体よりも平均粒子径が大きい、球状および/または非球状の金属酸化物粉体とを含有してなることを特徴とする請求項15に記載の樹脂組成物。
【請求項17】
請求項1〜7、請求項13および請求項14のいずれか1項に記載の球状無機酸化物粉体を1〜30質量%含む無機酸化物粉体が充填されてなることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の樹脂組成物。
【請求項18】
請求項15〜17のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなり、絶縁接着層を兼ねることができるプリプレグシート状であることを特徴とする放熱材料。
【請求項19】
請求項15〜17のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなり、発熱体と、伝熱を目的とした金属製筐体との間に、ペースト状またはゲル状またはグリース状で塗工された不定形材料であることを特徴とする電子部品用の放熱材料。
【請求項20】
請求項15〜17のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなり、発熱体と、伝熱を目的とした金属性筐体との間に介在して、該発熱体と該金属性筐体とを接合する接着剤の機能を有し、且つ、伝熱性を有することを特徴とする電子部品用の放熱材料。
【請求項21】
請求項15〜17のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなり、筐体内部に設置された、伝熱によって放熱する機能を有する樹脂シートであることを特徴とする放熱材料。
【請求項22】
請求項15〜17のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなり、発熱性素子を封止する封止用材料であることを特徴とする放熱材料。
【請求項23】
請求項15〜17のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなり、発熱性を有する半導体素子の表層部に塗布されるポッティング剤型、および/または下部に塗布されるアンダーフィル剤型の封止用材料であることを特徴とする放熱材料。
【請求項24】
請求項15〜17のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなり、半導体素子のパッケージケース内部に充填して用いる封止用材料であることを特徴とする放熱材料。
【請求項25】
請求項18に記載の放熱材料が、絶縁接着層を兼ねたプリプレグシートとして取り付けられている金属ベース回路基板、またはメタルコア型回路基板、またはフレキシブル回路基板、または、これらの中から選ばれた回路基板を有する構造体
【請求項26】
請求項18〜21のいずれか1項に記載の放熱材料を用いて、発熱性電子部品と金属製の筐体および/または放熱装置とが接合されてなる放熱装置一体型電子部品の構造体。
【請求項27】
請求項18〜24のいずれか1項に記載の放熱材料が用いられている、自動車搭載電子機器用および/または照明機器用の電子回路、または、該電子回路を有する構造体。
【請求項28】
請求項18〜24のいずれかに1項に記載の放熱材料が用いられている、民生用電子機器用の電子回路、または、該電子回路を有する構造体。
【請求項29】
請求項18〜24のいずれか1項に記載の放熱材料が用いられている、公共信号照明機の機材用の電子回路、または、該電子回路を有する構造体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は熱伝導性、充填性に優れ、定形および不定形の樹脂製放熱材料、半導体封止材、各種基板用放熱シートなどの充填材として好適な球状無機酸化物粉末とその製造方法、およびそれが充填された樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子などを搭載した電子回路は、民生電子製品や自動車の電装機器用など、様々な分野で用いられる機器に電子制御装置として搭載されているが、装置の小型化、高集積化への急速な進展に伴い、回路上などで局所的に発生する発熱量は増大傾向にある。
【0003】
発熱、蓄熱は回路の耐久性に悪影響を及ぼすため、回路の放熱設計は非常に重要視されており、現在はメモリ・チップなどの回路上の発熱体と、伝熱を目的とした金属製筐体、放熱部材などとの間に添付するシート状、グリース状、またはゲル状の高熱伝導材料の開発や、基板本体や半導体素子の封止材自身の放熱性能の向上が研究されている。
【0004】
これらの研究において、従来から、絶縁性に優れ、熱伝導率が高い酸化アルミニウムなどの無機酸化物粉体が、放熱材料の熱伝導フィラーとして検討されてきたが、分散性、充填性、流動性を向上させる手段の一つとして、粒子を球状化し表面を平滑にするなどの特性改良が行われている。
【0005】
また、粉体粒子の最密充填理論に基づいた充填性、流動性向上の研究の中で、平均粒子径1μm未満の微粒の無機酸化物粉体が粒度分布調整を目的とした混合用フィラーとして不可欠な材料と位置付けられており、最近ではこの微粒子の球状化も検討の対象になっている。
【0006】
