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【発明の名称】 無機粒子その製造方法およびその製造プラント並びにそれを使用した紙。
【発明者】 【氏名】小川 裕一

【氏名】花房 芳樹

【氏名】岸田 隆之

【氏名】平林 哲也

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラッジを原料として熱処理装置の一方の端部に設置されるスラッジ供給口から供給し、該スラッジ供給口に対してスラッジ移動方向にあたる反対側の端部に設置されるスラッジ排出口から取り出す間に空気雰囲気下で間接的加熱方法により熱処理する熱処理工程を備える無機粒子の製造方法であって、その熱処理工程の際に未燃焼物搬送用空気流を該熱処理装置から排出することにより未燃焼物を該未燃焼物搬送用空気流に載せて取り出し、スラッジから除去することを特徴とする無機粒子の製造方法。
【請求項2】
前記熱処理装置が筒型であることを特徴とする請求項1記載の無機粒子の製造方法。
【請求項3】
前記熱処理装置が単一の直管状筒型炉からなることを特徴とする請求項1または2記載の無機粒子の製造方法。
【請求項4】
未燃焼物が炭化物粒子であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の無機粒子の製造方法。
【請求項5】
前記熱処理工程において、前記スラッジ供給口の近傍から未燃焼物搬送用空気流を強制的に排出することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の無機粒子の製造方法。
【請求項6】
前記未燃焼物搬送用空気流の元空気を前記熱処理装置のスラッジ排出口の近傍に設けた空気供給口から吸入することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の無機粒子の製造方法。
【請求項7】
前記熱処理工程が、スラッジ温度600〜850℃で処理することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の無機粒子の製造方法。
【請求項8】
前記熱処理工程で、スラッジ中の炭酸カルシウムを50%を超えて分解することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の無機粒子の製造方法。
【請求項9】
前記熱処理工程の後に、該熱処理工程で得られた焼成物を水と混合、攪拌し、焼成物懸濁液とする焼成物懸濁液化工程と、焼成物懸濁液に二酸化炭素を接触させる炭酸化工程と、を更に備えたことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の無機粒子の製造方法。
【請求項10】
スラッジを筒型熱処理装置の筒軸方向の端部のスラッジ供給口から供給し、該スラッジ供給口に対して筒軸方向について反対側の端部に設置されるスラッジ排出口から取り出す間に空気雰囲気下で間接的加熱方法により熱処理する筒型熱処理装置であって、未燃焼物搬送空気流を発生するための排気手段を該スラッジ供給口近傍に有し、未燃焼物を熱処理後の焼成物スラッジから載せて取り出すように未燃焼物搬送空気流を排出するように構成した熱処理装置を備えることを特徴とする無機粒子の製造プラント。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された無機粒子。
【請求項12】
請求項11記載の無機粒子を填料として使用した紙。
【請求項13】
請求項11記載の無機粒子を顔料として使用した塗被紙。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、スラッジの再利用に関し、塗工用顔料や製紙用填料としての適性を有するスラッジを原料とする無機粒子の製造方法およびその製造プラント並びにそれを使用した紙に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保全の観点から生産に伴う活動からの産業廃棄物削減を余儀なくされている。製紙業界においても、ペーパースラッジの処理が問題となってきている。
ペーパースラッジとは、製紙工場の各種工程から排出される廃水として、(1)パルプ化工程での洗浄過程で発生した廃水、(2)古紙処理工程の混入異物除去、脱墨浮選処理、および洗浄処理過程で発生した廃水、(3)紙製造時に原料損失分として抄紙用ワイヤー等を通過して流出した廃水、および(4)生物廃水処理工程の廃水などの各種廃水が挙げられるが、これら廃水に対してスラッジ回収処理として、凝集・沈殿・濃縮・脱水等の工程を適宜組合せて行って、各廃水が含有する固形分をスラッジとして回収したものである。前記した各種廃水は個別にスラッジ回収処理を行って、脱墨スラッジ、塗工紙製造系スラッジ、生物処理余剰汚泥などの各種スラッジを個別回収する場合もあるが、一般的には前記した製紙工場から排出される各種工程スラッジを総称してペーパースラッジ(製紙スラッジ)と呼ぶ。
このペーパースラッジには、製紙工場廃水由来の各種成分が含まれており、例えば、パルプ化工程で洗い出されたリグニンや微細繊維、原料損失分由来のパルプなどの繊維分、澱粉や合成接着剤を主とする有機物、塗工紙用顔料や内添填料を主とする無機物、および古紙由来の印刷インキ等が含まれている。
【0003】
さらに、近年、古紙利用率の高まりとともに、古紙の脱墨工程由来のペーパースラッジが多くなってきている。その中で、新聞古紙や上質古紙は古紙中に含まれる無機物(無機顔料)が少ないのでペーパースラッジ発生量が比較的少なく、その利用率が高いのに対し、雑誌古紙は古紙に含まれる無機物が多く、その結果ペーパースラッジ発生量が多くなる。このことは、新聞古紙や上質古紙に比べて雑誌古紙の利用率が低いことの一因となっている。今後、古紙利用を一層促進するためには、雑誌古紙の利用率向上が必要となるが、反面その利用率が高まると、ペーパースラッジの発生量が増えるという新たな問題が発生する。
【0004】
製紙工場から発生したペーパースラッジは、従来は、産業廃棄物として、そのまま埋め立て処分されることが多かったのに対し、最近は流動床炉やストーカ炉等の焼却炉でスラッジ中の有機物を燃焼させてエネルギーとして回収すると同時に、ペーパースラッジの減容化が図られている。しかし、ペーパースラッジ中には無機物も含まれるため、燃焼後には多量の残渣(焼却灰)が残るという問題がある。現在、焼却灰の一部はセメントに混合されたり、製鉄の酸化防止剤、土壌改良剤等にも使用されているが、大半は産業廃棄物として埋め立て処分されている。今後、古紙の再利用が進むにつれて、極めて大量のペーパースラッジが発生して、廃棄物処理が次第に困難になることが予想され、また、年々高騰している処理費用が紙パルプ工業の収益を圧迫することも予想される。このため、古紙を再生している製紙業界においては、ペーパースラッジの問題は極めて深刻で、その対策の一環としてその有効活用が強く求められている。このため、ペーパースラッジ焼却灰(無機物)を製紙用材料である製紙用填料や塗工用顔料として、再利用することが出来れば、産業廃棄物の削減のみならず、古紙利用率の向上にも結びつけることができ、環境対策上の問題も解消することができる。しかしながら、これらの焼却灰は白色度が低く、硬度が高いため製紙用材料としてそのまま使用できないのが現状である。
【0005】
このような社会的環境を理由にペーパースラッジを製紙用材料へ再生、再利用するための方法が多数検討されている。
スラッジを焼却炉で焼却した焼却灰を再燃焼させることにより、未燃焼カーボンを燃焼させスラッジ焼却灰の白色度を向上させる方法(特許文献1)、スラッジ中の有機材料の燃焼を生じさせ、有機物質を含まない無機材料を製造する方法(特許文献2)、流動床炉を使用して燃焼させ未燃カーボンが少ないスラッジ焼却灰を分取し、使用する方法(特許文献3)、ペーパースラッジを成形し、内燃式ロータリーキルンなどで焼却し、粉砕する方法(特許文献4、5)、ペーパースラッジを造粒、成形し、ロータリーキルン内で乾燥、炭化、焼成段階で有機分を効率良く燃焼させ焼却灰を得、粉砕と同時に炭酸ガスで中和する方法(特許文献6)が提案されている。これらの方法の熱処理工程は、いずれも高白色度の焼成品を得ようとして有機物中の黒色の炭化物を焼成炉内で完全に燃焼させているため、無機成分が焼結硬化し、摩耗性が悪化してしまう。また、無機成分の高硬度化合物の発生を防止するために低温で焼成した場合は長時間の処理が必要であり、多量のペーパースラッジを処理するためには大きな装置となり経済的ではない。
【0006】
そこで、有機物中の黒色の炭化物を効率よく燃焼させるために、ペーパースラッジを一次燃焼後、粗粉砕し、二次燃焼において残留した有機分を燃焼させ、さらに粉砕する方法(特許文献7)、一次燃焼を着火機能とし、二次燃焼においては酸素との接触を促進させながら燃焼する方法(参考文献8)、ペーパースラッジの有機化合物を焼却する第一段階と、過剰の酸素供給下で残留炭質物質を焼却する第二段階の熱処理後、熱処理生成物を水性懸濁液にし、二酸化炭素を吹き込む方法(特許文献9)、ペーパースラッジを乾燥後、燃焼炉で有機分を完全に燃焼させ粗粉砕あるいは微粉砕後に水分散液とし、二酸化炭素ガスを吹き込む方法(特許文献10)といった多段燃焼、燃焼の間に粉砕処理するといった方法が提案されている。また、炭酸カルシウムの分解の抑制と白色度を両立させるために、炭素成分を燃焼させる際に二酸化炭素を吹き込む方法(特許文献11)も提案されている。しかしながら、これらの方法はスラッジに含まれる炭酸カルシウムを熱処理時に分解させないように工夫されているため、熱処理工程の装置が煩雑になったり、多くのコストとエネルギーを必要とする場合があり、経済的ではない。
【0007】
ペーパースラッジからの再生無機粒子の硬度を低減させるために、スラッジ中の炭化水素物質が酸化される高い温度で焼却した灰粒子と水酸化カルシウムとのスラリーを作製し、スラリーを炭酸塩化して、灰粒子の表面に炭酸カルシウムを沈降させた複合粒状物質を製造する方法(特許文献12)が提案されている。しかしながら、これらの焼成灰を核とした軽質炭酸カルシウムの被覆は、高度かつ複雑な操作や管理が必要となる。また、原料となる焼却灰の影響により最終製品の特性が変化し、品質が安定しないといった問題がある。
【0008】
再生無機粒子の硬度を低減させるその他の方法としては、焼却灰をアルカリ金属化合物と混合焼成することで高硬度化合物の生成を防止でき、混合焼成物を酸処理し、非晶質シリカ微粒子を製造する方法(特許文献13)が提案されている。焼却灰をケイ酸を含むアルカリ溶液中に浸漬し、これを酸により中和することで、焼却灰をケイ酸などに包含させた多孔性粒体を製造する方法(特許文献14)が提案されている。これらの方法は、スラッジを機能性材料に変換することで再利用は可能にするが、大量のペーパースラッジを処理するまでには至らず、廃棄物処理量を大幅に減少させることはできない。
【0009】
これらペーパースラッジを再利用する技術、方法は、多くのコストとエネルギーを必要とする場合があり、製紙用材料としての品質に達していないことも多い。これらの技術、方法を応用して製品をつくることは、企業の環境活動促進としての観点以外に、あまりメリットがないのが現状である。
【0010】
【特許文献1】特開平11−310732号公報
【特許文献2】特表平10−505055号公報
【特許文献3】特開2001−11337号公報
【特許文献4】特開2002−167523号公報
【特許文献5】特許3611830号公報
【特許文献6】特開2004−176208号公報
【特許文献7】特開2001−262002号公報
【特許文献8】特開2005−53984号公報
【特許文献9】特開平10−29818号公報
【特許文献10】特開2002−356629号公報
【特許文献11】特開2004−262701号公報
【特許文献12】特許3274141号公報
【特許文献13】特開2001−348510号公報
