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【発明の名称】 平面基板上に電気機械部品を製造する方法
【発明者】 【氏名】ファブリス・カセ

【氏名】セドリック・デュラン

【氏名】パシカル・アンセイ

【要約】 【課題】製造が容易で費用が安く特に動作特性の点で最適な性能を有する電気機械部品を製造する。

【解決手段】少なくとも(a)2つの絶縁領域によって部分的に覆われる1つのシリコン領域を有する基板15を形成する段階と(b)シリコン領域の覆われていない部分から開始する選択的エピタキシーによってシリコンゲルマニウム合金犠牲層を形成する段階と(c)犠牲層上に配置される1つの単結晶領域と絶縁領域上に配置される2つの多結晶領域とを有し、エピタキシーによって高濃度にドーピングされたシリコン層を形成する段階と(d)電極23と振動構造体22との間に空間を形成するように単結晶領域内に所定のパターンをエッチングすることによって振動構造体と作動電極とを同時形成する段階と(e)シリコンゲルマニウム合金の犠牲層を選択的エッチングによって除去する段階とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面基板(15)上に前記基板(15)の平面で振動する少なくとも1つの構造体(22)と作動電極(23)とを有する電気機械部品(10)を製造する方法であって、
前記方法は、少なくとも、
(a)上部表面(17)が少なくとも部分的に1つの絶縁領域(18)によって覆われるように、少なくとも1つのシリコン領域(16)を有する基板(15)を形成する段階と、
(b)前記シリコン領域(16)の上部表面の覆われていない部分から開始する選択的エピタキシーによってシリコンゲルマニウム合金犠牲層(19)を形成する段階と、
(c)前記犠牲層(19)上に配置される少なくとも1つの単結晶領域(20b)と前記絶縁領域(18)上に配置される少なくとも1つの多結晶領域(20a)とを有し、所定の厚さ(e2)を有するシリコン層(20)をエピタキシーによって形成する段階と、
(d)前記電極(23)と前記振動構造体(22)との間に空間(24)を形成するように前記単結晶領域(20b)内に所定のパターンをエッチングすることによって前記振動構造体(22)と前記作動電極(23)とを同時形成する段階と、
(e)シリコンゲルマニウム合金からなる前記犠牲層(19)を選択的エッチングによって除去する段階と、
を順に有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記シリコン層は、高濃度にドープされている請求項1に記載に方法。
【請求項3】
前記電気機械部品(10)の前記振動構造体(22)と前記電極(23)の厚さは、100nmから600nmのオーダーである請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記電気機械部品(10)の前記振動構造体(22)に対する封入カバー(31)を形成する段階を有する、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記封入カバー(31)を形成する段階は、エッチングによって前記振動構造体(22)と前記電極(23)とを同時形成する段階の後に、
(a)エピタキシーによって第2のシリコンゲルマニウム合金犠牲層(30)を形成する段階と、
(b)単結晶シリコン層をエピタキシーによって形成し、前記封入カバー(31)を形成する段階と、
(c)エッチングによって前記カバー(31)内に複数の開口部(32)を形成する段階と、
(d)前記開口部(32)を通した選択的エッチングによって前記第1及び第2シリコンゲルマニウム合金犠牲層(19、30)を除去する段階と、
(e)前記カバー(31)上に封止材料からなる層(33)を形成する段階と、
を有する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記振動構造体(22)と前記電極(23)との同時形成の前に、第1の前記シリコン層(20)から開始するエピタキシーによってドープされていない追加のシリコン層(21)を形成する段階を有する、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記振動構造体(22)と前記電極(23)と同時に、金属酸化物半導体トランジスタ(26)を形成することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記振動構造体(22)と前記電極(23)と同時に、可変静電容量を形成することを含む、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の平面で振動する少なくとも1つの構造体と作動電極とを含む平面基板上の電気機械部品を製造する方法に関する。