効率的、且つ、経済的に球状無機酸化物粉体を製造する方法として、原料とする無機酸化物粉体、またはそのスラリーを高温火炎中に導入して粒子の表面、または全部を熔融し、表面張力により球状化する技術が知られている。さらに、原料として、金属を用いる方法も知られており、この場合には金属の高温酸化と熔融球状化が同時並行的に起こる。
【0007】
上記の球状無機酸化物粉体を製造する方法としては、例えば、酸化アルミニウム粉体とシリカ粉体を同時に火炎中に溶射し、酸化アルミニウム中のソーダ成分をシリカ粉体と反応させて低ソーダ球状酸化アルミニウムを得る方法(例えば、特許文献1)、水酸化アルミニウム粉体または酸化アルミニウム粉体のスラリーを火炎中に噴霧し、得られた微粉粒子を500℃以上の高温下で捕集する方法(例えば、特許文献2)、酸素含有ガス雰囲気下で化学炎を形成した中に金属粉体を導入し、爆燃を起こさせて球状の微粒子酸化物を得る方法(例えば、特許文献3)、合金粉体を酸素含有ガス雰囲気下で燃焼させることにより球状複合酸化物を得る方法(例えば、特許文献4)などがある。
【0008】
【特許文献1】特開2001−199719号公報
【特許文献2】特開2001−19425号公報
【特許文献3】特開昭60−255602号公報
【特許文献4】特開昭63−185803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術において、無機酸化物粉体を原料とする方法では、原料粉体が微粒になるほど凝集粒子を形成し易く、この凝集粒子の解砕・分散が不十分なまま原料粉体が火炎中に導入されるために、得られる粒子が粗大化し、平均粒子径1μm未満の球状微粒子を安定的に製造することは不可能であった。一方、金属粉体を原料とする方法では、金属粉体自体の連続的な粉塵爆発と爆散が利用されるため、平均粒子径1μm未満の球状微粒子は製造可能であるが、原料金属粉体を完全に酸化反応させることは難しいため、得られた球状粉体中には、未反応の未溶融金属粉体が不純物として10分の1〜数重量%含有するという問題がある。金属不純物を高濃度で含有する粉体は一般的に絶縁信頼性が劣るため、絶縁性を重視した電子部品用放熱材料のフィラーに使用するには適さない。
【0010】
本発明の目的は、金属不純物の含有濃度が極めて低い、平均粒子径1μm未満の微粒球状無機酸化物粉体、およびその製造方法を提供することにある。
さらに、他の目的は、絶縁信頼性と放熱性能が要求される電子部品用の放熱材料として有用な樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上述のような状況に鑑み、上記目的を達成すべく鋭意検討の結果、火炎中に原料粉体を導入する前に強力な解砕処理を実施し、凝集粒子を十分解砕・分散させた直後に連続的に火炎中に導入することで、粗粒がなく、平均粒子径1μm未満の球状無機酸化物粉体が安定的に得られることを見出した。また、比較的不純物が少ない無機酸化物粉体を原料とすることで、金属不純物が極めて少ない平均粒子径1μm未満の球状無機酸化物粉体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、以下の各発明からなる。
(1)レーザー回折/散乱法の粒度測定で、最大粒子径が7μm以下、かつ平均粒子径が0.2〜0.9μmの範囲であり、含有する金属成分の濃度が0.05質量%未満であることを特徴とする球状無機酸化物粉体。
(2)最大粒子径と平均粒子径の比が1.5〜29の範囲内であることを特徴とする上記(1)に記載の球状無機酸化物粉体。
(3)含有する金属成分が、金属アルミニウム成分である上記(1)または(2)に記載の球状無機酸化物粉体。
(4)含有するFe23成分の濃度が0.10質量%未満であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の球状無機酸化物粉体。
(5)含有するSiO2成分の濃度が0.07質量%未満であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の球状無機酸化物粉体。
(6)αアルミナ結晶相分率が、1〜98質量%の範囲にあることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の球状無機酸化物粉体。
(7)粉体の熱伝導度が、単結晶時において30W/m・K以上である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の球状無機酸化物粉体。
【0013】
(8)原料粉体をキャリアガスによって高温火炎中に供給し、該火炎中で球状化させることにより球状酸化物粉体を製造する方法において、原料粉体を解砕・分散機能を有する装置を経由させて、キャリアガス中に分散させた直後に、連続的に該火炎中に導入し、得られる球状微粒粉体を捕集することを特徴とする球状無機酸化物粉体の製造方法。
(9)該解砕・分散機能を有する装置が、高速気流粉砕装置であることを特徴とする上記(8)に記載の球状無機酸化物粉体の製造方法。
(10)該解砕・分散機能を有する装置が、含塵ガス中の粉体粒子同士が衝突する方式の装置であることを特徴とする上記(8)または(9)に記載の球状無機酸化物粉体の製造方法。
(11)原料粉体のスラリーを高温火炎中に噴霧し、該火炎中で球状化させることにより球状酸化物粉体を製造する方法において、原料粉体スラリーを解砕・分散機能を有する装置を経由させて、溶媒中に分散させた直後に、連続的に該火炎中に噴霧し、得られる球状微粒粉体を捕集することを特徴とする球状無機酸化物粉体の製造方法。
