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【発明の名称】 フッ化物コート膜形成処理液およびフッ化物コート膜形成方法
【発明者】 【氏名】佐通 祐一

【氏名】小室 又洋

【氏名】森下 芳伊

【氏名】舟生 重昭

【氏名】片寄 光雄

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に膨潤されており、該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に均一に分散されたコロイド溶液を形成していることを特徴とするフッ化物含有溶液。
【請求項2】
コート膜処理対象物の表面に希土類フッ化物コート膜又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成する処理液において、該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に膨潤されており、該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に均一に分散されたコロイド溶液を形成していることを特徴とするフッ化物コート膜形成処理液。
【請求項3】
コート膜処理対象物の表面に希土類フッ化物コート膜又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成する処理液において、該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に膨潤されており、該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に均一に分散されたコロイド溶液を形成しており、該コロイド溶液の該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物濃度が1g/dm3に調整した際、該処理液の700nmの波長において光路長が1cmの透過率が50%以上であることを特徴とするフッ化物コート膜形成処理液。
【請求項4】
コート膜処理対象物の表面に希土類フッ化物コート膜又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成する処理液において、該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に膨潤されており、コロイド状態の該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に均一に分散されており、該コロイド状態の該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物溶液の濃度が200g/
dm3以上ではゲル化することを特徴とするフッ化物コート膜形成処理液。
【請求項5】
請求項1〜4において、前記コート膜処理対象物は磁性粉体、又は磁性体金属板ブロックであることを特徴とするフッ化物コート膜処理液。
【請求項6】
請求項1〜4において、アルコールはメチルアルコール,エチルアルコール、n−プロピルアルコール又はイソプロピルアルコールであることを特徴とするフッ化物コート膜形成処理液。
【請求項7】
請求項1〜4において、アルコールを主成分とした溶媒はメチルアルコール,エチルアルコール、n−プロピルアルコール又はイソプロピルアルコールの内少なくとも一成分以上が50wt%以上含有する溶媒であり、前記溶媒はアセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン等のケトンを50wt%以下含有する溶媒であることを特徴とするフッ化物コート膜形成処理液。
【請求項8】
請求項1〜4において、前記希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物はLa,
Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,
Mg,Ca,Sr,Baの内少なくとも一種類以上を含む希土類フッ化物コート膜又はアルカリ土類金属フッ化物であることを特徴とするフッ化物コート膜形成処理液。
【請求項9】
請求項1〜4において、前記希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物はアルコールを主成分とした溶媒に膨潤されており、かつアルコールを主成分とした溶媒中において濃度として0.1g/dm3〜300g/dm3 であることを特徴とするフッ化物コート膜形成処理液。
【請求項10】
コート膜処理対象物に希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成する方法において、前記コート膜対象物を該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に膨潤されており、該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に均一に分散されたコロイド溶液を形成していることを特徴とする処理液を用いたフッ化物コート膜の形成方法。
【請求項11】
