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【発明の名称】 アンモニアの回収方法、アンモニアの再利用方法、アンモニアの回収装置、およびアンモニアの再利用装置
【発明者】 【氏名】安田 貴彦

【氏名】末長 純也

【氏名】松林 良祐

【氏名】奥 秀彦

【氏名】大森 宣典

【要約】 【課題】窒化物半導体の製造装置から排出される排出ガスから、不純物の濃度を少なくとも50ppb以下に低減して、高純度のアンモニアを回収する、アンモニアの回収方法、アンモニアの再利用方法、アンモニアの回収装置、およびアンモニアの再利用装置を提供する。

【構成】アンモニアの回収方法によれば、窒化物半導体製造装置11から排出されるアンモニアを含む排出ガスから、アンモニアと有機金属類との反応生成物および有機金属類を除去して混合ガスを得る工程と、混合ガスから粗アンモニアガスを分離する工程と、粗アンモニアガスを液化して液化粗アンモニアを得る工程と、液化粗アンモニアを蒸留することにより、液化粗アンモニアから不純物を除去して純度のアンモニアを得る工程とを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化物半導体製造装置から排出されるアンモニアを含む排出ガスから、アンモニアと有機金属類との反応生成物および有機金属類を除去して混合ガスを得る工程と、
前記混合ガスから粗アンモニアガスを分離する工程と、
前記粗アンモニアガスを液化して液化粗アンモニアを得る工程と、
前記液化粗アンモニアを蒸留することにより、前記液化粗アンモニアから不純物を除去して高純度のアンモニアを得る工程とを備えた、アンモニアの回収方法。
【請求項2】
前記高純度のアンモニアを得る工程は、第1蒸留塔でアンモニアよりも沸点の高い高沸点不純物を除去する工程と、
第2蒸留塔でアンモニアよりも沸点の低い低沸点不純物を除去する工程とを含む、請求項1に記載のアンモニアの回収方法。
【請求項3】
窒化物半導体製造装置から排出されるアンモニアを含む排出ガスから、アンモニアと有機金属類との反応生成物および有機金属類を除去して混合ガスを得る工程と、
前記混合ガスから粗アンモニアガスを分離する工程と、
前記粗アンモニアガスを液化して液化粗アンモニアを得る工程と、
前記液化粗アンモニアを蒸留することにより、前記液化粗アンモニアから不純物を除去して高純度のアンモニアを得る工程と、
前記高純度のアンモニアを気化させた高純度アンモニアガスを前記窒化物半導体製造装置に供給する工程とを備えた、アンモニアの再利用方法。
【請求項4】
前記高純度のアンモニアを得る工程の後に、2以上のフィルタで前記高純度のアンモニアから微粒子を除去する工程をさらに備えた、請求項3に記載のアンモニアの再利用方法。
【請求項5】
前記供給する工程は、前記高純度アンモニアガスの量を制御して行なう、請求項3または4に記載のアンモニアの再利用方法。
【請求項6】
窒化物半導体製造装置から排出されるアンモニアを含む排出ガスから、アンモニアと有機金属類との反応生成物および有機金属類を除去して混合ガスを製造する除去装置と、
前記混合ガスから粗アンモニアガスを製造する粗アンモニア分離装置と、
前記粗アンモニアガスを液化して液化粗アンモニアを製造する液化装置と、
前記液化粗アンモニアを蒸留することにより、前記液化粗アンモニアから不純物を除去して高純度のアンモニアを製造する蒸留装置とを備えた、アンモニアの回収装置。
【請求項7】
前記蒸留装置は、アンモニアよりも沸点の高い高沸点不純物を除去する第1蒸留塔と、アンモニアよりも沸点の低い低沸点不純物を除去する第2蒸留塔とを含む、請求項6に記載のアンモニアの回収装置。
【請求項8】
前記液化粗アンモニアを貯蔵する貯蔵装置をさらに備えた、請求項6または7に記載のアンモニアの回収装置。
【請求項9】
窒化物半導体製造装置から排出されるアンモニアを含む排出ガスから、アンモニアと有機金属類との反応生成物および有機金属類を除去して混合ガスを製造する除去装置と、
前記混合ガスから粗アンモニアガスを製造する粗アンモニア分離装置と、
前記粗アンモニアガスを液化して液化粗アンモニアを製造する液化装置と、
前記液化粗アンモニアを蒸留することにより、前記液化粗アンモニアから不純物を除去して高純度のアンモニアを製造する蒸留装置と、
前記高純度のアンモニアを気化させた高純度アンモニアガスを前記窒化物半導体製造装置に供給する供給装置とを備える、アンモニアの再利用装置。
【請求項10】
前記高純度のアンモニアから微粒子を除去する2以上のフィルタをさらに備えた、請求項9に記載のアンモニアの再利用装置。
【請求項11】
前記供給装置は、前記高純度アンモニアガスの量を制御する制御装置を含む、請求項9または10に記載のアンモニアの再利用装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアの回収方法、アンモニアの再利用方法、アンモニアの回収装置、およびアンモニアの再利用装置に関し、たとえば窒化物半導体製造装置から排出される排出ガスから該窒化物半導体製造装置に供給するアンモニアの回収方法、アンモニアの再利用方法、アンモニアの回収装置、およびアンモニアの再利用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体は、青色LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)や青色LD(Laser Diode:レーザダイオード)等としての用途および使用量が拡大し、その生産量は飛躍的に伸びている。窒化物半導体を製造する際には、N(窒素)源として、大量のアンモニアを使用している。LEDなどの窒化物半導体の需要増大に伴って、アンモニアの使用量は大きく増大し、多い場合には1工場当たり年間100トンを超える場合もある。このように使用されているアンモニアの多くは、一般的には、製造後にそのまま排出され、アンモニア分解装置等で無害化処理されて廃棄されている。このように大量に排出されるアンモニアを無害化するためには、処理費用がかかるという問題がある。
【0003】