【特許文献14】特開2003−71404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、工業的なプラントまたはプロセスから排出されるスラッジ、特に製紙工場から排出されるペーパースラッジを製紙用材料である塗工用顔料や製紙用填料用の無機粒子として大量に再利用できるように、効率的な無機粒子の製造方法それを利用した製造プラント並びにそれを使用した紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、スラッジを原料として熱処理装置の端部に設置されるスラッジ供給口から供給し、該スラッジ供給口に対して反対側の端部に設置されるスラッジ排出口から取り出す間に空気雰囲気下で間接的加熱方法により熱処理する熱処理工程を備える無機粒子の製造方法であって、その熱処理工程の際に未燃焼物搬送用空気流を該熱処理装置から排出することにより未燃焼物を該未燃焼物搬送用空気流に載せて取り出し、スラッジから除去することを特徴とする無機粒子の製造方法。
前記熱処理装置を筒型熱処理装置とすることで、熱処理装置を小規模化することできるので好ましい。さらに、筒型熱処理装置の内部を分割することで、スラッジ積層・堆積が低減するため、より多くのスラッジ処理でき、熱処理装置をより小規模化することができるので好ましい。
さらに、前記熱処理工程において、前記スラッジ供給口の近傍から未燃焼物搬送用空気流を強制的に排出することが未燃焼物を効果的に未燃焼物搬送用空気流に載せて取り出す上で好ましい。
さらに、前記未燃焼物搬送用空気流の元空気を前記熱処理装置のスラッジ排出口の近傍に設けた空気供給口から吸入することが未燃焼物を効果的に未燃焼物搬送用空気流に載せて取り出す上で好ましい。
さらに、前記熱処理工程が、スラッジ温度600〜850℃で処理することが熱処理すなわちスラッジの燃焼を適切に行う上で好ましい。
さらに、前記熱処理工程で処理されたスラッジ中の炭酸カルシウムを50%を超えて分解することが好ましい。
さらに、前記熱処理工程の後に、該熱処理工程で得られた焼成物を水と混合、攪拌し、焼成物懸濁液とする焼成物懸濁液化工程と、焼成物懸濁液に二酸化炭素を接触させる炭酸化工程と、を更に備えると、得られる無機粒子を塗工用顔料、製紙用添料として利用する上で好ましい。
本発明の無機粒子は以上のような製造方法によって製造された無機粒子であり、製紙用材料である塗工用顔料や製紙用填料用の無機粒子として好ましい。
本発明の製造プラントは、スラッジを筒型熱処理装置の筒軸方向の端部のスラッジ供給口から供給し、該スラッジ供給口に対して筒軸方向について反対側の端部に設置されるスラッジ排出口から取り出す間に空気雰囲気下で間接的加熱方法により熱処理する筒型熱処理装置であって、未燃焼物搬送空気流を発生するための排気手段を該スラッジ供給口近傍に有し、未燃焼物を熱処理後の焼成物スラッジから載せて取り出すように未燃焼物搬送空気流を排出するように構成した熱処理装置を備える無機粒子の製造プラントである。
本発明は、前記無機粒子を填料として使用した紙である。また、前記無機粒子を顔料として使用した塗被紙である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1〜9に係わる無機粒子の製造方法ならびに請求項10に係わる製造プラントによれば、多量のスラッジを原料として効率的な熱処理により、高白色度で且つ高硬度合成物を含まず製紙用填料や塗工用顔料として好適な無機粒子を得ることができる。
すなわち、スラッジ焼成灰の白色度の低下は主として混入した黒色の炭化物粒子に起因するが、このような炭化物粒子が原料のスラッジ中に含まれていても、常識的には熱処理工程でスラッジと共に出口まで移送される間に燃焼して炭酸ガスとして焼失するはずである。しかるに、従来方法で得られたスラッジ焼成灰中に炭化物粒子が残留するのは、熱処理内の気相中に飛散浮遊した炭化物粒子が燃焼する間もなく一足飛びに出口付近に達し、出口から排出される熱処理物に混ざり込むことによると考えられ、しかも炭化物粒子はカーボンブラック等として原料のスラッジ中に元々存在するものに加えて、当該スラッジ中の有機物が熱処理工程で燃焼する際に煤として多量に発生するから、従来方法では熱処理物への未燃焼の炭化物粒子の混入が避けられなかったものと想定される。
【0014】
これに対し、本発明の請求項1〜9に係わる無機粒子の製造方法では、熱処理装置内の過剰空気雰囲気内で気相中に飛散した炭化物粒子が燃焼し易い上、浮遊する未燃焼の炭化物粒子は未燃焼物搬送用空気流に載って取り出されるから、熱処理物への未燃焼の炭化物粒子の混入を効果的に抑止できる。
そして、熱処理装置が請求項2のように筒型、特に請求項3のように単一の直管状筒型炉、更には回転キルン炉である場合、設備構成が簡素になる反面、スラッジ中の有機物比率が高く、それだけ激しい燃焼で煤発生量が多くなる熱処理工程の前半領域から出口までの空間が直通しているから、元来は熱処理物の未燃焼の炭化物粒子が混入し易いが、前記の未燃焼物空気流によって該混入が防止される。とりわけ、請求項5及び請求項6のような未燃焼物搬送用空気流の給排位置の設定により、未燃焼物搬送用空気流がスラッジの移動方向に対して向流になり、浮遊する未燃焼の炭化物粒子がスラッジ供給口側へ戻される形になるから、熱処理物への未燃焼の炭化物粒子の混入がより確実に防止される。なお、気相中に浮遊せずにスラッジに混ざって移送される炭化物粒子は出口に至るまでに燃焼・焼失する時間的余裕が得られるから、前記向流の未燃焼物搬送用空気流によってスラッジ供給口側へ戻される炭化物粒子がスラッジ中に移行しても支障はない。また、熱処理工程の後段ほどスラッジ中の有機物が減少し、それだけ燃焼に伴う煤発生量も少なくなるから、出口近くで浮遊する炭化物粒子がスラッジ中に移行して残留する懸念もない。
【0015】
一方、請求項7のように熱処理工程のスラッジ温度を600〜850℃に設定することにより、硬質の焼結物の生成を回避できる。請求項8のようにスラッジ中の炭酸カルシウムの50%以上が分解する熱処理条件とするので有機物の燃焼による焼失を確実にできる。また、請求項9のように熱処理工程後の焼成物懸濁液化工程と炭酸化工程をへることにより、熱処理工程での炭酸カルシウムの分解によって生成した酸化カルシウムを再び炭酸化カルシウムに戻すことができる。
【0016】
従って、これらの本発明の製造方法及び製造プラントで得られる請求項11の無機粒子は、高白色度で且つ高硬度合成物を含まず、製紙用填料及び塗工用顔料としての高い適性を持つ。そして、このような無機粒子を含有した塗被液を塗布した請求項13の塗被紙は、優れた表面平滑性、不透明度、速いインキセットを得ることができる。また、無機粒子を填料として用いた請求項12の紙は、不透明度、嵩高性に優れるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の製造方法の基本的なフローを図1について説明する。
図1は本発明のスラッジを原料とする無機粒子の製造方法の基本フローシートを示す図である。以下本基本フローシートに従って説明する。
【0018】
[スラッジ]
原料の製紙スラッジは、パルプ化工程、紙製造工程、古紙再生工程などの製紙工場の各種工程から排出される廃水に対してスラッジ回収処理として、凝集・沈殿・濃縮・脱水等の工程を適宜組合せて行って、各廃水が含有する固形分を回収したもの(製紙スラッジ各種)を、単独、または混合して適宜原料スラッジとして用いることができる。
【0019】
このうち古紙再生工程からのスラッジについては、古紙脱墨工程の加圧浮上(フローテーション、または浮選)および/または洗浄によって古紙パルプから分離排出される脱墨廃液に対して凝集および脱水処理を行い、脱墨排水中の固形分を脱墨スラッジとして回収することが推奨される。また、白色度の低い古紙原料からスラッジを回収する場合には、古紙再生工程における脱墨処理及び浮選処理を充分に行い、カーボンブラックなどを含むインク粒子をできるだけ除去しておくのがよく、必要に応じて複数回のスラッジの加圧浮上工程および/または洗浄工程を追加することもできる。また、古紙脱墨工程から回収する脱墨スラッジについては、上質古紙、新聞古紙、雑誌(塗工紙系)古紙などに分別して古紙種類毎の脱墨スラッジを調製し、必要に応じてこれらの古紙種類別脱墨古紙を単独、または混合して適宜原料スラッジとして用いることができる。
【0020】
なお、製紙スラッジ中の無機成分(灰分)は、製紙用填料や塗工紙用顔料に由来するカオリン(クレー)および炭酸カルシウムが無機成分全体の約9080〜95重量%を占める主成分であり、タルク、二酸化チタンなどが少量混在している。前記無機成分の主成分であるカオリン、および炭酸カルシウムの比率は処理する古紙の種類等によって多少のばらつきはあるが、概ねカオリン/炭酸カルシウムの重量比で30/70〜70/3020/80〜80/20の範囲である。また、上記無機成分(灰分)中のカルシウム(CaO換算)、アルミニウム(Al換算)およびケイ素(SiO換算)のそれぞれの含有比率(カルシウム/アルミニウム/ケイ素)は、13〜73/12〜40/15〜47である。
また、製紙スラッジ中の有機成分、および無機成分の比率は、処理する古紙の種類や脱墨工程程度によって多少は変動するが、概ね無機成分/有機成分の重量比で30/70〜80/20の範囲である。
【0021】
スラッジとは別に、製紙用材料として再利用が困難な低級な古紙やそれに付随するプラスチックを主としたRPF(Refused Paper & Plastic Fuel)を原料として使用することもできる。
【0022】
各種工程の廃水から原料スラッジを固形分として回収する方法としては、濾過、遠心分離、加圧脱水、圧搾等の方法が挙げられ、前記各種方法を組合せて所要の含水率の製紙スラッジを得る。好適な濾過装置としては、ロータリースクリーンと称される濾過装置があり、また脱水装置としては、スクリュープレスと称される加圧・圧搾脱水装置があり、これらの濾過装置、圧搾装置を単独、または適宜組合せて用いることができる。
【0023】
[乾燥工程]
本発明では、熱処理工程で用いられるに用いるスラッジの固形分濃度は特に限定はないが、熱処理工程中のエネルギーコストを低減する観点から、また熱処理装置を小さくする観点から、スラッジの固形分濃度はなるべく高くした方が好ましいので、70%以上にするのがよい。しかるに、前記の脱水工程のみでは、脱水装置機の能力によって異なるものの、固形分濃度は概ね5〜60質量%程度であるため、更に乾燥処理して固形分濃度を高めることが推奨される。
【0024】
スラッジの固形分濃度を高くするために、図1に示すように、熱処理工程前にスラッジを乾燥する乾燥工程を設けることが好ましい。乾燥工程で用いる乾燥機としては、特に限定はなく、直接加熱型ロータリーキルン、間接加熱型ロータリーキルン、気流乾燥機、流動層乾燥機、振動流動乾燥機、回転・通気回転乾燥機(サイクロン)などを用いることができる。また、これら乾燥機の熱源としては、後述する焼成処理工程の排熱を使用することにより、エネルギーコストを低減することが可能である。
【0025】
乾燥処理の温度は、気流乾燥機や回転・通気回転乾燥機のような熱風を利用して乾燥させる装置においては、スラッジの燃焼や炭化を防止するために熱風温度を600℃以下とすることが好ましく、250℃以下とすることが特に好ましい。この熱風温度が高過ぎては、スラッジが発火し、その際の焼成条件が適切でなければ、易燃焼性の有機成分が炭化して難燃焼性に変化する懸念がある。また、乾燥工程においては乾燥効率を向上させるために、スラッジを細かく解すことが好ましく、撹拌機や機械式ロール等により強制的にスラッジを解し、必要に応じてスラッジを300〜2000μm程度に分級して乾燥させることが好ましい。
【0026】
また本発明の熱処理工程で用いられるに用いるスラッジは、熱処理装置内にスラッジが積層された時に酸素と接触できる大きさ、形状であれば特に限定はない。しかし、スラッジを細かく、かつ大きさを均一にすると、スラッジが細密充填のように積層され、積層内に酸素が入り込まないため、有機物、特にカーボンの燃焼が不十分になり白色度が向上しない可能性がある。また、スラッジを大きくし過ぎると、カーボンを完全に燃焼することができず、スラッジ塊状の中心部に未燃カーボンが残存する可能性がある。以上のことから、本発明で用いられるスラッジは、長さまたは直径が2mm以上30mm以下の範囲の大きさのものを用いるのが好ましい。形状は、円柱状、球状、楕円、三角形、その他の多角形や、凹凸を有するものなどを用いることができる。
