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【発明の名称】 乾燥剤原料およびその製造方法
【発明者】 【氏名】松本 泰道

【氏名】坂本 達宣

【氏名】高木 泰憲

【要約】 【課題】高い吸湿性を保持しつつ、水との急激な反応および高熱の発生を抑制することができる乾燥剤原料およびその製造方法を提供する。

【構成】炭酸カルシウムを80質量%以上93質量%以下、アルカリ土類金属の塩、あるいはアルカリ土類金属の塩およびアルカリ金属の塩を7質量%以上20質量%以下で含む混合物を作製したのち、この混合物を焼成する。高い吸湿性を保持しつつ、30℃の環境下、質量が100g以上であるとき、その質量に対して18質量%の水との反応による発熱最高温度が65℃以下となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸カルシウムを80質量%以上93質量%以下、アルカリ土類金属の塩、あるいはアルカリ土類金属の塩およびアルカリ金属の塩を7質量%以上20質量%以下で含む混合物を焼成することにより、
30℃の環境下、質量が100g以上であるとき、前記質量に対して18質量%の水との反応による発熱最高温度が65℃以下である
ことを特徴とする乾燥剤原料。
【請求項2】
200メッシュの篩を通過する粒径75μm以下の状態において、平均孔径が1.7μm以上4.2μm以下である孔を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の乾燥剤原料。
【請求項3】
200メッシュの篩を通過する粒径75μm以下の状態において、0.04m/g以上1.87m/g以下の比表面積を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の乾燥剤原料。
【請求項4】
炭酸カルシウムを80質量%以上93質量%以下、アルカリ土類金属の塩、あるいはアルカリ土類金属の塩およびアルカリ金属の塩を7質量%以上20質量%以下で含む混合物を作製する混合物作製工程と、
前記混合物を焼成する焼成工程と
を含むことを特徴とする乾燥剤原料の製造方法。
【請求項5】
前記アルカリ土類金属の塩は、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、フッ化マグネシウム、リン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、フッ化カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、リン酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、炭酸バリウム、塩化バリウム、硝酸バリウム、硫酸バリウム、フッ化バリウム、リン酸バリウム、水酸化バリウムからなる群のうち少なくとも1種を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の乾燥剤原料の製造方法。
【請求項6】
前記アルカリ金属の塩は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、硫化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、ケイ酸カリウム、水酸化カリウム、フッ化カリウム、硫化カリウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、水酸化リチウム、フッ化リチウム、および窒化リチウムからなる群のうち少なくとも1種を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の乾燥剤原料の製造方法。
【請求項7】
前記混合物を1050℃以上の温度で焼成する
ことを特徴とする請求項4に記載の乾燥剤原料の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸カルシウムを含む混合物を焼成することにより得られる乾燥剤原料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生石灰(CaO;酸化カルシウム)を含む乾燥剤は、乾燥能力が高く、値段も安価であることから、食品の保存など広く一般に用いられている。しかし、この乾燥剤に含まれる生石灰は水との急激な反応により高熱を発生する虞があることから、特に食品保存用として用いる場合にはより安全性の高いものが求められている。また、この乾燥剤を一般ゴミとして廃棄する場合にも発熱しないようにして廃棄する必要があるなどの取り扱い性の向上も求められている。
