トップ :: C 化学 冶金 :: C01 無機化学

【発明の名称】 改良されたアンモニア回収法
【発明者】 【氏名】アブラハム・ベンダリー

【氏名】キース・フレデリック・ブリージェル

【氏名】マイケル・スタンレイ・デコーシー

【氏名】ロナルド・ユージーン・マイヤーズ

【要約】 【課題】工業プロセスにおいて用いられる実質的に純粋なアンモニアを回収するための改良されたアンモニア回収法を提供する。

【解決手段】アンモニア回収法であって、その方法は、a)アンモニアを含むプロセス流れを提供し、b)リン酸、硝酸、シュウ酸、ホウ酸及びリン酸水素アンモニウムから選択される1以上を含む捕捉溶液を提供し、c)前記アンモニアを含むプロセス流れを急冷して、アンモニア処理捕捉溶液を形成し、d)前記アンモニア処理捕捉溶液を精製して、精製されたアンモニア処理捕捉溶液を形成し、e)前記精製されたアンモニア処理捕捉溶液からアンモニアを除去して、濃縮されたアンモニア生成物流れを形成する工程を含み、前記捕捉溶液中のニッケルイオンの濃度が250ppm未満で維持される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア回収法であって、その方法は、
a)アンモニアを含むプロセス流れを提供し、
b)リン酸、硝酸、シュウ酸、ホウ酸及びリン酸水素アンモニウムから選択される1以上を含む捕捉溶液を提供し、
c)前記アンモニアを含むプロセス流れを急冷して、アンモニア処理捕捉溶液を形成し、
d)前記アンモニア処理捕捉溶液を精製して、精製されたアンモニア処理捕捉溶液を形成し、
e)前記精製されたアンモニア処理捕捉溶液からアンモニアを除去して、濃縮されたアンモニア生成物流れを形成する工程を含み、
前記捕捉溶液中のニッケルイオンの濃度が250ppm未満で維持されるアンモニア回収法。
【請求項2】
前記アンモニアを含むプロセス流れが、シアン化水素をさらに含む請求項1記載のアンモニア回収法。
【請求項3】
前記アンモニア処理捕捉溶液が、シアニドイオンを含む請求項1記載のアンモニア回収法。
【請求項4】
アンモニア回収プロセスに導入される時点で測定した捕捉溶液中のニッケルの濃度が、250ppmニッケルイオンより低い請求項1記載のアンモニア回収法。
【請求項5】
前記除去が、分離カラムにおいて行われる請求項1記載のアンモニア回収法。
【請求項6】
前記分離カラムが、20重量%未満のニッケルを有する構成物質から構成される請求項5記載のアンモニア回収法。
【請求項7】
前記分離カラムが、ガラス、エポキシ、エラストマー、フルオロポリマー、300シリーズステンレス鋼、400シリーズステンレス鋼、二相ステンレス鋼、タンタル及びジルコニウムを含むリストから選択される1以上の低ニッケル含量材料を含む請求項5記載のアンモニア回収法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は工業プロセス流れからアンモニアを回収するための改良された方法を提供する。より詳細には、本発明は、低ニッケル含量を有する装置および/または操作液体の使用によりアンモニア回収プロセスにおけるシアニド系不純物を減少させることに関する。本発明の結果、操作コストが顕著に減少し、有効性が著しく増大する。
【背景技術】
【0002】
化学製造法において、一次生成物の形成は、より大きな全体的製造プロセスにおける一段階にすぎない。一次生成物が形成されると、これを次に副生成物、未反応フィードストックおよび触媒などの他の物質と分離しなければならない。最高の有効性を得るためには、これらの工業プロセス流れを回収プロセスに供して、リサイクルされる物質を分離して、収率を増大させるかまたは製造コストを減少させる。これらの回収プロセスは、無数の急冷システム、蒸留システム、および沈殿槽ならびにできるだけ多くの物質が回収できるためのさまざまな他の回収プロセスを含む。これらの回収された物質は、別の生成物、リサイクルされたフィードストックまたは回収された触媒として有用であるだけでなく、これらを回収することにより、製造業者らが処理しなければならない廃棄物の総体積が減少する。特に、(メタ)アクリロニトリルまたはシアン化水素の製造およびコークオーブンガスの処理などの工業プロセスでは、残留アンモニアを含む工業プロセス流れが生じる。この残留アンモニアの回収および再使用は、これらおよび他の工業アンモニア製造プロセスの経済的実現性について重要であると認識される。