(12)該解砕・分散機能を有する装置が、高圧湿式ジェットミル型粉砕装置であることを特徴とする上記(11)に記載の球状無機酸化物粉体の製造方法。
【0014】
(13)上記(8)〜(12)のいずれかに記載の製造方法により製造されたものである上記(1)〜(7)のいずれかに記載の球状無機酸化物粉体。
(14)原料粉体として酸化アルミニウムを用いて製造されたものであることを特徴とする上記(13)に記載の球状無機酸化物粉体。
【0015】
(15)上記(1)〜(7)、(13)および(14)のいずれかに記載の球状無機酸化物粉体を含有してなることを特徴とする樹脂組成物。
(16)該球状無機酸化物粉体と、さらに、該球状無機酸化物粉体よりも平均粒子径が大きい、球状および/または非球状の金属酸化物粉体とを含有してなることを特徴とする上記(15)に記載の樹脂組成物。
(17)上記(1)〜(7)、(13)および(14)のいずれかに記載の球状無機酸化物粉体が1〜30質量%充填されてなることを特徴とする上記(15)または(16)に記載の樹脂組成物。
【0016】
(18)上記(15)〜(17)のいずれかに記載の樹脂組成物からなり、絶縁接着層を兼ねることができるプリプレグシート状であることを特徴とする放熱材料。
(19)上記(15)〜(17)のいずれかに記載の樹脂組成物からなり、発熱体と、伝熱を目的とした金属製筐体との間に、ペースト状またはゲル状またはグリース状で塗工された不定形材料であることを特徴とする電子部品用の放熱材料。
(20)上記(15)〜(17)のいずれかに記載の樹脂組成物からなり、発熱体と、伝熱を目的とした金属性筐体との間に介在して、該発熱体と該金属性筐体とを接合する接着剤の機能を有し、且つ、伝熱性を有することを特徴とする電子部品用の放熱材料。
(21)上記(15)〜(17)のいずれかに記載の樹脂組成物からなり、筐体内部に設置された、伝熱によって放熱する機能を有する樹脂シートであることを特徴とする放熱材料。
(22)上記(15)〜(17)のいずれかに記載の樹脂組成物からなり、発熱性素子を封止する封止用材料であることを特徴とする放熱材料。
(23)上記(15)〜(17)のいずれかに記載の樹脂組成物からなり、発熱性を有する半導体素子の表層部に塗布されるポッティング剤型、および/または下部に塗布されるアンダーフィル剤型の封止用材料であることを特徴とする放熱材料。
(24)上記(15)〜(17)のいずれかに記載の樹脂組成物からなり、半導体素子のパッケージケース内部に充填して用いる封止用材料であることを特徴とする放熱材料。
【0017】
(25)上記(18)に記載の放熱材料が、絶縁接着層を兼ねたプリプレグシートとして取り付けられている金属ベース回路基板、またはメタルコア型回路基板、またはフレキシブル回路基板、または、これらの中から選ばれた回路基板を有する構造体。
(26)上記(18)〜(21)のいずれかに記載の放熱材料を用いて、発熱性電子部品と金属製の筐体および/または放熱装置とが接合されてなる放熱装置一体型電子部品の構造体。
(27)上記(18)〜(24)のいずれかに記載の放熱材料が用いられている、自動車搭載電子機器用および/または照明機器用の電子回路、または、該電子回路を有する構造体。
(28)上記(18)〜(24)のいずれかに記載の放熱材料が用いられている、民生用電子機器用の電子回路、または、該電子回路を有する構造体。
(29)上記(18)〜(24)のいずれかに記載の放熱材料が用いられている、公共信号照明機の機材用の電子回路、または、該電子回路を有する構造体。
【発明の効果】
【0018】
本発明の球状無機酸化物粉体は、平均粒子径が0.2〜0.9μmと小さいことから、1μm以上の大粒子と混合使用することにより、最密充填化が促進され、優れた充填性と流動性が発揮され、樹脂組成物中への高充填が可能になる。さらに、本発明の球状無機酸化物粉体は金属不純物濃度が極めて低いことから、この粉体を用いることで、優れた電気絶縁性を示す樹脂組成物を得ることができる。
【0019】
本発明の球状無機酸化物粉体を充填した樹脂組成物は、公知の方法により、放熱特性および絶縁性に優れた自動車搭載電子機器用および/または照明機器用の電子回路、および民生用電子機器搭載用の電子回路内部の放熱材料として使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の球状無機酸化物粉体は、レーザー回折/散乱法の粒度測定で、最大粒子径が7μm以下、好ましくは6μm以下であり、かつ平均粒子径が0.2〜0.9μmの範囲であり、含有する金属成分の濃度が0.05質量%未満であることを特徴としている。
最大粒子径と平均粒子径の比は、好ましくは、1.5〜29、より好ましくは1.5〜17、さらに好ましくは1.5〜12の範囲内である。
【0021】
本発明の球状無機酸化物粉体は、本発明の球状無機酸化物粉体よりも平均粒子径が大きい、球状および/または非球状の少なくとも1種類以上の無機酸化物粉体と混合する時において、無機酸化物粉体全体を100質量%とした時、本発明の球状無機酸化物粉体を1〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%、更に好ましくは5〜15質量%混合して、多峰性とすることで、粗大粒子の空隙に微粒子がより多く滑り込み、最密充填が促進されると考えられる。