【0027】
前記した所望の大きさ、形状にスラッジを成形するために、造粒成形することも可能である。スラッジを造粒する方法は、ブリケットマシンやローラーコンパクター等の圧縮成形機を用いる方法、ディスクペレッターのような半乾式造粒機を用いる方法、転動造粒法や攪拌造粒法、押出成形法等がある。
【0028】
また前記のように造粒成形機を用いてスラッジを造粒させなくても、含水スラッジを乾燥機に投入あるいは乾燥スラッジを熱処理装置に投入する時のスクリューフィーダーなどで大きさを調整することも可能である。また、スラッジ乾燥機で大きさ、形状を調整することも可能である。
【0029】
[熱処理工程]
本発明の熱処理工程は、空気(酸素)雰囲気で行うことで、燃焼効率が向上するため、熱処理装置を小規模化、省力化することができる。その熱処理温度は、スラッジ中のカーボンブラック等のインク顔料や繊維およびポリマー等の有機物を安定して燃焼させる温度になるように後述の方法により制御される。
【0030】
このような熱処理工程に使用される熱処理装置の一例を図2に示した。図2は本発明の熱処理工程に使用される、間接的加熱型ロータリンキルンを使用した熱処理装置の構成図である。
熱処理工程の主要部となる焼成炉としては、特に限定はなく、トンネルキルン、ローラーハースキルン、プッシャーキルン、シャトルキルンのような箱型炉、縦型円筒炉、回転式横型円筒炉、スクリュー式横型円筒炉などを用いることができる。スラッジを供給する方式としてはバッチ式、連続式があるが、多量に処理できる連続式の方が好ましい。スラッジへの伝熱が良好で、加熱炉内のスラッジがより均一に表面に出ることができる回転式横型円筒炉あるいは流動させることが可能なスクリュー式横型円筒炉を用いることが好ましい。設備の維持の面から極力単純なもので駆動エネルギーが少ない、回転式横型円筒炉であるロータリーキルンが好ましい。ロータリーキルンの焼成室の形としては円筒型、六角型などを使用することができる。ロータリーキルンとしては、高砂工業(株)の外熱式連続ロータリーキルン、(株)栗本鉄工所の連続外熱式ロータリーキルンIRK型、(株)ノリタケエンジニアリングの間接加熱連続式ロータリーキルンRKC−SG型、岩佐機械工業(株)の外熱型ロータリーキルンなどを用いることができる。また、キルン炉内にリフターや回転駆動できる攪拌部材を設けることで、スラッジと酸素がより多くかつ均一に接触するので、有機分の燃焼が効率的に行われ、スラッジ焼成物の白色度が向上し品質も均一になるのでより好ましい。さらに、多筒型キルンやキルンの焼成室内を多分割隔壁構造にすることで、伝熱面積が増大、かつ、スラッジへのキルン炉内のスラッジ積層・堆積が低減され、スラッジと酸素との接触、およびスラッジへの伝熱が良くなるので、スラッジ焼成物の白色度が向上し、均一な品質を得ることができるので好ましい。また、焼成室内を多分割隔壁構造にすることで、従来のキルンよりも前述のようにスラッジ積層・堆積を低減させることができるため、多くのスラッジを処理することが可能で、熱処理装置を小規模化することができる。焼成室内の分割数については、特に限定はないが、好ましくは6分割以上、さらに好ましくは10分割以上である。分割は焼成室の筒断面を放射状に区切る仕切り板を設けることによって行える。
【0031】
そこで本発明の熱処理工程に使用される熱処理装置に好適に使用可能なこれらの焼成炉を使用した熱処理装置を、横型または縦型の筒を使用しているので筒型熱処理装置と称する。
【0032】
図2に本発明の熱処理工程に好適に用いられる熱処理装置の一例の構成図を示した。図2は熱処理装置の一例の構成図である。図2に示すように、脱水、乾燥、造粒の各処理を単独または適宜組み合わせて処理されたスラッジ11が図示を省略した乾燥装置から送られ、筒型熱処理装置の一例である連続式間接的加熱型ロータリーキルン1の筒軸方向の一端部に設置されたスラッジ供給口となる供給ホッパ2に投入され、スクリューフィーダー10を介してロータリーキルン1内の焼成室9へと供給される。スラッジはロータリーキルン1の焼成室9を通過しながら、その内部の有機成分が燃焼される。燃焼した後のスラッジはスラッジ供給口に対して筒軸方向の反対側の端部に設置されたスラッジ排出口8を通して炉外に取り出され次の工程に送られる。
【0033】
供給ホッパ2の近傍に排気手段としての排気ファン4が設置されており、この排気ファンがロータリーキルン1内の空気を強制排気することによってロータリーキルン1内へ、スラッジ排出口8の近傍に設置された空気供給口3からロータリーキルン1内に空気が破線矢印Aで示すように吸入される。このように空気供給口3から排気ファン4方向へ破線矢印Aで示す空気流が常に発生することになる。この空気流が後に説明する未燃焼物搬送用空気流Aとなる。この空気量の制御は排気ファン4の排気量を制御することで行われる。この空気量は炉内が富酸素雰囲気下になるように過剰に吸入されるよう制御されることが好ましい。この詳細は後に説明する。
【0034】
ロータリーキルン1の炉内を加熱する熱は主として間接的加熱手段5から供給される。この熱によって焼成室9内を間接的に加熱している。ロータリーキルン1の焼成室9内でスラッジ中の可燃成分が燃焼することによっても熱が発生するが、この熱に比べて間接的加熱手段5から供給される熱の方がはるかに大きい。この間接的加熱手段5を制御することにより、ロータリーキルン内の温度を均一に維持する。この間接的加熱手段5としては、電気的な加熱も可能であるが、灯油や重油の燃焼ガスによる加熱、ガスバーナーによる加熱が経済的に好ましい。既存の焼却設備から排出される燃焼排ガスを使用することもできるし、水蒸気などを使用することもできる。本図2に示した例では循環ブロアー7によって燃焼ガスが間接的加熱手段5として供給されている。
【0035】
スラッジ中の有機成分は基本的にはロータリーキルン1の焼成室9内で燃焼させるが、一部の未燃焼物は空気流Aに載せて、ロータリーキルン1内から取り出される。排気ファン4を通して強制排気される空気流は熱風であるので、熱風循環ファン6を用いて図示を省略したスラッジ乾燥機などに送風されて熱エネルギーとして再利用することが好ましい。
【0036】
以上説明したように本発明の熱処理工程は、空気(酸素)雰囲気下で均一な温度コントロールが可能な間接的加熱方法により行われる。間接的加熱方法とは、焼成室(炉内)9を加熱するひとつの方法であり、間接的加熱型の燃成炉は、燃焼ガスあるいは燃焼ガスにより生じた熱風とスラッジが直接接触しないように隔壁が設けてあるのでこう呼ばれる。他の加熱方法としては、火炎、あるいは燃焼ガス、熱風を筒の一端から吹き込む直接的加熱方法がある。直接的加熱型の焼成炉は、焼成室(炉内)の一端から加熱する方法であるため、加熱側とその反対側では、温度が大きく異なり、焼成室(炉内)全体の温度を正確にコントロールすることができない。それに対して、間接型加熱方法は、焼成室(炉内)全体を加熱する方式であるため、熱処理装置全体の均一な温度コントロールが容易となる。均一な温度コントロールは以下のような理由により重要である。
【0037】
スラッジ中には、カーボンブラック等のインク成分や繊維およびポリマー等の有機物と炭酸カルシウム、カオリン、タルクなどの無機粒子などが存在している。スラッジ焼成物の白色度を向上させるには黒インキ成分であるカーボンブラックを除去することが必要である。単体のカーボンブラックを完全に燃焼させるには少なくとも過剰空気雰囲気下で600℃にて60分、850℃にて20分の燃焼処理時間が少なくとも必要であることから、なるべくスラッジ温度を高くした方がよい。しかし、あまり温度を高くし過ぎると、スラッジ中の無機粒子が焼結変化し、スラッジ焼成物が硬くなってしまい、製紙用材料としては好ましくない性質を呈しやすい。
【0038】
前記高温の熱処理による無機粒子が硬質化は、以下のスラッジが主として含有する無機物の炭酸カルシウムとカオリン(クレー)の熱的変質現象に起因する。すなわち、炭酸カルシウムは600℃を越えた付近から脱炭酸を始め、少なくとも一部が酸化カルシウムに分解され始め、900℃で完全に酸化カルシウムに分解する。タルクは900℃まで結晶構造は変化しない。二酸化チタンは1000℃でも安定であり、全く変化しない。
カオリンは、400℃を超えた付近から結晶水が脱離し、500〜850℃までは非晶質のメタカオリンとして存在する。この非晶質のメタカオリンは、焼成カオリンと呼ばれるもので、嵩高く、不透明度が良好で、平滑性に優れる無機粒子である。900℃を超えると、γアルミナ、ムライトを生成する。これらのγアルミナ、ムライトは、非常に硬いため、ワイヤー摩耗、塗工ブレード摩耗が悪くなるため、製紙用材料としては好ましくない。また、850℃をやや超えた領域で、非晶質のメタカオリンと先出の炭酸カルシウムから分解された酸化カルシウムが存在すると、化学反応により、硬い、再利用に適さないゲーレナイトが生成する。
【0039】
よって、本発明の熱処理工程のスラッジ温度は、硬い焼成物が生成しやすい850℃を超えないことが好ましい。より好ましくは硬い焼成物が生成する恐れがより少ない800℃以下が好ましい。また、最高温度が600℃以下では白色度を向上させるには長い処理時間がかかり、エネルギーコストが高くなるだけでなく、熱処理装置も大きくなるため、実用上あまり好ましくない。従って、好ましいスラッジ温度としては、600℃以上800℃以下が好ましく、650℃以上750℃以下がより好ましい。
また、本発明の熱処理工程においては、850℃を超えない温度までスラッジ温度を段階的に上げていってもよい。
【0040】
結局、このようにスラッジ焼成物が硬くなることを未然に防ごうとすると焼成時のスラッジ温度を低めに設定することになり、スラッジ11中の有機分を完全に燃焼させることは困難であり、カーボンブラックに代表される未燃焼物が若干残存する恐れがある。
なお、ここに示した温度は焼成室9内で焼成処理される際のスラッジ温度であり、熱処理装置内雰囲気温度とは厳密には異なる。熱処理装置内雰囲気温度は供給される空気の温度にもよるが、通常、スラッジ温度よりも低くなる。
【0041】
本発明の熱処理工程において、熱処理装置内を過剰空気雰囲気下、つまり富酸素雰囲気下で熱処理する理由は、スラッジが含有する有機物の燃焼を効率的に行うためである。ここでいう過剰(富)酸素雰囲気下とは、燃焼排ガス中の残留酸素濃度が5%以上の状態となるように、燃焼対象の有機物に対して燃焼に必要な充分な空気(酸素)を供給し、有機物が完全燃焼できる状態のことである。また、排気する空気量、吸入する空気温度によりスラッジ温度を調整することも可能である。
【0042】
熱処理装置内に吸入される空気量は、有機分を燃焼させるのに必要な理論酸素量以上にすることが好ましい。しかし、有機分を燃焼させることで発生する燃焼ガスは理論酸素量に相当する空気量よりも多くなるため、過剰(富)酸素化にするには、少なくとも発生した燃焼ガスを排気する必要がある。従って、吸入する空気量は、排気ファンの排気量を調節することで制御される。好ましい排気量は理論空気量の1.1倍以上、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましいのは2倍以上である。しかし、吸入空気量が多過ぎるとスラッジ温度を下げてしまい、エネルギーコスト的にもあまり好ましくないので理論空気量の5倍以下にすることが好ましい。また、吸入する空気中には二酸化炭素を通常よりも多く含んでいてもよい。なお、熱処理装置内の酸素量が理論酸素量よりも少なく不足した場合、貧酸素状態になり、スラッジが炭化することで、スラッジ中に未燃カーボンが残存してしまう。この未燃カーボンを取り除くためにはスラッジ温度をより高くすることや、長時間の処理を必要とする。結局、所望のスラッジ焼成物を得ることは難しい。したがって炉内を貧酸素状態にすることは避けなければならない。
【0043】