【0003】
歴史的には、残留アンモニアは硫酸スクラビングにより工業プロセス流れから回収されていた。硫酸スクラビングは、肥料として使用するのに適した硫酸アンモニウム塩の形態において残留アンモニアを回収する。しかしながら、肥料製造よりも工業的使用に適した濃縮されたアンモニアを製造できるアンモニア回収プロセスが、工業標準としての硫酸スクラビングによるアンモニア回収と取って代わってきている。図1に示すような典型的なアンモニア回収プロセスにおいて、前記および他の工業プロセスのいずれかに由来する残留アンモニアを含むプロセス流れは、吸収装置10において捕捉溶液で急冷され、アンモニア処理捕捉溶液および実質的にアンモニアを含まないプロセス流れを得る。次に、アンモニア処理された捕捉溶液をストリッパー20において精製して、アンモニアと共に捕捉溶液中に偶然吸収された不純物を除去し、精製されたアンモニア処理捕捉溶液および不純物流れを得る。精製されたアンモニア処理捕捉溶液にその後、分離カラム30において熱を加えて、精製されたアンモニア処理捕捉溶液から捕捉されたアンモニアを除去し、粗アンモニアの流れと再生捕捉溶液を得る。粗アンモニア流れをさらに精製カラム40において濃縮して、水および他の残存する汚染物質を底部流れから除去し、濃縮されたアンモニア生成物流れを得る。捕捉溶液中のHCNおよびCO2などの不純物が同時に吸収されるのを最小限に抑え、またストリッパーを出る精製されたアンモニア処理捕捉溶液中に残存する不純物を最小限に抑えるためのさまざまな改良法がある。それでも、アンモニア回収プロセスは非効率的である。現行のアンモニア回収プロセスの欠点の1つは、たとえば、ストリッパー20が非常に効率が悪く、残存する不純物がストリッパーから出て、不純物流れではなく、精製されたアンモニア処理捕捉溶液中に入ることである。精製されたアンモニア処理捕捉溶液中に残存する不純物はさらにアンモニア回収システム中を進行し、下流プロセスに悪影響をおよぼす。精製されたアンモニア処理捕捉溶液中の不純物は、全体的なアンモニア回収効率の低下および最終的な濃縮アンモニア生成物流れの純度の低下につながる。現行のアンモニア回収プロセスのもう1つの欠点は、濃縮アンモニア生成物流れ中のアンモニア回収プロセスを出る不純物は、その後、一次製造プロセス中にリサイクルされ、ここで非常に悪い影響を及ぼし得ることである。
【0004】
伝統的なアンモニア回収プロセスのさらにもう1つの欠点は、残存する不純物の一部が捕捉溶液中、固体、たとえば、シアニドポリマーを形成する傾向があることである。これらの固体はリサイクルされた捕捉溶液中に蓄積し、アンモニア回収プロセス装置中に堆積する。固体不純物が存在することは、アンモニア回収プロセスの操作性に対して重大な影響を及ぼす。
【0005】
一旦プロセス装置中に蓄積した固体不純物の除去は、時間がかかり、費用がかかる。このような固体を除去するために、ろ過、湿式酸化、および捕捉溶液置換などの方法が用いられてきた。このような除去の必要性は、操作コスト、装置の操業時間、ならびにアンモニア回収ユニットを維持するために必要なメンテナンス時間および費用に悪影響をおよぼす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、アンモニア回収プロセス、特にストリッパー20の効率を向上させることが強く必要とされる。さらに、効率の向上が最少の資本費用で達成できるならば製造業者にとっては有利である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明において、プロセス流れからアンモニアを有効に回収できるようにアンモニア回収プロセス流れにおけるニッケル濃度が低減された改良されたアンモニア回収法が提供される。本発明は、ストリッパー20での不純物除去を増大させ、全体的な効率および操作コストを向上させる。本発明は、一般に、低ニッケル構成物質から少なくとも1つのアンモニア回収プロセス成分を組み立てることおよび/またはアンモニア回収プロセスにおいて用いられる原料中のニッケルの量を制限することを含む。アンモニア回収プロセス装置とは、ストリッパー、ストリッパー補助装置、不純物をストリッピングする手段(たとえば、ストリッパーに付随する第一熱源、ストリッパーに付随する加熱されたストリッピングガスシステム、またはストリッパーに付随する加熱されていないストリッピングガスシステム)、分離カラム、分離カラムに付随する第二熱源、分離カラム補助装置および/またはその任意の部分を意味する。本発明の利点は、精製されたアンモニア処理捕捉溶液中のストリッパー20を出る不純物が減少することにある。ストリッパー20の効率を増大させることにより、濃縮されたアンモニア生成物流れ中に残存する不純物の量が著しく減少する。濃縮されたアンモニア生成物流れ中に残存する不純物の量を減少させることにより、改良されたアンモニア回収法では残存する不純物が一次製造プロセスに対しておよぼす悪影響が軽減される。