【0002】
本発明は、特に、基板の平面内での変位を利用した振動構造体を有する微小電気機械システム(MEMS)またはナノ電気機械システム(NEMS)の製造方法に適用することができる。
【背景技術】
【0003】
小型で高性能で持ち運び可能な装置の開発は、新たな機能を行うための新規な部品に対する探求にますます動機を与える。高周波数用途、特に携帯電話、持ち運び可能なパーソナルコンピューター、通信目的タイプの用途などにおいて、微小電気機械システムまたはナノ電気機械システム(MEMSまたはNEMS)は、それらの修正及び理論的な性能のために“一般的な”微小電気部品に対する信用できる代替物である。
【0004】
SON(Silicon on Nothing)技術は、このようなMEMS/NEMSを形成するために使用される。SON技術は、シリコンゲルマニウム(SiGe)合金からなる数ナノメートル(典型的には、20nmから50nm)の厚さの犠牲層を広くエピタキシーすることからなり、次いで、シリコンは、そのシリコンゲルマニウム層上に単結晶の特性を有してエピタキシャル成長される。次いで、シリコンゲルマニウム層は、このシリコンに対して選択的にエッチングされる。この操作は、局部的に吊るされたシリコン領域(On Nothing)をもたらすことができ、MEMS/NEMSの製造に非常に適している。
【0005】
SON技術の主たる利点は、特に通常のSOI(Silicon on Insulator)技術と比較して、活性領域または局所的に吊るされた領域を用いて標準ウエハー上で局所的に動作する可能性である。この結果は、コストの点で重要な利点となり、シリコンオンインシュレーター(SOI)のウエハーは、SON技術で使用されるウエハーのコストと比べて非常に高い。
【0006】
一般に、MEMS/NEMS製造方法は、電気回路とトランジスタの製造を包含する。従って、MEMS/NEMSは、その回路とトランジスタ(“IC上”での製造)と同時またはその後に製造することができる。第1の場合には、MEMS/NEMSを形成する方法は、それがその回路を損傷してはいけないという制約を有する。それは、材料及び温度の点で限定される“IC上”での方法であり、特に材料は金や銅が使用されず、特に温度は、使用される材料の品質を通常制限する350℃より高い温度ではない。例えば、酸化シリコンSiO、窒化シリコンSiN、シリコンゲルマニウムSiGe合金は、堆積温度が低い場合には見劣りがする。特に、その結果は、単結晶シリコンを得ることが不可能であるというものである。
【0007】
第2の場合には、MEMS/NEMS製造方法は、トランジスタを形成する方法と互換性がなければならない。例えば、文献US2005/0199970は、SON技術を用いた振動ビーム共鳴装置タイプの電気機械部品の製造を記載している。図1に示されるように、共鳴装置10は、“平面外”、言い換えると、ビーム11が形成される平面基板12に垂直な方向に沿って振動するビーム11を含む。この場合には、基板12は、高濃度にドーピングされたシリコンからなる活性領域13を含み、それは、ビーム11に対する作動電極として作用し、活性領域の上に振動ビーム11を形成した後に形成される検出及び作動電極14と協力する。図1では、振動ビーム11は、例えば単結晶シリコンからなり、共鳴装置10は、3つの電極14を含み、それらはほぼブリッジ形状で、基板12の活性領域13上でビーム11に重なる。
【0008】
SON技術を用いたMEMS/NEMSの製造方法の他の例の実施形態は、文献FR2823032に記載されている。図2に示されるように、この方法は、作動電極として作用する活性領域13を含む基板12上に形成され、“平面外”で振動するビーム11のタイプの共鳴装置10を形成することからなる。しかしながら、上記文献に記載された方法は、限定された性能を有してその2つの端部11a、11bで固定される振動ビーム11のタイプの共鳴装置のみを考慮する限りは非常に減少している。それは、ベンディングでのみ動作するからである。さらに、振動ビーム11は、“平面外”振動(基板に垂直に変位)を有し、振動ビーム11の製造に追加される段階を用いた検出及び作動電極の製造を伴う。その結果は、これらの追加の技術的段階におけるコストとなる。