本発明においては、過剰(富)酸素雰囲気下でスラッジをより完全に燃焼させるために高温処理することによりスラッジ焼成物の白色度は高くなるが、先に述べたように硬い焼成物が発生し易くなる。
【0044】
本発明では、図2に示したように空気供給口3をスラッジ排出口8の近傍に設置し、未燃焼物搬送用空気流Aを排出する排気ファン4をスラッジ供給口2の近傍に設置した場合は、熱処理装置内にスラッジ11の進行する方向Bと対向する方向に未燃焼物搬送用空気流Aを発生させることができる。
【0045】
このようにスラッジ11の進行方向Bと逆方向に未燃焼物搬送用空気流Aを生じさせる方式を本発明では向流方式と呼ぶ。この向流方式は、未燃焼物搬送用空気流がスラッジ焼成物のスラッジ排出口8側に送られるのと逆方向に流れていくので、スラッジ焼成物から未燃焼物を効率よく除去でき、スラッジ焼成物の白色度を向上させることができより好ましい。特に熱処理工程の最初の段階の燃焼の際に生じるような未燃焼物は後々まで完全燃焼されにくいので、この向流の未燃焼物搬送用空気流によって効果的に取り除くことができる。
【0046】
したがって、白色度をより高くするためにスラッジの未燃焼物の100%の完全燃焼の保障を図り、スラッジ温度をより高めに設定したりするより、100%の燃焼の保障は断念して微量の未燃焼物の発生を看過し、寧ろその未燃焼物をスラッジ焼成物から取り除くことによって高白色度でかつ高硬度合成物を含有しない無機粒子を得ようとすることに本発明の特徴がある。未燃焼物とは、未燃有機物のことで大半は未燃カーボン粒子、言い替えれば炭化物粒子である。つまりカーボンブラック状物質であり、カーボンブラックの性状は大きさが10〜500nmで、比重1.8〜1.9の微粉末状である。この微粉末状の未燃焼物を取り除くために、炉内の空気を排気ファン4により排出することにより、未燃焼物搬送用空気流Aを熱処理装置内に発生させ、搬送用空気流Aに載せて未燃焼物を取り出しているのである。このように排気ファンなどを用いて未燃焼物搬送用空気流を強制排気させることが非常に好ましい。このような強制排気に加えて空気を強制導入させると更に好ましい。
【0047】
強制排気等による未燃焼物空気流の流速は、微粉末状の未燃焼物を取り除くことができる流速であれば特に限定はないが、流速が遅い場合は、空気流が供給ホッパ2側に流れず、未燃焼物を上手く取り除くことができずにスラッジ焼成物中に混入してしまい、白色度が低下してしまう懸念がある。上記のような性状のカーボンブラックを含む未燃焼物を搬送する未燃焼物搬送用空気流の流速は0.4m/分以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、より好ましくは1.5m/分以上である。しかし、空気流の流速があまり速すぎるとスラッジ焼成物もいっしょに排気ファン4側に混入する恐れが大きくなるため、スラッジ焼成物の収率も低下する可能性がある。尚、この空気流の流速は排気ファンの排気量、空気温度等を測定し、それらの値と熱処理装置内の温度等から理論的に求めた。
【0048】
一方、他の方式の例を図3に示した。図3は本発明の熱処理工程に使用される、間接的加熱型ロータリンキルンを使用した熱処理装置の他の一例の構成図である。図3中、図2と同一の符号を付した部材は図2において説明したものと同様であるので説明を省略する。図3の熱処理装置においては排気ファン4がスラッジ排出口8の近傍に設置されているしたがって、未燃焼物搬送用空気流A'とスラッジの進行方向B'が同一方向となる。このような方式を本発明では並流方式と呼ぶ。この並流方式はスラッジ焼成物と未燃焼物を分別して取り出す排出口が同方向であるため、多少、未燃焼物がスラッジ焼成物に混入しやすい懸念がある。また、並流方式では前記に記載したように未燃焼物搬送用空気流の流速を調整してもスラッジ焼成物に未燃焼物が混入しやすいので向流方式の方がより好ましい。
【0049】
また本発明においては、本熱処理装置におけるスラッジ燃焼温度が高くなった場合に対して、一定以上の空気流入量を増大させることにより、空気流によって過剰なスラッジ燃焼熱を熱処理装置外に排出する、すなわちロータリンキルン1の焼成室9内の高温の燃焼排ガスをスラッジ供給側の排気ファン4によってロータリーキルン1外部に排出することにより、焼成室9内のスラッジ11の燃焼温度を下げることができる。つまり、本熱処理装置では一般の燃焼制御とは逆に温度が高い場合であっても一定量以上の空気流入量を増大させることによりスラッジ燃焼熱を熱処理装置外に排出する、すなわちロータリンキルンの本体筒部からスラッジ供給側の外部に熱を空気流と共に排出することにより温度を下げることができる。すなわち設定したスラッジ温度以上に上昇することを避けるという制御をおこなうことができる。従って、先ほど述べた未燃焼物搬送用空気流は、スラッジ燃焼熱排出用空気流の役割もある。この点においても、向流方式は、空気流を排出する排気口がスラッジ供給口近傍にあるため、並流方式に比べてスラッジ燃焼熱が熱処理装置内を通過することなく、スラッジ燃焼熱を熱処理装置外に排出することができ、スラッジ温度の制御を容易にすることができるのでより好ましい。
【0050】
前記以外にもスラッジ燃焼温度を制御する方法があるが、燃焼用の原料スラッジが充分に存在するなかでスラッジ燃焼温度が低い場合は、空気を多く流入させ燃焼を行うことで温度を高くすることができるが、多大な燃焼熱が発生して温度制御をすることが難しくなるため好ましくない。他方、スラッジ燃焼温度が高い場合は、空気流入量を絞ることで燃焼を抑制(炭化)し、温度制御することができるが、本発明においては、スラッジの白色度を高く焼成するという目的のため熱処理装置内を富酸素状態にさせ、スラッジの燃焼を十分行わせることが必要であるため、空気流入量を必要以上に絞ることは好ましくない。
【0051】
このような、前記向流方式、並流方式の各空気流入方式の特徴の差異は回転式横型円筒炉やスクリュー式横型円筒炉において顕著に出やすい。これに対して縦型円筒炉では空気とスラッジの接触を良くするためには空気を流動させる必要があるため差異は出にくいが、並流方式の方が向流方式よりも若干効果的である。
【0052】
未燃焼物搬送用空気流Aに載せて分別して取り出された未燃焼物は熱風循環ファン6に後続して設けられるバグフィルターで取り除くかおよび/または排ガスとともに燃焼装置(共に図示省略)により、捕集除去または燃焼させることがより好ましい。
【0053】
熱処理装置から排出された熱風は熱循環ファン6により、熱処理装置または乾燥機などの熱源として再利用することで、エネルギーコストを低減できることができ好ましい。
【0054】
スラッジが一定温度に加熱される時間(熱処理時間)は特に限定はされないが、空気流未燃焼物搬送用空気流Aにより吹き飛ばされないで焼成室9内に残留する有機物が完全に燃焼する時間を有保持する必要があることから、1時間以上が好ましい。しかし、必要以上に長い熱処理時間はエネルギーコストが高くなるだけでなく、熱処理装置も大きくなるため、実用上あまり好ましくない。従って、本発明の熱処理工程中の熱処理時間は1〜5時間とするのがより好ましい。
この熱処理時間、スラッジ温度、空気流量、流速等の条件を適宜制御することにより炭酸カルシウムの分解率を好ましくは50%以上とし、より好ましくは60%以上とし、更に好ましくは70%以上にさせている。
【0055】
[焼成物懸濁液化工程]
本発明においては、図1に例示するように、熱処理工程後の焼成物は、焼成物を水と混合、攪拌し、焼成物懸濁液とする懸濁液化工程を熱処理工程後に備えてもよい。懸濁液化工程の目的はスラッジ焼成物が含有する酸化カルシウム(CaO)を水酸化カルシウム〔Ca(OH)〕に転化することであり、焼成物懸濁液化温度は特に制限はない。処理温度が低いと長い保持時間が必要であり、処理温度が高いと温度を維持する必要があるため経済的に好ましくないので、通常は20〜80℃、より好ましくは40〜60℃で行われるのがよい。例えば、処理温度が60℃であれば保持時間は60分程度で十分である。
【0056】
焼成物懸濁液の固形分濃度は5〜20質量%の範囲に調整することが後続の炭酸化処理を効率的に行い、また懸濁液の粘度を低く維持して流動攪拌性および送液性を良好に維持するために好ましい。焼成物懸濁液の固形分濃度が5%質量未満である場合は、生産性が劣るため好ましくなく、また、20%質量より高い場合は、該焼成物懸濁液の粘度が高くなるため、攪拌動力の増加となるとともに、操業性に劣ることから好ましくない。
【0057】
また焼成物懸濁液に対しては、本発明のスラッジ焼成物の他に、必要に応じて別途、酸化カルシウム(CaO:生石灰)または水酸化カルシウム〔Ca(OH):消石灰〕を添加してスラッジ焼成物と水酸化カルシウムの所定固形分濃度の混合懸濁液とすることもでき、この場合、酸化カルシウムおよび水酸化カルシウムは、消和後の形態である水酸化カルシウム〔Ca(OH):消石灰〕として、スラッジ焼成物100重量部に対して最大100重量部(スラッジ:水酸化カルシウム=50:50)まで添加することができる。100重量部を超えて水酸化カルシウムを添加することもできるが、消和懸濁液中のスラッジ焼成物の配合率が少なくなり、スラッジ利用が進まなくなるため好ましくない。
【0058】
炭酸カルシウムを含んだスラッジは600℃以上の熱処理工程において、炭酸カルシウム(CaCO)が酸化カルシウム(CaO)に分解される。酸化カルシウムが存在した焼成灰を水性懸濁液にすると、高アルカリになり、スラリー粘度の上昇、分散不良などといった問題があるため、そのまま、製紙用填料、塗工用顔料として利用するのは難しい。
本発明の熱処理工程のようにスラッジの燃焼効率を向上させると、炭酸カルシウムの分解は促進される。つまり、本発明の熱処理工程後の焼成灰の白色度と炭酸カルシウムの分解率は比例関係にあり、所望の白色の焼成灰を得るには、スラッジ中の炭酸カルシウムを50%を超え分解させている、高白色の焼成灰を得るには60%以上、さらに高白色度の焼成灰を得るには70%以上を分解させている。そのため、熱処理したスラッジ焼成灰を炭酸化処理、硫酸アルミニウム混合処理などの何らかの方法で前記アルカリ成分を中和処理するのが好ましい。
【0059】
[炭酸化工程]
本発明においては、焼成物懸濁液化工程後に炭酸化工程を行うことにより、焼成物懸濁液化中の水酸化カルシウム〔Ca(OH)〕が炭酸カルシウム(CaCO)に再生転化され、再生無機粒子スラリーのpHを下げることができる。なお、再生無機粒子スラリーのpHを11以下、好ましくは10以下にすることで、スラリー粘度の上昇を抑制し、顔料の分散不良を生じることを抑制することができる。
【0060】
なお、スラッジ中に炭酸カルシウムを含有しない場合は、炭酸カルシウムが分解され酸化カルシウムにならないため、焼成灰を高濃度で分散することができ、熱処理工程後の焼成物懸濁液化工程および炭酸化工程を用いなくても製紙用材料としてそのまま再利用することができる。
【0061】
炭酸化工程は通常の軽質炭酸カルシウム製造工程と同様の方法で行うことができる。すなわち、焼成物懸濁液に、二酸化炭素ガスあるいは二酸化炭素含有ガスを吹き込む。炭酸化に用いるガスは、工業的には二酸化炭素含有ガスが好ましく、この場合の二酸化炭素濃度は特に限定されるものではないが、好ましくは5〜40容量%、より好ましくは10〜35容量%の二酸化炭素含有ガスを用いる。また二酸化炭素含有ガスとしては、例えば、スラッジ焼成排ガス、石灰石焼成排ガス、石灰焼成排ガス、ゴミ焼却排ガス、発電ボイラー排ガス、或いはパルプ製造工程で用いられる苛性化炭酸カルシウム焼成キルンなどから排出される排ガスなどを適当な手段で除塵後、用いてもよい。
【0062】
二酸化炭素ガスあるいは二酸化炭素含有ガスを吹き込む割合は、二酸化炭素ガスとして水酸化カルシウム1kg当たり、0.5〜15L/分の割合となるように焼成物懸濁液中に吹き込む。二酸化炭素導入量が0.5L/分未満では生産性が劣るし、15L/分を超えるような量を採用することはできるが、そのように使用量を増加させるために必要な動力負荷に見合った効果は期待できない。炭酸化の反応開始温度は好ましくは30〜80℃、より好ましいのは40〜70℃である。再生無機粒子に含まれる再生炭酸カルシウム成分の形状としては、米粒状、紡錘状、膠質状、針状、立方状、板状などにすることができ、特に形状に限定はなく、また、炭酸化工程中において所望の形状の結晶を得るために種晶を添加してもよい。
