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【発明の名称】 使用済みマグネシア質、スピネル質およびアルミナ質耐火物のリサイクル方法
【発明者】 【氏名】戴 文斌

【氏名】山口 明良

【氏名】隠明寺 準治

【氏名】溝田 恭夫

【氏名】林 ▲ウェイ▼

【要約】 【課題】製鉄溶炉などの工業窯炉で使用された耐火物の廃棄による環境汚染、地球の鉱物資源の有効利用に考慮した使用済み酸化物系耐火物の再資源化技術を提供する。

【解決手段】マグネシア、アルミナおよび炭素の成分を含む原料からマグアロンを合成する方法において、原料の一部または全部に使用済みのマグネシア質、マグネシア・スピネル質およびアルミナ質耐火物を活用する。また、化学成分としてマグネシアが1〜30質量%、アルミナが50〜95質量%、炭素が0.5〜30質量%になるように上記の各原料を調合し、調合した混合物を窒素ガス雰囲気において1400℃〜1800℃で加熱することによりマグアロンを合成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシア、アルミナおよび炭素の成分を含む原料からマグアロンを合成する方法において、原料の一部または全部に使用済みのマグネシア質、マグネシア−スピネル質およびアルミナ質耐火物を活用することを特徴とする使用済みのマグネシア質、スピネル質およびアルミナ質耐火物のリサイクル方法。
【請求項2】
化学成分としてマグネシアが1〜30質量%、アルミナが50〜95質量%、炭素が0.5〜30質量%になるように各原料を調合し、調合した混合物を窒素ガス雰囲気において1400℃〜1800℃で加熱することによりマグアロンを合成することを特徴とする請求項1に記載された使用済みのマグネシア質、スピネル質およびアルミナ質耐火物のリサイクル方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済み酸化物系耐火物の再資源化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄溶炉などの工業窯炉で使用された耐火物の多くは、廃棄物として処理されている。環境汚染の原因になるだけではなく、地球の鉱物資源を有効に利用する面においても問題がある。最近、種々の耐火物の再利用方法が開発され、提案されている。例えば、特開2002−69518、特開2003−286523、特開2003−212667、特開2004−155611や特開2005−58835で開示されているように、使用済みの耐火物を金属製錬用の精錬剤として活用する方法や、耐火物原料として再利用する方法が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、使用済みのマグネシア質、スピネル質およびアルミナ質耐火物を効率よくリサイクルすることを目的として、付加価値が高いマグアロンを合成する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、マグネシア、アルミナおよび炭素の成分を含む原料からマグアロンを合成する方法において、原料の一部または全部に使用済みのマグネシア質、マグネシア・スピネル質およびアルミナ質耐火物を活用することを特徴とする。
【0005】
また、化学成分としてマグネシアが1〜30質量%、アルミナが50〜95質量%、炭素が0.5〜30質量%になるように上記の各原料を調合し、調合した混合物を窒素ガス雰囲気において1400℃〜1800℃で加熱することによりマグアロンを合成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
使用済みのマグネシア質、マグネシア・スピネル質およびアルミナ質耐火物をマグアロンの合成に活用することを特徴とする本発明は、産業廃棄物を高付加価値のマグアロンの合成に有効に活用するものであり、その工業的価値は大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【007】
本発明で課題解決を行う使用済み耐火物の範囲は、マグネシア質、マグネシア・スピネル(MgO・Al)質、スピネル質、アルミナ・スピネル質やアルミナ質などの定形耐火物および不定形耐火物である。
【008】
対象となる耐火物は、炭素(黒鉛、カーボンブラックなど)を含有しているものでも良い。
【009】
粒度が10mm以下、望ましくは3mm以下になるように上記の使用済みの耐火物を破砕し、マグアロン合成の出発原料として活用する。粒度が10mmを超えると、加熱によるマグアロンの合成速度が小さくなる。
【0010】
マグアロン合成の出発原料には、すべて使用済みの耐火物を使用することができ、また、出発原料の一部として使用することも可能である。後者の場合は、不足分の成分にマグネシア、アルミナおよび炭素を含む原料を追加する。追加される原料の粒度も10mm以下、望ましくは3mm以下である。