そこで、近年、排出されるガスからアンモニアを回収することが提案されている。たとえば、特開平4−292413号公報(特許文献1)には、半導体製造に使用されているアンモニアガスの高純度化のために、水素化されていないゲッタ合金を使用して、不純物を除去しているアンモニアの精製方法が開示されている。
【0004】
また、たとえば特開2000−317246号公報(特許文献2)には、高純度のアンモニアを含む大量のガスからアンモニアを短時間で回収するために、多管式吸着器にアンモニアの吸着剤を充填し、吸着剤にアンモニアを吸着・脱離するアンモニアの回収方法および回収装置が開示されている。
【特許文献1】特開平4−292413号公報
【特許文献2】特開2000−317246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LED等の窒化物半導体の製造装置に使用されるアンモニアは、含有される不純物濃度が50ppb以下の極めて高純度であることが求められている。しかしながら、上記特許文献1および2では、一定の元素をある程度の低い濃度まで除去することはできるものの、排出ガス中に含まれる水素、窒素、有機金属類(MO)、および微粒子等のすべてを非常に低い濃度まで除去することは難しい。そのため、窒化物半導体などに用いることのできる程度までの純度にすることは難しいという問題がある。
【0006】
また、窒化物半導体製造装置に使用される高純度のアンモニアは、たとえば大型容器に液体で充填量が500kg〜1000kg充填された状態で窒化物半導体製造工場に搬入され、大型容器から配管で窒化物半導体製造装置に供給される。高純度のアンモニアは、その使用量の増大に伴って、大型容器に充填されて、輸送されることが多いため、大型容器での運送費用が過大であるという問題がある。
【0007】
それゆえ本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、窒化物半導体製造装置から排出される排出ガスから、不純物の濃度を50ppb以下に低減して、高純度のアンモニアを回収する、アンモニアの回収方法、アンモニアの再利用方法、アンモニアの回収装置、およびアンモニアの再利用装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にしたがったアンモニアの回収方法は、混合ガスを得る工程と、粗アンモニアを分離する工程と、液化粗アンモニアを得る工程と、高純度のアンモニアを得る工程とを備えている。混合ガスを得る工程は、窒化物半導体製造装置から排出されるアンモニアを含む排出ガスから、アンモニアと有機金属類との反応生成物および有機金属類を除去して混合ガスを得る。粗アンモニアを分離する工程は、混合ガスから粗アンモニアガスを分離する。液化粗アンモニアを得る工程は、粗アンモニアガスを液化して液化粗アンモニアを得る。高純度のアンモニアを得る工程は、液化粗アンモニアを蒸留することにより、液化粗アンモニアから不純物を除去して高純度のアンモニアを得る。
【0009】
上記アンモニアの回収方法において好ましくは、高純度のアンモニアを得る工程は、第1蒸留塔でアンモニアよりも沸点の高い高沸点不純物を除去する工程と、第2蒸留塔でアンモニアよりも沸点の低い低沸点不純物を除去する工程とを含んでいる。
【0010】
なお、本明細書において、「高純度」とは、含有される不純物濃度が50ppb以下の純度を意味する。
【0011】
本発明のアンモニアの再利用方法は、上記のいずれかのアンモニア回収方法により回収された高純度のアンモニアを得る工程と、窒化物半導体製造装置に供給する工程とを備えている。窒化物半導体製造装置に供給する工程は、高純度のアンモニアを気化させた高純度アンモニアガスを窒化物半導体製造装置に供給する。
【0012】
上記アンモニアの再利用方法において好ましくは、高純度のアンモニアを得る工程の後に、2以上のフィルタで高純度のアンモニアから微粒子を除去する工程をさらに備えている。
【0013】
上記アンモニアの再利用方法において好ましくは、供給する工程は、高純度アンモニアガスの量を制御して行なう。
【0014】
本発明のアンモニアの回収装置は、除去装置と、分離装置と、液化装置と、蒸留装置とを備えている。除去装置は、窒化物半導体製造装置から排出されるアンモニアを含む排出ガスから、アンモニアと有機金属類との反応生成物および有機金属類を除去して混合ガスを製造する。粗アンモニア分離装置は、混合ガスから粗アンモニアガスを製造する。液化装置は、粗アンモニアガスを液化して液化粗アンモニアを製造する。蒸留装置は、液化粗アンモニアを蒸留することにより、液化粗アンモニアから不純物を除去して高純度のアンモニアを製造する。
【0015】
上記アンモニアの回収装置において好ましくは、蒸留装置は、アンモニアよりも沸点の高い高沸点不純物を除去する第1蒸留塔と、アンモニアよりも沸点の低い低沸点不純物を除去する第2蒸留塔とを含んでいる。
【0016】
上記アンモニアの回収装置において好ましくは、液化粗アンモニアを貯蔵する貯蔵装置をさらに備えている。
【0017】
本発明のアンモニアの再利用装置は、上記いずれかのアンモニア回収装置と、供給装置とを備えている。供給装置は、高純度のアンモニアを気化させた高純度アンモニアガスを窒化物半導体製造装置に供給する。
【0018】
上記アンモニアの再利用装置において好ましくは、高純度のアンモニアから微粒子を除去する2以上のフィルタをさらに備えている。
【0019】
上記アンモニアの再利用装置において好ましくは、供給装置は、高純度アンモニアガスの量を制御する制御装置を含んでいる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のアンモニアの回収方法およびアンモニアの回収装置によれば、窒化物半導体製造装置から排出される排出ガスから、不純物の濃度を50ppb以下に低減して、高純度のアンモニアを回収できる。また、本発明のアンモニアの再利用方法およびアンモニアの再利用装置によれば、不純物の濃度を50ppb以下に低減して回収した高純度のアンモニアを窒化物半導体製造装置に供給できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるアンモニアの回収装置を説明するための図である。図1を参照して、本発明の実施の形態1におけるアンモニアの回収装置を説明する。図1に示すように、実施の形態1におけるアンモニアの回収装置は、除去装置13と、粗アンモニア分離装置15と、液化装置17と、蒸留装置18とを備えている。除去装置13は、窒化物半導体製造装置11から排出されるアンモニアを含む排出ガスからアンモニアと有機金属類との反応生成物および有機金属類を除去して混合ガスを製造する。粗アンモニア分離装置15は、混合ガスから粗アンモニアガスを製造する。液化装置17は、粗アンモニアガスを液化して液化粗アンモニアを製造する。蒸留装置18は、液化粗アンモニアを蒸留することにより、液化粗アンモニアから不純物を除去して高純度のアンモニアを製造する。