【0063】
なお、本発明の炭酸化処理後の無機粒子は、炭酸化処理によって生じた微細な1次粒子が凝集して2次粒子(凝集粒子)を形成し、製紙用填料に適した粒子径となる場合がある。このような場合には、この懸濁液をそのまま製紙用填料としてパルプなどの製紙用原材料に配合して用いることもできる。
【0064】
本発明の再生無機粒子スラリー(炭酸化後のスラリー)を製紙用填料として利用する場合は、振動篩などの篩でろ過してもよい。このとき、篩によるろ過する前に液体サイクロンを用いた分級を行うことが好ましい。液体サイクロンによる分級を行うことにより、篩の目詰まりを防止することができる。また、液体サイクロンによる分級と振動篩を組み合わせることにより、再生無機粒子スラリー中のα−クオーツ等の珪素を含む粒子や粗大粒子を除去することができ、抄紙用ワイヤーの摩耗を低減できることができる。
【0065】
[脱水、分散工程]
本発明の再生無機粒子スラリー(炭酸化後のスラリー)を塗工用顔料として利用する場合は、炭酸化工程後の再生無機粒子スラリーを脱水して脱水組成物とする脱水工程と、該脱水工程により得られる該脱水組成物に水分を加えてスラリー状の分散組成物とする分散工程とを備えることが好ましい。脱水工程は、濾過、遠心分離、加圧脱水、圧搾などの操作により行うことができる。好適な脱水装置としては、フィルタープレスと称される圧搾濾過装置があり、炭酸化処理物の脱水ケーキを得ることができる。分散工程は、脱水工程により得られる脱水組成物に水分を加えてスラリー状の分散組成物とするものであればよい。分散工程時に水分以外に、分散剤を添加することで、スラッジを原料とした再生無機粒子を良好に分散することができ、製紙用材料としての品質が向上すると共に、取り扱いやすくなるので好ましい。分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子系の分散剤など、製紙用材料の製造の際に用いられる一般的な分散剤を使用できる。
【0066】
[粉砕工程]
本発明において、粉砕処理工程を、分散工程後に備えていてもよい。粉砕処理を行うことにより、再生された無機粒子の粒径を微細化することができ、平滑性が向上するので好ましい。粉砕工程において用いる粉砕機としては、サンドミル、湿式ボールミル、振動ミル、攪拌槽型ミル、流通管型ミル、コボールミルなどの湿式粉砕機を使用することができる。また、二酸化炭素を吹き込みながら、粉砕を行っても良い。
【0067】
本発明の再生無機粒子の大きさ(粒子径)は、レーザー回折粒度分布測定による平均粒子径として、最終的に0.1〜20μmとすることが好ましく、塗工用顔料として用いる場合には0.3〜5μm、内添用製紙填料として用いる場合には3〜15μmとすることが特に好ましい。
【0068】
この平均粒子径は、製紙用填料、および塗工用顔料として、抄紙の際のワイヤー歩留りや紙製品に仕上げた際の不透明性、白色度、平滑性、および印刷適性に優れる品質が得られるように、操業および品質上バランスされた粒子径を選んだものである。したがって、再生無機粒子の平均粒子径を前記粒子径の範囲とすることにより、操業において、従来の製紙用填料、および塗工用顔料と同様に取り扱うことができ、また再生無機粒子を内添した原紙、および再生無機粒子を塗工した塗被紙の品質についても、従来の製紙用填料、および塗工用顔料と概ね同等の品質を発現させることができる。
【0069】
因みに、再生無機粒子の平均粒子径が0.1μm未満のような微細な粒子になると、不透明性、白色度および平滑性等の改善に対しては有効ではあるが、反面、製紙用填料として用いる場合にワイヤー歩留りが悪くなるために、多量の填料が必要となり、このため操業性が不安定になる難点がある他に、塗工用顔料として用いる場合に充分な塗工層強度を発現させるために、著しく多量の接着剤が必要となる難点があるので好ましくない。他方、再生無機粒子の平均粒子径が20μmを越えるような大きい粒子になると、製紙用填料として用いた場合に填料のワイヤー歩留りは良くなるが、反面、ワイヤー摩耗性が悪化し、ワイヤーの損傷を受けやすい難点がある他に、塗工用顔料として用いた場合に塗工紙製品の平滑性や光沢が低下し、結果的に印刷適性も低下することになり好ましくない。
【0070】
本発明においては、再生無機粒子を前記した所望の粒子径とするために脱水工程後に分散工程、および粉砕工程を設けることが好ましいが、分散処理後の再生無機粒子の平均粒子径が前記した粒子径の範囲になる場合は、粉砕工程を行わないで、分散処理後の無機粒子の分散液をそのまま製紙用填料、および塗工用顔料として当然ながら使用しても良い。
【0071】
また、分散工程において、本発明の再生無機粒子の脱水組成物を炭酸カルシウムスラリーに混合し、混合スラリーとし、湿式粉砕機を用いて粉砕することで、炭酸カルシウムよりも品質が良好で、なおかつ炭酸カルシウムスラリーよりも粉砕時間を短くすることができ、高濃度なスラリーを調整することが可能である。なお、再生無機粒子と炭酸カルシウムの比率は、塗被紙の白紙品質などに応じて、調整することが可能であり、特に制限はない。
【0072】
本方法における工程は、熱処理工程は必須であるが、乾燥工程、造粒工程、懸濁液化工程、炭酸化工程、脱水・分散工程、粉砕工程は適宜選択して組み合わせることができる。これらの工程を行う装置が組み合わされてひとつのプラントが構成されることになる。
【0073】
本方法で得られた無機粒子は、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、焼成カオリン、二酸化チタン、サチンホワイト、シリカ等の無機顔料を必要に応じて混合し、塗工用顔料や製紙用填料として用いることができる。
【0074】
[スラッジからの無機粒子を内添した紙の製造方法]
本方法で得られた再生無機粒子を填料として使用した紙は、不透明度、嵩高性を付与することができ、従来の填料と同様に本発明の再生無機粒子を内添した紙であればよく、特に限定はない。また、紙の種類としては、包装用紙、紙容器、インクジェット用紙、PPC用紙などの記録用紙、新聞用紙、上質紙、中質紙、各種塗工用原紙、壁紙、繊維板、写真用原紙、含浸用原紙、難燃紙などが挙げられる。
【0075】
パルプとしては、例えば、一般に使用されているLBKPやNBKP等の漂白化学パルプ、砕木パルプ(GP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、リファイナ砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、脱墨古紙パルプ(DIP)、損紙などが適宜混合使用される。また、ケナフ等の非木材繊維原料から得られるパルプ繊維、合成パルプ、無機繊維等の1種又は2種以上を原紙に配合することもできる。機械パルプやDIPは、必要に応じて漂白して使用することもでき、漂白の程度も任意に行うことができる。なお、パルプの漂白には、塩素ガスのような分子状塩素や二酸化塩素のような塩素化合物を使用しない漂白工程を採用することが、環境保全の観点から好ましく、このような漂白工程を経たパルプとしては、ECF(Elemental Chlorine Free)パルプやTCF(Totally Chlorine Free)パルプを挙げることができる。
【0076】
本方法で得られた再生無機粒子は、一般的に使用されている填料、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、石膏、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミネートカオリン、ケイソウ土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の無機顔料や尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料等と混合して使用することもできる。填料は2種以上の混合使用も可能である。混合比率は紙の品質に応じて調整することが可能であり、特に限定はない。填料の配合量(原紙灰分)は、1〜30重量%の範囲となるように添加することが好ましく、5〜20%の範囲となるように添加することが特に好ましい。無機粒子の内添紙を前記填料含有率とすることにより、紙の散乱表面積を増加させ、紙の不透明性を高めることができる。因みに、填料の含有率が1重量%未満の場合には、目的とする不透明度等の紙質が低くなるため好ましくなく、他方、填料の含有率が30重量%を超える場合には、引き裂き強さ、紙の層間強度、およびブリスタ等の紙質が低下するため好ましくない。
【0077】
また、本発明の再生無機粒子を各種填料と併用して製紙用填料として用いる場合には、原価面の効果等も勘案すると、原紙に内添する填料総量100重量%に対して少なくとも10重量%の添加が好ましいが、特に限定するものではない。
【0078】
また、紙中にはパルプや填料の他に、内添サイズ剤、アニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤、サイズ剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料、着色顔料、蛍光染料等で例示される各種の抄紙用内添助剤を、必要に応じて添加することができる。内添サイズ剤の具体例としては、例えば、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系サイズ剤、ロジン系サイズ剤等が挙げられる。また、歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤の具体例としては、例えば、アルミニウム等の多価金属化合物(具体的には、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性アルミニウム化合物等)、各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、ポリアミド・ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド等が例示できる。
【0079】
なお、炭酸化処理していない再生無機粒子は、遊離Caイオンの影響により、内添剤サイズ剤の効果を妨げたり、抄紙工程内での硫酸バンドとの反応により硫酸カルシウムを生じ、スケールトラブルを引き起こしたり、填料歩留まりの低下を招き、操業性や生産性に影響を及ぼす可能性がある。したがって、これらの問題を回避するためにも、炭酸化した再生無機粒子を用いるのが好ましい。
【0080】
本発明における再生無機粒子を含む製紙用填料をパルプ原料に添加する際には、パルプ原料を充分に攪拌しながら製紙用填料を添加することが好ましく、その際の撹拌速度としては100〜5000rpm程度とすることが好ましい。
また、パルプ原料に対して再生無機粒子を含む製紙用填料を添加する際の製紙用填料の濃度としては、パルプ原料混合してから抄紙されるため、抄紙機のインレット濃度の範囲内となるような濃度で添加されれば問題ない。
【0081】
また、パルプ原料に対して再生無機粒子を含む製紙用填料を添加する工程上の好適なポイント(添加場所)としては、カチオン性高分子等の歩留り向上剤の添加によって凝集形成させた再生無機粒子を含む製紙用填料のフロックが剪断力等により破壊されることを抑制し、製紙用填料が凝集状態を維持したままで紙に内添させるために、出来る限り抄紙機の直前が望ましい。
【0082】
紙の抄造条件は特に限定はなく、抄紙機としては、例えば、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の商業規模の抄紙機が、目的に応じて適宜選択して使用できる。抄紙方式としては、酸性抄紙、中性抄紙、弱アルカリ性抄紙等のいずれの方式も使用することができる。紙上に各種サイズプレス機およびロールコーターなどで澱粉等の天然接着剤やポリビニルアルコール等の合成接着剤を用いてサイズ処理を行なうことも可能である。
