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【発明の名称】 アンモニアガスの回収方法及び回収装置
【発明者】 【氏名】園田 正樹

【氏名】市之瀬 正治

【氏名】中本 英才

【要約】 【課題】窒化ガリウムをはじめとする半導体関連の処理工程からの排出ガスから高純度のアンモニアを回収できる方法及びその装置を提供する。

【構成】処理工程から導出された排出ガス中のアンモニアガスを水に溶解させる溶解工程と、アンモニアを溶解させたアンモニア水を蒸留して水とアンモニアガスとを分離する蒸留工程と、分離したアンモニアガスを液化する液化工程とを有するアンモニアガスの回収方法である。処理工程から導出された排出ガスから不純成分を吸着除去し、この不純成分を吸着除去した後の排出ガスを溶解工程に供給する。溶解工程では溶解ステップを反復させてアンモニア濃度を高め、所定濃度のアンモニア水をアンモニア水タンクに貯留する。蒸留工程から導出したアンモニアガスを除湿した後、液化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理工程から導出された排出ガス中のアンモニアガスを水に溶解させる溶解工程と、アンモニアガスを溶解させたアンモニア水を蒸留して水とアンモニアガスとを分離する蒸留工程と、分離したアンモニアガスを液化する液化工程とを有するアンモニアガスの回収方法において、
前記処理工程から導出された排出ガスから不純成分を吸着除去し、この不純成分を吸着除去した後の排出ガスを溶解工程に供給し、
前記溶解工程では溶解ステップを反復させてアンモニア濃度を高め、所定濃度に達したアンモニア水をアンモニア水タンクに貯留し、
前記蒸留工程から導出したアンモニアガスを除湿した後、液化するようにしたことを特徴とするアンモニアガスの回収方法。
【請求項2】
処理工程から導出された排出ガス中のアンモニアガスを水に溶解させる溶解槽(4)と、アンモニアを溶解させたアンモニア水を蒸留して水とアンモニアガスとを分離する蒸留槽(6)と、その分離したアンモニアガスを液化する液化ユニット(9)とを具備するアンモニアガスの回収装置において、
前記溶解槽(4)へのガス導入路に排出ガス中に含まれている不純成分を吸着除去する吸着装置(1)を配置し、
前記溶解槽(4)を複数配置して、アンモニア溶解水を循環させることでアンモニア水を所定濃度まで濃縮するように構成するとともに、所定濃度に達したアンモニア水をアンモニア水タンク(5)に貯留するように構成し、
前記液化ユニット(9)に流入する蒸留アンモニアガス供給路に脱湿装置(8)を介装したことを特徴とするアンモニアガスの回収装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、各種処理工程で使用されるアンモニアガスを回収する方法およびその装置に関し、特に、窒化ガリウム製造工程から排出されるアンモニア排ガスからアンモニアを高収率で回収、再生させるアンモニアガスを回収する方法及びその回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)の原料となる窒化ガリウムの製造には、大量の高純度アンモニアを必要とするが、窒化ガリウム製造工程で消費されるアンモニアは僅かであり、大部分のアンモニアは燃焼除害した後に廃棄されている。
一方、処理工程で使用したアンモニアを回収して再利用する技術として、本出願人のうちの1人は先に提案した特許文献1に示すものを提案した。
【0003】
先に提案したアンモニアの回収技術は、処理装置から排出された排ガス中のアンモニアガスを水に溶解させ、このアンモニア水を蒸留して水とアンモニアガスとに分離させ、その蒸留により分離したアンモニアガスを液化回収するようにしている。
【特許文献1】特開平8−245217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の特許文献1に開示されたアンモニアガスの回収技術は、天然繊維等の繊維製品を防縮・防皺加工する際に用いられた液体アンモニアガスから気化・蒸散したアンモニアガスを回収して再液化するようにしているが、この場合、処理設備から排出されるアンモニアガスは液体アンモニアの気化ガスあるいは蒸散ガスであることから、回収液化することは比較的容易である。ところが、窒化ガリウムの製造工程等から排出されるガス中には、窒素や水素、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、シランなどの反応生成物がが混在している上、その排出量や成分比率が変動するため、排出ガス中からアンモニアのみを高収率で回収し、高純度に精製することが困難である。そのため、この種の分野では、燃焼式の除害装置により無害化した後、大気に放出されている。以下、上記反応性セ物から、窒素と水素を除いたものを「不純成分」という。