【0011】
各原料を化学成分としてマグネシアが2〜30質量%、アルミナが70〜95質量%、炭素が2〜40質量%の範囲になるように調合する。調合した混合物を加熱炉の中に設置し、窒素ガス雰囲気において1400℃〜1800℃で加熱すると、次の化学反応にしたがってマグアロンが合成される。
Al+MgO+C+N→MgAl+CO
Al+MgO・Al+C+N→MgAl+CO
【0012】
マグアロン合成において、混合物を粉体のままの状態で加熱しても良いし、あらかじめ粉体を加圧で成形した後、成形体を加熱することも可能である。
【0013】
調合した混合物中のマグネシアは1〜30質量%、アルミナは50〜95質量%、炭素は0.5〜30質量%の範囲から外れると、マグアロンの成分に応じる物質を合成することは困難である。また、加熱温度が1400℃未満であると、反応速度が遅く、合成の効率が良くない。1800℃を超えると、反応速度がさらに向上することはなく、エネルギーを過量に消費することになる。
【0014】
マグアロンの合成反応を加速させる目的で、調合の混合物には金属Alまたはその合金を添加することもできるが、金属Alおよびその合金は高価であり、且つ高温で揮発しやすいため、その添加量は10質量%以下であることが望ましい。
【0015】
また、調合した混合物においては、出発原料、特に使用済みの耐火物から由来する酸化鉄、酸化シリコン、酸化クロム、炭化物、フッ化物や塩化物などの不純物が混入するが、不純物の含有量は10質量%以下であることが望ましい。不純物が10質量%を超えると、マグアロンを合成できなくなる可能性があり、また合成ができても合成物の使用効果は良くない。
【0016】
合成したマグアロンを耐火物の耐酸化性や耐食性などの改善のため耐火物の添加剤として適用することができるし、マグアロンの粉体を加圧成形し、れんがとして適用することも可能である。
【0017】
【実施例1】
マグアロン合成の出発原料にすべて使用済みの耐火物を用いた。使用済みの耐火物は、炭素を16質量%含有しているマグネシア質、炭素を25質量%含有しているアルミナ質および炭素を含有していない高純度アルミナ質であった。使用済みの耐火物を1mm以下の粒度まで破砕し、所定の比例で調合した。調合した混合物の化学成分は、マグネシア:9.3、アルミナ:85.8、炭素:3.1、不純物:1.8質量%であった。混合物を流量が0.5L/分の窒素雰囲気において1650℃で10時間加熱した。合成物の鉱物相をX線解析装置にて分析した結果(図1)、後に示す比較例1と同様に合成物はマグアロンであることが確認された。また、原料のコストは、比較例1の場合に比べて、約40%低くなることが推算された。
【実施例2】
マグアロン合成の出発原料には、半分は使用済みの耐火物を使用し、残りは粒度が0.5mm以下のマグネシア原料、アルミナ原料と黒鉛原料を使用した。使用済みの耐火物は、炭素を10質量%含有しているマグネシア質、炭素を8質量%含有しているスピネル・アルミナ質(スピネル:57質量%)であった。使用済みの耐火物を1mm以下の粒度まで破砕し、所定の比例で調合した。調合した混合物の化学成分は、マグネシア:10.2、アルミナ:81.3 炭素:8.1、不純物:0.4質量%であった。混合物を50Mpaで加圧成形し、成形体を流量が0.5L/分の窒素雰囲気において1600℃で10時間加熱した。合成物の鉱物相を分析した結果、実施例1と同様に合成物はマグアロンであることが確認された。また、原料のコストは、出発原料として全部でマグネシア原料、アルミナ原料および黒鉛原料を用いた場合より、約28%低いと推算された。
【比較例1】
マグアロン合成の出発原料には、使用済みの耐火物を使用せず、全て高純度のマグネシア原料、アルミナ原料および黒鉛原料を用いた。粒度はいずれも0.5mm以下であった。調合した混合物の化学成分は、マグネシア:9.5、アルミナ:87.4、炭素:3.1であった(不純物は0.3質量%以下)。混合物を流量が0.5L/分の窒素雰囲気において1600℃で10時間加熱した。合成物の鉱物相を分析した結果、合成物はマグアロンであることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】 使用済み耐火物を用いた混合原料のX線回折装置による鉱物相及びマグアロン合成物の鉱物相解析
【符号の説明】
【0019】
【出願人】 【識別番号】591240722
【氏名又は名称】岡山セラミックス技術振興財団
【出願日】 平成18年11月2日(2006.11.2)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−115065(P2008−115065A)
【公開日】 平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願番号】 特願2006−326312(P2006−326312)