【0023】
具体的には、アンモニアの回収装置10は、第1昇圧装置12と、除去装置13と、第2昇圧装置14、粗アンモニア分離装置15と、第3昇圧装置16と、液化装置17と、蒸留装置18と、高純度アンモニア貯蔵装置19と、粗アンモニア貯蔵装置とを備えている。
【0024】
実施の形態1における窒化物半導体製造装置11は、たとえばLEDを製造する装置である。窒化物半導体装置11には、たとえば窒素、水素、およびアンモニアなどが供給される。
【0025】
第1昇圧装置12は、窒化物半導体製造装置11から排出される排出ガスを昇圧して、除去装置13へ供給する。
【0026】
除去装置13は、微粒子除去筒13aと、MO除去筒13bとを含んでいる。除去装置13は、窒化物半導体製造装置11から排出されるアンモニアを含む排出ガスからアンモニアと有機金属類との反応生成物および有機金属類を除去して混合ガスを製造する。
【0027】
微粒子除去筒13aは、窒化物半導体製造装置11から排出されるアンモニアを含む排出ガスから、アンモニアと有機金属類との反応生成物を除去する。微粒子除去筒13aは、たとえば2以上のフィルタを含んでいる。
【0028】
MO除去筒13bは、微粒子除去筒13aから排出される微粒子を除去したガスから有機金属類を除去する。MO除去筒13bは、たとえば内部に吸着剤が充填された吸着筒である。吸着剤は、活性炭もしくは有機金属類(MO)を固定する薬剤を担持させた触媒であることが好ましい。このような吸着剤または触媒を充填することにより、MOを効果的に除去でき、混合ガス中にほとんど無い状態を実現できる。吸着剤が充填される高さは、特に限定されないが、圧力損失を低減する観点から2m以下であることが好ましい。また、MO除去筒13bは、連続運転が可能である観点から、2以上の吸着塔を含んでいることが好ましい。
【0029】
第2昇圧装置14は、除去装置13から排出される混合ガスを昇圧して、粗アンモニア分離装置15へ供給する。
【0030】
粗アンモニア分離装置15は、混合ガスから粗アンモニアガスを製造する。粗アンモニア分離装置15は、混合ガスから粗アンモニアガスを製造できれば特に限定されないが、圧力スイング吸着装置と真空ポンプとを含んでいることが好ましい。圧力スイング吸着装置の数は特に限定されないが、連続して粗アンモニアガスを回収できる観点から、2〜5つ配置されていることが好ましい。1つの圧力スイング吸着装置の吸着筒は、たとえば内部に活性炭等が充填されている。圧力スイング吸着装置は、混合ガス中のアンモニアを吸着して、水素および窒素を流出させることにより、粗アンモニアガスを製造する。
【0031】
第3昇圧装置16は、粗アンモニア分離装置15から排出される粗アンモニアガスを昇圧して、液化装置17へ供給する。
【0032】
液化装置17は、粗アンモニアガスを液化して液化粗アンモニアを製造する。液化装置17は、たとえば凝縮冷却器と、貯槽とを含んでいる。粗アンモニアガスは、凝縮器で冷却・凝縮されて液化粗アンモニアになり、貯槽に貯蔵される。
【0033】
蒸留装置18は、液化粗アンモニアを蒸留することにより、液化粗アンモニアから不純物を除去して高純度のアンモニアを製造する。図2に示すように、蒸留装置18は、アンモニアよりも沸点の高い高沸点不純物を除去する第1蒸留塔18aと、アンモニアよりも沸点の低い低沸点不純物を除去する第2蒸留塔18bとを含んでいることが好ましい。なお、図2は、本発明の実施の形態1における蒸留装置18を示す概略模式図である。
【0034】
図2に示すように、第1蒸留塔18aは、上部還流部18a1と、中間アンモニア導入部18a2と、下部還流部18a3と、下部貯留部18a4と、下部沸騰加熱部18a5と、高沸点不純物除去アンモニア取出部18a6と、中部還流部18a7と、高沸点不純物含有アンモニア取出部18a8とを含んでいる。高沸点不純物除去アンモニア取出部18a6は、高沸点不純物が除去されたアンモニアガスを取り出して、第2蒸留塔18bに送る。中部還流部18a7は、第2蒸留塔18bの下部貯留部18b4から一部の液化高純度アンモニアが還流される。
【0035】
第2蒸留塔18bは、上部還流部18b1と、中間アンモニア導入部18b2と、下部還流部18b3と、下部貯留部18b4と、下部沸騰加熱部18b5と、低沸点不純物含有アンモニアガス取出部18b6と、凝縮部18b7と、高純度アンモニア取出部18b8と、戻り部18b9と、低沸点不純物含有アンモニアガス放出部18b10とを含んでいる。凝縮部18b7は、低沸点不純物含有アンモニアガス放出部18b10を有しており、低沸点不純物が高濃度で凝縮されているアンモニアを一定割合で放出させる。凝縮部18b7は、アンモニアガス取出部18b6と液化されたアンモニアの戻り部18b9とに接続されている。
【0036】
高純度アンモニア貯蔵装置19は、蒸留装置18により回収された高純度のアンモニアを貯蔵する。高純度アンモニア貯蔵装置19は、たとえば冷却器と、液面計と、圧力制御装置とを含んでいる。冷却器は、蒸留装置18から回収された高純度のアンモニアを液化する。
【0037】
粗アンモニア貯蔵装置20は、蒸留装置18により排出される高沸点不純物および低沸点不純物が多く含有された(濃縮された)粗アンモニアを液化し、貯蔵し、回収容器に充填するための部材である。粗アンモニア貯蔵装置20は、たとえば凝縮冷却器、貯槽、槽内圧力制御器、および回収容器への充填部を含んでいる。また、粗アンモニア貯蔵装置20は、たとえばアンモニアを無害化するためのアンモニア分解装置であってもよい。
【0038】