【0083】
また、本発明における再生無機粒子を含む製紙用填料内添紙の表面には、紙力、塗工適性、および印刷適性等を改善・向上させるために一般的に用いられる各種デンプン類、ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、および各種表面サイズ剤等を主体とする塗被液を塗布することも可能である。前記表面塗被液に対しては、塗工用に一般的に使用される各種顔料として、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、二酸化チタン、合成シリカ、水酸化アルミニウム等の無機顔料、およびポリスチレン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の合成高分子微粒子等を必要に応じて1種、または2種以上を適宜併用して配合して、再生無機粒子を含む製紙用内添紙の表面に塗布することもできる。
【0084】
[スラッジからの無機粒子を顔料として使用した塗被紙の製造]
原紙の少なくとも片面に、本方法で得られた再生無機粒子を含有する顔料と接着剤を主成分とする塗被層を1層以上形成させることで製造することができる。本方法で得られた再生無機粒子は、顔料として用いた場合、平滑性、被覆性、不透明度、インキセット性に優れた性質をもっており、これら効果を発現させるために、塗被層中の全顔料の5質量%以上含有するのが好ましい。5質量%未満では、平滑性、被覆性、不透明度、インキセット性の向上効果を付与することが難しい。特に、本方法で得られた再生無機粒子を含有した塗被層を原紙と接しさせることで、平滑性、被覆性、不透明度、インキセット性の向上効果をより発現させることができるので好ましいまた、再生無機粒子のレーザー回折散乱法による平均粒子径としては、0.3〜5μmとすることが好ましく、2.5μm以下にするのが平滑性の点から特に好ましい。
【0085】
本発明において、塗被層中に含有する本方法で得られた再生無機粒子以外の顔料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スクメタイト等の無機顔料や、密実型、中空型、貫通孔型のプラスチックピグメント、バインダーピグメント等の有機顔料等、通常の塗被紙分野に使用される顔料を使用することが可能であり、これらの中から1種あるいは2種以上を適宜選択して組み合わせて使用できる。
【0086】
以上のような顔料を含む塗被層の接着剤成分には、通常は分散型接着剤を使用する。分散型接着剤としては、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックスなどを例示することができる。
【0087】
上記した分散型接着剤と共に少量の水溶性接着剤を併用することができる。水溶性接着剤としては、酸化澱粉、エステル化澱粉、冷水可溶性澱粉などの各種澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコールやその変性品などが例示できる。
【0088】
再生無機粒子を含む塗工用顔料に対しては、接着剤の総量が顔料100質量部あたり5〜50質量部となるように含有することが好ましく、8〜30質量部となるように含有することが特に好ましい。接着剤の配合量が顔料100質量部あたり5質量部未満であると、顔料塗工層の強度が低下して、ストリーク、スクラッチ、およびピッキング等の問題を引き起こすので好ましくなく、他方、接着剤の配合量が顔料100質量部あたり50質量部を超える場合には、顔料塗工層の強度は充分に発現するものの、平滑性の低下やインキ乾燥性の悪化等の問題が生じるため好ましくない。
【0089】
本発明の塗被紙の塗被層には、必要に応じて、青系統あるいは紫系統の染料や有色顔料、蛍光増白染料、増粘剤、保水剤、酸化防止剤、老化防止剤、導電誘導剤、消泡剤、紫外線吸収剤、分散剤、pH調整剤、離型剤、耐水化剤、撥水剤等の各種助剤を適宜配合することができる。
なお、炭酸化処理していない再生無機粒子は、遊離Caイオンの影響により、塗被液の粘度上昇や分散不良などの問題が生じ、高濃度の塗被液を調製することができず、乾燥不良を招き、操業性や生産性に影響を及ぼす可能性がある。また、紙面pHが高い塗被紙は、カレンダ工程や保管時にアルカリ焼けを起こし、塗被紙外観を損なう可能性がある。したがって、これらの問題を回避するためにも、炭酸化した再生無機粒子を用いるのが好ましい。
【0090】
原紙上に設ける塗被層は、一層とするか、或いは2層以上の多層にするかは特に限定はなく、多層の場合、全てが同一である必要はなく、要求される品質レベルに応じて適宜調整することが可能である。
また、塗被層の塗被量も、特に限定されるものではなく、塗被紙の白紙品質、印刷品質などに応じて調整することが可能であるが、一般には、片面あたり5〜40g/m程度である。
【0091】
本発明における塗被層を設ける際の塗工方式については、通常の塗被紙製造分野で使用されている各種の塗工装置、例えばエアーナイフコーター、各種のブレードコーター、ゲートロールコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が適宜使用することができる。
【0092】
本発明における原紙については、特に限定されるものではなく、原紙の坪量は、一般的には、30〜500g/m程度の範囲に適宜調整されたものを用いることができる。
【0093】
このようにして得られた塗被紙は、各種公知公用の仕上げ装置、例えばスーパーカレンダ、グロスカレンダ、ソフトカレンダ、マットカレンダ等に通紙して製品仕上げを施してもよい。
【0094】
また、スラッジを原料とする再生無機粒子を填料として使用した原紙と、スラッジを原料とする再生無機粒子を含有する塗被層とを組み合わせて、塗被紙としてもよい。
【0095】
[実施例、比較例]
以下に、実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、勿論、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%はそれぞれ質量部、および質量%を示す。また、実施例や比較例中のpHおよびX線回折測定は以下の方法で測定した。
【0096】
[X線回折の測定]
試料を乳鉢で粗い粒子がなくなるまですりつぶし、X線回折装置(株式会社マックサイエンス社製MO3XHF)を用いて、測定条件40KV、20mA、測定範囲:5〜50度で測定した。その詳細は以下のごとくであった。
【0097】
[燃焼処理後の炭酸カルシウム分解率]
次に、表1に挙げた項目以外の評価として、各実施例について、熱処理後の炭酸カルシウム分解率を、以下i)〜vi)の手順にて熱処理処理前のペーパースラッジ中の炭酸カルシウムとスラッジ焼成物中の残存炭酸カルシウムの量等を求めて評価した。
【0098】
i)カルサイト炭酸カルシウムの検量線の作成
結晶構造がカルサイトの炭酸カルシウム(奥多摩工業社製 タマパール222H)に対して、内部標準物質として酸化亜鉛(キシダ化学社製 試薬特級)を、重量比1:5、1:1、5:1となるようにそれぞれ混合した。次いで、各混合物について、乳鉢を用いて充分に磨り潰したのちに、X線回折装置(マックスサイエンス社製 MO3XHF)を用いて、40KV、20mA、回折角測定範囲5〜50度の条件で測定し、カルサイト炭酸カルシウムと酸化亜鉛のそれぞれのX線回折100%ピーク面積を基にして、カルサイト炭酸カルシウムの検量線を作成した。
【0099】
ii)アラゴナイト炭酸カルシウムの検量線の作成
結晶構造がアラゴナイトの炭酸カルシウム(奥多摩工業社製タマパール123)を用いた以外は、前記カルサイト炭酸カルシウムの検量線作成と同様にして、アラゴナイト炭酸カルシウムの検量線を作成した。
【0100】
iii)燃焼処理前のペーパースラッジ中の炭酸カルシウムの定量
秤量した絶乾のペーパースラッジに対して、秤量した酸化亜鉛(試薬特級 前出)を添加混合した。次いで、該混合物について、乳鉢を用いて充分に磨り潰したのちに、X線回折装置(MO3XHF 前出)を用いて、40KV、20mA、回折角測定範囲5〜50度の条件で測定し、酸化亜鉛に対するカルサイト炭酸カルシウム及びアラゴナイト炭酸カルシウムのX線回折100%ピーク面積を求め、前記した各炭酸カルシウムの検量線を基にして、製紙スラッジ1g中に含まれる炭酸カルシウム量(g)を算出した。
【0101】
iv)ペーパースラッジの灰分の測定
秤量した絶乾のペーパースラッジを、マッフル炉にて350℃、30分で燃焼処理し、得られたスラッジ焼成物の重量を秤量し、下式によってスラッジの灰分含有量(%)を測定した。
灰分含有量(%)=(スラッジ焼成物重量/絶乾の製紙スラッジ重量)×100
【0102】
v)スラッジ焼成物中の炭酸カルシウムの定量
秤量したスラッジ焼成物に対して、秤量した酸化亜鉛(試薬特級 前出)を添加混合した。次いで、該混合物について、乳鉢を用いて充分に磨り潰したのちに、X線回折装置(MO3XHF 前出)を用いて、40KV、20mA、回折角測定範囲5〜50度の条件で測定し、酸化亜鉛に対するカルサイト炭酸カルシウム及びアラゴナイト炭酸カルシウムのX線回折100%ピーク面積を求め、前記した各炭酸カルシウムの検量線を基にして、スラッジ焼成物1g中に含まれる炭酸カルシウム量(g)を算出した。
【0103】
vi)燃焼処理後の炭酸カルシウムの分解率
スラッジ焼成物1g中の炭酸カルシウム量(g)をA、製紙スラッジ1g中の炭酸カルシウム量(g)をB、灰分含有量(%)をCとし、下式によって燃焼処理後の炭酸カルシウムの分解率を算出した。
炭酸カルシウム分解率(%)=100−〔A×(C/100)〕÷B×100
【0104】
[炭酸カルシウム未再生化物の有無]
得られた無機粒子について、乳鉢で粗い粒子がなくなるまで磨り潰した無機粒子試料を、X線回折装置(MO3XHF 前出)を用いて、40KV、20mA、回折角測定範囲5〜50度の条件で測定し、炭酸カルシウム未再生化物である酸化カルシウム及び水酸化カルシウムの有無を調べた。
【0105】
[平均粒子径の測定]
日機装株式会社製マイクロトラック粒度測定分布装置HRAX−100を用いて測定した。
【0106】
実施例1
[スラッジ]
古紙処理設備を有する製紙工場における雑誌古紙主体の古紙脱墨工程において、浮遊選別法(フローテーション法)によって古紙パルプから浮上分離除去された泡沫状の脱墨浮選廃液に、凝集剤を添加して廃液中の固形分を凝集させた後に、ロータリースクリーンおよびスクリュープレスに順次通液して、固形分約50%の製紙スラッジ(脱墨スラッジ)を回収した。
このペーパースラッジ中の灰分は60%で、その組成は炭酸カルシウム55%、カオリン45%、タルク5%であった。
【0107】
[熱処理工程]
本熱処理工程は図3に示した構成の熱処理装置によって行った。具体的には連続外熱式ロータリーキルン1(栗本鉄工所製IRK−02、加熱部分:φ25×180cm)を熱処理装置として使用した。ペーパースラッジ11は3.5kg/hの速度でスラッジ供給口である供給ホッパ2から供給した。スラッジはスクリューフィーダー10によって直径約35mmの大きさになるようにしつつ熱処理装置1内に搬送される。ロータリーキルン内を通過しながらスラッジは熱処理、すなわち燃焼される。間接的加熱手段5としては別途図示を省略した燃焼ボイラーからの燃焼ガスを循環ブロワー7から供給して使用した。この際に、排気ファン4からキルン内ガスを未燃焼物搬送用空気流として100L/分(20℃換算)で排出しつつ、その空気流量と間接加熱の制御によりスラッジ温度が850℃になるように加熱し、加熱部分に50分(キルン傾斜:2%、回転数:1.2rpm)滞留させ、焼成物を調製した。
【0108】
得られたスラッジ焼成物をX線回折で測定し、炭酸カルシウムの分解率を求めた。その結果、炭酸カルシウムは100%が酸化カルシウムに分解されていた。また、カオリンは100%焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。得られたスラッジ焼成物には一部の未燃焼物の混入が認められた。