【0008】
本発明のもう1つの利点は、アンモニア回収中に生じる望ましくない固体が減少することにある。ストリッパー20以降のアンモニア回収装置中に残存する不純物が減少すると、プロセス装置中の望ましくない固体の蓄積が減少する。このような固体の形成を制限することにより、固体除去に伴う膨大なコストが減少する。
【0009】
したがって、本発明は、アンモニア回収プロセスの操作性を向上させ、アンモニア回収プロセス装置の汚染を低減し、回収されたアンモニアと接触する一次プロセス装置の汚染を軽減し、一次プロセスおよびアンモニア回収プロセスの両者に付随する操作および維持コストを減少させる。
【0010】
「ASD」なる用語は、吸収、ストリッピング、および分離の特定の段階を含んでもよい、アンモニア回収プロセスに含まれる少なくとも予備段階を意味する。しかしながら、ASDは吸収、ストリッピング、分離またはその組合せに対する予備段階に限定されると解釈するべきではない。
【0011】
したがって、第一の例において、本発明は:(a)ASDシステムおよび(b)ASDシステムに操作可能に連結された精製カラムを含み、ASDシステムの少なくとも一部が、20重量%未満のニッケルを有する構成物質で構成される改良されたアンモニア回収システムを提供する。
【0012】
第二の例において、本発明は:(a)捕捉溶液を含むASDシステム、および(b)ASDシステムに操作可能に連結された精製カラムを含み、新鮮な捕捉溶液がASDシステムに供給され、新鮮な捕捉溶液が250ppm未満のニッケル濃度を有する改良されたアンモニア回収システムを提供する。
【0013】
第三の例において、本発明は:(a)ストリッパーに操作可能に連結された吸収装置、(b)分離−精製カラムに操作可能に連結されたストリッパー、(c)分離−精製カラムを含み、ストリッパーの少なくとも一部および/または分離−精製カラムの少なくとも一部が、20重量%以下のニッケルを有する構成物質で構成される改良されたアンモニア回収システムを提供する。
【0014】
第四の例において、本発明は:(a)ストリッパーに操作可能に連結された吸収装置、(b)分離−精製カラムに操作可能に連結されたストリッパー、(c)分離−精製カラムを含み、吸収装置が捕捉溶液を含み、250ppm未満のニッケル濃度を有する新鮮な捕捉溶液が吸収装置に供給される改良されたアンモニア回収システムを提供する。
【0015】
第五の例において、本発明は:(a)(i)ASDシステム、および(ii)これに操作可能に連結された精製カラムを含み、ASDシステムの一部が20重量%以下のニッケルを有する構成物質で構成されるアンモニアを回収する装置を提供する段階;
(b)アンモニアを含む工業プロセス流れを該装置に輸送する段階;および(c)提供された装置中で、アンモニアを含む工業プロセス流れを精製し、濃縮されたアンモニアプロセス流れを製造する段階を含む、工業プロセス流れからアンモニアを回収するための改良された方法を提供する。
【0016】
第六の例において、本発明は:(a)(i)ストリッパーに操作可能に連結された吸収装置、(ii)分離−精製カラムに操作可能に連結されたストリッパー、(iii)分離−精製カラムを含み、1またはそれ以上の吸収装置、ストリッパー、または分離−精製カラムの少なくとも一部が、20重量%未満のニッケルを有する構成物質で構成されるアンモニアを回収するための装置を提供する段階;
(b)アンモニアを含む工業プロセス流れを該装置に輸送する段階;および(c)提供された装置中で、アンモニアを含む工業プロセス流れを精製し、濃縮されたアンモニアプロセス流れを製造する段階を含む、工業プロセス流れからアンモニアを回収するための改良法を提供する。
【0017】