【0003】
なお、生石灰の水との反応性を抑制する方法としては、例えば、生石灰を高温で焼成して気孔率が小さく粒径が大きい結晶に変質させる方法、生石灰粒子の表面を油類で被覆する方法、あるいは生石灰に塩類を添加する方法などがある。中でも、生石灰に塩類を添加する方法においては、塩類としてアルカリ金属塩を用いることにより(例えば、非特許文献1,2参照)、高熱の発生を抑制できるとしている。
【非特許文献1】笠井 順一、塚田 精司、アルカリ金属酸化物を含む生石灰の水和に関する研究、「石膏と石灰」、1956年、第21号、p.1113−1116
【非特許文献2】エイ.エイチ.ホワイト(A.H.White) 、アール.エム.トゥルー(R.M.True)、“インダストリアル アンド エンジニアリング ケミストリー(INDUSTRIALAND ENGINEERING CHEMISTRY)”、1925年、17巻5号、p.520−521
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような方法によって改質された生石灰は、水との急激な反応および高熱の発生については改善されてきているものの、乾燥剤原料としては、まだ十分ではなく、更なる発熱特性の向上が要求される。また、乾燥剤原料として用いる場合には、一定以上の吸湿性が要求されるものであり、少なくとも現状程度の吸湿性を保持しつつ発熱特性を大幅に改善できる乾燥剤原料(生石灰)の製造が望まれている。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、水との急激な反応および高熱の発生を抑制しつつ、高い吸湿性を保持する乾燥剤原料およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による乾燥剤原料は、炭酸カルシウムを80質量%以上93質量%以下、アルカリ土類金属の塩、あるいはアルカリ土類金属の塩およびアルカリ金属の塩を7質量%以上20質量%以下で含む混合物を焼成することにより、30℃の環境下、質量が100g以上であるとき、その質量に対して18質量%の水との反応による発熱最高温度が65℃以下であるものである。
【0007】
本発明による乾燥剤原料の製造方法は、炭酸カルシウムを80質量%以上93質量%以下、アルカリ土類金属の塩、あるいはアルカリ土類金属の塩およびアルカリ金属の塩を7質量%以上20質量%以下で含む混合物を作製する混合物作製工程と、この混合物を焼成する焼成工程とを含むものである。
【0008】
アルカリ土類金属の塩は、例えば、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、フッ化マグネシウム、リン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、フッ化カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、リン酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、炭酸バリウム、塩化バリウム、硝酸バリウム、硫酸バリウム、フッ化バリウム、リン酸バリウム、水酸化バリウムからなる群のうち少なくとも1種を含むものである。
【0009】
アルカリ金属の塩は、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、硫化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、ケイ酸カリウム、水酸化カリウム、フッ化カリウム、硫化カリウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、水酸化リチウム、フッ化リチウム、および窒化リチウムからなる群のうち少なくとも1種を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の乾燥剤原料によれば、炭酸カルシウムを80質量%以上93質量%以下、アルカリ土類金属の塩、あるいはアルカリ土類金属の塩およびアルカリ金属の塩を7質量%以上20質量%以下で含む混合物を焼成することにより、高い吸湿性を保持しつつ、30℃の環境下、質量が100g以上であるとき、その質量に対して18質量%の水との反応による発熱最高温度を65℃以下の低温に抑えることができる。従って、例えば高い安全性が要求される食品保存用として好適に用いることができる。
【0011】