以上説明したように、本発明の実施の形態1におけるアンモニアの回収装置10によれば、窒化物半導体製造装置11から排出されるアンモニアを含む排出ガスからアンモニアと有機金属類との反応生成物および有機金属類を除去して混合ガスを製造する除去装置13と、混合ガスから粗アンモニアガスを製造する粗アンモニア分離装置15と、粗アンモニアガスを液化して液化粗アンモニアを製造する液化装置17と、液化粗アンモニアを蒸留することにより、液化粗アンモニアから不純物を除去して高純度のアンモニアを製造する蒸留装置18とを備えている。除去装置13により、アンモニアと有機金属類との反応生成物および有機金属類を除去できる。蒸留装置18により、水素や窒素などの低沸点不純物および水分などの高沸点不純物を除去できる。そのため、窒化物半導体製造装置11から排出される排出ガスに含有されている各々の不純物の濃度を50ppb以下に低減して除去できる。よって、窒化物半導体製造装置から排出される排出ガスから、不純物の濃度を50ppb以下に低減して、高純度のアンモニアを回収することができる。
【0039】
上記アンモニアの回収装置10において好ましくは、蒸留装置18は、アンモニアよりも沸点の高い高沸点不純物を除去する第1蒸留塔18aと、アンモニアよりも沸点の低い低沸点不純物を除去する第2蒸留塔18bとを含んでいる。これにより、排出ガスに含有されている不純物をより低濃度まで除去できる。よって、純度をより高めたアンモニアを回収することができる。
【0040】
上記アンモニアの回収装置10において好ましくは、粗アンモニアを貯蔵する粗アンモニア貯蔵装置20をさらに備えている。これにより、粗アンモニアをアンモニア回収装置10から排出できる。
【0041】
(実施の形態2)
図3を参照して、実施の形態2におけるアンモニアの再利用装置について説明する。なお、図3は、本発明の実施の形態2におけるアンモニアの再利用装置を説明するための図である。
【0042】
実施の形態2におけるアンモニアの再利用装置30は、実施の形態1におけるアンモニアの回収装置10と、高純度のアンモニアを気化させた高純度アンモニアガスを窒化物半導体製造装置11に供給する供給装置とを備えている。
【0043】
具体的には、アンモニアの再利用装置30は、第1昇圧装置12と、除去装置13と、第2昇圧装置14と、粗アンモニア分離装置15と、第3昇圧装置16と、液化装置17と、蒸留装置18と、高純度アンモニア貯蔵装置19と、微粒子除去フィルタ31と、制御装置32とを備えている。
【0044】
具体的には、微粒子除去フィルタ31は、2以上のフィルタを有しており、高純度のアンモニアから微粒子を除去する。ここで、微粒子とは、高純度のアンモニアの回収装置10内で発生する微粒子を意味する。微粒子除去フィルタ31は、たとえば高純度アンモニア貯蔵装置19の上部から気相で抜き出した高純度のアンモニアに含有されている微粒子を除去する。
【0045】
制御装置32は、高純度アンモニアガスの量を制御する。すなわち、窒化物半導体製造装置11からの指令に基づいて、高純度のアンモニアの供給制御を行なう。制御装置32は、たとえば質量流量制御器からなる。
【0046】
以上説明したように、実施の形態2におけるアンモニアの再利用装置30によれば、実施の形態1におけるアンモニアの回収装置10と、高純度のアンモニアを気化させた高純度アンモニアガスを窒化物半導体製造装置11に供給する供給装置とを備えている。これにより、不純物の濃度を50ppb以下に低減した高純度のアンモニアを窒化物半導体製造装置11に供給できる。アンモニアの回収に要するコストは高純度のアンモニアの価格よりも安価であるので、コストを低減できる。また、高純度のアンモニアを外部から搬送するための輸送費を要しないため、さらにコストを低減できる。
【0047】
上記アンモニアの再利用装置30において好ましくは、高純度のアンモニアから微粒子を除去する2以上のフィルタ(微粒子除去フィルタ31)をさらに備えている。これにより、アンモニアの回収装置10内で微粒子が発生した場合であっても、容易に微粒子を除去できる。そのため、再利用する高純度のアンモニアの純度をより向上できる。
【0048】
上記アンモニアの再利用装置30において好ましくは、供給装置は、高純度アンモニアガスの量を制御する制御装置32を含んでいる。これにより、窒化物半導体製造装置11において必要とされる量の高純度のアンモニアを供給することができる。
【0049】
(実施の形態3)
図1、図2、および図4を参照して、実施の形態3におけるアンモニアの回収方法について説明する。実施の形態3におけるアンモニアの回収方法は、図1および図2に示す実施の形態1におけるアンモニアの回収装置10を用いて行なう。なお、図4は、本発明の実施の形態3におけるアンモニアの回収方法および後述する本発明の実施の形態4におけるアンモニアの再利用方法を示すフローチャートである。
【0050】
図4に示すように、まず、窒化物半導体製造装置11から排出されるアンモニアを含む排出ガスから、アンモニアと有機金属類との反応生成物および有機金属類を除去して混合ガスを得る工程(S11)を実施する。この工程(S11)に供給される排出ガスは、一般的に、10〜40%のアンモニアと、10〜50%の水素と、10〜50%の窒素とを含有している。この排出ガス中には、アンモニアとMOとの反応生成物である反応生成物(微粒子)や、未反応のMOなどが混在している。さらに、排出ガスは、排出経路の途中で水分などの高沸点不純物や空気など(水素、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、またはメタンなど)の低沸点不純物が混入される。
【0051】
混合ガスを得る工程(S11)では、まず、第1昇圧装置12を用いて、排出ガスを昇圧して微粒子除去筒13aに供給する。そして、微粒子除去筒13aで、排出ガスからアンモニアとMOとの反応生成物を除去する。そして、MO除去筒13bに供給する。そして、MO除去筒13bで、MOを除去して混合ガスを得る。なお、この工程(S11)は、室温下で行なうことが好ましい。
【0052】
微粒子除去筒13aでは、各々のフィルタの前後に差圧計を配置して、差圧を測定することが好ましい。規定の差圧に到達すると、差圧の生じていないフィルタに切り替えることにより、連続的に反応生成物を除去できる。