第七の例において、本発明は:(a)(i)ストリッパーに操作可能に連結された吸収装置、(ii)分離−精製カラムに操作可能に連結されたストリッパー、(iii)分離−精製カラム、を含むアンモニアを回収するための捕捉溶液を含む装置を提供する段階;
(b)250ppm未満のニッケル濃度を有する新鮮な捕捉溶液を該装置に添加する段階;
(c)アンモニアを含む工業プロセス流れを該装置に輸送する段階;および(d)提供された装置中で、アンモニアを含む工業プロセス流れを精製し、濃縮されたアンモニアプロセス流れを製造する段階を含む、工業プロセス流れからアンモニアを回収するための改良法を提供する。
【0018】
第八の例において、本発明は:(a)(i)捕捉溶液を含むASDシステムおよび(ii)これに操作可能に連結された精製カラムを含むアンモニアを回収するための装置を提供する段階;
(b)約250ppm未満のニッケル濃度を有する新鮮な捕捉溶液をASDシステムに添加する段階;
(c)アンモニアを含む工業プロセス流れを該装置に輸送する段階;および(d)提供された装置中で、アンモニアを含む工業プロセス流れを精製し、濃縮されたアンモニアプロセス流れを製造する段階を含む、工業プロセス流れからアンモニアを回収するための改良法を提供する。
【0019】
他の目的、特性および利点は、開示のために記載された本発明の好ましい態様の以下の記載から添付の図面と関連させて明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の恩恵を享受するアンモニア回収プロセスを示すプロセス流れ図である。
【0021】
本発明は、アンモニア回収プロセスにおいてニッケルベースの不純物、たとえば、ニッケル−シアノ錯体を減少させることに関する。本明細書に記載された様々な方法によりこれらの不純物を減少させることにより、さらに有効なアンモニア回収プロセスが得られる。
【0022】
図1は、残存するアンモニアを含むプロセス流れが吸収装置10において捕捉溶液で急冷され、アンモニア処理された捕捉溶液および実質的にアンモニアを含まないプロセス流れが得られるアンモニア回収プロセスである。捕捉溶液は、リサイクルされた物質、新鮮な物質、または新鮮な物質とリサイクルされた物質の組合せであってもよい。リサイクルされた捕捉溶液は、アンモニア回収プロセスにおいて使用された捕捉溶液であり、再使用するのに好適になるように再生される。新鮮な捕捉溶液は、アンモニア回収プロセスにおいてまだ使用されていない原料としての捕捉溶液を意味する。新鮮な捕捉溶液を、フィードラインから吸収装置10に直接添加することができるか、またはリサイクルラインに添加して、再生された捕捉溶液を吸収装置10に戻すことができる。アンモニア回収プロセスシステムが測定可能な体積を有しているとするならば、新鮮な捕捉溶液が継続してアンモニウム回収プロセスシステムに添加されるならば、プロセスシステムからリサイクルされた捕捉溶液の一部も除去することが必要となる。
【0023】
次に、アンモニア処理された捕捉溶液をストリッパー20において精製して、アンモニアと共に捕捉溶液中に偶然吸収された不純物を除去し、精製されたアンモニア処理捕捉溶液および不純物流れが生じる。ストリッパー20は、ストリッパー補助装置、底部、およびアンモニア処理された捕捉溶液プロセス流れから不純物をストリッピングするための手段(たとえば、熱源、加熱されたストリッピングガス添加システム、または加熱されていないストリッピングガス添加システム)を含む。熱源なる用語は、蒸留カラムに熱を供給するために通常用いられる任意の工業的装置を含む。熱源の例としては、これに限定されないが、リボイラー、生蒸気注入システム、および熱交換器が挙げられる。熱交換器の例としては、プレートおよびフレーム熱交換器、プレートおよびフィン熱交換器、スパイラル熱交換器、ならびにシェルおよびチューブ熱交換器が挙げられる。補助装置なる用語には、これに限定されないが、コンデンサー、配管、計器、フィードシステム、底部およびオーバーヘッドタワー部分、カラム内部、ベントシステム、原料添加システム、還流システム、ランダウンシステムおよびポンプをはじめとするカラムに連結されたすべての装置が含まれる。
【0024】
ストリッパー20において用いるのに適したストリッピングガスとしては、これに限定されないが、窒素、天然ガス、プロパン、プロピレン、圧縮空気、水素、蒸気、アクリロニトリルプロセス吸収装置オフガス、酸素、アセトン、およびアルゴンが挙げられる。1またはそれ以上のこれらのガスの混合物も用いることができる。