【0009】
静電容量電極を形成するための他の通常の方法は、“平面外”で振動し、製造中に3つの異なる段階を必要とする部品を製造することである。3つの異なる段階とは、すなわち、固定された電極の製造(通常、基板上)、犠牲層の製造及び移動電極(移動部品)の製造である。
【0010】
それにも関わらず、製造を簡単にするために“平面内で”動作し(基板に平行に変位)、2つの段階のみを必要とする可変静電容量がある。2つの段階とは、すなわち、犠牲層の製造と、固定電極と移動電極との同時製造である。例えば、これは、記事“High tuning ratio MEMS based tuneable capacitors for RF communications applications”(Tech. Digest, Solid State Sensor and Actuator Workshop, pp 124-7, 1998)においてYao、ParkとDeNataleによって開発された領域の変動に依存する可変静電容量の場合である。この構造体は、固定されたインターディジタルな櫛のラインと移動可能なインターディジタルな櫛の他のラインとからなる。静電力の印加は、移動部品の側方の変位をもたらし、その移動の効果は、それらの櫛の対向表塩を変動させること、従って静電容量を変動させることである。
【0011】
しかしながら、このような構造体は、通常SOI(Silicon On Insulator)基板からなり、それは、単結晶シリコン部品を得るために使用される。ところが、SOI基板は、それらが非常に高価であるという主たる欠点がある。さらに、可変静電容量は、通常低温を用いて形成され、または低い機械的品質(金、AlSiなどの金属)を有する構成物質をもたらし、それらの挙動(窒化物、低温酸化物など)に寄生することができる電荷を蓄えるIC上での技術(400℃までの温度)を用いて形成される。
【特許文献1】米国特許出願公開2005/0199970号明細書
【特許文献2】仏国特許第2823032号明細書
【非特許文献1】High tuning ratio MEMS based tuneable capacitors for RF communications applications(Tech. Digest, Solid State Sensor and Actuator Workshop, pp 124-7, 1998)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、上述の欠点を解決し、製造が容易で、費用が安く、特に動作特性の点で最適な性能を有する電気機械部品を製造するために使用することができる電気機械部品、特にMEMS/NEMSタイプの部品を製造する方法を定義することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、本方法が、少なくとも、(a)上部表面が少なくとも部分的に1つの絶縁領域によって覆われるように、少なくとも1つのシリコン領域を有する基板を形成する段階と、(b)前記シリコン領域の上部表面の覆われていない部分から開始する選択的エピタキシーによってシリコンゲルマニウム合金犠牲層を形成する段階と、(c)前記犠牲層上に配置される少なくとも1つの単結晶領域と前記絶縁領域上に配置される少なくとも1つの多結晶領域とを有し、所定の厚さを有するシリコン層をエピタキシーによって形成する段階と、(d)前記電極と前記振動構造体との間に空間を形成するように前記単結晶領域内に所定のパターンをエッチングすることによって前記振動構造体と前記作動電極とを同時形成する段階と、(e)シリコンゲルマニウム合金からなる前記犠牲層を選択的エッチングによって除去する段階と、を順に有することによって特徴付けられる。
【0014】
本発明のある発展型によれば、前記シリコン層は、高濃度にドープすることができる。
【0015】
本発明のある発展型によれば、前記電気機械部品の前記振動構造体と前記電極の厚さは、100nmから600nmのオーダーであり得る。
【0016】