【0053】
また、MO除去筒13bでも同様に、連続的にMOを除去するために、2筒での切り替え運転をすることが好ましい。
【0054】
また、MO除去筒13bでは、空間速度(SV)を500Hr-1以下とすることが好ましい。500Hr-1以下とすることによって、目的とするMOの確実な除去を行なうことができるからである。
【0055】
次に、混合ガスから粗アンモニアガスを分離する工程(S12)を実施する。この工程(S12)に供給される混合ガスは、工程(S11)により微粒子およびMOを除去され、アンモニア、水素、および窒素などから構成されている。第2昇圧装置14を用いて、混合ガスを昇圧して、粗アンモニア分離装置15に供給する。
【0056】
粗アンモニアを分離する工程(S12)は、たとえば内部に吸着剤が充填された吸着装置により行なわれる。実施の形態3では、粗アンモニアガスを分離する工程(S12)は、圧力スイング吸着装置により行なわれる。
【0057】
具体的には、たとえば、1の吸着装置(吸着筒)では、混合ガス中のアンモニアを吸着して、水素や窒素などアンモニア以外のガス(以下、オフガスという)を吸着装置外に流出させる。そして、吸着されたアンモニアを減圧下で脱着させる。これにより、粗アンモニアガスを得ることができる。そして、流出させたオフガスを送気して、吸着筒内を所定の圧力まで均圧させる。そして、待機状態にする。なお、脱着させる工程以降を実施する際には、別の吸着筒に混合ガスを流して、アンモニアを吸着させることが好ましい。これにより、連続して混合ガスを送気することができるとともに、粗アンモニアガスの連続回収ができる。なお、この工程(S12)は、室温下で行なうことが好ましい。
【0058】
次に、粗アンモニアガスを液化して液化粗アンモニアを得る工程(S13)を実施する。この工程(S13)に供給される粗アンモニアガスは、工程(S12)により水素および窒素などが一部除去されて、除去できなかった高沸点不純物、低沸点不純物、およびアンモニアなどから構成されている。第3昇圧装置16を用いて、粗アンモニアガスを昇圧して、液化装置17に供給する。
【0059】
液化粗アンモニアを得る工程(S13)では、粗アンモニアガスを冷却して液化させる。液化させた液化粗アンモニアは、貯槽に貯蔵する。
【0060】
次に、液化粗アンモニアを蒸留することにより、液化粗アンモニアから不純物を除去して高純度のアンモニアを得る工程(S14)を実施する。この工程(S14)に供給される液化粗アンモニアは、粗アンモニアと同様に、高沸点不純物、低沸点不純物、およびアンモニアなどから構成されている。工程(S14)は、排出ガスから回収された液体粗アンモニア中に残存する高沸点不純物および低沸点不純物をそれぞれ蒸留操作によって、分離精製する。
【0061】
高純度のアンモニアを得る工程(S14)は、第1蒸留塔18aでアンモニアよりも沸点の高い高沸点不純物を除去する工程と、第2蒸留塔18bでアンモニアよりも沸点の低い低沸点不純物を除去する工程とを含んでいる。
【0062】
具体的には、液化粗アンモニアを第1蒸留塔18aの中間アンモニア導入部18a2に供給して、下部貯留部18a4に貯留する。そして、下部沸騰加熱部18a5で貯留する液化粗アンモニアを加熱して、下部還流部18a3および上部還流部18a1で還流させる。これにより、液化粗アンモニアから水分などの高沸点不純物を除去できる。そして、高沸点不純物が除去された粗アンモニアガスを、高沸点不純物除去アンモニア取出部18a6から第2蒸留塔18bに供給する。一方、高沸点不純物が濃縮されている液化アンモニアを高沸点不純物含有アンモニア取出部18a8から排出する。
【0063】
そして、高沸点不純物が除去された粗アンモニアガスを第2蒸留塔18bの中間アンモニア導入部18b2に供給する。そして、低沸点不純物含有アンモニアガス取出部18b6を介して凝縮部18b7で低沸点不純物が濃縮されたアンモニアガスを放出しつつ、凝縮液化されたアンモニアを戻り部18b9を介して、上部還流部18b1に供給する。そして、下部貯留部18b4に凝縮液化されたアンモニアを貯めて下部沸騰加熱部18b5で加熱して、下部還流部18b3および上部還流部18b1で還流させながら、凝縮部18b7に連続的に導く。これにより、下部貯留部18b4に低沸点不純物がさらに除去された高純度のアンモニアが貯留する。一方、低沸点不純物が濃縮されたアンモニアを低沸点不純物含有アンモニアガス放出部18b10から排出しながら、凝縮液化されたアンモニアを上部還流部18b1に供給する。
【0064】
このようにして得られた低沸点不純物が除去された高純度のアンモニアは、高純度アンモニア取出部18b8を介して、一部を高純度アンモニア貯蔵装置19に供給し、残部を第1蒸留塔18aの上部還流部18a1に戻す。これにより、残部の高純度のアンモニアは、さらに蒸留されて、純度をより上げることができる。
【0065】
第1蒸留塔18aの下部沸騰加熱部18a5の温度は、30〜50℃の温度範囲に維持することが好ましい。下部沸騰加熱部18a5の温度を30℃以上とすることによって、高沸点不純物と液化粗アンモニアとの沸点差が大きくなり、沸騰により溶解している不純物の追い出し効果が向上する。一方、下部沸騰加熱部18a5の温度を50℃以下とすることによって、液化粗アンモニアの温度および圧力が高くなりすぎず、液化装置17から供給される液化粗アンモニアとの圧力差が小さくならないので、必要な液化粗アンモニアの導入量を容易に得られる。
【0066】
第2蒸留塔18bの下部沸騰加熱部18b4の温度は、第1蒸留塔18aの下部沸騰加熱部18a5の温度よりも5〜10℃低い温度範囲に維持することが好ましい。温度差を5℃以上とすることによって、第1蒸留塔18aの高沸点不純物除去アンモニア取出部18a6から第2蒸留塔18bの中間アンモニア導入部18b2へのアンモニアの導入をスムーズに行なうことができる。一方、温度差を10℃以下とすることによって、第2蒸留塔18bの高純度アンモニア取出部18b8から第1蒸留塔18aの上部還流部18a1への液化粗アンモニアの還流をスムーズに行なうことができる。
【0067】
