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【発明の名称】 多孔体、その製造方法、焼結体およびその製造方法
【発明者】 【氏名】中西 和樹

【氏名】藤田 晃司

【氏名】徳留 靖明

【氏名】三浦 清貴

【氏名】平尾 一之

【氏名】佐藤 洋介

【要約】 【課題】金属塩化物のような比較的に安価で取り扱い易い原料を使用でき、細孔径分布の狭い共連続構造を有する多孔質成形体および多孔質焼結体を提供する。

【構成】金属塩、この金属塩を水和させる溶媒、重合剤および分子量50000以上の水溶性高分子を含む溶液において、金属塩の水和物の重合反応、および固相と液相との相分離を誘起することで、金属酸化物の多孔体を製造する。あるいは、金属塩、この金属塩を水和させる溶媒、重合剤および水溶性高分子を含む溶液において、金属塩の水和物の重合反応、および固相と液相との相分離を誘起することで、金属酸化物の多孔体を製造する。溶媒が水と親水性有機溶媒とからなり、水と親水性有機溶媒との容積比が1:0.2〜5.0である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属塩、この金属塩を水和させる溶媒、重合剤および分子量50000以上の水溶性高分子を含む溶液において、前記金属塩の水和物の重合反応および固相と液相との相分離を誘起することで、金属酸化物の多孔体を製造する、多孔体の製造方法。
【請求項2】
前記金属塩が金属塩化物であることを特徴とする、請求項1記載の多孔体の製造方法。
【請求項3】
前記重合剤がアルキレンオキシドであることを特徴とする、請求項1または2記載の多孔体の製造方法。
【請求項4】
前記水溶性高分子がポリアルキレンオキシドであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の多孔体の製造方法。
【請求項5】
前記金属塩が、アルミニウム、イットリウムおよびマグネシウムからなる群より選ばれた一種以上の金属を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の多孔体の製造方法。
【請求項6】
金属塩、この金属塩を水和させる溶媒、重合剤水溶性および高分子を含む溶液において、前記金属塩の水和物の重合反応および固相と液相との相分離を誘起することで、金属酸化物の多孔体を製造するのに際して、前記溶媒が水と親水性有機溶媒とからなり、水と前記親水性有機溶媒との容積比が1:0.2〜5.0であることを特徴とする、多孔体の製造方法。
【請求項7】
前記金属塩が金属塩化物であることを特徴とする、請求項6記載の多孔体の製造方法。
【請求項8】
前記重合剤がアルキレンオキシドであることを特徴とする、請求項6または7記載の多孔体の製造方法。
【請求項9】
前記水溶性高分子がポリアルキレンオキシドであることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一つの請求項に記載の多孔体の製造方法。
【請求項10】
前記金属塩が、アルミニウム、イットリウムおよびマグネシウムからなる群より選ばれた一種以上の金属を含むことを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一つの請求項に記載の多孔体の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一つの請求項に記載の方法によって製造された多孔体。
【請求項12】
細孔径分布の半値幅/ピーク細孔径が0.7以下であることを特徴とする、請求項11記載の多孔体。
【請求項13】
請求項11または12記載の多孔体を熱処理することで焼結させることを特徴とする、焼結体の製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法によって製造されたことを特徴とする、焼結体。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる共連続構造を有する多孔質成形体および多孔質焼結体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
相分離を利用したゾル−ゲル法によって、例えばシリカの多孔質体が再現性よく製造されることが知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。この方法では、金属アルコキシドを原料としたゾルゲル法によって、相分離を利用し、細孔が連続した多孔質体(実施例はシリカ)が再現性よく製造できる。細孔形状やそのサイズ分布はきわめて均一性が高い。また、比較的大きな直径の細孔を形成することが可能である。
【特許文献1】特許第2123708号公報
【特許文献2】特開平3-285833号公報
【特許文献3】PCT/JP2004/017523