コート膜処理対象物に希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成する方法において、前記コート膜対象物を該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に膨潤されており、該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に均一に分散されたコロイド溶液を形成しており、該コロイド状態の該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物濃度が1g/dm3 以上で該処理液の700nmの波長において光路長が1cmの透過率が50%以上であることを特徴とする処理液を用いたフッ化物コート膜の形成方法。
【請求項12】
請求項10及び11において、前記コート膜処理対象物は磁性粉体、又は磁性体金属板ブロックであることを特徴とするフッ化物コート膜の形成方法。
【請求項13】
請求項10及び11において、前記アルコールはメチルアルコール,エチルアルコール、n−プロピルアルコール又はイソプロピルアルコールであることを特徴とするフッ化物コート膜の形成方法。
【請求項14】
請求項10及び11において、前記アルコールを主成分とした溶媒はメチルアルコール,エチルアルコール、n−プロピルアルコール又はイソプロピルアルコールの内少なくとも一成分以上が50wt%以上含有する溶媒であり、前記溶媒はアセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン等のケトンを50wt%以下含有する溶媒であることを特徴とするフッ化物コート膜の形成方法。
【請求項15】
請求項10及び11において、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物はLa,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,
Mg,Ca,Sr,Baの内少なくとも一種類以上を含む金属フッ化物であることを特徴とするフッ化物コート膜の形成方法。
【請求項16】
請求項10及び11において、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物はアルコールを主成分とした溶媒に膨潤されており、かつアルコールを主成分とした溶媒中において濃度として0.1g/dm3〜300g/dm3 であることを特徴とするフッ化物コート膜の形成方法。
【請求項17】
請求項10及び11において、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成する処理液は平均粒径が500μmから0.1μm のコート膜処理対象物1kgに対して、10ml〜300mlの割合で配合することを特徴とするフッ化物コート膜の形成方法。
【請求項18】
請求項10及び11において、前記コート膜処理対象物である磁性体金属板、又は磁性体金属板ブロック表面に平均膜厚が100μmから0.001μm形成される希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成する処理液を塗布することを特徴とするフッ化物コート膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ化物コート膜形成処理液およびフッ化物コート膜形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
NdFeB系希土類焼結磁石は磁気特性が優れているため、自動車用モーターをはじめとする大型磁石から、スピンドルモーターを代表する薄型磁石に至る高性能磁石に使用されている。今後もNdFeB系希土類磁石は更に広い用途が期待されている。しかし、更なる磁石の高性能化も要求されている。自動車用モーターを代表とする高温雰囲気で使用され、信頼性を要求される磁石では耐熱性の向上、即ち、高温での磁気特性の劣化ないだけではなく、高保磁力化をも必要とされている。一方、薄型磁石では薄型に磁石を加工する際の表面変質層による磁気特性の低下が問題であり、磁石が薄ければ薄いほど磁気特性の劣化が顕著なものとなっている(特許文献1)。
【0003】
上記問題に対する対策として、磁石成形体の表面処理による加工変質層の磁気特性の改良と磁石の磁気特性向上を目的としている検討がなされている。
【0004】
一方、希土類磁石の磁気特性改善のため、磁石成形体の前段階の原料磁粉に対してフッ素化合物を用いた表面処理を施し、希土類磁石の磁気特性を改善する検討もなされている(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】WO2006/043348
【特許文献2】特開2006−66870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
NdFeB系希土類焼結磁石の磁気特性を改善するためにはDy及びTb化合物特に
Dy及びTbのフッ化物を用いた表面処理が有効であるとされている(特許文献1)。特許文献1に記載されている従来技術では、フッ素化合物が粒状の粒界相となっており、磁石の粒界あるいは粉末表面に沿って形成されておらず、表面処理剤による磁石の磁気特性向上を発現させるための、表面処理剤成分の磁石中への拡散は磁石と表面処理剤が点接触のため磁石成分の一部液層化が必要となる。また、Dy及びTb化合物は熱的に安定な化合物であるため、磁石の磁気特性向上には表面処理後の磁石について800℃以上の熱処理(吸収処理)が必要でかつ、熱処理時間も1時間以上を必要とする。そのため、NdFeB系希土類焼結磁石の磁気特性を改善するには、さらに、時効処理が必要であるため、熱処理を2回必要としている。また、吸収処理におけるDy及びTb化合物の磁石中への拡散は数mmが限界であるため、薄型の磁石でないと磁石特性の向上は難しい。