【0022】
原料粉体とする無機酸化物粉体の例としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、マグネシア、窒化ホウ素、ベリリア、炭化ホウ素、炭化チタン、ダイヤモンドなどが挙げられる。好ましくは、熱伝導性(熱伝導率)および絶縁性(体積固有抵抗値)を両立する無機酸化物粉体を使用する。これらの中でも、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、マグネシア、窒化ホウ素、ベリリアなどが好ましい。
特に好ましくは、単結晶の場合における熱伝導率の理論値が30W/m・K以上で、体積固有抵抗値1×1014Ω・cm以上である無機酸化物粉体を使用する。
【0023】
なお、目標とする熱伝導性に対して、耐湿性や化学的安定性、使用安全性などの全体を考慮した場合、本発明の無機酸化物粉体としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムが特に好ましいが、経済性も重視する場合には酸化アルミニウムが最も好ましい。無機酸化物粉体は、単体でも混合体でも使用が可能である。
【0024】
原料粉体である酸化アルミニウム粉体としては、バイヤー法水酸化アルミニウムを焼結、または電融して得られる酸化アルミニウム粉体を原料として火炎熔融法の球状化工程を経由した球状酸化アルミニウム粉体、バイヤー法水酸化アルミニウムから製造された低ソーダ微粒酸化アルミニウム粉体、アンモニア明礬熱分解法やアルミニウムアルコキシド加水分解法、アルミニウム水中放電法、または他の方法により製造された高純度微粒酸化アルミニウム粉体が好ましいが、特にこれらには限定されず、要求される純度に応じて選定すれば良い。
なお、絶縁信頼性の面から、金属性不純物が比較的少ない高純度の酸化アルミニウムを使用することが望ましい。
【0025】
原料である窒化アルミニウム粉体としては、直接窒化法や還元窒化法などの方法により製造された窒化アルミニウム粉体が好ましいが、特にこれらには限定されない。
上記酸化アルミニウムおよび窒化アルミニウムは、単体でも混合体でも使用可能である。さらに、様々な製造方法で得られた酸化アルミニウムおよび窒化アルミニウムを複数組み合わせて使用することも可能である。
【0026】
本発明の無機酸化物粉体の粒度分布は公知の粒度分布測定装置で求めることができる。ただし、本発明では、レーザー回折/散乱方式の粒度測定装置による測定値に基づく。粒度分布測定装置としては、例えばマイクロトラックHRA(日機装社製)やSALD−2000J(島津製作所製)を用いることができる。なお、水の屈折率は1.33を用い、例えば、無機酸化物粉体が酸化アルミニウム粉体である場合には屈折率は1.77〜1.8の範囲の値を用いる。
【0027】
本発明でいう「最大粒子径」とは、無機酸化物粉体の累積粒度分布において累積値100%粒子径のことである。「平均粒子径」とはメジアン径のことであり、無機酸化物粉体の累積粒度分布における累積値50%粒子径を指す。
【0028】
本発明の球状無機酸化物粉体は、比較的、金属性不純物濃度が低い無機酸化物粉体を原料として製造するため、含有する金属成分、特に金属アルミニウム成分の濃度が0.05質量%未満となる。金属アルミニウム成分の濃度は、好ましくは0〜0.03質量%未満、より好ましくは0〜0.01質量%未満である。
【0029】
粉体中に金属アルミニウム成分などの金属成分が多く含まれる無機酸化物粉体を、例えば、絶縁層の放熱フィラーとして使用した場合、高い電圧が加わった際に回路銅箔と基板の間での電流短絡(絶縁破壊)が生じる可能性が高くなり、回路または装置を破壊する危険性が大きくなる。本発明の球状無機酸化物粉体には、このような問題点はない。
【0030】
本発明の球状無機酸化物粉体中に含有する金属アルミニウム成分などの金属成分の濃度測定方法は特に限定されず公知の無機分析法にて測定できるが、無機酸化物粉体を塩酸による酸加熱抽出処理した後、ろ液中に含まれる塩酸可溶成分をICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析装置にて測定する方法が好ましい。分析装置としては、例えばICPS−7500(島津製作所製)を用いることができる。
【0031】
本発明の球状無機酸化物粉体中に含有されるFe23成分の濃度は、通常0.10質量%未満、好ましくは0.005〜0.06質量%、より好ましくは0.005〜0.03質量%の範囲である。粉体中に存在するFe23成分の含有濃度が高いほど、前述の金属アルミニウムと同様に回路銅箔と基板の間での電流短絡が生じる可能性が高くなることから、回路基板の絶縁信頼性を確保するためにはできるだけ低濃度であることが望ましい。
【0032】
本発明の球状無機酸化物粉体中に含有されるSiO2成分の濃度は、通常0.07質量%未満、好ましくは0.005〜0.05質量%、より好ましくは0.005〜0.04質量%の範囲である。SiO2成分は酸化アルミニウムに比べて熱伝導率が低い物質であり、粉体中に不純物として存在する場合には含有濃度が高いほど、得られる球状無機酸化物粉体の熱伝導率の低下が予想されることから、低濃度であることが望ましい。