本発明のある実施形態によれば、前記方法は、前記電気機械部品の前記振動構造体に対する封入カバーを形成する段階を有することができる。
【0017】
前記封入カバーを形成する段階は、エッチングによって前記振動構造体と前記電極とを同時形成する段階の後に、(a)エピタキシーによって第2のシリコンゲルマニウム合金犠牲層を形成する段階と、(b)単結晶シリコン層をエピタキシーによって形成し、前記封入カバーを形成する段階と、(c)エッチングによって前記カバー内に複数の開口部を形成する段階と、(d)前記開口部を通した選択的エッチングによって前記第1及び第2シリコンゲルマニウム合金犠牲層を除去する段階と、(e)前記カバー上に封止材料からなる層を形成する段階と、を有することができる。
【0018】
前記方法は、前記振動構造体と前記電極との同時形成の前に、第1の前記シリコン層から開始するエピタキシーによってドープされていない追加のシリコン層を形成する段階を有することができる。
【0019】
前期方法は、前記振動構造体と前記電極と同時に、金属酸化物半導体トランジスタを形成することを含むことができる。
【0020】
前記方法は、前記振動構造体と前記電極と同時に、可変静電容量を形成することを含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
他の利点及び特徴は、限定されない実施例として与えられ、添付された図面で表される本発明の特定の実施形態の以下の説明を読むことによって、より明確になるだろう。
図1及び図2は、従来技術によるSON技術を用いて製造される電気機械部品をそれぞれ示す。図3から図7は、本発明による電気機械部品を製造するための方法における様々な連続段階を表す前断面図を示す。図8は、トランジスタが同時に形成される、本発明による電気機械部品を製造する方法の変形実施形態を示す前断面図である。図9は、本発明による電気機械部品を製造するための方法の変形実施形態の概略的な上面図である。図10から図12は、封入カバーを有する、本発明による電気機械部品を製造するための方法の変形実施形態を示す概略的な前断面図である。
【0022】
図3から12を参照して、本発明による電気機械部品を形成するための製造方法は、特に共鳴装置(共鳴回路)のMEMSまたはNEMS部品(図7)の製造を目的とし、それらは、その部品が製造される基板の平面内の、すなわち基板に平行な振動構造体の変位を保証するように設計される振動構造体と作動電極とを有する。
【0023】
本発明による方法は、その部品の振動構造体と同時に作動電極を形成することからなり、その電極と振動構造体は、基板に平行な同一平面に位置する。それから、振動構造体は、基板の平面内に移動することができ、どのようなタイプの形状であってもよく、曲げ(ベンディング)でビーム動作(beam acting)をするのは当然であり、それは、特にその性能を改善する。
【0024】
共鳴装置タイプのMEMS/NEMS部品10のある特定の実施形態は、ここに図3から図7を参照して詳細に記載されるだろう。図3では、この方法の第1段階は、例えば熱酸化物からなる2つの絶縁領域18によって例えば部分的に覆われる上部表面17を有して、例えば非導電シリコン領域16を好ましくは含む平面基板15を形成することからなる。例えば、絶縁領域18は、リソグラフィによる酸化物の堆積と、それに続く絶縁領域18の所望の形状に依存するその酸化物層のエッチングによって形成される。
【0025】
例えば、基板15が断面で長方形の場合、絶縁領域18は、シリコン領域16上に配置される薄片の形態にエッチングされる。それから、基板15の形状が円形の場合、基板15は、シリコン領域16の周辺の部分を覆う単一の絶縁領域18を含む。
【0026】
図4では、次いで、例えば選択的エピタキシーによってシリコンゲルマニウム合金からなる犠牲層19が形成され、言い換えれば、犠牲層19は、シリコン領域16の絶縁領域18によって覆われていない部分から成長し始める。シリコンゲルマニウム合金からなる犠牲層19の厚さe1は、数ナノメートルのオーダー、例えば20nmから50nmであることが好ましい。
【0027】
図5では、次いで、望ましくは非常に高濃度にドープされた層20がエピタキシーによって形成される。この層20の厚さe2は、所定のものであり、100nmから600nmのオーダーが好ましく、絶縁領域18と犠牲層19とから開始するエピタキシーによって成長する。この成長速度は、シリコン層20の領域に依存して変化する。絶縁領域18から成長し始める層20の領域20aは、多結晶シリコンからなり、シリコンゲルマニウム合金からなる犠牲層19から成長し始める層20の領域20bは単結晶シリコンからなる。