【0003】
また、特許文献4では、金属塩化物の水溶液に、重合剤(エポキシド)、造孔剤(N-メチルホルムアミド等)を添加し、水溶液中で多孔体を生成させることが記載されている。
【特許文献4】WO2005/091972
【0004】
このようないわゆる共連続構造を有する多孔質セラミックスは、最近は注目を集めている。なぜなら、液体や気体の分離媒体、触媒担体、光学素子、酵素や微生物のような生物触媒の担体として期待されているからである。このような多孔質セラミックスの材質としては、シリカ以外の材質も要望されている。例えば、アルミナは、耐熱性、耐薬品性に優れるため、触媒担体としての応用が可能になると思われる。むろんアルミナ以外の各種セラミックスや金属についても同様の可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1〜3の記載の方法では、原料として金属アルコキシドを使用する。しかし、金属アルコキシドは価格が高く、水、光、熱に対して不安定であり、同一品質での長期保管が困難である。金属アルコキシドの中でも、ケイ素アルコキシド以外は、反応性が高いため、反応の程度を制御する必要がある本法では、多孔体製造の再現性が低い。更に、特許文献3では無機粒子の凝集を利用して多孔体を得るため、焼結前の段階では、粒子が点接触しているだけであり、機械的強度に乏しく、ハンドリングが困難である。
【0006】
特許文献4記載の方法では、球状の粒子が凝集した結果形成される多孔体しか得られない。特許文献4の(0042)には、「globular interconnected microstructure」(球状相互連結微構造)と記載されている。また、図1および図2によれると、多孔体の細孔径分布は広く、また強度が弱いことが予想される。
【0007】
本発明の課題は、金属塩化物のような比較的に安価で取り扱い易い原料を使用でき、細孔径分布の狭い共連続構造を有する多孔質成形体および多孔質焼結体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の発明は、金属塩、この金属塩を水和させる溶媒、重合剤および分子量50000以上の水溶性高分子を含む溶液において、金属塩の水和物の重合反応および固相と液相との相分離を誘起することで、金属酸化物の多孔体を製造する、多孔体の製造方法に係るものである。
【0009】
第二の発明は、金属塩、この金属塩を水和させる溶媒、重合剤、水溶性高分子を含む溶液において、金属塩の水和物の重合反応および固相と液相との相分離を誘起することで、金属酸化物の多孔体を製造するのに際して、溶媒が水と親水性有機溶媒とからなり、水と親水性有機溶媒との容積比が1:0.2〜5.0であることを特徴とする、多孔体の製造方法に係るものである。
【0010】
また、本発明は、前記方法によって製造された多孔体に係るものであり、更に、細孔径分布の半値幅/ピーク細孔径が0.7以下である多孔体に係るものである。
【0011】
また、本発明は、前記多孔体を熱処理することで焼結させることを特徴とする、焼結体の製造方法に係るものであり、またこれによって得られた焼結体に係るものである。
【発明の効果】
【0012】
第一の発明によれば、金属塩水和物の重合反応が進行するのと共に、固相と液相との相分離が進行し、細孔径分布の狭い、細孔径の比較的均一な多孔体を製造することに成功した。
【0013】
この理由は明らかではないが、以下のように推定できる。すなわち、本発明により、分子量50000以上の水溶性高分子を用いることによって、固化と、固相と液相との相分離のタイミングを調整し、ほぼ同時に生じさせることができるようである。また、相分離を起こして共連続構造を形成しても、固相は自身の表面エネルギーを減らすために球状粒子を形成しようとする。その際、水溶性高分子の分子量が大きいと溶媒の粘性が高いため、固相が球状粒子になろうとしても溶媒の粘性により共連続構造を維持しやすく、固化させて構造を凍結することができる。一方、分子量が小さいと、溶媒の粘性が低いため固相はすぐに球状粒子を形成し、共連続構造で構造を凍結することが難しい。
【0014】
第一の発明の観点からは、水溶性高分子の分子量は、50000以上が好ましく、300000以上が更に好ましい。また、水溶性高分子の分子量の上限は特にない。ただし、上記した固化と相分離とのタイミングを調整するという観点からは、水溶性高分子の分子量を8000000以下とすることが好ましい。
なお、ここでいう水溶性高分子の分子量は粘性平均モル質量Mvである。
【0015】
第二の発明によれば、金属塩水和物の重合反応が進行するのと共に、固相と液相との相分離が進行し、細孔径分布の狭い、細孔径の比較的均一な多孔体を製造することに成功した。
【0016】
この理由は明らかではないが、以下のように推定できる。以下、塩化アルミニウムを使用した場合を例にとって説明する。