【0007】
一方、吸収処理を省略すること、または、薄型でない大型の磁石の磁気特性を向上することに対しては磁粉に対してDy及びTb化合物を施すことが有効と考えられるが、磁粉の平均粒径とDy及びTbのフッ化物の平均粒径が2桁以内になると磁粉に対するDy及びTbのフッ化物の体積分率に関して、Dy及びTbのフッ化物の添加量が無視できない量になる。Dy及びTbのフッ化物は非磁性体であるため、磁粉に対して表面処理を実施する際、Dy及びTbのフッ化物を大量に添加することは、処理された磁石の保磁力は向上しても、磁束密度の低下を招くため、磁気特性の改善に繋がらない。
【0008】
本発明者の検討の結果、焼結磁石のみならずボンド磁石等を含むNdFeB系希土類磁石の磁気特性を向上させるには、希土類又はアルカリ土類金属フッ化物、特にPr,Nd,Dy,Tb及びHoのフッ化物を含む層を連続的に適切な膜厚で原料磁粉表面又は薄型の磁石表面上に形成すれば効果的であることを明らかにした。
【0009】
本発明は、焼結磁石のみならずボンド磁石等を含むNdFeB系希土類磁石の磁気特性を向上させる希土類又はアルカリ土類金属フッ化物、特にPr,Nd,Dy,Tb及び
Hoのフッ化物コート膜形成処理液とそのフッ化物コート膜形成処理液の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの特徴は、フッ化物コート膜を形成する処理液において、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に膨潤され、コロイド状態の溶液となり、該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に分散されており、かつ該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物は粉体状でないため処理液の透明度が高くなり、該コロイド状態の該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物濃度が1g/dm3 以上で該処理液の700nmの波長における光路長が1cmの透過率が50%以上である点にある。この際、該コロイド状態の該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物濃度が2g/dm3 以上で、該条件における透過率が50%以上であるとより好ましい。
【0011】
本発明のフッ化物コート膜を形成する処理液は透明であること、即ち、処理液中にμm以上のサイズの粒子が殆ど存在しないことと、本発明の処理液は溶媒がアルコールであるため磁石表面の濡れ性が非常に高いことのため、磁石を加工した際に磁石表面に発生するμm以下の凹凸部に対して、本発明の処理液は浸透し易く、含浸処理により、凹凸部へ本発明の処理液を充填させることが可能であった。
【0012】
また、本発明のフッ化物コート膜形成処理液により、磁石表面に形成されたフッ化物コート膜は希土類フッ化物コロイド又はアルカリ土類金属フッ化物コロイドのゾルゲル反応により形成されているため、大部分が非結晶状態であり、結晶と比べて化学的に安定でないことと、磁石表面とフッ化物コート膜とが面接触であるため、磁石中への希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物の拡散は500℃から発生する。そのため、900℃より高温の熱処理を必要としない。これが本発明の第二の特徴である。
【0013】
更に、磁石の磁気特性向上に関して粉体を含まないコロイド溶液を含有する処理液を用いた表面処理であるため、フッ化物コート膜の膜厚制御が容易であることが第三の特徴である。
【0014】
上記フッ化物コート膜の膜厚制御はコロイド溶液の濃度と処理液量の制御でnmオーダーまで可能であるため、磁石の原料磁粉に対してその磁粉表面にフッ化物コート膜を形成してから、フッ化物コート膜がその表面に形成された、磁粉を用いて磁石を作製しても、原料磁粉の平均粒径に対して膜厚が2桁以上小さいため、最終製品である磁石の磁束密度を低下させる問題は発生しない。これが本発明の第四の特徴である。
【0015】
磁石の磁気特性を向上させることを目的に、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物を含む層をコロイド状態の溶液を用いて磁石又は磁粉表面に連続的に形成させる発明についての記載は従来法にはない。
【0016】