【0028】
図5では、多結晶シリコン領域20aは、右側に向かって上昇するように傾斜した線でクロスハッチングで表されており、単結晶シリコン領域20bは、左側に向かって上昇するように傾斜した線で異なる間隔のクロスハッチングで表されている。図5に示された特定の実施形態では、領域20aと領域20bとの境界は、ほぼ垂直である。実際、エピタキシーによる成長は、異なる領域間に大幅に傾斜した界面を生成する。
【0029】
図6では、次いで、この方法は、MEMS/NEMS部品10の振動構造体22と、基板15に平行な平面で振動する振動構造体22を形成する作動電極23とを同時形成することを含む。シリコン層20を好ましくは単結晶領域20bのみでエッチングすることによって形成がなされる。このエッチング段階は、振動構造体22と電極23との間に空間24を形成するように設計された所定のパターンを用いてシリコン層20をエッチングすることからなる。特に、振動構造体22のエッチングと同時に電極23をエッチングするこの段階によって、基板15に平行する単一平面に電極23と振動構造体22とを位置させることが可能になる。電極23は、絶縁領域18上に形成され、それらは、基板15の残りの部分から電気的に絶縁され、振動構造体22の各々の側部上に配置されることが好ましく、従って、振動構造体22は、基板15の平面で振動する。
【0030】
さらに、図6に示されるように、エッチング空間24は、例えば様々な層の堆積中に使用されるリソグラフィマスク間のあらゆる位置合わせの問題を特に避けるために、絶縁領域18から若干離隔されたシリコン層20の単結晶領域20bに形成される。さらに、空間24は、振動構造体22が単結晶シリコンのみからなり、電極23が、絶縁領域18上の多結晶シリコンからなる第1部分と、振動構造体22と丁度対面する犠牲層19上の単結晶シリコンからなる他の部分とを有するように単結晶領域20b内に形成される。従って、振動構造体22は、層20の単結晶シリコンと多結晶シリコンとの間の接合領域から離れて形成される。前記接合領域は、転位が多く、従って機械的性能の観点で良好ではない。
【0031】
特に、振動構造体22と電極23との同時エッチングを用いたこのようは方法によって、振動構造体22におけるあらゆるタイプの形状を形成することが可能になる。さらに、振動構造体22と電極23の厚さは、好ましくは100nmから600nmのオーダーであるが、特に振動品質の点における良好な性能を得るために従来技術におけるビームの厚さに比べて比較的大きい。
【0032】
例えば、振動構造体22は、その長手方向の端部の中央部で固定された長手方向のビームでありえる。この場合、このビームは、これらの固定点によってもたらされる電圧によって分極化され、その端部の一方に位置する電極にもたらされる高周波信号は、長手方向の共振モード、すなわち、その長さに沿ったビームの延長部でそのビームを振動させる。
【0033】
振動構造体22は、ディスク形状にされ、互いに規則的に90°に配置される4つの固定点の輪郭部の周囲に固定され、または、中央の固定点のその中心で固定され、マッシュルーム型の構造体を形成する。この動作原理は、上述のものと同じであり、それから、振動構造体22の振動モードは、楕円モードである。
【0034】
振動構造体22は、その4つの角部で固定された振動板でもありえる。次いで、この板は、圧縮−拡張で変形する。すなわち、第1振動モードにおいて2つの対向する平行な端部が互いに向かい合って移動する一方で、他の2つの端部が互いに離隔して移動し、第2振動モードでは逆に移動する。
【0035】
図7において、部品10を製造するための方法の以下の段階は、シリコン領域16上に空間25を形成するために、特に振動構造体22の単結晶シリコンに対して選択的エッチングすることによってシリコンゲルマニウム合金からなる犠牲層19を除去することからなる。次いで、電極23は、それらの単結晶シリコン部分(左側に向かって上昇するように配向されたクロスハッチング)によって基板上に若干吊るされ、振動構造体22は、基板15から離され、作動電極23間においてその平面で振動することができる。
【0036】