【0017】
AlCl3・6H2Oを水に溶かすと、[Al(OH2)6]3+という水和物の形で水に溶ける。この段階では、アルミニウムはAl3+イオンとして溶液に溶けている。一般的に、pHが約4以下では、このまま溶けている時間が長く、固化まで数日は必要である。しかし、溶液のpHが4を超えると、[Al(OH2)6]3+の溶媒への溶解度が極めて小さくなり、Al−O−Alという結合を形成し、固化する。
【0018】
重合剤、たとえばプロピレンオキシドは、pHを低い値から4以上に経時的に上昇させる作用がある。プロピレンオキシドは、溶液中の水もしくは塩化物イオンと反応する。しかし、プロピレンオキシドは、水と反応したときには溶液のpHには影響せず、塩化物イオンと反応した場合に限り、H+が1つ消費され、溶液のpHが上昇する。溶液中の水と塩化物イオンとの割合を考えると、水分子の数が圧倒的に多いので、プロピレンオキサイドは塩化物イオンとあまり反応できない。従って、溶媒のpH上昇の速度は遅く、固化に非常に時間がかかる。このため、相分離と固化とを同時に進行させることが難しい。
【0019】
そこで、第二の発明に従い、水に一定比率の親水性有機溶媒を混合することで、水分子の割合を減らし、重合剤と金属塩イオンとの反応を促進することで、固化のタイミングを早め、固化と相分離とのタイミングを調整し、細孔径分布の狭い多孔体を得ることに成功した。
【0020】
一方、水がまったくない場合には、金属塩が溶媒に溶解しにくくなる傾向がある。また、溶媒中に水がないと、金属塩が重合剤と反応し、溶液のpHが急速に上昇し、固化反応が早まる。このため、相分離と固化反応とのタイミングを調整することができず、細孔径分布の狭い多孔体は得られない。
【0021】
このため、第二の発明では、水と親水性有機溶媒との容積比を1:0.2〜5.0とするが、1: 0.5〜3.0とすることが更に好ましく、1:0.65〜2.0とすることが一層好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明において、金属塩の種類は特に限定されない。例えば、M(X)nの式で現される金属塩であってよい。ただし、Mは金属であり、Xは、陰イオン性配位子である。nは、金属イオンおよび配位子のイオン価で決定される配位数であるが、例えば1〜6である。
【0023】
金属塩を構成する金属の種類は特に限定されない。例えば、周期表の2,3,13 族に属する金属を例示でき、更にはアルミニウム、イットリウム、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、ニオブ、鉄、ケイ素、クロム、セリウム、銅、ニッケル、インジウム、ガリウム、ゲルマニウム、錫、バナジウム、マンガン、亜鉛、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロビウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムを例示できる。アルミニウム、イットリウムおよびマグネシウムからなる群より選ばれた一種以上の金属が特に好ましい。また、金属塩は、二種以上の金属元素を含む複合金属塩であってよい。
【0024】
金属塩を構成する陰イオンMは特に限定されないが、Cl、Br、F、Iなどのハロゲンイオン、NO3、SO4、、NO3、CH3COO- などのイオンを例示できる。
【0025】
特に好ましい金属塩は以下のものである。
塩化アルミニウム、塩化イットリウム、塩化マグネシウム。
【0026】
金属塩を水和させる溶媒としては、水、および以下のような親水性有機溶媒を例示できる。
アルコール: メタノール、エタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、ブタノール、2−プロパノール、2-メチル-2-プロパノール
【0027】
第二の発明においては、親水性有機溶媒(例えば上記のもの)を使用できるが、特にエタノールが好ましい。
【0028】
重合剤の種類は特に限定されず、以下を例示できる。
アルキレンオキシド:プロピレンオキシド、トリメチレンオキシド、シス-2,3-エポキシブタン、1,2-エポキシブタン、グリシドール、エピクロロヒドリン、エピフロロヒドリン、エピブロモヒドリン、3,3-ヂメチルオキセタン。
【0029】
水溶性高分子の種類は特に限定されず、以下を例示できる。
中性高分子である、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレン−プロピレンブロックポリマー。
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸カリウム塩。
高分子酸である、ポリアクリル酸。
高分子塩基である、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン。