【0033】
本発明の球状無機酸化物粉体中に含有するFe23成分、およびSiO2成分の濃度測定方法は特に限定されず公知の無機分析法にて測定できる。特に、無機酸化物粉体試料に燐酸を加えた後、マイクロウェーブ酸分解装置で分解処理した溶液中に含まれる成分をICP発光分光分析装置にて測定する方法が好ましい。分析装置としては、金属アルミニウム成分と同様に、例えばICPS−7500(島津製作所製)を用いることができる
【0034】
本発明の球状無機酸化物粉体は、X線回折分析によって測定されるαアルミナ結晶相分率が、通常1〜98質量%、より好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは1〜25質量%の範囲にあることが好ましい。
【0035】
本発明の球状無機酸化物粉体におけるαアルミナ結晶相分率の測定方法は特に限定されず、公知の粉末X線回折装置で測定することができる。CuKα線によりスリット0.3mm、スキャンスピード1度/分、スキャン範囲2θ=65〜70度の条件でX線回折分析を実施し、得られた2θ=68.2度のピーク(αアルミナ)高さをA、2θ=67.3度のピーク(中間アルミナ)高さをB、バックグラウンドとして2θ=69.5度のベースラインの値をCとして、
αアルミナ結晶相分率=
(A−C)/((A−C)+(B−C))×100
で求めることができる。
【0036】
次に、球状無機酸化物粉体の製造方法について説明する。
本発明の球状無機酸化物粉体は、無機酸化物粉体を原料粉体とした火炎溶融法を基本技術とし、原料粒度の調整および得られた粉末の分級・混合操作によって製造する。また、このような乾式法の他に、原料粉体のスラリーを用いる湿式法によっても製造することができる。
【0037】
原料粉体をキャリアガスによって高温火炎中に供給し、該火炎中で球状化させることにより球状酸化物粉体を製造する乾式法においては、原料粉体を強力な解砕・分散機能を有する装置を経由させて、十分にキャリアガス中に分散させた直後に、連続的に該火炎中に導入し、得られる球状微粒粉体を捕集する。
【0038】
原料粉体のスラリーを高温火炎中に噴霧し、該火炎中で球状化させることにより球状酸化物粉体を製造する湿式法においては、原料粉体スラリーを強力な解砕・分散機能を有する装置を経由させて、十分に溶媒中に分散させた直後に、連続的に該火炎中に噴霧し、得られる球状微粒粉体を捕集する。
【0039】
本発明の製造方法によれば、可燃ガスおよび/または助燃ガスの一部または全部を用いて原料粉末の一部または全部を噴射することができるので、より効率的かつ経済的に球状無機酸化物粉体を製造することができる。
【0040】
高温火炎を形成するには、高温火炎が形成できる可燃ガスと助燃ガスとの組み合わせであれば格別限定されることなく用いることができる。具体例としては、水素、天然ガス、アセチレンガス、メタンガス、エタンガス、プロパンガス、プロピレンガス、ブタンガスなどのいずれか、あるいはそれらの混合気体である可燃ガスと、空気、酸素などの助燃ガスとをバーナーから噴射させることによって行うことができる。
【0041】
火炎温度は、原料とする無機酸化物粉体の融点以上の温度になるように、可燃ガスと助燃ガスの種類と、流量比率を調整する。例えば、球状酸化アルミニウム粉体を得るために、火炎温度は約2000℃以上に高めることが好ましい。
バーナーは粉体が火炎中に導入できる構造の、いわゆる同軸多重管構造の単孔火炎式バーナーノズル、または多孔火炎式バーナーノズルのいずれでも構わない。
【0042】
本発明で使用される原料の無機酸化物粉体の供給方式は、乾式法、湿式法のいずれでも構わないが、供給方式が乾式法である場合には、原料の溶射に際して、その分散性を高めるため、供給管部をキャリアガスによるエゼクタ効果と高速気流によるせん断力による分散を利用した同軸多重管ノズル方式を採ることが好ましい。
【0043】
湿式法の場合には、原料とする無機酸化物粉体に含まれる2μm以下の微粉の合着を防ぐため、火炎中にスラリーを噴霧する方式が採られる。その噴霧方法は、スプレードライヤーなどで用いられているような噴霧ノズルを利用できるが、好ましくは微細な液滴径を形成できる二流体ノズルである。
ただし、湿式スラリー噴霧法は水分蒸発に熱エネルギーを消費する分、燃料原単位が悪化することから、経済的に有利な乾式法の供給方法を採用することが好ましい。
【0044】
本発明の球状無機酸化物粉体を得るために用いる原料無機酸化物粉体としては、非常に微小な粉体を用いるため、従来以上に凝集粒子を形成し易い。そのため、従来技術の乾式法、または湿式スラリー噴霧法のままでは、この凝集粒子を十分に解砕・分散することが難しく、目的とする粒子径の球状微粒子を得ることはできない。
【0045】
これに対し、本発明の球状無機酸化物粉体を製造する方法においては、原料粉体、またはそのスラリーを火炎中に導入する前に、解砕・分散機能を有する装置を経由させ、凝集粒子を十分に解砕・分散させた直後に、または、十分に溶媒中に分散させた直後に、連続的に火炎中に導入または噴霧する。この方法を採用することで、凝集粒子のまま火炎中に導入され溶融粗大化していた球状粒子は無くなり、原料粉体の平均粒子径に近い、微小でシャープな粒度分布の球状粒子を得ることができる。
【0046】