本発明の乾燥剤原料の製造方法によれば、炭酸カルシウムを80質量%以上93質量%以下、アルカリ土類金属の塩、あるいはアルカリ土類金属の塩およびアルカリ金属の塩を7質量%以上20質量%以下で含む混合物を作製したのち、この混合物を焼成するようにしたので、高い吸湿性を保持しつつ、水との急激な反応が抑制されると共に発熱温度の低い乾燥剤原料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本実施の形態に係る乾燥剤原料の製造方法について説明する。
【0013】
まず、炭酸カルシウム粉末と、アルカリ土類金属の塩と、アルカリ金属の塩とを混合して混合物を調製する。その際、炭酸カルシウム粉末の含有量を、混合物に対して80質量%以上93質量%以下、アルカリ土類金属の塩とアルカリ金属の塩との合計の含有量を、混合物に対して7質量%以上20質量%以下、より好ましくは10質量%以上20質量%以下とする。10質量%以上20質量%以下の範囲において、より発熱温度を低くすることができるからである。また、このとき、アルカリ金属の塩は混合せずに、混合物を調整するようにしてもよい。少なくとも炭酸カルシウムとアルカリ土類金属の塩とを含んでいれば、作製する乾燥剤原料の発熱温度を抑制することができるからである。
【0014】
次いで、上記混合物を均一になるように攪拌する。その際、溶媒などを使用しない乾式によって混合物のみを攪拌するようにしてもよく、あるいはこの混合物に溶媒を加えた湿式によって攪拌するようにしてもよい。
【0015】
アルカリ土類金属の塩としては、例えば、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、フッ化マグネシウム、リン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、フッ化カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、リン酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、炭酸バリウム、塩化バリウム、硝酸バリウム、硫酸バリウム、フッ化バリウム、リン酸バリウム、水酸化バリウムからなる群のうち少なくとも1種を含むものを好適に用いることができる。
【0016】
アルカリ金属の塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、硫化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、ケイ酸カリウム、水酸化カリウム、フッ化カリウム、硫化カリウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、水酸化リチウム、フッ化リチウム、および窒化リチウムからなる群のうち少なくとも1種を含むものを好適に用いることができる。
【0017】
次に、作製した混合物を、900℃以上の温度で焼成する。これは、900℃以上の温度で、乾燥剤に含まれる酸化カルシウムが実質的に生成されるからである。例えば、量産でのロータリーキルン等により、粒径が1〜3mm程度の小さな原料の焼成を行う場合には、900℃程度の温度でも短い焼成時間で酸化カルシウムを生成させることが可能である。
【0018】
また、好ましくは1050℃以上、より好ましくは1050℃以上1300℃以下である。1050℃以上で焼成することにより、作製した乾燥剤原料の水との急激な反応および発熱最高温度を、より低減しやすくなる。一方、焼成温度が1300℃よりも高くなると、発熱温度が100℃を超えやすくなってしまう傾向がある。なお、「焼成」とは、炭酸カルシウムとアルカリ土類金属の塩等とを混合した混合物の熱処理法である。このような焼成法としては、公知の手法、例えば雰囲気焼成法、反応焼成法等が利用可能である。
【0019】
このようにして作製した乾燥剤原料は、炭酸カルシウムと、アルカリ土類金属の塩等を所定の含有量で含む混合物を焼成することにより生成される生石灰(CaO)の結晶とカルシウムを含有する非晶質とを含んでいる。
【0020】
これにより、高い吸湿性を保持しつつ、水との急激な反応が抑制され、30℃の環境下、質量が100g以上であるとき、その質量に対して18質量%の水との反応による発熱最高温度を65℃以下に保つことができる。従来の乾燥剤原料では環境温度が高いほどあるいは水と反応する乾燥剤原料の量(質量)が多いほど発熱温度は著しく高くなるが、本実施の形態の乾燥剤原料は、その質量が100g以上であると共に30℃の環境下であっても発熱温度を低く抑えることができる。従って、当然のことながら、30℃以下あるいは乾燥剤原料の量が少ない条件下では、発熱温度をより低く抑えることが可能である。
【0021】