また、第2蒸留塔18bの凝縮部18b7の温度は、−5〜10℃の温度範囲に維持することが好ましい。凝縮部18b7の温度を−5℃以上とすることによって、液化粗アンモニアの温度が低くなりすぎず、下部沸騰加熱部18b5の加熱源を過大にする必要がなくなる。一方、下部沸騰加熱部18b5の温度を10℃以下とすることによって、凝縮効率を上げるために必要な熱交換面積の増大を防止できる。
【0068】
また、第1蒸留塔18aにおいて、中間アンモニア導入部18a2に供給される液体粗アンモニアの流量に対する高沸点不純物除去アンモニア取出部18a6から排出される高沸点不純物が除去された液体粗アンモニアの流量は、1〜20%の範囲内に設定することが好ましい。1%以上とすることによって、第2蒸留塔18bへ流す高沸点不純物が除去された液体粗アンモニアの量が少なくならず、経済的に有利となる。一方、20%以下とすることによって、第1蒸留塔18a内での濃縮成分である高沸点不純物の濃度が高くならないので、所望の純度の高純度のアンモニアを得ることができる
また、第2蒸留塔18bの中間アンモニア導入部18b2に供給される高沸点不純物が除去された液体粗アンモニアの流量に対する高純度アンモニア取出部18b8から排出される高純度のアンモニアの流量は、1〜15%の範囲内に設定することが好ましい。1%以上とすることによって、高純度アンモニア取出部18b8から排出される高純度のアンモニアの量が少なくならず、経済的に有利である。一方、15%以下とすることによって、第2蒸留塔18b内での濃縮成分である低沸点不純物の濃度が高くならないので、所望の純度の高純度のアンモニアを得ることができる。
【0069】
第1蒸留塔18aの還流比は、5〜15であることが好ましい。5以上とすることによって、適切なレベルまで高沸点不純物を除去できるからである。一方、15以下とすることによって、高沸点不純物を除去するのに要するエネルギー量の過大化を防ぐことができるからである。
【0070】
また、第2蒸留塔18bの還流比は、5〜20であることが好ましい。5以上とすることによって、適切なレベルまで低沸点不純物を除去できるからである。一方、20以下とすることによって、低沸点不純物を除去するのに要するエネルギー量の過大化を防ぐことができるからである。
【0071】
以上の工程(S11〜S14)を実施することにより、不純物の濃度を50ppb以下に低減して、高純度のアンモニアを得ることができる。
【0072】
次に、得られた高純度のアンモニアを高純度アンモニア貯蔵装置19に貯蔵する工程を実施する。具体的には、工程(S14)で第2蒸留塔18bの高純度アンモニア取出部18b8から取り出した高純度のアンモニアを冷却器に通して、液面計と圧力制御装置を備えた高純度アンモニア貯蔵装置19に貯蔵する。このようにして得られた高純度のアンモニアは、たとえば窒化物半導体製造装置11に供給することや、他の用途に用いることができる。
【0073】
なお、第1蒸留塔18aから排出される高沸点不純物および第2蒸留塔18bから排出される低沸点不純物を粗アンモニア貯蔵装置20に貯蔵する工程を実施することが好ましい。この工程により、液体粗アンモニアに含まれている不純物をアンモニアの回収装置10の外部で処理できる。
【0074】
以上説明したように、本発明の実施の形態3におけるアンモニアの回収方法(S10)によれば、窒化物半導体製造装置11から排出されるアンモニアを含む排出ガスから、アンモニアと有機金属類との反応生成物および有機金属類を除去して混合ガスを得る工程(S11)と、混合ガスから粗アンモニアガスを分離する工程(S12)と、粗アンモニアガスを液化して液化粗アンモニアを得る工程(S13)と、液化粗アンモニアを蒸留することにより、液化粗アンモニアから不純物を除去して排出ガスより高純度のアンモニアを得る工程(S14)とを備えている。混合ガスを得る工程(S11)により、アンモニアと有機金属類との反応生成物および有機金属類を除去できる。高純度のアンモニアを得る工程(S14)により、水素や窒素などの低沸点不純物および水分などの高沸点不純物を除去できる。そのため、窒化物半導体製造装置11から排出される排出ガスに含有されている各々の不純物を低濃度まで除去できる。よって、窒化物半導体製造装置から排出される排出ガスから、不純物の濃度を50ppb以下に低減して、高純度のアンモニアを回収することができる。
【0075】
なお、従来は、アンモニアの濃度が99.9%程度の工業用アンモニアを精製して、純度を向上する方法は採用されていたが、このような精製を排出ガスに適用しても不純物の濃度が50ppb以下まで低減することはできなかった。しかし、本発明における高純度のアンモニアの回収方法によれば、工程(S11〜S14)を備えることにより、不純物の濃度が非常に高い排出ガスから高純度のアンモニアを回収することができる。
【0076】
また、混合ガスを得る工程(S11)および粗アンモニアガスを分離する工程(S12)は室温下で行なわれ、液化粗アンモニアを得る工程(S13)および高純度のアンモニアを得る工程(S14)は−5〜50℃の温度範囲で行なうことができる。また、排出ガスから高純度のアンモニアへの回収のための操作は、経済的な構造である低圧のアンモニアの回収装置10により、1MPaG以下の圧力で行なうことができる。そのため、高純度のアンモニアの回収を非常に容易に行なうことができる。
【0077】
上記アンモニアの回収方法において好ましくは、高純度のアンモニアを得る工程(S14)は、第1蒸留塔18aでアンモニアよりも沸点の高い高沸点不純物を除去する工程と、第2蒸留塔18bでアンモニアよりも沸点の低い低沸点不純物を除去する工程とを含んでいる。これにより、排出ガスに含有されている不純物をより低い濃度まで除去できる。よって、より高純度のアンモニアを回収することができる。
【0078】
(実施の形態4)
図4を参照して、本発明の実施の形態4におけるアンモニアの再利用方法について説明する。実施の形態4におけるアンモニアの再利用方法は、実施の形態3におけるアンモニアの回収方法により高純度のアンモニアを得る工程(S10)と、高純度のアンモニアを気化させた高純度アンモニアガスを窒化物半導体製造装置に供給する工程(S20)とを備えている。
【0079】