【0025】
本発明において用いられるストリッピングガス添加システムなる用語は、ストリッピングガスをストリッパー20に送達し、ストリッピングガスがアンモニア処理された捕捉溶液と密接に接触するようになる当該分野で公知の任意の手段を意味する。ストリッピングガス添加システムは、たとえば、配管、ノズル、インジェクター、スパージャー、バァッフル、トレー、パッキング、またはディストリビューターを含んでもよい。
【0026】
ストリッピングガスを公知方法、たとえば、熱交換器を用いて加熱するか、または加熱しないでストリッパー20に導入してもよい。ストリッピングは、加熱または非加熱ストリッピングガスの混合物、複数のストリッピングガス添加システムまたは熱源をストリッピングガス添加システムと組み合わせて使用することにより行うことができる。次の段階において、分離カラム30において精製されたアンモニア処理捕捉溶液に熱を加え、精製されたアンモニア処理捕捉溶液から捕捉されたアンモニアを除去する。分離カラム30で再生された捕捉溶液の流れ(吸収装置10にリサイクルされうる)および遊離した粗アンモニア流れが生じる。分離カラムは熱源、分離カラム補助装置、および熱源に最も近い分離カラムの末端に位置する底部を有する。分離カラム補助装置とは、これに限定されないが、コンデンサー、配管、計器、フィードシステム、底部およびオーバーヘッドタワーセクション、ベントシステム、原料添加システム、還流システム、ランダウンシステムおよびポンプをはじめとするカラムに連結されたすべての装置を意味する。
【0027】
最終段階において、粗アンモニア流れを精製カラム40においてさらに濃縮して、水および他の残存する汚染物質を底部流れから除去し、濃縮されたアンモニア生成物流れを得る。
【0028】
「ASD」なる用語は、吸収、ストリッピングおよび分離の特定の段階を含んでもよいアンモニア回収プロセスに含まれる少なくとも予備段階を意味する。しかしながら、ASDは、吸収、ストリッピング、分離の予備段階またはその組合せに限定されると解釈するべきではない。
【0029】
本発明の分離30および精製40段階は、一つのカラムにおいて行うことができると考えられる。たとえば、アンモニアを捕捉溶液から分離し、アンモニアおよび捕捉溶液から不純物を除去するために一つの蒸留カラムを用いることができる。このようなカラムを分離−精製カラムと呼ぶ。
【0030】
驚くべきことに、本発明者らは、ニッケルイオンがシアニドイオンと結合し、ニッケル−シアノ錯体を形成するという事実のために、アンモニア回収プロセスにおける金属イオン、特にニッケルイオンの濃度が、ストリッパー20における不純物除去効率に強い影響を及ぼすことを見いだした。さらに、本発明者らは、アンモニア回収プロセスにおいて存在するニッケルの濃度を制限することにより、捕捉溶液におけるニッケル−シアノ錯体の形成を最小限に抑え、それにより不純物除去効率を著しく増大できることを確認した。本発明者らは、さらに、アンモニア回収プロセス装置に低ニッケル含量構成物質を用いることおよび/またはアンモニア回収プロセスに添加する前に捕捉溶液中のニッケル濃度を調節することにより、ニッケルイオンの濃度、およびニッケル−シアノ錯体を最小限に抑えられることを見いだした。このように最小限にすることにより、ストリッパー20の不純物除去効率が向上される。
【0031】
望ましくない金属イオンがアンモニア回収プロセス中に侵入するには3通りの方法がある。まず、これらは、使用されるプロセス装置の腐蝕により侵入する。第二に、これらの問題のあるイオンは捕捉溶液(アンモニア含有プロセス流れを急冷するために使用される)の組成により侵入し、これはそれ自体、いくつかの変数により影響を受ける。第三の原因は、アンモニア含有プロセス流れ自体である。本発明は、はじめの2つの問題を取り扱う。興味深いことに、本発明者らは、金属イオンがアンモニア回収プロセス装置自体の腐蝕によりプロセスに侵入することを見いだした。本発明者らは、下記のような特定の構成物質の使用によりこの問題が事実上解決されることを見いだした。
【0032】