本発明のその他の特徴は、以下の発明を実施するための最良の形態欄で説明する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のフッ化物コート膜処理液及びフッ化物コート膜処理方法によれば、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物を含む層を連続的に適切な膜厚で磁石表面又は原料の磁粉表面に形成することができる。上記フッ化物コート膜をその表面に形成した磁石又は原料の磁粉を500℃〜900℃の熱処理を施すことにより、フッ化物コート膜をその表面に形成した磁石又は原料磁粉の磁気特性の向上が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明はR−Fe−B(Rは希土類元素)系磁石の保磁力とB−Hループの第2象限における角型性を向上させ、結果としてエネルギー積を向上させることが可能である。また、本発明は耐熱性の高いコート膜を磁石表面に有するため磁石の耐熱性の向上が可能である。従って、本発明のコート膜を有する希土類磁石用磁粉を用いて作製した希土類磁石は、100℃以上の環境下で交流磁界などの変動磁界にさらされても磁気特性の低下を抑えることを実現でき、表面磁石モーター,埋め込み磁石モーターなどの回転機などに使用できる。
【0019】
上記目的を達成するために、磁石表面、または磁粉表面に沿って、磁気特性を保持しながら金属フッ化物を含むコート膜を形成することが必要となる。NdFeB磁石の場合、Nd2Fe14Bが主相であり、Nd相およびNd1.1Fe44相が状態図に存在する。
NdFeBの組成を適正化して加熱すれば、Nd相あるいはNdFe合金相が粒界に形成される。この高濃度のNdを含む相は酸化し易く、一部酸化層が形成される。フッ化物を含む層はこれらのNd相,NdFe合金層あるいはNd酸化層の母相からみて外側に形成する。フッ化物を含むコート膜には、アルカリ土類金属や希土類元素の少なくとも1元素がフッ素と結合した相を含んでいる。フッ素を含む層は、上記Nd2Fe14B ,Nd相,NdFe相あるいはNd酸化層に接触して形成される。Nd2Fe14B よりもNdあるいはNdFe相が低融点であり、加熱により拡散し易く、組織が変化する。Nd,NdFe相あるいはNd酸化層の厚さよりも、アルカリ土類あるいは希土類元素のフッ化物を含む層の平均厚さは厚くすることが重要であり、このような厚さにすることにより、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物による磁石の磁気特性向上を発現させるための、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物成分の磁石中への拡散を可能にし、磁石の高い磁気特性発現させることができる。
【0020】
次に本発明を適用できる材料について説明する。フッ化物を含むコート膜には、CaF2,MgF2,SrF2,BaF2,LaF3,CeF3,PrF3,NdF3,SmF3,EuF3,GdF3,TbF3,DyF3,HoF3,ErF3,TmF3,YbF3,LuF3及びこれらフッ化物の組成の非晶質、これらのフッ化物を構成する複数の元素から構成されたフッ化物、これらのフッ化物に酸素あるいは窒素あるいは炭素などが混合した複合フッ化物、これらのフッ化物の主相に含まれる不純物を含む構成元素が混入したフッ化物、あるいは上記フッ化物よりもフッ素濃度が低いフッ化物である。特にPr,Nd,Dy,Tb及びHoを含むフッ化物をコート膜に含有させることが望ましい。
【0021】
このようなフッ化物を含むコート膜を均一に生成させるには、強磁性を示す粉の表面に、溶液を利用した塗布法が有効である。特に、原料磁粉表面にコート膜を生成させる際は溶液塗布法以外の方法では均一膜厚にすることは大変難しい。希土類磁石用磁粉は非常に腐食され易いため、スパッタリング法,蒸着法により、金属フッ化物を形成する手法もあるが、金属フッ化物を均一膜厚にするのは手間がかかりコスト高になる。一方、水溶液を用いた湿式法を用いると希土類磁石用磁粉は容易に希土類酸化物を生成するため好ましくない。本発明では希土類磁石用磁粉に対して濡れ性が高く、イオン成分を極力除去可能なアルコールを主成分とした溶液を用いることで、希土類磁石用磁粉の腐食を抑え、かつ金属フッ化物の塗布が可能であることを見出した。
【0022】
希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物の形態については希土類磁石または原料磁粉に塗布するという目的から、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物の固体粒子を含む懸濁状態は好ましくない。固体粒子状態の希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物を希土類磁石または原料磁粉に塗布したのでは、希土類磁石用磁粉表面に連続的な希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物によるコート膜を形成することができないからである。本発明では希土類、およびアルカリ土類金属イオンを含む水溶液にフッ化水素酸を添加するとゾルゲル反応を起こすことに着目し、溶媒である水をアルコールに置換えしながらイオン成分も同時に除去可能であることを見出した。更に、超音波攪拌を併用することでゲル状態であった希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物を希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物ほぼ透明なコロイド溶液にすることが可能であり、希土類磁石または原料磁粉の表面に対して希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物の均一膜を形成するのに最適な処理液になることを見出した。