具体的には、図4に示すように、まず、アンモニアの回収方法により高純度のアンモニアを得る工程(S10)を実施する。この工程(S10)は、実施の形態3におけるアンモニアの回収方法により行なう。
【0080】
次に、高純度のアンモニアを気化させた高純度アンモニアガスを窒化物半導体製造装置11に供給する工程(S20)を実施する。供給する工程(S20)では、たとえば以下の工程(S21,S22)を実施する。
【0081】
高純度のアンモニアを得る工程(S10)の後に、2以上のフィルタで高純度のアンモニアから微粒子を除去する工程(S21)を実施する。これにより、高純度のアンモニアを得る工程(S10)のいずれかの過程で含有された微粒子を除去できる。また、フィルタを2以上とすることによって、連続してフィルタに通すことができる。
【0082】
具体的には、微粒子を除去する工程(S21)は、たとえば高純度アンモニア貯蔵装置19の上部から気相状態で抜き出した高純度のアンモニアを微粒子除去フィルタ31に通す。
【0083】
次に、高純度のアンモニアを窒化物半導体製造装置11に供給する工程(S22)を実施する。供給する工程(S22)は、高純度アンモニアガスの量を制御して行なう。ここで、量とは、窒化物半導体製造装置11に必要とされる流量を意味する。
【0084】
以上の工程(S10,S20)を実施することにより、高純度のアンモニアを窒化物半導体製造装置11に供給することができる。
【0085】
以上説明したように、本発明の実施の形態4におけるアンモニアの再利用方法によれば、アンモニアの回収方法により高純度のアンモニアを得る工程(S10)と、高純度のアンモニアを気化させた高純度アンモニアガスを窒化物半導体製造装置11に供給する工程(S20)とを備えている。高純度のアンモニアを得る工程(S10)により得られる高純度のアンモニアは、不純物の濃度を50ppb以下に低減しているので、窒化物半導体製造装置11に使用することができる。また、窒化物半導体製造装置11において、高純度のアンモニアを運搬する必要がないので、搬送費用を削減することができる。
【0086】
上記アンモニアの再利用方法において好ましくは、高純度のアンモニアを得る工程(S10)の後に、2以上のフィルタで高純度のアンモニアから微粒子を除去する工程(S21)をさらに備えている。これにより、高純度のアンモニアを得る工程(S10)で微粒子が混入した場合であっても、混入した微粒子を除去できる。そのため、高純度のアンモニアの純度を低下させずに、窒化物半導体製造装置11に高純度のアンモニアを供給できる。
【0087】
上記アンモニアの再利用方法において好ましくは、供給する工程(S22)は、高純度アンモニアガスの量を制御して行なう。これにより、窒化物半導体製造装置11に必要な量の高純度のアンモニアガスを供給できる。
【0088】
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0089】
(実施例1)
実施例1では、実施の形態1におけるアンモニアの回収装置を用いて、実施の形態3におけるアンモニアの回収方法により高純度のアンモニアを回収した。そして、窒化物半導体製造装置の排出ガスとして、以下のように調製した仮定排出ガスを用いた。アンモニアの流量を10L/minとなるように調整し、このアンモニアに28.3L/minの流量の水素と28.3L/minの流量の窒素とを、それぞれ独立して流量制御した後に混合した。そして、独立して流量制御した135mL/minの流量のMOと、水分とを添加した。MOは、0.1vol%のトリメチルガリウム(TMG)/N2を用いた。水分は、7℃に制御した貯水槽に窒素を34mL/min通気させて水分を同伴させることにより添加した。このようにして調製した排出ガス(仮定排出ガス)は、それぞれのガスの流量制御値から、約15vol%のアンモニアと、約42.5vol%の水素と、約42.5vol%の窒素と、約2vol.ppmのMO(TMG)と、約5vol.ppmの水分とを含んでいた。
【0090】
そして、窒化物半導体製造装置から排出されるアンモニアを含む排出ガスから、アンモニアと有機金属類との反応生成物および有機金属類を除去して混合ガスを得る工程(S11)を実施した。具体的には、MO除去筒は、内径21.2mmで、高さ500mmのステンレス鋼製の2つの筒を用いた。それぞれの筒の内部には、直径1mmで、長さ2〜5mmの円柱状の活性炭を0.7リットル充填した。
【0091】
排出ガスをMO除去筒に通気させ、通気後の混合ガスの一部を分岐して、水バブラーに通してTMGを水酸化ガリウムの形でトラップして、ICP−OESで測定した。その結果、混合ガス中のTMG濃度は0.01vol.ppm未満となり、混合ガス中にはTMGが除去されていることが確認できた。
【0092】
また、MO除去筒におけるTMGの破過試験の結果、TMG0.1g/活性炭1gの吸着能力があることがわかった。この結果から、1つの筒(内径10cm、長さ100cm)当たりのTMG吸着量は269lとなり、排出ガスが1000SLMで、未反応のTMG濃度を2vol.ppmとすると、約90日の処理となる。このことから安全率を1.5とすると、MO除去筒における2の筒の切り替えのタイミングは、2月毎となった。
【0093】
次に、混合ガスから粗アンモニアガスを分離する工程(S12)を実施した。具体的には、圧力スイング式吸着装置に、工程(S11)後の混合ガスを0.3MPaに昇圧して、約0.7Nm3/hrの流量で通気した。なお、圧力スイング式吸着装置は、4の吸着筒から構成した。4の吸着筒を順次切り替えて、混合ガスを連続送気して、粗アンモニアガスを連続回収した。回収された粗アンモニアガスの純度は、約99.9vol%以上であり、残部は水素、窒素、および不可避的不純物であった。
【0094】
次に、粗アンモニアガスを液化して液化粗アンモニアを得る工程(S13)を実施した。工程(S13)において、液化装置の貯槽に備えられた液面計により粗アンモニアガスの回収率を測定した結果、90%以上であることが確認できた。また、貯槽の底部からの液化粗アンモニアの取出部の出口に設けたサンプリングポイントから採取した液化粗アンモニア中の水分は、3〜5ppmであった。なお、水分の測定は、キャビティリングダウンセル分光光度計(CRDS)で測定した。
【0095】