【0109】
[焼成物懸濁液化工程]
得られたスラッジ焼成物を、懸濁液化槽(消和槽)で60℃温水と混合し、懸濁液化槽を60℃に保持しながら60分間攪拌し、12%焼成物懸濁液を調製した。
【0110】
[炭酸化工程]
炭酸化反応槽に、温度60℃の12%焼成物懸濁液を10kg入れ、反応槽を60℃に保持しながら25容量%の二酸化炭素含有ガスを20L/分吹き込み、60分間攪拌を行い、再生無機粒子を得た。得られた再生無機粒子をX線回折で測定したところ、焼成処理によって分解された炭酸カルシウムは全量炭酸カルシウムに再生されていた。
炭酸化工程によって得られた再生無機粒子については、製紙用填料としては、そのまま使用した。また塗工用顔料としては、以下の次工程を行なった後に使用した。
【0111】
[脱水・分散工程]
炭酸化工程終了組成物をフィルタープレスで脱水することにより固形分が約50%の脱水組成物とし、続いて固形分48%となるようにコーレスミキサーで該脱水組成物を水に分散させた。その分散の際、水にポリアクリル酸系分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成株式会社製)を組成物(該脱水組成物)の固形分対比で1.0部の量を添加し、スラリーを調製した。
【0112】
[粉砕工程]
分散工程後のスラリー組成物を湿式粉砕機であるサンドグラインダーを用いて平均粒子径が1.3μmになるまで粉砕した。
【0113】
実施例2
熱処理工程前に以下の乾燥工程を付加した以外は実施例1と同様にして行った。
【0114】
[乾燥工程]
ペーパースラッジを、回転乾燥機を用いて、固形分75%になるように乾燥を行い、熱処理工程用原料とした。
【0115】
得られた焼成物の炭酸カルシウムの分解率を求めた結果、炭酸カルシウムは100%が酸化カルシウムに分解されていた。また、カオリンは100%焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。得られたスラッジ焼成物には一部の未燃焼物の混入が認められた。
【0116】
実施例3
熱処理工程を変更した以外は実施例2と同様にして行った。
[熱処理工程]
本熱処理工程は図2に示した構成の熱処理装置によって行った。具体的には連続外熱式ロータリーキルン1(栗本鉄工所製IRK−02、加熱部分:Φ25 ×180cm)を熱処理装置として使用した。ペーパースラッジ11は3.5kg/hの速度でスラッジ供給口である供給ホッパ2から供給した。スラッジはスクリューフィーダー10によって熱処理装置1内に搬送される。ロータリーキルン内を通過しながらスラッジは熱処理、すなわち燃焼される。間接的加熱手段5としては別途図示を省略した燃焼ボイラーからの燃焼ガスを循環ブロワー7から供給して使用した。この際に、排気ファン4からキルン内ガスを未燃焼物搬送用空気流として250L/分(20℃換算)で排出しつつ、その空気流量と間接加熱の制御によりスラッジ温度が850℃になるように加熱し、加熱部分に50分滞留(キルン傾斜:2%、回転数:1.2rpm)させ、焼成物を調製した。
【0117】
得られたスラッジ焼成物をX線回折で測定し、炭酸カルシウムの分解率を求めた。その結果、炭酸カルシウムは100%が酸化カルシウムに分解されていた。また、カオリンは100%焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。得られたスラッジ焼成物には未燃焼物の混入が見られなかった。この未燃焼物の混入が見られなかったことは以下の実施例4から12まで同様であった。
【0118】
実施例4
熱処理工程の温度を700℃に変更した以外は実施例3と同様にして行った。得られた焼成物をX線回折で測定し、炭酸カルシウムの分解率を求めた。その結果、炭酸カルシウムは35%が酸化カルシウムに分解されていた。また、カオリンは100%が焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。
【0119】
実施例5
熱処理工程の加熱時間を90分に変更した以外は実施例4と同様にして行った。得られた焼成物をX線回折で測定し、炭酸カルシウムの分解率を求めた。その結果、炭酸カルシウムは70%が酸化カルシウムに分解されていた。また、カオリンは100%が焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。
【0120】
実施例6
スラッジの大きさを直径1mmに変更した以外は実施例5と同様にして行った。得られた焼成物をX線回折で測定し、炭酸カルシウムの分解率を求めた。その結果、炭酸カルシウムは70%が酸化カルシウムに分解されていた。また、カオリンは100%が焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。
【0121】
実施例7
スラッジの大きさを直径20mmに変更し、未燃焼物搬送用空気流Aを500L/分とした以外は実施例6と同様にして行った。得られた焼成物をX線回折で測定し、炭酸カルシウムの分解率を求めた。その結果、炭酸カルシウムは100%が酸化カルシウムに分解されていた。また、カオリンは100%が焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。
【0122】
実施例8
乾燥工程前に以下の造粒工程を付加し、熱処理工程を変更した以外は実施例7と同様にして行った。
【0123】
[造粒工程]
スラッジを、ブリケットマシンを用いてφ20mm×5mm厚になるように成形し、乾燥工程用の原料とした。
【0124】
[熱処理工程]
ペーパースラッジの供給速度を3.5kg/hとし、未燃焼物搬送用空気流の流量を300L/分とし、スラッジ温度が600℃になるように加熱し、加熱部分に240分(キルン傾斜:0.5%、回転数:1.3rpm)滞留させたほかは実施例7と同様にして焼成物を調製した。
【0125】
得られた焼成物をX線回折で測定し炭酸カルシウムの分解率を求めた。その結果、炭酸カルシウムは30%が酸化カルシウムに分解されていた。また、カオリンは100%が焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった
【0126】
実施例9
熱処理工程の温度を750℃、加熱時間を120分に変更した以外は実施例7と同様にして行った。その結果、炭酸カルシウムは100%が酸化カルシウムに分解され、カオリンは100%焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。
【0127】
実施例10
造粒工程、熱処理工程を変更した以外は実施例7と同様にして行った。
[造粒工程]
スラッジを、ディスク・ペレッター(株式会社ダルトン製、既述)を用いて、φ5mm×長さ15mmになるように成形し、乾燥工程および熱処理工程用の原料とした。
【0128】
[熱処理工程]
造粒したペーパースラッジの供給速度を3.5kg/hとし、未燃焼物搬送用空気流Aの流量を250L/分、スラッジ温度を600℃、加熱部分に30分(キルン傾斜:2%、回転数:2.1rpm)滞留させ、一次処理焼成物を調製した。次いで調製した一次処理焼成物を、再度、ロータリーキルン1に供給し、未燃焼物搬送用空気流Aの流量を200L/分、二次焼成物温度を800℃、加熱部分に70分(キルン傾斜:1%、回転数:1.0rpm)滞留させ、焼成物を調製した。
【0129】
得られた焼成物をX線回折で測定し、炭酸カルシウムの分解率を求めた。その結果、炭酸カルシウムは100%が酸化カルシウムに分解されていた。また、カオリンは100%が焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。
【0130】
実施例11
炭酸化工程を行わずに、熱処理焼成物をそのまま製紙用填料および塗工用顔料用途の無機粒子として使用した以外は、実施例4と同様にして行った。得られたスラッジ焼成物(無機粒子)をX線回折で測定し、炭酸カルシウムの分解率を求めた。その結果、炭酸カルシウムは35%が酸化カルシウムに分解されていた。また、カオリンは100%焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。得られたスラッジ焼成物には未燃焼物の混入が見られなかった。得られた無機粒子については、製紙用填料として使用する場合には、そのまま使用し、塗工用顔料として使用する場合には、以下の分散工程および粉砕工程を追加して行い、塗工用顔料とした。
【0131】
[分散工程]
熱処理焼成物を固形分が約35%となるようにコーレスミキサーを用いて水に分散させた。その分散の際、水にポリアクリル酸系分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成株式会社製)を焼成物の固形分対比で2.0部の量を添加し、スラリーを調製した。
【0132】
[粉砕工程]
分散工程後のスラリー組成物を湿式粉砕機であるサンドグラインダーを用いて平均粒子径が1.3μmになるまで粉砕した。
【0133】
実施例12
造粒工程、熱処理工程を変更した以外は実施例7と同様にして行った。
[造粒工程]
スラッジを、ディスク・ペレッター(株式会社ダルトン製)を用いて、φ5mm×長さ15mmになるように成形し、熱処理工程用の原料とした。
【0134】
[熱処理工程]
ペーパースラッジの供給速度を3.5kg/hとし、未燃焼物搬送用空気流の流量を500L/分、スラッジ温度を750℃、加熱時間を120分(キルン傾斜:1%、回転数:0.95rpm)滞留させたほかは実施例7と同様にして焼成物を調製した。その結果、炭酸カルシウムは100%が酸化カルシウムに分解され、カオリンは100が%焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。
【0135】
比較例1
熱処理工程を以下のように変更した以外は実施例9と同様にして行った。
[熱処理工程]
ペーパースラッジ3.5kg/hを、連続式直接的加熱型ロータリーキルン(加熱部分:φ25×180cm)の一端から供給し、他端から排出した。最高温度を750℃とし、キルン内部に60分滞留させ、焼成物を調製した。直接的加熱型であるのでスラッジ供給側からいわゆる燃焼用灯油バーナーで炉内を直接加熱し、その燃焼量により温度調整をおこなった。この際、直接的加熱型キルン内の温度を均一に調整することは困難であった。
【0136】
得られた焼却物をX線回折で測定し、炭酸カルシウムの分解率を求めた。その結果、炭酸カルシウムは25%が酸化カルシウムに分解されていた。また、カオリンは100%が焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。
【0137】
[品質評価]
ペーパースラッジを熱処理した焼成品、およびペーパースラッジから製造した再生無機粒子を、以下の方法により評価を行った。
【0138】
[スラッジ焼成物、および再生無機粒子の白色度の測定]
サンプル(乾燥物)を約10g、乳鉢で粗い粒子がなくなるまですりつぶしたのち、粉体試料成形機(理学電機工業株式会社製、Cat9302/30)を用いて、圧力100kNにて30秒加圧して粉体試料成形した。成形したサンプルの白色度を分光白色度測色計(スガ試験機社製SC−10WT型)を使用し、JIS P8148(2001年)に準拠し、測定した。
【0139】
[磨耗性試験]
王子工営(株)製ワイヤー摩耗試験機を使用し、固形分濃度:5%の填料分散液をポンプ循環させながら、試験条件(加重=650g,ワイヤー=プラスチックワイヤー/SS−60、日本フィルコン社製を使用、試験時間=3時間)で摩耗度試験を行い、減量したワイヤーの重量(mg)をもって、ワイヤー摩耗性を評価した。また軽質炭酸カルシウム(自製品)、重質炭酸カルシウム(自製品)およびタルク(商品名:SK−2、東洋化成社製)の各5質量%濃度のスラリーを調製し、磨耗試験の比較用試料として用いた。
○ :ワイヤー摩耗性は良好である。
○’:ワイヤー摩耗性は若干悪いが、使用できる範囲である。
× :ワイヤー摩耗性が悪く、使用できない。
【0140】
[無機粒子分散液のpH測定方法]