【0030】
金属塩の水和物の重合反応および相分離を誘起するための反応条件は、特に限定されない。例えば反応温度は30〜80℃とすることができる。また、反応時間は反応系によって異なる。
【0031】
本発明の多孔体は、細孔径分布の半値幅/ピーク細孔径が0.7以下である。このように細孔径分布の非常に狭い多孔体は、例えば特許文献4記載のような方法では製造できないものであり、本発明の製法によって初めて提供可能なものである。この多孔体は、細孔径分布の半値幅/ピーク細孔径は、この観点からは、0.5以下が好ましく、0.40以下が更に好ましい。
【0032】
本発明においては、前記多孔体を熱処理することで焼結体を得ることができる。この熱処理方法は特に限定されず、熱処理条件も特に限定されない。熱処理方法および条件は、焼結させるべき原料の種類応じて適宜選択することができる。
【0033】
例えば、以下のような条件も採用可能である。
(アルミナ) 100℃/時間にて昇温し、1100℃にて5時間保持。
(YAG) 100℃/時間にて昇温し、1000℃にて10時間保持。
(MgAl2O4) 100℃/時間にて昇温し、1100℃にて5時間保持。
【0034】
本発明の多孔体および焼結体の用途は特に限定されず、以下を例示できる。
液体や気体の分離媒体、触媒担体、吸着担体、光学素子、酵素や微生物のような生物触媒の担体。
【0035】
また、光の波長程度の空間スケールで誘電率が無秩序に変化する媒質中に光が入射すると、多重散乱光の干渉により光の局在化が起こり、光を長時間媒質に留めることができる。光の局在状態を実現するためには、光を強く散乱する媒体を用いる必要がある。そのためには、背景との屈折率比が大きく、しかも光の波長程度で構造を正確に制御しなければならない。Al2O3、MgAl2O4、Y3Al5O12(YAG)の屈折率(n)は1.7〜1.8程度であり、SiO2の屈折率(n=1.45)と比べて高い。今回発明した方法で作製される共連続構造の多孔体(連続貫通孔多孔体)ではサブミクロン空間を正確に制御できるため、赤外光、可視光、紫外光の領域での光の局在化が起こりえる。このような多孔体の骨格に遷移金属や希土類イオンを分散させると、共振器なしのレーザー(ランダムレーザー)や高密度光記録効果などの発現が期待される。
【実施例】
【0036】
アルミナ多孔体および焼結体を、以下のようにして作製した。
(試料の作製)
表1〜3に示す各試料を作製した。
具体的には、試薬として、分子量30万または100万のポリエチレンオキシド(アルドリッチ社製)、エタノール(キシダ化学株式会社、特級)、蒸留水(林純薬株式会社)、塩化アルミニウム6水和物(アルドリッチ社製)、硝酸クロム9水和物(和光純薬工業株式会社製)、プロピレンオキシド(アルドリッチ社製)を用いた。表1、3の例では分子量30万のポリエチレンオキシドを使用し、表2の例では分子量100万のポリエチレンオキシドを使用した。
【0037】
ポリエチレンオキシド(PEO)
と塩化アルミニウム6水和物を、エタノールと蒸留水の混合溶液に溶解させた。水とエタノールとの比率は表に示す。さらに、実験番号3−1〜3−3では、硝酸クロム9水和物をこれらに添加した。その後、室温でプロピレンオキシドを添加した。40
°Cでゲル化させて、エージング後、40℃で試料を乾燥し、乾燥体を得た。得られた乾燥体を700 oC〜1100
oCで5時間熱処理し、焼結体とした。
【0038】
各試料について、以下の特性を測定した。結果は、各表および図面に示す。
(マイクロメートル領域の細孔径分布測定)
熱処理前後の試料のモルフォロジー観察は、走査型電子顕微鏡(SEM : 日立製作所S-510型)を用いた。モルフォロジーの区別は、連続したアルミナ骨格とマイクロメートル領域に連続した貫通孔を持つものを「共連続構造あり」、球状の粒子が凝集したものを「球状粒子凝集体」、マイクロメートル領域に細孔が見られなかったものを「マクロ孔なし」とした。
【0039】
また、乾燥体と焼結体について水銀ポロシメーター(PORESIZER9320 : Micromeritics社製)を用いて、マイクロメートル領域の細孔径分布測定を行った。
【0040】
(結晶性の測定)
熱処理前後の試料の結晶性同定を、X線回折測定(CuKα線)(RINT2500 : Rigaku製)により行った。
【0041】
(ナノメートル領域の細孔径分布測定)
ナノメートル領域の細孔径分布と比表面積を窒素吸着測定(Tristar-3000: 島津製作所)により評価した。BET法により比表面積を算出した。
【0042】
(蛍光測定)
焼結体について、発光特性を蛍光および励起測定(Hitachi-850)によって評価した。励起スペクトルの測定は694.3nmの蛍光をモニターしながら行い、蛍光測定は411nmの励起光を用いて行った。
【0043】
【表1】