【0023】
該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物ほぼ透明なコロイド溶液作製に際して、原料である希土類塩、アルカリ土類金属塩には水に溶解性の高い塩が扱い易く、フッ化物作製直前の水溶液中の塩濃度として、その塩の溶解度の90%以下かつ10g/dm3以上が良い。塩の溶解度の90%以上濃度の水溶液を用いると、フッ化水素酸添加時に希土類又はアルカリ土類金属の酸化物または水酸化物が副生成物として生成し易く、また、10g/dm3 未満の水溶液では希土類又はアルカリ土類金属フッ化物の濃度が低いため、濃縮する工程が増えるためである。次に、該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物を形成させるために添加するフッ化水素酸の濃度は10%以下,0.5% 以上が好ましい。フッ化水素酸の濃度が10%以上になると得られる該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物のゲルが不均一になり易く、超音波攪拌を実施しても透明なコロイド溶液を作製するのが難しくなる。一方、フッ化水素酸の濃度が0.5% 以下になると希土類又はアルカリ土類金属フッ化物の濃度の低い溶液となり濃縮する工程が増えるためである。希土類又はアルカリ土類金属に対するフッ化水素酸の添加量は反応の当量の60〜150%が良い。望ましくは80〜120%が良く、更に望ましくは90〜110%が良い。希土類又はアルカリ土類金属に対するフッ化水素酸の添加量が100%を超えると後述するようにフッ化物イオン洗浄が難しくなるからである。一方、フッ化水素酸の添加量が100%より少ないと、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物が100%生成しないだけでなく、酸素を含有した化合物が生成してしまう。該酸素を含有した化合物を含む希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物ほぼ透明なコロイド溶液からなる処理液を用いて磁石表面又は原料の磁粉表面にコート膜を形成すると、該磁石又は該原料の磁粉の熱処理の際に、該磁石又は該原料の磁粉の磁気特性を損なうからである。希土類又はアルカリ土類金属に対してフッ化水素酸の添加したのち、アルコールで洗浄することにより原料である希土類塩,アルカリ土類金属塩中の陰イオン及びフッ化物イオンを取り除く必要がある。それは、これらのイオンが処理液中に存在すると磁石表面又は原料の磁粉表面にコート膜を形成する際、磁石表面又は原料の磁粉表面が腐食し易くなるからである。
【0024】
一方、該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物ほぼ透明なコロイド溶液を形成するための溶媒としては、アルコール又はケトン基を有する水溶性の溶媒を用いるのが良く、炭素数が5以下の沸点が100℃近傍かそれ以下の沸点を有するものが良い。具体的にはメチルアルコール,エチルアルコール、nプロピルアルコール,イソプロピルアルコール、nブチルプロピルアルコール,イソブチルアルコール,アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノンを該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物ほぼ透明なコロイド溶液を形成するための溶媒として用いることができ、望ましくは、メチルアルコール,エチルアルコール、nプロピルアルコール,イソプロピルアルコール,アセトン、2−ブタノンが該溶媒として良い。また、それらの混合溶媒を該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物ほぼ透明なコロイド溶液を形成するための溶媒として用いても良い。
【0025】
希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物を含むコート膜は、高保磁力化のための熱処理前あるいは熱処理後のどちらの工程でも形成でき、希土類磁石または原料磁粉表面がフッ化物を含むコート膜で覆われた後、異方性希土類磁石用原料磁粉の場合の際は磁粉磁界配向させ、加熱成形して磁石を作製する。異方性付加のための磁界を印加せず、等方性の磁石を製造することも可能である。また、フッ化物を含むコート膜で被覆された希土類磁石用磁粉を1200℃以下の熱処理温度で加熱することにより高保磁力化した後に、有機材料と混合させてコンパウンドを作製し、ボンド磁石を作製できる。希土類元素を含む強磁性材料には、Nd2Fe14B,(Nd,Dy)2Fe14B,Nd2(Fe,Co)14B,,(Nd,Dy)2(Fe,Co)14B あるいはこれらのNdFeB系にGa,Mo,V,