得られた無機粒子の分散液は、ラコムテスターpH計(pHScanWPBN型/アズワン製)を使用し、各種顔料分散液中に直接pH電極を浸漬させて顔料分散液のpHを測定した。なお、pH測定に使用したpH計については、NIST基準校正液(pH6.86、およびpH9.18の2種類)を用いてpH校正を行なった後にpH測定を行なった。実施例1〜10、12、比較例1は、pH9.6〜10.6、実施例11はpH11.5であった。
【0141】
以上、実施例1〜12、および比較例1の熱処理条件、原料形状、炭酸化工程の有無、燃焼品および無機粒子の各品質を表に纏めれば、主に[表1]のとおりになる。
【0142】
【表1】


【0143】
[2層両面塗被紙の製造]
実施例13
[下塗り塗被液の調製]
実施例12で得た再生無機粒子10質量%、平均粒子径2μm重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−6、備北粉化社製)90質量%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:エースB、王子コーンスターチ社製)4部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T2628G、JSR社製)6部(いずれも固形分換算)、さらに、助剤として消泡剤及び染料を添加し、最終的に固形分濃度62%の塗被液を調製した。
【0144】
[上塗り塗被液の調製]
微粒カオリン(商品名:ミラグロスJ、エンゲルハード社製)60質量%、平均粒子径1.3μm重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−9、備北粉化工業社製)40質量%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:エースB、前出)2部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T2628G、前出)10部(いずれも固形分換算)、さらに、助剤として消泡剤及び染料を添加し、最終的に固形分濃度65%の塗被液を調製した。
【0145】
[2層両面塗被紙の作製]
緊度が0.75g/cmである上質原紙(米坪70.0g/m)に、下塗り塗被層用塗被液を片面当たりの乾燥重量が7g/mとなるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行い、下塗り塗被層を設けた。次いで、上塗り塗被層用塗被液を片面当たりの乾燥重量が9g/mとなるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行い、上塗り塗被層を設けた。このようにして得られた塗被紙を、温度70℃、線圧200KN/mでスーパーカレンダに通紙して、塗被紙を得た。
【0146】
実施例14
下塗り塗被層を変更した以外は実施例13と同様にして塗被紙を得た。
[下塗り塗被液の調製]
実施例12で得た再生無機粒子30質量%、平均粒子径2μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−6、前出)70質量%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:エースB、前出)4部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T2628G、前出)6部(いずれも固形分換算)、さらに、助剤として消泡剤及び染料を添加し、最終的に固形分濃度59%の塗被液を調製した。
【0147】
比較例2
下塗り塗被層の顔料を比較例1で得た再生無機粒子に変更し、最終的に固形分濃度60%の塗被液を調製した以外は実施例14と同様にして塗被紙を得た。
【0148】
参考例1
下塗り塗被層の顔料を実施例11で得た再生無機粒子に変更し、最終的に固形分濃度50%の塗被液を調製した以外は実施例14と同様にして塗被紙を得た。
【0149】
参考例2
下塗り塗被層を変更した以外は実施例13と同様にして塗被紙を得た。
[下塗り塗被液の調製]
平均粒子径1.3μm重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−9、前出)100質量%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:エースB、前出)4部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T2628G、前出)6部(いずれも固形分換算)、さらに、助剤として消泡剤及び染料を添加し、最終的に固形分濃度65%の塗被液を調製した。
【0150】
参考例3
下塗り塗被層の顔料を平均粒子径2.0μm重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−6、前出)に変更した以外は参考例2と同様にして塗被紙を得た。
【0151】
参考例4
下塗り塗被層の顔料を微粒カオリン(商品名:ミラグロスJ、前出)に変更した以外は参考例2と同様にして塗被紙を得た。
【0152】
[品質評価]
以上の実施例、参考例、比較例についての品質評価を纏めれば、主に[表2]のとおりになる。なお品質評価については特に記載ない限り、23℃、50RH%の環境において、以下の方法により評価を行った。
【0153】
[白色度の測定]
スガ試験機社製、分光白色度測色計を使用し、JIS P8148に準拠し、測定した。
【0154】
[不透明度の測定]
スガ試験機社製、分光白色度測色計を使用し、JIS P8149に準拠し、測定した。
【0155】
[白紙光沢度の測定]
村上色彩技術研究所製、75°光沢度計を使用し、JIS Z8741に準拠し、測定した。
【0156】
[PPS平滑度の測定]
パーカープリントサーフ(PPS)表面平滑度試験機(機種名:MODEL M−569型、MESSMER BUCHEL社製、英国)を用い、バッキングディスク:ソフトラバー、クランプ圧力:0.98MPaで5回平滑度測定を行ない、その平均を求めた。
【0157】
[印刷適性評価]
RI印刷機にて、印刷インキ(商品名:FUSION−G 墨、Sタイプ、大日本インキ化学工業社製)を0.1cc使用して印刷を行い、転写したインキ濃度(インキ着肉性)およびインキの転写均一性(印刷平滑性)を総合的に目視で観察して評価した。
◎:印刷適性が特に優れる。
○:印刷適性が優れる。
△:印刷適性がやや劣るが、実用上問題ない。
×:印刷適性が劣る。
【0158】
[インキセット評価]
RI印刷機にて、印刷インキ(商品名:FUSION−G 墨、Sタイプ、既述)を0.6cc使用して印刷を行い、3分後に白紙と印刷面を重ねて、再度RI印刷機にニップし、白紙に転写したインキ濃度を目視評価した。
◎:インキセットが非常に早く、特に優れる。
○:インキセットが早く、優れる。
△:インキセットはやや遅いが、実用上問題ない。
×:インキセットが遅く、実用上問題がある。
【0159】
【表2】


【0160】
[1層両面塗被紙の製造]
実施例15
[塗被液の調製]
実施例12で得た再生無機粒子15質量%、平均粒子径1.3μm重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−9、前出)35質量%、微粒カオリン(ミラグロスJ、前出)50質量%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:エースB、前出)4部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T2628G、前出)7部(いずれも固形分換算)、さらに、助剤として消泡剤及び染料を添加し、最終的に固形分濃度62%の塗被液を調製した。
【0161】
[1層両面塗被紙の作製]
緊度が0.75g/cmである上質原紙(米坪70.0g/m)に、塗被層用塗被液を片面当たりの乾燥重量が8g/mとなるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行い、塗被層を設けた。このようにして得られた塗被紙を、温度70℃、線圧200KN/mでスーパーカレンダに通紙して、塗被紙を得た。
【0162】
比較例3
塗被層の顔料を比較例1で得た再生無機粒子に変更した以外は実施例15と同様にして塗被紙を得た。
【0163】
参考例5
塗被層の顔料を実施例11で得た再生無機粒子に変更し、最終的に固形分濃度55%の塗被液を調製したた以外は実施例15と同様にして塗被紙を得た。
【0164】
参考例6
塗被層の顔料を微粒カオリン(商品名:ミラグロスJ、前出)に変更し、最終的に固形分濃度65%の塗被液を調製したた以外は実施例15と同様にして塗被紙を得た。
【0165】
[品質評価]
以上の実施例、参考例、比較例についてのデーターを纏めれば、主に[表3]のとおりになる。なお、品質評価方法については前記表2と同様に行った。
【0166】
【表3】


【0167】
[填料内添紙の製造]
実施例16
[紙料の調製]
広葉樹パルプ(LBKP濾水度450ml)のスラリー(濃度2.5%)に、実施例12で得た再生填料30質量%、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−121、奥多摩工業社製)70質量%の混合填料スラリーをパルプ絶乾重量当たり15部、カチオン化澱粉(商品名:エースK100、王子コンスターチ社製)0.8部、硫酸バンド0.5部、アルキルケテンダイマー(商品名:K−287、荒川化学工業社製)0.1部をそれぞれ添加し、固形分濃度0.5%の紙料を調製した。
【0168】
[上質紙の作成]
調製した紙料をオントップのツインワイヤー抄紙機で抄紙、乾燥し、続いて、ゲートロールコーターで酸化澱粉の塗布量が乾燥重量で両面合計1.5g/m2となるように塗布、乾燥後、3ニップのマシンカレンダに通紙して、米坪70g/m2の上質紙を得た。
【0169】
比較例4
上質紙中の填料を比較例1で得た再生填料に変更した以外は実施例16と同様にして塗被紙を得た。
【0170】
参考例7
上質紙中の填料を軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−121、前出)100質量%に変更した以外は実施例16と同様にして塗被紙を得た。
【0171】
[品質評価]
以上の実施例、参考例、比較例についてのデーターを纏めれば、主に[表4]のとおりになる。なお品質評価は、前記表2と同様の方法および以下の方法により、特に記載ない限り、23℃、50RH%の環境下で行った。
【0172】
[クラーク剛度の測定]
熊谷理機工業社製、クラーク剛度試験機を使用し、JIS P8143(1996)に準拠し、測定した。
【0173】
[引張強度の測定]
島津製作所社製、引っ張り試験機を使用し、JIS P8113(1998)に準拠し、測定した。
【0174】
[層間強度の測定]
インターナルボンドテスタを使用し、JAPAN TAPPI 18−2に準拠し、測定した。
【0175】
【表4】


【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】本発明のスラッジを原料とする無機粒子の製造方法の基本フローシートを示す図。
【図2】本発明の熱処理工程に使用される、間接的加熱型ロータリンキルンを使用した熱処理装置の一例の構成図。
【図3】本発明の熱処理工程に使用される、間接的加熱型ロータリンキルンを使用した熱処理装置の他の一例の構成図。
【出願人】 【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子製紙株式会社
【出願日】 平成19年5月24日(2007.5.24)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−1591(P2008−1591A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2007−137712(P2007−137712)