それゆえ、SON(Silicon On Nothing)技術を用いて得られたMEMS/NEMSタイプの電気部品10は、あらゆる形状であり得る振動構造体22を吊るす手段を提供し、従って、その性能を改善し、製造コストの点で利点をもたらす。
【0037】
図8に示される変形実施形態では、本発明による方法は、上述のMEMS/NEMS部品10の振動構造体22と電極23と同時に形成される金属/酸化物(MOS)半導体トランジスタ26の製造を含む。このトランジスタ26は、SON技術を用いて上述のような一般的な方法で形成される。
【0038】
図8では、この方法は、高濃度にドーピングされたシリコン層20の形成段階の後に、所定の厚さを有するドーピングされていないシリコンからなる追加の層21の堆積を含むことが好ましい。それから、この2つの層20、21の厚さは、100nmから600nmのオーダーであることが好ましい。上述のように、層21は、層20の多結晶シリコン領域から成長し始める2つの多結晶シリコン領域21aと、層20の単結晶シリコン領域20aから成長し始める単結晶シリコン領域21bとを含む。
【0039】
次いで、トランジスタ26は、基板15の対応するシリコン領域16上にトランジスタのベースを形成するドーピングされた第1のシリコン層20と、上述のような追加のシリコン層21の形成とエッチングの前にこの層20の上に堆積され、エッチングされる酸化物層27とを含む。
【0040】
追加のシリコン層21をエッチングした後であって、除去後にキャビティ25を形成するように設計されるシリコンゲルマニウム合金の犠牲層19の除去の前に、この方法は、例えば窒化物からなり、例えば酸化物の堆積によって形成されるスペーサ28の生成を含む。このスペーサ28は、基板15からトランジスタ26を離隔する、対応するシリコンゲルマニウム合金からなる犠牲層19の選択的エッチング中に特にトランジスタ26を保護するためのものである。
【0041】
図8に示された特定の実施形態では、シリコン領域26は、ほんの少しだけドーピングされている。層20、21のシリコンの残りの部分に高濃度に注入する前にトランジスタ26のソースとドレイン(シリコン層20)とグリッド(シリコン層21)とを形成するために、酸化物層27は、トランジスタチャネル26の保護部を画定するリソグラフィ段階によって形成される。さらに、この方法は、通常、絶縁材料を用いたトンネル充填段階と、多くの注入段階と、接触部形成段階とを含む。従って、本発明によるこのような方法は、MEMS/NEMS部品10と同一平面基板15上のトランジスタ26とを形成するために使用することができる。
【0042】
図9に示される変形実施形態では、この製造方法は、単結晶シリコンからなるMEMSまたはNEMS可変静電容量を形成することからなる(図9に非常に体系的に示される)。従って、集積機能を形成するために、可変静電容量と共に上述のような振動構造体と作動電極とを有する共鳴装置を含む同一平面支持基板15上にMEMS/NEMS部品10を形成することが可能である。
【0043】
可変静電容量の上面図を示す図9に概略的に示されるように、シリコン層20と場合によってはシリコン層21とをエッチングすることによって形成される構造体は、例えば組み込みビーム(ビルトインビーム)29の形状であり、印加される電圧に応じて様々な静電容量状態を示す。例えば、電極E1とビーム29との間に印加される電圧U1は、2つの電極E1及びE2の固着を示す“引き込み(プルイン)”と呼ばれるあらゆる静電的不安定性を引き起こすことなく、図9の左側に向かって配向した斜線内の曲線によって概略的に示される、この電極E1に対する位置ずれをもたらす。それで、第2電極E2とビーム29との間の静電容量は、最小であろう。
【0044】
次第に電圧U1を低下させることによって、ビーム29は、次第に元の位置に戻り、静電容量値は増加するだろう。同様に、電極E2とビーム29との間の電圧U2を均一に増加することによって、ビーム21は、静電容量を変化させるために、電極E2に向かって、すなわち図9の右側に向かって移動する。
【0045】
従って、本発明による方法は、ビーム29と、シリコン層20と場合によってはシリコン層21とのエッチングからもたらされる、600nmまでの比較的厚い電極E1とE2とを製造することができる。従って、この結果は、静電容量性能の点で重要な利点である。それは、互いに対して移動する電極E1とE2の対向表面が比較的大きいからである。