Cu,Zr,Tb,Prを添加した粉等が使用できる。コート膜形成処理液中の希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に膨潤させるのは、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物ゲルがゼラチン状の柔軟な構造を有することと、その希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物ゲルは超音波分散により容易にコロイド状態にすることが可能なこと、更にはアルコールが希土類磁石用磁粉に対して優れた濡れ性を有することが明らかになったからである。また、コロイド状態の該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物の平均粒径はサブμm以下であるため、希土類磁石または原料磁粉表面に形成されたコート膜が均一膜厚になり易い。更に、アルコールを主成分とした溶媒にすることにより、非常に酸化され易い希土類磁石または原料磁粉の酸化の抑制が可能となる。
【0026】
希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物の濃度に関しては希土類磁石用磁粉表面に形成する膜厚に依存するが、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物がアルコールを主成分とした溶媒に膨潤されており、コロイド状態の該希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物の平均粒径がサブμm以下であり、かつアルコールを主成分とした溶媒に分散された状態を保つためには、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物の濃度の上限がある。濃度の上限については後述するが希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物に対してアルコールを主成分とした溶媒に膨潤させ、かつアルコールを主成分とした溶媒中に分散させたコロイド状処理液は濃度として300g/dm3から1g/dm3が好ましい。
【0027】
希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜形成処理液はその濃度が200g/dm3 以上になると1日以内の室温放置でゲル化する。希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜形成処理液のゲル化濃度はフッ化物の種類によりその濃度は異なる。この現象は希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物の粉体を溶液に懸濁させたのでは発生しない。本発明の様に希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物中に溶媒が膨潤するように希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物を作製することで現れる現象であることを発見した。そのため、懸濁液と異なり溶液の均一性と安定性に優れており、かつ、イオン性の成分が極めて少ないため、腐食し易い希土類磁石用磁粉に対しても、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜形成処理液は腐食の発生がない。一方、磁石表面にコート膜を形成する際は希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜形成処理液の濃度が高いほうが好ましい。ゲル化した希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜形成処理液はその濃度が300g/dm3 以下では超音波分散処理でコロイド溶液化が可能であり、処理液としての使用が可能である。しかしながら、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜形成処理液の濃度が300g/dm3 以上では超音波分散処理後でもその溶液は高粘度となり、表面処理を目的とした処理液としての使用は難しい。これは本発明の処理液の数少ないデメリットである。
【0028】
磁石成形体に対して、コート膜を形成する際、コート膜厚さの上限値はコート膜中の金属元素量が磁石の磁気特性に影響するため、磁石の厚みに対して5%以下、好ましくは2%以下が望ましく、一方、コート膜厚さの下限値は磁石表面の加工変質層を改善する必要があるため、最低でもコート膜厚さは1nm以上が必要であり、好ましくは10nm以上であることが望ましい。
【0029】
希土類磁石用原料磁粉表面に希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成させる場合、希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物形成処理液の添加量は、希土類磁石用磁粉の平均粒径に依存する。希土類磁石用原料磁粉の平均粒径が0.1〜500μmの場合、希土類磁石用原料磁粉1kgに対して300〜10mlが望ましい。これは処理液量が多いと溶媒の除去に時間を要するだけでなく、溶液中の微量に含有されている水分等の影響により希土類磁石用原料磁粉が腐食し易くなるためである。一方、処理液量が少ないと希土類磁石用原料磁粉表面に処理液の濡れない部分が生じるためである。
【0030】
また、希土類磁石としてはNd−Fe−B系等の希土類を含有する材料すべてに適用可能である。
【0031】
本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
【実施例1】
【0032】