また、この乾燥剤原料は、200メッシュの篩を通過した粒径75μm以下の状態においては、平均孔径が1.7μm以上4.2μm以下である孔を有している。この平均孔径は、水銀圧入(ポロシメータ)法により得られるもので、乾燥剤原料の孔に圧入させた水銀量から求められるものである。この乾燥剤原料では、炭酸カルシウムのみを焼成して得られる硬焼石灰あるいは炭酸カルシウムとアルカリ金属の塩との混合物を焼成して得られる従来の乾燥剤原料(生石灰等)に比べて、平均孔径が大きくなっている。これは、アルカリ金属の塩等に比べてアルカリ土類金属の塩は低融点であるため、より低温の状態から固体が液体に変化し、結晶粒子の成長および粒子表面の改質が促進されるためと考えられる。
【0022】
さらに、この乾燥剤原料は、200メッシュの篩を通過する粒径75μm以下の状態において、0.04m/g以上1.87m/g以下の比表面積を有している。この比表面積についても、上記水銀圧入法により求められ、平均孔径と共に測定可能である。なお、この乾燥剤原料は、200メッシュの篩を通過した粒径75μm以下の状態において、所定の平均孔径および比表面積を有するものであるので、例えば、この乾燥剤原料を更に造粒加工して作製したものであっても、上記の状態にすることにより、同一のものと特定可能である。
【0023】
このような所定の平均孔径および比表面積を有していることにより、水との急激な反応や発熱温度の抑制および高吸湿性の保持に有利となる。これは、各粒子が中実な構造および滑らかな表面を有していると想定することができ、この粒子の外部から水が浸透して緩やかに水和反応が起こり、この水和反応による発熱と空冷による放熱とのバランスが保たれるからである。なお、「中実」とは、上記粒子を構成する更に小さな微粒子同士が、水の分子が進入することが困難な程度にまで密接している状態を表すものである。
【0024】
上記のようにして作製した乾燥剤原料では、炭酸カルシウムと、アルカリ土類金属の塩およびアルカリ金属の塩のうち少なくともアルカリ土類金属の塩とを、所定の含有量で混合して混合物を調整したのち、この混合物を焼成することにより作製するようにしたので、高い吸湿性を保持しつつ、水との急激な反応が抑制され、発熱温度が低減される。また、量産時には、より低い温度かつ短い時間で焼成を行うことができるため、製造プロセスにおける効率性およびハンドリング性が向上する。従って、例えば、造粒加工したのち、透湿性フィルムなどからなる包材内に封入することにより、高い安全性が要求される食品保存用の乾燥剤として好適に用いることが可能となる。
【0025】
以下、具体的な実施例について詳細に説明する。
【0026】
(実施例1−1〜1−5、比較例1−1)
実施例1−1〜1−5として、乾燥剤原料を以下のように作製した。
【0027】
まず、炭酸カルシウム(CaCO)粉末と、水酸化マグネシウム(Mg(OH))粉末と、炭酸ナトリウム(NaCO)粉末とを混合して混合物を調製した。その際、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウムの含有量を、それぞれ混合物に対して、実施例1−1では90.5質量%,1.5質量%,8質量%とし、実施例1−2では90.5質量%,3.5質量%,6質量%とし、実施例1−3では90.5質量%,1.5質量%,8質量%とし、実施例1−4では93質量%,3.5質量%,3.5質量%とし、実施例1−5では93質量%,1.5質量%,5.5質量%となるように調整した。
【0028】
次いで、これらの混合物をそれぞれ均一になるように混ぜ合わせた後、実施例1−1では1050℃、実施例1−2〜1−5では1100℃の温度で1時間焼成し、室温まで冷却することにより乾燥剤原料を得た。
【0029】
作製した実施例1−1〜1−5の乾燥剤原料について、吸湿特性1および吸湿特性2を評価した。その際、作製した乾燥剤原料を1〜3mmの粒径に造粒したもの(以降、本実施例において造粒物という)を用いた。図1に吸湿特性1、図2に吸湿特性2について示す。
【0030】
〈吸湿特性1〉
10gの造粒物を、透湿性フィルムからなる包材(8cm×10cm)に封入することにより乾燥剤パッケージを作製し、このときの質量(g)(投入前の質量)を測定した。すなわち、この乾燥剤パッケージを温度25℃で湿度80%の恒温恒湿器中に投入し、24時間毎に乾燥剤パッケージの質量(g)を測定し、毎回測定される質量から投入前の質量を差し引いて得られる吸湿量(g)の経時変化を求めることにより、吸湿特性1の評価を行った。
【0031】
〈吸湿特性2〉
10gの造粒物を和紙で包んだ乾燥剤パッケージと、温度および湿度を測定するためのデーターロガーとをポリプロピレン製の包材(15cm×21cm)に入れて密封した。次いで、この包材を温度25℃および湿度80%の恒温恒湿機内に投入し、包材内の湿度(%RH)の経時変化を求めることにより、吸湿特性2の評価を行った。