次に、液化粗アンモニアを蒸留することにより、液化粗アンモニアから不純物を除去して高純度のアンモニアを得る工程(S14)を実施した。具体的には、液化粗アンモニアは、アンモニア蒸留装置の第1蒸留塔の中間アンモニア導入部を介して、第1蒸留塔へ供給した。そして、第1蒸留塔の下部貯留部において加熱器で45℃に温度制御した下部沸騰加熱部により加熱して、液化粗アンモニアを気化させた。
【0096】
そして、第1蒸留塔で高沸点不純物が除去された液化粗アンモニアを、第2蒸留塔へ供給した。第2蒸留塔では、冷凍機で−5℃に温度制御された凝縮冷却部で液化粗アンモニアを液化し、下部貯留部まで流下させて貯留した。この一部は、下部沸騰加熱部で気化させて、さらに低沸点不純物を分離した。低沸点不純物を多く含んでいたアンモニアガスの一部を排出口から一定量ずつ排気して、低沸点不純物を除去した高純度のアンモニアを下部貯留部に貯留して、一定量ずつ取り出した。
【0097】
なお、第1蒸留塔の還流比は10、第2蒸留塔の還流比は15に設定して、工程(S14)を実施した。
【0098】
そして、第2蒸留塔の下部貯留部から高純度アンモニア取出口の下流に設けたサンプリングポイントから採取した高純度のアンモニア中の不純物を、CRDS、光イオン化検出器付きガスクロマトグラフ(GC−PID)、およびGC−FIDを用いて測定した。その結果を表1に示す。
【0099】
【表1】


【0100】
表1に示すように、高純度のアンモニア中の水分は極めて低濃度まで除去されたことが確認できた。また、水素、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、およびメタンについても極めて低濃度まで除去されたことが確認できた。また、排出ガス中にほとんど含まれていなかった炭素数が2〜8の炭化水素は、高純度のアンモニア中にもほとんど含まれていなかったことが確認できた。
【0101】
(実施例2)
実施例2は、基本的には実施例1と同様の操作を行なったが、工程(S14)における蒸留操作のみ異なる。具体的には、第2蒸留塔の凝縮冷却部の温度を−5℃、0℃、5℃、および10℃に設定して、それぞれの温度で第1蒸留塔の下部沸騰加熱部の温度を30℃、40℃、および50℃、第2蒸留塔の下部沸騰加熱部の温度を25℃、35℃、および45℃にそれぞれ変化させて、高純度のアンモニアを回収した。
【0102】
なお、各温度条件での第1蒸留塔および第2蒸留塔のそれぞれの上部の圧力は、下記の表2に示すように設定した。この圧力は、実用上問題のない値である。なお、「上部」とは、図2における高沸点不純物除去アンモニア取出部18a6と上部還流部18a1との空間、および低沸点不純物含有アンモニアガス取出部18b6と上部還流部18b1との空間を意味する。
【0103】
【表2】


【0104】
それぞれから回収した高純度のアンモニアについて、実施例1と同様に不純物濃度を測定した。その結果、実施例1の結果(表1)と同様の不純物濃度を含有していることがわかった。すなわち、蒸留装置の温度および圧力を蒸留操作が容易となる範囲内に設定しても排出ガスから不純物を除去して、非常に高純度のアンモニアを回収できることが確認できた。
【0105】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の実施の形態1におけるアンモニアの回収装置を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態1における蒸留装置を示す概略模式図である。
【図3】本発明の実施の形態2におけるアンモニアの再利用装置を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態3におけるアンモニアの回収方法および本発明の実施の形態4におけるアンモニアの再利用方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0107】
10 アンモニアの回収装置、11 窒化物半導体製造装置、12 第1昇圧装置、13 除去装置、13a 微粒子除去筒、13b MO除去筒、14 第2昇圧装置、15 粗アンモニア分離装置、16 第3昇圧装置、17 液化装置、18 蒸留装置、18a 第1蒸留装置、18a1,18b1 上部還流部、18a2,18b2 中間アンモニア導入部、18a3,18b3 下部還流部、18a4,18b4 下部貯留部、18a5,18b5 下部沸騰加熱部、18a6 高沸点不純物除去アンモニア取出部、18a7 中部還流部、18a8 高沸点不純物含有アンモニア取出部、18b 第2蒸留塔、18b6 低沸点不純物含有アンモニアガス取出部、18b7 凝縮冷却部、18b8 高純度アンモニア取出部、18b9 戻り部、18b10 低沸点不純物含有アンモニアガス放出部、19 高純度アンモニア貯蔵装置、20 粗アンモニア貯蔵装置、30 アンモニアの再利用装置、31 微粒子除去フィルタ、32 制御装置。
【出願人】 【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
【出願日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【代理人】 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎

【識別番号】100085132
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 俊雄

【識別番号】100083703
【弁理士】
【氏名又は名称】仲村 義平

【識別番号】100096781
【弁理士】
【氏名又は名称】堀井 豊

【識別番号】100098316
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 久登

【識別番号】100109162
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 將行


【公開番号】 特開2008−13406(P2008−13406A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−186821(P2006−186821)