捕捉溶液の組成も、アンモニア回収プロセスの効率に影響をおよぼし得る。捕捉溶液(前記)は、リン酸、硝酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸水素アンモニウム溶液などの化合物、またはその混合物から形成された酸ベースの溶液である。金属イオンがこれらの化合物において存在する可能性があり、したがってこれらの化合物が捕捉溶液を形成するために用いられる場合に、プロセス中に導入される。さらに、金属イオンは、アンモニア回収プロセスに添加される前に、捕捉溶液の加工、保存、取扱または輸送のために用いられる装置の通常の腐蝕により捕捉溶液に侵入し得る。さらに、金属イオンは、捕捉溶液をプロセスに導入するために用いられる装置の腐蝕により、アンモニア回収プロセス自体に導入される時点で捕捉溶液に侵入し得る。これらのさまざまな供給源ならびに他の供給源からの金属イオンが捕捉溶液中アンモニア回収プロセスに侵入する。
【0033】
ニッケル−シアノ錯体の形成は、アンモニア捕捉溶液中のシアニドイオンおよびニッケルイオンの両者の濃度に依存する。シアニドまたはニッケルイオンのいずれかの存在を減少させるかまたは除去することにより、シアノ錯体不純物の量を比例して減少させるかまたは除去することができる。結果として、シアニドベースの固体の形成を減少させることができる。
【0034】
アンモニア回収プロセス中に存在するニッケルの濃度は、アンモニア回収プロセス装置の構成物質を十分低いニッケル含量に選択することにより調製することができる。アンモニア回収プロセスにおけるニッケル濃度も、アンモニア回収プロセスに導入される前に捕捉溶液中に存在するニッケル濃度を制限することにより調製することができる。同様に、アンモニア回収プロセスにおけるニッケル濃度は、低ニッケル捕捉溶液およびアンモニア回収プロセス装置に低ニッケル含量構成物質の両者を用いることにより調製することができる。捕捉溶液中のニッケル濃度の制御によりアンモニア回収プロセスにおけるニッケル−シアノ不純物を制御するためには、捕捉溶液中のニッケル濃度は、アンモニア回収プロセス中に導入する時点で250ppmニッケルイオンより低くなければならない。十分低いニッケル含量のアンモニア回収プロセス装置の構成物質を選択することにより、アンモニア回収プロセス中のニッケル−シアノ不純物を調節するためには、選択される物質は20重量%未満のニッケル含量でなければならない。ニッケル濃度を調節することにより、操作コストが低くなり、アンモニア回収プロセス操作性が改良され、回収されるアンモニアの純度が高くなり、下流プロセスの汚染が軽減される。
【0035】
ニッケル−シアノ不純物のシアニドイオン成分は、残存するアンモニアを含むプロセス流れと共にアンモニア回収プロセスに導入され、残存するアンモニアを含むプロセス流れの典型的な成分である。アンモニア回収プロセスに導入されるシアニドイオンの量を最小限に抑えることにより、本発明の方法の利用がさらに向上されることは当業者らには明らかであろう。
【0036】
特に、本発明者らは、ニッケルイオン、特に次の反応によるシアニドイオンとの錯体の形態のものを見いだした:
【化1】


これらのニッケル−シアノ錯体のいくつか、特にテトラ−およびペンタ−シアノ錯体は特に安定である。ストリッパー20において存在する物理的条件(温度、圧力、pHなど)は一般にこれらのテトラ−およびペンタ−シアノ錯体を除去するのに十分でない。したがって、これらは精製されたアンモニア処理捕捉溶液中ストリッパーを通過し、分離カラム30に移り、さらに厳しい条件に曝される。分離カラム30のさらに高い温度およびさらに高い酸性条件により、テトラ−シアノおよびペンタ−シアノ錯体は分解し、シアニドイオンを遊離させる。これらのシアニドイオンはその後、望ましくない固体を形成し、これはアンモニア回収プロセス配管および装置中に蓄積し、アンモニア回収プロセス装置を汚染する。
【0037】
アンモニア回収プロセス装置としては、吸収装置、ストリッパー(特に、ストリッパーの底部)、熱源、ストリッピングガス注入システム(加熱および非加熱)、ストリッパー補助装置、分離カラム(特に、分離カラムの底部)、分離カラム補助装置、および精製カラムが挙げられる。
【0038】