上記の解砕・分散機能を有する装置は、乾式法の場合には、高速気流粉砕装置、すなわち、高速気流内で旋回させ粉体を衝突粉砕する装置、いわゆるジェットミルに類似する装置、または、含塵ガス中の粉体粒子同士が衝突する方式の装置、すなわち、含塵ガス同士を対向流で衝突させることで、粉体同士を衝突粉砕する装置などが挙げられるが、凝集粒子の解砕・分散と火炎中への導入が連続的に実施できる方法ならば、装置の方式は特にこれらに限定されない。
【0047】
上記の強力な解砕・分散機能を有する装置は、湿式法の場合には、スラリーを衝突させ粉砕する高圧湿式ジェットミル型粉砕装置、スラリー送液管内に強力な超音波を照射できる超音波分散装置などが挙げられる。これらも分散処理と火炎中への導入が連続的に実施できるならば、装置の方式は特にこれらに限定されないが、高圧湿式ジェットミル型粉砕装置が好ましい。
【0048】
乾式法において、火炎中に導入された原料無機酸化物粉体は、高温の熱処理を受けて溶融し、その表面張力で球状化する。湿式法においては、原料粉体スラリーは、高温の熱処理をうけて、水分が蒸発し、さらに、溶融し、球状化する。
【0049】
生成した球状無機酸化物粉体は、排ガスと共にブロワーなどで吸引され、乾式捕集方式ならばサイクロンやバグフィルターなどの捕集装置で分級・捕集され、湿式捕集方式ならば、シャワーリングなどによって捕集水槽に捕集される。
【0050】
球状無機酸化物粉体の用途と要求される純度に合わせて、サイクロン品および/またはバグフイルター品、または捕集水槽品を適宜混合することで、本発明の球状無機酸化物粉体を得ることができる。
【0051】
本発明の球状無機酸化物粉体は、樹脂中に充填した樹脂組成物として用いることができる。特に、該球状無機酸化物粉体と、さらに、該球状無機酸化物粉体よりも平均粒子径が大きい、球状および/または非球状の無機酸化物粉体とを含有してなる樹脂組成物では、優れた充填性と流動性が発揮され、高い最密充填効果が達成できるので好ましい。無機酸化物粉体を含有する樹脂組成物中の、本発明の球状無機酸化物粉体の充填量は、格別限定されないが、無機酸化物粉体全体を100質量%としたとき、通常、1〜30質量%の範囲で選択される。
なお、樹脂組成物中の無機酸化物粉体(「無機酸化物粉体全体」を指す)の充填量は、通常、50〜90質量%の範囲で選択される。
【0052】
球状無機酸化物粉体を充填してなる樹脂組成物のマトリックスとして用いられる樹脂ないし有機重合体は、格別限定されることはなく、公知のものを用いることができる。その具体例としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフイン、メラミン樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステルなどのポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、アラミドなどのポリアミド、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ビニルアセタール樹脂、ポリアセテート、ABS樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロースおよびレーヨンその他のセルロース誘導体、ポリウレタン、ポリカーボネート、尿素樹脂、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、セルロイド、キチン、澱粉シート、アクリル樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。これらの重合体ないし樹脂は、単独で、または複数種の混合物として用いることができる。
【0053】
本発明の球状無機酸化物粉体を充填した樹脂組成物は、公知の方法により、放熱特性および絶縁性に優れた自動車搭載電子機器用および/または照明機器用の電子回路、および民生用電子機器搭載用の電子回路内部の放熱・絶縁材料として使用することが可能となる。
【0054】
本発明の球状無機酸化物粉体を充填した樹脂組成物は、絶縁接着層などを兼ねたプリプレグシート状の放熱材料であってもよい。プリプレグシート状の放熱材料は、金属ベース回路基板、メタルコア型回路基板、もしくはフレキシブル回路基板、または、これらの回路基板を有する構造体とすることが可能である。これらの回路基板および構造体は、優れた熱伝導性と絶縁性、耐電圧特性を発揮する。(例えば、電子技術1985年12月臨時増刊号P.39〜50、サーキットテクノロジP.96-103、Vol.5、No.2(1990))
【0055】
さらに、公知の方法を採用して、本発明の球状無機酸化物粉体を含有する樹脂組成物をグリース状、ペースト状、またはゲル状にし、半導体素子やLED素子などのような発熱性素子部を有する電子部品のポッティング材、アンダーフィル材、パッケージ充填封止材とすることができる。
【0056】
すなわち、本発明の球状無機酸化物粉体を含有する樹脂組成物は、電子部品において、発熱体と、伝熱を目的とした金属製筐体との間に、ペースト状またはゲル状またはグリース状で塗工された不定形放熱材料として用いることができる。発熱体と、伝熱を目的とした金属性筐体との間に介在することによって、該発熱体と該金属性筐体とを接合する接着剤の機能を有するとともに、高い伝熱性によって放熱機能を発揮する。