【0032】
図1および図2の結果から、炭酸カルシウムと水酸化マグネシウムと炭酸ナトリウムとの混合物を焼成して作製した実施例1−1〜1−5の造粒物では、経時的な吸湿特性が良好な結果を示しており、乾燥剤原料として高い吸湿性を有していることがわかる。
【0033】
また、実施例1−1〜1−3および比較例1の乾燥剤原料について、発熱特性を評価した。その際、吸湿特性1,2の評価に用いたものと同様のもの、すなわち、粒径1〜3mmの造粒物を用いた。この結果を図3に示し、特に発熱時の最高温度(発熱最高温度)については、表1に示す。
【0034】
【表1】


【0035】
〈発熱特性〉
30℃の環境中において、100gの造粒物と水温30℃の水18g、すなわち、100gの造粒物(乾燥剤原料)に対して18質量%の水を350mlのスチール缶に入れて乾燥剤原料の温度を測定した。そののち、12時間経過するまで5分毎に造粒物の温度を測定し、その経時変化を求めることにより発熱特性の評価を行った。
【0036】
図3の結果から、炭酸カルシウムと水酸化マグネシウムと炭酸ナトリウムとを所定の含有量で混合した混合物を焼成して作製した実施例1−1〜1−5の造粒物では、測定開始から常時、発熱温度は65℃以下に留まり、いずれの実施例においても、平均して低い温度が保持されていることがわかる。
【0037】
さらに、作製した実施例1−1〜1−5の乾燥剤原料について、水銀圧入法により平均孔径および比表面積を測定した。その際、作製した乾燥剤原料を200メッシュの篩にかけてこの篩を通過した粒径75μm以下のもの(以降、本実施例において分粒物という)を用いた。これらの結果についても表1に示す。
【0038】
〈水銀圧入法〉
1gの分粒物を容器に入れ、この容器を測定装置(アムコ社製,ポロシメーター2000型)内にセットし、内部をほぼ真空になるまで減圧した。次いで、水銀圧入法により平均孔径および比表面積を求めた。なお、測定装置としては、測定可能な孔径範囲が3.7nm〜7,500nmであるものを用いた。
【0039】
また、実施例1−1〜1−5の比較例1−1として、炭酸カルシウム粉末を1100℃の温度で焼成することにより、乾燥剤原料を作製した。この比較例1−1の乾燥剤原料についても、実施例1−1〜1−5と同様にして、発熱特性を評価し、水銀圧入法により平均孔径および比表面積を測定した。これらの結果を、実施例1−1〜1−5の結果と共に表1に示す。なお、発熱特性については、発熱時の最高温度についてのみ示す。
【0040】
表1に示したように、アルカリ土類金属の塩を混合せずに作製した比較例1−1の乾燥剤原料に対し、実施例1−1〜1−5の乾燥剤原料では、平均孔径と比表面積が所定の範囲内となり、発熱時の最高温度が所定の条件下で65℃以下となっている。これは、水と乾燥剤原料とが直接接触する面積が適切な大きさとなり、乾燥剤原料と水との急激な水和反応が抑制され、この水和反応による発熱と空冷による放熱とのバランスが保たれるからと考えられる。
【0041】
以上により、炭酸カルシウムの含有量を80質量%以上93質量%以下、アルカリ土類金属の塩、あるいはアルカリ土類金属の塩およびアルカリ金属の塩を7質量%以上20質量%以下で含む混合物を焼成して得られた実施例1−1〜1−5の乾燥剤原料は、所定の平均孔径およびの比表面積を有していることにより、高い吸湿特性を有し、また、水との急激な反応および高熱の発生を抑制することができることが分かった。具体的には、30℃の環境下、乾燥剤原料の質量が100g以上であるとき、それに対して18質量%の水との反応による発熱温度を65℃以下に抑制することができることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施例に係る乾燥剤原料の吸湿特性1を表した図である。
【図2】本発明の実施例に係る乾燥剤原料の吸湿特性2を表した図である。
【図3】本発明の実施例に係る乾燥剤原料の発熱特性を表した図である。
【出願人】 【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
【識別番号】392012283
【氏名又は名称】有限会社坂本石灰工業所
【出願日】 平成18年8月3日(2006.8.3)
【代理人】 【識別番号】100098785
【弁理士】
【氏名又は名称】藤島 洋一郎

【識別番号】100109656
【弁理士】
【氏名又は名称】三反崎 泰司


【公開番号】 特開2008−37681(P2008−37681A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−212047(P2006−212047)