【0044】
【表2】



【0045】
【表3】



【0046】
実験番号1〜1〜1−4では、いずれも共連続構造のモルフォロジーが得られた。なお、図1には、実験番号1−1の走査型電子顕微鏡写真を示す(倍率6000倍)。ほぼ一定径の細孔が連続し、三次元的な網目構造を形成していることがわかる。
【0047】
図2には、実験番号1−1、1−2、1−3の細孔径分布を示す。横軸は細孔径であり、縦軸(左側)は累積細孔容積であり、縦軸(右側)は微分細孔容積である。各ピークの最高値、半値幅は、以下のようにして算出する。
最高値…微分細孔容積の最高値(Ymax)。
半値幅…Ymax/2にて横軸に平行な直線を引いた際、微分細孔容積の曲線に対して2つの交点A,Bができる。A点での細孔径XaとB点での細孔径Xb(Xa>Xb)としたときの(Xa−Xb)。
【0048】
表2の実験番号2〜2〜2−8では、いずれも共連続構造のモルフォロジーが得られた。なお、図3は、試料番号2−4の乾燥体の走査型電子顕微鏡写真であり(倍率6000倍)、 図4は、試料番号2−7の乾燥体の走査型電子顕微鏡写真であり(倍率6000倍)、図5は、試料番号2−8の乾燥体の走査型電子顕微鏡写真である(倍率6000倍)。ポリエチレンオキシドの量を増加させるのにつれて、細孔径が大きくなってくることがわかる。他の実験番号2〜1〜3、2−5、6の乾燥体でも、ほぼ同様の傾向が見られた。
【0049】
図6は、球状粒子の凝集した構造を示す走査型電子顕微鏡写真である(倍率6000倍)。本発明の多孔体とはまったく異なるモルフォロジーを示す。
【0050】
図7は、実験番号2−3〜2−7の各乾燥体の細孔径分布を示す。Wpeoは
0.60g〜0.10gである。
【0051】
また、図8は、実験番号1−1の乾燥体、および図6の参考試料の細孔径分布を示す。図6の参考試料の半値幅/ピーク細孔径は0.7186である。
【0052】
また、表3の例では、発光目的で若干のクロムを添加した。
図9は、実験番号3−1の焼結体試料の蛍光特性を示す。図10は、実験番号3−2の焼結体試料の蛍光特性を示す。図11は、実験番号3−3の焼結体試料の蛍光特性を示す。蛍光測定の結果から、いずれの試料も694.3nmにて発光した。
【0053】
また、図12は、実験番号1−4の焼結体試料のX線回折測定結果を示すチャートである。縦軸は温度(℃)である。乾燥体ではアモルファスであったが、800℃でγ-Al2O3,1100℃でα-Al2O3が析出していることがわかる。
【0054】
図13は、実験番号2−5の試料の細孔径分布を示すチャートである。
【0055】
MgAl多孔体および焼結体を、以下のようにして作製した。
(試料の作製)
表4に示す各試料を作製した。
具体的には、試薬として、分子量30万のポリエチレンオキシド(アルドリッチ社製)、エタノール(キシダ化学株式会社、特級)、蒸留水(林純薬株式会社)、塩化アルミニウム6水和物(アルドリッチ社製)、塩化マグネシウム6水和物(ナカライテスク株式会社製)、プロピレンオキシド(アルドリッチ社製)を用いた。ポリエチレンオキシド、塩化アルミニウム6水和物、塩化マグネシウム6水和物をエタノールと蒸留水の混合溶液に溶解させた後、室温でプロピレンオキシドを添加した。40℃でゲル化させて、エージング後、40℃で試料を乾燥し、乾燥体を得た。得られた乾燥体を1100℃で5時間熱処理し、焼結体とした。
【0056】
【表4】