希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜の形成処理液は以下のようにして作製した。例としてDyF3について記す。
【0033】
酢酸Dy、または硝酸Dy4gを100mLの水に溶解後、1%に希釈したフッ化水素酸をDyF3 が生成に必要な当量の90%相当量を攪拌しながら徐々に加え、ゲル状の
DyF3 を生成させた。遠心分離により上澄み液を除去した後、残存ゲルと同量のメタノールを加へ、攪拌・遠心分離する操作を3〜10回繰り返すことにより陰イオンを取り除き、ほぼ透明なコロイド状のDyF3のメタノール溶液(濃度:DyF3/メタノール=1g/5mL)を作製した。
【0034】
その他の使用した希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜の形成処理液の700nmで光路長1cmの時の透過率について、表1に纏めた。
【0035】
【表1】


【0036】
次に、希土類磁石用磁粉にはNdFeB系合金粉末を用いた。この磁粉は、平均粒径が200μmで磁気的に異方性である。希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を希土類磁石用磁粉に形成するプロセスは以下の方法で実施した。
【0037】
TbF3 コート膜形成プロセスの場合:TbF3 濃度0.5g/10mL ほぼ透明なコロイド状溶液
(1)平均粒径が200μmの希土類磁石用磁粉100gに対して20mLのTbF3 コ ート膜形成処理液を添加し、希土類磁石用磁粉全体が濡れるのが確認できるまで混合 した。
(2)(1)のTbF3 コート膜形成処理希土類磁石用磁粉を2〜5torrの減圧下で溶媒 のメタノール除去を行った。
(3)(2)の溶媒の除去を行った希土類磁石用磁粉を石英製ボートに移し、1×10-5
torrの減圧下で200℃,30分と350℃,30分の熱処理を行った。
(4)(3)で熱処理した磁粉に対して、蓋付きマコール製(理研電子社製)容器に移し たのち、1×10-5torrの減圧下で、700℃,30分の熱処理を行った。
(5)(4)で熱処理を施した希土類磁石用磁粉の磁気特性を調べた。
(6)(4)で熱処理を施した希土類磁石用磁粉を用いて、金型中に装填し、不活性ガス 雰囲気中で10kOeの磁場中で配向し、成形圧5t/cm2 の条件で加熱圧縮成形し た。成形条件は700℃、7mm×7mm×5mmの異方性磁石を作製した。
(7)(6)で作製した異方性磁石の異方性方向に30kOe以上のパルス磁界を印加し た。その磁石について磁気特性を調べた。
【0038】
その他の希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成して上記(1)〜(7)のプロセスで作製した磁石の磁気特性について調べた結果を、表2に纏めた。
【0039】
【表2】


【0040】
この結果、各種希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成した磁粉およびその磁粉を用いて作製した異方性希土類磁石はコート膜を有していない磁粉およびその磁粉を用いて作製した異方性希土類磁石と比較して、磁気特性は向上し、比抵抗は大きくなることが明らかになった。特に、TbF3,DyF3コート膜を有する磁粉およびその磁粉を用いて作製した異方性希土類磁石は磁気特性が大きく向上した。
【実施例2】
【0041】
希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜の形成処理液には実施例1に示
した方法で作製した溶液を用いた。本実施例では、Nd2Fe14B を主相とする加工研磨後の焼結体を用いた。
【0042】
希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を磁石焼結体表面に形成するプロセスは以下の方法で実施した。
【0043】
DyF3 コート膜形成プロセスの場合:DyF3 濃度1g/10mLのほぼ透明なコロイド溶液
(1)寸法が6mm×6mm×5mmの磁石焼結体を、濃度1g/10mLの超音波処理直後の DyF3のほぼ透明なコロイド溶液に浸漬した。
(2)(1)のDyF3形成処理液を磁石焼結体表面に塗布した磁石焼結体を2〜5torr の減圧下で溶媒のメタノール除去を行った。
(3)上記(1)と(2)の操作を1から10回の間で必要回数繰り返した。
(4)(3)の溶媒の除去を行った磁石焼結体を石英製ボートに移し、1×10-5torrの 減圧下で200℃,30分と400℃,30分の熱処理を行った。
(5)(4)で熱処理した磁石焼結体に対して、蓋付きマコール製(理研電子社製)容器 に移したのち、1×10-5torrの減圧下で、熱処理条件として、600℃,700℃
,800℃,900℃,1時間,2時間,3時間のいずれかの組み合わせの条件で熱 処理を行った。
(6)(5)で作製した磁石焼結体に30kOe以上のパルス磁界を印加した。その磁石 について磁気特性を調べた。
【0044】
その他の希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成して上記(1)〜(6)のプロセスで作製した磁石の磁気特性について調べた結果を、表3に纏めた。
【0045】
【表3】


【0046】