【0057】
本発明の球状無機酸化物粉体を含有する樹脂組成物を放熱材料として用いる場合、筐体内部に設置された、伝熱によって放熱する機能を有する樹脂シートの形態とすることもできる。
本発明の球状無機酸化物粉体を含有する樹脂組成物は、放熱材料であるとともに、発熱性素子を封止する封止用材料として用いることができる。具体的には、発熱性を有する半導体素子の表層部に塗布されるポッティング剤型および/または下部に塗布されるアンダーフィル剤型の封止用材料として、または、半導体素子のパッケージケース内部に充填して用いる封止用材料として利用できる。
【0058】
本発明の球状無機酸化物粉体を含有する樹脂組成物からなる放熱材料は、例えば、自動車搭載型の室内照明用LED回路、メーター照明用LED回路およびそれらの構造体、その他パーソナルコンピュータ、DVDなどの電子機器、TVなどの民生用電子機器、PDA、携帯電話などの移動型電子機器、屋外設置用途の大型フルカラーディスプレイ機材、信号照明機器、家庭照明機器、光通信機器、医療・計測機器用途に用いられるLED回路およびそれらの構造体などに使用することができる。これらの回路および構造体は、熱伝導性、絶縁性の面で優れた性能を発揮することが期待される。
【0059】
本発明の球状無機酸化物粉体を含有する樹脂組成物からなる放熱材料が利用される代表的な部品および構造体を挙げると以下のとおりである。
(イ)上記放熱材料が、絶縁接着層を兼ねたプリプレグシートとして取り付けられている金属ベース回路基板、またはメタルコア型回路基板、またはフレキシブル回路基板、または、これらの中から選ばれた回路基板を有する構造体。
(ロ)上記放熱材料を用いて、発熱性電子部品と金属製の筐体および/または放熱装置とが接合されてなる放熱装置一体型電子部品の構造体。
(ハ)上記放熱材料が用いられている、自動車搭載電子機器用および/または照明機器用の電子回路、または、該電子回路を有する構造体。
(ニ)上記放熱材料が用いられている、民生用電子機器用の電子回路、または、該電子回路を有する構造体。
(ホ)上記放熱材料が用いられている、公共信号照明機の機材用の電子回路、または、該電子回路を有する構造体。
【実施例】
【0060】
以下、実施例、比較例によって本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0061】
(実施例1)
燃焼装置内で、可燃ガスとしてLPGを81m/s、助燃ガスとして一次酸素ガスを1139m/s、二次酸素ガスを16m/sの条件で高温火炎を形成し、乾式の原料供給方式において、火炎中に導入する前に設けた含塵ガス同士を衝突させる解砕・分散装置を経由させ、キャリアガス中に十分に解砕・分散させた直後に、キャリアガスの気流せん断力による分散を追加実施しながら、連続的に原料を火炎中に導入する方法によって、平均粒子径0.4μmの微粒低ソーダ酸化アルミニウムを球状化した。
得られた球状酸化アルミニウム粉体は表1に示した結果の通り、平均粒子径は0.6μm、最大粒子径は3.1μmであり、最大粒子径/平均粒子径の比が4.8である平均粒子径1μm未満の微粒球状酸化アルミニウム粉体が得られた。この粉体の金属Al濃度は0.010重量%未満、Fe23濃度は0.013重量%、SiO2濃度は0.021重量%であり、金属および金属酸化物などの不純物濃度が低い微粒の球状酸化アルミニウム粉体であった。
【0062】
(実施例2)
燃焼装置内で、可燃ガスとしてLPGを71m/s、助燃ガスとして一次酸素ガスを928m/s、二次酸素ガスを16m/sの条件で高温火炎を形成し、乾式の原料供給方式において、火炎中に導入する前に設けた含塵ガス同士を衝突させる解砕・分散装置を経由させ、キャリアガス中に十分に解砕・分散させた直後に、キャリアガスの気流せん断力による分散を追加実施しながら、連続的に原料を火炎中に導入する方法によって、平均粒子径0.7μmの微粒低ソーダ酸化アルミニウムを球状化した。
得られた球状酸化アルミニウム粉体は表1に示した結果の通り、平均粒子径は0.9μm、最大粒子径は4.6μmであり、最大粒子径/平均粒子径の比が4.9である平均粒子径1μm未満の微粒球状酸化アルミニウム粉体が得られた。この粉体の金属Al濃度、Fe23濃度、SiO2濃度は、原料が同など純度の酸化アルミニウム粉体であったことからサンプルAと同などに低い濃度であった。
【0063】
(実施例3)
燃焼装置内で、可燃ガスとしてLPGを61m/s、助燃ガスとして一次酸素ガスを717m/sに下げ、二次酸素ガスを16m/sの条件で高温火炎を形成し、乾式の原料供給方式において、火炎中に導入する前に設けた含塵ガス同士を衝突させる解砕・分散装置を経由させ、キャリアガス中に十分に解砕・分散させた直後に、キャリアガスの気流せん断力による分散を追加実施しながら、連続的に原料を火炎中に導入する方法によって、実施例1と同じ平均粒子径0.4μmの微粒低ソーダ酸化アルミニウムを球状化した。
得られた球状酸化アルミニウム粉体は表1に示した結果の通り、平均粒子径は0.6μm、最大粒子径は2.5μmであり、最大粒子径/平均粒子径の比が4.0である平均粒子径1μm未満の微粒球状酸化アルミニウム粉体が得られた。この粉体の金属Al濃度、Fe23濃度、SiO2濃度は、原料が実施例1、2と同等純度の酸化アルミニウム粉体であったことからサンプルA、Bと同様に低い濃度であった。