【0046】
図10から図12に示される変形実施形態では、電気機械部品10を形成する方法は、特に、動作中に移動可能な振動構造体22の保護のために、そして、その信頼性を保証するため、すなわち、真空下、または、アルゴンまたはヘリウムなどの中性雰囲気下での封入を保証するために、部品10の振動構造体22の封入カバーを製造するために使用される追加の段階を含む。
【0047】
図10に示される特定の実施形態では、部品10は、シリコン領域16とシリコン領域16の上部表面17に部分的に配置された絶縁領域18とから必須的に構成される基板15を用いて上述のようにSON技術を使用して形成される。振動構造体22と電極23とを形成するためのシリコンの層20と場合によって追加の層21(図8)とをエッチングした後であって、好ましくはエッチングによってシリコンゲルマニウム合金の犠牲層19を除去する前に、例えば電極23と振動構造体22上にエピタキシーによって新たなシリコンゲルマニウム合金の犠牲層30が形成される。この層30は、好ましくは非常に厚く、50nmから150nmのオーダーである。
【0048】
図10に示される特定の実施形態では、層30の材料は、電極23と振動構造体22との間の空間24を封入し、この層30は、振動構造体22の上に形成される所望の大きさのキャビティ34に適合するようにエッチングされる(図12)。次いで、カバー31は、例えば予め形成される単結晶領域(シリコンゲルマニウム合金層30)上の単結晶シリコンのエピタキシーと、予め形成される多結晶領域(電極23と絶縁領域18)上の多結晶シリコンのエピタキシーとによって形成される。
【0049】
図11において、次いで、オリフィス32は、カバー31内に形成され、好ましくは、シリコンゲルマニウム合金の犠牲層30までオリフィスが開口する。次いで、図12に示されるように、シリコンゲルマニウム合金の犠牲層19、30は、カバー31のオリフィス32を通して選択的エッチングによって除去され、振動構造体22を分離させ、振動構造体22と振動構造体22上のキャビティ34との下にキャビティ25を形成する。最後に、封止(クロージングオフ)材料からなる層33は、封入を完了するために振動構造体22上のカバー31のオリフィス32を封止する。封止材料は、“不適合な”材料、言い換えると、予め形成されるキャビティ34内に浸透することなくオリフィス32を封止させることができる材料であることが好ましく、例えば、酸化物、または、多結晶シリコンまたはシリコン窒化物層である。
【0050】
このような実施形態は、エッチングによってシリコンゲルマニウム合金の犠牲層19、30を除去する単一段階が必要とされる程度まで単純化されるという利点を有する。最後に、封入を実施する段階は、振動構造体22と電極23とを形成することに関しては同一の原理、すなわちSON技術に基づく。その結果は、コストと製造時間の点で大きな利点となる。
【0051】
したがって、上述の使用された実施形態にも関わらず、本発明による電気機械部品10を形成するこのような方法は、共鳴装置に振動構造体と電極とを組み合わせることを可能にし、同一の層堆積及びエッチング段階によって同一基板にトランジスタと可変静電容量を形成する。この平面内で振動を引き起こすあらゆるタイプの形状は、振動構造体22を生成し、その性能、特に高い共振周波数と高い品質因子における性能を最適化するために形成することができる。さらに、選択的な封入は、各々の振動構造体22において区別せずに可能である。
【0052】
本発明は、上述の種々の実施形態に限定されない。特に、本発明の製造方法によって得られるMEMS/NEMS部品の振動構造体22は、形状が環状であってもよい。さらに、MEMS/NEMS部品10は、加速度計であり得る。この場合、結合部の剛性を減少させながら振動質量体(seismic mass)が挿入される。本発明による方法によって結合される共鳴装置も形成することができる。
【0053】
図3から7に示される実施形態は、シリコンからなる2つの層20、21の厚さが100nmから600nmのオーダーであるような追加のシリコン層を堆積するための段階を含んでもよい。
【0054】