この結果、各種希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成した焼結磁石はコート膜を有していない焼結磁石と比較して、磁気特性は向上することが明らかになった。一方、その他の希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成した焼結磁石についてはコート膜を有していない焼結磁石と比べると磁気特性における最大エネルギー積が向上することを確認できた。
【実施例3】
【0047】
希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜の形成処理液には実施例1に示した方法で作製した溶液を用いた。本実施例において、希土類磁石用磁粉には、組成を調整した母合金を急冷することにより作製したNdFeB系のアモルファス薄帯を粉砕した磁性粉を用いた。すなわち、母合金を単ロールや双ロール法などのロールを用いた手法で、回転するロールの表面に溶解させた母合金をアルゴンガスなどの不活性ガスにより噴射急冷した。また、雰囲気は不活性ガス雰囲気あるいは還元雰囲気,真空雰囲気である。得られた急冷薄帯はアモルファスあるいはアモルファスに結晶質が混合している。この薄帯の平均粒径が300μmになるように粉砕,分級した。このアモルファスを含む磁粉は、加熱することにより結晶化し主相がNd2Fe14B の磁気的に等方性磁粉となる。
【0048】
希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を希土類磁石用磁粉に形成するプロセスは以下の方法で実施した。
【0049】
PrF3コート膜形成プロセスの場合:PrF3濃度0.5g/10mLのほぼ透明なコロイド溶液
(1)平均粒径が300μmの希土類磁石用磁粉100gに対して30mLのPrF3コ ート膜形成処理液を添加し、希土類磁石用磁粉全体が濡れるのが確認できるまで混合 した。
(2)(1)のPrF3コート膜形成処理希土類磁石用磁粉を2〜5torrの減圧下で溶媒 のメタノール除去を行った。
(3)(2)の溶媒の除去を行った希土類磁石用磁粉を石英製ボートに移し、1×10-5 torrの減圧下で200℃,30分と400℃,30分の熱処理を行った。
(4)(3)で熱処理した磁粉に対して、蓋付きマコール製(理研電子社製)容器に移し たのち、1×10-5torrの減圧下で、700℃,30分の熱処理を行った。
(5)(4)で熱処理を施した希土類磁石用磁粉の磁気特性を調べた。
(6)(4)で熱処理を施した希土類磁石用磁粉と100μm以下のサイズの固形エポキ シ樹脂(ソマール社製EPX6136)を体積で10%になるようにVミキサーを用 いて混合した。
(7)(6)で作製した希土類磁石用磁粉と樹脂とのコンパウンドを金型中に装填し、不 活性ガス雰囲気中で10kOeの磁場中で配向し、成形圧5t/cm2 の条件で70℃ の加熱圧縮成形した。7mm×7mm×5mmのボンド磁石を作製した。
(8)(7)で作製したボンド磁石の樹脂硬化を窒素ガス中で170℃,1時間の条件で 行った。
(9)(8)で作製したボンド磁石に30kOe以上のパルス磁界を印加した。その磁石 について磁気特性を調べた。
【0050】
その他の希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成して上記(1)〜(9)のプロセスで作製した磁石の磁気特性について調べた結果を、表4に纏めた。
【0051】
【表4】


【0052】
この結果、各種希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を形成した急冷磁粉およびその磁粉を用いて作製した希土類ボンド磁石はコート膜を有していない急冷磁粉およびその磁粉を用いて作製した希土類ボンド磁石と比較して、磁気特性は向上し、比抵抗は大きくなることが明らかになった。特に、PrF3,NdF3,TbF3,DyF3,HoF3 コート膜を有する急冷磁粉およびその磁粉を用いて作製した希土類ボンド磁石は磁気特性が大きく向上した。一方、その他の希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物コート膜を原料である磁粉表面に形成した希土類ボンド磁石についてはコート膜を原料磁粉表面に有していない希土類ボンド磁石と比べると磁気特性における角型性が向上し、最大エネルギー積が増加することを確認できた。
【0053】
以上のように本発明の希土類フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物を用いて100
μm〜1nm厚のコート膜を表面に形成した磁性粉,焼結磁石,ボンド磁石はコート膜を形成していない磁性粉,焼結磁石,ボンド磁石と比較して、磁気特性に優れている。
【出願人】 【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成工業株式会社
【出願日】 平成18年9月29日(2006.9.29)
【代理人】 【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学


【公開番号】 特開2008−81380(P2008−81380A)
【公開日】 平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願番号】 特願2006−266253(P2006−266253)