「低ニッケル含量」を有する物質とは、20重量%未満のニッケル含量を有するものである。これより高いニッケル含量を有する物質を本明細書において高ニッケル含量構成物質と呼ぶ。高ニッケル含量構成物質の例としては、6−molyステンレス鋼、alloy20、hastelloy B2、hastelloy C276、およびInconel625が挙げられる。本発明の範囲内の低ニッケル含量構成物質としては、これに限定されないが、300シリーズステンレス鋼、400シリーズステンレス鋼,二相ステンレス鋼、タンタル、およびジルコニウムが挙げられる。その優れた腐蝕耐性のために、Duplex2205、410、および430ステンレス鋼が特に好ましい。非金属構成物質(たとえば、樹脂またはセラミック)が本発明における使用に同様に適していることは、当業者には明らかであろう。
【0039】
さらに、いくつかの例において、製造業者らは、高価な低ニッケル含量材料でメッキした、より安価なベース金属、たとえば炭素鋼を用いることにより資本費用を下げることができる。このような低ニッケル含量オーバーレイとしては、ガラス、エポキシ、エラストマー、フルオロポリマー、または前記低ニッケル含量金属のいずれかが挙げられる。このような例において、オーバーレイは、ベース金属上に配置され、所望により接着してもよい。このような低ニッケル含量オーバーレイの目的は、ベース金属がアンモニア回収プロセス流れと接触するのを防止しつつ、ニッケルイオンがアンモニア回収プロセス中に放出されるのも防止することである。
【0040】
したがって、本発明は、目的を達成し、記載された目的および利点の両者、ならびに固有の他の利点を達成するために十分に適合する。本発明の具体的な例に関連して本発明を記載し、説明し、定義したが、このような参考例は本発明を制限するものではなく、このような制限は意図しない。本発明は、当業者が思いつく形態および/または機能においてかなりの修正が可能である。記載し、説明した本発明の例は例示のみであって、本発明の範囲を網羅するものではない。したがって、本発明は、すべての点において均等物が認められ、請求項の精神および範囲によってのみ限定される。
【0041】
比較例1
Hastelloy C276チューブを有するリボイラーを、リン酸アンモニアベースのアンモニア回収プロセスにおける分離カラムの加熱装置として用いた。新鮮なリン酸アンモニウム溶液をアンモニア回収プロセスに導入し、分離カラムリボイラーを一定の目標温度140℃で操作した。1ヶ月操作した後、精製されたアンモニア処理捕捉溶液のニッケル濃度(分離カラムへのフィード中で測定)は約250ppmであり、分離カラムへのフィード中の遊離シアニドイオン濃度は268ppmであり、錯体形成したシアニド濃度は1100ppmであると評価された。ストリッパーを出るアンモニア処理された捕捉溶液からのHCN除去率は85%未満であり、濃縮されたアンモニア生成物流れの著しい汚染が観察された。
【0042】
実施例1
300シリーズステンレス鋼チューブを有するリボイラーを、リン酸アンモニウムベースのアンモニア回収プロセスにおける分離カラムの加熱装置として用いた。新鮮なリン酸アンモニウム溶液をアンモニア回収プロセスに導入し、分離カラムリボイラーを一定の目標温度140℃で操作した。1ヶ月操作した後、精製されたアンモニア処理捕捉溶液のニッケルイオン濃度(分離カラムへのフィード中で測定)は約20ppmであり、分離カラムへのフィード中の遊離シアニドイオン濃度は0〜10ppmであり、錯体形成したシアニド濃度は80ppmであると評価された。ストリッパーを出るアンモニア処理捕捉溶液からのHCN除去率は98%より大きく、結果として得られる濃縮されたアンモニア生成物流れの純度は高かった。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】典型的なアンモニア回収プロセスを示すプロセス流れ図である。
【符号の説明】
【0044】
10は吸収装置であり、20はストリッパーであり、30は分離カラムであり、40は精製カラムである。
【出願人】 【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【出願日】 平成20年6月3日(2008.6.3)
【代理人】 【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−273833(P2008−273833A)
【公開日】 平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願番号】 特願2008−145785(P2008−145785)