示されていないある変形実施形態では、図3に示される基板15は、別に形成されてもよく、それは、絶縁領域18と同一レベルにシリコン領域16を含んでもよい。次いで、本発明による方法における基板15の形成の第1段階は、シリコン領域16のエッチングと、予め行われるそのエッチングに相当する溝の絶縁領域18の堆積と、それによって得られる基板15のレベリング段階とを含む。次いで、絶縁領域18は、基板15に集積され、基板15によって覆われないシリコン領域16の上部表面は、次いで、絶縁領域18の上部表面と同一レベルになる。
【0055】
次いで、この方法の次の段階は、基板15上に若干突出する(数ナノメートルから数十ナノメートルのオーダー)シリコンゲルマニウム合金の犠牲層19の形成と、好ましくは高濃度にドーピングされたシリコン層20の形成とを用いて上述のような同一の方法で行う。シリコン層20の単結晶領域20b内の電極23と振動構造体22との同時エッチングの後に、単結晶シリコンからなる振動構造物22と多結晶シリコンからなる電極23の部分との間に若干の高さの違いがある。
【0056】
振動構造体22に面する電極23の部分が、単結晶シリコンからなり、従って、振動構造体22と同一の高さである限りは、この高さの違いは、典型的には犠牲層19の高さであるが、部品10の動作中に生じなく、実行によっても生じない(図7)。
【0057】
図10から図12に示されていない他の変形実施形態では、シリコンゲルマニウム合金の第2の犠牲層30は、振動構造体22と電極23とのエッチングの後に、言い換えると、振動構造体22が隔離された後に堆積されてもよい。それから、シリコンゲルマニウム合金の層30は、その堆積中に振動構造体22と電極23との間の空間24の端部のみを封止する材料からなり、次いで、封入カバー31は、カバー31を分離させるためのシリコンゲルマニウム合金層30のみをエッチングして上述のように形成される。
【0058】
本発明は、その作動電極と同一平面に振動構造体の同時生成を必要とする、あらゆるタイプの電気機械部品に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】従来技術によるSON技術を用いて製造される電気機械部品をそれぞれ示す。
【図2】従来技術によるSON技術を用いて製造される電気機械部品をそれぞれ示す。
【図3】本発明による電気機械部品を製造するための方法における様々な連続段階を表す前断面図を示す。
【図4】本発明による電気機械部品を製造するための方法における様々な連続段階を表す前断面図を示す。
【図5】本発明による電気機械部品を製造するための方法における様々な連続段階を表す前断面図を示す。
【図6】本発明による電気機械部品を製造するための方法における様々な連続段階を表す前断面図を示す。
【図7】本発明による電気機械部品を製造するための方法における様々な連続段階を表す前断面図を示す。
【図8】トランジスタが同時に形成される、本発明による電気機械部品を製造する方法の変形実施形態を示す前断面図である。
【図9】本発明による電気機械部品を製造するための方法の変形実施形態の概略的な上面図である。
【図10】封入カバーを有する、本発明による電気機械部品を製造するための方法の変形実施形態を示す概略的な前断面図である。
【図11】封入カバーを有する、本発明による電気機械部品を製造するための方法の変形実施形態を示す概略的な前断面図である。
【図12】封入カバーを有する、本発明による電気機械部品を製造するための方法の変形実施形態を示す概略的な前断面図である。
【符号の説明】
【0060】
10 電気機械部品
15 平面基板
16 シリコン領域
17 上部表面
18 絶縁領域
19 シリコンゲルマニウム合金犠牲層
20 シリコン層
20a 多結晶領域
20b 単結晶領域
22 構造体
23 作動電極
24 空間
【出願人】 【識別番号】590000514
【氏名又は名称】コミツサリア タ レネルジー アトミーク
【識別番号】598145510
【氏名又は名称】ストミクロエレクトロニクス・ソシエテ・アノニム
【出願日】 平成19年9月26日(2007.9.26)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦

【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉


【公開番号】 特開2008−114363(P2008−114363A)
【公開日】 平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願番号】 特願2007−249518(P2007−249518)