【0057】
いずれの例においても、モルフォロジーは共連続構造であった。図14に、実験番号4−1の乾燥体の走査型電子顕微鏡写真を示す(倍率6000倍)。図15に、実験番号4−2の乾燥体の走査型電子顕微鏡写真を示す(倍率6000倍)。細孔が連続的に貫通し、網目を形成し、粒子骨格と入れ子状になっていることがわかる。
【0058】
実験番号4−1の試料について、粉砕して得た粉末を用いて測定を行い、結果を図16に示す。1100℃でMgAl2O4が析出していることがわかる。
【0059】
YAG(YAl12)多孔体および焼結体を、以下のようにして作製した。
(試料の作製)
表5、表6に示す各試料を作製した。
具体的には、試薬として、分子量30万のポリエチレンオキシド(アルドリッチ社製)、エタノール(キシダ化学株式会社、特級)、蒸留水(林純薬株式会社)、塩化アルミニウム6水和物(アルドリッチ社製)、塩化イットリウム6水和物(アルドリッチ社製)、プロピレンオキシド(アルドリッチ社製)を用いた。ポリエチレンオキシド、塩化アルミニウム6水和物、塩化イットリウム6水和物をエタノールと蒸留水の混合溶液に溶解させた。さらに、実験番号6-1〜4では塩化セリウム7水和物をこれらに添加した。その後、室温でプロピレンオキシドを添加した。40℃でゲル化させて、エージング後、40℃で試料を乾燥し、乾燥体を得た。得られた乾燥体を800℃〜1000℃で10時間熱処理し、焼結体とした。
【0060】
(マイクロメートル領域の細孔径分布測定)
熱処理前後の試料のモルフォロジー観察は、走査型電子顕微鏡(SEM : 日立製作所S-510型)を用いた。モルフォロジーの区別は、連続したアルミナ骨格とマイクロメートル領域に連続した貫通孔を持つものを「共連続構造あり」、球状の粒子が凝集したものを「球状粒子凝集体」、マイクロメートル領域に細孔が見られなかったものを「マクロ孔なし」とした。
【0061】
(結晶性の測定)
熱処理前後の試料の結晶性同定を、X線回折測定(CuKα線)(RINT2500 : Rigaku製)により行った。
(蛍光測定)
各試料の発光特性を蛍光測定(Hitachi-850)によって評価した。励起スペクトルの測定は530nmの光をモニターしながら行い、蛍光測定は342nmおよび460.5nmの励起光を用いて行った。
【0062】
【表5】



【0063】
【表6】



【0064】
いずれの例においても、モルフォロジーは共連続構造であった。図17に、実験番号5−3の乾燥体の走査型電子顕微鏡写真を示す(倍率6000倍)。細孔が連続的に貫通し、網目を形成し、粒子骨格と入れ子状になっていることがわかる。実験番号5−2、5−4、6−1〜6−4においても類似の微構造であった。
【0065】
図18は、実験番号6−1の焼結体試料の蛍光特性を示す。図19は、実験番号6−2の焼結体試料の蛍光特性を示す。図20は、実験番号6−3の焼結体試料の蛍光特性を示す。図21は、実験番号6−4の焼結体試料の蛍光特性を示す。蛍光測定の結果から、いずれの試料も530nmにて発光した。
【0066】
また、実験番号5−3の試料について、粉砕して得た粉末を用いてX線回折測定を行い、結果を図22に示す。横軸は熱処理温度である。800℃〜1000℃でY3Al5O12が析出していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実験番号1−1の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図2】実験番号1−1、1−2、1−3の細孔径分布を示す。
【図3】実験番号2−4の乾燥体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】実験番号2−7の乾燥体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】実験番号2−8の乾燥体の走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】球状粒子の凝集した構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】実験番号2−3〜2−7の各乾燥体の細孔径分布を示す。
【図8】実験番号1−1の乾燥体、および図6の参考試料の細孔径分布を示す。
【図9】実験番号3−1の焼結体試料の蛍光特性を示す。
【図10】実験番号3−2の焼結体試料の蛍光特性を示す。
【図11】実験番号3−3の焼結体試料の蛍光特性を示す。
【図12】実験番号1−4の焼結体試料のX線回折測定結果を示すチャートである。
【図13】実験番号2−5の試料の細孔径分布を示すチャートである。
【図14】実験番号4−1の乾燥体の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図15】実験番号4−2の乾燥体の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図16】実験番号4−1の試料についての粉末X線回折結果を示すチャートである。
【図17】実験番号5−3の乾燥体の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図18】実験番号6−1の焼結体試料の蛍光特性を示す。
【図19】実験番号6−2の焼結体試料の蛍光特性を示す。
【図20】実験番号6−3の焼結体試料の蛍光特性を示す。
【図21】実験番号6−4の焼結体試料の蛍光特性を示す。
【図22】実験番号5−3の試料についての粉末X線回折チャートを示す。
【出願人】 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
【出願日】 平成18年9月15日(2006.9.15)
【代理人】 【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔

【識別番号】100097504
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 純雄


【公開番号】 特開2008−69050(P2008−69050A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−250198(P2006−250198)