【0064】
(実施例4)
燃焼装置内で、可燃ガスとしてLPGを61m/s、助燃ガスとして一次酸素ガスを717m/s、二次酸素ガスを16m/sの条件で高温火炎を形成し、乾式の原料供給方式において、火炎中に導入する前に設けた含塵ガス同士を衝突させる解砕・分散装置を経由させ、キャリアガス中に十分に解砕・分散させた直後に、実施例1〜3の時の約1/3のキャリアガス流速で気流せん断分散を追加実施しながら、連続的に原料を火炎中に導入する方法によって、平均粒子径0.7μmの微粒低ソーダ酸化アルミニウムを球状化した。
得られた球状酸化アルミニウム粉体は表1に示した結果の通り、平均粒子径は0.9μm、最大粒子径は6.9μmであり、最大粒子径/平均粒子径の比が7.3である平均粒子径1μm未満平均粒子径の微粒球状酸化アルミニウム粉体が得られた。この粉体の金属Al濃度、Fe23濃度、SiO2濃度は、原料が実施例1〜3と同等純度の酸化アルミニウム粉体であったことからサンプルA〜Cと同様に低い濃度であった。
【0065】
(比較例1)
燃焼装置内で、可燃ガスとしてLPGを71m/s、助燃ガスとして一次酸素ガスを928m/s、二次酸素ガスを16m/sの条件で高温火炎を形成し、乾式の原料供給方式において、火炎導入する前に設けた解砕・分散装置を経由させずに、キャリアガスの酸素ガスの気流せん断力による分散のみを実施する従来の原料導入法で、平均粒子径0.7μmの微粒低ソーダ酸化アルミニウムを球状化した。
得られた球状酸化アルミニウム粉体は表1に示した結果の通り、平均粒子径は1.8μm、最大粒子径は15μmであり、平均粒子径1μm未満の球状酸化アルミニウム粉体は得られなかった。なお、この粉体の金属Al濃度、Fe23濃度、SiO2濃度は、原料が実施例1〜4と同等純度の酸化アルミニウム粉体であったことから、サンプルA〜Dと同様に低い濃度であった。
【0066】
(比較例2)
燃焼装置内で、可燃ガスとしてLPGを61m/s、助燃ガスとして一次酸素ガスを717m/s、二次酸素ガスを16m/sの条件で高温火炎を形成し、乾式の原料供給方式において、火炎導入する前に設けた解砕・分散装置を経由させずに、キャリアガスの酸素ガスの気流せん断力による分散のみを実施する従来の原料導入法で、比較例1の時の約1/3のキャリアガス流速で気流せん断分散を追加実施し、気流せん断力を小さくしながら、連続的に原料を火炎中に導入する方法によって、平均粒子径0.7μmの微粒低ソーダ酸化アルミニウムを球状化した。
得られた球状酸化アルミニウム粉体は表1に示した結果の通り、平均粒子径は1.3μm、最大粒子径は42μmであり、平均粒子径1μm未満の球状酸化アルミニウム粉体にはならなかった。なお、この粉体の金属Al濃度、Fe23濃度、SiO2濃度は、原料が同等純度の酸化アルミニウム粉体であったことから、サンプルEと同等に低い濃度であった。
【0067】
(比較例3)
燃焼装置内で、可燃ガスとしてLPGを61m/s、助燃ガスとして一次酸素ガスを717m/s、二次酸素ガスを16m/sの条件で高温火炎を形成し、乾式の原料供給方式において、火炎導入する前に設けた解砕・分散装置を経由させずに、且つ、キャリアガスの酸素ガスの気流せん断力による分散のみを実施する従来の原料導入法で、比較例1の時の約1/3のキャリアガス流速で気流せん断分散を追加実施し、気流せん断力を小さくしながら、平均粒子径0.4μmの微粒低ソーダ酸化アルミニウムを球状化した。
得られた球状酸化アルミニウム粉体は表1に示した結果の通り、平均粒子径は1.3μm、最大粒子径は42μmであり、平均粒子径1μm未満の球状酸化アルミニウム粉体にはならなかった。なお、この粉体の金属Al濃度、Fe23濃度、SiO2濃度は、原料が同等純度の酸化アルミニウム粉体であったことから、サンプルE、Fと同等に低い濃度であった。
【0068】
(参考例1)
金属原料の火炎溶融法による球状無機酸化物粉体の例として、表1に記載の市販されているサブミクロン球状酸化アルミニウム(サンプルHと称する)の物性を分析したところ、平均粒子径は0.6μmの微粒球状酸化アルミニウムであったが、最大粒子径は8μmでサンプルA,Bよりも大きく、粗大粒子が残存していた。金属Al濃度、Fe23濃度、SiO2濃度はいずれもサンプルA,Bよりも高濃度であった。
【0069】
【表1】


【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の球状無機酸化物粉体を充填した樹脂組成物は、放熱特性および絶縁性に優れた自動車搭載電子機器用および/または照明機器用の電子回路、および民生用電子機器搭載用の電子回路内部の放熱材料として使用できる。
【出願人】 【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
【出願日】 平成19年10月18日(2007.10.18)
【代理人】 【識別番号】100070792
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 幸男


【公開番号】 特開2008−120673(P2008−120673A)
【公開日】 平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願番号】 特願2007−271028(P2007−271028)