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑み提案されたもので、窒化ガリウムをはじめとする半導体関連の処理工程からの排出ガスから高純度のアンモニアを回収できる方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために請求項1に記載したの発明は、処理工程から導出された排出ガス中のアンモニアガスを水に溶解させる溶解工程と、アンモニアガスを溶解させたアンモニア水を蒸留して水とアンモニアガスとを分離する蒸留工程と、分離したアンモニアガスを液化する液化工程とを有するアンモニアガスの回収方法において、処理工程から導出された排出ガスから不純成分を吸着除去し、この不純成分を吸着除去した後の排出ガスを溶解工程に供給し、溶解工程では溶解ステップを反復させてアンモニア濃度を高め、所定濃度に達したアンモニア水をアンモニア水タンクに貯留し、蒸留工程から導出したアンモニアガスを除湿した後、液化するようにしたことを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、処理工程から導出された排出ガス中のアンモニアガスを水に溶解させる溶解槽と、アンモニアガスを溶解させたアンモニア水を蒸留して水とアンモニアガスとを分離する蒸留槽と、その分離したアンモニアガスを液化する液化ユニットとを具備するアンモニアガスの回収装置において、前記溶解槽へのガス導入路に排出ガス中に含まれている不純成分を吸着除去する吸着装置を配置し、前記溶解槽を複数配置して、アンモニア溶解水を循環させることでアンモニア水を所定濃度まで濃縮するように構成するとともに、所定濃度に達したアンモニア水をアンモニア水タンクに貯蔵するように構成し、前期液化ユニットに流入する蒸留アンモニアガス供給路に脱湿装置を介装したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、排出ガス中のアンモニアガスを水に溶解させる前に、不純成分を吸着除去するようにしているので、溶解槽でのアンモニア水の精製が容易になるうえ、溶解槽での溶解ステップを複数回繰り返すようにして、アンモニア水でのアンモニア濃度を高めるようにしていることから、次工程での精製を容易に行なうことができる。
【0009】
また、本発明では、除湿後のアンモニアガスを液化工程にアンモニアガスをその水分を除湿した後に供給するようにしていることから、液化工程で水分が凝縮して、液化ユニット内での円滑な液化を阻害することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図は本発明の一実施形態を示すシステムの流れ図である。
このアンモニア回収系は、窒化ガリウム製造工程から排出される排出ガスからアンモニアを回収して再利用するためのものであり、窒化ガリウム製造工程から導出された排出ガス中に混在している不純成分を吸着除去する吸着装置(1)と、この吸着装置(1)から導出された排ガスから塵埃を除去するフィルタ(2)と、フィルタ(2)を透過した排ガスを昇圧するブロア(3)と、この昇圧された排ガスを水に溶解させる溶解槽(4)と、溶解槽(4)で形成したアンモニア水を貯溜するアンモニア水タンク(5)と、アンモニア水タンク(5)から取出したアンモニア水を蒸留する蒸留槽(6)と、蒸留槽(6)から導出したアンモニアガスから水分を除去するドレンセパレータ(7)と、ドレンセパレータ(7)から導出したアンモニアガスを所定の露点になるまで除湿する脱湿装置(8)と、液化ユニット(9)とで構成してある。
【0011】
吸着装置(1)は吸着剤を充填したカートリッジを具備してなり、排ガス中に含まれているトリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、シランなどの不純成分を吸着除去するように構成してある。なお、排ガスは、アンモニアガス・窒素ガス・水素ガスと前述の不純成分との混合ガスである。
【0012】
フィルタ(2)は吸着装置(1)で除害したのちの排出ガスから塵埃等を除去するようにしてある。そして、フィルタ(2)で除塵された排出ガスはブロア(3)で0.05MPa程度に昇圧されて、溶解槽(4)に送給するようにしてある。そして、このブロア(3)から吐出された排出ガスの一部を熱交換器で冷却した後ブロア(3)の吸引側に返送することで、溶解槽(4)に送給する排出ガス量を調整するようにしている。
【0013】
溶解槽(4)は、2基の溶解槽(4a)(4b)を直列に接続して構成してあり、導入した排出ガス中のアンモニアガスを各溶解槽(4a)(4b)内でそれぞれ水に溶解させるようにしてある。この場合、ブロア(3)からの排出ガスは、まず第1溶解槽(4a)に導入され、この第1溶解槽(4a)内で排ガス中のアンモニア成分を水に溶解させる。第1溶解槽(4a)での水との接触で溶解されなかったアンモニアガス・窒素ガス・水素ガスの混合ガスを第2溶解槽(4b)に導入し、この第2溶解槽(4b)でさらに水に溶解させる。この第2溶解槽(4b)で水に溶解されなかった窒素ガスや水素ガスのガス成分は、第2溶解槽(4b)のベントから大気に放出される。
【0014】
この第1溶解槽(4a)及び第2溶解槽(4b)では、アンモニア溶解水を冷却して循環させることでアンモニアの溶解濃度を高めるようにしている。また、第2溶解槽(4b)から取出したアンモニア溶解水は第1溶解槽(4a)に返送されるようにしてある。これは、第2溶解槽(4b)に供給される混合ガス中のアンモニア成分が少ないことから、溶解水でのアンモニア濃度を充分に高めることが困難であるため、ある程度の濃度になると、第1溶解槽(4a)に送り込んで、第1溶解槽(4a)内で所定のアンモニア濃度まで高めるためである。
【0015】
第1溶解槽(4a)内での溶解水中のアンモニア濃度が予め設定した所定濃度になると、第1溶解槽(4a)からアンモニア水を導出してアンモニア水タンク(5)に貯留する。この第1溶解槽(4a)から取出す溶解水のアンモニア濃度は溶解効率を考えると限りなく低い方がよい。しかしながら設備規模と設備投資を考慮すると10〜20%とすることが望ましい。
【0016】
アンモニア水タンク(5)に貯留されたアンモニア水は、蒸留槽(6)に送給され、スチーム等による加熱により、沸点差を利用してアンモニアガスと水分とに分離すると同時に、ガスの圧力を0.55MPaまで昇圧する。そして、この蒸留槽(6)で分離された水の一部は、導入されるアンモニア水と熱交換してアンモニア水を加温後、冷却されて第2溶解槽(4b)に返送されるようにしてある。この蒸留槽での蒸留温度は75℃程度の比較的高温に設定してある。また、加熱により、蒸留槽(6)内でのガス圧を0.55MPaまで昇圧しているが、これは次の脱湿装置(8)において水分をより除去するのに有効となる。
【0017】
蒸留槽(6)で分離されたアンモニアガスは、高温多湿の状態にあることから、冷却水と熱交換させて、温度を降下させて凝縮水を蒸留槽(6)に返送するとともに、温度降下したアンモニアガスをドレンセパレータ(7)に送給する。ドレンセパレータ(7)はプレクーラ(11)と分離器(12)とで構成したユニットを2基直列に接続して構成してあり、第1ドレンセパレータ(7a)のプレクーラ(11a)には冷却水が、第2ドレンセパレータ(7b)のプレクーラ(11b)には、後述する液化ユニット(9)での冷媒ガスの一部がそれぞれ供給されるようにしてある。また、両ドレンセパレータ(7)で凝縮除去されたドレン水は、第1溶解槽(4a)に返送するようにしてある。
【0018】
ドレンセパレータ(7)から取出されたアンモニアガスは脱湿装置(8)に案内され、この脱湿装置(8)でアンモニアガスを露点−60℃(213K)以下、好ましくは−76℃(197K)まで除湿する。ここで「露点−60℃(213K)以下」としたのは、液化工程で水分が凝縮して、液化ユニット内での円滑な液化を阻害することを防止するためである。また、「好ましくは−76℃(197K)まで」としたのは、再生した高純度アンモニアガスをバージンアンモニアガスと同程度の品質(アンモニアガス中の許容水分を1volppm以下)に維持するためである。脱湿装置(8)で所定の露点温度まで除湿されたアンモニアガスは、液化ユニット(9)に送り込まれて液化アンモニアとして貯蔵される。
【0019】
液化ユニット(9)は、アンモニア凝縮槽(13)と、凝縮液化した液化アンモニアを貯蔵する液化アンモニア貯蔵槽(14)と、冷凍機ユニット(15)とで構成してある。この冷凍機ユニット(15)は、冷媒ガスを圧縮する圧縮機(16)と、圧縮冷媒に含まれている油分を除去するオイルセパレータ(17)と、圧縮冷媒を冷却する熱交換器(18)及びアンモニア凝縮槽(13)に装着した圧縮冷媒の膨張部(図示略)とで構成されている。アンモニア凝縮槽(13)では、供給さたアンモニアガスを圧力0.4MPa下で+4℃(277K)程度まで冷却することでアンモニアガス中に微量に残っている窒素ガスや水素ガスを沸点の差を利用して除去し、不純物としての窒素ガスや水素ガスをベント径路から排出することで高純度のアンモニアが精製される。
【0020】
この液化ユニット(9)で精製・貯蔵された液化アンモニアは、べーパーライザー(19)で気化して、窒化ガリウム製造工程などのアンモニア使用設備に供給することで、再利用することができる。
【0021】
上述の構成からなるアンモニア回収系では、アンモニア使用設備から排出された排出ガス中のアンモニアガスを回収して高純度に精製して再利用にすることができることから、アンモニアガスの無駄な消費をなくすことができる。
【0022】
なお、アンモニアを大気へ100%放出させないために、以下のように構成するのが望ましい。すなわち、第2溶解槽(4b)で水に溶解されなかった微量のアンモニアガスは、第2溶解槽(4b)のベントから図示しない除害装置を経て大気に放出する。また、アンモニア水タンク(5)からのリリーフラインを上記の図示しない除害装置へ連通する。さらに、前記脱湿装置(8)のベントや前記アンモニア凝縮槽(13)のベントから放出される微量のアンモニアガスは、前記吸着装置(1)又は前記ブロア(3)のサクションへ戻す。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、LEDの製造だけでなく、アンモニア使用設備から排出されるアンモニアガスの回収精製に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態を示すシステムの流れ図である。
【符号の説明】
【0025】
1…吸着装置、4…溶解槽、5…アンモニア水タンク、6…蒸留槽、8…脱湿装置、9…液化ユニット。

【出願人】 【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
【識別番号】000229601
【氏名又は名称】日本パイオニクス株式会社
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二

【識別番号】100121474
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 俊之


【公開番号】 特開2008−7378(P2008−7378A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−180572(P2006−180572)